説明

車両用グレージング材

【目的】 透明性、剛性、耐衝撃性並びに耐摩耗性の優れた車両用グレージング材を得る。
【構成】 特定のグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体、或はメタクリル樹脂からなる層と、耐衝撃性を有する透明性ポリマーからなる層で構成される積層構造物の表面に直接またはプライマー層を介して表面硬化膜を備えて成り、上記耐衝撃性を有する透明性ポリマーがポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリオレフィン、ポリアミドおよびシリコーンからなる群から選ばれたポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層構造物から成る車両用グレージング材に関する。
【0002】
【従来の技術】車両業界においてはグレージング材としてガラスが長年用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】昨今地球環境問題から車両業界において燃費の向上が迫られており、その一対策として車両重量の軽量化が検討されているが、グレージング材について従来のガラス材料を樹脂化することで軽量化を図ることが可能である。
【0004】グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体、及びメタクリル樹脂はガラスに似た透明性に大きな特長を有し、熱可塑性樹脂の中でも耐候性、耐擦傷性および剛性に比較的優れており、ガラス代替として有望である。しかし、これら樹脂は脆性的な樹脂であり、耐衝撃性に劣り、また割れた場合破片がシャープエッジを有するため搭乗者に危害を及ぼす虞があり、そのままガラス代替として用いることは難しい。これらの樹脂の耐衝撃性を改善する方法として一般にゴム成分を添加して改質する方法が知られている。かかる方法でゴム成分の添加量を増加させることにより耐衝撃性を改良することは可能ではあるが,反面弾性率が低下する傾向にある。グレージング材としては、走行中の風圧によるたわみの点からなるべく剛性(弾性率)の高いことが望まれ、ゴム成分による耐衝撃性の改善はグレージング材の場合には問題が残る。
【0005】ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリオレフィンおよびポリアミド等の樹脂はグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体やメタクル樹脂と比較して耐衝撃性に優れた透明性を有する樹脂であるが、弾性率が低いために単体としてグレージング材に使用するには剛性が不足である。またグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体及びメタクリル樹脂は熱可塑性樹脂の中では比較的耐候性、耐擦傷性に優れたポリマーではあるが、ガラスより劣るため視認性が重要であるグレージング材には従来使用が困難とされている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の問題点に鑑み、車両グレージング材として樹脂を使用すべく鋭意検討した結果、特定のグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体と耐衝撃性を有する透明性ポリマーを組合せることにより問題点を解決し得ることを見出し、本発明を達成するに至った。
【0007】従って、本発明は、次の一般式
【化2】


(式中R1 ,R2 ,R3 は各々水素原子または炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基またはアリール基を表わす。) で示されるグルタルイミド及びメチルメタクリレートの共重合体、或はメタクリル樹脂からなる層と耐衝撃性を有する透明性ポリマーからなる層で構成される積層構造物の表面に直接またはプライマー層を介して表面硬化膜を備えて成り、耐衝撃性を備えた透明性ポリマーがポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリオレフィン、ポリアミドおよびシリコーンから成る群から選ばれたポリマーであることを特徴とする積層構造物に関するものである。
【0008】本発明で使用されるグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体はメタクリル樹脂をイミド化することにより製造されたものであり、メタクリル樹脂本来の優れた光学的特性、耐擦傷性、耐候性を損なうことなく、耐熱性が向上されたものである。また該共重合体は弾性率が高く剛性に優れ、また線膨脹係数も比較的小さいことから車両グレージング材として適する。またグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体の製造方法は、例えば特公平2−42362 号公報に記載されている。ここで述べられている製造方法は、メタクリル樹脂とアミンを特定の条件で反応させることによりメタクリル樹脂の高分子鎖間に縮合反応を起こさせる反応工程と、反応工程で生成したイミド化されたメタクリル樹脂を含む反応生成物から揮発性物質を分離除去する工程から成り立つ。
【0009】JIS K 6717においてメタクリル樹脂とはポリメチルメタクリレートを80%以上含むものと定義されているが、本発明で使用されるメタクリル樹脂は主成分が80%以上と限定されるものではなく、耐熱性メタクリル樹脂、耐衝撃性メタクリル樹脂等の公知の変性アクリル樹脂も利用できる。
【0010】本発明の積層構造物の構成は、グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体或いはメタクリル樹脂から成る層をA層とし、耐衝撃性を備えた透明樹脂から成る層をB層とすると、A層とB層を1層以上含む構成であれば、A/B,A/B/A, B/A/B,A/B/A/B等と層の数と順序を自由に設定することができる。A層とB層で選択される樹脂は各々1種類に限定されることなく、例えばA/B/B′/B/A等の様に構成することもできる。耐衝撃性の改善には例えばA/B/Aの様に耐衝撃性に優れたB層をA層の間に位置させることや、積層数を増やすことが効果的である。
【0011】積層厚み比は任意であるが、積層構造物中のA層厚み合計とB層厚み合計の比がA:B=100:1〜5:1で耐衝撃性が十分改善される。B層の厚み比を大きくすると耐衝撃性についての効果は大きいが、剛性が低下する虞がある。
【0012】積層方法は、例えばA層にグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体を、B層にポリカーボネートと耐熱的に近い樹脂を選択した場合、特開平4−19142 号公報で提案されている共押出法が可能である。また、射出成形機を用いて金型内でメタクリル樹脂とポリカーボネートフィルムを積層する方法、或はメタクリル樹脂シートをウレタン系接着剤を用いて積層する方法、或はグルタルイミドとメチルメタクレートの共重合体とポリビニルブチラールを加熱プレスで積層する方法など、様々な積層方法を採ることができる。
【0013】本発明の積層構造物の表面は耐摩耗性に劣るために、ハードコート処理を行い表面に表面硬化膜を形成させる。表面硬化膜は、表面硬化無機膜として、SiOx(x≦2)膜、SiyNz(y≦3 、z≦4)膜、アモルファス状炭素膜が好ましく、これらはプラズマCVD法により形成される。
【0014】プラズマCVD法とは、原料ガスをエネルギー密度の高いプラズマ状態中に導入して分解させ、被覆させたい物質表面へ化学反応によって目的の材料を被覆させる方法であり、用いる装置は通常使用されるいずれのものでもよく、例えば平行平板電極型、容量結合型または誘導結合型などが使用可能である。装置内圧力は10-2〜1トル(Torr)の範囲が好ましいが、2×10-1Torr程度が特に好ましい。また、電源周波数としてはオーディオ波からマイクロ波領域まで幅広く使用することができる。
【0015】表面硬化膜としてSiOx(x≦2)膜を形成する場合、シリコン原料としてはシランガスあるいは有機シリコーン化合物が好適に用いられるが、シランガスを用いる場合には酸素原料として N2Oガスを、また有機シリコーン化合物を用いる場合には酸素原料として N2Oガスまたは O2 、 O3 ガスをそれぞれ組合せて用いるのが好ましい。
【0016】本発明において用いられる有機シリコーン化合物は、珪素に炭素を含む基が結合しているものから任意に選択されるのが好ましい。有機シリコーン化合物としてはテトラエトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシラン等が好適に用いられる。これらの有機シリコーン化合物は、その1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。使用する有機シリコーン化合物が常温で液体である場合は、有機シリコーン化合物の入った容器全体を加熱して気化させて所定の流量で制御して一定のAr ガスと一緒に装置へ導入する(直接気化導入方式)か、または一定量のAr ガスをキャリヤーガスとして用い、有機シリコーン化合物の入っている温度制御可能な容器中でバブリングさせて有機シリコーン化合物蒸気と一緒に装置へ導入する( キャリアーガスによるバブリング導入方式) いずれの方法でも好適である。
【0017】表面硬化膜として SiyNz(y≦3、z≦4)膜を形成する場合、シリコン原料としてはシランガス、窒素原料としては N2 または NH3ガスが好適に用いられる。表面硬化膜としてアモルファス状炭素膜を形成する場合、炭素原料としては炭化水素ガスが好適に用いられる。炭化水素ガス濃度が濃い場合には、H2ガスを同時に導入して希釈してもさしつかえない。
【0018】上述の表面硬化膜は積層構造物表面上へ直接形成してもさしつかえないが、表面硬化膜の密着性を改善させる目的から中間にプライマー層が存在していてもさしつかえない。この様なプライマー層としては、積層構造物と表面硬化膜との密着性が良好なものが好ましく、例えばアクリル系(例えば東芝シリコーン社製PH-91 、固形分;熱可塑性アクリルポリマー、溶剤:エチルセロソルブ、セロソルブアセテート)、ウレタン系、ポリエステル系などが使用可能である。
【0019】表面硬化膜の製造方法について例示すると以下のとおりである。作製された本発明の積層構造物は、まず、イソプロピルアルコールによる脱脂処理をした後に純水リンスおよび窒素ブロー乾燥して洗浄する。洗浄終了後、この基板をプラズマCVD装置内へセットした後に装置内を排気し、真空度2×10-5Torrで基板の脱ガスのために基板温度を 100℃に上げて5分間保持する。その後に室温に戻し、真空度が2×10-6Torrになるまで排気を続ける。
【0020】真空度2×10-6Torrになった際、続いて表面硬化膜の形成準備に入る。表面硬化膜を形成するための原料ガスを装置内へ導入し、ガスの流量が安定したところで電力を印加してプラズマを発生させて表面硬化膜を形成させる。表面硬化膜の膜厚は1μm 以上が良いが、特に1〜8μm の範囲にあるのが好ましい。
【0021】積層構造物と表面硬化膜との間にプライマー層を設ける場合、基板の洗浄終了後に、流し塗り法、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法のいずれかの方法で塗布する。いずれの方法でも好ましく、また膜厚は1μm 以上であれば好ましい。塗布後任意の時間放置して風乾させて形成する。この後、上述と同様にして積層構造物をプラズマCVD装置内に挿入し、表面硬化膜を形成する。この様にして得られた表面硬化膜の耐摩耗性は、テーバー摩耗試験法による1000回転でのヘイズ(曇化)値変化ΔH%をヘイズメーターにより測定し、ヘイズ値変化が小さいほど耐摩耗性は良好であると判断する。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明する。
実施例1〜3図1a,bおよびcに示す下記のA層1およびB層2よりなる実施例1,2および3の厚み5mmの積層構造物の試料 No.1,2および3を作製し、耐衝撃性、剛性、透明性及び耐摩耗性について試験を実施した。
・材料 A層:グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体(三菱レイヨン製 PMIレジン)B層:ポリカーボネート(厚さいずれも 0.2mm)(GE製 LEXAN)・積層方法 共押出による押出成形・表面処理法作製された積層構造物は、まず、イソプロピルアルコールにより脱脂処理した後に純水リンスおよび窒素ブロー乾燥して洗浄した。洗浄終了後、この基板をプラズマCVD装置内へセットした後に装置内を排気し、真空度2×10-5Torrで基板の脱ガスのために基板温度を100 ℃に上げて5分間保持した。その後に室温に戻し、真空度が2×10-6Torrになるまで排気を続けた。真空度が2×10-6Torrになった際、続いて表面硬化膜の形成準備に入った。表面硬化膜を形成するための原料ガスを装置内へ導入し、ガスの流量が安定したところで電力を印加してプラズマを発生させて表面硬化膜を形成させた。表面硬化膜の膜厚は5μm とした。
・耐衝撃性試験ダインシュタット衝撃試験機を用いて衝撃強さを測定した。試験片幅10mm、衝撃刃と試料ホルダー間 8.75mm として、フルスケール 20Kgf-cmにハンマーを設定した。結果を表1に示す。
・剛性 3点式曲げ試験により弾性率を測定した。結果を表2に示す。
・透明性 全光線透過率を標準光源Cで測定した。結果を表3に示す。
・耐摩耗性 テーバー摩耗試験による1000回転でのヘイズ(曇化)値変化ΔH%を測定した。結果を表4に示す。
【0023】比較例1図2に示す厚さ5mmのグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体単体1から成る構造物に従来よりプラスチックの表面硬化層として使用されているシロキサン結合を有するコーティング剤である CH3Si(OCH3)3 と四アルコキシ珪素の共部分加水分解物または、各々の部分加水分解物との混合物から主として成るシリコーン系コーティング剤、「スミユニ」(住友化学工業(株)製、商品名)をディッピング法により塗布し、20分間放置して風乾させた後に 100℃で60分間保持してシリコーン系コーティング層を8μm 形成した。テーバー摩耗試験による1000回転でのヘイズ値変化ΔH%を表4に示した。
【0024】尚コーティング剤としては、メチルシルセスキシロキサンおよびコロイダル状シリカの混合物より主として成るコーティング剤、「トスガード」(東芝シリコーン(株)製、商品名)を用いて同様の結果が得られた。
【0025】次に、実施例1〜3と同じ条件で耐衝撃性、剛性および透明性について試験を行ない、それぞれ得た結果を表1,表2および表3に示す。更に、実施例1〜3と同じ条件で耐摩耗性について試験を行ない、得た結果を表4に示す。
【0026】実施例4図3に示す下記のA層のメタクリル樹脂層3とB層のポリカーボネートフィルム2よりなる厚さ6mmの積層構造物を作製し、耐衝撃性について試験を実施した。
・材料 A層:メタクリル樹脂(三菱レイヨン製アクリペットVH)
B層:ポリカーボネートフィルム(0.2mm 厚)(三菱レイヨン製)・積層方法 射出成形、インモールド成形・表面処理方法 実施例1と同じ・耐衝撃試験 落球式衝撃試験。100 ×100mm の試験片を 80 ×80mmの枠で全周を固定し、286.5 gの鋼球を試験片中央に自由落下させて、試験片の割れ方の観察、及び試験片1枚当りに発生したき裂の長さを測定した。
【0027】この結果、A層にはき裂が生じたがB層にはき裂が生じず、A層とB層が密着しているために割れたA層の破片が飛散することがなかった。また、き裂長さの測定結果を図5に示す。
【0028】比較例2図4に示す厚さ6mmのメタクリル樹脂から成る単体3から成る構造物について実施例4と同条件で試験を実施した。この結果、高さ 120cm以上から鋼球を落下させた場合、破片が飛散した。また、き裂長さの測定結果を図5 に示す。なお、落下高さ 120cm 以上でき裂長さに大きな変化が見られないのは、き裂が試験片のエッジに達したためである。表面処理方法については比較例1と同様である。
【0029】実施例1〜3と同様に剛性、透明性を評価し、耐衝撃性は、落球試験の他に実施例1〜3と同様のダインシュタット衝撃試験機でも評価した。得た結果は表1〜3に示す。
【0030】
【表1】


【0031】
【表2】


【0032】
【表3】


【0033】
【表4】


【0034】実施例5図6に示す厚さ6mmの積層構造物を用いて、耐衝撃性について試験を実施した。
・材料 A層:グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体(三菱レイヨン製PMIレジン)
B層:ポリビニルブチラール。積層後の厚み0.4mm・積層方法 射出成形によって得たPMI成形板(A層)2枚の間に、厚さ0.8mm のポリビニルブチラールフィルム(B層)を重ね、プレス成形機で150 ℃加熱条件のもと、加圧によって積層した。
・耐衝撃試験 落球式衝撃試験。 100×100mm の試験片を80×80mmの枠で全周を固定し、286.5gの鋼球を試験片中央に自由落下させて、試験片1枚当りに生じたき裂の長さを測定した。
測定結果を図8に示す。A層にはき裂が生じたが、B層にはき裂は生じず、A層とB層が密着しているために、き裂の生じたA層の破片の飛散は見られなかった。
【0035】実施例6図7に示す厚さ6mmの積層構造物を用いて、耐衝撃性について試験を実施した。
・材料 A層:グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体(三菱レイヨン製PMIレジン)
B層:ポリウレタン系接着剤。0.3mm 厚(日本ポリウレタン工業製)
・積層方法 射出成形によって得たPMI成形板(A層)2枚の間に、ポリエステルポリオール・ニッポラン1004(日本ポリウレタン工業)とポリイソシアネート・コロネートHX(日本ポリウレタン工業)の重量比8:2の混合液を注入し、80℃雰囲気中で混合液を硬化させて積層した。
・耐衝撃試験 落球式衝撃試験。 100×100mm の試験片を80×80mmの枠で全周を固定し、286.5gの鋼球を試験片中央に自由落下させて、試験片1枚当りに生じたき裂の長さを測定した。
測定結果を図8に示す。A層にはき裂が生じたが、B層にはき裂は生じず、A層とB層が密着しているために、き裂の生じたA層の破片の飛散は見られなかった。
【0036】比較例3厚さ6mmのグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体(三菱レイヨン製PMIレジン)について実施例5と同条件で試験を実施した。測定結果を図8に示す。高さ120cm 以上から鋼球を、落下させた場合には破片の飛散が見られた。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体またはメタクリル樹脂からなるA層と、耐衝撃性を有する透明性ポリマーからなるB層で構成される積層構造物の表面にハードコート処理を施し、表面硬化膜を設けたことによりA層の優れた特性である透明性、剛性を損なうことなく、耐衝撃性を改善するこことができた。またハードコード処理を施すにあたって、表面硬化膜として無機膜を使用することにより、本発明の積層構造物表面の耐摩耗性が著しく改善出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は実施例1の積層構造物の断面図であり、(b) は実施例2の積層構造物の断面図であり、(c) は実施例3の積層構造物の断面図である。
【図2】比較例1の構造物の断面図である。
【図3】実施例4の積層構造物の断面図である。
【図4】比較例2の構造物の断面図である。
【図5】実施例4の積層構造物及び比較例2の構造物につき行った落球試験結果を示すグラフである。
【図6】実施例5で用いられた積層構造物の側断面図である。
【図7】実施例6で用いられた積層構造物の側断面図である。
【図8】実施例5,6及び比較例3で用いられた落球式衝撃試験結果である。
【符号の説明】
1 グルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体より成るA層(または単体)
2 ポリカーボネートより成るB層
3 メタクリル樹脂から成るA層(または単体)
4 ポリビニールブチラールから成るB層
5 ポリウレタン系接着剤から成るB層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 次の一般式
【化1】


(式中R1 ,R2 ,R3 は各々水素原子または炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基またはアリール基を表わす。) で示されるグルタルイミドとメチルメタクリレートの共重合体、或はメタクリル樹脂からなる層と、耐衝撃性を有する透明性ポリマーからなる層で構成される積層構造物の表面に直接またはプライマー層を介して表面硬化膜を備えて成り、上記耐衝撃性を有する透明性ポリマーがポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリオレフィン、ポリアミドおよびシリコーンから成る群から選ばれたポリマーであることを特徴とする車両用グレージング材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平6−71826
【公開日】平成6年(1994)3月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−228590
【出願日】平成4年(1992)8月27日
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)