説明

車両用エンジン及び排気タービン発電機

【課題】排気タービン発電機(排気APU)として用いられる電動アシスト過給機及びオルタネータの二つの発電装置を用いる場合において、燃費(SFC)の向上を図ることができる車両用エンジンを提供し、このような車両用エンジンに用いて好適な排気タービン発電機(排気APU)を提供する。
【解決手段】排気タービン発電機と、オルタネータ6と、軸出力からオルタネータ6への動力伝達を切断するクラッチと、クラッチを制御する制御手段4とを備え、排気タービン発電機の発電電圧が、オルタネータ6の発電電圧よりも高くなっており、制御手段4は、排気タービン発電機により供給される電力により負荷9の消費電力が賄える場合には、クラッチを切り離して、軸出力からオルタネータ6への動力伝達を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト過給機を備えた車両用エンジン、及び、車両用エンジンにおいて自動車用APU(Auxiliary Power Unit;補助電源装置)として用いて好適な排気タービン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジン等の車両用エンジンにおいて、排気ガスに含まれたエネルギを利用して過給を行うターボ形過給機が用いられている。この過給機は、排気マニホルド及び吸気マニホルドの上にそれぞれ配置され、軸によって互いに固定的に接続された二つのブレード羽根車(タービン及びコンプレッサ)と、これらブレード羽根車を囲んで配置された二つの渦巻き(volute)とを有して構成されている。
【0003】
第一の羽根車(タービン)は、排気ガスから回転力を得て、この回転力を第二の羽根車(コンプレッサ)に伝える。第二の羽根車(コンプレッサ)は、吸気マニホルド中の空気を圧縮する。
【0004】
このような過給機においては、タービンの回転力をモータ(電動機)によりアシストするようにした電動コンプレッサを備えた電動アシスト過給機(「Electrically Assisted Turbocharger」、以下、EATという。)が提案されている。
【0005】
そして、このような電動アシスト過給機を備えた車両用エンジンにおいては、EATを排気タービン発電機(以下、排気APUという。)として用いて、電源供給源として、オルタネータ及び排気APUを併用し、これら二つの発電装置を用いるものが提案されている。このような車両用エンジンにおいては、特許文献1には、二つの発電装置の「発電効率」を比較し、効率の良い方の発電装置で主に発電させるという制御方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、オルタネータはエンジンの軸出力を用いた発電装置であり、排気APUは排気エネルギーを再利用する発電装置である。すなわち、オルタネータにおいては、発電量が増えるほどエンジンの正味出力は減少し、燃費(SFC;Specific Fuel Consumption)の悪化に繋がる。それに対し、排気APUにおいては、捨てられていた排気エネルギーを再利用するので、発電量が増えても、SFCの低下は、エンジンの排気圧力損失の増加によるものにとどまる。
【0008】
このことから、「SFCの悪化」という尺度で比較した場合には、オルタネータの方が悪化の度合いが大きく、悪化が最も少ない場合でも、排気APUにおける悪化と同程度となる。なお、このことは、文献「Design & Development of e-TurboTM for SUV and Light Truck Applications」(第17頁)に示されている。
【0009】
したがって、「発電効率の優劣を比較して、効率の良いほうの発電装置によって発電を行う」という制御を行った場合には、SFCの向上には繋がらないことになる。
【0010】
そこで、本発明は、前述した実情に鑑みて提案されるものであって、排気タービン発電機(排気APU)として用いられる電動アシスト過給機及びオルタネータの二つの発電装置を用いる場合において、燃費(SFC)の向上を図ることができる車両用エンジンを提供し、また、このような車両用エンジンに用いて好適な排気タービン発電機(排気APU)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、以下の構成を有するものである。
【0012】
〔構成1〕
本発明に係る車両用エンジンは、排気マニホルドから排気された空気により回転されるタービン及びこのタービンの回転力により発電する発電機からなる排気タービン発電機と、軸出力により回転されて発電するオルタネータと、軸出力からオルタネータへの動力伝達を切断するクラッチと、クラッチを制御する制御手段とを備え、排気タービン発電機の発電電圧は、オルタネータの発電電圧よりも高くなっており、制御手段は、排気タービン発電機により供給される電力により負荷の消費電力が賄える場合には、クラッチを切り離して、軸出力からオルタネータへの動力伝達を切断することを特徴とするものである。
【0013】
〔構成2〕
構成1を有する車両用エンジンにおいて、排気タービン発電機は、タービンに同軸に接続され吸気マニホルドから吸気された空気を圧縮する電動コンプレッサを有しており、発電機が電源を供給されてモータとして作用して電動コンプレッサに回転力を与えることにより、電動アシスト過給機として動作することを特徴とするものである。
【0014】
〔構成3〕
本発明に係る排気タービン発電機は、車両用エンジンに使用される排気タービン発電機であって、排気マニホルドから排気された空気により回転されるタービン及びこのタービンの回転力により発電する発電機からなり、発電電圧が、車両用エンジンのオルタネータの発電電圧よりも高くなっていることを特徴とするものである。
【0015】
〔構成4〕
構成3を有する排気タービン発電機において、タービンに同軸に接続され、車両用エンジンの吸気マニホルドから吸気された空気を圧縮する電動コンプレッサを有しており、発電機が電源を供給されてモータとして作用して電動コンプレッサに回転力を与えることにより、電動アシスト過給機として動作することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用エンジンにおいては、排気タービン発電機(排気APU)が常に作動している状態となり、排気タービン発電機の電力容量が不足する場合には、オルタネータが発電を行う。このことにより、燃費(SFD)の改善が可能となる。
【0017】
また、この車両用エンジンにおいては、オルタネータが発電を行わない場合には、クラッチを切り離し、軸出力からオルタネータへの動力伝達を切断することにより、オルタネータの空転に用いられるエネルギーも削減し、さらに燃費(SFD)の改善が可能となる。
【0018】
なお、排気タービン発電機により大量の排気エネルギー(例えば、2kW程度)を回収した場合には、オルタネータによる発電よりも、燃費(SFD)が悪化する虞があるが、そのような大容量の排気タービン発電機を用いる場合には、燃費の悪化の大小を比較して
排気タービン発電機とオルタネータとのいずれを用いるかを選択すればよい。
【0019】
すなわち、本発明は、排気タービン発電機(排気APU)として用いられる電動アシスト過給機及びオルタネータの二つの発電装置を用いる場合において、燃費(SFC)の向上を図ることができる車両用エンジンを提供し、また、このような車両用エンジンに用いて好適な排気タービン発電機(排気APU)を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車両用エンジンの要部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る車両用エンジンの制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】力行時に用いるマップテーブルを示すグラフである。
【図4】本発明が適用される過給機の構成の他の例を示すブロック図である。
【図5】本発明が適用される過給機の構成のさらに他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る車両用エンジンの要部の構成を示すブロック図である。
【0023】
本発明に係る車両用エンジンは、排気ガスに含まれたエネルギを利用して過給を行う電動アシスト過給機を備えている。この電動アシスト過給機は、本発明に係る排気タービン発電機(排気APU)となる。この電動アシスト過給機は、図1に示すように、吸気マニホルド及び排気マニホルドの上にそれぞれ配置され、軸によって互いに固定的に接続された二つのブレード羽根車(電動コンプレッサ1及びタービン2)と、これらブレード羽根車を囲んで配置された二つの渦巻き(volute)とを有して構成されている。タービン2は、排気ガスから回転力を得て、この回転力を電動コンプレッサ1に伝える。電動コンプレッサ1は、吸気マニホルド中の空気を圧縮する。
【0024】
この電動アシスト過給機においては、電動コンプレッサ1の回転力をモータ(電動機)3によりアシストする。この電動アシスト過給機においては、モータ3は、制御手段となるモータドライバ4により、電源供給を制御されて、動作を制御される。
【0025】
なお、モータ3には、温度センサが設置されており、この温度センサにより測定されたモータステータ温度を示す信号は、モータドライバ4に送られる。また、モータドライバ4は、エンジンECU等の上位コントローラ11により、動作を制御される。
【0026】
モータドライバ4には、電源部5より、電源が供給される。この電源部5は、オルタネータ(発電機)6及び鉛蓄電池7から構成されている。オルタネータは、この電動アシスト過給機を備えたエンジンにより回転されて、発電する。鉛蓄電池7は、オルタネータ6に並列に接続されており、電力消費量がオルタネータ6の発電電力より小さい場合には、オルタネータ6が発電する電力を蓄電し、電力消費量がオルタネータ6の発電電力より大きい場合には、放電して電力供給源となる。
【0027】
また、電源部5には、負荷9が並列に接続されている。この負荷9は、エアコンやライト等である。
【0028】
そして、電源部5には、電動コンプレッサの制御回路を構成する電力バッファ8が並列に接続されている。この電力バッファ8としては、急速充放電が可能なデバイスであることが望ましく、コンデンサ(キャパシタ)や、Liイオン電池などを用いることができる。この電力バッファは、モータドライバ4の直近に配置することが望ましい。
【0029】
なお、電力バッファと、電源部5及び負荷9との間には、リレー10を設置しておくとよい。このリレー10は、運転中には閉成(オン)としておき、エンジン停止時に開放(オフ)とする。すなわち、メンテナンスや、短絡故障時において、回路を遮断するために用いる。
【0030】
また、電動アシスト過給機は、回生時には、排気APU(排気タービン発電機)として用いられる。すなわち、回生時には、モータ3が発電機として使用される。この電動アシスト過給機の回生容量は、例えば、500W程度である。この排気APUの回生時の発電電圧は、オルタネータ6の発電電圧よりも高くなっている。例えば、オルタネータ6の発電電圧がDC14.5Vである場合には、排気APUの回生時の発電電圧は、DC15V程度となっている。
【0031】
また、オルタネータ6の駆動プーリには、クラッチが装備されている。この車両用エンジンにおいて、オルタネータ6による発電が不要な場合には、モータドライバ4は、クラッチを切り離す制御を行う。
【0032】
図2は、本発明に係る車両用エンジンの制御回路の構成を示すブロック図である。
【0033】
この車両用エンジンにおいて、モータドライバ4は、図2に示すように、セレクタ回路12を有している。この電動アシスト過給機の力行時において、セレクタ回路12には、上位コントローラ11より、トルク指令値が入力される。また、セレクタ回路12には、ターボ回転数を示す値(内部演算値)が、マップテーブル1を介して、入力される。マップテーブルについては後述する。
【0034】
さらに、上位コントローラ11は、許容消費電力を算出し、モータドライバ4にリミッタ値(電動コンプレッサ1が消費しても良い電力(許容電力消費量;allowable power consumption))として指令する。すなわち、セレクタ回路12には、上位コントローラ11よりの消費電力のリミット値からドライバ入力電力値(計算値)を引いた差信号が入力される。
【0035】
さらに、上位コンローラからの指令値としては、許容電力消費量に加え、モータトルク、または、モータ電流、若しくは、ターボ回転数を与えるようにしてもよい。モータドライバ4は、許容電力消費量の範囲内で、モータトルク、または、モータ電流、若しくは、ターボ回転数を制御して、電動コンプレッサ1の消費電力を抑える。また、モータドライバ4は、車内電源系統の電圧に従い、電動コンプレッサ1の消費電力を抑える動作を行う。
【0036】
また、セレクタ回路12には、温度センサより、モータステータの温度を示す値が、マップテーブル3を介して、入力される。また、温度センサより、モータドライバ主回路の温度を示す値が、マップテーブル5を介して、入力される。さらに、温度センサより、モータドライバ制御回路の温度を示す値が、マップテーブル6を介して、入力される。また、電圧センサより、電源電圧を示す値が、マップテーブル9を介して、入力される。
【0037】
セレクタ回路12は、入力された各値より、最も小さい値を選択して、力行時にモータに供給する電流指令値として、出力する。この電流指令値は、制御上の指令値である。
【0038】
図3は、力行時に用いるマップテーブルを示すグラフである。
【0039】
マップテーブルは、各温度センサ及び電圧センサ毎に設定されている。このマップテーブルは、図3に示すように、測定された電源電圧に対応する出力制限値を示すものであって、所定の出力制限開始電圧以下においては、モータ電流を絞るようになっている。
【0040】
このようなマップテーブルは、温度をセンサ及び電圧センサ毎に設定しておき、測定された温度及び電源電圧によりそれぞれ出力上限を計算し、このうちで最も小さい出力上限をセレクタ回路12によって選択して、モータの制御に用いる。
【0041】
このようにして、モータドライバ4が許容電力消費量を超えない範囲で、モータ3を制御し、消費電力に制限を加えたうえで電動コンプレッサを動作させることにより、負荷9(ライト、エアコン等)及びモータ3の消費電力量が、車内電源系統の供給能力(オルタネータ6、鉛蓄電池7及び電力バッファ8)を上回ることがなくなり、電源系統の不安定化を回避できる。
【0042】
また、上位コントローラ11の演算ミスなどにより許容電力消費量が多めに見積もられ、その結果、負荷9及びモータ3の消費電力が、車内電源系統の供給電力を上回ってしまった場合には、車内電源系統の電圧低下が発生するが、モータドライバ4が車内電源系統の電圧をモニタし、電圧が低下した場合には、モータドライバ4がその電圧に応じて消費電力を抑えるようにモータ3を制御することにより、電動コンプレッサの動作を抑制しつつも、消費電力を抑えることによって電圧低下を食い止める。この動作により、電動コンプレッサの効果を生みつつ、車内電源系統の不安定化を防ぐことができる。
【0043】
この車両用エンジンにおいて、回生が行われる状態(車両が巡航する状態や、減速する状態)において、排気APUの発電量が負荷9の消費電力よりも大きい場合には、オルタネータ6による発電を行わないようにし、排気APUのみにより電源供給を行う。
【0044】
このとき、オルタネータ6のクラッチを切り離すことにより、オルタネータロータの回転に使われるエネルギー分のエンジン軸出力の目減りもなくし、SFCの改善を図る。
【0045】
負荷9の消費電力が増大し、排気APUによる発電量だけでは賄えなくなった場合には、排気APUの出力電圧が低下する。そして、排気APUの出力電圧がオルタネータ6の発電電圧まで低下すたならば、オルタネータ6のクラッチを繋ぎ、オルタネータ6による発電を開始する。このとき、オルタネータ6は、排気APUだけでは賄えなかった電力分を発電する。この場合でも、オルタネータ6のみにより発電する場合よりも、SFCの改善が図られている。
【0046】
この車両用エンジンにおいては、オルタネータ6と排気APUのいずれを使用するかは、「SFC悪化の大小」を比較して、悪化の小さい方を使うように制御する。
【0047】
車が加速するなど、電動アシスト過給機がモータとして作動する場合には、初期の短時間には電力バッファ8から電力が供給され、長時間の場合には、オルタネータ6及び鉛蓄電池7から電力が供給される。加速時にはSFCは悪化するが、加速、巡航、減速というサイクルを通してみると、トータルでのSFCは改善されている。
【0048】
なお、本発明に係る車両用エンジンにおいては、電動アシスト過給機とは別に、さらに排気タービン発電機(排気APU)を追加して配置してもよい。このように、排気APUを別個に配置した場合には、前述した排気APUに関する条件及び制御は、電動アシスト過給機及び別個に配置した排気APUを合計した発電装置に適用する。
【0049】
また、このように、排気APUを別個に配置した場合には、電動アシスト過給機は、モータ3を備えない通常の過給機に代えてもよい。この場合には、前述した排気APUに関する条件及び制御は、別個に配置した排気APUについて適用する。なお、この場合には、モータ3が存在しないので、電力バッファ8は不要である。
【0050】
さらに、車両用エンジンにおいては、過給機を設けずに、排気タービン発電機(排気APU)のみを配置して構成することもできる。この場合にも、前述した排気APUに関する条件及び制御は、単独で配置された排気APUについて適用する。この場合にも、モータ3が存在しないので、電力バッファ8は不要である。
【0051】
なお、本発明は、図1に示した構成の電動アシスト過給機(EAT)に限定されず、例えば、図4に示すように、電動ブースターを用いて構成された過給機にも適用可能である。図4に示す過給機は、吸気流路14に配置されたコンプレッサ1の上流側に、吸気量調整手段として電動ブースター13を配置したものである。この過給機においては、図1に示したモータ3によりコンプレッサ1をアシストすることなく、通常のコンプレッサ1を用いている。なお、コンプレッサ1としては、冗長的にモータによりアシストされるものを用いてもよい。電動ブースター13は、吸気流路14に配置されたコンプレッサ13cと、コンプレッサ13cに接続されたモータ3とから構成される。モータ3は、エンジンECU等の上位コントローラ11に接続されており、駆動、停止及び回転数の制御をなされる。
【0052】
この過給機においては、電動ブースター13により、排気流路15に配置されたタービン2を流れる排気ガスの流量に依存することなく、圧縮空気の流量を増大させることができる。また、電動ブースター13を駆動させると、吸気される圧縮空気により、過給機のコンプレッサ1を強制的に駆動させることができ、連動してタービン2も強制的に駆動させることができる。
【0053】
この過給機においては、前述した電動アシスト過給機(EAT)におけると同様に、モータ3の駆動、制御を行うことにより、コンプレッサ1の動作を抑制しつつも、消費電力を抑えることによって電圧低下を食い止め、電動コンプレッサの効果を生みつつ、車内電源系統の不安定化を防ぐことができる。
【0054】
また、本発明は、図5に示すように、吸気流路14に配置されたコンプレッサ1と、排気流路15に配置されたタービン2とを分離し、コンプレッサ1にモータ3を接続し、タービン2に発電機16を接続して構成された過給機にも適用可能である。図5に示す過給機において、発電機16及びモータ3は、蓄電池17に接続されている。発電機16で発生した電気は、蓄電池17により貯蓄される。蓄電池17に貯蓄された電気は、モータ3に供給される。この過給機においては、タービン2を流れる排気ガスの流量に依存することなく、モータ3によりコンプレッサ1を駆動して、圧縮空気の流量を増大させることができる。モータ3は、エンジンECU等の上位コントローラ11に接続されており、駆動、停止及び回転数の制御をなされる。この過給機は、コンプレッサ1とタービン2とを分離したことにより、機器レイアウト上の制約が少なく、汎用性に優れている。
【0055】
この過給機においては、前述した電動アシスト過給機(EAT)におけると同様に、モータ3の駆動、制御を行うことにより、コンプレッサ1の動作を抑制しつつも、消費電力を抑えることによって電圧低下を食い止め、電動コンプレッサの効果を生みつつ、車内電源系統の不安定化を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、電動アシスト過給機を備えた車両用エンジン、及び、車両用エンジンにおいて自動車用APU(Auxiliary Power Unit;補助電源装置)として用いて好適な排気タービン発電機に適用される。
【符号の説明】
【0057】
1 電動コンプレッサ
2 タービン
3 モータ
4 モータドライバ
5 電源部
6 オルタネータ
7 鉛蓄電池
8 電力バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気マニホルドから排気された空気により回転されるタービン及びこのタービンの回転力により発電する発電機からなる排気タービン発電機と、
軸出力により回転されて発電するオルタネータと、
前記軸出力から前記オルタネータへの動力伝達を切断するクラッチと、
前記クラッチを制御する制御手段と
を備え、
前記排気タービン発電機の発電電圧は、前記オルタネータの発電電圧よりも高くなっており、
前記制御手段は、前記排気タービン発電機により供給される電力により、負荷の消費電力が賄える場合には、前記クラッチを切り離して、前記軸出力から前記オルタネータへの動力伝達を切断する
ことを特徴とする車両用エンジン。
【請求項2】
前記排気タービン発電機は、前記タービンに同軸に接続され吸気マニホルドから吸気された空気を圧縮する電動コンプレッサを有しており、前記発電機が電源を供給されてモータとして作用して前記電動コンプレッサに回転力を与えることにより、電動アシスト過給機として動作する
ことを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン。
【請求項3】
車両用エンジンに使用される排気タービン発電機であって、
排気マニホルドから排気された空気により回転されるタービン及びこのタービンの回転力により発電する発電機からなり、
発電電圧が、前記車両用エンジンのオルタネータの発電電圧よりも高くなっている
ことを特徴とする排気タービン発電機。
【請求項4】
前記タービンに同軸に接続され、車両用エンジンの吸気マニホルドから吸気された空気を圧縮する電動コンプレッサを有しており、前記発電機が電源を供給されてモータとして作用して前記電動コンプレッサに回転力を与えることにより、電動アシスト過給機として動作する
ことを特徴とする請求項3記載の排気タービン発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219710(P2012−219710A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85962(P2011−85962)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】