車両用シートの取付構造
【課題】車両用シートの支持剛性を確保しつつ、該シートの振動を常に効果的に抑制する。
【解決手段】車体前後方向に延設されて車両用シート20を支持するシートレール10、または車両用シート20が、該シートレール10またはシート20に設けられた取付部30において、車体のフロア構成部材4に結合された車両用シートの取付構造において、前記取付部30と前記フロア構成部材4との結合部に、前記取付部30と前記フロア構成部材4とが当接した状態で剛結された剛結合部R1と、前記取付部30と前記フロア構成部材4との間に設けられた隙間に減衰部材50が両部材4,30に接合するように配設された柔結合部F1とを設ける。
【解決手段】車体前後方向に延設されて車両用シート20を支持するシートレール10、または車両用シート20が、該シートレール10またはシート20に設けられた取付部30において、車体のフロア構成部材4に結合された車両用シートの取付構造において、前記取付部30と前記フロア構成部材4との結合部に、前記取付部30と前記フロア構成部材4とが当接した状態で剛結された剛結合部R1と、前記取付部30と前記フロア構成部材4との間に設けられた隙間に減衰部材50が両部材4,30に接合するように配設された柔結合部F1とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロア構成部材に直接またはシートレールを介して取り付けられる車両用シートの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両における乗り心地を向上させるために、車両用シートの振動、特に共振を低減するための種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シートバックのフレームを構成する左右一対の縦材間に亘って、車幅方向に延びる横材を設けるとともに、該横材の両端部を弾性体を介して前記縦材に連結する技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、前記横材の両端部が弾性体を介して前記縦材に結合されるため、ボルト等で締結する場合に比べて、シートバックのフレームの剛性を小さくして、該フレームの固有振動数を低減できる。そのため、高い周波数でのシートバックの共振を抑制でき、乗り心地を向上させることができる。
【0004】
また、特許文献2には、フロアパネルの上に弾性体を介してパネル状の支持部材を取り付け、該支持部材上にシートを設置する技術が開示されている。この特許文献2の技術によれば、フロアパネルと前記支持部材との間に介在する弾性体により、フロア側から伝達される振動が吸収されるため、シートに伝達される振動が抑制され、乗員の乗り心地が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−196414号公報
【特許文献2】実開昭59−162364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、弾性体を介した前記横材の両端部と前記縦材との結合部において、ボルト等で締結する場合に比べて結合強度が低下するため、シートバックのフレーム全体の強度が低下してしまう。
【0007】
また、上記特許文献2の技術では、シートが弾性体を介してフロアに取り付けられることとなるため、シートの支持剛性が低下する問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、車両用シートの支持剛性を確保しつつ、該シートの振動を常に効果的に抑制することができる車両用シートの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用シートの取付構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体前後方向に延設されて車両用シートを支持するシートレールが、該シートレールに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
なお、請求項1に記載の発明において、前記取付部は、前記シートレールに固着された別部材で構成してもよいし、前記シートレールに一体に設けてもよい。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の発明において、
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に前記剛結合部が設けられ、
前記取付部の上面部と前記クロスメンバの上面との対向部に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の発明において、
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に、前記剛結合部と前記柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、車両用シートが、該シートに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0016】
なお、請求項5に記載の発明において、前記取付部は、前記シートに固着された別部材で構成してもよいし、前記シートに一体に設けてもよい。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項5または6に記載の発明において、
前記取付部は、前記シート前部の車幅方向両端部と、前記シート前部の車幅方向中央部と、前記シート後部の車幅方向両端部とに設けられ、
前記シート前部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部とのうち剛結合部のみが設けられ、
前記シート後部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部の両方が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材は、板状のスペーサの一方または両方の面に積層された状態で前記取付部と前記フロア構成部材との間に介装されていることを特徴とする。
【0020】
さらに、請求項9に記載の発明は、前記請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
まず、請求項1に記載の発明によれば、車体のフロア構成部材にシートレールを取り付ける取付部と、前記フロア構成部材とが、剛結合部と柔結合部とを併用して結合されることにより、前記取付部と前記フロア構成部材との結合力を維持しつつ、柔結合部において減衰部材がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シートの振動レベルを低減できる。したがって、車両用シートの振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。また、前記取付部とフロア構成部材との結合力を従来の構造と等しくすることにより、シートを支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、剛結合部の近傍に設けられた柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保されるため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。ここで、上記柔結合部を設ける部分としては、前記取付部と前記フロア構成部材との結合部における減衰部材が蓄えるひずみエネルギーが最も大きくなる部位を含むように設定することが望ましく、これにより、振動レベルの低減効果を高めることができる。
【0023】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記取付部の前面部とクロスメンバの前面との対向部に剛結合部が設けられ、前記取付部の上面部とクロスメンバの上面との対向部に柔結合部が設けられることにより、請求項1または2に記載の発明を効果的に実現することができる。
【0024】
またさらに、請求項4に記載の発明によれば、前記取付部の前面部とクロスメンバの前面との対向部に剛結合部と柔結合部とが設けられることにより、請求項1または2に記載の発明を効果的に実現することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、車体のフロア構成部材にシートを取り付ける取付部と、前記フロア構成部材とが、剛結合部と柔結合部とを併用して結合されることにより、前記取付部と前記フロア構成部材との結合力を維持しつつ、柔結合部において減衰部材がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シートの振動レベルを低減できる。したがって、車両用シートの振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。また、前記取付部とフロア構成部材との結合力を従来の構造と等しくすることにより、シートを支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0026】
またさらに、請求項5に記載の発明に請求項6に記載の発明を適用すれば、剛結合部の近傍に設けられた柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保されるため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。ここで、上記柔結合部を設ける部分としては、前記取付部と前記フロア構成部材との結合部における減衰部材が蓄えるひずみエネルギーが最も大きくなる部位を含むように設定することが望ましく、これにより、振動レベルの低減効果を高めることができる。
【0027】
さらに、請求項5または6に記載の発明に請求項7に記載の発明を適用すれば、シート後部の取付部とフロア構成部材との結合部に剛結合部と柔結合部の両方が設けられるため、該柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保される。そのため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。また、減衰部材による振動減衰効果が低いシート前部には柔結合部が設けられないため、減衰部材の部品点数を低減することができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明によれば、板状のスペーサの一方または両方の面に減衰部材を積層することで、前記取付部と前記フロア構成部材との隙間に、該隙間の間隔に容易に対応して減衰部材を介装することができる。
【0029】
さらに、請求項9に記載の発明によれば、減衰部材として、柔結合部の剛性が過剰に高くなることを回避でき且つ振動を効果的に減衰し得る粘弾性部材が使用されるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す拡大斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態の実施例と従来例の振動レベルを比較して示すグラフである。
【図5】第2の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図8】第5の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図9】第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示す側面図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】図10のC−C線断面図である。
【図13】第6の実施形態の実施例と従来例の振動レベルを比較して示すグラフである。
【図14】図12に示す柔結合部において吸収されるひずみエネルギーの大きさの分布を示す図である。
【図15】図12の変形例を示す断面図である。
【図16】図12の別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0032】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示している。図1に示すように、車両用シート20は、車体前後方向に延びる左右一対のシートレール10により、車体前後方向にスライド可能に支持されている。各シートレール10の前端部は、フロアクロスメンバ4を介してフロアパネル2に固定され、各シートレール10の後端部は、支持部材18を介してフロアパネル2に固定されている。フロアクロスメンバ4は、例えば断面ハット状であり、フロアパネル2上において車幅方向に延設されている。なお、フロアクロスメンバ4の車幅方向中央部には、フロアパネル2から上方へ離間するように持ち上げられたトンネル部5が形成されている。
【0033】
図2及び図3を参照しながら、シートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部の構成について説明する。なお、図2及び図3は、車幅方向右側(図1における左側)のシートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部を示しているが、車幅方向左側(図1における右側)のシートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部も同様の構造を有するものとする。
【0034】
シートレール10は、上向きに開放する断面略コ字状に形成されており、シートレール10の左右の側壁の上端には、内側に折り返されて下方へ延びる折り返し片14が形成されている。また、シートレール10の底面の前端部には、例えば金属製の取付プレート30が例えば溶接又はリベットにより固着されており、この取付プレート30を介してシートレール10の前端部がフロアクロスメンバ4に結合されている。ただし、取付プレート30は、シートレール10と一体に設けるようにしてもよい。
【0035】
取付プレート30は、フロアクロスメンバ4の前面部6に沿って配設される前面部34と、該前面部34から後方へ延びてフロアクロスメンバ4の上面部8に沿って配設される上面部32とを有する。また、図3に示すように、前面部34は、フロアクロスメンバ4の前面部6の上端近傍部に当接するように配設されており、該当接部において凹状に形成されている。さらに、上面部32の下面には、フロアクロスメンバ4に対して取付プレート30を位置決めするためのピン36が突設されており、フロアクロスメンバ4の上面部8に設けられたピン挿通穴にピン36を差し込むことで、取付プレート30が位置決めされるようになっている。
【0036】
取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合部には、剛結合部R1と柔結合部F1とが設けられている。
【0037】
剛結合部R1では、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4とが互いに当接した状態でボルト40により剛結されており、柔結合部F1では、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に設けられた隙間に減衰部材50がそれら両部材4,30に接合するように配設されている。
【0038】
減衰部材50は、柔結合部F1において振動を減衰させる部材であり、例えばシート状の粘弾性部材で構成される。減衰部材50は、例えば接着によりフロアクロスメンバ4と取付プレート30とに接合されている。そのため、振動によりフロアクロスメンバ4及び/又は取付プレート30が変位したとき、減衰部材50は、それらの部材4,30の変位に追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。すなわち、柔結合部F1では、剛結合部R1に比べて結合剛性が低い反面、減衰部材50による振動減衰効果を得られる利点がある。
【0039】
このように、取付プレート30とフロアクロスメンバ4とは、剛結合部R1と柔結合部F1とを併用して結合されている。これにより、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合力を維持しつつ、柔結合部F1において減衰部材50がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シート20の振動レベルを低減できる。したがって、車両用シート20の振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。
【0040】
剛結合部R1と柔結合部F1とは、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合剛性が従来の構造の結合剛性と等しくなるように設けることが好ましい。この場合、シート20を支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0041】
減衰部材50の材料は特に限定されないが、例えば、フロアクロスメンバ4及び取付プレート30に接着可能な材料が使用され、より具体的には、例えば、シリコーン系材料またはアクリル系材料が使用される。また、減衰部材50は、圧縮した状態でフロアクロスメンバ4と取付プレート30との間に介装することが好ましく、これにより、両部材4,30に対する高い密着力を得ることができる。
【0042】
さらに具体的に、減衰部材50としては、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材を用いることが好ましい。この場合、貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔結合部F1の結合剛性が過剰に高くなることを回避できるとともに、損失係数が0.2以上であることにより、減衰部材50による高い振動減衰効果を得ることができるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0043】
次に、剛結合部R1と柔結合部F1の配置について説明する。
【0044】
剛結合部R1は、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部に設けられている。より具体的に、剛結合部R1は、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4の前面部6との当接部にボルト40の軸方向からボルト着座面を投影した部分である。なお、ボルト40の締結部分において、フロアクロスメンバ4の内側の面には補強プレート46が例えば溶接により固着されており、該補強プレート46を介してナットの締め付けが行われるようになっている。
【0045】
一方、柔結合部F1は、剛結合部R1の近傍、具体的には、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50による減衰効果が十分に発揮され得る位置に設けられている。
【0046】
減衰部材50による減衰効果は、減衰部材50に吸収されるひずみエネルギーを大きくすると高くなる。そのため、柔結合部F1は、減衰部材50が吸収するひずみエネルギーが最大となる部位を含む部分に設定することが望ましく、これにより、振動レベルを効果的に低減することができる。
【0047】
減衰部材50に吸収されるひずみエネルギーは、減衰部材50の変形量が大きいときほど大きくなる。また、減衰部材50の変形量は、減衰部材50が変形できる自由度(変形自由度)と、減衰部材50を変形させる力(減衰部材50にかかる応力)とに比例する。
【0048】
そのため、柔結合部F1が剛結合部R1に近すぎると、減衰部材50の変形自由度が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。逆に、柔結合部F1が剛結合部R1から遠すぎると、減衰部材50にかかる応力が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。よって、柔結合部F1は、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置を含む部分に設けることが望ましく、これにより、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0049】
以上の観点から、第1の実施形態において、柔結合部F1は、取付プレート30の上面部32とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部の略全体に亘って設けられている。すなわち、減衰部材50は、取付プレート30の上面部32とフロアクロスメンバ4の上面部との間に介装され、それら両面に接合されている。なお、減衰部材50には、ピン36との干渉を避けるためのピン挿通穴52が形成されている。
【0050】
このように設定された柔結合部F1には、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれる。そのため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0051】
図4は、従来例(従来の車両用シートの取付構造を有する自動車)および実施例(第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車)についての加振テストの結果を示す。この加振テストは、試験台に自動車を載せた状態で加振器により上下方向の振動を加え、シートバックの上端部における左右方向の振動レベルを検出した。具体的には、複数の周波数の振動を加え、それぞれの周波数について伝達関数(イナータンス)を検出した。
【0052】
図4に示すように、伝達関数が高くなる周波数領域、すなわち共振が生じる周波数領域において、実施例の伝達関数は従来例よりも低くなっている。一方、共振が生じる周波数領域は、従来例と実施例とでほぼ一致している。このテスト結果から、第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造によれば、左右方向の振動に関して、車両用シートにおける新たな周波数での共振の発生を抑制しつつ、振動レベルを常に効果的に抑制できることを確認できる。
【0053】
[第2の実施形態]
図5に示す第2の実施形態では、減衰部材50が板状のスペーサ60の両面に積層された状態で取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に介装されている。なお、スペーサ60としては例えば金属板が使用されるが、スペーサ60の材料は特に限定されるものでない。
【0054】
このように、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間に、減衰部材50と共にスペーサ60を介在させることにより、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間隔が減衰部材50の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。
【0055】
また、かかる構成によっても、第1の実施形態と同様、柔結合部F1において、各減衰部材50がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0056】
さらに、スペーサ60の両面に減衰部材50が積層されているため、減衰部材50の材料として、フロアクロスメンバ4及び取付プレート30に接着可能な材料を使用することで、スペーサ60をフロアクロスメンバ4及び取付プレート30に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。
【0057】
なお、第2の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図5において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0058】
[第3の実施形態]
図6に示す第3の実施形態では、減衰部材50が板状のスペーサ60の上面にのみ積層された状態で取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に介装されている。かかる構成によっても、第2の実施形態と同様、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間にスペーサ60が介在するため、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間隔が減衰部材50の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。
【0059】
また、かかる構成によっても、第1の実施形態と同様、柔結合部F1において、各減衰部材50がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0060】
さらに、スペーサ60の上面に減衰部材50が積層されているため、減衰部材50の材料として、取付プレート30に接着可能な材料を使用することで、スペーサ60を取付プレート30に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。一方、フロアクロスメンバ4に対するスペーサ60の固着は、例えば溶接または接着剤による接着により行われる。
【0061】
なお、第3の実施形態において、減衰部材50は、必ずしもスペーサ60の上面に積層する必要はなく、スペーサ60の下面に積層するようにしてもよい。また、第3の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図6において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0062】
[第4の実施形態]
図7に示す第4の実施形態では、剛結合部R2と柔結合部F2とが、いずれもフロアクロスメンバ4の前面部6と取付プレート30の前面部34との対向部に設けられている。
【0063】
具体的に、取付プレート30の前面部34の上下方向中央部に凹部70が設けられており、該凹部70とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部に剛結合部R2が設けられている。また、前面部34における凹部70よりも上側部分とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部と、前面部34における凹部70よりも下側部分とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部とに、それぞれ柔結合部F2が設けられている。かかる構成によっても、上下両側の柔結合部F2には、第1の実施形態と同様、剛結合部R2との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれるため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0064】
なお、第4の実施形態においても、第2又は第3の実施形態と同様、板状のスペーサ60を使用して、該スペーサ60の一方または両方の面に減衰部材50を積層するようにしてもよい。また、第4の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図7において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0065】
[第5の実施形態]
図8に示す第5の実施形態では、取付プレート30が上面部32のみで構成されており、剛結合部R3と柔結合部F3とが、いずれもフロアクロスメンバ4の上面部8と取付プレート30の上面部32との対向部に設けられている。
【0066】
具体的に、取付プレート30の上面部32の前後方向中央部に凹部72が設けられており、該凹部72とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部に剛結合部R3が設けられている。また、上面部32における凹部72よりも前側部分とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部と、上面部32における凹部72よりも後側部分とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部とに、それぞれ柔結合部F3が設けられている。かかる構成によっても、前後両側の柔結合部F3には、第1の実施形態と同様、剛結合部R3との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれるため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0067】
なお、第5の実施形態においても、第2又は第3の実施形態と同様、板状のスペーサ60を使用して、該スペーサ60の一方または両方の面に減衰部材50を積層するようにしてもよい。また、第5の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図8において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0068】
また、第1〜第5の実施形態では、シートレール10がフロアクロスメンバ4に結合される場合について説明したが、本発明は、シートレールがフロアクロスメンバ以外のフロア構成部材(例えばフロアパネル2)に結合される場合にも等しく適用することができる。
【0069】
[第6の実施形態]
図9〜図12は、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示している。図9に示す車両用シート120は、車両に設けられた前後3列のシートのうちの3列目シートであり、シートレールを介することなく直接フロアパネル102に固定されている。図10に示すように、フロアパネル102におけるシート120の下側部分には、スペアタイヤを収納するための収納用凹部104が形成されている。
【0070】
図9及び図10に示すように、シート120は、シートバックフレーム122と、該シートバックフレーム122の下端部から前方に延びるシートクッションフレーム124と、相互に車幅方向に間隔を空けて配設されてフロアパネル102に固定される複数の被固定部材130(130a,130b,130c)と、被固定部材130同士を連結するシートクロスメンバ110とを有する。
【0071】
シートクロスメンバ110は、例えば断面ロ字形の金属管からなり、フロアパネル102の収納用凹部104を跨ぎながら車幅方向に延設されている。このシートクロスメンバ110は、長さ方向両端部が被固定部材130a,130bを介してフロアパネル102に固定される被固定部112とされていると共に、中間部が両側の被固定部112からの立ち上がり部114を介してフロアパネル102の上方に間隔を空けて位置する浮き上がり部116とされている。なお、図示は省略するが、シートクロスメンバ110の浮き上がり部116には、シートクッション及び/又はシートバックを支持する支持部材、並びに、シートベルトの端部を支持するシートベルトアンカが固定される。
【0072】
被固定部材130は、車幅方向に間隔を空けて例えば3つ設けられている。具体的には、シート120の車幅方向両端部に左右の被固定部材130a,130bが配設され、シート120の車幅方向中央部に中央の被固定部材130cが配設されている。
【0073】
左右の被固定部材130a,130bは、前後方向に延びる第1のプレート132と、該プレート132の後端部に取り付けられた第2のプレート136とを有する。
【0074】
第1のプレート132は、上向きに開放する断面倒コ字状に形成されており、略水平に配設される底面部133と、該底面部133から立ち上がる一対の側壁部134,135とを有する。第1プレート132の後端部には、シートクロスメンバ110の被固定部112が、一対の側壁部134,135を貫通した状態で固定されており、これにより、シートクロスメンバ110は、第1プレート132を介してフロアパネル102に固定されている。なお、第1のプレート132は、図示するように複数のプレートを前後に繋ぎ合わせて形成してもよいが、1枚のプレートで形成してもよい。
【0075】
第2のプレート136は、断面L字状に形成されており、略水平に配設される水平部137と、該水平部137から立ち上がる立ち上がり部138とを有する。該立ち上がり部138は、例えばボルト148により第1プレート132の車幅方向外側の側壁部135に固定されており、これにより、第1プレート132と第2プレート136とが連結されている。
【0076】
左右の被固定部材130a,130bは、連結部材126,128を介してシートバックフレーム122とシートクッションフレーム124とに連結されている。具体的には、第1プレート132の前端部が連結部材126を介してシートクッションフレーム124の前端部に連結され、第1プレート132の後端部と第2プレート136とが連結部材128を介してシートバックフレーム122の下端部に連結されている。なお、連結部材128は、前述のボルト148により、第1プレート132の車幅方向外側の側壁部135と第2プレート136の立ち上がり部138とに締結されている。
【0077】
また、左右の被固定部材130a,130bは、その前後両端部においてフロアパネル102に結合されているが、その結合部の具体的な構成については後述する。
【0078】
一方、中央の被固定部材130cは、シートクロスメンバ110の浮き上がり部116に固定されるクロスメンバ固定部142と、該クロスメンバ固定部142から前方に延びる長尺プレート139とを有する。長尺プレート139は、上向きに開放する断面倒コ字状に形成されており、略水平に配設される底面部140と、該底面部140から立ち上がる一対の側壁部141とを有する。この長尺プレート139の前端部はフロアパネル102に結合されているが、その結合部の具体的な構成については後述する。
【0079】
以下、シート120の被固定部材130とフロアパネル102との結合部の構成について、具体的に説明する。
【0080】
上述の通り、被固定部材130(130a,130b,130c)とフロアパネル102との結合部は、シート120前部の車幅方向両端部と、シート120前部の車幅方向中央部と、シート120後部の車幅方向両端部とに設けられている。また、これらの結合部には、被固定部材130とフロアパネル102とが当接した状態で剛結された剛結合部R4,R5と、被固定部材130とフロアパネル102との間に設けられた隙間に減衰部材150が両部材102,130に接合するように配設された柔結合部F5とが設けられている。
【0081】
図11を参照しながら、シート120前部における各被固定部材130とフロアパネル102との結合部の構成について説明する。なお、図11は、右側の被固定部材130bの前端部とフロアパネル102との結合部を示しているが、他の被固定部材130a,130cの前端部とフロアパネル102との結合も同様の構成でなされている。
【0082】
被固定部材130bの前端部、すなわち第1プレート132の前端部とフロアパネル102との結合部には、剛結合部と柔結合部とのうち剛結合部R4のみが設けられている。剛結合部R4では、第1プレート132の前端部とフロアパネル102とが互いに当接した状態でボルト143により剛結されている。なお、第1プレート132は、前後方向に延設されたサイドフレーム106の一部と共に、フロアパネル102に締結されている。
【0083】
このように、減衰部材150による振動減衰効果が低いシート120前部には柔結合部F5を設けないことで、減衰部材150の部品点数を低減することができる。
【0084】
次に、図12を参照しながら、左右の被固定部材130a,130bの後端部とフロアパネル102との結合部の構成について説明する。なお、図12は、右側の被固定部材130bの後端部とフロアパネル102との結合部を示しているが、左側の被固定部材130aの後端部とフロアパネル102との結合も同様の構成でなされている。
【0085】
左右の被固定部材130a,130bの後端部とフロアパネル102との結合部には、剛結合部R5と柔結合部F5の両方が設けられている。
【0086】
剛結合部R5では、第2プレート136の水平部137とフロアパネル102とが互いに当接した状態でボルト144により剛結されており、柔結合部F5では、第1プレート132の底面部133とフロアパネル102との間に設けられた隙間に減衰部材150がそれら両部材102,132に接合するように配設されている。
【0087】
減衰部材150は、板状のスペーサ160の両面に積層された状態でフロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装されている。なお、スペーサ160としては例えば金属板が使用されるが、スペーサ160の材料は特に限定されるものでない。
【0088】
このように、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に、減衰部材150と共にスペーサ160を介在させることにより、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間隔が減衰部材150の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材150を設置することができる。
【0089】
減衰部材150は、柔結合部F5において振動を減衰させる部材であり、例えばシート状の粘弾性部材で構成される。減衰部材150は、例えば接着によりフロアパネル102と第1プレート132とに接合されている。そのため、振動によりフロアパネル102及び/又は第1プレート132が変位したとき、減衰部材150は、それらの部材102,132の変位に追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。すなわち、柔結合部F5では、剛結合部R5に比べて結合剛性が低い反面、減衰部材150による振動減衰効果を得られる利点がある。
【0090】
このように、被固定部材130a,130bとフロアパネル102とは、剛結合部R5と柔結合部F5とを併用して結合されている。これにより、被固定部材130a,130bとフロアパネル102との結合力を維持しつつ、柔結合部F5において減衰部材150がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シート120の振動レベルを低減できる。したがって、車両用シート120の振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。
【0091】
剛結合部R5と柔結合部F5とは、被固定部材130a,130bとフロアパネル102との結合剛性が従来の構造の結合剛性と等しくなるように設けることが好ましい。この場合、シート120を支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0092】
減衰部材150の材料は特に限定されないが、例えば、フロアパネル102及び被固定部材130a,130bの第1プレート132に接着可能な材料が使用され、より具体的には、例えば、シリコーン系材料またはアクリル系材料が使用される。また、減衰部材150は、圧縮した状態でフロアパネル102と第1プレート132との間に介装することが好ましく、これにより、両部材102,132に対する高い密着力を得ることができる。
【0093】
さらに具体的に、減衰部材150としては、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材を用いることが好ましい。この場合、貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔結合部F5の結合剛性が過剰に高くなることを回避できるとともに、損失係数が0.2以上であることにより、減衰部材150による高い振動減衰効果を得ることができるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0094】
次に、剛結合部R5と柔結合部F5の配置について説明する。
【0095】
剛結合部R5は、フロアパネル102と第2プレート136の水平部137との対向部に設けられている。より具体的に、剛結合部R5は、フロアパネル102と第2プレート136の水平部137との当接部にボルト144の軸方向からボルト着座面を投影した部分である。
【0096】
一方、柔結合部F5は、剛結合部R5の近傍、具体的には、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150による減衰効果が十分に発揮され得る位置に設けられている。
【0097】
減衰部材150による減衰効果は、減衰部材150に吸収されるひずみエネルギーを大きくすると高くなる。そのため、柔結合部F5は、減衰部材150が吸収するひずみエネルギーが最大となる部位を含む部分に設定することが望ましく、これにより、振動レベルを効果的に低減することができる。
【0098】
減衰部材150に吸収されるひずみエネルギーは、減衰部材150の変形量が大きいときほど大きくなる。また、減衰部材150の変形量は、減衰部材150が変形できる自由度(変形自由度)と、減衰部材150を変形させる力(減衰部材150にかかる応力)とに比例する。
【0099】
そのため、柔結合部F5が剛結合部R5に近すぎると、減衰部材150の変形自由度が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。逆に、柔結合部F5が剛結合部R5から遠すぎると、減衰部材150にかかる応力が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。よって、柔結合部F5は、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150の変形自由度と減衰部材150にかかる応力との積が最大になる位置を含む部分に設けることが望ましく、これにより、減衰部材150による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0100】
以上の観点から、第6の実施形態において、柔結合部F5は、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との対向部の略全体に亘って設けられている。すなわち、減衰部材150は、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装され、それら両面に接合されている。
【0101】
このように設定された柔結合部F5には、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150の変形自由度と減衰部材150にかかる応力との積が最大になる位置が含まれる。そのため、減衰部材150による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0102】
図13は、従来例(従来の車両用シートの取付構造を有する自動車)および実施例(第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車)についての加振テストの結果を示す。この加振テストは、試験台に自動車を載せた状態で加振器により上下方向の振動を加え、シートバックの上端部における左右方向の振動レベルを検出した。具体的には、複数の周波数の振動を加え、それぞれの周波数について伝達関数(イナータンス)を検出した。
【0103】
図13に示すように、伝達関数が高くなる周波数領域、すなわち共振が生じる周波数領域において、実施例の伝達関数は従来例よりも低くなっている。一方、共振が生じる周波数領域は、従来例と実施例とでほぼ一致している。このテスト結果から、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造によれば、左右方向の振動に関して、車両用シートにおける新たな周波数での共振の発生を抑制しつつ、振動レベルを常に効果的に抑制できることを確認できる。
【0104】
図14は、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車に上下方向の振動を加える場合に柔結合部F5において吸収されるひずみエネルギーの大きさの分布について、シミュレーション結果を示している。このシミュレーションは、自動車に4つの異なる周波数(周波数a〜d)の振動を加える場合についてそれぞれ行った。図14に示すように、柔結合部F5で吸収されるひずみエネルギーは、車両前後方向に関して柔結合部F5の両端部において大きく、中央部で小さくなる傾向にある。このシミュレーション結果から、柔結合部F5の両端部にのみ減衰部材150を設けた場合でも、柔結合部F5全体に減衰部材150を設ける場合と同等の振動低減効果が得られることを確認できた。したがって、柔結合部F5の前後方向両端部にのみ減衰部材150を設けることが好ましく、これにより、材料コストの低減を図ることができる。
【0105】
[第7の実施形態]
図15に示す第7の実施形態では、減衰部材150がスペーサ160の上面にのみ積層された状態でフロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装されている。
【0106】
かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間にスペーサ160が介在するため、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間隔が減衰部材150の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。また、スペーサ160の上面に減衰部材150が積層されているため、減衰部材150の材料として、第1プレート132に接着可能な材料を使用することで、スペーサ160を第1プレート132に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。一方、フロアパネル102に対するスペーサ160の固着は、例えば溶接または接着剤による接着により行われる。
【0107】
また、かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、柔結合部F5において、減衰部材150がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0108】
なお、第7の実施形態において、減衰部材150をスペーサ160の下面にのみ積層するようにしてもよく、この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。また、第7の実施形態において、その他の構成は第6の実施形態と同様であり、図15において、第6の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0109】
[第8の実施形態]
図16に示す第8の実施形態では、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に、減衰部材150のみが介装されている。かかる構成によれば、スペーサ160の使用を省略することができるため、部品点数を削減することができる。
【0110】
また、かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、柔結合部F5において、減衰部材150がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。さらに、減衰部材150の材料として、フロアパネル102と第1プレート132とに接着可能な材料を使用することで、フロアパネル102に第1プレート132を固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。
【0111】
なお、第8の実施形態において、その他の構成は第6の実施形態と同様であり、図16において、第6の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0112】
また、第6〜第8の実施形態では、シート120の被固定部材130がフロアパネル102に結合される場合について説明したが、本発明は、シート120の被固定部材130以外の部分がフロアパネル102に結合される場合、及び、シート120がフロアパネル102以外のフロア構成部材(例えばフロアクロスメンバ)に結合される場合にも等しく適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明によれば、車両用シートの支持剛性を確保しつつ、該シートの振動を常に効果的に抑制することが可能となるから、車両用シート又は該シートを支持するシートレールがフロア構成部材に結合された車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0114】
2:フロアパネル、4:フロアクロスメンバ、6:フロアクロスメンバの前面部、8:フロアクロスメンバの上面部、10:シートレール、20:シート、30:取付プレート、40:ボルト、50:減衰部材、F1,F2,F3:柔結合部、R1,R2,R3:剛結合部、102:フロアパネル、120:シート、130:被固定部材、150:減衰部材、F5:柔結合部、R4,R5:剛結合部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロア構成部材に直接またはシートレールを介して取り付けられる車両用シートの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両における乗り心地を向上させるために、車両用シートの振動、特に共振を低減するための種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シートバックのフレームを構成する左右一対の縦材間に亘って、車幅方向に延びる横材を設けるとともに、該横材の両端部を弾性体を介して前記縦材に連結する技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、前記横材の両端部が弾性体を介して前記縦材に結合されるため、ボルト等で締結する場合に比べて、シートバックのフレームの剛性を小さくして、該フレームの固有振動数を低減できる。そのため、高い周波数でのシートバックの共振を抑制でき、乗り心地を向上させることができる。
【0004】
また、特許文献2には、フロアパネルの上に弾性体を介してパネル状の支持部材を取り付け、該支持部材上にシートを設置する技術が開示されている。この特許文献2の技術によれば、フロアパネルと前記支持部材との間に介在する弾性体により、フロア側から伝達される振動が吸収されるため、シートに伝達される振動が抑制され、乗員の乗り心地が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−196414号公報
【特許文献2】実開昭59−162364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、弾性体を介した前記横材の両端部と前記縦材との結合部において、ボルト等で締結する場合に比べて結合強度が低下するため、シートバックのフレーム全体の強度が低下してしまう。
【0007】
また、上記特許文献2の技術では、シートが弾性体を介してフロアに取り付けられることとなるため、シートの支持剛性が低下する問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、車両用シートの支持剛性を確保しつつ、該シートの振動を常に効果的に抑制することができる車両用シートの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用シートの取付構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体前後方向に延設されて車両用シートを支持するシートレールが、該シートレールに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
なお、請求項1に記載の発明において、前記取付部は、前記シートレールに固着された別部材で構成してもよいし、前記シートレールに一体に設けてもよい。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の発明において、
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に前記剛結合部が設けられ、
前記取付部の上面部と前記クロスメンバの上面との対向部に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の発明において、
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に、前記剛結合部と前記柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、車両用シートが、該シートに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする。
【0016】
なお、請求項5に記載の発明において、前記取付部は、前記シートに固着された別部材で構成してもよいし、前記シートに一体に設けてもよい。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項5または6に記載の発明において、
前記取付部は、前記シート前部の車幅方向両端部と、前記シート前部の車幅方向中央部と、前記シート後部の車幅方向両端部とに設けられ、
前記シート前部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部とのうち剛結合部のみが設けられ、
前記シート後部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部の両方が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材は、板状のスペーサの一方または両方の面に積層された状態で前記取付部と前記フロア構成部材との間に介装されていることを特徴とする。
【0020】
さらに、請求項9に記載の発明は、前記請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
まず、請求項1に記載の発明によれば、車体のフロア構成部材にシートレールを取り付ける取付部と、前記フロア構成部材とが、剛結合部と柔結合部とを併用して結合されることにより、前記取付部と前記フロア構成部材との結合力を維持しつつ、柔結合部において減衰部材がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シートの振動レベルを低減できる。したがって、車両用シートの振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。また、前記取付部とフロア構成部材との結合力を従来の構造と等しくすることにより、シートを支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、剛結合部の近傍に設けられた柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保されるため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。ここで、上記柔結合部を設ける部分としては、前記取付部と前記フロア構成部材との結合部における減衰部材が蓄えるひずみエネルギーが最も大きくなる部位を含むように設定することが望ましく、これにより、振動レベルの低減効果を高めることができる。
【0023】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記取付部の前面部とクロスメンバの前面との対向部に剛結合部が設けられ、前記取付部の上面部とクロスメンバの上面との対向部に柔結合部が設けられることにより、請求項1または2に記載の発明を効果的に実現することができる。
【0024】
またさらに、請求項4に記載の発明によれば、前記取付部の前面部とクロスメンバの前面との対向部に剛結合部と柔結合部とが設けられることにより、請求項1または2に記載の発明を効果的に実現することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、車体のフロア構成部材にシートを取り付ける取付部と、前記フロア構成部材とが、剛結合部と柔結合部とを併用して結合されることにより、前記取付部と前記フロア構成部材との結合力を維持しつつ、柔結合部において減衰部材がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シートの振動レベルを低減できる。したがって、車両用シートの振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。また、前記取付部とフロア構成部材との結合力を従来の構造と等しくすることにより、シートを支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0026】
またさらに、請求項5に記載の発明に請求項6に記載の発明を適用すれば、剛結合部の近傍に設けられた柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保されるため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。ここで、上記柔結合部を設ける部分としては、前記取付部と前記フロア構成部材との結合部における減衰部材が蓄えるひずみエネルギーが最も大きくなる部位を含むように設定することが望ましく、これにより、振動レベルの低減効果を高めることができる。
【0027】
さらに、請求項5または6に記載の発明に請求項7に記載の発明を適用すれば、シート後部の取付部とフロア構成部材との結合部に剛結合部と柔結合部の両方が設けられるため、該柔結合部において、減衰部材の変形自由度と減衰部材にかかる応力とが適度に確保される。そのため、減衰部材によりひずみエネルギーを効果的に吸収することができ、車両用シートの振動レベルを一層効果的に低減することができる。また、減衰部材による振動減衰効果が低いシート前部には柔結合部が設けられないため、減衰部材の部品点数を低減することができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明によれば、板状のスペーサの一方または両方の面に減衰部材を積層することで、前記取付部と前記フロア構成部材との隙間に、該隙間の間隔に容易に対応して減衰部材を介装することができる。
【0029】
さらに、請求項9に記載の発明によれば、減衰部材として、柔結合部の剛性が過剰に高くなることを回避でき且つ振動を効果的に減衰し得る粘弾性部材が使用されるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す拡大斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態の実施例と従来例の振動レベルを比較して示すグラフである。
【図5】第2の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図8】第5の実施形態に係るフロアクロスメンバとシートレールとの結合部及びその周辺部を示す断面図である。
【図9】第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示す側面図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】図10のC−C線断面図である。
【図13】第6の実施形態の実施例と従来例の振動レベルを比較して示すグラフである。
【図14】図12に示す柔結合部において吸収されるひずみエネルギーの大きさの分布を示す図である。
【図15】図12の変形例を示す断面図である。
【図16】図12の別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0032】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示している。図1に示すように、車両用シート20は、車体前後方向に延びる左右一対のシートレール10により、車体前後方向にスライド可能に支持されている。各シートレール10の前端部は、フロアクロスメンバ4を介してフロアパネル2に固定され、各シートレール10の後端部は、支持部材18を介してフロアパネル2に固定されている。フロアクロスメンバ4は、例えば断面ハット状であり、フロアパネル2上において車幅方向に延設されている。なお、フロアクロスメンバ4の車幅方向中央部には、フロアパネル2から上方へ離間するように持ち上げられたトンネル部5が形成されている。
【0033】
図2及び図3を参照しながら、シートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部の構成について説明する。なお、図2及び図3は、車幅方向右側(図1における左側)のシートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部を示しているが、車幅方向左側(図1における右側)のシートレール10の前端部とフロアクロスメンバ4との結合部も同様の構造を有するものとする。
【0034】
シートレール10は、上向きに開放する断面略コ字状に形成されており、シートレール10の左右の側壁の上端には、内側に折り返されて下方へ延びる折り返し片14が形成されている。また、シートレール10の底面の前端部には、例えば金属製の取付プレート30が例えば溶接又はリベットにより固着されており、この取付プレート30を介してシートレール10の前端部がフロアクロスメンバ4に結合されている。ただし、取付プレート30は、シートレール10と一体に設けるようにしてもよい。
【0035】
取付プレート30は、フロアクロスメンバ4の前面部6に沿って配設される前面部34と、該前面部34から後方へ延びてフロアクロスメンバ4の上面部8に沿って配設される上面部32とを有する。また、図3に示すように、前面部34は、フロアクロスメンバ4の前面部6の上端近傍部に当接するように配設されており、該当接部において凹状に形成されている。さらに、上面部32の下面には、フロアクロスメンバ4に対して取付プレート30を位置決めするためのピン36が突設されており、フロアクロスメンバ4の上面部8に設けられたピン挿通穴にピン36を差し込むことで、取付プレート30が位置決めされるようになっている。
【0036】
取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合部には、剛結合部R1と柔結合部F1とが設けられている。
【0037】
剛結合部R1では、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4とが互いに当接した状態でボルト40により剛結されており、柔結合部F1では、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に設けられた隙間に減衰部材50がそれら両部材4,30に接合するように配設されている。
【0038】
減衰部材50は、柔結合部F1において振動を減衰させる部材であり、例えばシート状の粘弾性部材で構成される。減衰部材50は、例えば接着によりフロアクロスメンバ4と取付プレート30とに接合されている。そのため、振動によりフロアクロスメンバ4及び/又は取付プレート30が変位したとき、減衰部材50は、それらの部材4,30の変位に追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。すなわち、柔結合部F1では、剛結合部R1に比べて結合剛性が低い反面、減衰部材50による振動減衰効果を得られる利点がある。
【0039】
このように、取付プレート30とフロアクロスメンバ4とは、剛結合部R1と柔結合部F1とを併用して結合されている。これにより、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合力を維持しつつ、柔結合部F1において減衰部材50がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シート20の振動レベルを低減できる。したがって、車両用シート20の振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。
【0040】
剛結合部R1と柔結合部F1とは、取付プレート30とフロアクロスメンバ4との結合剛性が従来の構造の結合剛性と等しくなるように設けることが好ましい。この場合、シート20を支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0041】
減衰部材50の材料は特に限定されないが、例えば、フロアクロスメンバ4及び取付プレート30に接着可能な材料が使用され、より具体的には、例えば、シリコーン系材料またはアクリル系材料が使用される。また、減衰部材50は、圧縮した状態でフロアクロスメンバ4と取付プレート30との間に介装することが好ましく、これにより、両部材4,30に対する高い密着力を得ることができる。
【0042】
さらに具体的に、減衰部材50としては、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材を用いることが好ましい。この場合、貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔結合部F1の結合剛性が過剰に高くなることを回避できるとともに、損失係数が0.2以上であることにより、減衰部材50による高い振動減衰効果を得ることができるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0043】
次に、剛結合部R1と柔結合部F1の配置について説明する。
【0044】
剛結合部R1は、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部に設けられている。より具体的に、剛結合部R1は、取付プレート30の前面部34とフロアクロスメンバ4の前面部6との当接部にボルト40の軸方向からボルト着座面を投影した部分である。なお、ボルト40の締結部分において、フロアクロスメンバ4の内側の面には補強プレート46が例えば溶接により固着されており、該補強プレート46を介してナットの締め付けが行われるようになっている。
【0045】
一方、柔結合部F1は、剛結合部R1の近傍、具体的には、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50による減衰効果が十分に発揮され得る位置に設けられている。
【0046】
減衰部材50による減衰効果は、減衰部材50に吸収されるひずみエネルギーを大きくすると高くなる。そのため、柔結合部F1は、減衰部材50が吸収するひずみエネルギーが最大となる部位を含む部分に設定することが望ましく、これにより、振動レベルを効果的に低減することができる。
【0047】
減衰部材50に吸収されるひずみエネルギーは、減衰部材50の変形量が大きいときほど大きくなる。また、減衰部材50の変形量は、減衰部材50が変形できる自由度(変形自由度)と、減衰部材50を変形させる力(減衰部材50にかかる応力)とに比例する。
【0048】
そのため、柔結合部F1が剛結合部R1に近すぎると、減衰部材50の変形自由度が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。逆に、柔結合部F1が剛結合部R1から遠すぎると、減衰部材50にかかる応力が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。よって、柔結合部F1は、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置を含む部分に設けることが望ましく、これにより、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0049】
以上の観点から、第1の実施形態において、柔結合部F1は、取付プレート30の上面部32とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部の略全体に亘って設けられている。すなわち、減衰部材50は、取付プレート30の上面部32とフロアクロスメンバ4の上面部との間に介装され、それら両面に接合されている。なお、減衰部材50には、ピン36との干渉を避けるためのピン挿通穴52が形成されている。
【0050】
このように設定された柔結合部F1には、剛結合部R1との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれる。そのため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0051】
図4は、従来例(従来の車両用シートの取付構造を有する自動車)および実施例(第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車)についての加振テストの結果を示す。この加振テストは、試験台に自動車を載せた状態で加振器により上下方向の振動を加え、シートバックの上端部における左右方向の振動レベルを検出した。具体的には、複数の周波数の振動を加え、それぞれの周波数について伝達関数(イナータンス)を検出した。
【0052】
図4に示すように、伝達関数が高くなる周波数領域、すなわち共振が生じる周波数領域において、実施例の伝達関数は従来例よりも低くなっている。一方、共振が生じる周波数領域は、従来例と実施例とでほぼ一致している。このテスト結果から、第1の実施形態に係る車両用シートの取付構造によれば、左右方向の振動に関して、車両用シートにおける新たな周波数での共振の発生を抑制しつつ、振動レベルを常に効果的に抑制できることを確認できる。
【0053】
[第2の実施形態]
図5に示す第2の実施形態では、減衰部材50が板状のスペーサ60の両面に積層された状態で取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に介装されている。なお、スペーサ60としては例えば金属板が使用されるが、スペーサ60の材料は特に限定されるものでない。
【0054】
このように、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間に、減衰部材50と共にスペーサ60を介在させることにより、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間隔が減衰部材50の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。
【0055】
また、かかる構成によっても、第1の実施形態と同様、柔結合部F1において、各減衰部材50がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0056】
さらに、スペーサ60の両面に減衰部材50が積層されているため、減衰部材50の材料として、フロアクロスメンバ4及び取付プレート30に接着可能な材料を使用することで、スペーサ60をフロアクロスメンバ4及び取付プレート30に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。
【0057】
なお、第2の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図5において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0058】
[第3の実施形態]
図6に示す第3の実施形態では、減衰部材50が板状のスペーサ60の上面にのみ積層された状態で取付プレート30とフロアクロスメンバ4との間に介装されている。かかる構成によっても、第2の実施形態と同様、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間にスペーサ60が介在するため、フロアクロスメンバ4と取付プレート30との間隔が減衰部材50の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。
【0059】
また、かかる構成によっても、第1の実施形態と同様、柔結合部F1において、各減衰部材50がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0060】
さらに、スペーサ60の上面に減衰部材50が積層されているため、減衰部材50の材料として、取付プレート30に接着可能な材料を使用することで、スペーサ60を取付プレート30に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。一方、フロアクロスメンバ4に対するスペーサ60の固着は、例えば溶接または接着剤による接着により行われる。
【0061】
なお、第3の実施形態において、減衰部材50は、必ずしもスペーサ60の上面に積層する必要はなく、スペーサ60の下面に積層するようにしてもよい。また、第3の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図6において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0062】
[第4の実施形態]
図7に示す第4の実施形態では、剛結合部R2と柔結合部F2とが、いずれもフロアクロスメンバ4の前面部6と取付プレート30の前面部34との対向部に設けられている。
【0063】
具体的に、取付プレート30の前面部34の上下方向中央部に凹部70が設けられており、該凹部70とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部に剛結合部R2が設けられている。また、前面部34における凹部70よりも上側部分とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部と、前面部34における凹部70よりも下側部分とフロアクロスメンバ4の前面部6との対向部とに、それぞれ柔結合部F2が設けられている。かかる構成によっても、上下両側の柔結合部F2には、第1の実施形態と同様、剛結合部R2との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれるため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0064】
なお、第4の実施形態においても、第2又は第3の実施形態と同様、板状のスペーサ60を使用して、該スペーサ60の一方または両方の面に減衰部材50を積層するようにしてもよい。また、第4の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図7において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0065】
[第5の実施形態]
図8に示す第5の実施形態では、取付プレート30が上面部32のみで構成されており、剛結合部R3と柔結合部F3とが、いずれもフロアクロスメンバ4の上面部8と取付プレート30の上面部32との対向部に設けられている。
【0066】
具体的に、取付プレート30の上面部32の前後方向中央部に凹部72が設けられており、該凹部72とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部に剛結合部R3が設けられている。また、上面部32における凹部72よりも前側部分とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部と、上面部32における凹部72よりも後側部分とフロアクロスメンバ4の上面部8との対向部とに、それぞれ柔結合部F3が設けられている。かかる構成によっても、前後両側の柔結合部F3には、第1の実施形態と同様、剛結合部R3との位置関係において減衰部材50の変形自由度と減衰部材50にかかる応力との積が最大になる位置が含まれるため、減衰部材50による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0067】
なお、第5の実施形態においても、第2又は第3の実施形態と同様、板状のスペーサ60を使用して、該スペーサ60の一方または両方の面に減衰部材50を積層するようにしてもよい。また、第5の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図8において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0068】
また、第1〜第5の実施形態では、シートレール10がフロアクロスメンバ4に結合される場合について説明したが、本発明は、シートレールがフロアクロスメンバ以外のフロア構成部材(例えばフロアパネル2)に結合される場合にも等しく適用することができる。
【0069】
[第6の実施形態]
図9〜図12は、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を示している。図9に示す車両用シート120は、車両に設けられた前後3列のシートのうちの3列目シートであり、シートレールを介することなく直接フロアパネル102に固定されている。図10に示すように、フロアパネル102におけるシート120の下側部分には、スペアタイヤを収納するための収納用凹部104が形成されている。
【0070】
図9及び図10に示すように、シート120は、シートバックフレーム122と、該シートバックフレーム122の下端部から前方に延びるシートクッションフレーム124と、相互に車幅方向に間隔を空けて配設されてフロアパネル102に固定される複数の被固定部材130(130a,130b,130c)と、被固定部材130同士を連結するシートクロスメンバ110とを有する。
【0071】
シートクロスメンバ110は、例えば断面ロ字形の金属管からなり、フロアパネル102の収納用凹部104を跨ぎながら車幅方向に延設されている。このシートクロスメンバ110は、長さ方向両端部が被固定部材130a,130bを介してフロアパネル102に固定される被固定部112とされていると共に、中間部が両側の被固定部112からの立ち上がり部114を介してフロアパネル102の上方に間隔を空けて位置する浮き上がり部116とされている。なお、図示は省略するが、シートクロスメンバ110の浮き上がり部116には、シートクッション及び/又はシートバックを支持する支持部材、並びに、シートベルトの端部を支持するシートベルトアンカが固定される。
【0072】
被固定部材130は、車幅方向に間隔を空けて例えば3つ設けられている。具体的には、シート120の車幅方向両端部に左右の被固定部材130a,130bが配設され、シート120の車幅方向中央部に中央の被固定部材130cが配設されている。
【0073】
左右の被固定部材130a,130bは、前後方向に延びる第1のプレート132と、該プレート132の後端部に取り付けられた第2のプレート136とを有する。
【0074】
第1のプレート132は、上向きに開放する断面倒コ字状に形成されており、略水平に配設される底面部133と、該底面部133から立ち上がる一対の側壁部134,135とを有する。第1プレート132の後端部には、シートクロスメンバ110の被固定部112が、一対の側壁部134,135を貫通した状態で固定されており、これにより、シートクロスメンバ110は、第1プレート132を介してフロアパネル102に固定されている。なお、第1のプレート132は、図示するように複数のプレートを前後に繋ぎ合わせて形成してもよいが、1枚のプレートで形成してもよい。
【0075】
第2のプレート136は、断面L字状に形成されており、略水平に配設される水平部137と、該水平部137から立ち上がる立ち上がり部138とを有する。該立ち上がり部138は、例えばボルト148により第1プレート132の車幅方向外側の側壁部135に固定されており、これにより、第1プレート132と第2プレート136とが連結されている。
【0076】
左右の被固定部材130a,130bは、連結部材126,128を介してシートバックフレーム122とシートクッションフレーム124とに連結されている。具体的には、第1プレート132の前端部が連結部材126を介してシートクッションフレーム124の前端部に連結され、第1プレート132の後端部と第2プレート136とが連結部材128を介してシートバックフレーム122の下端部に連結されている。なお、連結部材128は、前述のボルト148により、第1プレート132の車幅方向外側の側壁部135と第2プレート136の立ち上がり部138とに締結されている。
【0077】
また、左右の被固定部材130a,130bは、その前後両端部においてフロアパネル102に結合されているが、その結合部の具体的な構成については後述する。
【0078】
一方、中央の被固定部材130cは、シートクロスメンバ110の浮き上がり部116に固定されるクロスメンバ固定部142と、該クロスメンバ固定部142から前方に延びる長尺プレート139とを有する。長尺プレート139は、上向きに開放する断面倒コ字状に形成されており、略水平に配設される底面部140と、該底面部140から立ち上がる一対の側壁部141とを有する。この長尺プレート139の前端部はフロアパネル102に結合されているが、その結合部の具体的な構成については後述する。
【0079】
以下、シート120の被固定部材130とフロアパネル102との結合部の構成について、具体的に説明する。
【0080】
上述の通り、被固定部材130(130a,130b,130c)とフロアパネル102との結合部は、シート120前部の車幅方向両端部と、シート120前部の車幅方向中央部と、シート120後部の車幅方向両端部とに設けられている。また、これらの結合部には、被固定部材130とフロアパネル102とが当接した状態で剛結された剛結合部R4,R5と、被固定部材130とフロアパネル102との間に設けられた隙間に減衰部材150が両部材102,130に接合するように配設された柔結合部F5とが設けられている。
【0081】
図11を参照しながら、シート120前部における各被固定部材130とフロアパネル102との結合部の構成について説明する。なお、図11は、右側の被固定部材130bの前端部とフロアパネル102との結合部を示しているが、他の被固定部材130a,130cの前端部とフロアパネル102との結合も同様の構成でなされている。
【0082】
被固定部材130bの前端部、すなわち第1プレート132の前端部とフロアパネル102との結合部には、剛結合部と柔結合部とのうち剛結合部R4のみが設けられている。剛結合部R4では、第1プレート132の前端部とフロアパネル102とが互いに当接した状態でボルト143により剛結されている。なお、第1プレート132は、前後方向に延設されたサイドフレーム106の一部と共に、フロアパネル102に締結されている。
【0083】
このように、減衰部材150による振動減衰効果が低いシート120前部には柔結合部F5を設けないことで、減衰部材150の部品点数を低減することができる。
【0084】
次に、図12を参照しながら、左右の被固定部材130a,130bの後端部とフロアパネル102との結合部の構成について説明する。なお、図12は、右側の被固定部材130bの後端部とフロアパネル102との結合部を示しているが、左側の被固定部材130aの後端部とフロアパネル102との結合も同様の構成でなされている。
【0085】
左右の被固定部材130a,130bの後端部とフロアパネル102との結合部には、剛結合部R5と柔結合部F5の両方が設けられている。
【0086】
剛結合部R5では、第2プレート136の水平部137とフロアパネル102とが互いに当接した状態でボルト144により剛結されており、柔結合部F5では、第1プレート132の底面部133とフロアパネル102との間に設けられた隙間に減衰部材150がそれら両部材102,132に接合するように配設されている。
【0087】
減衰部材150は、板状のスペーサ160の両面に積層された状態でフロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装されている。なお、スペーサ160としては例えば金属板が使用されるが、スペーサ160の材料は特に限定されるものでない。
【0088】
このように、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に、減衰部材150と共にスペーサ160を介在させることにより、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間隔が減衰部材150の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材150を設置することができる。
【0089】
減衰部材150は、柔結合部F5において振動を減衰させる部材であり、例えばシート状の粘弾性部材で構成される。減衰部材150は、例えば接着によりフロアパネル102と第1プレート132とに接合されている。そのため、振動によりフロアパネル102及び/又は第1プレート132が変位したとき、減衰部材150は、それらの部材102,132の変位に追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。すなわち、柔結合部F5では、剛結合部R5に比べて結合剛性が低い反面、減衰部材150による振動減衰効果を得られる利点がある。
【0090】
このように、被固定部材130a,130bとフロアパネル102とは、剛結合部R5と柔結合部F5とを併用して結合されている。これにより、被固定部材130a,130bとフロアパネル102との結合力を維持しつつ、柔結合部F5において減衰部材150がフロア側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、車両用シート120の振動レベルを低減できる。したがって、車両用シート120の振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。
【0091】
剛結合部R5と柔結合部F5とは、被固定部材130a,130bとフロアパネル102との結合剛性が従来の構造の結合剛性と等しくなるように設けることが好ましい。この場合、シート120を支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0092】
減衰部材150の材料は特に限定されないが、例えば、フロアパネル102及び被固定部材130a,130bの第1プレート132に接着可能な材料が使用され、より具体的には、例えば、シリコーン系材料またはアクリル系材料が使用される。また、減衰部材150は、圧縮した状態でフロアパネル102と第1プレート132との間に介装することが好ましく、これにより、両部材102,132に対する高い密着力を得ることができる。
【0093】
さらに具体的に、減衰部材150としては、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材を用いることが好ましい。この場合、貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔結合部F5の結合剛性が過剰に高くなることを回避できるとともに、損失係数が0.2以上であることにより、減衰部材150による高い振動減衰効果を得ることができるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0094】
次に、剛結合部R5と柔結合部F5の配置について説明する。
【0095】
剛結合部R5は、フロアパネル102と第2プレート136の水平部137との対向部に設けられている。より具体的に、剛結合部R5は、フロアパネル102と第2プレート136の水平部137との当接部にボルト144の軸方向からボルト着座面を投影した部分である。
【0096】
一方、柔結合部F5は、剛結合部R5の近傍、具体的には、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150による減衰効果が十分に発揮され得る位置に設けられている。
【0097】
減衰部材150による減衰効果は、減衰部材150に吸収されるひずみエネルギーを大きくすると高くなる。そのため、柔結合部F5は、減衰部材150が吸収するひずみエネルギーが最大となる部位を含む部分に設定することが望ましく、これにより、振動レベルを効果的に低減することができる。
【0098】
減衰部材150に吸収されるひずみエネルギーは、減衰部材150の変形量が大きいときほど大きくなる。また、減衰部材150の変形量は、減衰部材150が変形できる自由度(変形自由度)と、減衰部材150を変形させる力(減衰部材150にかかる応力)とに比例する。
【0099】
そのため、柔結合部F5が剛結合部R5に近すぎると、減衰部材150の変形自由度が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。逆に、柔結合部F5が剛結合部R5から遠すぎると、減衰部材150にかかる応力が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。よって、柔結合部F5は、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150の変形自由度と減衰部材150にかかる応力との積が最大になる位置を含む部分に設けることが望ましく、これにより、減衰部材150による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0100】
以上の観点から、第6の実施形態において、柔結合部F5は、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との対向部の略全体に亘って設けられている。すなわち、減衰部材150は、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装され、それら両面に接合されている。
【0101】
このように設定された柔結合部F5には、剛結合部R5との位置関係において減衰部材150の変形自由度と減衰部材150にかかる応力との積が最大になる位置が含まれる。そのため、減衰部材150による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0102】
図13は、従来例(従来の車両用シートの取付構造を有する自動車)および実施例(第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車)についての加振テストの結果を示す。この加振テストは、試験台に自動車を載せた状態で加振器により上下方向の振動を加え、シートバックの上端部における左右方向の振動レベルを検出した。具体的には、複数の周波数の振動を加え、それぞれの周波数について伝達関数(イナータンス)を検出した。
【0103】
図13に示すように、伝達関数が高くなる周波数領域、すなわち共振が生じる周波数領域において、実施例の伝達関数は従来例よりも低くなっている。一方、共振が生じる周波数領域は、従来例と実施例とでほぼ一致している。このテスト結果から、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造によれば、左右方向の振動に関して、車両用シートにおける新たな周波数での共振の発生を抑制しつつ、振動レベルを常に効果的に抑制できることを確認できる。
【0104】
図14は、第6の実施形態に係る車両用シートの取付構造を有する自動車に上下方向の振動を加える場合に柔結合部F5において吸収されるひずみエネルギーの大きさの分布について、シミュレーション結果を示している。このシミュレーションは、自動車に4つの異なる周波数(周波数a〜d)の振動を加える場合についてそれぞれ行った。図14に示すように、柔結合部F5で吸収されるひずみエネルギーは、車両前後方向に関して柔結合部F5の両端部において大きく、中央部で小さくなる傾向にある。このシミュレーション結果から、柔結合部F5の両端部にのみ減衰部材150を設けた場合でも、柔結合部F5全体に減衰部材150を設ける場合と同等の振動低減効果が得られることを確認できた。したがって、柔結合部F5の前後方向両端部にのみ減衰部材150を設けることが好ましく、これにより、材料コストの低減を図ることができる。
【0105】
[第7の実施形態]
図15に示す第7の実施形態では、減衰部材150がスペーサ160の上面にのみ積層された状態でフロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に介装されている。
【0106】
かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間にスペーサ160が介在するため、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間隔が減衰部材150の厚みよりも大きい場合でも、該間隔に対応して減衰部材50を設置することができる。また、スペーサ160の上面に減衰部材150が積層されているため、減衰部材150の材料として、第1プレート132に接着可能な材料を使用することで、スペーサ160を第1プレート132に固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。一方、フロアパネル102に対するスペーサ160の固着は、例えば溶接または接着剤による接着により行われる。
【0107】
また、かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、柔結合部F5において、減衰部材150がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。
【0108】
なお、第7の実施形態において、減衰部材150をスペーサ160の下面にのみ積層するようにしてもよく、この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。また、第7の実施形態において、その他の構成は第6の実施形態と同様であり、図15において、第6の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0109】
[第8の実施形態]
図16に示す第8の実施形態では、フロアパネル102と第1プレート132の底面部133との間に、減衰部材150のみが介装されている。かかる構成によれば、スペーサ160の使用を省略することができるため、部品点数を削減することができる。
【0110】
また、かかる構成によっても、第6の実施形態と同様、柔結合部F5において、減衰部材150がひずみエネルギーを吸収することで、フロア側から伝達される振動を減衰させることができる。さらに、減衰部材150の材料として、フロアパネル102と第1プレート132とに接着可能な材料を使用することで、フロアパネル102に第1プレート132を固着させるための専用の接着剤の使用や溶接作業を省略することができる。
【0111】
なお、第8の実施形態において、その他の構成は第6の実施形態と同様であり、図16において、第6の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0112】
また、第6〜第8の実施形態では、シート120の被固定部材130がフロアパネル102に結合される場合について説明したが、本発明は、シート120の被固定部材130以外の部分がフロアパネル102に結合される場合、及び、シート120がフロアパネル102以外のフロア構成部材(例えばフロアクロスメンバ)に結合される場合にも等しく適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明によれば、車両用シートの支持剛性を確保しつつ、該シートの振動を常に効果的に抑制することが可能となるから、車両用シート又は該シートを支持するシートレールがフロア構成部材に結合された車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0114】
2:フロアパネル、4:フロアクロスメンバ、6:フロアクロスメンバの前面部、8:フロアクロスメンバの上面部、10:シートレール、20:シート、30:取付プレート、40:ボルト、50:減衰部材、F1,F2,F3:柔結合部、R1,R2,R3:剛結合部、102:フロアパネル、120:シート、130:被固定部材、150:減衰部材、F5:柔結合部、R4,R5:剛結合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に延設されて車両用シートを支持するシートレールが、該シートレールに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする車両用シートの取付構造。
【請求項2】
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項3】
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に前記剛結合部が設けられ、
前記取付部の上面部と前記クロスメンバの上面との対向部に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項4】
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に、前記剛結合部と前記柔結合部とが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項5】
車両用シートが、該シートに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする車両用シートの取付構造。
【請求項6】
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項7】
前記取付部は、前記シート前部の車幅方向両端部と、前記シート前部の車幅方向中央部と、前記シート後部の車幅方向両端部とに設けられ、
前記シート前部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部とのうち剛結合部のみが設けられ、
前記シート後部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部の両方が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項8】
前記減衰部材は、板状のスペーサの一方または両方の面に積層された状態で前記取付部と前記フロア構成部材との間に介装されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項9】
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項1】
車体前後方向に延設されて車両用シートを支持するシートレールが、該シートレールに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする車両用シートの取付構造。
【請求項2】
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項3】
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に前記剛結合部が設けられ、
前記取付部の上面部と前記クロスメンバの上面との対向部に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項4】
前記フロア構成部材は、フロアパネル上において車幅方向に延設されたクロスメンバであり、
前記取付部は、前記クロスメンバの前面に沿って配設される前面部と、該前面部の上端から後方へ延びて前記クロスメンバの上面に沿って配設される上面部とを備え、
前記取付部の前面部と前記クロスメンバの前面との対向部に、前記剛結合部と前記柔結合部とが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項5】
車両用シートが、該シートに設けられた取付部において、車体のフロア構成部材に結合された車両用シートの取付構造であって、
前記取付部と前記フロア構成部材との結合部に、
前記取付部と前記フロア構成部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、
前記取付部と前記フロア構成部材との間に設けられた隙間に減衰部材が両部材に接合するように配設された柔結合部とが設けられていることを特徴とする車両用シートの取付構造。
【請求項6】
前記取付部と前記フロア構成部材とはボルトにより締結されており、
前記剛結合部は、前記取付部と前記フロア構成部材との当接部に前記ボルトの軸方向からボルト着座面を投影した部分であり、
該剛結合部の近傍に前記柔結合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項7】
前記取付部は、前記シート前部の車幅方向両端部と、前記シート前部の車幅方向中央部と、前記シート後部の車幅方向両端部とに設けられ、
前記シート前部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部とのうち剛結合部のみが設けられ、
前記シート後部の取付部と前記フロア構成部材との結合部には、前記剛結合部と前記柔結合部の両方が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項8】
前記減衰部材は、板状のスペーサの一方または両方の面に積層された状態で前記取付部と前記フロア構成部材との間に介装されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項9】
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両用シートの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−17084(P2012−17084A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211820(P2010−211820)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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