説明

車両用カップホルダ装置

【課題】飲料用容器及び携帯端末を簡易な構成で保持する。
【解決手段】車両用カップホルダ装置では、カップホルダ50に端末用ホルダ部68が容器用ホルダ部64と一体に設けられており、端末用ホルダ部68は携帯端末の底部を保持するように構成されている。このため、携帯端末を保持する部材をカップホルダ50と別に設ける必要がない。しかも、端末用ホルダ部68は携帯端末の底部を保持するように容器用ホルダ部64と一体に設けられているため、携帯端末の長手方向中間部を保持する場合と比較して、飲料用容器を容器用ホルダ部64上に配置する際に端末用ホルダ部68が飲料用容器に干渉しないようにカップホルダ50を構成できる。このため、端末用ホルダ部68を回動させる必要がないため、端末用ホルダ部68を回動可能に支持する機構を設ける必要がない。したがって、携帯端末及び飲料用容器を簡易な構成で保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カップホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話やスマートフォン等の携帯端末の普及に伴い、ドリンクホルダ(車両用カップホルダ装置)に携帯端末等を収容できるものがある(例えば、下記特許文献1参照)。このドリンクホルダでは、上方へ開放された容器本体の開口部に、矩形環状の枠体(端末用保持部)が回動可能に支持されている。そして、ドリンクホルダの開口部を開口するように枠体を回動させることで、例えば飲料用容器を容器本体内に収容できる。一方、枠体をドリンクホルダの開口部に配置するように回動させて、携帯電話を枠体内に挿入させることで、携帯電話の長手方向中間部が枠体内に保持されて、携帯電話が容器本体内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−127830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このドリンクホルダでは、枠体と容器本体とが別体で構成されているため、部品点数が増大するという問題がある。また、このドリンクホルダでは、枠体が容器本体に回動可能に支持されているため、枠体を容器本体に回動可能に支持する機構が必要になり、構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、飲料用容器及び携帯端末を簡易な構成で保持できる車両用カップホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用カップホルダ装置は、車両の内装を構成する部材に取付けられ、飲料用容器及び携帯端末が挿通可能に形成された開口部を有するベース部材と、前記開口部の下方において前記ベース部材に設けられ、前記飲料用容器の底部を保持可能に構成された容器用保持部と前記容器用保持部と一体に形成されると共に前記携帯端末の底部を保持可能に構成された端末用保持部とを有する保持部材と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の車両用カップホルダ装置では、車両の内装を構成する部材に取付けられたベース部材に開口部が設けられており、開口部は飲料用容器及び携帯端末を挿通可能に形成されている。また、ベース部材には、開口部の下方において、保持部材が設けられている。
【0008】
保持部材には、容器用保持部が設けられており、容器用保持部は飲料用容器の底部を保持可能に構成されている。これにより、ベース部材の開口部内に飲料用容器を挿入すると、飲料用容器の底部が容器用保持部に保持されて、飲料用容器が車両用カップホルダ装置に保持される。
【0009】
また、保持部材には、端末用保持部が設けられており、端末用保持部は携帯端末(例えば、携帯電話やスマートフォンなど)の底部を保持可能に構成されている。これにより、携帯端末を開口部内に挿入すると、携帯端末の底部が端末用保持部に保持されて、携帯端末が車両用カップホルダ装置に保持される。
【0010】
ここで、端末用保持部が容器用保持部と一体に設けられている。このため、携帯端末を保持する部材を保持部材とは別に設ける必要がない。しかも、端末用保持部は携帯端末の底部を保持するように容器用保持部と一体に設けられているため、携帯端末の長手方向中間部を保持する従来技術と比較して、飲料用容器を容器用保持部上に配置する際に飲料用容器に端末用保持部が干渉しないように保持部材を構成できる。このため、従来技術のように端末用保持部を回動させる必要がないため、端末用保持部を回動可能に支持する機構を設ける必要がない。
【0011】
請求項2に記載の車両用カップホルダ装置は、請求項1に記載の車両用カップホルダ装置において、前記端末用保持部は、前記開口部側へ開放された凹状に形成されると共に、前記容器用保持部に対して下方に配置されている。
【0012】
請求項2に記載の車両用カップホルダ装置では、端末用保持部が、開口部側へ開放された凹状に形成されて、容器用保持部に対して下方に配置されているため、例えば、容器保持部内に凹部を設けることで、当該凹部を端末用保持部として構成できる。これにより、携帯端末を一層簡易な構成で保持できる。
【0013】
請求項3に記載の車両用カップホルダ装置は、請求項2に記載の車両用カップホルダ装置において、前記端末用保持部の側壁が前記開口部から離間されるのに従って内側へ傾斜して配置されている。
【0014】
請求項3に記載の車両用カップホルダ装置では、端末用保持部の側壁が開口部から離間されるのに従って内側へ傾斜して配置されているため、端末用保持部の断面積が開口部から離間されるに従い小さくなる。これにより、各種の携帯端末の幅寸法または厚さ寸法に対応して、携帯端末の底部を端末用保持部の側壁に当接させて保持できる。
【0015】
請求項4に記載の車両用カップホルダ装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用カップホルダ装置において、前記保持部材は、軸方向を車幅方向として前記ベース部材に回動可能に支持される支持部を備え、前記支持部が前記容器用保持部の車幅方向中央部に対して車幅方向にずれて配置されている。
【0016】
請求項4に記載の車両用カップホルダ装置では、保持部材は支持部を備えており、支持部は軸方向を車幅方向としてベース部材に回動可能に支持されている。
【0017】
ここで、支持部が、容器用保持部の車幅方向中央部に対して車幅方向にずれて配置されている。これにより、例えば、開口部がベース部材の車幅方向外側の端部に配置された場合には、支持部をベース部材の車幅方向外側の端部に隣接して配置できる。したがって、ベース部材の車幅方向中央部分のスペースを確保できるため、当該スペースを有効に利用できる。
【0018】
請求項5に記載の車両用カップホルダ装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用カップホルダ装置において、前記ベース部材が車両のシートのシートバックの背面側に取付けられている。
【0019】
請求項5に記載の車両用カップホルダ装置では、ベース部材が車両のシートのシートバックの背面側に取付けられているため、例えば、ベース部材を車両の後部座席用のテーブルとして利用できる。これにより、車両用カップホルダ装置がテーブルとしての機能と、飲料用容器を保持する機能と、携帯端末を保持する機能とを備えることができる。したがって、乗員に対する利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の車両用カップホルダ装置によれば、飲料用容器及び携帯端末を簡易な構成で保持できる。
【0021】
請求項2に記載の車両用カップホルダ装置によれば、飲料用容器及び携帯端末を一層簡易な構成で保持できる。
【0022】
請求項3に記載の車両用カップホルダ装置によれば、各種の携帯端末の幅寸法または厚さ寸法に対応して、携帯端末の底部を確実に保持できる。
【0023】
請求項4に記載の車両用カップホルダ装置によれば、例えば、ベース部材の中央部分のスペースを確保して、当該スペースを有効に利用できる。
【0024】
請求項5に記載の車両用カップホルダ装置によれば、乗員に対する利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用カップホルダ装置に用いられるカップホルダを車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図2】図1に示されるカップホルダが使用位置に配置された状態を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図3】図2に示される車両用カップホルダ装置のテーブルが格納位置に配置された状態を示す車両左方から見た側面図である。
【図4】図2に示される車両用カップホルダ装置のテーブルが展開位置に配置された状態を示す車両左方から見た側面図である。
【図5】図3に示される車両用カップホルダ装置のヒンジ機構を示す斜視図である。
【図6】図5に示されるヒンジ機構に用いられるリンクワイヤが格納位置に配置された状態を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図7】図6に示されるリンクワイヤが展開位置に配置された状態を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図8】図1に示されるカップホルダの平面図である。
【図9】図8に示されるカップホルダの正面図である。
【図10】図8に示されるカップホルダの側面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る車両用カップホルダ装置に用いられるカップホルダの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2には、本発明の実施の形態に係る車両用カップホルダ装置10の全体が車両左斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印RHは車両右方(車幅方向一側)を示し、矢印UPは上方を示す。
【0027】
この図に示すように、車両用カップホルダ装置10は、「ベース部材」としてのテーブル12と、テーブル12に回動可能に支持された「保持部材」としての一対のカップホルダ50と、テーブル12を回動可能に支持するヒンジ機構30と、を含んで構成されている。なお、図2では、ヒンジ機構30が図示省略されている。
【0028】
テーブル12は、樹脂により製作されて、下方へ開放された深さの浅い略直方体箱状に形成されている。これにより、テーブル12の裏面(下側面)側の部分には、収容凹部14が形成されている(図5参照)。図3及び図4に示すように、このテーブル12の基端部(短手方向一端部)には、ヒンジ機構30が組付けられており、ヒンジ機構30は、車両の内装を構成するシート80のシートバック82の背面(車両後方面)に固定されている。これにより、テーブル12が、ヒンジ機構30を介してシートバック82に取付けられて、図3に示す格納位置と図4に示す展開位置との間で回動可能に構成されている。なお、車両左方から見て、テーブル12は、格納位置において下方へ向かうに従い前方へ傾斜して配置されると共に、展開位置において水平(上下方向に直交する方向)に配置されるように設定されている。
【0029】
ここで、ヒンジ機構30について簡単に説明する。図5に示すように、ヒンジ機構30は、シートバック82に固定される固定ブラケット32と、テーブル12を回動可能に支持する一対のコンビニフック34と、固定ブラケット32に締結される回転軸ガイド36と、回転軸ガイド36に回動可能に支持されるリンクワイヤ42と、を含んで構成されている。
【0030】
固定ブラケット32は、板金により製作されて、車幅方向に沿って延設されると共に、シートバック82の背面に固定されている。一対のコンビニフック34は、固定ブラケット32の車幅方向両端部に固定されると共に、テーブル12の基端部を回動可能に支持している。これにより、テーブル12が、格納位置と展開位置との間で回動可能に構成されている。
【0031】
図6及び図7にも示すように、回転軸ガイド36は、固定ブラケット32に対応して車幅方向に延設されて、図示しないボルト等の締結部材によって固定ブラケット32の車幅方向中間部に締結されている。回転軸ガイド36には、一対のワイヤ支持部38が設けられており、ワイヤ支持部38は、車幅方向に並んで配置されて、回転軸ガイド36から車両後方へ突出されている。ワイヤ支持部38には、それぞれリンクワイヤ42を回動可能に支持する軸支部(図示省略)が設けられており、軸支部は車幅方向に同軸上に配置されている。また、ワイヤ支持部38には、カム部40が設けられている。このカム部40は、リンクワイヤ42を格納位置にロックするための第1ロック部40Aと、リンクワイヤ42を展開位置にロックするための第2ロック部40Bを有している。
【0032】
リンクワイヤ42は、丸棒状のばね材により製作されて、略U字形状に屈曲されている。リンクワイヤ42の両端部は、車幅方向外側へ屈曲されて、回転軸ガイド36の軸支部に回動可能に支持されている。また、リンクワイヤ42の長手方向中間部は、テーブル12の収容凹部14内に設けられたワイヤスライドガイド44にテーブル12の短手方向にスライド可能に係合されている。そして、テーブル12が格納位置に配置された際には、リンクワイヤ42が第1ロック部40A内に配置されて、テーブル12が格納位置にロックされるように構成されている(図3及び図6参照)。また、テーブル12を格納位置から展開位置へ向けて回動すると、リンクワイヤ42が、弾性変形して、回転軸ガイド36のカム部40上を摺動しつつ第2ロック部40B内に配置される(図4及び図7参照)。これにより、テーブル12が展開位置にロックされるように構成されている。
【0033】
一方、図2に示すように、テーブル12には、基端部とは反対側の角部において、円形状の一対の開口部16が貫通形成されている。開口部16は、飲料用容器や携帯端末P(携帯電話、スマートフォン等)が挿通可能な大きさに形成されている。
【0034】
また、テーブル12の中央部には、上方へ開放されたミラー収容凹部18が形成されている。ミラー収容凹部18は略矩形状に形成されており、ミラー収容凹部18の2箇所の角部が開口部16に対応して湾曲して形成されている。
【0035】
このミラー収容凹部18内には、ミラー20が設けられている。このミラー20の外形はミラー収容凹部18に対応して形成されており、つまり、ミラー20の2箇所の角部が湾曲して形成されている。また、ミラー20は、テーブル12の基端部に回動可能に支持されると共に、鏡面をミラー収容凹部18側にして配置されている。
【0036】
次に本発明の要部であるカップホルダ50について説明する。
【0037】
図2に示すように、カップホルダ50は、テーブル12の車幅方向両端部かつ裏面側の部分において、それぞれ設けられており、これらのカップホルダ50は車幅方向において左右対称に形成されている。また、カップホルダ50は、樹脂製とされている。
【0038】
図1、図8〜図10に示すように、カップホルダ50は、略逆Y字形板状に形成された本体部52と本体部52の先端に設けられたホルダ部62とを含んで構成されている。なお、図1では、テーブル12における車両右側に配置されたカップホルダ50を示しており、図8〜図10では、テーブル12における車両左側に配置されたカップホルダ50を示している。
【0039】
本体部52の基端部には、一対の支持アーム部56を有する支持部54が設けられており、支持部54の車幅方向中央部はホルダ部62(カップホルダ50)の車幅方向中央部に対して車幅方向外側へずれて配置されている。換言すると、支持部54がテーブル12の周縁に隣接して配置されている。一対の支持アーム部56には、車幅方向外側の部分において、支持部54を構成する軸部58が設けられており、軸部58は車幅方向を軸方向とした円柱状に形成されている。この軸部58は、テーブル12の裏面側に設けられた図示しない軸受部に回動可能に支持されており、これにより、カップホルダ50が、テーブル12に回動可能に支持されている。
【0040】
また、カップホルダ50には、図示しない係合突起が形成されており、カップホルダ50が収容凹部14内に回動された際に、当該係合突起がテーブル12に係合されてカップホルダ50が収容凹部14内に保持されるように構成されている(以下、この位置を「収容位置」という)。さらに、収容位置からカップホルダ50が下方へ回動された際には、支持アーム部56の先端がテーブル12の裏面に当接して保持されるように構成されている(図2に示す位置であり、以下、この位置を「使用位置」という)。
【0041】
また、本体部52の基端部とは反対側の部分(先端の部分)には、車幅方向両端部おいて、一対の連結アーム60が延設されており、一対の連結アーム60の先端部にホルダ部62が一体に設けられている。そして、カップホルダ50が使用位置に回動された際には、このホルダ部62はテーブル12の開口部16の真下に配置されるように設定されている。
【0042】
ホルダ部62は、略矩形枠状の「容器用保持部」としての容器用ホルダ部64を有しており、容器用ホルダ部64の車幅方向両端部が連結アーム60の先端部に連結されている。また、容器用ホルダ部64のテーブル12側の面は、容器用ホルダ面64Aとされており、カップホルダ50が使用位置に回動された際には、容器用ホルダ面64Aが水平(テーブル12の表面と平行)になるように設定されている。これにより、テーブル12の開口部16を挿通した飲料用容器の底面が容器用ホルダ面64A上に配置されるように構成されている。また、容器用ホルダ部64の先端部には、突出部66が設けられており、突出部66は、平面視において容器用ホルダ部64から車両後方へ突出した略円弧状に形成されており、これにより、飲料用容器の底面と容器用ホルダ面64Aとの当接面積を大きくできるように構成されている。
【0043】
容器用ホルダ部64の中央部には、「端末用保持部」としての端末用ホルダ部68が一体に設けられている。端末用ホルダ部68は、容器用ホルダ部64からテーブル12とは反対側(下方)へ突出されると共に、テーブル12側(上方)へ開放された略直方体箱状に形成されている。これにより、容器用ホルダ面64Aが、端末用ホルダ部68に対して車両前方及び車両後方にそれぞれ配置されている。
【0044】
この端末用ホルダ部68における車両前後方向に対向する側壁70A、70Bは、それぞれ車両前後方向に対して直交する方向に沿って配置されている。また、端末用ホルダ部68における車幅方向に対向する側壁72A、72Bは、それぞれ車幅方向に対して直交する方向に沿って配置されている。さらに、この端末用ホルダ部68の底面は端末用ホルダ面74とされており、端末用ホルダ面74は容器用ホルダ面64Aと平行に配置されている。そして、端末用ホルダ部68の開口部は、携帯端末Pの挿入を可能にする大きさに形成されており、これにより、テーブル12の開口部16を挿通した携帯端末Pの底面が端末用ホルダ面74上に配置されるように構成されている。
【0045】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0046】
上記の構成を備えた車両用カップホルダ装置10では、テーブル12が格納位置に配置された状態で、カップホルダ50が収容位置に配置されている(図3参照)。この状態から乗員がテーブル12を車両後方かつ上方へ回動させることで、テーブル12が、格納位置から展開位置へ回動されてロックされる。これにより、テーブル12が水平(上下方向に対して直交する方向)に配置される(図4参照)。
【0047】
この状態で、乗員が飲料用容器を車両用カップホルダ装置10に保持させる際には、テーブル12の開口部16内に飲料用容器を挿通させる。この際には、飲料用容器の底部がカップホルダ50の容器用ホルダ部64を下方へ押圧してカップホルダ50とテーブル12との係合が解除される。これにより、カップホルダ50が収容位置から使用位置へ回動されて、水平に配置されたカップホルダ50の容器用ホルダ面64A上に飲料用容器の底面が配置される。したがって、テーブル12の開口部16によって飲料用容器の上下方向に対して直交する方向(開口部16の径方向外側)への移動が制限されると共に、容器用ホルダ面64Aによって飲料用容器の下方への移動が制限されて、飲料用容器が車両用カップホルダ装置10に保持される。
【0048】
一方、乗員が飲料用容器の替わりに携帯端末Pを車両用カップホルダ装置10に保持させる際には、携帯端末Pをテーブル12の開口部16内に挿通させる。この際には、携帯端末Pが端末用ホルダ部68の開口部内に挿入されて、携帯端末Pの底面が、水平に配置された端末用ホルダ面74上に配置される。これにより、テーブル12の開口部16によって携帯端末Pの上下方向に対して直交する方向(開口部16の径方向外側)への移動が制限されると共に、端末用ホルダ面74によって携帯端末Pの下方への移動が制限されて、携帯端末Pが車両用カップホルダ装置10に保持される(図2参照)。
【0049】
ここで、カップホルダ50には、端末用ホルダ部68が容器用ホルダ部64と一体に設けられており、端末用ホルダ部68は携帯端末Pの底部を保持するように構成されている。このため、携帯端末Pを保持する部材をカップホルダ50とは別に設ける必要がない。
【0050】
しかも、端末用ホルダ部68は携帯端末Pの底部を保持するように容器用ホルダ部64と一体に設けられているため、携帯端末Pの長手方向中間部を保持する従来技術と比較して、飲料用容器を容器用ホルダ部64上に配置する際に飲料用容器に端末用ホルダ部68が干渉しないようにカップホルダ50を構成できる。このため、従来技術のように端末用ホルダ部68の飲料用容器との干渉を回避するために、端末用ホルダ部68を回動させる必要がない。これにより、端末用ホルダ部68を回動可能に支持する機構を設ける必要がない。したがって、携帯端末P及び飲料用容器を簡易な構成で保持できる。
【0051】
また、上述したように、飲料用容器を車両用カップホルダ装置10に保持させる場合と携帯端末Pを車両用カップホルダ装置10に保持させる場合とで、従来技術のように端末用ホルダ部68を回動させる必要がないため、従来技術と比較して利便性を向上できる。
【0052】
さらに、端末用ホルダ部68は、容器用ホルダ部64からテーブル12とは反対側(下方)へ突出されて、テーブル12側(上方)へ開放された略直方体箱状に形成されている。このため、容器用ホルダ部64内に凹部を設けることで、当該凹部を端末用ホルダ部68として構成できる。これにより、携帯端末Pを一層簡易な構成で保持できる。
【0053】
また、端末用ホルダ部68は、容器用ホルダ部64の中央部に設けられている。このため、容器用ホルダ部64が端末用ホルダ部68を跨いで車両前後方向にそれぞれ配置されている。これにより、飲料用容器の底面の車両前方部分及び車両後方部分を容器用ホルダ面64Aによって保持できる。したがって、端末用ホルダ部68を設けても、容器用ホルダ部64によって飲料用容器をバランスよく保持できる。
【0054】
さらに、カップホルダ50の支持部54が、容器用ホルダ部64の車幅方向中央部に対して車幅方向外側へずれて配置されている。このため、支持部54をテーブル12の周縁部に隣接して配置できる。これにより、テーブル12の中央部分のスペースを確保できるため、当該スペースを有効に利用できる。つまり、テーブル12のミラー収容凹部18の大きさを大きくでき、ひいてはミラー20の大きさを大きく設定できる。
【0055】
また、テーブル12はシートバック82の車両後方面にヒンジ機構30を介して連結されている。このため、車両用カップホルダ装置10が、テーブルとしての機能と、飲料用容器を保持する機能と、携帯端末Pを保持する機能と、を備えることができる。これにより、車両用カップホルダ装置10の乗員に対する利便性を向上できる。
【0056】
なお、本実施の形態では、端末用ホルダ部68の側壁70A、70Bは車両前後方向に直交する方向に沿って配置されており、端末用ホルダ部68の側壁72A、72Bは車幅方向に直交する方向に沿って配置されている。これに替えて、側壁70A、70B及び側壁72A、72Bの少なくとも何れか1つが、テーブル12から離間されるのに従って(下方へ向かうに従い)内側(端末用ホルダ部68の内周側)へ傾斜するように配置してもよい。
【0057】
例えば、図11に示すように、側壁70A、70Bをテーブル12から離間するのに従って互いに接近する方向へ傾斜させると共に、側壁72A、72Bをテーブル12から離間するのに従って互いに接近する方向へ傾斜させるように配置してもよい。これにより、端末用ホルダ部68の横断面積がテーブル12(開口部16)から離間されるに従い小さくなるため、各種の携帯端末Pの幅寸法や厚さ寸法に対応して携帯端末Pの底部の周縁を側壁70A、70B、72A、72Bに当接できる。これにより、各種の携帯端末Pの幅寸法や厚さ寸法に対応して端末用ホルダ部68が携帯端末Pの底部を確実に保持できる。
【0058】
また、本実施の形態では、使用位置におけるカップホルダ50の端末用ホルダ面74が水平(上下方向に対して直交する方向)に配置されている。これに替えて、使用位置における端末用ホルダ面74を、側面視で車両前方へ向かうに従い下方へ傾斜して配置してもよい。これにより、端末用ホルダ部68に携帯端末Pを配置した際に、携帯端末Pを傾けて配置できる。このため、例えば、表面に表示部を備えた携帯端末Pにおいて、携帯端末Pの裏面を開口部16の縁部に当接させて保持することで、当該携帯端末Pの表示部を保護できる。
【0059】
さらに、本実施の形態では、端末用ホルダ部68は容器用ホルダ部64と共に樹脂により一体に形成されている。これに替えて、端末用ホルダ部68の側壁70A、70B、側壁72A、72Bの内側面及び端末用ホルダ面74を、例えば、エラストマ等の弾性材により成形してもよい。これにより、端末用ホルダ部68の携帯端末Pに対する衝撃性能や保持性能や保護性能を向上できる。
【0060】
また、本実施の形態では、テーブル12とカップホルダ50とが別体に設けられているが、テーブル12とカップホルダ50とを一体に設けてもよい。
【0061】
さらに、本実施の形態では、車両用カップホルダ装置10がシートバック82に設けられているが、車両用カップホルダ装置10が設置される場所はこれに限らない。一例として、車両用カップホルダ装置10を、車両の内装を構成するインストルメントパネル内に設置してもよい。この場合には、テーブル12が車両前後方向にスライド移動するように構成してもよい。他の例として、車両用カップホルダ装置10を、車両のシートの間に配置されると共に車両の内装を構成するアームレストに設置してもよい。この場合には、例えば、上部に蓋を有するアームレスト内にテーブル12を配置すると共に、テーブル12とカップホルダ50とを一体に設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 車両用カップホルダ装置
12 テーブル(ベース部材)
16 開口部
50 カップホルダ(保持部材)
54 支持部
64 容器用ホルダ部(容器用保持部)
68 端末用ホルダ部(端末用保持部)
70A 側壁
70B 側壁
72A 側壁
72B 側壁
80 シート
82 シートバック
P 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装を構成する部材に取付けられ、飲料用容器及び携帯端末が挿通可能に形成された開口部を有するベース部材と、
前記開口部の下方において前記ベース部材に設けられ、前記飲料用容器の底部を保持可能に構成された容器用保持部と前記容器用保持部と一体に形成されると共に前記携帯端末の底部を保持可能に構成された端末用保持部とを有する保持部材と、
を備えた車両用カップホルダ装置。
【請求項2】
前記端末用保持部は、前記開口部側へ開放された凹状に形成されると共に、前記容器用保持部に対して下方に配置された請求項1に記載の車両用カップホルダ装置。
【請求項3】
前記端末用保持部の側壁が前記開口部から離間されるのに従って内側へ傾斜して配置された請求項2に記載の車両用カップホルダ装置。
【請求項4】
前記保持部材は、軸方向を車幅方向として前記ベース部材に回動可能に支持される支持部を備え、
前記支持部が前記容器用保持部の車幅方向中央部に対して車幅方向にずれて配置された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用カップホルダ装置。
【請求項5】
前記ベース部材が車両のシートのシートバックの背面側に取付けられた請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用カップホルダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−112174(P2013−112174A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260382(P2011−260382)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】