説明

車両用コンソールボックス

【課題】リッドの肘掛けとしての使用感を向上させることができ、しかもリッドを肘掛けとして利用しているときにも収容凹部を使用することができる車両用コンソールボックスを提供する。
【解決手段】収容凹部3の左右両側部には、後ろ上がりに傾斜した一対のリンク7を配置する。リンク7の前端部は、ボックス本体2に左右方向に延びる水平な軸線C1を中心として回動可能に連結する。リンク7の後端部には、リッド6の後端部を平行回動可能に連結する。リンク7をステッピングモータ(図示せず)によって回転駆動する。ステッピングモータを停止させることにより、リッド6を想像線で示す閉位置と実線で示す開位置との間の任意の位置で位置固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用コンソールボックス、特に運転席と助手席との間に設けられる車両用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の運転席と助手席との間には、コンソールボックスが設けられている。コンソールボックスは、車両の床に設けられるボックス本体と、このボックス本体の後端部に上下方向へ回動可能に設けられたリッドとを備えている。ボックス本体の上面には、収容凹部が形成されている。リッドは、閉位置と開位置との間を回動可能になっており、閉位置に位置したときには収容凹部を閉じ、開位置に位置したときには収容凹部を開く。
【0003】
【特許文献1】実開平7−8093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リッドは、閉位置に位置しているときには肘掛けとして用いられることが可能であるが、従来のコンソールボックスではリッドの高さが低いため、リッドを肘掛けとして利用するときには姿勢を崩さなければならず、使用感が良くないという問題があった。勿論、閉位置に位置しているときのリッドの高さを高くすることによって使用感を向上させることができるが、そのようにするとコンソールボックスを肘掛けとして使用しないときには、コンソールボックスが邪魔になるという問題が生じてしまう。また、リッドを肘掛けとして使用しているときには、リッドが閉位置に位置している関係上、収容凹部を使用することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するために、上面に収容凹部が形成されたボックス本体と、上記収容凹部を閉じるリッドとを備えた車両用コンソールボックスにおいて、上記リッドが上記ボックス本体に上記収容凹部を閉じた閉位置とこの閉位置に対して前斜め上方又は後ろ斜め上方に離れた開位置との間を平行移動可能に連結され、上記ボックス本体と上記リッドとの間に上記リッドを上記閉位置より上記開位置側へ向かった所定の位置において位置固定する固定手段が設けられていることを特徴としている。
この場合、上記リッドが、上記本体に平行回動可能に設けられていることが望ましい。
また、上記リッドを回動させるモータをさらに備え、停止時における上記モータが上記固定手段として用いられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、リッドを肘掛けとして利用する場合には、リッドを閉位置から開位置側へ向かって所定の位置に移動させた後、固定手段によって固定する。これにより、リッドの高さを高くすることができる。したがって、リッドを肘掛けとして使用したときの使用感を向上させることができる。しかも、リッドを所定の位置に移動させたときには、リッドが上方へ移動するのみならず、閉位置から前後いずれかの方向へも移動している。したがって、収容凹部の前後いずれかの端部を上方に向かって開くことができ、その開いた端部から収容凹部に物品を出し入れすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態の車両用コンソールボックス1は、ボックス本体2を備えている。ボックス本体2は、長手方向を前後方向に向けて車両の床(図示せず)設けられている。ボックス本体2の後側の略半分は、運転席と助手席(いずれも図示せず)との間に配置されている。ボックス本体の前側の略半分は、運転席と助手席との間から前方に延び、インストルメントパネル(図示せず)の下側まで延びている。ボックス本体2の運転席と助手席との間に位置する部分の上面には、収容凹部3が形成され、収容凹部3より若干前方側には飲料用ボトルB1等を収容するカップホルダ4が形成され、さらにその前方にはシフトレバー5が設けられている。
【0008】
収容凹部3の上端開口部は、リッド6によって開閉されるように構成されている。すなわち、収容凹部3の内部の左右両側部には、一対のリンク7,7(一方のリンク7のみ図示)が設けられている。リンク7は、後ろ上がりに傾斜した状態で配置されている。リンク7の前端部は、収容凹部3の前端下部に位置しており、左右に延びる水平な軸線C1を中心としてボックス本体2に回動可能に連結されている。リック7の回動範囲は、図1において想像線で示す閉位置と、実線で示す開位置との間に制限されている。リンク7の後端部は、リンク7が閉位置に位置しているときには収容凹部3の上端開口部とほぼ同一位置に位置し、リンク7が開位置に位置しているときには収容凹部3から上方に突出している。したがって、リンク7が閉位置から開位置まで回動すると、リンク7の上端部が上方へ移動するとともに、前方へ移動する。
【0009】
リンク7の後端部には、リッド6の後端部が左右方向に延びる水平な軸線C2を中心として回動可能に連結されている。リッド6は、リンク7が回動したときに平行移動するように、つまり姿勢を一定にした状態で移動するように、リンク7に対してその回動角度と同一角度だけ回動するように連結されている。したがって、リッド6は、常にその長手方向を前後方向に向けた水平な状態になっている。よって、リッド6の上面は、リッド6の位置に拘わらず常に肘掛けとして利用することができる。なお、リッド6を平行移動させるためにリンク7とリッド6との間には、リッド6を軸線C2を中心として平行回動可能に連結する平行回動連結機構が設けられているが、この平行回動連結機構の構造は周知であるのでその詳細な説明は省略する。
【0010】
リッド6は、リンク7の閉位置と開位置との間の回動に対応して、図1において想像線で示す閉位置と実線で示す開位置との間を移動する。リッド6は、閉位置に位置しているときにはその下面がボックス本体2の上面とほぼ同一位置に位置し、収容凹部3の開口部を閉じている。ただし、この実施の形態では、収容凹部3全体がリッド6によって閉じられることがなく、収容凹部3の前後の両端部が若干開かれている。勿論、閉位置に位置するリッド6によって収容凹部3全体を閉じるようにしてもよい。一方、リッド6の開位置は、閉位置に対して前斜め上方に位置しており、リッド6は、開位置に位置しているときには、ボックス本体2から上方に離間するとともに、閉位置から所定距離だけ前方に位置している。その結果、リッド6全体が収容凹部3の後端部より前方に位置することになり、収容凹部3の後端部が上方に向かって開放されている。したがって、リッド6を開位置に移動させたときには、収容凹部3の後端部を、飲料用ボトルB2等を収容するためのカップホルダとして利用することができるとともに、各種の小物等を収容凹部3に対してその後端部から出し入れすることができる。
【0011】
リンク7は、ステッピングモータ等のモータ(図示せず)によって回転駆動されている。リンク7及びリッド6は、モータを適宜に回動位置で停止させることにより、閉位置と開位置との間の任意の位置で停止させることができる。しかも、リンク7及びリッド6は、リンク7を回動させるためのモータとしてステッピングモータを用いたり、モータとリンク7との間にウォーム歯車機構(図示せず)を介在させることにより、任意の位置において回動不能に位置固定することができる。したがって、この実施の形態では、モータがリッド6及びリンク7を位置固定するための固定手段として兼用されている。
【0012】
上記構成のコンソールボックス1においては、リッド6を開位置に回動させることによって収容凹部3の後端部を開放することができ、当該後端部から小物等を収容凹部3に対して出し入れすることができるとともに、収容凹部3の後端部をカップホルダとして利用することができる。また、リッド6を閉位置から開位置側へ移動させることにより、リッド6の高さを高くして肘掛けとして利用することができる。しかも、リッド6は任意の位置に停止させることができるので、乗員の体格に合わせてリッド6の高さを調節することができる。
【0013】
図2及び図3は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態のコンソールボックス1′は、リッド6を落とし蓋の形態にしたものであり、リッド6が収容凹部3に対して出没可能になっている。リッド6は、その全体が収容凹部3内に入り込んだ没入位置(閉位置)と上記実施の形態と同一の開位置との間を平行回動可能になっている。リッド6が没入位置に位置しているときには、リンク7がほぼ水平になり、収容凹部3の底面にほぼ接している。また、ボックス本体2の左右両側部には、一対の化粧蓋8,8が前後方向に延びる水平な軸線C3を中心として開閉可能に設けられている。したがって、リッド6を没入位置に位置させたときには、化粧蓋8,8を閉位置に回動させることによって収容凹部3の開口部を閉じ、それによって美観の向上を図ることができる。その他の構成は、上記実施の形態と同様であるので、同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0014】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、リッド6をボックス本体2にリンク7を介して平行回動可能に連結しているが、閉位置と開位置との間を直線的に平行移動可能に連結してもよい。
また、リンク7を後ろ上がりに配置し、その前端部をボックス本体2の前端下部に回動可能に連結するとともに、その後端部にリッド6の後端部を回動可能に連結しているが、これとは前後対称に構成してもよい。すなわち、リンク7を前上がりに配置し、その後端部をボックス本体2の後端下部に回動可能に連結するとともに、その前端部にリッド6の前端部を回動可能に連結してもよい。このように構成した場合、リッド6の開位置は閉位置に対して後ろ斜め上方に位置することになる。
さらに、上記の実施の形態においては、リンク7をモータで回動させているが、手動で回動させるようにしてもよい。その場合には、ボックス本体2とリンク7との間に、リンク7を閉位置と開位置との間の開位置を含む一又は複数の箇所でボックス本体2に位置固定するための固定機構を設け、それによって開位置側へ回動したリッド6を肘掛けとして利用可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1実施の形態の要部の概略構成を示す断面図である。
【図2】この発明の第2実施の形態の要部の概略構成を示す断面図である。
【図3】リッド及びリンクを没入位置に位置させた状態での図2のX−X線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 車両用コンソールボックス
1′ 車両用コンソールボックス
2 ボックス本体
3 収容凹部
6 リッド
7 リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に収容凹部が形成されたボックス本体と、上記収容凹部を閉じるリッドとを備えた車両用コンソールボックスにおいて、
上記リッドが上記ボックス本体に上記収容凹部を閉じた閉位置とこの閉位置に対して前斜め上方又は後ろ斜め上方に離れた開位置との間を平行移動可能に連結され、上記ボックス本体と上記リッドとの間に上記リッドを上記閉位置より上記開位置側へ向かった所定の位置において位置固定する固定手段が設けられていることを特徴とする車両用コンソールボックス。
【請求項2】
上記リッドが、上記本体に平行回動可能に設けられていることを特徴とする車両用コンソールボックス。
【請求項3】
上記リッドを回動させるモータをさらに備え、停止時における上記モータが上記固定手段として用いられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用コンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−315480(P2006−315480A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138386(P2005−138386)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】