説明

車両用エアガイド構造

【課題】 車両衝突時にエアガイドとラジエータコアサポートサイドとの固定を外すことにより、エアガイドが剛体として作用するのを防止できる車両用エアガイド構造の提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートサイド4に、連結部7を介して車幅方向に延ばして板状のエアガイド8,9を設け、エアガイド8,9を連結部7で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイド7をラジエータコアサポートサイド4に固定できるようにした車両用エアガイド構造において、エアガイド8,9に車両前方側から衝撃力Fが加えられた際に、該エアガイド8,9とラジエータコアサポートサイド4の固定を外す係止孔10及び係合突起部12のテーパ部12bを備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントグリルからの導風機能とエンジンルーム内からの熱風吹き返し防止機能を目的として、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドから車両前方側へ張り出すようにエアガイドを設ける技術が公知になっている(特許文献1、2参照)。
また、ラジエータコアサポートに連結部を介して車幅方向に延ばした板状のエアガイドを形成し、前記エアガイドを前記連結部で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイドをラジエータコアサポートに固定できるようにした車両用エアガイドの技術が公知になっている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−306047号公報
【特許文献2】特開2003−104235号公報
【特許文献3】特開2005−104212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車両用エアガイド構造にあっては、エアガイドとラジエータコアサポートがボルトにより固定されるため、エアガイドが車両衝突時に過大な衝撃力を受けた際に剛体として作用してしまうという問題点があった。
また、上記衝撃力によりボルト締結部位に亀裂・破損が生じた場合にはラジエータコアサポート全体の交換が必要となり、修理コストが高く付くという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両衝突時にエアガイドとラジエータコアサポートとの固定を外すことにより、エアガイドが剛体として作用するのを防止できると同時に、修理コストを削減できる車両用エアガイド構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートに連結部を介して車幅方向に延ばした板状のエアガイドを形成し、前記エアガイドを前記連結部で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイドをラジエータコアサポートに固定できるようにした車両用エアガイド構造において、前記エアガイドに車両前方側から衝撃力が加えられた際に、該エアガイドとラジエータコアサポートとの固定を外す解除手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートに連結部を介して車幅方向に延ばした板状のエアガイドを形成し、前記エアガイドを前記連結部で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイドをラジエータコアサポートに固定できるようにした車両用エアガイド構造において、前記エアガイドに車両前方側から衝撃力が加えられた際に、該エアガイドとラジエータコアサポートとの固定を外す解除手段を備えるため、車両衝突時にエアガイドとラジエータコアサポートサイドとの固定を外すことにより、エアガイドが剛体として作用するのを防止できると同時に修理コストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1におけるラジエータコアサポートの製造時を示す斜視図、図2は図1のS2−S2線における断面図であり、エアガイドの製造時を説明する図、図3は本実施例1のエアガイドの固定方法を説明する斜視図である。
図4は図3(b)のS4−S4線における断面図であり、本実施例1のエアガイドの固定時を説明する図、図5は本実施例1におけるラジエータコアサポートの車両搭載時を示す斜視図、図6は作用を説明する図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1の車両用エアガイド構造が採用されたラジエータコアサポート1は、車幅方向に延びる板状のラジエータコアサポートアッパ2と、このラジエータコアサポートアッパ2と並行する板状のラジエータコアサポートロア3と、これらラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合する板状のラジエータコアサポートサイド4,5が備えられている。
【0010】
また、ラジエータコアサポートアッパ2、ラジエータコアサポートロア3、ラジエータコアサポートサイド4,5の内側には、ファンステー部6aの中央に装着されるファン(図示せず)へ車両走行風を導くためのシュラウド部6が形成されている。
【0011】
そして、ラジエータコアサポートサイド4,5には、それぞれ薄肉の連結部7を介して車幅方向へ伸びた板状のエアガイド8,9が形成されている。
具体的には、エアガイド8,9は、左右対称の同一形状部材であり、図2に示すように、上下に離間して内側に突出した矩形状の係止孔10(解除手段に相当)がそれぞれ形成される他、各係止孔10の周縁一部に連続して薄肉の脆弱溝11が形成されている。なお、脆弱部11は省略することができる。
一方、ラジエータコアサポートサイド4,5の後面には、車両前方側へ舌片状に突出した係合突起部12が上下に離間してそれぞれ形成される他、各係合突起部12の先端部はエアガイド8,9側へ屈折して形成され、その先端部後面側に鉤爪状の係止部12aが形成され、その先端部前面側に車両後方側へ傾斜したテーパ部12b(解除手段に相当)が形成されている。
【0012】
その他、ラジエータコアサポートアッパ2やラジエータコアサポートロア3には図外の車両用熱交換器を固定するための固定部13が複数箇所に形成されている。
【0013】
また、前述した各構成部材は、全て樹脂製で一体的に形成されており、これによって、射出成形時の金型を簡略することができ、設備費用の削減にも繋がる上、部品の脱落や紛失を防ぐことができる。
【0014】
このように構成されたラジエータコアサポート1を図外の車両用熱交換器と共に車両へ搭載する際には、図3に示すように、エアガイド8,9をそれぞれ連結部7を支点として車両前方側へ折り曲げた状態とし、図4に示すように、各係止孔10にそれぞれ対応する係合突起部12の係止部12aを係止させて固定することにより、エアガイド8,9を車両前方側へ張り出した状態とする(図5参照)。
従って、エアガイド8,9は、車両走行風を図外の車両熱交換器側へスムーズに導風する役目と、エンジンルーム内からの熱風の吹き返しを防止する役目を果たす。
【0015】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータコアサポート1は、図6に示すように、車両衝突時において、エアガイド8(9)が車両前方側から衝撃力Fを受けると車両後方側へ変形すると共に、各係止孔10の車両前方側周縁部10aがそれぞれ対応する係合突起部12のテーパ部12bに当接して摺動し、これによって、係止孔10と係止部12aの固定が外れてエアガイド8(9)が連結部7を支点として車幅方向外側(図中矢印Xで図示)へ回動するように変位する。
【0016】
即ち、本実施例1の車両用エアガイド構造にあっては、車両衝突時にエアガイド8,9とラジエータコアサポートサイド4,5との固定を外すことができ、これによって、エアガイド8,9が剛体として作用するのを防止できる。
【0017】
従って、従来の発明のようにエアガイドとラジエータコアサポートとの締結部位に亀裂・破損が生じる虞がなく、修理コストを削減できる。
【0018】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の車両用エアガイド構造にあっては、ラジエータコアサポート1に連結部7を介して車幅方向に延ばした板状のエアガイド8,9を形成し、エアガイド8,9を連結部7で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイド7をラジエータコアサポート1に固定できるようにした車両用エアガイド構造において、エアガイド8,9に車両前方側から衝撃力が加えられた際に、該エアガイド8,9とラジエータコアサポート1との固定を外す係止孔10及び係合突起部12のテーパ部12bを備えるため、車両衝突時にエアガイド8,9とラジエータコアサポートサイド4との固定を外すことにより、エアガイド8,9が剛体として作用するのを防止できると同時に、修理コストを削減できる。
【0019】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施例1では、ラジエータコアサポートサイド4,5の両方にエアガイド8,9を張り出した状態で設けたが、一方側にのみに設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1におけるラジエータコアサポートの製造時を示す斜視図である。
【図2】図1のS2−S2線における断面図であり、エアガイドの製造時を説明する図である。
【図3】本実施例1のエアガイドの固定方法を説明する斜視図である。
【図4】図3(b)のS4−S4線における断面図であり、本実施例1のエアガイドの固定時を説明する図である。
【図5】本実施例1におけるラジエータコアサポートの車両搭載時を示す斜視図である。
【図6】作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
3 ラジエータコアサポートロア
4、5 ラジエータコアサポートサイド
6 シュラウド部
6a ファンステー部
7 連結部
8、9 エアガイド
10 係合孔
10a 係合孔の前方側周縁部
11 脆弱溝
12 係合突起部
12a 係止部
12b テーパ部
13 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアサポートに連結部を介して車幅方向に延ばした板状のエアガイドを形成し、
前記エアガイドを前記連結部で折り曲げて車両前方側へ張り出した状態とし、その状態で該エアガイドをラジエータコアサポートに固定できるようにした車両用エアガイド構造において、
前記エアガイドに車両前方側から衝撃力が加えられた際に、該エアガイドとラジエータコアサポートとの固定を外す解除手段を備えることを特徴とする車両用エアガイド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−131245(P2007−131245A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327902(P2005−327902)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】