説明

車両用シートのウォークイン装置

【課題】 ウォークイン機構を操作するためのハンドル及びこのハンドルを保持する保持部材が乗員の乗降に邪魔にならないようにする。
【解決手段】固定レール1A,1Bに可動部材2A,2Bをそれぞれ移動可能に設ける。可動部材2A,2Bの前端部どうしを前連結部材3によって連結固定する。可動部材2A,2Bの後端部どうしを後連結部材4によって連結固定する。後連結部材4に保持部材16を取り付ける。この保持部材16に解除ワイヤ19を引っ張り操作するためのハンドル15を、解除ワイヤ15が挿通されたガイド管17を介して取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2ドア車の助手席等に採用される車両用シートのウォークイン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、2ドア車の助手席等にはウォークイン装置が採用されている。ウォークイン装置は、後部座席等への乗り降りを容易にするためのものであり、下記特許文献1に記載されているように、ハンドルを持ってケーブルを引っ張ると、補助席の背もたれ部が前方へ所定角度だけ回動した後、前部座席全体が前方へ移動する。これにより、ドアの開放部から後部座席に通じる空間が生じ、その空間を通って後部座席に乗り降りすることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−222057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のウォークイン装置においては、ハンドルを保持するための保持部材がシートフレームの後端部の室外側の側部に設けられていた。このため、後部座席の乗員が乗り降りする際に、ハンドル及び保持部材が邪魔になることがあった。
そこで、この出願の発明者は、ハンドルをシートフレームの中央部や室内側の側部に設けることを考えた。ところが、シートフレームの後端部の形状は、室外側、室外側及び中央部の各部で異なっているため、保持部材の設置位置を変えようとすると、保持部材の取付部の形状を設置位置毎に変更しなければならず、そのためウォークイン装置の製造費が嵩むという別の問題が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するために、前後方向へ互いに平行に延びる一対の固定レールと、この一対の固定レールにその長手方向へ移動可能に支持された一対の可動部材と、この一対の可動部材の後端部どうしを連結固定する連結部材と、上記一対の可動部材に支持されたシートフレームと、下端部の左右両側部が上記一対の可動部材の各後端部にそれぞれ回動可能に支持されたシートバックフレームと、上記固定レールと可動部材との間に設けられ、上記可動部材を上記固定レールに固定するロック状態と上記可動部材を上記固定レールに対してその長手方向へ移動可能にするロック解除状態とに切換可能なロック機構と、一端部にハンドルが設けられ、他端部が上記ロック機構に連結された解除ワイヤとを備え、上記ハンドルで上記解除ワイヤを引っ張ると、上記ロック機構による上記可動部材のロック状態が解除される車両用シートのウォークイン装置において、上記連結部材に保持部材が設けられ、この保持部材に上記ハンドルが上記解除ワイヤの一端部の長手方向へ移動可能に保持されていることを特徴としている。
この場合、上記シートフレームの下面部に回動部材が回動可能に設けられ、上記解除ワイヤの他端部が上記回動部材に連結され、上記回動部材に伝達ワイヤの一端部が連結され、この伝達ワイヤの他端部が上記ロック機構に連結され、上記解除ワイヤの上記回動部材に対する連結箇所が、上記伝達ワイヤの上記回動部材に対する連結箇所より上記回動部材の径方向外側に配置されていることが望ましい。
上記後連結部材がほぼ全長にわたってほぼ一定の断面形状を有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、ハンドルを保持する保持部材が、一対の可動部材の後端部間に設けられた連結部材に設けられているので、保持部材及びこれに保持されたハンドルが後部座席の乗員の乗降の邪魔になることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図4は、この発明に係る車両用ウォークイン装置が採用された自動車の助手席を示すものであり、この助手席は、車両の床面(図示せず)上に固定された一対の固定レール1A,1Bを備えている。一対の固定レール1A,1Bは、その長手方向を前後方向に向けた状態で互いに平行に配置されている。固定レール1A,1Bには、可動部材2A,2Bがそれぞれ前後方向へ移動可能に支持されている。可動部材2A,2Bの前端部は、前連結部材3によって一体的に連結されている。可動部材2A,2Bの後端部は、後連結部材(連結部材)4によって一体的に連結されている。したがって、可動部材2A,2Bは、前後方向へ一体に移動する。
【0008】
車外側に配置された固定レール1Aと可動部材2Aとの間には、ロック機構(図示せず)が設けられている。ロック機構は、次の構成を有する限り周知のものを採用することができる。そこで、ロック機構についての詳細な説明は省略し、この発明との関連性がある構成についてのみ説明する。ロック機構は、回動レバー5(図2参照)を有している。回動レバー5の前端部は、可動部材2Aの前端部に左右方向へ延びる水平な軸線を中心として回動可能に連結されている。回動レバー5が図1に示すロック位置に位置すると、ロック機構がロック状態になり、可動部材2Aが固定レール1Aに回動不能に固定される。回動レバー5が図1に示すロック位置から所定角度(例えば10〜15°程度)だけ半時計方向へ回動してロック解除位置に位置すると、ロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換わり、可動部材2Aが固定レール1に対して前後方向へ移動可能になる。なお、回動レバー5は、ばね(図示せず)によって図2の反時計方向へ回動付勢されており、回動レバー5に外力が作用しない限り、回動レバー5と可動部材2Aとの間に設けられたストッパ機構によってロック位置に位置させられている。
【0009】
車内側に配置された固定レール1Bと可動部材2Bとの間にも、固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構と同様のロック機構(図示せず)が設けられており、このロック機構も回動レバー5と同様の回動レバー(図示せず)によってロック状態とロック解除状態とに切り換えられる。後述するように、固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構と、固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられたロック機構とは、同期して切り換えられるように構成されている。すなわち、可動部材2A側のロック機構がロック解除状態からロック状態に切り換わると、これと同時に可動部材2B側のロック機構がロック解除状態からロック状態に切り換わり、可動部材2A側のロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換わると、これと同時に可動部材2B側のロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換わる。固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構と、固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられたロック機構とが、ロック解除状態になると、固定レール1Aと可動部材2Bとの間に設けられた引張りばね6Aと、固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられた引張りばね6Bとにより、可動部材2A,2Bが所定の前方限界位置まで前進移動させられる。
【0010】
可動部材2A,2Bの各前端部には、操作ロッド7の両端部がそれぞれ回動可能に設けられている。操作ロッド7の前端部を上方へ回動させると、それに伴って回動レバー5及び図示しない回動レバーがロック位置からロック解除位置まで回動させられ、可動部材2A,2Bが前後方向へ移動可能になる。操作ロッド7から手を放すと、回動レバー5及び回動レバーがばねによってロック位置まで戻され、それに対応して操作ロッド7が元の位置まで復帰回動させられる。
【0011】
可動部材2A,2B及び前連結部材3により、シートフレーム8が支持されている。シートフレーム8は、可動部材2A,2Bだけで支持させてもよい。シートフレーム8の強度が高い場合には、前連結部材3を省くことも可能である。
【0012】
可動部材2Aの後端部には、シートバックフレーム9の下端部の車外側の側部がリクライニング機構10Aを介して回動可能に連結されている。可動部材2Bの後端部には、シートバックフレーム9の下端部の車内側の側部がリクライニング機構10Bを介して回動可能に連結されている。リクライニング機構10A,10Bは、周知のものを採用することが可能である。そこで、リクライニング機構10A,10Bについては、この発明と関連性がある構成についてのみ説明する。
【0013】
リクライニング機構10Aは、操作レバー101を有している。操作レバー101が図2に示す固定位置に位置しているときには、リクライニング機構10Aが回動阻止状態になり、シートバックフレーム9が可動部材2Aに回動不能に固定される。操作レバー101が固定位置から図2において時計方向へ所定角度だけ回動して解除位置に位置すると、リクライニング機構10Aが回動許容状態になり、シートバックフレーム9が可動部材2Aに対して回動可能になる。シートバックフレーム9の回動範囲は、シートバックフレーム9が図2に示す位置から図2の反時計方向へ所定角度だけ回動した前倒し位置と、シートバックフレーム9が図2に示す位置から図2の時計方向へ所定角度だけ回動したリクライニング位置との間に規制されている。
【0014】
リクライニング機構10Bは、操作レバー101に代わる操作レバー102(図3参照)を有している点を除きリクライニング機構10Aとほぼ左右対称に構成されている。したがって、操作レバー102が図3に示す固定位置に位置すると、リクライニング機構10Bが回動阻止状態になり、シートバックフレーム9が可動部材2Bに回動不能に固定される。操作レバー102が固定位置から図3の反時計方向へ所定角度(操作レバー101の固定位置から解除位置までの回動角度と同一角度)だけ回動して解除位置に位置すると、リクライニング機構10Bが回動許容状態になり、シートバックフレーム9が可動部材2Bに対して上記前倒し位置と上記リクライニング位置との間を回動可能になる。
【0015】
操作レバー101と操作レバー102とは、連結ロッド103により一体に回動するように連結されている。したがって、リクライニング機構10A,10Bは、操作レバー101,102のいずれによっても操作することができ、いずれの操作レバー101,102を操作した場合でもリクライニング機構10A,10Bの状態が同時に切り換わる。リクライニング機構10A,10Bが回動許容状態になると、各リクライニング機構10A,10Bが有する回動付勢手段としてのばね104,105(図2、図3参照)がシートバックフレーム9を前倒し位置まで回動させる。
【0016】
シートバックフレーム9がリクライニング位置側から前倒し位置まで回動すると、固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構と、固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられたロック機構とが、ロック状態からロック解除状態に同時に切り換わるように構成されている。すなわち、図2に示すように、リクライニング機構10Aには、第1回動リンク11が設けられている。この第1回動リンク1は、シートバックフレーム9が前倒し位置とリクライニング位置との間の所定の起立位置と、前倒し位置との間に位置しているときには、シートバックフレーム9と一体に回動するようになっている。一方、可動部材2Aには、第2回動リンク12が回動可能に設けられている。この第2回動リンク12は、その一端部が上記回動レバー5の後端部の上部と対向するように配置されており、当該一端部が回動レバー5から上方へ離間するようにばね(図示せず)によって図2の時計方向へ回動付勢されている。第2回動リンク11の他端部と第1回動リンク11との間には駆動ワイヤ13が設けられている。したがって、シートバックフレーム9が起立位置から前倒し位置へ向かって回動、それに伴って第1回動リンク11が図2の反時計方向へ回動すると、第2回動リンク12が第1回動リンク11により駆動ワイヤ13を介して図2の反時計方向へ回動させられる。すると、第2回動リンク12の一端部が回動レバー5に突き当たってこれをロック解除位置側へ回動させる。シートバックフレーム9が前倒し位置に達すると、第2回動リンク12が回動レバー5をロック解除位置まで回動させる。これにより、固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換えられる。
【0017】
可動部材2Bには、第3回動リンク(図示せず)が設けられている。この第3回動リンクは、第2回動リンク12と左右対称に形成されるのみならず、左右対称に配置されている。この第3回動リンクの他端部と第2回動リンク12の他端部との間には、連結ワイヤ14が設けられている。したがって、第3回動リンクは、第2回動リンク12が回動すると、第2回動リンク12と同一角度だけ回動する。これにより、固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられたロック機構の回動レバーがロック位置からロック解除位置まで回動させられ、当該ロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換えられる。
【0018】
上記のように、シートバックフレーム9が前倒し位置まで回動すると、固定レール1A,1Bと可動部材2A,2Bとの間に設けられた各ロック機構がロック解除状態になるので、助手席の後方の後部座席に腰掛けた乗員は、リクライニング機構10Aの操作レバー101を固定位置から解除位置まで回動操作することにより、シートバックフレーム9を前倒しすることができるとともに、助手席を所定の前方限界位置まで移動させることができる。しかし、操作レバー101を後部座席側から操作することは難しい。そこで、後部座席から容易に操作することができるハンドル15を設け、このハンドル15を操作することにより、シートバックフレーム9の前倒し及び助手席の前方への移動を可能にしている。
【0019】
すなわち、図4に示すように、上記後連結部材4には、ハンドル取り付け用の保持部材16が固定されている。保持部材16は、後連結部材4の車内側の端部に配置されている。保持部材16は、後連結部材4の車外側の端部又は中央部に配置してもよい。保持部材16を後連結部材4のいずれの箇所に配置する場合であっても、後連結部材4がそのほぼ全長にわって一定の形状を有しているので、保持部材16の後連結部材4に対する取付部分の形状を変更することなく、保持部材16を後連結部材4に取り付けることができる。したがって、保持部材16については、後連結部材4に対する取付部の形状を全く変更することなく、設置位置を適宜に変更することができる。
【0020】
保持部材16には、適度な柔軟性と強度とを併せもつガイド管17の一端部が着脱可能に取り付けられている。ガイド管17の一端部は、その長手方向を斜め上後方に向けた状態で保持部材16に取り付けられている。保持部材16及びガイド管17の一端部は、保持部材16にビス(図示せず)等によって固定されたカバー18によって覆われている。これにより、車内の美観の向上が図られている。ガイド管17の他端部は、シートフレーム8の下面に着脱可能に取り付けられている。
【0021】
ガイド管17には、解除ワイヤ19が移動可能に挿通されている。解除ワイヤ19の一端部には、上記ハンドル15が固定されている。このハンドル15は、後述するばね21により解除ワイヤ19を介して解除ワイヤ19の一端から他端へ向かう方向へ付勢され、ガイド管17の端面に押し付けられている。これにより、ハンドル15が保持部材16に解除ワイヤ19及びガイド管17を介して取り付けられている。勿論、ハンドル15は、ばね21の付勢力に抗して斜め上後方(ガイド管17の一端部の長手方向)へ移動可能である。
【0022】
シートフレーム8の下面には、回動リンク(回動部材)20が上下方向を向く軸線を中心として回動可能に設けられている。この回動リンク20には、解除ワイヤ19の他端部が連結固定されている。回動リンク20は、ばね21によって一方向へ回動付勢されている。これによって、解除ワイヤ19がその一端側から他端部側へ向かう方向へ引っ張られ、解除ワイヤ19の一端部に連結固定されたハンドル15が、カバー18の上面と、当該上面の前端部に形成されたフランジ部18aとに押し付けられている。これにより、ハンドル15が安定した一定の姿勢で格納されている。
【0023】
回動リンク20には、伝達ワイヤ22の一端部が連結固定されている。この伝達ワイヤ22の他端部は、上記リクライニング機構10Bの操作レバー102に連結されている。したがって、ハンドル15によって解除ワイヤ19を引っ張り、回動リンク20をばね21の付勢力に抗して回動させると、伝達ワイヤ22がその他端側から一端側へ向かう方向へ引っ張られ、操作レバー102が固定位置から解除位置まで回動させられる。これから明らかなように、この実施の形態では、解除ワイヤ19が回動リンク20及び伝達ワイヤ22を介してリクライニング機構10Bに連結され、連結ロッド103を介してリクライニング機構10Aに連結され、さらに第1回動リンク11駆動ワイヤ及び第2回動リンクを介して固定レール1Aと可動部材2Aとの間に設けられたロック機構に連結され、伝達ワイヤ14及び第3回動リンクを介して固定レール1Bと可動部材2Bとの間に設けられたロック機構に連結されている。
【0024】
解除ワイヤ19と伝達ワイヤ22とは、いずれも回動リンク20に連結されているのであるが、両者は、回動リンク20の径方向において異なる箇所に連結されている。解除ワイヤ10の連結箇所は、伝達ワイヤ22の連結箇所より回動リンク20の径方向外側に配置されている。この結果、解除ワイヤ19に作用する力が回動リンク20によって増大させられた状態で伝達ワイヤ22に伝達される。これにより、小さな力で操作レバー102を回動させることができ、ひいては小さい力でリクライニング機構10A,10B及びロック機構をロック状態から解除状態に切り換えることができるようになっている。
【0025】
上記構成の助手席において、ハンドル15を斜め上後方に移動させて解除ワイヤ19を同方向へ引っ張ると、回動リンク20がばね21の付勢力に抗して回動し、伝達ワイヤ22が引っ張られる。これにより、操作レバー102が固定位置から解除位置まで回動させられ、操作レバー101も同様に解除位置まで回動させられる。この結果、リクライニング機構10A,10Bが回動阻止状態から回動許容状態に切り換えられ、シートバックフレーム8が前倒し位置側へ回動可能になる。シートバックフレーム8がリクライニング機構10A,10Bのばね104,105によって前倒し位置まで回動すると、ロック機構がロック状態からロック解除状態に切り換わり、可動部材2A,2B、シートフレーム8及びシートバックフレーム9が前限界位置まで移動させられる。すると、助手席の後ろ側に後部座席への通路となる空間が形成され、この空間を通って後部座席側の乗員が乗降することができる。
【0026】
前限界位置に移動した助手席を所望の位置まで後方へ移動させた後、シートバックフレームを前倒し位置から中間位置を越えて起立させると、ロック機構がロック解除状態からロック状態に切り換わるとともに、リクライニング機構10A,10Bが回動許容状態から回動阻止状態に切り換わる。これにより、助手席が通常の使用状態になる。
【0027】
上記のように構成されたウォークイン装置によれば、ハンドル15を保持する保持部材16が可動部材2A,2Bの後端部間に配置された後連結部材4に設けられている関係上、保持部材16及びハンドル15はシートフレーム8の後端部の下部に配置される。したがって、保持部材16及びハンドル15が後部座席の乗員の乗降の邪魔になることがない。また、後保持部材16がそのほぼ全長にわたってほぼ一定の形状をなしているので、保持部材16を後連結部材4の左右両端部又は中央部のいずれの箇所に取り付ける場合においても、保持部材16の後連結部材4に対する取付部の形状を変更する必要がなく、同一の保持部材16を用いることができる。したがって、ウォークイン装置を安価に製造することができる。
【0028】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、解除ワイヤ19をリクライニング機構10Bに対し回動リンク20及び伝達ワイヤ22を介して連結しているが、解除ワイヤ19をリクライニング機構10Bの直接連結してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同実施の形態の右側面図である。
【図3】同実施の形態の左側面図である。
【図4】同実施の形態の要部を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1A,1B 固定レール
2A,2B 可動部材
4 連結部材
8 シートフレーム
9 シートバックフレーム
10A,10B リクライニング機構
15 ハンドル
16 保持部材
19 解除ワイヤ
20 回動リンク(回動部材)
22 伝達ワイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ互いに平行に延びる一対の固定レールと、この一対の固定レールにその長手方向へ移動可能に支持された一対の可動部材と、この一対の可動部材の後端部どうしを連結固定する連結部材と、上記一対の可動部材に支持されたシートフレームと、下端部の左右両側部が上記一対の可動部材の各後端部にそれぞれ回動可能に支持されたシートバックフレームと、上記固定レールと可動部材との間に設けられ、上記可動部材を上記固定レールに固定するロック状態と上記可動部材を上記固定レールに対してその長手方向へ移動可能にするロック解除状態とに切換可能なロック機構と、一端部にハンドルが設けられ、他端部が上記ロック機構に連結された解除ワイヤとを備え、上記ハンドルで上記解除ワイヤを引っ張ると、上記ロック機構による上記可動部材のロック状態が解除される車両用シートのウォークイン装置において、
上記連結部材に保持部材が設けられ、この保持部材に上記ハンドルが上記解除ワイヤの一端部の長手方向へ移動可能に保持されていることを特徴とする車両用シートのウォークイン装置。
【請求項2】
上記シートフレームの下面部に回動部材が回動可能に設けられ、上記解除ワイヤの他端部が上記回動部材に連結され、上記回動部材に伝達ワイヤの一端部が連結され、この伝達ワイヤの他端部が上記ロック機構に連結され、上記解除ワイヤの上記回動部材に対する連結箇所が、上記伝達ワイヤの上記回動部材に対する連結箇所より上記回動部材の径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのウォークイン装置。
【請求項3】
上記後連結部材がほぼ全長にわたってほぼ一定の断面形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートのウォークイン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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