説明

車両用シート

【課題】車両用シートを用いて収納性に優れた使い勝手のよいフロアマットを提供する。
【解決手段】シートバック本体21と、シートバック本体21の後面側を覆うマット収容部30と、を備え、マット収容部30は、シートバック20の後面を構成するカバー部31と、カバー部31とシートバック本体21との間に配される芯材32と、シートバック本体21に面する内側面を構成し、フロアマットとして機能するマット部33と、を備え、マット収容部30は、シートバック20の後面に収容された収容状態と、シートバック本体21の下部から車両フロア50上に敷設された使用状態と、にその状態を切替可能とされ、芯材32は、使用状態において、シートバック本体21と車両フロア50とに支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において、車両用シートの一部を利用し、限られた車室空間を有効利用した一例として、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、車両用シートのシートバック背面に、そのシート面を浸水や汚れから保護するカバーを一体に収容したものである。このカバーは、帯状をなし、シートクッション及びシートバックのシート面を覆うことのできる長さを有している。カバーの一端はシートバック裏面のバックトリムの上端部に止着されており、使用時には、防水加工が施された防水面を表側としてシート面を覆ったのち、他端をシートクッションの前端部に係着させることで車両用シートを覆った状態で固定することができる。不使用時には、カバーのバックトリムに止着された一端に他端を重ね合わせて二つ折りにした状態で、その周面と対応するシートバック裏面とに設けられたファスナーを閉じることで、シートバック裏面に一体に収容することができる。
【0003】
ところで、車両フロアを構成するフロアカーペット上にはフロアマットを敷設することが一般に行われている。フロアマットは、靴を履いた状態で使用し、靴等に付着した汚れから保護したり、見栄えをよくすることを目的としたものが多いが、より快適な車室空間を提供するために、靴を脱いだ状態で使用するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−257283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この靴を脱いだ状態で使用するフロアマットを土足で使用するものと分けて使用する場合には、使用時のみ敷設し、不使用時は車室内のいずれかに収容しておく必要があるため、特に限られた空間である車室内において使い勝手が悪いという事情があった。そこで、特許文献1に記載のようなカバーを展開させて利用することも考えられるが、満足な使い勝手を得られるに至っていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、車両用シートを用いて収納性に優れた使い勝手のよいフロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートバックの後面側にフロアマットを収容した車両用シートであって、シートバック本体と、前記シートバック本体の後面側を覆うマット収容部と、を備え、前記マット収容部は、前記シートバックの後面を構成するカバー部と、前記カバー部と前記シートバック本体との間に配される芯材と、前記シートバック本体に面する内側面を構成し、前記フロアマットとして機能するマット部と、を備え、前記マット収容部は、前記シートバックの後面に収容された収容状態と、前記シートバック本体の下部から車両フロア上に敷設された使用状態と、にその状態を切替可能とされ、前記芯材は、前記使用状態において、前記シートバック本体と前記車両フロアとに支持されることに特徴を有する。
【0008】
このような構成とすれば、シートバックの一部を、フロアマットとして機能するマット部を収容するマット収容部として使用できるから、フロアマットの収容に煩わされることがなくなる。また、マット部をフロアマットとして使用する際、収容状態から使用状態に切り替えるための移動距離が短く、容易にマット部を車両フロア上に敷設した状態とすることができるから、使い勝手に優れる。
【0009】
また、マット収容部は芯材を備えており、使用状態においては当該芯材がシートバック本体と車両フロアとに支持される。これにより、使用状態において、マット収容部(特にマット部)がシートバック本体の下部の隙間に入り込んで、破損するのを防止することができる。
【0010】
前記マット収容部の下部は、前記シートバック本体の下部に取り付けられ、前記マット収容部は、その取り付けられた部分を軸中心として、前記シートバック本体に回動可能に取り付けられていることが望ましい。このような構成とすれば、シートバック本体の下部側においてマット収容部を回動することで、シートバック本体の後面に収容された収容状態から車両フロア上に敷設する使用状態へとスムーズな切替えが可能となる。特に、この収容状態から使用状態へとその状態を切り替える際に、シートバック本体と車両フロアとに支持される芯材を抱持して作業することもできるから、操作性に優れ、使い勝手のよいものとすることができる。
【0011】
前記シートバック本体の後面のうち前記芯材に対向する位置には、被収納物を保持可能な収納部が設けられていてもよい。このような構成によれば、芯材により被収納物を外部から保護することが可能となる。また、シートバック本体とマット収容部との間に収納部を設けることで、マット収容部が収容状態にある場合には、被収納物が車室空間に露出することなく、見栄えのよいものとすることができる。
【0012】
前記マット部は前記マット収容部に対して脱着可能に設けられていてもよい。使用状態において、マット部がフロアマットとして使用されることによりマット部が汚れた場合には、マット部を取り外すことができるから、例えばマット部を家庭で水洗いする等して清潔に保つことが可能となる。また、使用者の好みによってマット部の素材やデザインを変更することが可能となるから、個々の使用者に応じたより快適な車室空間を提供することができる。
【0013】
前記マット収容部には前記マット部の一端から他端に架橋して前記マット部との間に被収納物を保持可能な保持部が設けられていてもよい。このような構成によれば、使用状態においてマット部上に被収納物を保持することができ、使い勝手に優れる。特に、シートバック本体の収納部はその収納容量に制限があるが、当該保持部はマット部と保持部との間隔を調整すれば、収納部よりもその収納容量を大きく確保することが可能となる。また、この保持部は、マット部との間に被収納物を保持する構成であるから、車両の走行時の揺れや振動に対して、マット部上の被収納物の転倒防止を図ることができる。
【0014】
前記マット部には、緩衝材が用いられていてもよい。このような構成とすれば、保持部に保持された被収納物を、路面等からの振動や衝撃から保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両用シートを用いて収納性に優れた使い勝手のよいフロアマットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用シートの斜視図
【図2】車両用シートを構成するシートバックの側面図であって、収容状態にあるマット収容部の断面構成を示す一部断面図
【図3】使用状態におけるマット収容部の概略構成を示す分解斜視図
【図4】マット収容部の使用状態を示す車両用シートの斜視図
【図5】車両用シートの側面図であって、使用状態にあるマット収容部の断面構成を示す一部断面図
【図6】実施形態2に係るマット収容部の使用状態を示す車両用シートの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5によって説明する。
本実施形態の車両用シート10は、前後2列の座席を備える自動車の前部座席(フロントシート)に本発明に係る構成を適用した場合を例示するものであって、使用者が着座するシートクッション11と、着座した際の背もたれとなるシートバック20と、着座した際の頭もたれとなるヘッドレスト12とを備え、シートバック20は、シートバック本体21とシートバック本体21の後面(背裏)側を覆うマット収容部30とから構成されている。以下、車両前側を前側、車両後側を後側、車両天井側を上側、車両フロア側を下側、車幅方向を幅方向として説明する。
【0018】
シートクッション11は、図1に示すように、使用者が着座する座面を構成するものであり、図示はしないが、クッションフレーム、クッションパッド、表皮材等から構成されている。クッションフレームはシートクッション11の骨格を形成するものであって、例えば金属製の板状部材に適宜曲げ加工を施して矩形をなす枠状に成形されている。クッションパッドは、例えばポリウレタン樹脂を発泡成形により成形したものであって、シートクッション11に着座した使用者の着座荷重をこのクッションパット自体が弾性変形することによって吸収することが可能である。そして、このクッションパッドはその外周面を全周にわたって表皮材により覆われている。この表皮材は、合成皮革、皮革、樹脂、繊維等の素材が適宜選択可能とされている。
【0019】
ヘッドレスト12は、使用者が着座した際の頭もたれを構成するものであって、シートバック20の上部に装着されている。詳しくは省略するが、パッド部材と、パッド部材を覆う表皮材等からなり、その材質や成形方法は、シートクッション11のクッションパッド、表皮材と同様とされる。
【0020】
シートクッション11は、図2に示すように車両フロア50上に配設された支持台40により支持されている。支持台40は、例えば合成樹脂製であって、射出成形により箱状に形成されている。この支持台40は、シートクッション11、ヘッドレスト12、シートバック20等にかかる荷重を支持可能な剛性を有したものとされている。
【0021】
続いて、シートバック20について説明する。シートバック20は、図1及び図2に示すように、使用者が着座した際の背もたれを構成するものであって、シートバック本体21とシートバック本体21の後面21Aを覆うマット収容部30とから構成されている。シートバック本体21は、バックフレーム(図示せず)、バックパッド22、表皮材23等から構成され、その材質や成形方法はシートクッション11と同様とされている。シート骨格をなすバックフレームに対して、バックパッド22が被せ付けられた態様をなし、その外周にはさらに表皮材23が被せ付けられている。
【0022】
シートバック本体21の後面21Aには、図2に示すように、雑誌や小物等の被収納物を収納可能な収納ポケット24(収納部に相当する)が設けられている。この収納ポケット24は、シートバック本体21の後面21Aの略中央に位置する上端が開口したものであって、矩形状のネット部24Aと、ネット部24Aの上部に縫合された伸縮可能な弾性素材等からなる開口部24Bとから構成され、図示しない帯状のゴムバンドなどによってシートバック本体21に取り付けられている。
【0023】
さて、シートバック本体21の後面21Aは、マット収容部30により覆われている。マット収容部30は、シートバック20の後面を構成するカバー部31と、カバー部31に内包された芯材32と、シートバック本体21の後面21Aに面し、カバー部31の内側面31A側を覆うフロアマット33(マット部に相当する)とから構成される。カバー部31は、シートバック20の表皮材23と同様に、合成皮革、皮革、樹脂、繊維等から適宜選択されるが、カバー部31全体をポリ塩化ビニル(PVC)製としたり、シートバック20の後面として外部に露出する外側面31Bに樹脂コート等の防汚処理を施したものであってもよい。
【0024】
カバー部31の下端部31Cは、シートバック本体21の下部に縫合された上で、合成樹脂製のクリップ34により固定されている。そして、その下端部31Cを除くカバー部31の外周縁部には、第1のスライドファスナー35がその縁部に沿って縫着されている。第1のスライドファスナー35と対向するシートバック本体21の周縁部には、第1のスライドファスナー35に噛み合わさる第2のスライドファスナー25がその縁部に沿って縫着されている。このスライドファスナー25、35は、所謂線ファスナーであって、ポリエステル等の布テープ25A、35Aにエレメント(務歯)25B、35Bが並列して取り付けられており、相対向するエレメント25B、35Bの務歯頭部同士をスライダー35Cにより噛み合わせたり、離したりすることで、開閉自在とされるものである。スライドファスナー25、35を閉めた状態(後述するマット収容部30の収容状態)のシートバック本体21の後面21Aからカバー部31の内側面31Aまでの厚さ寸法は、少なくともフロアマット33を収容可能であって、収納ポケット24に被収納物を収納可能な厚さが確保されている。
【0025】
カバー部31の上下方向略中央位置から下端部31Cにかけては、カバー部31を構成する布材が2枚重なり合って袋状に縫合されると共に、芯材32が内包された状態にある。芯材32は、ハードボードや合成樹脂製の平板等、所定の剛性を有する硬質材料からなる。この芯材32はマット収容部30の収容状態において、収納ポケット24に対向して配置され、その大きさは、収納ポケット24全体をシートバック20後部から覆うことが可能な寸法とされている。
【0026】
カバー部31の内側面31Aには、その全面を覆うフロアマット33が取り付けられている。フロアマット33は、図示はしないが、カバー部31の内側面31Aに面する支持層と、車室内に露出する表層とからなり、支持層は、例えば強度の高い樹脂繊維製不織布により形成されている。表層は、使用者が靴を脱いだ状態で使用するため、室内用のラグマットやカーペットと同様に肌触りに優れたものが好ましく、その材質は合成繊維、再生繊維、天然繊維等いずれであってもよい。このフロアマット33は、カバー部31の内側面31Aに対して、ホック36により着脱可能に取り付けられている。具体的には、カバー部31の内側面31A上には、雌型のホック36が複数設けられており、フロアマット33の支持層上には、これに対応する雄型のホック(図示せず)が設けられている。このホック36が互いに係合することで、カバー部31に対してフロアマット33が取り付けられている。
【0027】
本実施形態は以上のような構成であって、続いて、その作用を説明する。上記したマット収容部30は、図1及び図2に示す「収容状態」と、図3ないし図5に示す「使用状態」とに切替可能とされている。収容状態は、マット収容部30をシートバック本体21の背裏(後側)に収容した状態であって、スライドファスナー25、35は全閉状態にある。使用状態は、マット収容部30を車両フロア50上に敷設した状態であって、スライドファスナー25、35は全開状態にある。
【0028】
収容状態から使用状態に切り替えるには、まず、スライドファスナー25、35を開き、カバー部31の上端部31D側が車両フロア50上にくるように、カバー部31を下端部31Cを軸中心として回動させる。そして、カバー部31の外側面31Bが車両フロア50側となるように敷設すると、図3に示すように、カバー部31に内包された芯材32の上端部32Aがシートバック本体21に当接し、芯材32の下端部32Bが車両フロア50に当接し、芯材32がシートバック本体21及び車両フロア50に支持されて、両部材間に渡って斜めに橋掛けされた態様をなす。この芯材32の上下2辺が支持されることにより、カバー部31は、車両フロア50に対しておおよその位置決めがなされ、使用者が例えば靴を脱いだ状態で使用することができる使用状態とすることができる。
【0029】
そして、フロアマット33が不必要となった時、例えば、使用者が土足で乗車したい時には、使用状態から収容状態に切り替えればよい。この場合、例えば、車両フロア50に敷設されたカバー部31及びフロアマット33を掴んでシートバック本体21の背裏へと持っていき、その状態を維持しつつスライドファスナー25、35を閉めれば、フロアマット33をシートバック20の背裏に収容した収容状態とすることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、シートバック20の一部をフロアマット33を収容するマット収容部30として使用できるから、フロアマット33の収容に煩わされることがなくなる。また、フロアマット33として使用する際、収容状態から使用状態に切り替えるための移動距離が短く、容易にフロアマット33を車両フロア50上に敷設した状態とすることができるから、使い勝手に優れる。
【0031】
また、マット収容部30は芯材32を備えており、使用状態においては芯材32の上端部32Aと下端部32Bがそれぞれシートバック本体21と車両フロア50とに支持される。これにより、使用状態において、マット収容部30のおおよその位置決めがなされ、さらに芯材32がカバー部31に内包されているから、カバー部31がシートバック本体21の下部の隙間に入り込んで、破損するのを防止することができる。
【0032】
また、マット収容部30は、カバー部31の下端部31Cがシートバック本体21に取り付けられ、その取り付けられた部分を軸中心として回動することで、容易に収容状態から使用状態へと切り替えることができるから、使い勝手に優れる。
【0033】
また、シートバック本体21の後面21Aには、収納ポケット24が設けられているから、シートバック本体21とマット収容部30との間を有効に活用することができる。特に、マット収容部30が収容状態にある場合には、収納ポケット24に収納された被収納物が車室空間に露出しないため、見栄えのよいものとすることができる。また、この収納ポケット24は、マット収容部30の収容状態において芯材32と対向する位置に設けられているから、芯材32によって、外部から被収納物を効果的に保護することができる。
【0034】
また、フロアマット33はカバー部31に対して脱着可能にホック36によって取り付けられており、フロアマット33を取り外すことができるから、例えばフロアマット33を家庭で水洗いする等して清潔に保つことが可能となる。また、使用者の好みに応じて、このフロアマット33の素材やデザインを適宜変更することが可能となるから、個々の使用者に応じたより快適な車室空間を提供することができる。
【0035】
なお、カバー部31全体をポリ塩化ビニル(PVC)製としたり、カバー部31の外側面31Bに樹脂コート等の防汚処理を施した場合には、マット収容部30の使用状態においてカバー部31が通常土足で使用するフロアマット上に敷設された場合にも、そのフロアマットに接するカバー部31の外側面31Bに汚れが付きにくい。よって、フロアマット33を使用後、マット収容部30を収容状態にした場合にも、カバー部31の外側面31Bの汚れが目立つことなく、シートバック20の背裏としてそのまま使用することが可能となる。
【0036】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2を図6によって説明する。
本実施形態では、フロアマット60に緩衝材が用いられており、フロアマット60上に保持部61が張設されているところが相違する。他の構成については実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
フロアマット60は、外周形状は実施形態1と同様であって、その内部の例えば支持層と表層との間に緩衝材が用いられている。緩衝材としては、例えばフェルト等の不織布、発泡体、ゴム等が用いられる。そして、フロアマット60上には保持部61が張設されている。保持部61は、メッシュ状に形成された織物や編物等のネットの両端部が、カバー部31の幅方向両端部に縫合されたものであって、フロアマット60と保持部61との間に例えばグローブやボールといった被収納物62を挟み込むことで保持可能とされている。
【0038】
このような構成とすれば、マット収容部30の使用状態において、フロアマット60上に設けられた保持部61に被収納物62を保持することができ、使い勝手に優れる。特に、シートバック本体21の背裏(後側)に設けられた収納ポケット24はその収納容量に制限があるが、この保持部61は、フロアマット60と保持部61との間隔を調整すれば、収納ポケット24よりもその収納容量を大きく確保することが可能となる。また、この保持部61は、フロアマット60との間に被収納物62を保持する構成であるから、車両の走行時の揺れや振動に対して、フロアマット60上に載置した、特にボール等の転がり易い被収納物62が車両フロア50上を転がるのを防止することができる。
【0039】
また、フロアマット60には緩衝材が用いられているから、保持部61に保持された被収納物62を路面等からの振動から衝撃から保護することも可能となる。さらに、マット収容部30の収容状態において、収納ポケット24に収納された被収納物を芯材32に加えて、緩衝材を含むフロアマット60によっても効果的に外部から保護することができるから、例えば使用者がシートバック20の背面を蹴ったとしても、その内部に収納された被収納物の破損等を防止することができる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
(1)上記した各実施形態では、車両用シート10は、前後2列の座席を備える自動車の前部座席(フロントシート)に適用した場合を例示したが、これに限られず、例えば3列シートの1列目や2列目の座席から選択的に、あるいはすべての座席に適用されていてもよい。
【0042】
(2)上記した各実施形態では、フロアマット33はカバー部31に対して脱着可能とされていたが、これに限られず、例えばカバー部31に一体に設けられたものであってもよい。即ち、カバー収容部がカバーとフロアマットの両機能を備える単一部品であってもよい。
【0043】
(3)上記した各実施形態では、マット収容部30はシートバック本体21に対してスライドファスナー25、35により固定されていたが、これに限られず、例えば面ファスナーやホック、ボタン等でマット収容部30をシートバック本体21に対して開閉可能に取り付けられるものであってもよい。
【0044】
(4)上記した各実施形態では、フロアマット33はカバー部31に対して、ホック36により脱着可能に取り付けられていたが、これに限られず、例えば面ファスナーやボタン等の係合手段により取り付けられるものであってもよい。
【0045】
(5)上記した各実施形態では、フロアマット33はカバー部31の内側面31A全体を覆うように取り付けられていたが、これに限られず、部分的に覆うものであってもよい。例えば、マット収容部30の使用状態において、車両フロア50上に載置される部分にのみフロアマットが設けられた構成であってもよい。
【0046】
(6)上記した各実施形態では、カバー部31の上下方向略中央位置から下端部31Cにかけて芯材32が内包されていたが、これに限られず、例えばカバー部31全体に芯材32が設けられていてもよい。この場合、芯材32はマット収容部30の使用状態において、カバー部31の敷設状態に追従可能なように蛇腹状等折曲可能な構成とされていることが好ましい。
【0047】
(7)上記した各実施形態では、芯材32はカバー部31に内包されていたが、これに限られず、例えばカバー部31とフロアマット33との間に配されるものであってもよい。
【0048】
(8)上記した各実施形態では、カバー部31の下端部31Cは、シートバック本体21に縫合及びクリップ34によって固定されていたが、これに限られず、例えば、下端部31Cにおいてもスライドファスナーによりシートバック本体21とカバー部31とが係合されていてもよい。また、カバー部31がシートバック本体21に対して取り外し可能に固定されていてもよく、この場合、カバー部31を取り換えることが可能となるから、使用状況によってはマット収容部30全体を新品に取り換えることができ、使い勝手に優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10…車両用シート
11…シートクッション
12…ヘッドレスト
20…シートバック
21…シートバック本体
24…収納ポケット(収納部)
25…第2のスライドファスナー
30…マット収容部
31…カバー部
32…芯材
33…フロアマット(マット部)
35…第1のスライドファスナー
40…支持台
50…車両フロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの後面側にフロアマットを収容した車両用シートであって、
シートバック本体と、
前記シートバック本体の後面側を覆うマット収容部と、を備え、
前記マット収容部は、前記シートバックの後面を構成するカバー部と、
前記カバー部と前記シートバック本体との間に配される芯材と、
前記シートバック本体に面する内側面を構成し、前記フロアマットとして機能するマット部と、を備え、
前記マット収容部は、前記シートバックの後面に収容された収容状態と、前記シートバック本体の下部から車両フロア上に敷設された使用状態と、にその状態を切替可能とされ、
前記芯材は、前記使用状態において、前記シートバック本体と前記車両フロアとに支持されることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記マット収容部の下部は、前記シートバック本体の下部に取り付けられ、
前記マット収容部は、その取り付けられた部分を軸中心として、前記シートバック本体に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートバック本体の後面のうち前記芯材に対向する位置には、被収納物を保持可能な収納部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記マット部は前記マット収容部に対して脱着可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記マット収容部には前記マット部の一端から他端に架橋して前記マット部との間に被収納物を保持可能な保持部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記マット部には、緩衝材が用いられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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