説明

車両用サービス提供システム

【課題】 車両用サービス提供システムの利便性を向上させる。
【解決手段】 ユーザにより携帯端末10が操作された場合に、このユーザ(携帯端末10)とユーザが所有する車両(車載器30)との間の距離を算出し(S320)、その算出した距離に基づいて、サービスの提供時間を設定する(S330)。このため、ユーザが車両に到達するまでに、ユーザに対してサービスを確実に提供することが期待できる。したがって、ユーザが携帯端末10を再操作することを防止することができるので、車両用サービス提供システムの利便性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子機器が、ユーザにより所持される携帯端末にて遠隔操作された際に、車両側から携帯端末のユーザへサービスを提供する車両用サービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用サービス提供システムでは、デパート等の駐車場に駐車されている複数の車両の中から、ユーザが自分の車両(自車両)を探し出すために、ユーザにより携帯端末が操作された際に自車両のハザードを点滅させる、といったサービスを提供するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−58218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記サービス(ハザードの点滅動作)は、携帯端末が操作されてから一定時間の間しか実行されないので、携帯端末のユーザが自車両を探し出す前に、ハザードの点滅動作が終了してしまうことがあった。
【0004】
このようにユーザが自車両を探し出すことができない場合には、乗車することができないので、ユーザは、自車両を探し出すために、携帯端末を再操作することによりハザードを点滅させていた。このとき、ユーザは再度携帯端末を操作することに対して煩雑に感じてしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、車両用サービス提供システムの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に搭載される電子機器が、ユーザにより所持される携帯端末にて遠隔操作された際に、車両側からユーザへサービスを提供する車両用サービス提供システムであって、携帯端末検出手段が携帯端末の現在位置を検出し、車両検出手段が車両の現在位置を検出する。
【0007】
そして、電子機器を遠隔操作するための遠隔操作指令が携帯端末から送信された場合に、距離算出手段が、携帯端末検出手段により検出される携帯端末の現在位置、及び車両検出手段により検出される車両の現在位置に基づいて、車両と携帯端末との間の距離を算出し、サービス内容設定手段が、距離算出手段により算出される距離に基づいて、車両側からユーザへ提供すべきサービスの内容を設定する。
【0008】
以上のような請求項1に記載の発明によれば、携帯端末と車両との間の距離に応じてサービスの内容が設定されるので、ユーザが車両に到達するまでに、ユーザに対してサービスを確実に提供することが期待できる。したがって、ユーザが携帯端末を再操作することを防止することができるので、車両用サービス提供システムの利便性を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、サービスは、車両の存在を車両の周囲に報知するサービスであることを特徴とする。
これによれば、車両と携帯端末との間の距離が長くなるほど、サービスの提供時間(車両周囲への報知時間)が長くなるように設定することで、サービスが終了するまでの間にユーザが車両を探し出すことが期待できる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、サービス内容設定手段は、距離算出手段により算出される距離と、携帯端末を所持するユーザの移動速度とに基づいて、サービスの提供時間を設定することを特徴とする。
【0011】
これにより、請求項3に記載の発明によれば、距離と移動速度との2つをパラメータとしてサービスの提供時間を設定しているので、ユーザが車両に到達するまでに要する到達時間をより正確に推測することができ、ユーザに合ったサービスの提供時間を設定することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、距離算出手段により算出される距離が所定以上であるか否かを判定する判定手段と、判定手段により距離が所定以上であると判定された場合に、その旨を前記携帯端末のユーザに対して報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これにより、携帯端末を所持しているユーザは、車両が自分(携帯端末)から所定距離以上離れた位置に存在することを知ることができる。
また、報知手段は、請求項5に記載のように、ユーザへの報知動作として、携帯端末から車両までの経路を案内するので、ユーザは、現在位置(携帯端末)から車両までの経路を迷わずに移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について、図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.車両用サービス提供システムの概略構成
図1は、本発明が適用された車両用サービス提供システムの構成を示すブロック図である。車両用サービス提供システムは、図1に示すように、ユーザにより所持される携帯端末10、及び車両に搭載される車載器30等を有して構成されており、この車両用サービス提供システムは、携帯端末10にて車載器30が遠隔操作された際に、車両側から携帯端末10のユーザに対してサービスを提供するためのものである。
【0015】
ここで、本実施形態では、ユーザにより携帯端末10が操作された際に自車両のハザードを点滅させることで、その車両の存在をその周囲に報知する、といったサービスを実行する。
【0016】
1.1.携帯端末10
携帯端末10は、情報センタ50を介して車載器30と通信可能に構成されている。なお、情報センタ50は、ユーザが所有する携帯端末10及び車両(車載器30)等を管理するものであり、この情報センタ50は、携帯端末10と車載器30との間で行われる通信を中継する中継手段として利用される。
【0017】
また、携帯端末10は、携帯端末10(ユーザ)の現在位置を検出する位置検出部12、ユーザが操作するための操作部14、EEPROMやHDD等の記憶手段からなるメモリ16、情報センタ50と無線通信可能な無線通信部18、情報を表示するための表示部20、スピーカ22、LED24、及び携帯端末10全体を統括制御する制御部26等を
有して構成されている。
【0018】
ここで、本実施形態において、位置検出部12は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信して携帯端末10の現在位置を検出するGPS受信機にて構成されており、メモリ16には、道路地図を表す地図情報が記憶されている。
【0019】
1.2.車載器30
車載器30は、情報センタ50を介して携帯端末10と通信可能に構成されており、この車載器30は、ネットワーク32(車内LAN)に複数の電子制御装置(以下、「ECU」ともいう。)が接続されてなる。
【0020】
具体的には、遠隔操作受付用の電子制御装置34(以下、「遠隔操作受付ECU34」という。)と、ハザードを含むライトのオン/オフ制御、車両ドアのロック/アンロック制御、及びパワーウィンドウの制御等を行うボデー制御用の電子制御装置36(以下、ボデーECU36という。)とがネットワーク32に接続されてなる。
【0021】
遠隔操作受付ECU34には、携帯端末10と無線通信可能な無線通信装置38と、車両の現在位置、進行方向及び速度等を検出する位置検出部40が接続されており、位置検出部40は、GPS用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し車両の現在位置を検出するGPS受信機、車速センサ、及び方位センサ等にて構成されている。
【0022】
ボデーECU36には、ライト点灯装置42、車両ドアのロック/アンロック機構を備えたドア施解錠装置(図示省略)、及び車両窓の自動開閉機能を備えたパワーウィンドウ装置(図示省略)等が接続されている。
【0023】
そして、ボデーECU36は、遠隔操作受付ECU34や、図示しない他のECUからの要求に従って、ライト点灯装置42、ドア施解錠装置及びパワーウィンドウ装置等を制御し、ライトをオン/オフしたり、車両ドアを施解錠したり、車両窓を開閉したりする。
【0024】
2.車両用サービス提供システムの特徴的作動
2.1.概略説明
本実施形態の携帯端末10は、ユーザにより操作部14が操作されると、携帯端末10(ユーザ)の現在位置を検出し、その検出結果(ユーザの現在位置)を表すユーザ位置情報、及びこの携帯端末10が車載器30を遠隔操作するための遠隔操作信号を、情報センタ50へ送信する。
【0025】
携帯端末10から送信された遠隔操作信号及びユーザ位置情報は、情報センタ50にて受信され、情報センタ50では、携帯端末10から受信した受信信号を、その携帯端末10を所持するユーザの車両(車載器30)へ送信する。
【0026】
そして、情報センタ50から送信された送信信号(遠隔操作信号及びユーザ位置情報)が車載器30にて受信されると、車載器30では、自車両の現在位置を検出し、その検出結果(自車両の現在位置)と、ユーザ位置情報により特定されるユーザの現在位置とに基づいて、車両と携帯端末10との間の距離を算出する。
【0027】
そして、車載器30は、車両と携帯端末10との距離を算出すると、その算出結果(距離)に基づいて、ハザードを点滅させる点滅時間(サービスの提供時間)を設定し、その点滅時間だけハザードを点滅させる、すなわちサービス提供時間だけサービスを実行する。その後、車載器30は、サービスを実行したか否かを表す結果応答信号を、情報センタ
50へ送信する。
【0028】
車載器30から送信された結果応答信号は、情報センタ50にて受信され、情報センタ50では、車載器30から受信した受信信号を、その車載器30が搭載された車両を所有するユーザの携帯端末10へ送信する。
【0029】
そして、情報センタ50からの送信信号(結果応答信号)が携帯端末10にて受信されると、携帯端末10では、その受信結果をユーザに報知するための報知動作を行う。なお、本実施形態では、報知動作として、例えば、受信結果を表示部20に表示したり、スピーカ22にて報知音を発生させたり、LED24を点灯又は点滅させるといったことが行われる。
【0030】
2.2.携帯端末10の処理
図2は、携帯端末10の制御部26にて実行される処理を示すフローチャートであり、この処理は、ユーザにより操作部14が操作されたときに制御部26にて実行される。そして、図2に示す処理が開始されると、まず位置検出部12にて検出される携帯端末10の現在位置(ユーザの現在位置)が取得される(S110)。
【0031】
そして、S110にて位置検出部12による検出結果(ユーザの現在位置)が取得されると、その現在位置を表すユーザ位置情報及び遠隔操作信号が、無線通信部18を介して情報センタ50へ送信される(S120)。なお、本実施形態の遠隔操作信号には、携帯端末10を識別するための識別情報が含まれている。
【0032】
すると、上述したように、遠隔操作信号及びユーザ位置情報は、情報センタ50を介して車載器30にて受信され、この車載器30は、遠隔操作信号を送信した携帯端末10に対して、結果応答信号を情報センタ50を介して送信することとなる。
【0033】
そして、車載器30から送信された結果応答信号が情報センタ50を介して受信されると(S130)、その受信結果をユーザに報知するための報知するための報知動作が行われ(S140)、本制御フローが終了する。
【0034】
2.3.情報センタ50の処理
図3は、情報センタ50にて実行される処理を示すフローチャートであり、この処理は、携帯端末10からの遠隔操作信号を受信する度に実行される。そして、図3に示す処理が開始されると、遠隔操作信号に含まれる識別信号に基づいて、遠隔操作信号の送信元(携帯端末10)が特定され、この携帯端末10のユーザが所有する車両(車載器30)が、遠隔操作信号及びユーザ位置情報の送信先(車載器30)として特定される(S210)。
【0035】
そして、S210にて、遠隔操作信号及びユーザ位置情報の送信先が特定されると、この特定された送信先(車載器30)に対して、遠隔操作信号及びユーザ位置情報が送信される(S220)。
【0036】
すると、上述したように、遠隔操作信号及びユーザ位置情報は、S210の処理にて特定された車載器30にて受信され、この車載器30は、情報センタ50に対して結果応答信号を送信することとなる。なお、結果応答信号には、車載器30(車両)を識別するための識別情報が含まれている。
【0037】
そして、車載器30から送信された結果応答信号が受信されると(S230)、結果応答信号に含まれる識別情報に基づいて、結果応答信号の送信元(車載器30)が特定され
、この車載器30(車両)のユーザが所持する携帯端末10が、結果応答信号の送信先として特定される(S240)。
【0038】
そして、S240にて、結果応答信号の送信先が特定されると、この特定された送信先(携帯端末10)に対して、結果応答信号が送信され(S250)、本制御フローが終了する。
【0039】
2.4.車載器30の処理
図4は、車載器30の遠隔操作受付ECU34にて実行される処理を示すフローチャートであり、この処理は、車載器30が携帯端末10(情報センタ50)からの遠隔操作信号を受信する度に実行される。
【0040】
そして、図4に示す処理が開始されると、位置検出部40にて検出される車両の現在位置が取得され(S310)、この取得された車両の現在位置と、携帯端末10からのユーザ位置情報により特定されるユーザの現在位置とに基づいて、ユーザと車両との間の距離が算出される(S320)。
【0041】
そして、S320にて、ユーザと車両との間の距離が算出されると、その算出された距離に基づいて、ハザードを点滅させる点滅時間(サービスの提供時間)が設定される(S330)。
【0042】
ここで、本実施形態では、車両とユーザとの間の距離が長いほど、ハザードの点滅時間が長くなるように設定されており、S330では、S320にて算出される距離に係数を乗じたものがハザードの点滅時間として設定される。また、本実施形態では、S320にて算出される距離に乗じる係数として、一般的に人間が単位距離を進むのに要する時間(例えば、60/80(s/m))に補正係数を乗じたものが用いられる。
【0043】
つまり、本実施形態では、S320にて算出される距離に係数を乗じることにより、ユーザが車両に到達するまでの到達時間よりも長くなるようなサービス提供時間(ハザードの点滅時間)を設定するようにしている。
【0044】
そして、S330にて、ハザードの点滅時間が設定されると、ボデーECU36に対してハザードの点滅指令及び点滅時間が送信される(S340)。すると、ボデーECU36は、ライト点灯装置42を制御することにより、S330で設定された点滅時間に応じた時間だけハザードを点滅させる。そして、S340の処理が終了すると、結果応答信号が無線通信装置38を介して情報センタ50へ送信され(S350)、本制御フローが終了する。
【0045】
3.本実施形態に係る車両用サービス提供システムの特徴
本実施形態の車両用サービス提供システムでは、携帯端末10を所持するユーザとこのユーザが所有する車両との距離に応じて、サービスの提供時間(ハザードの点滅時間)が設定され、その点滅時間だけ車両のハザードが点滅される。
【0046】
そして、本実施形態では、ユーザが車両に到達するまでの到達時間よりも長くなるように、サービス提供時間(ハザードの点滅時間)が設定されているので、ユーザが車両に到達するまでに、ユーザに対してサービスを確実に提供することが期待できる。したがって、ユーザが携帯端末10を再操作することを防止することができるので、車両用サービス提供システムの利便性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、車両とユーザとの間の距離が長いほど、ハザードの点滅時間が
長くなるように設定されているので、ハザードの点滅動作が終了するまでの間にユーザが車両を探し出すことが期待できる。
【0048】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、位置検出部12が特許請求の範囲に記載された携帯端末検出手段に相当し、位置検出部40が特許請求の範囲に記載された車両検出手段に相当し、S320の処理が特許請求の範囲に記載された距離算出手段に相当し、S330の処理が特許請求の範囲に記載されたサービス内容設定手段に相当する。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態では、車両とユーザとの間の距離に係数を乗じたものをハザードの点滅時間として設定していたが、本実施形態は、車両とユーザとの間の距離にユーザの移動速度を乗じたものをハザードの点滅時間として設定するものである。
【0050】
そして、本実施形態の情報センタ50には、ユーザの移動速度を表す移動速度情報が各携帯端末10(ユーザ)毎に予め登録されている。
1.車両用サービス提供システムの特徴的作動
1.1.携帯端末10の処理
図5は、本実施形態の携帯端末10の制御部26にて実行される処理を示すフローチャートである。なお、図5において、第1実施形態と同じ処理内容については、同一のステップ番号を付しているため、詳細な説明は省略する。そして、このことは、後述する図6〜図10についても同様である。
【0051】
図5に示す処理が開始されて、S110及びS120の処理が実行されると、情報センタ50から送信されてくる結果応答信号、及び成否アンケート情報が受信される(S135)。
【0052】
ここで、成否アンケート情報とは、車両用サービス提供システムにより提供されるサービスがユーザに対して無事に提供されたか否か、すなわちユーザが車両を探し出すまでにハザードの点滅動作が行われていたか否かを調査するためのアンケートが記載された情報である。
【0053】
そして、S135にて、結果応答信号及び成否アンケート情報が受信されると、その受信結果をユーザに報知するための報知動作が行われる(S140)。その後、操作部14を介してユーザにより入力される成否アンケート情報の回答結果が入力されると、その回答結果を表す回答情報が無線通信部18を介して情報センタ50へ送信され(S150)、本制御フローが終了する。
【0054】
1.2.情報センタ50の処理
図6は、本実施形態の情報センタ50にて実行される処理を示すフローチャートであり、図6に示す処理が開始されて、S210の処理が実行されると、S210の処理で特定された送信先(車載器30)に対して、遠隔操作信号の送信元である携帯端末10(ユーザ)の移動速度情報、遠隔操作信号及びユーザ位置情報が送信される(S225)。
【0055】
その後、S230及びS240の処理が実行されると、S240の処理にて特定された送信先(携帯端末10)に対して、結果応答信号及び成否アンケート情報が送信される(S255)。すると、結果応答信号及び成否アンケート情報は、S240の処理にて特定された携帯端末10にて受信され、この携帯端末10は、上述したS150の処理(図5参照)にて回答情報を送信することとなる。
【0056】
そして、携帯端末10から送信された回答情報が受信されると(S260)、その回答情報は各携帯端末10毎に蓄積され、その蓄積結果(過去の回答結果)に基づいて、その回答情報に対応するユーザの移動速度が設定変更され(S270)、本制御フローが終了する。
【0057】
例えば、本実施形態では、回答情報の内容が、「サービスがユーザに対して無事に提供されていない」という内容を表す回答である場合に、ユーザの移動速度が遅くなるように設定変更される。
【0058】
1.3.車載器30の処理
図7は、本実施形態の車載器30の遠隔操作受付ECU34にて実行される処理を示すフローチャートであり、図7に示す処理が開始されてからS310及びS320の処理が実行されると、S320にて算出された距離と、情報センタ50から受信した移動速度情報とに基づいて、ハザードの点滅時間(=距離/移動速度)が設定される(S335)。
【0059】
そして、S335にてハザードの点滅時間が設定されると、上記第1実施形態と同様に、S340及びS350の処理が実行され、本制御フローが終了する。
2.本実施形態に係る車両用サービス提供システムの特徴
本実施形態では、距離(車両とユーザとの間の距離)とユーザの移動速度との2つをパラメータとしてハザードの点滅時間(サービスの提供時間)を設定しているので、ユーザが車両に到達するまでに要する到達時間をより正確に推測することができ、ユーザに合ったサービスの提供時間を設定することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、ユーザの移動速度が予め設定されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実時間におけるユーザの移動速度を検出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、携帯端末10(ユーザ)からの回答情報に基づいて情報センタ50が移動速度を設定変更するようにされていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ユーザが自ら移動速度を設定変更するようにしてもよい。
【0061】
3.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、S335の処理が特許請求の範囲に記載されたサービス内容設定手段に相当する。
【0062】
(第3実施形態)
第1実施形態では、単にサービスが実行されたか否かをユーザに対して報知するようにされていたが、本実施形態は、ユーザと車両との間の距離が所定距離(本実施形態では500m)以上あった場合に、車両までの経路を案内するナビゲーション機能を有するものである。
【0063】
1.車両用サービス提供システムの特徴的作動
1.1.携帯端末10の処理
図8は、本実施形態の携帯端末10の制御部26にて実行される処理を示すフローチャートであり、図8の処理が開始されてS110〜S140の処理が実行されると、情報センタ50から送信されてくる車両位置情報を受信しているか否かが判定される(S160)。
【0064】
ここで、車両位置情報とは車両の現在位置を表す情報のことであり、詳細については後
述するが、この車両位置情報は、車載器30から結果応答信号と共に送信され、情報センタ50を介して携帯端末10にて受信される。
【0065】
そして、S160にて、車両位置情報を受信していないと判定された場合には(S160:NO)、車載器30が車両位置情報を送信していないと判断され、本制御フローが終了する。
【0066】
一方、車両位置情報を受信していると判定された場合には(S160:YES)、この車両位置情報により特定される車両の現在位置、位置検出部12により検出されるユーザの現在位置及びメモリ16に記憶されている地図情報等に基づいて、ユーザの現在位置から車両の現在位置までの経路を案内する周知の案内処理が実行され(S170)、本制御フローが終了する。
【0067】
1.2.情報センタ50の処理
図9は、本実施形態の情報センタ50にて実行される処理を示すフローチャートであり、図9に示す処理が開始されて、S210〜S240の処理が実行されると、車載器30から送信されてくる車両位置情報を受信しているか否かが判定される(S245)。
【0068】
そして、S245にて、車両位置情報を受信していないと判定された場合には(S245:NO)、車載器30が車両位置情報を送信していないと判断され、S240の処理で特定された送信先に対して結果応答信号が送信され(S250)、本制御フローが終了する。
【0069】
一方、S245にて、車両位置情報を受信していると判定された場合には(S245:YES)、この車両位置情報と結果応答信号とが、S240の処理で特定された送信先に対して送信され(S280)、本制御フローが終了する。
【0070】
1.3.車載器30の処理
図10は、本実施形態の車載器30の遠隔操作受付ECU34にて実行される処理を示すフローチャートであり、図10に示す処理が開始されてからS310及びS320の処理が実行されると、S320の処理で算出された距離が所定距離(本実施形態では500m)未満であるか否かが判定される(S325)。
【0071】
そして、S325にて、S320の処理で算出された距離が所定距離未満であると判定された場合には(S325:YES)、上記第1実施形態と同様に、S330〜S350の処理が実行され、本制御フローが終了する。
【0072】
一方、S325にて、S320の処理で算出された距離が所定距離未満ではない(所定距離以上である)と判定された場合には(S325:NO)、S310にて位置検出部40から取得された車両の現在位置を表す車両位置情報が、情報センタ50へ送信されるとともに(S360)、結果応答信号が情報センタ50へ送信され(S350)、本制御フローが終了する。
【0073】
2.本実施形態に係る車両用サービス提供システムの特徴
本実施形態では、車両(車載器30)とユーザ(携帯端末10)との間の距離が所定距離以上であった場合に、ユーザから車両までの経路を案内するので、ユーザは、自分(携帯端末10)から所定距離以上離れた位置に車両が存在することを知ることができるとともに、現在位置(携帯端末10)から車両までの経路を迷わずに移動することができる。
【0074】
3.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、S170の処理が特許請求の範囲に記載された報知手段に相当し、S325の処理が特許請求の範囲に記載された判定手段に相当する。
【0075】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ハザードの点滅動作を行うことにより、ユーザに対して車両の存在を知らせるサービスを提供していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯端末10を用いることで、車両窓の開閉をパワーウィンドウ装置を介して自動的に遠隔操作するサービスを提供するようにしてもよいし、車両ドアの施解錠をドア施解錠装置を介して自動的に遠隔操作するサービスを提供するようにしてもよい。
【0076】
このようにした場合、例えば、車両とユーザとの間の距離に基づいて、車両窓を開放するタイミングを設定したり、車両ドアを解錠するタイミングを設定したりするとよい。
また、上記実施形態では、携帯端末10と車載器30との通信が情報センタ50を介して行われていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯端末10と車載器30との通信が、情報センタ50を介さずに直接的に行われていてもよい。
【0077】
また、特許請求の範囲でいうサービスの内容とは、サービスの提供時間を含むことは勿論のこと、ハザードの点滅動作、車両窓の開閉動作、及び車両ドアの施解錠動作等のサービスの種別を含むものである。
【0078】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1実施形態の車両用サービス提供システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の携帯端末の制御部にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の情報センタにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の車載器の遠隔操作受付ECUにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態の携帯端末の制御部にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の情報センタにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態の車載器の遠隔操作受付ECUにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の携帯端末の制御部にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態の情報センタにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の車載器の遠隔操作受付ECUにて実行される処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
10…携帯端末、12…位置検出部、14…操作部、16…メモリ、18…無線通信部、20…表示部、22…スピーカ、24…LED、26…制御部、30…車載器、32…ネットワーク、34…遠隔操作受付ECU、36…ボデーECU、38…無線通信装置、40…位置検出部、42…ライト点灯装置、50…情報センタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電子機器が、ユーザにより所持される携帯端末にて遠隔操作された際に、前記車両側から前記ユーザへサービスを提供する車両用サービス提供システムであって、
前記携帯端末の現在位置を検出する携帯端末検出手段と、
前記車両の現在位置を検出する車両検出手段と、
前記電子機器を遠隔操作するための遠隔操作指令が前記携帯端末から送信された場合に、前記携帯端末検出手段により検出される前記携帯端末の現在位置、及び前記車両検出手段により検出される前記車両の現在位置に基づいて、前記車両と前記携帯端末との間の距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出される距離に基づいて、前記車両側から前記ユーザへ提供すべきサービスの内容を設定するサービス内容設定手段と
を備えたことを特徴とする車両用サービス提供システム。
【請求項2】
前記サービスは、前記車両の存在を前記車両の周囲に報知するサービスであることを特徴とする請求項1に記載の車両用サービス提供システム。
【請求項3】
前記サービス内容設定手段は、前記距離算出手段により算出される距離と、前記携帯端末を所持するユーザの移動速度とに基づいて、前記サービスの提供時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用サービス提供システム。
【請求項4】
前記距離算出手段により算出される距離が所定以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記距離が所定以上であると判定された場合に、その旨を前記携帯端末のユーザに対して報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車両用サービス提供システム。
【請求項5】
前記報知手段は、前記ユーザへの報知動作として、前記携帯端末から前記車両までの経路を案内することを特徴とする請求項4に記載の車両用サービス提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−283543(P2008−283543A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126936(P2007−126936)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】