説明

車両用ウインドウシェード装置

【課題】巻取シャフトをその軸方向に移動させるように支持するネジ部を樹脂で形成した場合に、ネジ部の精度向上及びネジ部の強度向上を図れるようにする。
【解決手段】車両用ウインドウシェード装置は、ウインドウシェードと、巻取シャフト40と、一対の支持シャフトの一例としてネジ支持シャフト50と、付勢側支持シャフトとを備える。巻取シャフト40の少なくとも一端部にネジ孔42sが形成され、ネジ支持シャフト50が樹脂により形成されると共に、ネジ孔42sに螺合するネジ部51とそのネジ部51の中心軸に沿って中心穴とが形成されている。中心穴に補強シャフト70が挿通されている。巻取シャフト40の少なくとも一端部に、巻取シャフト40を、巻取り方向に付勢する付勢機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用ウインドウシェード装置は、ウインドウの下縁部に沿って配設された巻取シャフトと、前記巻取シャフトに巻取られたシェードとを備えている。そして、巻取シャフトから引出されたシェードがウインドウを遮蔽するようになっている。
【0003】
ところで、ウインドウの側縁部がウインドウの下縁部に対して傾斜している場合、シェードの引出度合に応じて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との隙間が変動する。このため、シェードの引出度合によっては、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との間に大きな隙間が生じてしまう。
【0004】
そこで、シェードの引出に応じて巻取シャフトをその軸方向に沿って移動させる技術が、特許文献1及び2に開示されている。
【0005】
特許文献1及び2では、巻取シャフトに形成されたネジ孔にネジを螺合させることによって、巻取シャフトが回転可能に支持されている。そして、シェードの引出しに応じて巻取シャフトが回転すると、ネジとネジ孔との螺合構造によって巻取シャフトがその軸方向に沿って移動する。これにより、シェードの引出度合に応じて巻取シャフトをその軸方向に沿って移動させて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との隙間をなるべく小さくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−16284号公報
【特許文献2】特開2006−274792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、軽量化等の観点からは、上記ネジを樹脂で形成することが好ましい。ところが、中身が埋ったネジ全体を樹脂で形成しようとすると、樹脂ヒケの問題が顕著に生じてしまい、精度のよいネジ溝を形成することが難しくなる。つまり、精度よくネジ溝を形成するためには、樹脂厚みに制約がある。そこで、精度のよいネジ溝を形成するためには、ネジの内部を中空することが好ましい。
【0008】
しかしながら、ネジの内部を中空にすると、強度が劣ることとなり、巻取シャフトを十分な支持強度で回転可能に支持することは難しくなる。
【0009】
そこで、本発明は、巻取シャフトをその軸方向に移動させるように支持するネジ部を樹脂で形成した場合に、ネジ部の精度向上及びネジ部の強度向上を図れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の態様は、ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、前記ウインドウシェードを巻取可能な巻取シャフトと、前記巻取シャフトの両端を回転可能に支持する一対の支持シャフトとを備え、前記巻取シャフトの少なくとも一端部にネジ孔が形成され、前記一対の支持シャフトの少なくとも一方が、樹脂により形成されると共に、前記ネジ孔に螺合するネジ部とそのネジ部の中心軸に沿った中心穴とを有するネジ支持シャフトとされ、前記中心穴に補強シャフトが配設され、前記巻取シャフトの少なくとも一端側に、前記巻取シャフトを、前記ウインドウシェードを巻取る方向に付勢する付勢機構が設けられている。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記補強シャフトは、金属製である。
【0012】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記ネジ支持シャフトが、前記巻取シャフトを回転可能に支持する突出姿勢でシャフト支持部に対して一体形成され、前記補強シャフトが前記シャフト支持部を通じて前記ネジ支持シャフトの前記中心穴に挿通されると共に、前記補強シャフトに前記シャフト支持部に対して外側から当接する頭部が形成されている。
【0013】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記ネジ支持シャフトが、前記巻取シャフトを回転可能に支持する突出姿勢でシャフト支持部に対して一体形成され、前記補強シャフトが前記シャフト支持部を通じて前記ネジ支持シャフトの前記中心穴に挿通され、前記シャフト支持部の外面にキャップ受部が設けられ、前記キャップ受部に取付けられた状態で、前記補強シャフトを前記中心穴に向けて押え込むキャップ部材をさらに備える。
【0014】
第5の態様は、第4の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記キャップ部材は、前記キャップ受部に対して前記補強シャフトの軸方向に対して直交する方向に差込まれることで、前記キャップ受部に取付けられる。
【0015】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記一対の支持シャフトのうちの少なくとも一方が前記巻取シャフトの少なくとも一端部内に挿通された付勢側支持シャフトとされ、前記付勢機構は、一端部が前記付勢側支持シャフトに相対回転不能に連結されると共に他端部が前記巻取シャフト内部に相対回転不能に連結された状態で前記巻取シャフト内に挿通された付勢部材と、前記付勢部材を覆う弾性チューブとを備え、前記付勢側支持シャフトに弾性リングが位置決め固定されている。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る車両用ウインドウシェード装置によると、前記巻取シャフトの少なくとも一端部にネジ孔が形成され、前記一対の支持シャフトの少なくとも一方が前記ネジ孔に螺合するネジ部を有しているため、その螺合構造によって、ウインドウシェードの引出度合に応じて巻取シャフトをその軸方向に沿って移動させることができる。また、一対の支持シャフトの少なくとも一方が、樹脂により形成されると共に、ネジ部の中心軸に沿った中心穴とを有しているため、ネジ部の厚みを小さくしてその精度向上を図ることができる。また、その中心穴に補強シャフトが配設されているため、ネジ部の強度向上を図ることができる。
【0017】
第2の態様によると、補強シャフトは、金属製であるため、よりネジ部の強度向上を図ることができる。
【0018】
第3の態様によると、補強シャフトの頭部が前記シャフト支持部に対して外側から当接した状態で、補強シャフトがシャフト支持部を通って中心穴に挿通されているため、ネジ支持シャフトによる巻取シャフトの支持強度がより向上する。
【0019】
第4の態様によると、キャップ部材によって簡易に補強シャフトの抜止めを図ることができる。
【0020】
第5の態様によると、前記キャップ部材は、前記キャップ受部に対して前記補強シャフトの軸方向に対して直交する方向に差込まれることで、前記キャップ受部に取付けられるため、補強シャフトをより簡易かつ確実に抜止めすることができる。
【0021】
第6の態様によると、弾性チューブによって付勢部材と巻取シャフト内周面との接触音を抑制することができる。また、巻取シャフトがその軸方向に沿って移動すると、弾性チューブが巻取シャフト内をその軸方向に沿って移動し易い。そこで、前記付勢側支持シャフトに位置決め固定された弾性リングによって、弾性チューブが付勢部材を覆う状態をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車両用ウインドウシェード装置が車両に取付けられた状態を示す説明図である。
【図2】車両用ウインドウシェード装置が車両に取付けられた状態を示す説明図である。
【図3】車両用ウインドウシェード装置が車両に取付けられた状態を示す説明図である。
【図4】車両用ウインドウシェード装置を示す透過斜視図である。
【図5】車両用ウインドウシェード装置の一端側部分の分解斜視図である。
【図6】車両用ウインドウシェード装置の他端側部分の分解斜視図である。
【図7】車両用ウインドウシェード装置の一端側部分を示す縦断面図である。
【図8】ネジ支持シャフトの製造工程例を示す説明図である。
【図9】キャップ受部及びキャップ部材を示す分解斜視図である。
【図10】キャップ受部及びキャップ部材を示す分解斜視図である。
【図11】車両用ウインドウシェード装置の他端側部分を示す縦断面図である。
【図12】車両用ウインドウシェード装置の動作を示す説明図である。
【図13】車両用ウインドウシェード装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置について説明する。
【0024】
説明の便宜上、まず、車両用ウインドウシェード装置の全体動作について説明する。図1〜図3は車両用ウインドウシェード装置20が車両のウインドウ10近傍部分に取付けられた状態を示す説明図であり、図1はウインドウシェード30が完全に巻取られた状態、図2はウインドウシェード30が途中まで引出された状態、図3はウインドウシェード30が完全に引出された状態を示している。本実施形態では、ウインドウ10が後部座席側方のサイドウインドウ、即ち、BピラーとCピラーとの間にあるサイドウインドウである場合を想定して説明するが、その他、荷室側方のウインドウ等であってもよい。
【0025】
ウインドウ10は、第1の枠部であるドアパネル12の上側の縁部12aと、この縁部12aに対して傾斜する(ここでは鈍角で傾斜する)第2の枠部である一方の側枠部14aとの内側に配設される。
【0026】
より具体的には、ウインドウ10は、ドアパネル12の上方にあるウインドウ枠14内に開閉可能に配設される。すなわち、ドアパネル12の上側の縁部12aの上方に、その上方領域の両側及び上側の三方を囲うウインドウ枠14が配設されている。ウインドウ枠14の一方(図1〜図3の左側、車両において後ろ側)の側枠部14aは、ドアパネル12の上側の縁部12aの後端部から鈍角となる斜め姿勢、ここでは、車両後方側に傾斜する姿勢で上方に延出している。また、ウインドウ枠14の他方(図1〜図3の右側、車両において前側)の側枠部14bは、ドアパネル12の上側の縁部12aの前端部から鋭角となる斜め姿勢、ここでは、車両後方側に傾斜する姿勢で上方に延出している。つまり、一方の側枠部14aと他方の側枠部14bとは並行姿勢である。もっとも、両側枠部14a、14bが並行姿勢であることは必須ではない。ウインドウ枠14の上側枠部14cは、ドアパネル12の上側の縁部12aに対して斜め(やや斜め)姿勢で上側の縁部12aに対して間隔をあけて配設されている。もっとも、ウインドウ枠14の上側枠部14cは、縁部12aに対して平行姿勢であってもよい。
【0027】
ウインドウ10は、ドアパネル12内から上記ウインドウ枠14内に開閉可能に設けられる。ウインドウ10がウインドウ枠14内全体を塞ぐように閉じられた状態で、ウインドウ10の露出領域は、ドアパネル12の縁部12a及びウインドウ枠14によって囲まれる内部領域である。
【0028】
通常、後部座席に乗員が着座した姿勢で、乗員の顔は、一方の側枠部14aの内側に位置するため、当該一方の側枠部14a近傍で、乗員の顔を外部から遮蔽できるようにすることが好ましい。この車両用ウインドウシェード装置20は、一方の側枠部14aの近傍で、ウインドウシェード30と一方の側枠部14aとの隙間をなるべく小さくする技術に関する。
【0029】
すなわち、本実施形態では、ウインドウシェード30を巻取る巻取シャフト40が、ドアパネル12の縁部12aに沿って配設されている。そして、ウインドウシェード30の引出度合に応じて、巻取シャフト40が、その軸方向、即ち、ドアパネル12の上側の縁部12aに沿って移動するようになっている。すなわち、ウインドウシェード30が巻取シャフト40に完全に巻取られた状態では、巻取シャフト40は、一方の側枠部14aから離れた位置に存在している。この状態では、巻取シャフト40と一方の側枠部14aとの間に隙間が生じており、ウインドウシェード30は、前記隙間にも延出した状態で巻取シャフト40に巻取られている(図1参照)。
【0030】
この状態からウインドウシェード30が引出され、ウインドウシェード30がウインドウ10の上下方向の途中までを閉塞すると、巻取シャフト40はその軸方向に沿って一方の側枠部14a側に移動する。この移動にあわせて、ウインドウシェード30のうち一方の側枠部14aに沿った縁部が当該一方の側枠部14a側に移動する。この移動によって、ウインドウシェード30のうち一方の側枠部14a側の側縁部と一方の側枠部14aとの隙間を狭めることができる(図2参照)。
【0031】
上記状態からウインドウシェード30がさらに引出され、ウインドウシェード30がウインドウ10のほぼ全体を遮蔽すると、巻取シャフト40はその軸方向に沿ってさらに一方の側枠部14a側に移動する。この移動にあわせて、続けて、ウインドウシェード30のうち一方の側枠部14aに沿った縁部が当該一方の側枠部14a側にさらに移動する。この移動により、ウインドウシェード30のうち一方の側枠部14a側の側縁部と一方の側枠部14aとの隙間を狭めることができる(図3参照)。
【0032】
このため、ウインドウシェード30の引出途中及びウインドウシェード30を完全に引出した状態のいずれにおいても、ウインドウシェード30のうち一方の側枠部14a側の側縁部と一方の側枠部14aとの隙間をなるべく小さくすることができる。
【0033】
上記を実現するため、本実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置20において、ウインドウシェード30の引出状態に応じて巻取シャフト40を移動させるための構成について説明する。図4は車両用ウインドウシェード装置20を示す透過斜視図であり、図5は車両用ウインドウシェード装置20の一端側部分の分解斜視図であり、図6は車両用ウインドウシェード装置20の他端側部分の分解斜視図である。なお、以下の各図においてウインドウシェード30は省略されている。
【0034】
この車両用ウインドウシェード装置20は、ウインドウシェード30と、巻取シャフト40と、一対の支持シャフトとしてのネジ支持シャフト50及び付勢側支持シャフト60と、補強シャフト70と、付勢機構80とを備えている。
【0035】
ウインドウシェード30は、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材である(図3参照)。ここでは、ウインドウシェード30は、上記ウインドウ10のうちドアパネル12の縁部12a及びウインドウ枠14によって囲まれる露出部分を覆う大きさ及び形状に形成されている。ウインドウシェード30は、ウインドウ10の略全体を遮蔽できる大きさ及び形状であることが好ましいが、ウインドウ10の一部を遮蔽する形状及び大きさ、或は、複数のウインドウを一括して遮蔽可能な形状及び大きさに形成されていてもよい。ウインドウシェード22の引出長は、例えば、400mm〜500mmである。
【0036】
このウインドウシェード30の引出方向側端部にステイ32が取付けられている。ここでは、ウインドウシェード30は、巻取シャフト40によって巻取られ、当該巻取シャフト40からウインドウ10に沿って上方に引出されるため、ウインドウシェード30の上側端部が引出方向側端部である。このステイ32は、ウインドウシェード30の巻取状態では、後述するケース46の引出用スリット46h内或はその開口部に配設されている。この状態からステイ32をウインドウ10に沿って引張ることで、ウインドウシェード30が引出用スリット46hを通じてウインドウ10に沿って引出される。また、ステイ32には、ウインドウ枠14の上側枠部14cに設けられた被係止部に係止可能なフック部(図示省略)が設けられている。そして、ウインドウシェード30を引出した状態で、当該フック部を当該被係止部に係止することで、ウインドウシェード30が引出された状態に維持される。
【0037】
巻取シャフト40は、ウインドウシェード30を巻取可能に構成されている。より具体的には、巻取シャフト40は、シャフト本体部41と、ネジ支持軸受42と、軸受43とを備えている。巻取シャフト40の長さ寸法は、ドアパネル12の縁部12aの長さ寸法及び後述するケース46の長さ寸法よりも小さい。従って、巻取シャフト40を、当該縁部12a及びケース46の長手方向に沿った姿勢で配設した状態で、当該縁部12a及びケース46の長手方向に沿って移動できるようになっている。
【0038】
シャフト本体部41は、金属等で形成された筒部材に形成されている。このシャフト本体部41の内周部には、その長手方向に沿って延びる突条部が形成されている。
【0039】
ネジ支持軸受42は、シャフト本体部41の一端部内に挿入可能な筒状に形成されている(図5参照)。ネジ支持軸受42の外周部には、その軸方向に沿ってスプライン溝42aが形成されている。本ネジ支持軸受42を上記シャフト本体部41の一端部内に挿入した状態で、シャフト本体部41の内周部の突条部がスプライン溝42aに嵌り込み、ネジ支持軸受42がシャフト本体部41に対して回転止されるようになっている。また、ネジ支持軸受42の一端部には鍔部42bが形成されている。ネジ支持軸受42がシャフト本体部41の一端部内に挿入された状態で、鍔部42bがシャフト本体部41の一端側開口部に当接することにより、ネジ支持軸受42の軸方向の位置決めが図られている。また、ネジ支持軸受42の内周部には、後述するネジ支持シャフト50のネジ部51を螺合可能なネジ溝が形成されたネジ孔42sが形成されている。
【0040】
軸受43は、シャフト本体部41の他端部内に挿入可能な筒状に形成されている(図6参照)。軸受43の外周部には、その軸方向に沿ってスプライン溝43aが形成されている。本軸受43を上記シャフト本体部41の他端部内に挿入した状態で、シャフト本体部41の内周部の突条部がスプライン溝43aに嵌り込み、軸受43がシャフト本体部41に対して回転止されるようになっている。また、軸受43の一端部には鍔部43bが形成されている。軸受43がシャフト本体部41の他端部内に挿入された状態で、鍔部43bがシャフト本体部41の他端側開口部に当接することで、軸受43の軸方向の位置決めが図られている。また、軸受43の内周部には、後述する付勢側支持シャフト60を回転可能に挿通可能な挿通孔43hが形成されている。
【0041】
この巻取シャフト40は、ケース46内に収容される。ケース46は、アルミニウム等の金属で形成された長尺部材であり、巻取シャフト40及び当該巻取シャフト40に巻取られたウインドウシェード30を収容可能な筒状部47と、一対のフランジ部48とを備えている(図5及び図6参照)。筒状部47の一側部にはスリットが形成されており、このスリットを挟む両側縁部から外方に延出するようにして一対のフランジ部48が形成されている。筒状部47に形成された前記スリット及び前記一対のフランジ部48に挟まれる空間によって引出用スリット46hが形成されている。ウインドウシェード30は、本引出用スリット46hを通じて引出及び巻取りされ、ウインドウシェード30が完全に巻取られた状態で、ステイ32が引出用スリット46hの開口部或はその内部に配設される。
【0042】
なお、ケース46には、ネジSを螺合可能なネジ止部45が形成されている(図6参照)。ここでは、ケース46の横断面形状を同じにすることによって当該ケース46を容易に加工するため、ねじ止部45は、ケース46の一部を、その長手方向に沿って延びる細筒状に突出させた形状とされているが、これは必須ではない。そして、後述するネジ支持シャフト50のシャフト支持部54及び付勢側支持シャフト50のシャフト支持部54Bが、本ネジ止部45を利用してネジ止固定される。つまり、ケース46は、シャフト支持部54、54Bを、巻取シャフト40の両端側で回転規制した状態で固定する役割を有している。
【0043】
車両用ウインドウシェード装置20の一端側部分、即ち、ネジ支持シャフト50側の部分について説明する。図7は車両用ウインドウシェード装置20の一端側部分を示す縦断面図であり、図9及び図10はキャップ受部56及びキャップ部材74を示す分解斜視図である。
【0044】
図4、図5、図7、図9及び図10に示すように、ネジ支持シャフト50は、巻取シャフト40の一端部を回転可能に支持するように構成されている。
【0045】
より具体的には、ネジ支持シャフト50は、樹脂により形成された棒状部材に形成されている。樹脂としては、ナイロン樹脂等を用いることができる。ネジ支持シャフト50の外周の長手方向全体にネジ溝が形成され、ネジ支持シャフト50の長手方向全体がネジ部51とされている。もっとも、ネジ支持シャフト50のうちの一部がネジ部とされていてもよい。ネジ部51の長さ寸法は、巻取シャフト40を移動させたい長さ寸法(例えば、40mm)等によって決定される。また、ネジ支持シャフト50の中心軸に沿って中心穴52が形成されている。ここでは、中心穴52は、ネジ支持シャフト50の一端部(巻取シャフト40の支持状態で外側を向く端部)で開口しその他端部で閉塞されている。即ち、中心穴52は、非貫通孔である。もっとも、中心穴52は、ネジ支持シャフト50を貫通する孔であってもよい。もっとも、本車両用ウインドウシェード装置20の実際の動作状況において、ネジ部51のうちネジ孔42sと螺合する部分に、中心穴52が形成されていることが好ましい。この部分において、その厚みを小さくして、そのネジ部51の部分の精度を高めることが好ましいからである。ネジ支持シャフト50の直径は、巻取シャフト40の一巻によってウインドウシェード22を巻取りたい長さ寸法等によって設定される。中心穴52の直径は、樹脂を加工する際の精度上、ネジ支持シャフト50に対して好ましいとされる厚み等に応じて設定される。ネジ支持シャフト50の直径の一例は8mmであり、この場合の中空孔52の直径は例えば、3mmである。この場合、ネジ支持シャフト50の厚みを2.5mm程度にすることができ、溝の深さが1mm程度のネジ部51を精度よく形成できる。なお、中心穴52は、円孔である必要はなく、角穴等であってもよい。
【0046】
このネジ支持シャフト50は、シャフト支持部54と共に樹脂によって金型一体形成されている。シャフト支持部54は、上記ケース46の一端部にネジ止め等により固定可能な部材である。ネジ支持シャフト50は、本シャフト支持部54に対して突出姿勢で一体形成されることにより、巻取シャフト40を回転可能に支持する。
【0047】
ここでは、シャフト支持部54は、ケース46の一端側開口を閉塞可能な板状部材に形成されている。より具体的には、シャフト支持部54は、円板部54aの外周部に突出板部54bが突出する板形状に形成されている(図9及び図10参照)。円板部54aは、筒状部47の一端部を閉塞可能な板状部分に形成され、突出板部54bは一対のフランジ部48の一端側開口を閉塞可能な板状部分に形成されている。ネジ支持シャフト50は、円板部54aの中央部に当該円板部54aに対して直交する姿勢で突設されている。また、シャフト支持部54の外周部にネジ挿通孔を有するネジ止片54cが突設されている。そして、ケース46の一端側開口を閉塞するように本シャフト支持部54を配設した状態で、ネジSをネジ止片54cに挿通してケース46のネジ止部45に螺合させることで、本シャフト支持部54がケース46の一端部に取付固定される。この状態で、シャフト支持部54に突設されたネジ支持シャフト50が、筒状部47の中心軸に沿って配設される。このネジ支持シャフト50が巻取シャフト40のネジ支持軸受42のネジ孔42s内に螺合されることで、巻取シャフト40の一端部が筒状部47内で回転可能かつその回転に伴ってその軸方向に移動可能に支持される。
【0048】
なお、上記シャフト支持部54に対してネジ支持シャフト50を形成するためには、例えば、図8に示すように、金型102にネジ溝が形成された孔状の金型面104を形成し、この金型面104にて上記ネジ支持シャフト50の外形状を形成するとよい。ネジ支持シャフト50の外周面に対する金型102の離型は、ネジの螺旋方向Aに沿って金型102をネジ支持シャフト50に対して相対回転させることによって行うことができる。
【0049】
図4、図5、図7に示すように、補強シャフト70は、上記中心穴52に挿通可能に構成されている。すなわち、補強シャフト70は、中心穴52内に隙間無く挿通できる棒状部材に形成されている。補強シャフト70の長さ寸法は中心穴52の長さと同じであることが好ましいが、これは必須ではない。例えば、補強シャフト70は、中心穴52の途中に至る程度の長さ寸法であってもよい。中心穴が貫通孔である場合には、補強シャフトは中心穴より長く、ネジ支持シャフトの先端部に突出していてもよい。また、補強シャフト70は、鉄、鋼鉄等の金属で形成されていることが好ましいが、これも必須ではなく、樹脂等で形成されていてもよい。ここでは、補強シャフト70は、金属で形成されている例で説明する。
【0050】
また、補強シャフト70の一端部には頭部72が形成されている。ここでは、頭部72は、補強シャフト70の一端部の外周全体に亘って突出する円板状部分に形成されている。そして、補強シャフト70がシャフト支持部54を通ってネジ支持シャフト50の中心穴52内に挿通されると、前記頭部72がシャフト支持部54に対してその外側より当接するようになっている。これにより、補強シャフト70がシャフト支持部54に対してより確実に直交姿勢に維持される。また、本補強シャフト70が挿通されたネジ支持シャフト50についても、補強シャフト70の支持構造によってシャフト支持部54に対してより確実に直交姿勢に維持される。
【0051】
なお、上記頭部72は、中心穴52への挿通方向における補強シャフト70の位置決めを図る役割をも有している。
【0052】
また、図4、図5、図7、図9及び図10に示すように、上記シャフト支持部54の外面にはキャップ受部56が設けられ、このキャップ受部56にキャップ部材74が取付けられるようになっている。そして、このキャップ部材74によって、頭部72が中心穴52に向けて押え込まれ、これにより、補強シャフト70の抜け止が図られる。なお、頭部72があることは必須ではない。頭部72が無い場合でも、キャップ受部74及びキャップ部材74と同様構成によって、補強シャフト70の外向き端部を中心穴52に向けて押え込んで、補強シャフト70の抜止めを図ることができる。
【0053】
より具体的には、シャフト支持部54の外面に、当該外面に開口する中心穴52の開口を囲うようにして半円状の受壁部56aが形成されている(図9参照)。上記頭部72は、当該受壁部56a内でシャフト支持部54の外面に当接される。また、受壁部56aの内周部のうちシャフト支持部54の外面から離れた部分に、その内周側に向けて突出する突出部56bが形成されている。この突出部56bは、受壁部56aの両端部で外方(図9では上方)に向けて突出している。
【0054】
キャップ部材74は、樹脂等で形成された部材であり、キャップ本体部74aと、突部74cとを有している(図9及び図10参照)。キャップ本体部74aは、上記受壁部56a内に配設可能に形成されると共に、上記頭部72を収容可能な凹部74bを有している。突部74cは、キャップ本体部74aの一主面に突設され、上記突出部56b内に配設可能に構成されている。
【0055】
そして、中心穴52内に補強シャフト70を差込み、頭部72をシャフト支持部54の外面に接触させるように配設した状態で、キャップ部材74をキャップ受部56内に差込む。より具体的には、キャップ部材74を、キャップ受部56に対して補強シャフト70の軸方向に対して直交する方向(図9及び図10の矢符B参照)に差込み、キャップ本体部74aを受壁部56a内に配設し、突部74cを突出部56b内に配設する。これにより、頭部72が凹部74b内に収容された状態で、キャップ本体部74aにより抜け方向への位置決めが図られる。
【0056】
なお、上記キャップ受部56及びキャップ部材74を採用することは必須ではない。例えば、補強シャフト70が中心穴52内に接着剤、ネジ止め等で固定されていてもよい。また、ネジ支持シャフト50を金型形成する際、補強シャフト70がインサート物としてインサートされていてもよい。
【0057】
車両用ウインドウシェード装置20の他端側部分、即ち、付勢側支持シャフト60側の部分について説明する。図11は車両用ウインドウシェード装置20の他端側部分を示す縦断面図である。
【0058】
図4、図5、図6及び図11に示すように、付勢側支持シャフト60は、巻取シャフト40の他端部を回転可能に支持するように構成されている。
【0059】
より具体的には、付勢側支持シャフト60は、樹脂により形成された棒状部材に形成されている。この付勢側支持シャフト60の外周部には、上記ネジ支持シャフト50とは異なりネジ溝が形成されていない。また、付勢側支持シャフト60の中心軸に沿って中心穴62が形成されている。ここでは、中心穴62は、付勢側支持シャフト60の一端部(巻取シャフト40の支持状態で外側を向く端部)で開口しその他端部で閉塞されている。即ち、中心穴62は、非貫通孔である。もっとも、中心穴52は、付勢側支持シャフト60を貫通する孔であってもよい。また、本付勢側支持シャフト60には中心穴62が形成されていなくてもよい。
【0060】
この付勢側支持シャフト60は、シャフト支持部54Bと共に樹脂によって金型一体形成されている。樹脂としては、ネジ支持シャフト50と同様にナイロン樹脂等を用いることができる。シャフト支持部54Bは、上記シャフト支持部54と面対称構造を有する部材である。付勢側支持シャフト60は、本シャフト支持部54Bに対して突出姿勢で一体形成されている。そして、上記シャフト支持部54と同様に、シャフト支持部54Bがケース46の他端側開口を閉塞するように、ケース46の他端部にネジSによって取付固定される。この状態で、シャフト支持部54Bに突設された付勢側支持シャフト60が、筒状部47の中心軸に沿って配設される。この付勢側支持シャフト60が巻取シャフト40の軸受43の挿通孔43h内に嵌め込まれることで、巻取シャフト40の他端部が筒状部47内で回転可能かつその軸方向に移動可能に支持される。また、この状態で、付勢側支持シャフト60は、巻取シャフト40の一端部内に挿通されている。
【0061】
また、この付勢側支持シャフト60の中心穴62内にも、ネジ支持シャフト50と同様に、補強シャフト70Bが挿通され、当該付勢側支持シャフト60の強度向上が図られている。補強シャフト70Bは、上記補強シャフト70と同様に鉄、鋼鉄等の金属により製造されるとよい。また、シャフト支持部54Bの外面に、キャップ受部56Bが設けられ、このキャップ受部56にキャップ部材74Bが取付けられる。これにより、補強シャフト70Bの抜け止が図られている。
【0062】
上記シャフト支持部54B、補強シャフト70B、キャップ受部56B及びキャップ部材74Bは、それぞれシャフト支持部54、補強シャフト70、キャップ受部56及びキャップ部材74と面対称構造を有する部材であるため、ここでは、それらの詳細な説明を省略する。
【0063】
また、図4、図6及び図11に示すように、巻取シャフト40のうち、本付勢側支持シャフト60により支持される側の端部に、当該巻取シャフト40を、ウインドウシェード30を巻取る方向に付勢する付勢機構80が設けられている。
【0064】
付勢機構80は、付勢部材としてのコイルバネ82と、コイルバネ82を覆う弾性チューブ86とを備えている。
【0065】
巻取シャフト40のシャフト本体部41内で、コイルバネ82の一端部が付勢側支持シャフト60の一端部に連結されている。ここでは、コイルバネ82の一端部のL字状部分の先端部(図6参照)が、付勢側支持シャフト60の先端部に形成された孔に挿通されることで(図11参照)、コイルバネ82の一端部が付勢側支持シャフト60の先端部に相対回転不能に連結されている。
【0066】
また、コイルバネ82の他端部は巻取シャフト40の内部に相対回転不能に連結されている。ここでは、バネ連結部材88を用いて前記連結が行われている。バネ連結部材88は、シャフト本体部41内に挿通可能な長尺部材に形成されている。バネ連結部材88の外周部の少なくとも一部には、その軸方向に沿ってスプライン溝88aが形成されている。そして、本バネ連結部材88がシャフト本体部41内に配設された状態で、シャフト本体部41の内周部の突条部がスプライン溝88aに嵌り込む。これにより、バネ連結部材88が、シャフト本体部41内でその軸方向に沿って移動可能な状態で、回転止されるようになっている。また、バネ連結部材88の一端部には、その径方向に沿って延びる孔が形成されており、コイルバネ82の他端部のL字状部分の先端部(図6参照)が当該孔に挿通されることで(図11参照)、コイルバネ82の他端部がバネ連結部材88に対して相対回転不能に連結されている。
【0067】
そして、コイルバネ82の各端部を付勢側支持シャフト60及びバネ連結部材88に連結した状態で、バネ連結部材88、コイルバネ82及び付勢側支持シャフト60の先端部をシャフト本体部41内に挿入配置する。この状態で、付勢側支持シャフト60に対して巻取シャフト40が回転すると、巻取シャフト40と共にバネ連結部材88も回転する。これにより、付勢側支持シャフト60とバネ連結部材88との間でコイルバネ82が捻られる。このコイルバネ82の捻れを元に戻そうとする力によって、付勢側支持シャフト60に対してバネ連結部材88及び巻取シャフト40が上記とは逆方向に付勢される。この付勢力がウインドウシェード30を巻取る力として作用する。
【0068】
また、弾性チューブ86は、ゴム等のエラストマーによって形成された部材であり、上記コイルバネ82を覆う筒状部材に形成されている。弾性チューブ86は、コイルバネ82の自然長よりも大きい長さ寸法に形成されている。
【0069】
また、付勢側支持シャフト60のうちコイルバネ82が連結される部分よりも中間よりの位置に環状溝62gが形成され(図11参照)、この環状溝62gにゴム等のエラストマーによって形成された弾性リング89が位置決め固定されている。また、バネ連結部材88には、スプライン溝88aが形成された部分とコイルバネ82が連結された部分との間に、コイルバネ82側に向く段部88sが形成されている。弾性チューブ86がコイルバネ82に外嵌めされた状態で、弾性チューブ86の両端部はバネ連結部材88の一端部及び付勢側支持シャフト60のうちコイルバネ82が連結された側の端部にも外嵌めされ、上記段部88sと弾性リング89との間に配設されている。この弾性チューブ86は、上記段部88sと弾性リング89とによってそれらの間に位置するように規制されている。
【0070】
以上のように構成された車両用ウインドウシェード装置20の動作について説明する。
【0071】
まず、初期状態では、ウインドウシェード30は巻取シャフト40に完全に巻取られており、ウインドウ10の全体が露出している(図1及び図4参照)。この状態では、巻取シャフト40は、一方の側枠部14aより離れた位置に存在している。ここでは、巻取シャフト40の他端部がケース46の他端部に達しシャフト支持部54B近くに位置している。
【0072】
上記初期状態からウインドウシェード30がウインドウ10に沿って引出されると、この引出しに伴って巻取シャフト40が回転する。すると、巻取シャフト40の一端部のネジ支持軸受42のネジ孔42sと、ネジ支持シャフト50との螺合によって、巻取シャフト40が一方の側枠部14a側に移動する(図2及び図12参照)。そして、巻取シャフト40がケース46の中間部に位置し、ウインドウシェード30はウインドウ10の上下方向中間部まで引出された状態となる。
【0073】
ウインドウシェード30がウインドウ10に沿ってさらに引出されると、この引出しに伴って巻取シャフト40がさらに回転する。巻取シャフト40の一端部のネジ支持軸受42のネジ孔42sと、ネジ支持シャフト50との螺合によって、巻取シャフト40がさらに一方の側枠部14a側に移動する(図3及び図13参照)。そして、巻取シャフト40がケース46の一端部に達し、シャフト支持部54近くに位置するようになる。この状態で、ウインドウシェード30は、ウインドウ10のほぼ全体を覆うように引出され、その引出方向先端側のステイ32が上側枠部14cに取付けられることで、ウインドウシェード30が引出された状態に維持される。
【0074】
上記のようにウインドウシェード30が引出される際、また、巻取シャフト40は、付勢側支持シャフト60に対して相対回転されるため、巻取シャフト40側に相対回転不能に取付けられたバネ連結部材88と付勢側支持シャフト60との間でコイルバネ82が捻られる。従って、上記ウインドウシェード30を引出す力を解除すると、コイルバネ82の捻れを解消しようとする力によって、巻取シャフト40が、ウインドウシェード30を巻取る方向に回転され、ウインドウシェード30が巻取シャフト40に巻取られる。この際、巻取シャフト40の一端部のネジ支持軸受42のネジ孔42sとの螺合によって、巻取シャフト40は上記とは逆方向に移動して、上記初期状態の位置に戻る。
【0075】
また、巻取シャフト40の移動に伴って、付勢側支持シャフト60を軸として、巻取シャフト40側の軸受43が移動し、バネ連結部材88はシャフト本体部41内を移動する。この際、弾性チューブ86は、段部88sと弾性リング89との間に位置するように規制されているため、コイルバネ82を覆った状態がより確実に維持される。
【0076】
以上のように構成された車両用ウインドウシェード装置20によると、巻取シャフト40の一端部に形成されたネジ孔42sとネジ支持シャフト50のネジ部51との螺合によって、ウインドウシェード30の引出度合、即ち、巻取シャフト40の回転度合に応じて巻取シャフト40をその軸方向に沿って移動させることができる。これにより、巻取シャフト40が第1の枠部である縁部12aに沿って配設されている場合において、この縁部12aに対して傾斜する第2の枠部である一方の側枠部14aとウインドウシェード30のうちの一方の側枠部14a側の側縁部との隙間をなるべく小さくするようにすることができる。
【0077】
また、ネジ支持シャフト50が樹脂によって形成されているため、その軽量化等を図ることができる。この際、ネジ支持シャフト50に中心穴52が形成されているため、ネジ支持シャフト50の厚みをなるべく小さくして樹脂ヒケ等を抑制し、ネジ支持シャフト50に形成されるネジ部51の精度向上を図ることができる。また、中心穴52に補強シャフト70が挿通されるため、ネジ部51の強度向上を図ることができる。
【0078】
また、補強シャフト70が金属製であるため、よりネジ部51の強度向上を図ることができる。
【0079】
しかも、補強シャフト70の頭部72がシャフト支持部54に対して外側から当接した状態で、補強シャフト70がシャフト支持部54を通って中心穴52に挿通されているため、ネジ支持シャフト50をシャフト支持部54に対してより確実に直交姿勢で支持することができ、ネジ支持シャフト50による巻取シャフト40の支持強度がより向上する。
【0080】
また、シャフト支持部54の外面にキャップ受部56が設けられ、このキャップ受部56に取付けられたキャップ部材74が頭部72を中心穴52に向けて押え込んでいるため、簡易に補強シャフト70の抜止を図ることができる。
【0081】
しかも、キャップ部材74は、キャップ受部56に対して補強シャフト70の軸方向に対して直交する方向に差込まれるため、補強シャフト70をより簡易かつ確実に抜止めすることができる。
【0082】
なお、補強シャフト70B、キャップ受部56B、キャップ受部56Bは、付勢側支持シャフト60側に設けられているため、この付勢側支持シャフト60側についても上記と同様の効果を得ることができる。
【0083】
また、コイルバネ82を弾性チューブ86によって覆っているため、コイルバネ82とシャフト本体部41の内周部との接触音が抑制される。また、本実施形態のように、シャフト本体部41に対して付勢側支持シャフト60及びコイルバネ82が移動する構成では、コイルバネ82を覆う弾性チューブ86が位置ずれする恐れがある。そこで、本実施形態のように、付勢側支持シャフト60に弾性リング89を位置決め固定することで、弾性チューブ86の付勢側支持シャフト60側への位置ずれを抑制することができる。これにより、弾性チューブ86がコイルバネ82を覆う状態がより確実に維持され、コイルバネ82による接触音がより確実に維持される。なお、弾性リング89自体は、バネ等のエラストマーによって形成されているため、シャフト本体部41の内周部との間で接触音を発生させ難い。また、シャフト本体部41内側への弾性チューブ86の位置ずれは、バネ連結部材88の段部88sによって抑制されている。
【0084】
なお、上記実施形態において、巻取シャフト40の両側に、ネジ支持シャフト50が設けられていてもよい。
【0085】
また、付勢機構80は、ネジ支持シャフト50側に組込まれていてもよい。また、ネジ支持シャフト50側だけに組込まれていてもよい。
【0086】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0087】
10 ウインドウ
12 ドアパネル
12a 縁部
14 ウインドウ枠
14a、14b 側枠部
20 車両用ウインドウシェード装置
30 ウインドウシェード
40 巻取シャフト
41 シャフト本体部
42 ネジ支持軸受
42s ネジ孔
43 軸受
43h 挿通孔
46 ケース
50 ネジ支持シャフト
51 ネジ部
52 中心穴
54、54B シャフト支持部
56、56B キャップ受部
60 付勢側支持シャフト
62 中心穴
62g 環状溝
70、70B 補強シャフト
72 頭部
74、74B キャップ部材
80 付勢機構
82 コイルバネ
86 弾性チューブ
88 バネ連結部材
89 弾性リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、
前記ウインドウシェードを巻取可能な巻取シャフトと、
前記巻取シャフトの両端を回転可能に支持する一対の支持シャフトと、
を備え、
前記巻取シャフトの少なくとも一端部にネジ孔が形成され、
前記一対の支持シャフトの少なくとも一方が、樹脂により形成されると共に、前記ネジ孔に螺合するネジ部とそのネジ部の中心軸に沿った中心穴とを有するネジ支持シャフトとされ、
前記中心穴に補強シャフトが配設され、
前記巻取シャフトの少なくとも一端側に、前記巻取シャフトを、前記ウインドウシェードを巻取る方向に付勢する付勢機構が設けられた、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記補強シャフトは、金属製である、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ネジ支持シャフトが、前記巻取シャフトを回転可能に支持する突出姿勢でシャフト支持部に対して一体形成され、
前記補強シャフトが前記シャフト支持部を通じて前記ネジ支持シャフトの前記中心穴に挿通されると共に、前記補強シャフトに前記シャフト支持部に対して外側から当接する頭部が形成されている、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ネジ支持シャフトが、前記巻取シャフトを回転可能に支持する突出姿勢でシャフト支持部に対して一体形成され、
前記補強シャフトが前記シャフト支持部を通じて前記ネジ支持シャフトの前記中心穴に挿通され、
前記シャフト支持部の外面にキャップ受部が設けられ、
前記キャップ受部に取付けられた状態で、前記補強シャフトを前記中心穴に向けて押え込むキャップ部材をさらに備える車両用ウインドウシェード装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記キャップ部材は、前記キャップ受部に対して前記補強シャフトの軸方向に対して直交する方向に差込まれることで、前記キャップ受部に取付けられる、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記一対の支持シャフトのうちの少なくとも一方が前記巻取シャフトの少なくとも一端部内に挿通された付勢側支持シャフトとされ、
前記付勢機構は、一端部が前記付勢側支持シャフトに相対回転不能に連結されると共に他端部が前記巻取シャフト内部に相対回転不能に連結された状態で前記巻取シャフト内に挿通された付勢部材と、前記付勢部材を覆う弾性チューブとを備え、
前記付勢側支持シャフトに弾性リングが位置決め固定されている、車両用ウインドウシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−43593(P2013−43593A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183725(P2011−183725)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)