説明

車両用コンデンサ

【課題】車両エアコンシステムの全体的な冷房効率を向上させる車両用コンデンサを提供する。
【解決手段】
本発明は、相互に所定間隔をおいて配置される第1、第2ヘッダ、複数個のチューブと放熱フィンで構成されて、相互対向する前記第1、第2ヘッダを互いに連結する熱交換部、冷媒を前記第1ヘッダを通して前記熱交換部に供給し、前記熱交換部と第2ヘッダを通過した冷媒がさらに前記第1ヘッダを通して供給されるように形成された冷媒タンク、及び前記熱交換部を通過した冷媒の気液分離と水分を除去するように前記第2ヘッダの外側に連結するレシーバードライヤー部、を含み、前記冷媒タンクは、前記冷媒流入口と冷媒排出口の間に配置される第1隔膜によって内部空間が上部と下部に区切られ、前記冷媒流入口と連結された上部には冷媒の回転を誘導してうず巻きを発生させるスパイラル溝が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンデンサに係り、より詳しくは、気体と液体状態の冷媒が混合されて流入すると、外気との熱交換によって前記冷媒を凝縮する車両用コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のエアコンシステムは、外部の温度変化に関係なく自動車室内の温度を適当な温度に維持して、快適な室内環境を維持できるようにする。
このようなエアコンシステムは、冷媒を圧縮する圧縮器と、前記圧縮器で圧縮された冷媒を凝縮して液化させるコンデンサと、前記コンデンサで凝縮されて液化した冷媒を急速に膨張させる膨張バルブと、前記膨張バルブで膨張した冷媒を蒸発させながら、冷媒の蒸発潜熱を利用して前記エアコンシステムが設けられた室内に送風される空気を冷却する蒸発器とを含む。
ここで、前記コンデンサは、圧縮された高温高圧の気体冷媒を走行中車両の内部に流入する外部空気によって冷却させて、低温の液体冷媒に凝縮させる。
【0003】
このようなコンデンサは、通常、気液分離による凝縮効率の向上と冷媒中の水分を除去するために備えられたレシーバードライヤーと配管を通じて連結される。
しかし、このような従来のコンデンサは、冷媒を流入及び排出するために冷媒パイプとの連結時、コンデンサ両側のヘッダに連結された放熱フィン及びチューブと常時垂直方向に連結しなければならないことによって、狭いエンジンルームの内部でレイアウトを構成するのが困難であるという問題点がある。
また、ヘッダの内部で冷媒パイプとチューブとの間隔が狭くて冷媒の流動抵抗が発生し、冷媒の拡散が不利になる問題点もある。
【0004】
また、冷媒の内部に含まれている微細オイルによって、冷媒が熱交換部を通過時、チューブの内部で流動する冷媒に流動抵抗が発生すると同時に、冷媒の熱交換効率が低くなることによって、冷媒の凝縮効率が低下する問題点もあった。
さらに、液状冷媒を排出するための冷媒パイプをコンデンサのサブクール領域の下部に設置しなければならないことで、気液が分離されて排出される冷媒の流動量が減少し、そのためにエアコンシステムの全体的な冷房性能が低下する問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−024200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、気体と液体状態で混合された冷媒の流動を制御し、冷媒の内部に含まれているオイルを分離させた状態で熱交換部に円滑に供給することによって、冷媒の拡散効率及び熱交換効率を向上させ、サブクール領域で冷媒排出効率を向上させて、車両エアコンシステムの全体的な冷房効率を向上させる車両用コンデンサを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、冷媒パイプとチューブの方向に関係なく連結が可能となるようにして、狭いエンジンルームの内部でレイアウトを簡素化することができる車両用コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の実施例に係る車両用コンデンサは、
相互に所定間隔をおいて配置される第1、第2ヘッダ、複数個のチューブと放熱フィンで構成されて、前記各チューブを通して流動する冷媒と外気の間に熱交換が行われるようにし、相互対向する前記第1、第2ヘッダを互いに連結する熱交換部、前記第1ヘッダの外側に取り付けられ、その一側に冷媒の供給を受けるための冷媒流入口と冷媒を排出するための冷媒排出口が形成され、冷媒を前記第1ヘッダを通して前記熱交換部に供給し、前記熱交換部と第2ヘッダを通過した冷媒がさらに前記第1ヘッダを通して供給されるように形成された冷媒タンク、及び前記熱交換部を通過した冷媒の気液分離と水分を除去するように前記第2ヘッダの外側に連結するレシーバードライヤー部、を含み、前記冷媒タンクは、前記冷媒流入口と冷媒排出口の間に配置される第1隔膜によって内部空間が上部と下部に区切られ、前記冷媒流入口と連結された上部には冷媒の回転を誘導してうず巻きを発生させるスパイラル溝が形成されることを特徴とする。
【0008】
前記スパイラル溝は、前記第1隔膜を基準として前記冷媒タンクの上部の内周面に長さ方向に沿って一体に形成されることを特徴とする。
【0009】
前記第1隔膜には、前記スパイラル溝を通過しながら分離されたオイルが前記冷媒タンクの下部に移動するようにするオイル排出孔が形成されることを特徴とする。
【0010】
前記冷媒タンクの内部には長さ方向に隔壁が形成され、前記第1隔膜を基準として、前記隔壁の上部には冷媒を前記第1ヘッダを通して熱交換部に流入させるための少なくとも一つ以上の流入孔が形成され、前記隔壁の下部には第1ヘッダを通して冷媒が流入するための少なくとも一つ以上の排出孔がそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0011】
前記複数の流入孔は前記隔壁に長さ方向に沿って等間隔に配置され、上部から下部に向かってその断面積が次第に小さくなるように形成されることを特徴とする。
【0012】
前記各排出孔は前記隔壁に長さ方向に沿って等間隔に配置されることを特徴とする。
【0013】
前記第1ヘッダ、冷媒タンク、及び隔壁は一体に形成されることを特徴とする。
【0014】
前記第1ヘッダ、冷媒タンク、及び隔壁は2ピース(pieces)に製作されて相互組み立てられることを特徴とする。
【0015】
前記第1ヘッダは前記隔壁が一体に形成されたパイプ形状に形成され、前記冷媒タンクは前記第1ヘッダの外周面の少なくとも一部を囲んだ状態で装着されることを特徴とする。
【0016】
前記冷媒タンクは2ピースに形成されて、前記第1ヘッダを介在して相互組み立てられることを特徴とする。
【0017】
前記第1ヘッダは、一面に前記熱交換部が装着されるラウンド状のプレート形状に形成されることを特徴とする。
【0018】
前記冷媒タンクと隔壁は一体に形成されて、前記熱交換部の反対側で前記第1ヘッダの外側を囲んだ状態で装着されることを特徴とする。
【0019】
前記冷媒タンクと隔壁は2ピースに形成されて、前記第1ヘッダを介在して相互組み立てられることを特徴とする。
【0020】
前記隔壁は前記熱交換部の反対側で前記第1ヘッダの外側を囲んだ状態で装着され、前記冷媒タンクは前記第1ヘッダの反対側で前記隔壁の外周面を囲んだ状態で装着されることを特徴とする。
【0021】
前記冷媒タンクは2ピースに形成されて、前記隔壁を介在して相互組み立てられることを特徴とする。
【0022】
前記冷媒タンクは、前記冷媒流入口と冷媒排出口が形成された一側にそれぞれ冷媒を流入及び排出する冷媒パイプが連結されるジョイントフランジが装着されることを特徴とする。
【0023】
前記第1ヘッダと冷媒タンクの上端と下端には、冷媒の漏出を防止するための密閉キャップがそれぞれ装着されることを特徴とする。
【0024】
前記第1ヘッダと第2ヘッダには、前記熱交換部の下部にサブクール領域を形成するようにする第2隔膜及び第3隔膜がそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0025】
前記コンデンサは、フィン−プレート式熱交換器を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、気体と液体状態で混合された冷媒の流動を制御し、冷媒の内部に含まれているオイルを分離させた状態で熱交換部に円滑に供給することによって、冷媒の拡散効率及び熱交換効率を向上させ、サブクール領域の冷媒排出効率を向上させて、車両エアコンシステムの全体的な冷房効率を向上させる効果がある。
また、別のオイル分離装置を設置することなく、冷媒タンクに形成されるスパイラル溝によって冷媒の流動を制御することによって、冷媒に含まれているオイルを自重によって容易に分離することができる。また、分離されたオイルは凝縮が完了した冷媒と共に排出させる効果もある。
また、冷媒パイプの連結時に、チューブとの方向と関係なく連結が可能で、狭いエンジンルームの内部でレイアウトを簡素化させる効果がある。
さらに、冷媒を流入及び排出させる冷媒パイプをジョイントフランジによって装着が可能で、製作原価の節減及び組み立て工程数を減らし、システムの全体的なサイズを縮小できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例に係る車両用コンデンサの斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る車両用コンデンサの断面図である。
【図3】図1のA部分の拡大投影斜視図である。
【図4】図1のB−B線に沿った断面図である。
【図5】図2のC部分の拡大図である。
【図6】図1のD−D線に沿った断面図である。
【図7】本発明の実施例に係る車両用コンデンサの作動状態図である。
【図8】本発明の実施例に係る車両用コンデンサに適用される第1ヘッダ、隔壁、及び冷媒タンクの多様な結合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施例に係る車両用コンデンサの斜視図及び断面図であり、図3は、図1のA部分に対する拡大投影斜視図であり、図4は、図1のB−B線に沿った断面図であり、図5は、図2のC部分に対する拡大図であり、図6は図1のD−D線に沿った断面図である。
図面に示す通り、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100は、車両のエアコンシステムに適用されるもので、気体と液体状態で混合された冷媒の流動を制御し、冷媒の内部に含まれているオイルを分離させた状態で熱交換部130に円滑に供給することによって、冷媒の拡散効率及び熱交換効率を向上させ、サブクール領域136で冷媒排出効率を向上させて、全体的な冷房効率を向上させることができる。
【0029】
このために、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100は、図1及び図2にで示したように、基本的に第1ヘッダ110、第2ヘッダ120、熱交換部130、冷媒タンク140、及びレシーバードライヤー部180を含んで構成される。
最初に、前記第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120は相互に所定間隔をおいて配置される。
本実施例において、熱交換部130は複数個のチューブ132と放熱フィン134で構成され、各チューブを通して流動する冷媒と外気の間に熱交換が行われる。複数個のチューブ132と放熱フィン134は第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120に装着されて、第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120を連結する。
【0030】
即ち、第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120は、図1において、左、右側に離隔するように配置されており、チューブ132と放熱フィン134で構成された熱交換部130の両端は、それぞれ第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120の内側に連結される。
そして、冷媒タンク140は熱交換部130に対応して第1ヘッダ110の外側に装着される。
このような冷媒タンク140には、冷媒の供給を受けるための冷媒流入口142と、冷媒を排出するための冷媒排出口144が形成されている。冷媒タンク140に供給された冷媒は第1ヘッダ110を通して熱交換部130に供給され、熱交換部130と第2ヘッダ120を通過した冷媒はさらに第1ヘッダ110を通して冷媒タンク140に供給される。
【0031】
ここで、冷媒タンク140には、図3乃至図5に示したように、冷媒流入口142と冷媒排出口144の間に配置されて、第1ヘッダ110と冷媒タンク140の間に形成された内部空間を上、下部に区切る第1隔膜146が形成される。
即ち、第1隔膜146は、冷媒タンク140を冷媒流入口142と冷媒排出口144を基準として上、下部に区切る。
また、第1隔膜146によって区切られて冷媒流入口142と連結される冷媒タンク140の上部には、スパイラル溝145が形成される。
冷媒流入口142を通じて流入した冷媒の流動時、スパイラル溝145は冷媒に含まれているオイルが分離されるように冷媒の回転を誘導して、うず巻きを発生させる。
ここで、スパイラル溝145は、第1隔膜146を基準として冷媒タンク140の上部の内周面に長さ方向に沿って一体に形成することができる。
【0032】
スパイラル溝145は、冷媒流入口142を通じて流入する冷媒が、第1隔膜146によって区切られた冷媒タンク140の上方向に移動する時に、冷媒が回転するように誘導する。
これにより、冷媒はスパイラル溝145の内周面に沿って回転しながら、その中央部にうず巻きが発生する。この時、冷媒の内部に含まれているオイルが自重によってうず巻きの中央部に集まって、第1隔膜146に向かって落ちて捕集される。
ここで、第1隔膜146には、スパイラル溝145を通りながら冷媒から分離されたオイルが、冷媒排出口144に排出される冷媒と共に排出されるように、オイル排出孔148が形成される。
【0033】
オイル排出孔148は、スパイラル溝145に沿って回転しながら移動する冷媒から分離されて第1隔膜146の上面に捕集されたオイルを、熱交換部130を通過しながら凝縮が完了した冷媒に排出させる。
そのために、凝縮が完了した冷媒にはオイル排出孔148を通じて排出されるオイルが含まれ、オイルを含む冷媒は膨張バルブ(図示せず)に冷媒排出口144を通じて排出される。
一方、本実施例において、冷媒タンク140の内部には長さ方向に隔壁150が形成されて、隔壁150と第1ヘッダ110との間に冷媒が流入して一次に貯蔵される内部空間が形成される。
【0034】
そして、第1隔膜146を基準として、前記隔壁150の上部には冷媒を第1ヘッダ110を通して熱交換部130に流入させるための少なくとも一つ以上の流入孔152が形成され、前記隔壁150の下部には第1ヘッダ110によって冷媒を受けるための少くとも一つ以上の排出孔154がそれぞれ形成される。
ここで、前記複数の流入孔152は、前記隔壁150に長さ方向に沿って等間隔に配置されて、上部から下部に向かってその断面積が次第に小さくなるように形成することができる。
そのために、冷媒流入口142に流入した冷媒はスパイラル溝145に沿って上方向に移動しながらオイルが分離されて、前記隔膜146を基準として隔壁150に沿って下部から上部に向かって流動抵抗が大きくなることを防止することができる。
【0035】
従って、各流入孔152を通じて冷媒が第1ヘッダ110に流入する時、流動抵抗が最小化された状態で均一に流入できる。
即ち、冷媒は断面積がそれぞれ異なる流入孔152を通じて流動抵抗が最小化された状態で、均一に第1ヘッダ110に流入し、熱交換部130の各チューブ132に均等に流入する。
そして、複数の排出孔154は隔壁150に長さ方向に沿って等間隔に配置され、複数の排出孔154を通じて排出された冷媒は冷媒タンク140に貯蔵され、冷媒排出口144を通じてコンデンサ100の外部に排出される。
【0036】
第1ヘッダ110と冷媒タンク140の上、下端には、その内部に流入した冷媒の漏出を防止するための密閉キャップ160がそれぞれ装着される。
このような密閉キャップ160は、第1ヘッダ110と冷媒タンク140の上端と下端に装着されて、冷媒の漏出を防止すると同時に、流入孔152と排出孔154を通過せずに、第1ヘッダ110と冷媒タンク140の間で冷媒が流動することを防止する。
そして、第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120には、一次に凝縮された状態でレシーバードライヤー部180を通過した冷媒を2次的に外気と熱交換させるサブクール領域136を形成するように、熱交換部130の上部と下部を区切る第2隔膜112及び第3隔膜122がそれぞれ形成されて第1ヘッダ110及び第2ヘッダ120の内部空間が分割される。
【0037】
ここで、熱交換部130は第2隔膜112及び第3隔膜122に対応して上、下部がそれぞれ区切られることによって、下部にサブクール領域136を形成する。冷媒は、熱交換部130の上部では第1ヘッダ110から第2ヘッダ120に向かって流動し、サブクール領域136では第2ヘッダ120から第1ヘッダ110に向かって流動する。
一方、本実施例において、冷媒タンク140には、冷媒流入口142と冷媒排出口144が形成された一側に、それぞれ冷媒を流入及び排出する冷媒パイプが連結されるジョイントフランジ170が装着できる。
【0038】
ジョイントフランジ170は、冷媒タンク140の外周側のいずれの位置においても冷媒パイプを冷媒流入口142と冷媒排出口144に連結できるようにすることによって、冷媒パイプのレイアウト自由度を向上させる。
本実施例において、レシーバードライヤー部180は、熱交換部130を通過した冷媒の気液分離と水分を除去し、第2ヘッダ120の外側に連結される。
このようなレシーバードライヤー部180は、熱交換部130を通過しながら凝縮された冷媒を第2ヘッダ120を通して供給を受けて、気液分離及び水分を除去し、第2ヘッダ120を通してさらに熱交換部130の下部に形成されたサブクール領域136に冷媒を流入させる。
【0039】
一方、本実施例において、第1ヘッダ110、冷媒タンク140、及び隔壁150は、図6に示したように一体形に形成される。
即ち、第1ヘッダ110、冷媒タンク140、及び隔壁150は圧出成形などによって一体に形成することができる。
本実施例において、コンデンサ100は、熱交換部130がチューブ132と放熱フィン134で構成されたフィン−プレート式熱交換器からなる。
【0040】
以下、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100の作動について説明する。
図7は、本発明の実施例に係る車両用コンデンサの作動状態図である。
図面に示す通り、本実施例に係る車両用コンデンサ100は、冷媒パイプを通して冷媒流入口142に流入した冷媒が1次に冷媒タンク140に流入した後、第1隔膜146を基準として下部から上部に向かってスパイラル溝145によって回転する。
この時、冷媒はスパイラル溝145の内周面に沿って回転しながら中央にうず巻きを発生させ、冷媒に含まれているオイルは自重によってうず巻きに向かって移動した後、第1隔膜146に落ちて捕集される。
【0041】
そのために、冷媒は内部に含まれているオイルが分離された状態で、隔壁150に形成された流入孔152を通じて熱交換部130に流動する。
ここで、冷媒が流入孔152に流入する時、冷媒流入口142の近くに位置して冷媒の圧力の高い下部では、断面積が小さい流入孔152を通じて少量の冷媒が流入する。
これとは反対に、第1隔膜146を基準として、冷媒タンク140の上部は冷媒流入口142から遠く離れて位置することによって、下部に比べて相対的に低い圧力が形成される。従って、断面積の大きい流入孔152を通じて少ない圧力でも多量の冷媒が流入する。
従って、冷媒は第1ヘッダ110の下部から上部まで均一に熱交換部130に供給される。
【0042】
即ち、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100は、熱交換部130の上部から下部まで位置する複数のチューブ132に、オイルが分離された冷媒を円滑に流入させることができるので、冷媒の熱交換効率を向上させる。
そして、熱交換部130に流入した冷媒は、熱交換部130の内部を移動しながら外気と一次に熱交換されて凝縮され、レシーバードライヤー部180を通過しながら気液分離及び水分が除去される。
このような状態で、冷媒は第2ヘッダ120を通してさらに熱交換部130に流入し、サブクール領域136で外気と熱交換されて、さらに第1ヘッダ110に流入する。
【0043】
第1ヘッダ110に流入した冷媒は、複数の排出孔154を通じて第1隔膜146を基準として下部に位置する冷媒タンク140に均一に排出される。
そして、冷媒タンク140に流入した凝縮が完了した冷媒は、冷媒排出口144を通じて冷媒パイプに排出される。この時、冷媒を排出する冷媒排出口144は複数の排出孔154から離れた冷媒流入口142の近くに位置することによって、冷媒排出口144付近の流動抵抗が低くなる。
そのために、熱交換部130のサブクール領域136から排出される冷媒は、冷媒タンク140に貯蔵された後、冷媒排出口144を通じて冷媒パイプに排出される。従って、冷媒の流動抵抗が小さくなって円滑に排出される。
【0044】
本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100を使用すると、気体と液体状態で混合された冷媒の流動を制御し、冷媒の内部に含まれているオイルを分離させた状態で冷媒を熱交換部130に円滑に供給することができる。
そのために、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100は、冷媒の拡散効率及び熱交換効率を向上させ、サブクール領域136の冷媒排出効率を向上させて、車両エアコンシステムの全体的な冷房効率を向上させることができる。
また、冷媒タンク140に形成されるスパイラル溝145によって、冷媒の流動時に、冷媒の回転によるうず巻きを発生させる。従って、別のオイル分離装置を設置することなく、冷媒に含まれているオイルを自重によって冷媒から分離させて、分離されたオイルは凝縮が完了した冷媒と共に排出できる。
【0045】
また、冷媒パイプの連結時、チューブ132の方向に関係なく連結が可能で、狭いエンジンルーム内部でレイアウトを簡素化できる。
また、冷媒を流入及び排出させる冷媒パイプをジョイントフランジ170を通じて装着するので、製作原価の節減及び組み立て工程数を減らし、システムの全体的なサイズを縮小できる。
一方、本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100の説明において、第1ヘッダ110、冷媒タンク140、及び隔壁150が一体形成されるものを一実施例として説明しているが、これに限定されることではない。第1ヘッダ110、冷媒タンク140、及び隔壁150は、次のような多様な構造に分離構成することができる。
【0046】
図8は、本発明の実施例に係る車両用コンデンサに適用される第1ヘッダ、隔壁、及び冷媒タンクの多様な結合構造を示す断面図である。
まず、図8(a)に示すように、第1ヘッダ110a、冷媒タンク140a、及び隔壁150aは2ピースに製作された後、相互組み立てられる。
即ち、第1ヘッダ110aと冷媒タンク140aは別に製作された第1部分と第2の部分を含み、第1部分と第2部分の中央には隔壁150aがそれぞれ一体に突出形成される。第1部分と第2部分は溶接などによって組み立てられる。
このような第1ヘッダ110a、冷媒タンク140a、及び隔壁150aの第1部分と第2部分は圧出成形などによって別に製作された後、組み立られる。
【0047】
図8(b)乃至図8(d)に示したように、第1ヘッダ110b、110c、110dは、隔壁150b、150c、150dが一体に形成されたパイプ形状に形成され、冷媒タンク140b、140c、140dは、第1ヘッダ110b、110c、110dの外周面の少なくとも一部を囲んだ状態で装着することができる。
一方、冷媒タンク140dは、図8(d)に示すように、2ピースに形成されて第1ヘッダ110dを介して組み立てられる。
そして、第1ヘッダ110e、110f、110g、110h、110iは、図8(e)乃至図8(i)に示したように、一面に熱交換部130が装着されるラウンド状のプレート形状に形成することができる。
【0048】
ここで、冷媒タンク140eと隔壁150eは、図8(e)に示すように、一体に形成されて熱交換部130の反対側で第1ヘッダ110eの外側を囲んだ状態で装着することができる。
また、冷媒タンク140fと隔壁150fは、図8(f)に示すように、2ピースに形成されて、第1ヘッダ110fを介して組み立てられる。
即ち、冷媒タンク140fは第1部分と第2の部分を含み、第1部分と第2部分の中央には隔壁150fがそれぞれ一体に突出形成される。第1部分と第2部分は溶接などによって組み立てられる。
一方、隔壁150g、150h、150iは、図8(g)乃至図8(i)に示したように、熱交換部130の反対側で第1ヘッダ110g、110h、110iの外側を囲んだ状態で装着できる。
【0049】
このような隔壁150g、150h、150iは、半円形または「C」字状に形成されて、ラウンド状にプレート形状の第1ヘッダ110g、110h、110iの外側を囲んだ状態で装着する。
ここで、冷媒タンク140g、140hは、図8(g)と図8(h)に示すように、半円形に形成されて隔壁150g、150hの外周面を囲んだ状態で装着することができる。
そして、冷媒タンク140iは、図8(i)に示すように、2ピースに形成されて隔壁150iを介して組み立てられる。
即ち、冷媒タンク140iは第1部分と第2の部分を含み、第1ヘッダ110iの外周面を囲んだ状態で装着された隔壁150iの外周面を囲むように溶接などによって組み立てられる。
本発明の実施例に係る車両用コンデンサ100において、第1ヘッダ110、冷媒タンク140、及び隔壁150は一体形に形成でき、あるいは別に製作して組み立てることも可能である。
【0050】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
100 車両用コンデンサ
110 第1ヘッダ
112 第2隔膜
120 第2ヘッダ
122 第3隔膜
130 熱交換部
132 チューブ
134 放熱フィン
136 サブクール領域
140 冷媒タンク
142 冷媒流入口
144 冷媒排出口
145 スパイラル溝
146 第1隔膜
148 オイル排出孔
150 隔壁
152 流入孔
154 排出孔
160 密閉キャップ
170 ジョイントフランジ
180 レシーバードライヤー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に所定間隔をおいて配置される第1、第2ヘッダ、
複数個のチューブと放熱フィンで構成されて、前記各チューブを通して流動する冷媒と外気の間に熱交換が行われるようにし、相互対向する前記第1、第2ヘッダを互いに連結する熱交換部、
前記第1ヘッダの外側に取り付けられ、その一側に冷媒の供給を受けるための冷媒流入口と冷媒を排出するための冷媒排出口が形成され、冷媒を前記第1ヘッダを通して前記熱交換部に供給し、前記熱交換部と第2ヘッダを通過した冷媒がさらに前記第1ヘッダを通して供給されるように形成された冷媒タンク、及び
前記熱交換部を通過した冷媒の気液分離と水分を除去するように前記第2ヘッダの外側に連結するレシーバードライヤー部、
を含み、
前記冷媒タンクは、前記冷媒流入口と冷媒排出口の間に配置される第1隔膜によって内部空間が上部と下部に区切られ、前記冷媒流入口と連結された上部には冷媒の回転を誘導してうず巻きを発生させるスパイラル溝が形成されることを特徴とする車両用コンデンサ。
【請求項2】
前記スパイラル溝は、前記第1隔膜を基準として前記冷媒タンクの上部の内周面に長さ方向に沿って一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項3】
前記第1隔膜には、前記スパイラル溝を通過しながら分離されたオイルが前記冷媒タンクの下部に移動するようにするオイル排出孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項4】
前記冷媒タンクの内部には長さ方向に隔壁が形成され、前記第1隔膜を基準として、前記隔壁の上部には冷媒を前記第1ヘッダを通して熱交換部に流入させるための少なくとも一つ以上の流入孔が形成され、前記隔壁の下部には第1ヘッダを通して冷媒が流入するための少なくとも一つ以上の排出孔がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項5】
前記複数の流入孔は前記隔壁に長さ方向に沿って等間隔に配置され、上部から下部に向かってその断面積が次第に小さくなるように形成されることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項6】
前記各排出孔は前記隔壁に長さ方向に沿って等間隔に配置されることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項7】
前記第1ヘッダ、冷媒タンク、及び隔壁は一体に形成されることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項8】
前記第1ヘッダ、冷媒タンク、及び隔壁は2ピース(pieces)に製作されて相互組み立てられることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項9】
前記第1ヘッダは前記隔壁が一体に形成されたパイプ形状に形成され、前記冷媒タンクは前記第1ヘッダの外周面の少なくとも一部を囲んだ状態で装着されることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項10】
前記冷媒タンクは2ピースに形成されて、前記第1ヘッダを介在して相互組み立てられることを特徴とする請求項9に記載の車両用コンデンサ。
【請求項11】
前記第1ヘッダは、一面に前記熱交換部が装着されるラウンド状のプレート形状に形成されることを特徴とする請求項4に記載の車両用コンデンサ。
【請求項12】
前記冷媒タンクと隔壁は一体に形成されて、前記熱交換部の反対側で前記第1ヘッダの外側を囲んだ状態で装着されることを特徴とする請求項11に記載の車両用コンデンサ。
【請求項13】
前記冷媒タンクと隔壁は2ピースに形成されて、前記第1ヘッダを介在して相互組み立てられることを特徴とする請求項11に記載の車両用コンデンサ。
【請求項14】
前記隔壁は前記熱交換部の反対側で前記第1ヘッダの外側を囲んだ状態で装着され、前記冷媒タンクは前記第1ヘッダの反対側で前記隔壁の外周面を囲んだ状態で装着されることを特徴とする請求項11に記載の車両用コンデンサ。
【請求項15】
前記冷媒タンクは2ピースに形成されて、前記隔壁を介在して相互組み立てられることを特徴とする請求項14に記載の車両用コンデンサ。
【請求項16】
前記冷媒タンクは、前記冷媒流入口と冷媒排出口が形成された一側にそれぞれ冷媒を流入及び排出する冷媒パイプが連結されるジョイントフランジが装着されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項17】
前記第1ヘッダと冷媒タンクの上端と下端には、冷媒の漏出を防止するための密閉キャップがそれぞれ装着されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項18】
前記第1ヘッダと第2ヘッダには、前記熱交換部の下部にサブクール領域を形成するようにする第2隔膜及び第3隔膜がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。
【請求項19】
前記コンデンサは、フィン−プレート式熱交換器を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107619(P2013−107619A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110319(P2012−110319)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】