説明

車両用ウェッジベース電球

【課題】車両走行時の振動や衝撃等による蓄光発光部の脱落や破損等の問題を生じることなく、消灯時の十分な光量の確保と長時間の発光が可能な車両用ウェッジベース電球を提供すること。
【解決手段】ガラス管2の端部に一体に形成された口金部2aを貫通してガラス管2内に導入された2本のリード線4に共通のブリッジガラス5を通してこれらのリード線4を保持するとともに、両リード線4の先端部間にフィラメント6を張設して成る車両用ウェッジベース電球1において、前記ブリッジガラス5に蓄光塗料を塗布する。又、前記ブリッジガラス5の表面にスリット状の溝を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間駐車時の非点灯時において発光して車両の存在を視認させるようにした車両用ウェッジベース電球に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夜間に車両が駐車しているときには、該車両に設けられたヘッドランプ等の車両用灯具は非点灯状態にあるため、自車の存在を他車や歩行者等が視認しづらいという問題があった。
【0003】
そこで、従来、暗闇で車両の存在を知らせる手段として、ナンバープレート等に蓄光性を有する夜光テープを貼着する方法が採用されているが、このような方法では、光源である夜光テープからの光量が少なく、一夜を通してナンバープレートを光らせることができないばかりか、夜光テープが盗難等によって剥がされたり、太陽光から放出される紫外線によって夜光テープが劣化する等の問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、図3の断面図に示すように、光源101、レンズ102、リフレクタ103等を備えた車両用灯具100において、透明な導光部材104のレンズ102の周囲に形成された凸状部104aの端面に蓄光塗料発光部105を装着する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−149435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において提案された図3に示す構成では、車両走行時の振動や衝撃等によって蓄光塗料発光部105が脱落したり破損する等の問題が発生する可能性があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、車両走行時の振動や衝撃等による蓄光発光部の脱落や破損等の問題を生じることなく、消灯時の十分な光量の確保と長時間の発光が可能な車両用ウェッジベース電球を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ガラス管の端部に一体に形成された口金部を貫通してガラス管内に導入された2本のリード線に共通のブリッジガラスを通してこれらのリード線を保持するとともに、両リード線の先端部間にフィラメントを張設して成る車両用ウェッジベース電球において、前記ブリッジガラスに蓄光塗料を塗布したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ブリッジガラスの表面にスリット状の溝を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、発光部であるフィラメントに最も近いブリッジガラスに蓄光塗料を塗布して蓄光機能を付与したため、昼間においては太陽光、ウェッジベース電球を点灯しているときにはフィラメントからの光がブリッジガラスに塗布された蓄光塗料に蓄光され、ウェッジベース電球を消灯したときに蓄光塗料が十分な光量で長時間発光するため、暗闇での車両の視認性が高められる。
【0011】
又、ガラス管内に収容された既存のブリッジガラスの表面に蓄光塗料を塗布することによって前記効果が得られるため、他の部品が不要となって、部品点数の削減とコストダウンが図られるとともに、車両走行時の振動や衝撃等による蓄光部品の脱落や破損等の問題も発生しない。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、ブリッジガラスの表面にスリット状の溝を形成したため、該ブリッジガラスへの蓄光塗料の塗布面積が増え、蓄光塗料の塗布量も増えるために更なる長時間の発光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用ウェッジベース電球の断面図である。
【図2】本発明に係る車両用ウェッジベース電球のブリッジガラス部の斜視図である。
【図3】特許文献1において提案された車両用灯具要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る車両用ウェッジベース電球の断面図、図2は同車両用ウェッジベース電球のブリッジガラス部の斜視図であり、本発明に係る車両用ウェッジベース電球1は、制動灯や尾灯、標識灯等の光源として使用される。
【0016】
本発明に係る車両用ウェッジベース電球1においては、図1に示すように、ガラス管2の端部に口金部2aが一体に形成されており、この口金部2aには金属製の2本の端子3が埋設されている。各端子3からは金属製のリード線4がガラス管2の内部に向かって延びており、各2本のリード線4は、これらに挿通する共通のブリッジガラス5によって保持されている。そして、2本のリード線4は、ガラス管2内においてブリッジガラス5から平行に延びており、その先端部間にはフィラメント6が張設されている。
【0017】
ここで、上記フィラメント6は、タングステン等によって構成されており、その中央部にはコイル状に巻回されたコイル部6aが形成され、該コイル部6aの両端からは直線状の脚部6bが左右に延びている。そして、フィラメント6は、その左右の脚部6bの端部が2本のリード線4の各先端部にカシメによって固定されることによって、前述のように2本のリード線4の先端部間に張設されている。
【0018】
而して、本発明に係る車両用ウェッジベース電球1においては、ブリッジガラス5の表面に残光性アルミン酸塩蛍光体等を含んだ蓄光塗料が塗布されている。この場合、本実施の形態では、図2に示すようにブリッジガラス5の両側面にはスリット状の溝5aがそれぞれ形成されており、これらの溝5aの内部にも蓄光塗料が塗布されている。
【0019】
而して、本発明に係る車両用ウェッジベース電球1を制動灯や尾灯、標識灯等の車両用灯具の光源として使用する場合、該車両用ウェッジベース電球1においては、発光部であるフィラメント6に最も近いブリッジガラス5の表面に蓄光塗料を塗布して該ブリッジガラス5に蓄光機能を付与したため、昼間においては太陽光、ウェッジベース電球1を点灯しているときにはフィラメント6からの光がブリッジガラス5に塗布された蓄光塗料に蓄光され、ウェッジベース電球1を消灯したときに蓄光塗料が十分な光量で長時間発光するために暗闇での車両の視認性が高められる。特に、フィラメント6と同様に当該ウェッジベース電球1の基準軸x上に発光部となるブリッジガラス5が位置するため、車両用灯具の不図示のリフレクタへの映り込みも向上し、暗闇での車両の視認性が高められる。
【0020】
又、ガラス管2内に収容された既存のブリッジガラス5の表面に蓄光塗料を塗布することによって前記効果が得られるため、他の部品が不要となって、部品点数の削減とコストダウンが図られるとともに、車両走行時の振動や衝撃等による蓄光部品の脱落や破損等の問題も発生しない。そして、暗闇での発光部であるブリッジベース5はウェッジベース電球1のガラス管2の密閉空間内に配置されているため、盗難や太陽光からの紫外線による劣化等の問題も発生しない。
【0021】
更に、本実施の形態では、ブリッジガラス5の表面にスリット状の溝5aを形成したため、該ブリッジガラス5への蓄光塗料の塗布面積が増え、蓄光塗料の塗布量も増えるために更なる長時間の発光が可能となるという効果も得られる。
【0022】
ところで、ウェッジベース電球1のガラス管2の内面に蓄光塗料を塗布することも考えられるが、光路上に塗布された蓄光塗料によってガラス管2の透過率が低下して明るさ(光束値)が減少する可能性がある。これに対して、本発明に係るウェッジベース電球1では、光路上に存在しないブリッジガラス5の表面に蓄光塗料を塗布するため、明るさ(光束値)の減少を招くことなくブリッジガラス5に蓄光機能を付加することができる。
【0023】
又、ウェッジベース電球1のガラス管2の内面に蓄光塗料を塗布する場合、蓄光塗料が均一に塗布されないと発光ムラが生じてしまうことから、製造工程において蓄光塗料の膜厚管理が必要となるために製造コストが高くなるが、本発明に係るウェッジベース電球1では棒状のブリッジガラス5に対して蓄光塗料の塗布量を管理すれば該蓄光塗料の均一な塗布が可能であるため、製造コストを低く抑えることができ、歩留まりも高められる。そして、本発明に係るウェッジベース電球1における蓄光塗料の塗布は、リード線4に塗布する吸着剤(ゲッター)と同様の工程でなされるため、現行の製造工程中での蓄光塗料の塗布が可能となり、製造コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用ウェッジベース電球
2 ガラス管
2a ガラス管の口金部
3 端子
4 リード線
5 ブリッジガラス
5a ブリッジガラスの溝
6 フィラメント
6a フィラメントのコイル部
6b フィラメントの脚部
x 基準軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の端部に一体に形成された口金部を貫通してガラス管内に導入された2本のリード線に共通のブリッジガラスを通してこれらのリード線を保持するとともに、両リード線の先端部間にフィラメントを張設して成る車両用ウェッジベース電球において、
前記ブリッジガラスに蓄光塗料を塗布したことを特徴とする車両用ウエッジベース電球。
【請求項2】
前記ブリッジガラスの表面にスリット状の溝を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ウェッジベース電球。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109978(P2013−109978A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254499(P2011−254499)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】