説明

車両用サンバイザー

【課題】 太陽光を眩しく感じることなく、信号機等を目視することができるサンバイザーを提供する。
【解決手段】一対の網状体3,3を互いに対向させて配置する。網状体3,3間に半透明な減光板4を配置する。網状体3,3及び減光板4の外周部を枠体2を構成する半体2A,2Bによって挟持固定し、サンバイザー1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両に用いられる車両用サンバイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車に用いられるサンバイザーは、不透明な材料によって構成されている。このため、サンバイザーをフロントガラスに沿った使用位置に回動させると、運転者の前方の視界がサンバイザーの分だけ狭くなってしまい、間近の信号機が見えなくなってしまう等の問題があった。
【0003】
そこで、下記特許文献1に記載のサンバイザーにおいては、サンバイザーの一部(下部)を網状体によって構成している。網状体は、その網目から光が透過可能である。したがって、このサンバイザーによれば、網状体によって構成された部分の分だけ視界が広くなり、間近の信号機なども見えるようになる。しかも、網状体は、網目以外の部分が光を遮るので、目に入射する光量を減らすことができ、それよって眩しさを軽減することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平10−181348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、網状体は、網目を通過した太陽光がそのまま目に入射することを防止することができない。このため、上記特許文献1に記載のサンバイザーにおいては、眩しさをある程度軽減することができるものの、それにも一定の限度があった。そこで、間近の信号機等を見ることができ、しかも太陽光の眩しさをさらに軽減することができるサンバイザーの開発が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記要望に応えるものであり、少なくとも一部が、光が透過可能である網目を有する網状体によって構成された車両用サンバイザーにおいて、半透明な減光部材を上記網状体と光の透過方向に対向させて設けたことを特徴としている。
この場合、上記減光部材が剛性を有する板材によって構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、網状体が目に入射する光量を減少させる。しかも、網状体の網目を通過する光の光量を遮光板が減少させる。したがって、運転者が網状体の網目を通過した太陽光によって眩しさを感じるのを防止することができる。しかも、信号機等の光は、網状体の網目及び減光板を介して目視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態のサンバイザー1は、枠体2、網状体3及び減光板(減光部材)4を有している。
【0009】
枠体2は、一対の半体2A,2Bによって構成されている。半体2A,2Bは、硬質の樹脂を成形してなるものであり、枠体2をその厚さ方向(光の透過方向)の中央において二分した形状を有している。したがって、一対の半体2A,2Bは、それらを二分する面に関して対称になっており、半体2A,2Bの厚さは、枠体2の厚さの半分になっている。
【0010】
半体2A,2Bからなる枠体2の内周面には、凹部2aが形成されている。凹部2aは、枠体2の厚さ方向における凹部2aの各半分が半体2A,2Bにそれぞれ形成されるよう、枠体2の厚さ方向の中央に配置されている。しかも、凹部2aは、全周にわたって形成されている。凹部2aの両側面の開放側端部には、挟持突出部2bが形成されている。したがって、凹部2aの開放側端部の幅は、底部側の部分の幅より挟持突出部2b,2bの突出量の分だけ狭くなっている。
【0011】
網状体3は、天然繊維、合成繊維又は無機繊維からなる糸を織ったものであり、基本的には織物である。網状体3を構成する糸は、間隔を空けて織られている。したがって、網状体3の網目は、光が透過可能になっている。糸の間隔、つまり網目の大きさは、網状体3が遮断する光の量と、網状体3の網目を透過する光の量との割合に応じて適宜に選定される。
【0012】
減光板4は、半透明な板材によって構成されている。半透明な板材は、素材自体が半透明である素材によって構成してもよく、透明な樹脂中に着色剤を均一に分散混合することによっても構成してもよく、透明な板材の少なくとも一方の面を着色することによって構成してもよい。いずれの場合においても、減光光4を透過した光が無色であるようにするために、減光板4は無彩色にするのが望ましい。この実施の形態では、減光板4がスモークのアクリル板によって構成されている。減光板4による減光量は、網状体3を透過する太陽光による眩しさの低減と、信号等の見易さとの兼ね合いによって適宜に定められる。
【0013】
減光板4の外形寸法は、枠体2の内側の寸法より一回り大きく設定されており、網状体3は減光板4より一回り大きく設定されている。減光板4の両側には、一対の網状体3,3が減光板4の両面に接触した状態で配置されている。そして、網状体3,3の減光板4から突出した各外周部が、縫製等の手段により全周にわたって互いに固定されている。これにより、網状体3,3と減光板4とが一体化されている。一体化された網状体3,3及び減光板4は、それぞれの外周部が凹部2a内に挿入され、挟持部2b,2bによって挟持されている。これによって、枠体2、網状体3,3及び減光板4が一体化され、サンバイザー1が構成されている。
【0014】
上記構成のサンバイザー1によれば、網状体3の網目を通過した太陽光を減光板4が減光する。したがって、運転者が太陽光によって眩しさを感じることを防止することができる。しかも、信号機の光は、網状体3の網目及び減光板4を透過するので、運転者は信号機を見ることができる。さらに、減光板4が、剛性を有する板材によって構成されているので、サンバイザー1全体の強度を向上させる。
【0015】
図3は、この発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態のサンバイザー1′においては、網状体3が一つだけ用いられている。したがって、網状体3は、減光板4の一方の面にのみ設けられている。網状体3は、減光板4の光が入射する側を向く面(サンバイザー1の使用時に車外側を向く面)に設けてもよく、逆側の面に設けてもよい。
【0016】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、枠体2を除くサンバイザー1の大部分を網状体3と減光板4とによって構成しているが、枠体2の内部のうちの上部に位置する部分を不透明な板材によって構成し、下部に位置する部分だけを網状体3及び減光板4によって構成してもよい。
また、減光部材として剛性を有する板材によって構成しているが、半透明の樹脂フィルム等の膜体によって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態を、その一部を省略するとともに、枠体の一方の半体の一部を省略して示す正面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う一部省略拡大断面図である。
【図3】この発明の他の実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 サンバイザー
1′ サンバイザー
2 枠体
3 網状体
4 減光板(減光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が、光が透過可能である網目を有する網状体によって構成された車両用サンバイザーにおいて、
半透明な減光部材を上記網状体と光の透過方向に対向させて設けたことを特徴とする車両用サンバイザー。
【請求項2】
上記減光部材が剛性を有する板材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−142915(P2006−142915A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333550(P2004−333550)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)