説明

車両用オーディオビジュアル装置、車両用オーディオビジュアルシステム、装置識別方法、プログラム、記憶媒体

【課題】携帯機器の接続作業を低減する車両用オーディオビジュアル装置、車両用オーディオビジュアルシステム、装置識別方法、プログラム及び記憶媒体を提供すること。
【解決手段】携帯メディア出力装置13と通信して携帯メディア出力装置13から受信したAVデータを出力する車両用AV装置12であって、装置識別情報(機器ID)により識別した携帯メディア出力装置13と無線通信する通信装置30と、ユーザ識別装置22が取得した車両に乗車するユーザのユーザ識別情報(IDコード)と、通信装置30が取得した装置識別情報と、を対応づけてユーザ情報記憶手段26に記憶させる登録手段25aと、ユーザが車両に乗車する場合、ユーザ識別装置が取得する車両に乗車するユーザのユーザ識別情報に対応づけられた装置識別情報を、ユーザ情報記憶手段から抽出する装置識別手段25bと、装置識別手段により抽出された装置識別情報を通信装置30に通知する識別情報通知手段25cと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオビジュアルデータを出力する車両用オーディオビジュアル装置等に関し、特に、携帯メディア出力装置から受信したオーディオビジュアルデータを出力する車両用オーディオビジュアル装置及び車両用オーディオビジュアルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが1台の車両を共有して運転する場合があるが、ドライビングポジションや温度設定(以下、単に車両設定という)などユーザの嗜好は各様であるため、車両に乗車した運転者は直前の運転者の嗜好に応じた車両設定を自らの嗜好に応じた車両設定に変更する必要がある。そこで自動的に車両設定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、キーレスエントリーシステムにより運転者を認証する際に検出される電子キーのIDコードで運転者を識別し、IDコードに対応づけて記憶された設定情報を読み出し、運転者毎に自動的に車両設定する技術が記載されている。
【0003】
また、オーディオシステムでは特に聞き手の嗜好が多様であることから、運転者毎に好みの音質を設定しておき、以降は運転者が自己識別コードを入力するだけで音質の設定を自動的に変更する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−127831号公報
【特許文献2】特開2006−96210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1台の車両を共有する各ユーザがそれぞれ携帯音楽プレーヤを携帯している場合があるが、車載装置と携帯音楽プレーヤを有線又は無線で接続して、車内でも携帯音楽プレーヤの音楽を再生して車両のスピーカから出力するオーディオシステムが実現されている。しかしながら、車載装置と携帯音楽プレーヤを有線又は無線で接続するには携帯音楽プレーヤ毎に接続作業が必要であるため、車両に乗車する度に運転者が、自ら携帯する携帯音楽プレーヤのために接続作業する必要があるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、携帯機器の接続作業を低減する車両用オーディオビジュアル装置、車両用オーディオビジュアルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、携帯メディア出力装置(例えば、携帯音楽プレーヤ13)と通信して携帯メディア出力装置から受信したオーディオビジュアルデータを出力する車両用オーディオビジュアル装置であって、装置識別情報(例えば、機器ID)により識別した携帯メディア出力装置と無線通信する通信装置(例えば、BTモジュール30)と、車両に乗車するユーザを識別するユーザ識別装置(例えば、照合ECU22)から取得したユーザのユーザ識別情報(例えば、IDコード)と、通信装置が取得した装置識別情報と、を対応づけてユーザ情報記憶手段(例えば、記憶装置26とユーザ情報26a)に記憶させる登録手段25aと、ユーザが車両に乗車する場合、ユーザ識別装置が取得する車両に乗車するユーザのユーザ識別情報に対応づけられた装置識別情報を、ユーザ情報記憶手段から抽出する装置識別手段(例えば、識別手段25b)と、装置識別手段により抽出された装置識別情報を通信装置に通知する識別情報通知手段25cと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、車両のユーザのユーザ識別情報に対応づけて携帯メディア出力装置の装置識別情報を記憶させておくことができ、次回車両に乗車する場合はユーザ識別情報に基づき装置識別情報を抽出し通信装置に通知するので、再度の接続作業をしなくても携帯メディア出力装置と車両用オーディオビジュアル装置が接続して、車載された装置からオーディオビジュアルデータを出力することができる。
【発明の効果】
【0008】
携帯機器の接続作業を低減する車両用オーディオビジュアル装置、車両用オーディオビジュアルシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は車両用オーディオビジュアルシステム(以下、単に車両用AVシステムという)10の概略構成図を示す。
【0010】
車両11には車両用オーディオビジュアル装置(以下、単に車両用AV装置という)12が搭載されており、車両11を運転するユーザAは携帯音楽プレーヤ13A及び電子キー14Aを、ユーザBは携帯音楽プレーヤ13B及び電子キー14Bをそれぞれ携帯している(以下、携帯音楽プレーヤ13A、13Bを単に携帯音楽プレーヤ13と、電子キー14Aと14Bを単に電子キー14と、ユーザA,Bを単にユーザという場合がある。)。電子キー14AはユーザAに、電子キー14BはユーザBに固有のものである。
【0011】
本実施形態の車両用AVシステム10では、電子キー14に記憶されたキーIDによりユーザA,Bを識別し、車両用AV装置12にキーIDに対応づけて携帯音楽プレーヤ13の機器IDを登録しておく。登録後、キーレスエントリーシステム(以下、KLESという)によりキーIDが取得されると対応づけられた機器IDが抽出されるので、車両用AV装置12は携帯音楽プレーヤ13に固有の接続情報を抽出できる。これにより、ユーザA,Bは接続作業することなく、携帯音楽プレーヤ13と車両用AV装置12とを接続し携帯音楽プレーヤ13が再生するオーディオを車載されたスピーカから出力できる。
【0012】
なお、図1では携帯音楽プレーヤ13Aの機器IDをA1B2C3D4、13Bの機器IDをE5F6G7H8、電子キー14AのIDコードをXYZ123、14BのIDコードをPQR456とした。
【0013】
携帯音楽プレーヤ13は、例えば、MP3などの圧縮音源データ、CD、DVD(Digital Versatile Disk)、ワンセグなど、オーディオの出力機能を備えていればよく、MP3プレーヤ、携帯電話、PDA、PHSなどその呼称はどのようなものであってもよい。
【0014】
また、携帯音楽プレーヤ13及び車両用AV装置12は互いに無線通信する通信装置(BTモジュール30,45)を備え、携帯音楽プレーヤ13のオーディオ及び映像の再生データを無線により車両用AV装置12に送信できる。無線通信は、ブルートゥース(登録商標:以下、BTという)、無線LAN、赤外線通信、等があるが、本実施形態ではBTにより通信するものとする。
【0015】
図2は、車両用AVシステム10のブロック図を示す。KLESについて簡単に説明する。KLESでは、ユーザが電子キー14を携帯して車両11のドアに近づけば、ドアロックが自動で解錠され、遠ざかれば自動で施錠される。また、KLESは、メカニカルキーによりイグニッションオンしなくてもイグニッションノブを回せばエンジンが始動するイグニッション機能を有している。
【0016】
車載された送信回路23は、照合ECU22から出力されるリクエスト信号により搬送波を変調しリクエスト電波をアンテナから送信する。送信回路23はサイクル時間毎にリクエスト電波を送信することで電子キー14の検知エリアを形成する。受信回路24は、電子キー14から送信されるIDコード信号を復調してそのIDコードを照合ECU22に出力する。
【0017】
電子キー14は、バッテリ34、マイコン33、受信回路31及び送信回路32を有する。受信回路31は、アンテナにより受信した車両11から送信されるリクエスト電波を復調してリクエスト信号をマイコン33に出力する。マイコン33はリクエスト信号の入力に応答して、予め記憶している電子キー14のIDコードを送信回路32に出力する。送信回路32は、IDコードにより搬送波を変調しIDコード信号をアンテナから送信する。
【0018】
照合ECU22は、CPUやメモリ等を備えたコンピュータであって、メモリには電子キー14のIDコードが予め記憶されている。照合ECU22は、受信回路24から取得したIDコードと記憶してあるIDコードとを照合し、照合が成立したらボディECU21に照合成立信号を送信する。ボディECU21は照合成立信号によりドアロックを解錠する。
【0019】
また、照合が成立した場合照合ECU22は、車両用AV装置12からの要求に応じて車両用AV装置12に電子キー14から受信したIDコードを送出する。これにより、車両用AV装置12は車両11に接近したユーザを識別可能となる。
【0020】
車両用AV装置12は、車両内の例えば2DINタイプのフロントコンソールに、表示部28が乗員側になるように配設される。表示部28の周辺に、車両用AV機器12の操作部29が配置して設けられユーザインターフェイスを構成する。操作部29は、各種キー、ダイヤル、トラックポインタやマウスなどのポインタ操作子、音声操作のためのマイクであり、また、操作部29としてリモコンを備えていてもよい。
【0021】
車両用AV装置12は、CPUやRAM、ROM等を備えたコンピュータとして構成される制御部25により制御される。制御部25は、操作部29に操作が行われた場合に、その操作に応じた動作が得られるように各ブロックの制御処理を実行する。制御部25のCPUがプログラムを実行することで、ユーザ情報26aにIDコードと機器IDを登録する登録手段25a、IDコードに基づきユーザが携帯している携帯音楽プレーヤ13を識別する識別手段25b、及び、携帯音楽プレーヤ13の機器IDをBTモジュール30に通知する識別情報通知手段25cが実現される。
【0022】
制御部25と接続された記憶装置26には後述するユーザ情報26aが記憶されている。ユーザ情報26aは、電子キー14のIDコードに対応づけて携帯音楽プレーヤ13の機器IDを登録したものである。
【0023】
車両用AV装置12は、メディアソースとして例えばラジオ、TV、DVD、MP3などの圧縮音源データの出力が可能であり、これに対応して、ラジオチューナ101、TVチューナ102、DVDプレーヤ103、デジタル信号再生部104を有する。表示部28には、車両用AV装置12の動作状態に応じてテレビ放送の映像、DVDの映像が表示される。また、表示部28にはこれらのメディアソースが選択可能に一覧表示され、選択されたメディアソースに応じて、例えばテレビ局、ラジオ放送局などの動作状況を表示してもよい。また、ナビゲーションシステムの表示部と兼用している場合には道路地図が表示される。
【0024】
ラジオチューナ101は、所定のアンテナにより、選曲された放送局の、例えばAM,FMのアナログ/デジタル放送を受信する。ラジオチューナ101は、選局した放送局の信号を復調した音声信号をセレクタ105に出力する。TVチューナ102は、所定のアンテナにより、選曲された放送局の、例えばアナログ/デジタル地上放送、いわゆるワンセグ放送を受信する。TVチューナ102は、放送局からの電波強度に応じて受信感度を調整し、周波数に応じて分離した映像信号と音声信号をセレクタ105に出力する。
【0025】
DVDプレーヤ103は、所定の挿入口からセットされたDVDからデジタル信号を読み出して、MPEG2などの映像信号、PCMなどの音声信号をそれぞれデコードし、アナログ信号に変換してセレクタ105に出力する。デジタル信号再生部104は、記憶装置26又は可搬型の記憶媒体に記憶された圧縮音源データをデコードして、その音声信号をセレクタ105に出力する。
【0026】
また、セレクタ105と制御部25は接続されており、後述するBTモジュール30が受信した再生データ(オーディオ再生データ、映像再生データ)を制御部25を介して直接セレクタ105に出力できるようになっている。
【0027】
制御部25は、例えば操作部29からラジオなど出力するメディアソースが指示されると、セレクタ105に入力された音声、映像の信号から指示された信号を選択して、音声信号をアンプ106に、映像信号を表示部28に出力する。アンプ106は、入力された音声信号のレベルをアンプにより増幅した後、車載されたスピーカ27に出力する。また、表示部28は入力された映像信号を表示する。
【0028】
図3は携帯音楽プレーヤ13のブロック図を示す。携帯音楽プレーヤ13は、CPUやRAM、ROM等を備えたコンピュータとして構成される制御部46により制御される。制御部46は、操作部48に操作が行われた場合に、その操作に応じた動作が得られるように各ブロックの制御処理を実行する。
【0029】
フラッシュメモリやハードディスクにより構成される記憶部44には、MP3などの圧縮音源データ49が記憶されており、乗員の操作によって制御部46がデコーダ41に記憶部44から圧縮音源データ49の読み出しを要求する。圧縮音源データ49は、所定の圧縮方法(MP3等)にて圧縮(コーデック)が施されているため、デコーダ41は圧縮方法に従って伸長処理(デコード)する。伸長されたデジタルデータは、D/A変換部42に入力され、D/A変換部42はデジタルデータを再生データに変換する。
【0030】
再生データは、イヤホン端子43に出力されると共に、一部が分岐されてBTモジュール45に接続されている。したがって、BTモジュール45により車両用AV装置12と接続した場合は、車両用AV装置12のスピーカ27から再生データを出力可能となる。
【0031】
なお、本実施例では携帯音楽プレーヤ13により再生したオーディオを出力する場合を説明するが、静止画や動画などの映像の再生データを出力する場合も同様にBTモジュール45を介して表示部28に表示できる。
【0032】
BTモジュール30、45について説明する。BTモジュール30、45は、それぞれ物理層として無線通信を確立するRF部30a,45aと、BTの仕様に応じた処理を行うBT部30b、45bとを有する。RF部30a,45aの接続方式としてBTでは、SCO(synchronous connection oriented:同期接続)接続とACL(Asynchronous Connectionless Link:非同期接続)とが定義されている。SCO接続はBTモジュール30と45との間に形成される回線接続タイプのポイント・ツー・ポイント・リンクであり、主に音声データの転送に使用される。ACL
接続は、BTモジュール間でパケット交換タイプの接続を行うリンクであり、主にデータ転送に使用される。
【0033】
BTでは接続可能なBTモジュールをPagingメッセージにて呼び出す(呼び出しモード)側をマスターと称し、Pagingメッセージに応答して接続される側(スタンバイモード)をスレーブと称す。本実施形態では、BTモジュール30がマスターに、BTモジュール45がスレーブになる。そして、スレーブ側が応答に答えると接続状態となり、マスターとスレーブ間に形成されるネットワークをピコネットという。
【0034】
BTモジュール30のBT部30b、45bは、他方のBTモジュールとの間にピコネット内同期を確立する処理や、送受信信号の符号化/復号化処理等を実行する。すなわち、各BTモジュール30,45は送信時に搬送波信号を送信データでデジタル変調し、その被変調搬送波信号を所定時間毎に周波数を切り替える周波数ホッピングによりスペクトラム拡散する。この送信信号を規定値以下の送信出力レベルに増幅した後、アンテナから通信相手のBTモジュール30又は45に向け送信する。また、通信相手から到来した無線信号をアンテナを介して受信し、これをスペクトラム逆拡散した後にデジタル復調する。
【0035】
BTのプロファイルについて説明する。BTではマスターとスレーブの双方のBTモジュール30,45が同じプロファイルを備えることで相互の接続を確保している。GAP(Generic Access Profile)は、周波数ホッピングのための周波数とクロックの同期、IDを利用したリンク制御、パケットサイズの制御、データの分解と組立など、BT接続の基本的な条件を規定している。SAD(Service Discovery Application Profile)はBTモジュール30,45が利用可能なサービスを見つけるためのプロファイルであり、サービスを探索し必要な情報を取得するための機能及び手続きを規定している。
【0036】
SPP(Serial Port Profile)はシリアル通信をエミュレートする際の条件を規定しており、このプロファイルにより仮想のシリアルポートを通じて無線通信が可能となる。オーディオの再生データは、SPPの下位プロファイルであるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)により規定される。A2DPは、音声データの転送に用いられるSCO接続を用いずに、ACL接続によりデータ量を確保して高品質データの転送を実現している。
【0037】
また、BTモジュール30、45が接続した場合、操作部29を操作することで携帯音楽プレーヤ13を操作することができるが、このリモート操作を実現するため、AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)を備える。
【0038】
なお、携帯音楽プレーヤ13が通話機能を有する場合、HFP(Hands Free Profile)を備えていることで、ハンズフリーによる通話が可能となる。HFPは、離れた場所にあるBTモジュール30、45からの音声の入出力を規定し、電話による通話という性質上、ATコマンドの取り扱い、電波の強さや発信者番号通知などの伝達、リダイヤルや電話帳機能の利用、エコーキャンセルなどを規定している。ハンズフリー状態では、ユーザが発した音声は車載されたマイクを介しBTモジュール30からBTモジュール45に送信され、携帯音楽プレーヤ13から電話網に送出される。また、携帯音楽プレーヤ13が受信した音声はBTモジュール45からBTモジュール30に送信され、スピーカ27から出力される。
【0039】
BTモジュール30、45には固有の機器IDが与えられており、接続する場合にはこの機器IDにより通信相手を識別する。呼び出しモードのピコネット内にスタンバイモードの携帯音楽プレーヤ13が進入すると、携帯音楽プレーヤ13が自動的に機器IDを送信し接続状態となる。しかし、初めてBTモジュール30と45を接続する時は、PINキー(暗証番号)の入力が必要であり、正しいPINキーが入力されることでペアリングが完了し、以降は一方がピコネットに進入するだけで両者が接続されるようになる。すなわち、本実施形態ではペアリングが接続作業となり、PINキーが接続情報となる。
【0040】
ここで、複数のユーザが車両11を共有する場合、車両用AV装置12のBTモジュール30には最後に乗車したユーザ(例えばユーザA)の携帯音楽プレーヤ13に固有のPINキーがデフォルト設定された状態となる。このため、同じユーザAが乗車した場合には接続作業なしにBTモジュール30と45が接続状態となるが、ユーザBが乗車した場合、過去に接続作業したことがあっても再度接続作業しないとBTモジュール30と45が接続することができない。なお、接続作業したことがある場合、所定数を上限に、接続情報と機器IDのペアはBTモジュール30、45に記憶されている。
【0041】
そこで、本実施形態では、電子キー14のIDコードに基づき携帯音楽プレーヤ13を識別し、制御部25が当該携帯音楽プレーヤ13の機器IDをBTモジュール30に通知することで、BTモジュール30に使用すべき接続情報を指示する。これにより、過去に接続作業したことがある携帯音楽プレーヤ13は、再度接続作業することなく車両用AV装置12と接続することができる。
【0042】
〔電子キー14のIDコード、携帯音楽プレーヤ13の機器IDの登録〕
図4は、車両用AV装置12がユーザ情報26aを登録する登録手順を示すフローチャート図である。ユーザ情報26aは、車両用AV装置12が新たな携帯音楽プレーヤ13と接続した場合に更新されるが、説明のため図4では電子キー14の認証から示した。
【0043】
電子キー14を携帯したユーザが車両11のドアに接近すると、電子キー14がリクエスト信号に応答してIDコード信号を車両11に送信するので、照合ECU22は予め記憶しているIDコードと照合して一致すれば電子キー14を認証する(S10)。これにより、ボディECU21はドアロックを解除する。
【0044】
ついで、ユーザが車両11に乗車しACC(アクセサリー)をオンにすると(S20)、車両用AV装置12及びBTモジュール30に給電されこれらが起動する。
【0045】
車両用AV装置12が起動すると登録手段25aは、照合ECU22に照合の成立したIDコードを要求し、照合ECU22からIDコードを取得する(S30)。IDコードはユーザの識別情報に相当するものなのでIDコードにより乗車したユーザを識別できる。例えば、ユーザAであればXYZ123が、ユーザBであればPQR456が登録手段25aにより取得される。
【0046】
ここで、ユーザは携帯音楽プレーヤ13を車両用AV装置12に初めて接続するための接続作業(ペアリング)を実行し、接続作業が完了するとBTモジュール30は携帯音楽プレーヤ13の機器IDを取得する(S40)。また、接続作業によりBTモジュール30は機器IDとPINキーをペアで記憶する。例えば、ユーザAであればA1B2C3D4が、ユーザBであればE5F6G7H8がBTモジュール30により取得される。なお、これにより、BTモジュール30と45は接続状態となり、オーディオの再生データをスピーカ27から出力できる。
【0047】
ついで、登録手段25aは、BTモジュール30に機器IDを要求してBTモジュール30から機器IDを取得し、IDコードに対応づけて機器IDをユーザ情報26aに登録する。
【0048】
図5は、ユーザ情報26aの一例を示す。IDコードXYZ123には機器IDA1B2C3D4が、IDコードPQR456には機器IDE5F6G7H8がそれぞれ対応づけて記憶されている。なお、同じユーザが異なる携帯音楽プレーヤ13を携帯した場合は、IDコードと機器IDの組を新たに登録する。なお、この場合は登録した日時が新しい機器IDをユーザが携帯する携帯音楽プレーヤ13とする。
【0049】
〔携帯音楽プレーヤ13の識別〕
ユーザ情報26aを用いた携帯音楽プレーヤ13の識別について図6のフローチャート図に基づき説明する。図6のフローチャート図に基づく処理は、電子キー14の認証によりスタートする。
【0050】
電子キー14を携帯したユーザが車両11のドアに接近すると、電子キー14がリクエスト信号に応答してIDコード信号を車両11に送信するので、照合ECU22は予め記憶しているIDコードと照合して一致すれば電子キー14を認証する(S10)。これにより、ボディECU21はドアロックを解除する。
【0051】
ついで、ユーザが車両11に乗車しACC(アクセサリー)をオンにすると(S20)、車両用AV装置12及びBTモジュール30に給電されこれらが起動する。
【0052】
車両用AV装置12が起動すると識別手段25bは、照合ECU22に照合したIDコードを要求し、照合ECU22からIDコードを取得する(S30)。例えば、ユーザAが乗車した場合XYZ123が、ユーザBが乗車した場合PQR456が識別手段25bにより取得される。
【0053】
ついで、識別手段25bはユーザ情報26aを参照して取得したIDコードに対応づけられた機器IDを抽出する(S60)。これにより、ユーザの携帯する携帯音楽プレーヤ13を識別できる。例えば、取得したIDコードがXYZ123の場合A1B2C3D4が、取得したIDコードがPQR456の場合E5F6G7H8が抽出される。
【0054】
そして、識別情報通知手段25cは抽出した機器IDをBTモジュール30に通知する(S70)。機器IDを通知されるとBTモジュール30は、機器IDとペアで記憶しているPINキーを用いて呼び出しモードとなり、ピコネット内にスタンバイモードの携帯音楽プレーヤ13が進入すると接続状態となる。したがって、ユーザが操作部29を操作すると携帯音楽プレーヤ13から再生データが車両用AV装置12に送信され、スピーカ27から出力することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の車両用AVシステム10によれば、ユーザが乗車の度に接続作業することなく、車両用AV装置12と携帯音楽プレーヤ13が無線通信して、車載したスピーカ27からオーディオ等を再生することができる。
【0056】
なお、本実施形態ではユーザの識別に電子キー14のIDコードを利用したが、顔、指紋、掌紋などの生体識別情報や体重等によりユーザを識別してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】車両用オーディオビジュアルシステムの概略構成図の一例である。
【図2】車両用オーディオビジュアルシステムのブロック図の一例である。
【図3】携帯音楽プレーヤのブロック図の一例である。
【図4】車両用オーディオビジュアル装置がユーザ情報を登録する登録手順を示すフローチャート図である。
【図5】ユーザ情報の一例を示す図である。
【図6】車両用オーディオビジュアル装置がユーザ情報を用いて携帯音楽プレーヤを識別する手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
10 車両用オーディオビジュアルシステム
11 車両
12 車両用オーディオビジュアル装置
13 携帯音楽プレーヤ
14 電子キー
22 照合ECU
26a ユーザ情報
25a 登録手段
25b 識別手段
25c 識別情報通知手段
30、45 BTモジュール



【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯メディア出力装置と通信して携帯メディア出力装置から受信したオーディオビジュアルデータを出力する車両用オーディオビジュアル装置であって、
装置識別情報により識別した携帯メディア出力装置と無線通信する通信装置と、
車両に乗車するユーザを識別するユーザ識別装置から取得したユーザのユーザ識別情報と、前記通信装置が取得した前記装置識別情報と、を対応づけてユーザ情報記憶手段に記憶させる登録手段と、
ユーザが車両に乗車する場合、前記ユーザ識別装置が取得する車両に乗車するユーザの前記ユーザ識別情報に対応づけられた前記装置識別情報を、前記ユーザ情報記憶手段から抽出する装置識別手段と、
前記装置識別手段により抽出された前記装置識別情報を前記通信装置に通知する識別情報通知手段と、
を有することを特徴とする車両用オーディオビジュアル装置。
【請求項2】
携帯メディア出力装置と通信して携帯メディア出力装置から受信したオーディオビジュアルデータを出力する車両用オーディオビジュアル装置であって、
装置識別情報により識別した携帯メディア出力装置と無線通信する通信装置と、
車両のユーザのユーザ識別情報に対応づけて携帯メディア出力装置の装置識別情報を記憶したユーザ情報記憶手段と、
車両に乗車するユーザを識別するユーザ識別装置から取得した、前記ユーザ識別情報に対応づけられた前記装置識別情報を、前記ユーザ情報記憶手段から抽出する装置識別手段と、
前記装置識別手段により抽出された前記装置識別情報を前記通信装置に通知する識別情報通知手段と、
を有することを特徴とする車両用オーディオビジュアル装置。
【請求項3】
携帯メディア出力装置から受信したオーディオビジュアルデータを車両用オーディオビジュアル装置が出力する車両用オーディオビジュアルシステムであって、
前記車両用オーディオビジュアル装置は、
装置識別情報により識別した携帯メディア出力装置と無線通信する通信装置と、
車両に乗車するユーザを識別するユーザ識別装置から取得したユーザのユーザ識別情報と、前記通信装置が取得した前記装置識別情報と、を対応づけてユーザ情報記憶手段に記憶させる登録手段と、
ユーザが車両に乗車する場合、前記ユーザ識別装置が取得する車両に乗車するユーザの前記ユーザ識別情報に対応づけられた前記装置識別情報を、前記ユーザ情報記憶手段から抽出する装置識別手段と、
前記装置識別手段により抽出された前記装置識別情報を前記通信装置に通知する識別情報通知手段と、を有し、
前記携帯メディア出力装置は、
車両用オーディオビジュアル装置と無線通信する通信装置と、
オーディオビジュアルデータを再生する再生手段と、を有する、
ことを特徴とする車両用オーディオビジュアルシステム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−273370(P2008−273370A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118849(P2007−118849)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】