説明

車両用インストルメントパネル

【課題】 より多くの収容空間を確保することができる車両用インストルメントパネルを提供する。
【解決手段】パネル本体2には、可動部材5を設ける。可動部材5には、グローブボックス3の下端部を水平な軸3aを介して回動可能に設ける。可動部材5は、図2に示す収容位置と、この収容位置から下方へ所定距離だけ離間した使用位置との間を移動可能とする。可動部材5の水平板部5aは、可動部材5が使用位置に位置したときに、インパネ本体2に形成された開口部2aの上端縁より所定距離だけ下方に位置するように配置する。これにより、水平板部5aの上側に収容空間6を形成する。収容空間6内に収容された物品は、水平板部5aの上面に載置可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グローブボックスが設けられた車両用インストルメントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用インストルメントパネルは、インパネ本体を有している。このインパネ本体の下端部で助手席の前方に位置する部分には、開口部が設けられている。この開口部には、グローブボックスが配置されている。グローブボックスの下端部は、インパネ本体に左右方向に延びる回動軸線を中心として回動可能に支持されている。インパネ本体を手前(車両の後方)側に向かって開位置まで回動させると、グローブボックスの上端開口部がインパネ本体から車内に露出する。したがって、グローブボックスに対しその上端開口部から物品を出し入れすることができる。グローブボックスを閉位置に回動させると、インパネ本体の開口部がグローブボックスによって閉じられる一方、グローブボックスの上端開口部がインパネ本体によって閉じられる。
【0003】
【特許文献1】特開平110115636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のインストルメントパネルは、収容空間としてグローブボックスを有しているが、グローブボックスだけでは収容空間が十分でないことがあり、さらに別の収容空間が要望されることがある。ところが、従来のインストルメントパネルは、グローブボックス以外の収容空間を全く有しておらず、そのような要望に応えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するために、下端部に開口部が形成されたインパネ本体と、上記開口部に配置され、下端部が上記インパネ本体に左右方向に延びる回動軸線を中心として閉位置と開位置との間を回動可能に支持されたグローブボックスとを備えた車両用インストルメントパネルにおいて、上記インパネ本体に可動部材が収容位置とこの収容位置から所定距離だけ下方に離間した使用位置との間を移動可能に設けられ、この可動部材に上記グローブボックスの下端部が上記回動軸線を中心として回動可能に設けられ、上記可動部材には上記閉位置に位置している上記グローブボックスの上端開口部を覆うとともに、上面に物品が載置可能である支持部が設けられ、上記可動部材が上記使用位置に移動したときに、上記支持部の上面が上記インパネ本体の開口部の上端縁より所定距離だけ下方に位置するように、上記支持部が配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、可動部を収容位置から使用位置に移動させると、支持部の上面がインパネ本体の開口部の上端縁より下方にするので、開口部の上端縁と支持部との間から支持部の上方に物品を挿入して支持部に載置することができる。つまり、可動部を使用位置に移動させと、支持部より上側には、支持部の上面と開口部の上端縁とによって区画される空間が現出する。この空間は、物品を収容するための収容空間として利用することができる。そして、当該空間に収容した物品を支持部の上面に載置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図3は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態の車両用インストルメントパネル1は、インパネ本体2を有している。インパネ本体2の下端部であって助手席の前方に位置する部分には、開口部2aが形成されている。この開口部2aは、助手席側から見たときに略長方形をなしており、長手方向を左右方向に向けて配置されている。開口部2aの形状は、他の形状であってもよい。開口部2aの下端部は、下方に向かって開放されている。したがって、開口部2aは、見方を変えれば、インパネ本体2の下端面から上方に向かって形成された略長方形の凹部であると看做すこともできる。開口部2a及び開口部2aから前方側(車両の前方側)に続く空間には、グローブボックス3が収容される。このような開口部2aが形成されたものであれば、インパネ本体2としては、その構造及び寸法等に拘わらず、公知のどのようなものであっても使用可能である。
【0008】
インパネ本体2の背面(車両の前方を向く面。図2において左方を向く面)には、前方に向かって水平に延びる水平板部2bが設けられている。この水平板部2bは、左右方向において開口部2aとほぼ同一位置に配置され、上下方向においては開口部2aの上端縁より所定距離だけ上側に配置されている。水平板部2bの前端部には、水平板部2bから下方へ向かって延びる垂直板部2cが形成されている。この垂直板部2cは、開口部2aと前後方向に対向するように配置されている。水平板部2bと垂直板部2cとの左右方向における一端部及び他端部には、端板部2dがそれぞれ形成されている。水平板部2b、垂直板部2c及び両端板部2dにより、下方に向かって幅が狭くなる断面略三角形の装着空間4が形成されている。この装着空間4は、開口部2aを介して車両の後方側(助手席側)に向かって開放されるとともに、下方に開放されている。
【0009】
なお、装着空間4は、水平板部2b、垂直板部2c及び両端板部2dによって構成することなく、両端板部2dを省略して水平板部2bと垂直板部2cとだけで構成してもよく、水平板部2bを省略して垂直板部2cと両端板部2dとだけで構成してもよい。また、水平板部2b、垂直板部2c及び両端板部2dの全てを省略し、装着空間4を殊更区画しなくてもよい。
【0010】
装着空間4には、可動部材5が設けられている。可動部材5は、装着空間4内に収容することができるよう、装着空間4を一回り小さくしたような形状及び寸法を有している。つまり、可動部材5は、水平板部(支持部)5aと、この水平板部5aの前端部から下方に延びる垂直板部5bと、水平板部5aと垂直板部5bの両端部間にそれぞれ設けられた二つの端板部5cとにより、装着空間4とほぼ相似形でそれより若干小型に形成されている。したがって、可動部材5は、その全体が装着空間4内に収容可能である。
【0011】
可動部材5は、インパネ本体2に、特にこの実施の形態では垂直板部2cに図2に示す収容位置とこの収容位置から下方へ向かって所定距離だけ離間した図3に示す使用位置との間を移動可能に設けられている。可動部材5は、収容位置に位置すると、その全体が装着空間4内に収容される。このとき、水平板部5aは、開口部2aの上端縁に対し上下方向においてほぼ同一位置か僅かに上側に位置している。可動部材5が使用位置に移動すると、水平板部5aは、開口部2aの上下方向における中間部に位置し、開口部2aの上端縁から下方に所定距離だけ離間している。したがって、可動部材5を使用位置に位置させた状態では、水平板部5aの上側に位置する装着空間4の一部によって収容空間6が構成される。この収容空間6は、可動部材5の水平板部5bが開口部2aの上端縁から下方へ所定距離だけ離間しているので、開口部2a上端縁と水平板部5aの上面の後端縁(図3において右端縁)との間を介して助手席側に開放されている。したがって、開口部2aの上端縁と水平板部5aの後端縁との間から収容空間6内に物品を挿入することができ、挿入した物品を水平板部5aの上面に載置することができる。この場合、水平板部5aの上面に載置した物品が車両の振動等によって水平板部5aから落下するのを防止するために、水平板部5aの上面には、その周辺部に沿って環状に延びる突出部を設けることが望ましい。勿論、突出部の高さは、可動部材5を使用位置に移動させたときに、突出部の上面が開口部2aの上端縁より下側に位置するように設定される。
【0012】
開口部2a及び可動部材5によって区画される空間には、グローブボックス3が収容されている。グローブボックス3は、上端が開口した箱状をなしている。特に、この実施の形態では、下方へ向かうにしたがって前後方向の幅が狭くなるよう、断面略三角形状に形成されている。グローブボックス3の前面(車両の車内側を向く面)は、助手席側から見たとき、開口部2aとほぼ同一の形状をなしている。
【0013】
グローブボックス3の下端部の左右方向の両端部は、二つの端板部5cに左右方向に延びる軸3aを介して回動可能に支持されている。この軸3aの軸線が回動軸線である。グローブボックス3は、図2及び図3において実線で示す閉位置と想像線で示す開位置との間を回動可能である。
【0014】
図2に示すように、可動部材5が収容位置に位置している場合において、グローブボックス3が閉位置に位置しているときには、グローブボックス3の前面が開口部2aに沿って位置する。これによって、開口部2aがグローブボックス3によって閉じられる。しかも、グローブボックス3全体が開口部2aより車両の前方側に位置する。したがって、グローブボックス3は、その前面を除いてインパネ本体2によって覆われる。したがって、グローブボックス3に対してその上端開口部から物品を出し入れすることができなくなる。グローブボックス3が開位置に位置すると、その上端開口部のうちの前端部(車内側の端部)がインパネ本体2から車内側に突出し、車内側に開放される。したがって、グローブボックス3に対して物品を出し入れすることができる。
【0015】
図3に示すように、可動部材5が使用位置に位置している場合には、グローブボックス3の前端部が開口部2aから車内側に突出するようになるが、グローブボックス3の上端開口部が可動部材5の水平板部5aによって閉じられている。したがって、グローブボックス3の内部が目視されることがなく、グローブボックス3に物品を出し入れすることができない。グローブボックス4が開位置に位置すると、その上端開口部の前端部が水平板部5aの前端より車内側に位置して車内側に開放される。したがって、グローブボックス3に対して物品を出し入れすることができる。
【0016】
上記構成の車両用インストルメントパネル1においては、グローブボックス3に物品を収容させることができる。しかも、可動部材5を使用位置に移動させることにより、水平板部5aの上側に新たな収容空間6が形成される。そして、この収容空間6に臨む水平板部5aの上面に物品を載置することができる。よって、より多くの物品を収容することができる。
【0017】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、開口部2aがインパネ本体2の左下部に形成されているが、右下部に形成されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】可動部材を収容位置に位置させ、かつグローブボックスを閉位置に位置させた状態で示す図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図3】可動部材を使用位置に位置させ、かつグローブボックスを閉位置に位置させた状態で示す図2と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 車両用インストルメントパネル
2 インパネ本体
2a 開口部
3 グローブボックス
3a 軸
4 装着空間
5 可動部材
5a 水平板部(支持部)
6 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に開口部が形成されたインパネ本体と、上記開口部に配置され、下端部が上記インパネ本体に左右方向に延びる回動軸線を中心として閉位置と開位置との間を回動可能に支持されたグローブボックスとを備えた車両用インストルメントパネルにおいて、
上記インパネ本体に可動部材が収容位置とこの収容位置から所定距離だけ下方に離間した使用位置との間を移動可能に設けられ、この可動部材に上記グローブボックスの下端部が上記回動軸線を中心として回動可能に設けられ、上記可動部材には上記閉位置に位置している上記グローブボックスの上端開口部を覆うとともに、上面に物品が載置可能である支持部が設けられ、上記可動部材が上記使用位置に移動したときに、上記支持部の上面が上記インパネ本体の開口部の上端縁より所定距離だけ下方に位置するように、上記支持部が配置されていることを特徴とする車両用インストルメントパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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