車両用シート

【課題】アッパーフレームの高さを容易に調節することができる車両用シートを提供する。
【解決手段】サスペンションばね53の付勢力を調節する付勢力調節機構6のねじ軸61に歯車101を固定する。アッパーフレーム2にモータ102を設ける。モータ102の出力軸102aにウォームギヤ103を設ける。ウォームギヤ103を歯車101に噛み合わせる。ねじ軸61をモータ102によって回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械や作業機械等の車両に用いるのに好適な車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の車両用シートは、下記特許文献1に記載されているように、車両の車体に設けられたベースフレームと、このベースフレームの上方に上限位置と下限位置との間を上下方向へ移動可能に配置されたアッパーフレームと、ベースフレームとアッパーフレームとの間に設けられた付勢手段とを備えており、付勢手段はアッパーフレームを上方へ付勢し、アッパーフレームに乗員が腰掛けていないときにはアッパーフレームを上限位置に位置させている。
【0003】
アッパーフレームに乗員が腰掛けると、アッパーフレームが付勢手段の付勢力に抗して上限位置から下方へ移動する。そして、乗員の体重と付勢手段の付勢力とが釣り合った位置においてアッパーフレームが停止する。したがって、車両の運転時に車両が路面の凹凸等によって上下方向へ移動すると、アッパーフレームが釣合い位置を中心として上下方向へ振動する。
【0004】
乗員の体重が所定の標準体重より軽い場合には、釣合い位置が上限位置と下限位置との間の中央より上側に位置する。このため、アッパーフレームが釣合い位置を中心として振動した場合において、上方へ移動するときには、アッパーフレームが上限位置に達して急停止するといういわゆる上突き現象を引き起こすおそれがある。逆に、乗員の体重が標準体重より重い場合には、釣合い位置が下限位置近傍に位置する。このため、アッパーフレームが釣合い位置を中心として振動した場合において、下方へ移動するときには、アッパーフレームが下限位置に達して急停止するといういわゆる下突き現象を引き起こすおそれがある。いずれの場合にも、乗員の乗り心地が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、従来の車両用シートには、付勢手段の付勢力を調節するための付勢力調節機構が設けられている。付勢力調節機構は、手動で操作されるようになっており、付勢力の調節に際しては、まずアッパーフレームに乗員が腰掛ける。その後、乗員は、アッパーフレームの釣合い位置が所定の基準位置範囲内に入るように、付勢手段の付勢力を手動で調節する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−211300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
付勢力調節機構は、通常、アッパーフレームの下側に設けられているため、乗員は不自然な姿勢で付勢力調節機構を手動操作しなければならない。しかも、付勢手段の付勢力が大きいため、付勢力の調節には多くの労力を必要とするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の問題を解決するために、ベースフレームと、このベースフレームの上方に上限位置と下限位置との間を上下方向へ移動可能に設けられたアッパーフレームと、上記ベースフレームと上記アッパーフレームとの間に設けられ、上記アッパーフレームを上方へ付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力を調節する付勢力調節手段とを備えた車両用シートにおいて、上記付勢力調節手段を動作させる駆動源をさらに備えたことを特徴としている。
この場合、上記駆動源を制御する制御手段をさらに備え、上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記上限位置から所定の制御開始位置を越えて下方へ移動したか否かを検出する第1検出手段と、この第1検出手段の検出信号によって上記駆動源を駆動させ、上記アッパーフレームが上記制御開始位置より所定距離だけ下方に設定された所定の基準位置範囲内に位置するように上記付勢手段の付勢力を調節する制御部とを有することが望ましい。
上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の上端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わり、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の下端位置を越えて上方へ移動すると上記他方の状態から一方の状態に切り換わる第2検出手段を有し、上記制御部は、上記第2検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記付勢手段の付勢力が弱くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを下方へ移動させ、上記第2検出手段の状態が上記一方の状態から他方の状態に切り換わっているときには、上記付勢手段の付勢力が強くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを上方へ移動させることが望ましい。
上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の上端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わる第2検出手段と、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の下端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わり、上記アッパーフレームが上記下端位置を越えて上方へ移動すると上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わる第3検出手段とを有し、上記制御部は、上記第2検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記付勢手段の付勢力が弱くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを下方へ移動させ、上記第2検出手段が上記一方の状態から上記他方の状態に切り換わり、かつ上記第3検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記駆動手段を停止状態にし、上記第2検出手段が上記一方の状態から上記他方の状態に切り換わり、かつ上記第3検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わったときには、上記付勢手段の付勢力が強くなるように上記駆動源を駆動して、上記第3検出手段が上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを上方へ移動させることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、駆動源によって付勢力調節機構を操作することができる。したがって、乗員が付勢力調節機構を操作する際の疲労を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図5は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態の車両用シートAは、ベースフレーム1、アッパーフレーム2、二対の連結リンク3,4、付勢機構(付勢手段)5及び付勢力調節機構(付勢力調節手段)6を有している。
【0011】
ベースフレーム1は、平面視略長方形状をなしており、その長手方向を車両の前後方向(図1において左右方向)に向けて水平に配置されている。ベースフレーム1は、車両の車体に前後方向へ位置調節可能に設けられている。ベースフレーム1は、車体に固定してもよい。
【0012】
アッパーフレーム2は、平面視形状がベースフレーム1とほぼ同一形状をなしており、ベースフレーム1のほぼ真上に水平な状態で上下方向へ移動可能に配置されている。アッパーフレームの上面には、乗員が腰掛けるためのシートクッション(図示せず)が設けられている。アッパーフレーム2の左右方向における中央部には、下方に突出する一対の支持板部2a,2aが設けられている。一対の支持板部2a,2aは、前後方向へ延びており、左右方向へ互いに離間して配置されている。一対の支持板部2a,2aの前端部間には、連結板部2bが一体に設けられている。
【0013】
ベースフレーム1とアッパーフレーム2との左側部間には、一対の連結リンク3,4が設けられ、右側部間には、他の一対の連結リンク3,4が設けられている。左側に配置された一対の連結リンク3,4のうちの一方の連結リンク3は、後ろ上がりに配置されている。この連結リンク3の前端部は、ベースフレーム1の前端部に左右方向へ水平に延びる軸7を介して回転可能に、かつ位置固定して連結されている。連結リンク3の後端部は、アッパーフレーム2の後端部に左右方向へ水平に延びる軸8及びこの軸8に回転可能に支持されたローラ9を介して前後方向へ移動可能に、かつ上下方向へ移動不能に連結されている。他方の連結リンク4は、後ろ下がりに配置されている。この連結リンク4の前端部は、アッパーフレーム2の前端部に左右方向へ水平に延びる軸10を介して回転可能に、かつ位置固定して連結されている。連結リンク4の後端部は、ベースフレーム1の後端部に左右方向へ水平に延びる軸11及びこの軸11に回転可能に支持されたローラ12を介して前後方向へ移動可能に、かつ上下方向へ移動不能に連結されている。
【0014】
右側に配置された連結リンク3,4も左側に配置された連結リンク3,4と同様にしてベースフレーム1及びアッパーフレーム2にそれぞれ連結されている。しかも、連結リンク3,3の前端部どうしは、軸7を介して互いに連結され、後端部どうしは軸8を介して連結されている。連結リンク4,4の後端部どうしは、軸11を介して連結されている。このようにして、ベースフレーム1とアッパーフレーム2とが二対の連結リンク3,4を介して上下方向へ移動可能に、かつ前後方向及び左右方向へは移動不能に連結されている。なお、連結リンク4,4の前端部どうしは、個別の軸10,10によってそれぞれアッパーフレーム2に連結されている。
【0015】
軸7,8の中心間距離と軸10,11の中心間距離とは、互いに同一に設定され、ローラ9,12の外径は同一に設定されている。したがって、アッパーフレーム2は、姿勢を一定にしつつ上下方向へ移動する。軸7,8の中心間距離と軸10,11の中心間距離とは、若干異なる長さに設定し、アッパーフレーム2が上下方向へ移動するときに、移動に伴って若干前下がり又は後下がりに傾斜するようにしてもよい。一対の連結リンク3,4は、それぞれの長手方向の中央部(側面視において、軸7,8を結ぶ線と軸10,11を結ぶ線との交差部)において軸13によって回転可能に連結されている。これにより、連結リンク3,4が互いに補強され、連結リンク3,4が捩れ変形したり、左右に曲がったりすることが防止されている。
【0016】
図2〜図4に示すように、ベースフレーム1の後端部には、第1ストッパ1aが設けられている。この第1ストッパ1aは、アッパーフレーム2が所定の位置まで上方へ移動し、それに伴って軸11が所定の位置まで前方へ移動すると、軸11に突き当たるように配置されている。軸11が第1ストッパ1aに突き当たると、それ以上アッパーフレーム2が上方へ移動することができなくなる。このときのアッパーフレーム2の位置が上限位置である。アッパーフレーム2の下限位置については後述する。
【0017】
ベースフレーム1とアッパーフレーム2との間には、アッパーフレーム2を上方へ付勢する付勢機構5が設けられている。付勢機構5は、駆動リンク51と、一対の不変サスペンションばね52,52と、一対の可変サスペンションばね53,53とを有している。
【0018】
駆動リンク51,51は、側面視ベルクランク状をなしており、連結板部51aによって互いに一体に連結されている。駆動リンク51,51は、アッパーフレーム2の支持板部2a,2aの左右方向の外側を向く各面にそれぞれ近接して配置されている。駆動リンク51,51の各屈曲部は、支持板部2a,2aに左右方向へ水平に延びる軸54を介して回転可能に支持されている。
【0019】
駆動リンク51,51の下端部には、左右方向へ水平に延びる軸55が設けられており、軸55の両端部にはローラ56,56が回転可能に設けられている。各ローラ56は、ベースフレーム1の上面に前後方向へ転動可能に載置されている。したがって、駆動リンク51が軸54を中心として図2〜図4の反時計方向へ回転すると、アッパーフレーム2が上方へ移動し、駆動リンク51が時計方向へ回転すると、アッパーフレーム2が下方へ移動する。
【0020】
駆動リンク51には、第2ストッパ51bが設けられている。この第2ストッパ51bは、図4に示すように、駆動リンク51が時計方向へ回動し、それに伴ってアッパーフレーム2が所定の位置まで下方へ移動すると、ベースフレーム1の上面に突き当たるように配置されている。第2ストッパ51bがベースフレーム1に突き当たると、それ以上駆動リンク51が時計方向へ回動することができなくなり、アッパーフレーム2がそれ以上下方へ移動することができなくなる。このときのアッパーフレーム2の位置が下限位置である。
【0021】
駆動リンク51,51の上端部には、左右方向へ水平に延びる支持軸57が固定されている。支持軸57の左右の両端部には、不変サスペンションばね52,52の各後端部が連結されている。不変サスペンションばね52は、引っ張りコイルばねからなるものであり、その前端部は、アッパーフレーム2の前端部に連結されている。したがって、不変サスペンションばね52は、駆動リンク51を反時計方向へ回動付勢し、それによってアッパーフレーム2を上方へ付勢している。
【0022】
支持軸57の左右両端部と駆動リンク51,51との各間には、可変サスペンションばね53,53の各後端部が連結されている。可変サスペンションばね53は、引っ張りコイルばねからなるものであり、アッパーフレーム2に設けられた可動軸62の左右の両端部に連結されている。したがって、可変サスペンションばね53も駆動リンク51を反時計方向へ回動付勢し、それによってアッパーフレーム2を上方へ付勢している。
【0023】
不変サスペンションばね52の付勢力は調節不能であるが、可変サスペンションばね53の付勢力は付勢力調節機構6によって調節可能になっている。それにより、付勢機構5のアッパーフレーム2に対する上方への付勢力が調節可能になっている。すなわち、アッパーフレーム2の前端部と連結板部2bとの間には、ねじ軸61が設けられている。ねじ軸61は、その長手方向を前後方向に向けた状態でアッパーフレーム2の左右方向における中央部に配置されている。ねじ軸61の前後の両端部は、アッパーフレーム2の前端部と連結板部2bとにそれぞれ回転可能に、かつ前後方向へ移動不能に支持されている。
【0024】
アッパーフレーム2には、上記可動軸62がその長手方向を左右方向に向けた状態で水平に配置されている。この可動軸62の中央部には、当該中央部を前後方向に貫通するねじ孔62aが形成されている。このねじ孔62aには、ねじ軸61が螺合されている。しかも、可動軸62は、その両端部に可変サスペンションばね53,53の各前端部が連結されることにより、ねじ軸61を中心とする回転が阻止されている。したがって、ねじ軸61を正逆方向へ回転させると、可動軸62が前後方向へ移動し、可変サスペンションばね53が伸縮される。そして、その伸縮量に応じて可変サスペンションばね53の付勢力が変化する。これにより、付勢機構5の付勢力が調節される。なお、可動軸61は、アッパーフレーム2に直接回転不能に設けてもよい。
【0025】
可変サスペンションばね53の付勢力は、乗員が意図的に調節することが可能になっているとともに、制御手段(図示せず)によって自動的に調節されるようになっている。まず、乗員が意図的に調節するための構成について説明すると、ねじ軸61には、駆動歯車101が固定されている。また、アッパーフレーム2には、減速機構付きモータ(駆動源)102が設けられている。このモータ102の出力軸102aには、ウォームギヤ103が固定されている。ウォームギヤ103は、駆動歯車101と噛み合っている。したがって、モータ102が正逆方向へ回転すると、可動軸62が前後方向へ移動し、それに伴って可変サスペンションばね53の付勢力が変化する。なお、モータ102は、車載のバッテリ(図示せず)に接続されている。
【0026】
シートAが設けられた車両の車体には、切換スイッチ(図示せず)が設けられている。切換スイッチは、シートAに腰掛けた乗員が姿勢をほとんど変更せずに手動操作することができるような位置に配置されている。乗員が切換スイッチを中立位置から一方向に切換操作すると、モータ102が一方向へ回転(以下、正回転という。)し、可動軸62が後方へ移動させられる。これにより、可変サスペンションばね53の付勢力が弱められる。逆に、切換スイッチを中立位置から他方向へ切換操作すると、モータ102が他方向へ回転(以下、逆回転という。)し、可動軸62が前方へ移動させられる。これにより、可変サスペンションばね53の付勢力が強められる。勿論、切換スイッチを中立位置に戻すと、モータ102が停止する。したがって、乗員は、アッパーフレーム2が所望の位置に達するまで切換スイッチを中立位置から切換操作した後、切換スイッチを中立位置に戻すことにより、所望の位置に位置させることができる。
【0027】
一方、制御手段は、乗員がアッパーフレーム2に腰掛けたときに、アッパーフレーム2が所定の基準位置範囲内に位置するように可変サスペンションばね53の付勢力を変化させるものであり、車両の起動後、乗員がアッパーフレーム2に最初に腰掛けたとき、あるいは乗員がアッパーフレーム2に腰掛けた状態で車両を起動したときに、アッパーフレーム2を基準位置範囲内に位置させるものである。制御手段は、図示しない荷重検出手段(第1検出手段)、及びリミットスィッチ(第2検出手段)111を有している。
【0028】
荷重測定手段は、アッパーフレーム2に作用する荷重(乗員の体重)を測定するためのものであり、この実施の形態では歪センサが用いられている。歪センサは、駆動リンク51に設けられているが、乗員がアッパーフレーム2に腰掛けたときに、乗員の体重が作用する部位であれば設置箇所は任意である。歪センサの検出信号は、パソコン等からなる制御部に送られる。制御部は、検出信号(アッパーフレーム2に作用する荷重W)が所定の閾値Wより大きいときには、アッパーフレーム2に乗員が腰掛けたものと判断する。乗員がアッパーフレーム2に腰掛けたか否かは、アッパーフレーム2の位置によって検出することも可能である。アッパーフレーム2の位置とアッパーフレーム2に作用する荷重とが一定の対応関係にあるからである。なお、アッパーフレーム2の閾値W0の荷重が作用したときのアッパーフレーム2の位置が制御開始位置である。
【0029】
リミットスイッチ111は、アッパーフレーム2の上下方向の位置を検出するものであり、アッパーフレーム2が上下方向へ所定の位置に移動すると、接触子111aが軸54に接触するようにベースフレーム1に設けられている。リミットスイッチ111は、当初オフ状態(一方の状態)にある。アッパーフレーム2が上下位置から下方へ向かって上限位置と下限位置との間のほぼ中央の位置まで移動すると、軸54が接触子111aに接触する。その状態からアッパーフレーム2が所定距離だけさらに下方へ移動すると、リミットスイッチ111がオフ状態からオン状態(他方の状態)に切り換わる。逆に、リミットスイッチ111がオン状態になっている場合において、アッパーフレーム2が下限位置側から上方へ所定の位置まで移動すると、軸54が接触子111aに接触する。その後、アッパーフレーム2が所定距離だけさらに上方へ移動すると、リミットスイッチ111がオン状態からオフ状態に切り換わる。リミットスイッチ111がオフ状態からオン状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置と、リミットスイッチ111がオン状態からオフ状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置との間が、基準位置範囲である。
【0030】
アッパーフレーム2が下方へ移動するときには、接触子111aが軸54とその下部において接触し、アッパーフレーム2が上方へ移動するときには、接触子111aが軸14とその上部において接触するため、リミットスイッチ111の状態が切り換わるときの二つの位置は、上下方向に互いに離れているが、その離間距離はほとんど無視し得る程度のものである。これから明らかなように、基準位置範囲は実質的に零であってもよい。
【0031】
制御部は、荷重検出手段及びリミットスイッチ111の各検出信号が入力すると、図6に示すフローチャートに基づくプログラムにしたがって付勢力調節機構6を動作させる。すなわち、車両を起動すると、プログラムが実行される。まず、ステップ201において荷重検出手段による検出値Wが閾値W以上であるか否かが判断される。W<Wである場合には、当該判断が繰り返される。一方、W≧Wが成立する場合には、アッパーフレーム2に乗員が腰掛けたものと判断し、ステップ202に進む。この場合、閾値は、乗員が女性である場合を考慮して、例えば40Kgに設定される。また、不慮の事故によってアッパーフレーム2にWより大きい荷重が瞬間的に作用することがあり、その荷重を乗員の体重であると誤判断することを防止するために、W≧Wが成立すると直ちにステップ202に進むことなく、W≧Wが所定時間、例えば0.5〜1秒程度継続した後に、ステップ202に進むようにすることが望ましい。
【0032】
ステップ202においては、リミットスイッチ111(図6においてLSと表示されている。)がオン状態になっているか否か、つまりオン状態であるかオフ状態であるかが判断される。リミットスイッチ111がオフ状態であるということは、アッパーフレーム2が基準位置範囲より上方に位置していることを意味する。そこで、ステップ203に進み、モータ102を正回転させる。すると、可変サスペンションばね53の付勢力が弱まり、アッパーフレーム2が下方へ移動させられる。その後、ステップ204においてリミットスイッチ111がオフ状態からオン状態に切り換わったか否かが判断される。切り換わっていないときには、モータ102の正回転が続行される。
【0033】
ステップ204において、リミットスイッチ111がオン状態に切り換わったものと判断されると、ステップ205においてモータ102が停止される。このとき、アッパーフレームは、基準位置範囲の上端位置に位置している。
【0034】
一方、ステップ202においてリミットスイッチ111がオン状態に切り換わっていると判断された場合には、アッパーフレーム2が基準位置範囲内に位置していることもあるが、基準位置範囲より下方に位置していることもある。そこで。アッパーフレーム2を確実に基準位置範囲に位置させるために、ステップ206においてモータ102を逆転させる。すると、可変サスペンションばね53の付勢力が強まり、アッパーフレーム2が上方へ移動させられる。その後、ステップ207においてリミットスイッチ111がオン状態からオフ状態に切り換わったか否かが判断される。切り換わっていないときには、モータ102の逆回転が続行される。なお、ステップ202においてリミットスイッチ111がオン状態であると判断された場合には、リミットスイッチ111のオン状態が所定の時間、例えば0.5〜1秒程度だけ継続することを判断してからステップ206へ進むことが望ましい。
【0035】
ステップ207においてリミットスイッチ111がオフ状態に切り換わったと判断されたときには、ステップ205においてモータ102が停止される。この結果、アッパーフレーム2が基準位置範囲内の下端位置に位置させられる。
【0036】
なお、アッパーフレーム2の自動位置調節は、アッパーフレーム2に作用する荷重が閾値W0より小さくなり、かつその状態が所定時間だけ継続した後、再度荷重W≧W0が成立すると再度実行される。その場合には、アッパーフレーム2に腰掛けた乗員が変わっている可能性があるからである。これは、後述する第2の実施の形態においても同様である。
【0037】
上記構成の車両用シートAにおいては、付勢力調節機構6のねじ軸61をモータ102によって回転させているから、乗員はねじ軸61を手動で回転させる必要がない。したがって、乗員は、アッパーフレーム2の位置調節を容易に行うことができる。
【0038】
また、乗員がアッパーフレーム2に腰掛けたときには、アッパーフレーム2が自動的に基準位置範囲内に位置させられるので、上突き現象及び下突き現象が生じることを極力防止することができる。よって、乗員の乗り心地を向上させることができる。
【0039】
図7及び図8は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態の車両用シートBにおいては、リミットスイッチ111に加えてもう一つのリミットスイッチ(第3検出手段)112がベースフレーム2に設けられている。このリミットスイッチ112は、アッパーフレーム2が下方へ移動するときに軸54が接触子112aに接触することによってオフ状態からオン状態に切り替えられる。これは、リミットスイッチ111と同様である。しかし、リミットスイッチ112は、リミットスイッチ111が軸54によってオフ状態からオン状態に切り替えられた後、アッパーフレーム2が所定距離だけさらに下方へ移動すると、オフ状態からオン状態に切り替えられるようになっている。
【0040】
ここで、アッパーフレーム2が上限位置側から下方へ移動した場合において、リミットスイッチ111がオフ状態からオン状態に切り換わったときのアッパーフレーム2の位置が基準位置範囲のうちの上端位置である。また、アッパーフレーム2が下限位置側から上方へ移動した場合において、一旦オフ状態からオン状態に切り替えられたリミットスイッチ112が軸54によってオン状態からオフ状態に切り替えられたときのアッパーフレーム2の位置が基準位置範囲のうちの下端位置である。しかも、この実施の形態においては、リミットスイッチ111がオフ状態からオン状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置と、リミットスイッチ111がオン状態からオフ状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置とが同一位置になるようにしている。同様に、リミットスイッチ112がオフ状態からオン状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置と、リミットスイッチ112がオン状態からオフ状態に切り換わるときのアッパーフレーム2の位置とが同一位置になるようにしている。
【0041】
制御部は、荷重検出手段及びリミットスイッチ111,112の検出信号を用い、図9に示すフローチャートに基づくプログラムにしたがって付勢力調節機構6を制御する。すなわち、ステップ301において、荷重検出手段の検出値Wが閾値Wより大きいか否かが判断される。この判断は上記実施の形態と同様である。したがって、この実施の形態でも、W≧Wが所定の時間継続しているか否かを判断した後、ステップ302に進むことが望ましい。
【0042】
ステップ302においては、リミットスイッチ111(図9においては、LS1と表示されている。)がオン状態であるか否かが判断される。リミットスイッチ111がオフ状態であるときには、ステップ303及び304においてリミットスイッチ111がオン状態に切り換わるまでモータ102の正回転が続行される。リミットスイッチ111がオン状態に切り換わると、ステップ306においてモータ102が停止される。その結果、アッパーフレーム2が基準位置範囲の上端位置に位置させられる。
【0043】
ステップ302においてリミットスイッチ111がオン状態に切り換わっていると判断された場合には、ステップ307においてリミットスイッチ112(図9においては、LS2と表示されている。)がオフ状態を維持しているか否かが判断される。
【0044】
ステップ307において、リミットスイッチ112がオフ状態を維持していると判断されたということは、アッパーフレーム2が基準位置範囲の上端位置より下側に位置し、下端位置より上方に位置していることを意味する。つまり、アッパーフレーム2が基準位置範囲内に位置していることを意味する。そこで、リミットスイッチ112がオフ状態を維持している場合には、ステップ306に進み、モータ102が停止状態に維持される。
【0045】
ステップ307においてリミットスイッチ112がオン状態に切り換わっているものと判断された場合には、ステップ308においてモータ102が逆回転させられる。アッパーフレームが基準位置範囲より下側に位置しているからである。その後、ステップ309においてリミットスイッチ112がオフ状態に切り換わったか否かが判断される。モータ102の逆回転は、ステップ308及び309が繰り返し実行されることにより、リミットスイッチ112がオフ状態に切り換わるまで続行される。リミットスイッチ112がオフ状態に切り換わると、ステップ306においてモータ102が停止される。この結果、アッパーフレーム2が基準位置範囲のうちの下端位置に位置させられる。
【0046】
このように、この実施の形態では、アッパーフレーム2が基準位置範囲内の上端位置、下端位置又はそれらの中間の位置のいずれかの位置に位置させられる。したがって、アッパーフレーム2の上突き及び下突きを防止することができる。
【0047】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、可変サスペンションばね53の付勢力だけが調節可能になっているが、不変サスペンションばね52の付勢力も調節可能にしてもよい。その場合には、不変サスペンションばね52の前端部を可動軸62に連結すればよい。
また、上記の実施の形態においては、サスペンションばね52,53及び付勢力調節機構6がアッパーフレーム2に設けられているが、それらはベースフレーム1に設けることも可能である。その場合には、例えば駆動リンク51の上端部をアッパーフレーム2の下面に移動可能に接触させるとともに、駆動リンク51の下端部とベースフレーム1との間にサスペンションばねを設け、さらにベースフレーム1に付勢力調節機構6と同様な構造の付勢力調節機構を設ければよい。
さらに、上記の実施の形態においては、第2、第3検出手段としてリミットスイッチ111,112がそれぞれ用いられているが、他の検出手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1実施の形態を示す図であって、図2のX−X線に沿う断面図である。
【図2】アッパーフレームを上限位置に位置させた状態で示す図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】アッパーフレームを上限位置と下限位置との間の中間位置に位置させた状態で示す図1のX−X線に沿う断面図である。
【図4】アッパーフレームを下限位置に位置させた状態で示す図1のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図1のY−Y線に沿う断面図である。
【図6】この発明の第1実施の形態の制御部が付勢力調節機構を制御する際のフローチャートを示す図である。
【図7】この発明の第2実施の形態を示す図1と同様の断面図である。
【図8】同第2実施の形態を示す図3と同様の断面図である。
【図9】この発明の第2実施の形態の制御部が付勢力調節機構を制御する際のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
A 車両用シート
B 車両用シート
1 ベースフレーム
2 アッパーフレーム
5 付勢機構(付勢手段)
6 付勢力調節機構(付勢力調節手段)
102 モータ(駆動源)
111 リミットスイッチ(第2検出手段)
112 リミットスイッチ(第3検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームと、このベースフレームの上方に上限位置と下限位置との間を上下方向へ移動可能に設けられたアッパーフレームと、上記ベースフレームと上記アッパーフレームとの間に設けられ、上記アッパーフレームを上方へ付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力を調節する付勢力調節手段とを備えた車両用シートにおいて、
上記付勢力調節手段を動作させる駆動源をさらに備えたことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
上記駆動源を制御する制御手段をさらに備え、
上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記上限位置から所定の制御開始位置を越えて下方へ移動したか否かを検出する第1検出手段と、この第1検出手段の検出信号によって上記駆動源を駆動させ、上記アッパーフレームが上記制御開始位置より所定距離だけ下方に設定された所定の基準位置範囲内に位置するように上記付勢手段の付勢力を調節する制御部とを有することを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の上端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わり、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の下端位置を越えて上方へ移動すると上記他方の状態から一方の状態に切り換わる第2検出手段を有し、
上記制御部は、上記第2検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記付勢手段の付勢力が弱くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを下方へ移動させ、上記第2検出手段の状態が上記一方の状態から他方の状態に切り換わっているときには、上記付勢手段の付勢力が強くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを上方へ移動させることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
上記制御手段が、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の上端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わる第2検出手段と、上記アッパーフレームが上記基準位置範囲の下端位置を越えて下方へ移動すると一方の状態から他方の状態に切り換わり、上記アッパーフレームが上記下端位置を越えて上方へ移動すると上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わる第3検出手段とを有し、
上記制御部は、上記第2検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記付勢手段の付勢力が弱くなるように上記駆動源を駆動して、上記第2検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを下方へ移動させ、上記第2検出手段が上記一方の状態から上記他方の状態に切り換わり、かつ上記第3検出手段が上記一方の状態を維持しているときには、上記駆動手段を停止状態にし、上記第2検出手段が上記一方の状態から上記他方の状態に切り換わり、かつ上記第3検出手段が上記一方の状態から他方の状態に切り換わったときには、上記付勢手段の付勢力が強くなるように上記駆動源を駆動して、上記第3検出手段が上記他方の状態から上記一方の状態に切り換わるまで上記アッパーフレームを上方へ移動させることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89654(P2010−89654A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262087(P2008−262087)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】