説明

車両用コンソールボックス

【課題】 運転中にもホルダに保持された飲料容器を取り出すことができ、しかも飲料容器が運転の邪魔にならない車両用コンソールボックスを提供する。
【解決手段】収容部2cを有するボックス本体2と、収容部2cの上端開口部を開閉する蓋体3と、収容部2c内に下位置と上位置との間を上下方向へ移動可能に設けられホルダ5とを備え車両用コンソールボックス1において、ホルダ5を上記下位置に係止して上位置側への移動を阻止する係止手段7と、ボックス本体2の外部から操作可能とされ、所定の操作時に係止手段7によるホルダ5の係止状態を解除する解除釦8と、係止手段7による係止状態が解除したときにホルダ5を下位置から上位置まで移動させる移動手段9とをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運転席と助手席との間等に設けられる車両用コンソールボックス、特に飲料缶等の飲料容器を保持するためのホルダを内蔵した車両用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の車両用コンソールボックスとしては、例えば下記特許文献1に記載のものがある。この車両用コンソールボックスは、内部に収容部が設けられたボックス本体と、収容部の上端開口部を開閉する蓋と、収容部に上下方向へ移動可能に設けられたホルダとを有している。ホルダは、飲料容器を保持するためのものであり、蓋の開閉動作に連動して上下方向へ移動するようになっている。すなわち、蓋を開くと、ホルダが蓋によって所定の上位置まで上方へ移動させられる。逆に、蓋を閉じるとホルダが自重によって上位置から所定の下位置まで移動させられる。
【0003】
このように構成されたコンソールボックスによれば、蓋を開いたときにはホルダが下位置から上位置まで移動するので、飲料容器を容易に出し入れすることができるというメリットが得られる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−90928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両用コンソールボックスにおいては、蓋を開くと必ずホルダが上位置に移動してしまい、飲料容器がコンソールボックスから上方へ大きく突出する。このため、運転中に飲料容器の飲料を飲もうとして蓋を開けると、飲料容器が運転の邪魔になるという問題があった。勿論、蓋を閉じれば飲料容器が運転の邪魔になることはないが、そのようにすると運転しながら飲料を飲むことができなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の問題を解決するために、上部が開口した収容部を有するボックス本体と、上記収容部の上端開口部を開閉する蓋体と、上記収容部内に下位置とこれより上側の上位置との間を上下方向へ移動可能に設けられホルダとを備え、上記ホルダが飲料缶等の飲料容器を保持する車両用コンソールボックスにおいて、上記ホルダを上記下位置に係止して上記上位置側への移動を阻止する係止手段と、上記ボックス本体の外部から操作可能とされ、所定の操作時に上記係止手段による上記ホルダの係止状態を解除する解除部材と、上記係止手段による係止状態が解除したときに上記ホルダを上記下位置から上記上位置まで移動させる移動手段とをさらに備えたことを特徴とする車両用コンソールボックス。
【発明の効果】
【0007】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、ホルダを係止手段によって下位置に係止しておけば、蓋を開けたとしてもホルダが上位置に移動することがない。したがって、ホルダに保持された飲料容器が運転の邪魔になることを防止することができる。また、駐停車中のように運転していないときには、蓋を開けた後、解除手段を操作して係止手段によるホルダの係止状態を解除し、ホルダを移動手段によって上位置まで移動させる。これによって、コンソールボックスから飲料容器を容易に出し入れすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明に係る車両用コンソールボックス1の主要部を示す断面図である。このコンソールボックス1は、ボックス本体2、蓋体3、収容ボックス4及びホルダ5を備えている。
【0009】
ボックス本体2は、ほぼ水平な天板部2aと、この天板部2aの左右方向(車幅方向)の両側部から下方に延び、下端部が車両の床Fに固定された一対の側板部(図1には一方の側板部のみ図示)2bとを有している。天板部2aの下側には、天板部2a及び一対の側板部2bによって区画される収容部2cが形成されている。収容部2cは、天板部2aに形成された貫通孔2dを介して上方に開放されている。
【0010】
蓋体3は、収容部2cを開閉するためのものであり、ボックス本体2にヒンジや他の回動手段(図示せず)を介して閉位置と開位置との間を変位可能に設けられている。蓋体3は、閉位置に位置しているときには、貫通孔2d内に入り込んで収容部2cを閉じている。開位置に位置しているときには、貫通孔2dの後端部(車両の後方側の端部)に位置し、貫通孔2dから下方に延びるように立っている。このように位置することにより、蓋体3が収容部2cを開いている。
【0011】
ボックス本体2の収容部2c内には、収容ボックス4が固定されている。この収容ボックス4は、上端が開口した箱状をなしており、その上端開口部を貫通孔2dと上下に対向させて配置されている。収容ボックス4は、平面視において貫通孔2dより若干小さく形成されている。特に、収容ボックス4の前後方向の長さは、収容ボックス4の後端面と貫通孔2dの後端面との間に所定の大きさの隙間が形成されるように設定されている。その隙間は、蓋体3が閉位置と開位置との間を回動することを許容するだけの大きさを有している。
【0012】
収容ボックス4の内部には、ホルダ5が上下方向へ移動可能に収容されている。ホルダ5は、上端が開口した箱状をなす保持部5aと、この保持部5aの前壁部の下端部から前方に延びる連結部5bと、この連結部5bの先端部に設けられたガイド筒部5cとを有している。保持部5aは、収容ボックス4の内部に上下方向へ移動可能に収容されている。連結部5bは、収容ボックス4の前側壁部を貫通する上下に長い長孔4aを上下方向へ移動可能に貫通している。ガイド筒部5cは、天板部2aと床Fとの間に上下に立設固定されたガイドロッド6に上下方向へ移動可能に外挿されている。
【0013】
ホルダ5は、図1において実線で示す下位置と、この下位置より上側の想像線で示す上位置との間を上下方向へ移動可能になっている。ホルダ5の下位置は、係止手段7によって定められており、ホルダ5の上位置は、ガイド筒部5cがガイドロッド6に設けられたストッパ6aの下面に突き当たることによって定められている。
【0014】
係止手段7は、係止部材71を有している。係止部材71は、ボックス本体2に上下方向及び左右方向へは移動不能に、前後方向へは移動可能に設けられている。係止部材71の前後方向への移動範囲は、図に示す係止位置と、この係止位置から所定距離だけ前方に離間した解除位置との間に設定されている。係止部材71は、復帰ばね72により後方に向かって、つまり解除位置から係止位置に向かって付勢されている。
【0015】
係止部材71の後方を向く面には、係止凹部71aが形成されている。この係止凹部71aは、ホルダ5が下位置に位置し、かつ係止部材71が係止位置に位置しているときに、ガイド筒部5cに設けられた係合ロッド5dの先端部が上下方向へ移動不能に嵌り込むように配置されている。係合ロッド5dが係止凹部71aに嵌り込むことにより、ホルダ5が下位置に係止される。つまり、下位置に位置固定される。係止部材71が係止位置から解除位置に移動すると、係合ロッド5dが係止凹部71aから後方へ抜け出る。すると、係合ロッド5dが下位置から上方へ移動可能になり、ひいてはホルダ5が下位置から上方へ移動可能になる。
【0016】
係止部材71の後端部には、傾斜面71bが形成されている。この傾斜面71bは、係止凹部71aより若干上側に配置されており、ホルダ5が上位置側から下位置に向かってその若干手前の位置まで移動すると、係合ロッド5dの先端部が突き当たるように配置されている。しかも、傾斜面71bは、後方に向かって下り勾配をなすように傾斜させられている。したがって、係合ロッド5dが傾斜面71bに突き当たった状態でホルダ5を下方へ移動させると、係止部材71が復帰ばね72の付勢力に抗して後方へ移動させられる。そして、ホルダ5が下位置に達すると、係合ロッド5dが係止凹部71aと前後方向に対向する。この結果、係止部材71が復帰ばね72によって前方へ移動させられ、係止凹部71aに係合ロッド5dが係合する。これにより、ホルダ5が下位置に係止される。
【0017】
係止手段7によるホルダ5の係止状態は、解除釦(解除部材)8によって解除することができる。解除釦8は、天板部2aにその上面から上方に突出した状態で設けられているが、解除釦8が誤操作されることを防止するために、天板部2aに凹部を形成し、その凹部内に配置してもよい。また、車内から操作することができる限り、天板部2a以外の箇所、例えば側板部2bに設けてもよい。解除釦8を押し下げると、解除釦8と係止部材71との間に設けられた連動機構(図示せず)によって係止部材71が係止位置から解除位置まで移動させられる。その結果、係合ロッド5dが係止凹部71aから後方は離脱し、係止手段7によるホルダ5の係止状態が解除される。連動機構としては、リンク機構やカム機構等の公知の機構を利用した各種のものを採用することができる。なお、連動機構の構造自体は、この発明の要部ではないのでその具体的構造については説明を省略する。
【0018】
係止手段7によるホルダ5の係止状態が解除されると、ホルダ5が移動手段9によって下位置から上位置まで移動させられる。移動手段9は、付勢手段91とダンパ92とを有している。付勢手段91は、コイルばね等からなるものであり、床Fと係合ロッド5dとの間に設けられ、係合ロッド5dを上方へ付勢している。したがって、係合手段7によるホルダ5の係止状態が解除されると、ホルダ5が付勢手段9によって下位置から上位置まで移動させられる。一方、ダンパ92は、床Fと係合ロッド5dとの間に設けられており、係合ロッド5dが高速で上下方向へ移動することを阻止し、低速で移動させる。したがって、ホルダ5は、付勢手段91によって高速で上方へ移動させられることがなく、ガイド筒5cがストッパ6aに高速で突き当たることがない。
【0019】
上記構成のコンソールボックス1において、いま蓋体3が閉位置に位置し、ホルダ5が下位置に位置しているものとする。ホルダ5を使用する場合には、蓋体3を閉位置から開位置まで回動させる。その後、飲料缶等の飲料容器Cを保持部5aに保持させる。なお、飲料容器Cの高さが低い場合には、蓋体3を閉じた状態でも保持部5aに飲料缶Cを保持させておくことが可能である。
【0020】
駐停車時のように運転状態でないときには、解除釦8を押し下げ、ホルダ5を上位置まで移動させる。すると、飲料容器Cがボックス本体2から上方に突出する。したがって、飲料容器Cをホルダ5に対して容易に出し入れすることができる。なお、ホルダ5が上位置に位置しているときには、位置固定されていないが、ガイド筒5cが付勢手段91によってストッパ6aに押し付けられるとともに、ダンパ92によって下方への高速移動が阻止されているので、車両の振動等によってホルダ5が上位置から下方へ移動することはほとんどない。勿論、係止手段7と同様の係止手段によってホルダ5を上位置に係止してもよい。
【0021】
車両の運転時には、保持部5aを下位置まで押し下げ、係止手段7によって下位置に係止させる。この状態では、飲料容器Cの上端がボックス本体2の上面より下方に位置するか、上方に突出したとしてもその量は僅かなものである。したがって、飲料容器Cが運転の邪魔になることがない。また、飲料容器Cを出し入れしにくくなるものの、蓋体3が開いているので、飲料容器Cを取り出して飲料を飲むことができる。
【0022】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、解除釦8を押し下げ操作すると、係止手段7によるホルダ5の係止状態が解除するように構成されているが、解除釦8に代えて、基端部がボックス本体2に回動可能に設けた解除部材を用い、この解除部材を回動操作すると係止手段7の係止状態が解除されるように構成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、収容部2cの内部に収容ボックス4を設け、この収容ボックス4内にホルダ5の保持部5aを設けているが、収容ボックス4を設けることなく、保持部5aを収容部2c内に直接設けてもよい。
また、上記の実施の形態においては、付勢手段91とダンパ92とからなる移動手段9を用いているが、これに代えてモータ及びウオーム歯車機構等からなる電動タイプの移動手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施の形態の要部の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
C 飲料容器
1 車両用コンソールボックス
2 ボックス本体
2c 収容部
3 蓋体
5 ホルダ
7 係止手段
8 解除釦(解除部材)
9 移動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した収容部を有するボックス本体と、上記収容部の上端開口部を開閉する蓋体と、上記収容部内に下位置とこれより上側の上位置との間を上下方向へ移動可能に設けられホルダとを備え、上記ホルダが飲料缶等の飲料容器を保持する車両用コンソールボックスにおいて、
上記ホルダを上記下位置に係止して上記上位置側への移動を阻止する係止手段と、上記ボックス本体の外部から操作可能とされ、所定の操作時に上記係止手段による上記ホルダの係止状態を解除する解除部材と、上記係止手段による係止状態が解除したときに上記ホルダを上記下位置から上記上位置まで移動させる移動手段とをさらに備えたことを特徴とする車両用コンソールボックス。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−35023(P2009−35023A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198565(P2007−198565)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】