説明

車両用カウルルーバ構造

【課題】衝突エネルギーを効果的に吸収する。
【解決手段】衝突体Tがフード14の車両後方側端部に衝突し、フード14の車両後方側端部に上方から衝撃が加わると、フード14の車両後方端部が沈み込むように変形する。そして、目隠し部材102に荷重が入力されて目隠し部材102が弾性変形する。目隠し部材102は、ゴム系材料であるので、第一脚部107と第二脚部108とが開くように、容易に弾性変形する。つまり、変形荷重が小さい。一方、目隠し部材102の第二脚部108の反力(リップ反力)により、目隠し部材102の変形荷重のコントロールが可能とされる。したがって、フード14に衝突体Tが衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カウルルーバ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフードとウインドシールドガラスとの間に、車両幅方向に延在するカウルルーバが設けられている。
【0003】
さて、特許文献1には、フードとカウルルーバ本体との間に、カウルルーバ本体と一体的に構成されたフードシール部が備えられたカウルルーバが記載されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この特許文献1のフードシール部の車両前後方向に沿った縦断面形状は、上接端と下接端とを端(カウルルーバ本体との接合部)とする逆U字形状とされ、カウルルーバ本体とフードシール部とで袋とじ面が構成されている。そして、フードに衝突体が衝突してフードが沈み込むと、フードシール部が潰れるように(袋形状が潰れるように)変形することで、衝撃エネルギーが吸収される。
【特許文献1】特開2002−154456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、カウルルーパの一般面を山状に持ち上げて凸状部を形成し、フードにおける凸状部よりも車両前方側を目隠しし、車室からウインドシールドガラスを通しての見栄えを向上させた構造とする場合があった。しかし、このような構造は、フードに衝突体が衝突した際、山状に持ち上げた凸状部に潰れ残りが生じることもあった。
【0006】
よって、フードに衝突体が衝突した際の衝突エネルギーをより効果的に吸収させることが望まれている。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、フードに衝突体が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収することができる車両用カウルルーバ構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の車両用カウルルーバ構造は、車両におけるフードの後端部とウインドシールドガラスの下端部との間に設けられ、車両幅方向に沿って延在すると共に、車両前側部分が前記フードの後端部の下方に配設されたカウルルーバと、前記カウルルーバと前記フードとの間で且つ、前記ウインドシールドガラス側から見える位置に設けられ、車両幅方向に沿って延在し、弾性変形可能な目隠し部材と、前記目隠し部材に設けられ、前記フードに取り付けられる取付部と、前記取付部から下方に延出され、先端側が車両後方側に湾曲され前記カウルルーバに当接又は近接した第一脚部と、先端側が車両前方側に湾曲しカウルルーバに当接又は近接した第二脚部と、を有する脚部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の車両用カウルルーバ構造では、衝突体がフードの車両後端部に衝突し、フードの車両後端部に上方から衝撃が加わると、フードの車両後端部が下方に沈み込むように変形する。
【0010】
フードの沈み込み(変形)に伴い、カウルルーバとフードとの間に設けられた弾性変形可能な目隠し部材に荷重が入力される。これにより目隠し部材は第一脚部と第二脚部とが開くように容易に弾性変形する。つまり、変形荷重が小さい。また、目隠し部材は、取付部と開いた第一脚部及び第二脚部とが当接するまで弾性変形して潰れるので、潰れ残りが殆どない。よって、フードの変形ストロークが大きい。その一方で、第二脚部の反力によって、目隠し部材の変形荷重のコントロールが可能とされる。したがって、フードに衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される。
【0011】
なお、目隠し部材は、カウルルーバとフードとの間で、且つ、ウインドシールドガラス側から見える位置に設けられているので、ウインドシールドガラスを通しての見栄えが向上される。
【0012】
請求項2に記載の車両用カウルルーバ構造は、請求項1に記載の構成において、前記カウルルーパにおける前記第二脚部の先端の車両前方側に、前記第二脚部の先端が係止される係止部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の車両用カウルルーバ構造では、目隠し部材の第一脚部の車両後方側に雪などの堆積物が堆積し荷重が加わっても、目隠し部材の第二脚部の先端が係止部に当接して係止されるので、第二脚部の反力により、第一脚部が反転する等の目隠し部材の変形が抑制又は防止される。
【0014】
請求項3に記載の車両用カウルルーバ構造は、請求項1、叉は請求項2に記載の構成において、前記カウルルーバにおける前記第一脚部の先端の車両後方側に、該第一脚部の先端と該カウルルーバとの境界部分の段差を解消する段差部が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の車両用カウルルーバ構造では、第一脚部の先端部がカウルルーバに当接又は近接されている。したがって、衝突体との衝突時に第一脚部側でも反力を得られる。また、カウルルーバにおける第一脚部の先端の車両後方側に段差部を設けることで、第一脚部の先端とカウルルーバとの境界部分の段差が解消される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1に記載の車両用カウルルーバ構造によれば、フードに衝突体が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収することができる、という優れた効果を有する。
【0017】
請求項2に記載の車両用カウルルーバ構造によれば、目隠し部材の第一脚部の車両後方側に雪などの堆積物が堆積し荷重が加わっても、第一脚部が反転する等の目隠し部材の変形を抑制又は防止することができる、という優れた効果を有する。
【0018】
請求項3に記載の車両用カウルルーバ構造によれば、フードに衝突体が衝突した際の衝突エネルギーをより一層効果的に吸収することができると共に、車室からウインドシールドガラスを通しての見栄えを更に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1から図4を用いて、本発明におけるカウルルーバ構造の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、図中の矢印UPは車両上方向を示し、矢印FRは車両前方向を示し、矢印OUTは車両幅方向外側方向を示す。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用カウルルーバ構造100(図2も参照)が適用された車両10の前方部分を示している。車両10の前方部分には、エンジンルーム12(図2を参照)の上方を開閉可能に覆うフード14を備えている。
【0021】
図2に示すように、フード14は、フードアウタパネル16とフードインナパネル18とを備えており、フードアウタパネル16の車両後方側端部とフードインナパネル18の車両後方側端部とがヘミング加工により結合されている。
【0022】
フードインナパネル18の車両後方側部分(フードアウタパネル16とフードインナパネル18との結合部の車両前側部分)には、フードアウタパネル16から離れる方向に傾斜壁部18Aが形成され、傾斜壁部18Aの下端から車両前側方向にフードアウタパネル16と略平行に延びる棚部18Bが形成され、更に、該棚部18Bの前端からフードアウタパネル16から離れる方向に傾斜壁部18Cが形成されたのち、該傾斜壁部18Cの下端からフードアウタパネル16と略平行に平面部18Dが車両前側方向に延びている。
【0023】
フード14及びエンジンルーム12の後方側に、カウル20が車両幅方向に沿って配置されている。カウル20は鋼板製とされ、カウル20の車体前方側の上面を構成するカウルルーバ30、車体後側の上面を構成するカウルアッパーパネル24、下面を構成するカウルインナパネル22を備えている。
【0024】
カウルインナパネル22の車両前後方向に沿った縦断面形状は、上方が開放された略ハット形状とされている。そして、カウルインナパネル22の開放された車両前側部分をカウルルーバ30が覆い、車両後側部分をカウルアッパーパネル24が覆っている。
【0025】
カウルルーバ30は樹脂製とされ、フード14の後端部とウインドシールドガラス19の前端部の上面19Aとに掛け渡されるように配置されている。
【0026】
カウルルーバ30は、ウインドシールドガラス19から流れてきた雨水や洗車時の水などを車両幅方向外側に流して排出する。また、カウルルーバ30の車両後方側部31(ウインドシールドガラス19よりも車両前側部分)の一部には、外気を取り込むための多数の短冊状の通気孔(図示略)が形成されている。
【0027】
カウルルーバ30の後端部にはゴム製のリップ部材34が設けられており、このリップ部材34がウインドシールドガラス19の前端部分(下端部分)の上面19Aに圧接される。
【0028】
カウルルーバ30の中央部分には、車両幅方向に延在する凹部36が形成されている。また、カウルルーバ30の車両前方側部分(凹部36よりも車両前側部分)は、フード14の下方に潜りこむように配設されている。カウルルーバ30のフード14の下方に潜り込んだ車両前方側部分はフード14のフードインナパネル18に近接する棚部32が形成されている。そして、この棚部32にカウルシールゴム40が取り付けられ、棚部32とフードインナパネル18の平面部18Dとの間をシールしている。
【0029】
カウルアッパーパネル24は、断面ハット形状とされ、ウインドシールドガラス19の下端部の下方に配設されている。また、カウルアッパーパネル24の車両後方側のフランジ部24Aとカウルインナパネル22の車両後方側のフランジ部24Aとで接合されている。そして、カウルアッパーパネル24の凸部24Cとウインドシールドガラス19の前端部分の下面19Bとが接着剤26によって接着及びシールされている。
【0030】
また、カウルインナパネル22の車体前方側のフランジ部22Bが、カウルルーバ30の凹部36の下面に、図示されていないクリップ等によって固定されている。
【0031】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ30との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材102が配設されている。目隠し部材102は、樹脂製のカウルルーバ30よりも剛性が低い弾性変形可能なゴム系材料からなり、全体が弾性変形することで、フード14とカウルルーバ30とに密着している。
【0032】
目隠し部材102は、上部に板状の取付部104が形成され、この取付部104の車両前側部分が、フードインナパネル18の棚部18Bにクリップ150によって取り付けられている。取付部104の車両後方側部分は車両後方側に向かうに従って上方に傾斜し、フード14におけるフードアウタパネル16とフードインナパネル18との接合部分(フード14の車両後端部)に形成された凸部14Aに車両後方側端部104Aが当接している。
【0033】
目隠し部材102には、取付部104における中央よりも若干車両後方側の下面から下方に向かって延びる脚部106が形成されている。脚部106の先端側は、第一脚部107と第二脚部108とに二股に別れている。第一脚部107は下方に向かうに従って、先端側が車両後方側方向に湾曲しカウルルーバ30に当接し、第二脚部118は下方に向かうに従って、先端側が車両前側方向に湾曲しカウルルーバ30に当接している。
【0034】
なお、第一脚部107の先端107Aが凹部36の車両後方側の後壁36Aに当接し、第二脚部108の先端108Aが凹部36の車両前方側の前壁36Bに当接している(図中の想像線で示す第一脚部107及び第二脚部108については最後に説明する)。
【0035】
また、目隠し部材102の第一脚部107の先端107Aは、凹部36の車両後方側の後壁36Aに隠れる(第二脚部108の先端107Aがカウルルーバ30の車両後方側部31の上面31Aより上に出ない)。したがって、車両後方側部31の上面31Aと第一脚部107の先端107Aとの境界部分の段差が解消される。
【0036】
なお、目隠し部材102は、ゴム系材料を押し出し成形して形成される。押し出し成形の押し出し方向は、車両10に取り付けられた状態における車両幅方向である。
【0037】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0038】
図2に示すように、目隠し部材102がフード14とカウルルーバ30とに密着している。よって、フード14下における目隠し部材102よりも車両前方側が目隠しされるので、矢印Pで示すように、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。更に、カウルルーバ30の車両後方側部31の上面31Aと第一脚部107の先端107Aとの境界部分における段差が解消されているので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが更に向上される。
【0039】
補足すると、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄え向上のため、本実施形態のように別部材のゴム系材料からなる目隠し部材102を取り付けるのでなく、図5に示すように、樹脂製のカウルルーバ930の中央部分を上方に持ち上げた凸状部932を形成した構成が知られている。しかし、このような構成は、凸状部932は樹脂製であるので、フード14に密着させることができないので、若干の隙間が発生することがある(図5では、凸部14Aと凸状部932との間の隙間)。
【0040】
これに対し、本実施形態は、目隠し部材102を別部材構成とすることで、材料選択の自由度が増えるので、ゴム系材料とすることが容易である。よって、目隠し部材102全体が弾性変形し、フード14とカウルルーバ30とに密着させることができるので、隙間が発生しない。よって、見栄えが図5の構成よりも向上される。
【0041】
さて、図3に示すように、衝突体Tがフード14の車両後方側端部に衝突し、矢印Mで示すようにフード14の車両後方側端部に上方から衝撃が加わると、フード14の車両後方端部が下方に沈み込むように変形する。
【0042】
フード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材102に荷重が入力されて目隠し部材102が弾性変形する。このとき、目隠し部材102は、ゴム系材料であるので、第一脚部107と第二脚部108とが開くように、容易に弾性変形する。つまり、変形荷重が小さい。また、目隠し部材102は、取付部104が第一脚部107及び第二脚部108に当接するまで潰れるので、潰れ残りが殆どない。よって、フード14の変形ストロークが大きい。なお、前述したように、目隠し部材102を別部材構成とすることで材料選択の自由度が増えるので、目隠し部材102を変形荷重が小さいゴム系材料とすることが容易である。
【0043】
一方、目隠し部材102の第二脚部108の反力(リップ反力)により、目隠し部材102の変形荷重のコントロールが可能とされる。
【0044】
したがって、フード14に衝突体Tが衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0045】
これに対して上述した図5に示す、凸状部932が形成されてカウルルーバ930では、凸状部932はカウルルーバ930(本体)と同じ樹脂で成形されるので、目隠し部材102よりも剛性が高い(目隠し部材102(図2参照)の方が容易に弾性変形する)。よって、図5の構成よりも本実施形態(図2、図3参照)の方が、変形荷重が小さい。また、凸状部932の縦壁部932Aの一部は潰れ残ることもあるので、フード14の変形ストロークは、本実施形態の方が大きい。
【0046】
また、図4に示すように、目隠し部材102(の第一脚部107)の車両後方側に雪などの堆積物Sが堆積し(積もり)、矢印Yで示すように目隠し部材102に、カウルルーバ30の傾斜に沿った方向の荷重が加わっても、第二脚部108が突っ張って支える。よって、雪などの堆積物Sが堆積しても、第一脚部107が反転する等の目隠し部材102の変形が抑制又は防止される。
【0047】
なお、本実施形態においては、第二脚部108の先端108Aが凹部36の前壁36Bに当接して係止されるので、第二脚部108の反力(リップ反力)により、第一脚部107が反転する等の目隠し部材102の変形が、より確実に抑制又は防止される。
【0048】
また、目隠し部材102は、押し出し方向が車両幅方向とする押し出し成形によって形成される。よって、押し出し成形後、所望する車両幅方向の長さで切断することで、容易に任意の長さにすることができる。したがって、目隠し部材102は、車幅が異なる複数の車種に容易に適用できる。
【0049】
また、本実施形態のカウルルーバ30は、図5に示す中央部分を上方に持ち上げて凸状部932を形成したカウルルーバ930と比較すると、凸状部932がない分、車両前後方向に沿った縦断面における断面長さが減少する。よって、その分、材料費が低減される。また、成形型の構造が簡素化されると共に成形性が向上される。更に、断面長さが減少すると、温度変化による膨張・収縮が減少するので、カウルルーバ30の方が熱変形しにくい。
【0050】
更に、図5に示すカウルルーバ930は、フード14の車両後端部が手などで押され、下方に移動されると(沈み込むと)、凸状部932が反転して凹んでしまう(凸状が凹状となる)ことがあった。そして、このように反転して凹んでしまうと、フード14の車両後端部が元の位置に戻っても、凸状部932が(凹状に凹んだまま)元の形状に戻らない。これに対して、本実施形態の場合は、フード14の車両後端部が手等で押され下方に移動しても、目隠し部材102はゴム系材料であり弾性変形するので、フード14の車両後端部が元の位置に戻れば、目隠し部材102も元の形状に戻る。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、カウルルーバ30に凹部36を形成し、第二脚部108の先端108Aが凹部36の前壁36Bに当接して係止される構成としたがこれに限定されない。第二脚部108の先端108Aが係止される構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、第二脚部108の先端108Aが当接して係止されるリブなどの車両幅方向に延在する突起が成された構成であってもよい。或いは、第二脚部108の先端108Aが入る溝などの車両幅方向に延在する凹部が形成された構成であってもよい。
【0053】
また、例えば、目隠し部材102は、第一脚部107の先端107A及び第二脚部108の先端108Aがカウルルーバ30の後壁36Aと前壁36Bとに当接していたが、これに限定されない。第一脚部107の先端107A及び第二脚部108の先端108Aと、カウルルーバ30の後壁36A及び前壁36Bと、の間に若干の隙間がある状態、つまり近接した状態あってもよい。
【0054】
或いは、図2における想像線で示すように、目隠し部材102の第一脚部107及び第二脚部108の先端部分がカウルルーバ30の凹部36の底面36Cに当接又は近接した構成であってもよい。
【0055】
また、例えば、上記実施形態では、カウルルーバ30に凹部36を形成し、第二脚部108の先端108Aは凹部36の前壁36Bが当接された構成とすることで、車両後方側部31の上面31Aと第一脚部107の先端107Aとの境界部分における段差が略解消されていたが、これに限定されない。前壁36Bがなく、車両後方側部31の上面31Aと第一脚部107の先端107Aとの境界部分における段差が解消されていなくてもよい。
【0056】
また、例えば、上記実施形態では、目隠し部材102は、ゴム系材料によって成形されていたが、これに限定されない。弾性変形可能な材質であれば他の材質であってもよい。例えば、軟性樹脂であってもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、目隠し部材102の脚部106は、二股形状であったが、これに限定されない。少なくとも第一脚部107と第二脚部108を有していればよい。第一脚部107及び第二脚部108に加え、例えば、第二脚部108の反力(リップ反力)を調整するために第三脚部を備えた三叉形状であってもよい。或いは、四つ以上の脚部を有する構成であってもよい。
【0058】
なお、目隠し部材102は、フード14に取り付けられているが、このような構成も車両用カウルルーバ構造に含まれるものとする。
【0059】
つぎに、本発明に含まれない参考例について説明する。なお、上記実施形態と同様の部材は同一の符号とし、重複する説明は省略する。
【0060】
まず、第一参考例について説明する。
【0061】
図6に示すように、第一参考例のカウルルーバ230は、上記実施形態のカウルルーバ30(図2参照)とは略同様の構成であるが、中央部分(通気孔が形成された車両後方側部31の車両前側)に凹部36が形成されていいない点が異なっている。つまり、車両前側の棚状とされた部分以外は、略フラットとされている。
【0062】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ230との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材202が配設されている。目隠し部材202は、上記実施形態と同様のゴム系材料からなり、全体が弾性変形することで、フード14とカウルルーバ230とに密着している。
【0063】
目隠し部材202は、上部に板状の取付部204が形成され、この取付部204の車両前側部分が、フードインナパネル18の棚部18Bにクリップ150によって取り付けられている。取付部204の車両後方側端部204Aは、フード14におけるフードアウタパネル16とフードインナパネル18との接合部分(フード14の車両後端部)に形成された凸部14Aに当接している。
【0064】
目隠し部材202には、取付部204における中央よりも若干車両後方側の下面から下方に向かって延びる脚部206が形成されている。脚部206は、下方に向かうに従って、先端側が車両後方側方向に湾曲されている(上記実施形態の目隠し部材102(図2参照)において、第一脚部107のみが形成され、第二脚部108が形成されていない構成と略同様の構成)。
【0065】
目隠し部材202は、ゴム系材料を押し出し成形して形成される。押し出し成形の押し出し方向は、車両幅方向である。
【0066】
なお、本参考例のカウルルーバ構造によれば、目隠し部材202によって、フード14下における目隠し部材202よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0067】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材202が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0068】
つぎに、第二参考例について説明する。
【0069】
図7に示すように、第二参考例のカウルルーバ230は、第一参考例のカウルルーバ230(図6参照)と同様の構成である。
【0070】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ230との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材302が配設されている。目隠し部材202は、上記実施形態と同様のゴム系材料からなり、全体が弾性変形することで、フード14とカウルルーバ230とに密着している。
【0071】
目隠し部材302は、上部に板状の取付部304が形成され、この取付部304の車両前側部分が、フードインナパネル18の棚部18Bにクリップ150によって取り付けられている。また、取付部304の車両後方側端部304Aは、フードインナパネル18の棚部18Bにフード14におけるフードアウタパネル16とフードインナパネル18との接合部分(フード14の車両後端部)に形成された凸部14Aに当接している。
【0072】
目隠し部材302には、取付部304における中央よりも若干車両後方側の下面から下方に向かって延びる脚部306が形成されている。脚部306は、下方に向かうに従って、先端側が車両前方側方向に湾曲されている(上記実施形態の目隠し部材102(図2参照)において、第二脚部108のみが形成され、第一脚部107が形成されていない構成と略同様の構成)。
【0073】
目隠し部材302は、ゴム系材料を押し出し成形して形成される。押し出し成形の押し出し方向は、車両幅方向である。
【0074】
なお、本参考例のカウルルーバ構造によれば、目隠し部材302によって、フード14下における目隠し部材202よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0075】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材302が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0076】
つぎに、第三参考例について説明する。
【0077】
図8に示すように、第三参考例のカウルルーバ430は、第一参考例のカウルルーバ230(図6参照)とは略同様の構成であるが、上下方向に貫通成形された貫通孔432が形成されている点が異なっている。
【0078】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ430との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材402が配設されている。目隠し部材402は、軟質樹脂、又は通常の硬度の樹脂(例えば、カウルルーバ230と同様の樹脂)からなっている。
【0079】
目隠し部材402は、上部に板状の取付部404が形成され、この取付部404の車両前側部分が、フードインナパネル18の棚部18Bにクリップ150によって取り付けられている。また、取付部404の車両後方側端部404Aは、フード14におけるフードアウタパネル16とフードインナパネル18との接合部分(フード14の車両後端部)に形成された凸部14Aに当接している。
【0080】
目隠し部材402には、取付部404における中央よりも若干車両後方側の下面から下方に向かって略真っ直ぐに延びる脚部406が形成されている。脚部406は、先端部がカウルルーバ430の貫通孔432に挿通されている(差し込まれている)。
【0081】
つぎに本参考例の作用について説明する。
【0082】
目隠し部材402によって、フード14下における目隠し部材402よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0083】
また、衝突体がフード14の車両後方側端部に衝突し、にフード14の車両後方側端部に上方から衝撃が加わり、フード14の車両後方端部が下方に沈み込むように変形すると(図3を参考)、目隠し部材402の脚部406は貫通孔432に挿通されているので、シール部402全体が下方に移動する。なお、目隠し部材402は、取付部404がカウルルーバ430に当接するまで移動する。よって、フード14の変形ストロークが大きい。したがって、フード14に衝突体Tが衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)
【0084】
つぎに、第四参考例について説明する。
【0085】
図9に示すように、第四参考例のカウルルーバ230は、第一参考例のカウルルーバ230(図6参照)と同様の構成である。
【0086】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ230との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材502が配設されている。目隠し部材502は、上記実施形態と同様にゴム系材料からなり、全体が弾性変形することで、フード14とカウルルーバ230とに密着している。
【0087】
目隠し部材502は、上部に板状の取付部504が形成され、この取付部504の車両前側部分が、フードインナパネル18の棚部18Bにクリップ150によって取り付けられている。取付部504の車両後方側端部504Aは、フード14におけるフードアウタパネル16とフードインナパネル18との接合部分(フード14の車両後端部)に形成された凸部14Aに当接している。
【0088】
目隠し部材502には、取付部504の下面から下方に延びる略U字形状の脚部506が形成されている。つまり、脚部506と取付部504とで閉断面(車両幅方向を長手歩行とする筒状)が構成されている。なお、脚部506の後側の端部は取付部504の中央よりも若干車両後方側の下面に繋がり、脚部506の前側の端部は取付部504の前端部の下面に繋がっている。また、脚部506は、下方に向かうに従って、全体として先端506Aが車両後方側方向に湾曲され、カウルルーバ230に当接し密着している。
【0089】
なお、本参考例のカウルルーバ構造によれば、目隠し部材502によって、フード14下における目隠し部材502よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0090】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材502が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0091】
つぎに、第五参考例について説明する。
【0092】
図10に示すように、第五参考例のカウルルーバ630は、第一参考例のカウルルーバ230(図6参照)と略同様の構成であるが、貫通孔632、634が形成されている点が異なる。
【0093】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ630との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材502が配設されている。目隠し部材602は、軟質樹脂からなる。
【0094】
目隠し部材602は、車両前側の第一脚部607と車両後側の第二脚部608とを有し、車両前後方向に沿った縦断面形状が下方を開口側とする略V字状とされている。なお、上端部(V字の頂点部分)は、平らとされた平部642が形成されている。また、目隠し部材602の第一脚部607の下端部はカウルルーバ630に沿って車両後方側に延びるフランジ部607Aが形成され、第二脚部608の下端部はカウルルーバ630に沿って車両前側方向に延びるフランジ部608Aが形成されている。
【0095】
フランジ部607Aには、クリップ部609が形成され、このクリップ部609がカウルルーバ630に形成された貫通孔632に挿入され固定されている。同様に、フランジ部608Aには、クリップ部610が形成され、このクリップ部610がカウルルーバ630に形成された貫通孔632に挿入され固定されている。
【0096】
また、目隠し部材602の上端部(V字の頂点部分)の平部642とフード14との間には、若干隙間が形成されている。
【0097】
上記カウルルーバ構造によれば、目隠し部材602によって、フード14下における目隠し部材202よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0098】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材602が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0099】
つぎに、第六参考例について説明する。
【0100】
図11に示すように、第六参考例のカウルルーバ730は、第一参考例のカウルルーバ230(図6参照)と略同様の構成であるが、貫通孔632が形成されている点が異なる。
【0101】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ730との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材702が配設されている。目隠し部材702は軟質樹脂からなる。
【0102】
目隠し部材702は、車両前後方向に沿った縦断面形状が略三角形状の筒状(筒方向は車両幅方向)とされている。但し、角部はR状とされている。そして、目隠し部材702の底面部702Bが、カウルルーバ730に形成された貫通孔732に挿入されたクリップ750によって固定されている。
【0103】
また、目隠し部材702の上端部(三角系の頂点部分)の702Aとフード14と間には若干の隙間が形成されている。
【0104】
なお、本参考例のカウルルーバ構造によれば、目隠し部材702によって、フード14下における目隠し部材702よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0105】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材702が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【0106】
つぎに、第七参考例について説明する。
【0107】
図12に示すように、第七参考例のカウルルーバ630は、貫通孔632、634が形成された第五参考例のカウルルーバ630(図10参照)と同様の構成である。
【0108】
フード14の車両後方側端部とカウルルーバ630との間には、車両幅方向に沿って延在する目隠し部材802が配設されている。目隠し部材802は軟質樹脂からなる。
【0109】
目隠し部材802は、下方に向かうに従って、先端側が車両前方側に向かって湾曲された第一脚部807と、下方に向かって略直線状に延びる第二脚部808と、を有し、車両前後方向に沿った縦断面形状が下方を開口側とする略V字状とされている。
【0110】
目隠し部材802の第二脚部808の下端部には、カウルルーバ630に沿って車両前方側に延びるフランジ部808Aが形成されている。また、第一脚部807の先端部分(カウルルーバ630との当接部分)には、クリップ部809が形成されている。
【0111】
そして、第二脚部808のフランジ部808Aのクリップ部810がカウルルーバ630に形成された貫通孔634に挿入され固定されると共に、第一脚部807のクリップ部809がカウルルーバ630に形成された貫通孔632に挿入され固定されている。
【0112】
また、目隠し部材802の上端部(V字の頂点部分)の頂点部804は、フード14に当接している。また、頂点部804は若干車両後方側に延出されると共に、延出された先端804Aがフード14の凸部14Aに当接している。
【0113】
なお、本参考例のカウルルーバ構造によれば、目隠し部材802によって、フード14下における目隠し部材802よりも車両前方側が目隠しされるので、車室からウインドシールドガラス19を通しての見栄えが向上される。
【0114】
また、フード14に衝突体が衝突した際のフード14の沈み込み(変形)に伴い、目隠し部材802が容易に弾性変形する(変形荷重が小さい)。したがって、フード14に衝突体が衝突した際の衝突エネルギーが効果的に吸収される(衝突エネルギーの吸収量(E/A量)が大きい)。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両用カウルルーバ構造が適用された車両の前部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる車両用カウルルーバ構造を示す、図1のA−A線に沿った(車両前後方向に沿った)縦断面図である。
【図3】フードの後端部に衝突体が衝突したときの作用を示す、図2に対応する車両用カウルルーバ構造の縦断面図である。
【図4】目隠し部材に堆積物が堆積した図2に対応する車両用カウルルーバ構造の縦断面図である。
【図5】本発明が適用されていない車両用カウルルーバ構造の車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図6】第一参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図7】第二参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図8】第三参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図9】第四参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図10】第五参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図11】第六参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図12】第七参考例の車両用カウルルーバ構造を示す、車両前後方向に沿った縦断面図である。
【符号の説明】
【0116】
10 車両
14 フード
19 ウインドシールドガラス
30 カウルルーバ
36A 後壁(段差部)
36B 前壁(係止部)
100 車両用カウルルーバ構造。
102 目隠し部材
104 取付部
106 脚部
107 第一脚部
107A 第一脚部の先端
108 第二脚部
108A 第二脚部の先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフードの後端部とウインドシールドガラスの下端部との間に設けられ、車両幅方向に沿って延在すると共に、車両前側部分が前記フードの後端部の下方に配設されたカウルルーバと、
前記カウルルーバと前記フードとの間で且つ、前記ウインドシールドガラス側から見える位置に設けられ、車両幅方向に沿って延在し、弾性変形可能な目隠し部材と、
前記目隠し部材に設けられ、前記フードに取り付けられる取付部と、
前記取付部から下方に延出され、先端側が車両後方側に湾曲され前記カウルルーバに当接又は近接した第一脚部と、先端側が車両前方側に湾曲し前記カウルルーバに当接又は近接した第二脚部と、を有する脚部と、
を備えることを特徴とする車両用カウルルーバ構造。
【請求項2】
前記カウルルーパにおける前記第二脚部の先端の車両前方側に、前記第二脚部の先端が係止される係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用カウルルーバ構造。
【請求項3】
前記カウルルーバにおける前記目隠し部材の前記第一脚部の先端の車両後方側に、該第一脚部の先端と該カウルルーバとの境界部分の段差を解消する段差部が設けられていることを特徴とする請求項1、叉は請求項2に記載の車両用カウルルーバ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−284982(P2008−284982A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131323(P2007−131323)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】