説明

車両用シート

【課題】スライドレールを安定して動作させることが可能な車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートSは、一対の着座側サイドフレーム121,123と、着座側サイドフレーム121,123の下方において前後方向に延設されたスライドレール25,26と、スライドレール25,26の下方に配設されたライザー70,80と、を備えている。ライザー70,80は、スライドレール26の前端側に接合される前方脚部71,81と、後端側に接合される後方脚部72,82と、前方脚部71,81と後方脚部72,82とを連結する第1連結部材73,74,83,84と、を有し、ライザー70,80間を連結した第2連結部材90が連結され、第1連結部材73,74,83,84は、第2連結部材90が連結された位置とは異なる位置において、ライザー補強部73aを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に、着座フレームの下方に取り付けられたスライドレールを安定して作動させることが可能な車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
主に乗員の背中を支持するシートバックフレームと、主に乗員の臀部や大腿部を支持する着座フレームによって構成される車両用シートは従来から知られている。そして、着座フレームの下方に、車両用シートを前後方向にスライドさせるスライドレールが取り付けられた構成もまた、一般に知られている。このように、スライドレールが取り付けられた車両用シートは、乗員の体格や車両に積載する物品の大きさに依存して、車両内部における車両用シートの位置を適宜調整することができる。
【0003】
そして、このようなスライドレールが設けられた車両用シートでは、車両用シートを車両に対して取り付けるため、スライドレールの下方にブラケットが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−159365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車両用シートは、前後方向に延設されたスライドレールの下方にブラケットが設けられている。ブラケットは、スライドレールの両端部、すなわち前方と後方とに互いに独立してスライドレールに固着されている。そして、ブラケットは、スライドレールの延在方向に水平に配設された板材の一部が、下方に傾斜して折曲された構成である。
【0006】
一方、スライドレールを備えた車両用シートにおいては、安定して車両をスライドさせることが可能な技術が望まれている。特許文献1に記載の車両用シートは、スライドレール下方に設けられたブラケットがシート前後方向において分割しているため、ブラケットの剛性が十分でなく、スライドレールが安定して動作しにくいという不都合があった。
【0007】
本発明の目的は、車両用シートにおいて、スライドレールの周辺に配設される部材、すなわちスライドレール下方に取り付けられるライザーの剛性を向上させ、スライドレールを安定して動作させることが可能な車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1の車両用シートによれば、一対の着座側サイドフレームと、該着座側サイドフレームの下方において前後方向に延設されたスライドレールと、該スライドレールの下方に配設されたライザーと、を備えた車両用シートであって、前記ライザーは、前記スライドレールの前端側に接合される前方脚部と、後端側に接合される後方脚部と、前記前方脚部と前記後方脚部とを連結する第1連結部材と、を有し、前記ライザー間を連結する第2連結部材が架設され、前記第1連結部材は、前記第2連結部材が連結された位置とは異なる位置において、ライザー補強部を備えてなること、により解決される。
【0009】
このように、本発明の車両用シートにおいて、左右方向(着座幅方向)に離間して配設された一対の着座側サイドフレームの下方には、スライドレールが備えられており、さらに、スライドレールの下方には、ライザーが設けられている。そして、着座側サイドフレームと同様に、左右方向に離間して配設された一対のライザーには、第2連結部材が架設されている。この第2連結部材により、左右方向に離間して配設されたライザーが連結されるため、特に左右方向の荷重に対する剛性が向上する。
また、例えばシートベルトを備えた車両用シートのように、一方の側に大きな荷重が加わる場合であっても、左右方向に延設された第1連結部材により、一方のライザーから他方のライザーに荷重が伝達される。したがって、様々な方向の荷重が加わった場合であっても、剛性が高く、荷重を分散可能である。
したがって、本発明の車両用シートは、着座側サイドフレーム側から伝達される荷重に対し、ライザーの剛性が向上するため、スライドレールによる前後方向の動きをスムーズに行うことができる。
そして、第1連結部材において、ライザー補強部を備えた構成とすると、ライザーの剛性が向上する。このとき、ライザー補強部としては、左方向又は右方向に膨出した凸状のビードが形成されていると好ましい。そして、ライザー補強部を、第2連結部材が配設されていない位置に設けることにより、第2連結部材の配設された部分の強度を損なうことなく、且つ第1連結部材の強度を向上させることができるため、ライザーの剛性をより向上させることができる。
【0010】
また、請求項2のように、前記第1連結部材は、対向して配設される2枚の側板からなり、前記第2連結部材は、前記2枚の側板を貫通して配設されてなると好適である。
このように、第1連結部材が2枚の板材によって構成されることにより、ライザーの上方に備えられるスライドレールと、前方脚部と、後方脚部と、2枚の板材からなる第1連結部材と、によって、略閉断面構造とすることができる。そして、2枚の板材からなる第1連結部材に第2連結部材を貫通させることにより、第2連結部材のと率化強度が向上する。この構造とすることにより、前後方向だけでなく、左右方向の荷重に対する剛性も向上するので、ライザーの剛性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、左右方向に離間して設けられたライザーが互いに連結されているため、ライザーの剛性が向上する。したがって、ライザーに荷重が加わった場合であっても、その荷重を受け止めることができる。そして、第2連結部材の取付強度を損なうことなくライザーの剛性を向上させることができる。その結果、スライドレールによる前後方向の動きを安定して動作させることが可能な車両用シートを提供することができる。
請求項2の発明によれば、側板を2枚設け、さらにその2枚の側板に第2連結部材が貫通して配設されることにより、より剛性の高いライザーを備えた車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシートフレームの概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るシートフレームの概略正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るシートフレームの概略背面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る着座側サイドフレームの説明図である。
【図6】図3のA−A線に相当する断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る着座側サイドフレームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることはもちろんである。
【0014】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すものであり、図1は車両用シートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3はシートフレームの概略正面図、図4はシートフレームの概略背面図、図5は着座側サイドフレームの説明図、図6は図3のA−A線に相当する断面図である。なお、以下の説明における左右方向は、車体前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0015】
本実施形態に係る車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、芯材3(図2を参照)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。本実施形態の芯材3は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーとしての役割も兼ねているが、芯材とヘッドレストピラーを別体で構成してもよい。
【0016】
本実施形態の車両用シートSは助手席用シートであり、車両用シートSの左側(図1に向かって右側)が車体外側(車両ドア側)、車両用シートSの右側(図1に向かって左側)が車体内側(車体中央側)である。車両用シートSは、シートベルトBが取付けられたシートベルト一体の車両用シートであり、シートバックS1の上部の車体外側には、シートベルトBのショルダーベルト部B1が取付けられている。
【0017】
車両用シートSのシートフレームFは、図2乃至図4で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。また、シートバックフレーム1と着座フレーム2とは、リクライニング装置15を介して回動可能に連結されている。
【0018】
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施形態において、シートバックフレーム1は、金属製の板材又は管材によって両側のサイド部と、サイド部と連結されたアッパー部とを有して略矩形状の枠体となっている。
【0019】
サイド部は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在する一対の背凭れ側サイドフレーム11,12を有している。
つまり、シートバックフレーム1の一部を構成する背凭れ側サイドフレーム11,12は、上下方向に所定の長さで構成されており、左右方向に所定間隔を有して対向して配設されている。そして、シートバックフレーム1内(両側の背凭れ側サイドフレーム11,12の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える姿勢保持部材としての架設部材61が配設されている。
【0020】
架設部材61の両端部は、サイドフレーム補強部材30、又は背凭れ側サイドフレーム11と、背凭れ側サイドフレーム12に設けられた軸支部により軸支されている。この軸支部は、架設部材61を回動可能に軸支すればよく、公知の技術を使用できる。なお、軸支部の代わりに、サイドフレーム補強部材30、又は背凭れ側サイドフレーム11と、背凭れ側サイドフレーム12の側板に孔を形成し、この孔に架設部材61の端部を回動可能に挿入し、抜け止めを施すようにしてもよい。
【0021】
本実施形態においては、背凭れ側サイドフレーム11,12間に配設される架設部材61として、ばね性を有するスチール線材から形成されたSばねが用いられている。なお、架設部材61としては、Sばねに限らず、板状の部材など、乗員を後方から支えることができる構造であればどのような部材を配設してもよい。その他、マット、ランバーサポート機能を備えた構成としてもよいのは勿論である。
【0022】
サイド部を構成する背凭れ側サイドフレーム11,12のうち、車体外側(車両ドア側)に配設される背凭れ側サイドフレーム11は、金属製の一枚の板材を矩形に折り曲げた閉断面構造、すなわち、その断面形状が中空矩形状に形成されている(閉断面構造部11a)。そして、この背凭れ側サイドフレーム11の閉断面構造部11aの外側(車両ドア側)の面の下部には、平面状の板材が下方に延長した延長部11bが、閉断面構造部11aの外側の面と一体に形成されている。つまり、板材の一方側中央部分に延出する部分が形成されるように板材を打ち抜いた後、断面が中空矩形状となるように板金加工されている。また、閉断面構造部11aの外側の面には複数の孔11cが形成されている。
【0023】
車体内側(車体中央側)に配設される背凭れ側サイドフレーム12は、金属製の一枚の板材の車両前後方向の両端部をシートフレームFの内側に屈曲させて形成されている。
このように、車体外側に配設される背凭れ側サイドフレーム11は閉断面構造を有しており、車体内側に設けられた背凭れ側サイドフレーム12よりも強度が大きく形成されている。シートベルト一体の車両用シートSでは、車両の衝突などによりシートベルトBに乗員からの大きな荷重が加わり、ショルダーベルト部B1が取付けられる車体外側の背凭れ側サイドフレーム11に大きな荷重が加わるため、このように車体外側の背凭れ側サイドフレーム11の剛性が高くなるような構造としている。
【0024】
背凭れ側サイドフレーム11の閉断面構造部11aの下方に延長した延長部11bのシート内側、すなわち背凭れ側サイドフレーム11の乗員が着座する側には、サイドフレーム補強部材30が固定されている。サイドフレーム補強部材30は一枚の板体を断面が略コ字状となるように折り曲げて、閉断面構造部11aのシート左右方向の幅より若干狭い幅を左右方向の幅とし、延長部11bのシート前後方向の幅と略同じ幅を前後方向の幅として形成されている。
【0025】
サイドフレーム補強部材30は、延長部11bのシート内側に配置されたときの前方及び後方の面と、延長部11bとが略連続するように溶接等により接合されている。また、サイドフレーム補強部材30のシート内側に向く面の上部は、背凭れ側サイドフレーム11の閉断面構造部11aのシート内側の面の下部と所定幅重なるように配置され、連続するように溶接等により接合されている。このように、サイドフレーム補強部材30は背凭れ側サイドフレーム11と略一体となるように取付けられている。ショルダーベルト部B1が取付けられる側の背凭れ側サイドフレーム11を閉断面構造とし、一体に形成した延長部11bを設けてその内側にサイドフレーム補強部材30を固定したので、リクライニング装置15とショルダーベルト部B1の取付け位置の寸法精度が低下するのを抑制しつつ、背凭れ側サイドフレーム11の剛性を向上させることができる。
【0026】
図2乃至図4で示すように、上部フレーム13は、パイプ材が折り曲げられて形成され、上部フレーム13の側面部13aは、背凭れ側サイドフレーム12の側板と一部が重なるように配設され、この重なり部分において背凭れ側サイドフレーム12に溶接等により接合される。一方、上部フレーム13の他方の端部は、背凭れ側サイドフレーム11の上端に形成された凹部と接合されている。
【0027】
また、アッパー部を構成する上部フレーム13の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材3の外周部にパッド材3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成されている。上部フレーム13に取付けられた芯材3(ヘッドレストピラー相当部分)の下方には、ガイドロックが取付けられており、高さ位置が調節可能になっている。
【0028】
そして、補強が施された背凭れ側サイドフレーム11側の上部フレーム13上には、シートベルトBを挿通させるためのショルダーアンカー部14が固着接合されている。ショルダーアンカー部14は、手前側の面と左右両側の面、上面及び裏面で囲まれた箱型の部材であり、手前側の面は、正面視略逆U字状で中央部に空間が形成された形状を有している。ショルダーアンカー部14の左右両側の面の下端部が上部フレーム13に溶接等により接合され、上部フレーム13とショルダーアンカー部14の裏面との間には空間が形成されている。ショルダーベルト部B1は、上部フレーム13とショルダーアンカー部14の間の空間の下方から挿通され、さらに手前側の面の中央部に形成された空間を通って手前側に挿通されて取付けられる。
ショルダーアンカー部14は、車体外側(車体ドア側)に位置する背凭れ側サイドフレーム11と略同じ位置又は背凭れ側サイドフレーム11より外側に寄せて配設されている。
【0029】
シートバックフレーム1の下方(着座フレーム2側)において、連結部材としてのメンバーパイプ40によって背凭れ側サイドフレーム11,12間が連結されている。メンバーパイプ40は、リクライニング装置15の回動軸方向に沿って左右方向に渡って配設され、一端が背凭れ側サイドフレーム11の下方に背凭れ側サイドフレーム11と一体に固定されたサイドフレーム補強部材30に接合されて、このサイドフレーム補強部材30を介して背凭れ側サイドフレーム11と連結され、他端が背凭れ側サイドフレーム12の下方に溶接等により接合されている。
【0030】
そして、メンバーパイプ40は、着座フレーム2に干渉しない範囲で凹凸状に曲げられている。本実施形態では、乗員の腰部がシートバックS1側へ沈み込んだ際に、乗員の後方移動を阻害しないように、メンバーパイプ40の略中央部分は下方に向かって折り曲げられ、凹部を備えた形状となっている。凹状に折り曲げられた部分には、パイプ補強部材42,43が接合されている。
【0031】
メンバーパイプ40において、乗員の腰部に対応する位置が乗員腰部の下方に位置するように折り曲げられていることにより、乗員が後方へ移動する際、メンバーパイプ40によって押し止められることがない。したがって、後方移動を抑制することがなく、乗員の上体をシートバックS1に沈み込ませると共に、メンバーパイプ40を乗員の下方へ沈み込ませることができる。また、メンバーパイプ40にはパイプ補強部材42,43が備えられた構成とすることにより、メンバーパイプ40の剛性を向上させることができる。
【0032】
着座部S2は、着座フレーム2に、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bにより覆われており、乗員の臀部を下方から支持するものである。本実施の形態において、着座フレーム2は、着座幅を構成する着座側サイドフレーム121,123と、着座側後方フレーム28と、着座側前方フレーム29とを有して構成されている。
【0033】
着座側サイドフレーム121は、下部着座側サイドフレーム22と、上部着座側サイドフレーム21と、から構成されている。また、着座側サイドフレーム123は、下部着座側サイドフレーム24と、上部着座側サイドフレーム23と、から構成されている。上部着座側サイドフレーム21,23は、それぞれリクライニング装置15を介して背凭れ側サイドフレーム11の延長部11bと、背凭れ側サイドフレーム12とに回動可能に連結されている。
【0034】
上部着座側サイドフレーム21,23はそれぞれ、下部着座側サイドフレーム22,24との連結部分において下部着座側サイドフレーム22,24と連続した形状となるように形成され、下部着座側サイドフレーム22,24の上端部を覆うようにして取付けられている。
【0035】
下部着座側サイドフレーム22,24は、着座幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、前後方向に延在して形成されている。そして、図4で示すように、下部着座側サイドフレーム22,24の後方側を連結する板材からなるリトラクタ取付ブラケット50の両端が、下部着座側サイドフレーム22,24にそれぞれ接合されている。
【0036】
下部着座側サイドフレーム22,24は金属製の板材によって形成されており、その後方側が上方、すなわちシートバックフレーム1側に延出して形成されている。下部着座側サイドフレーム22,24の表面には、下部着座側サイドフレーム22,24の形状に対応して、滑らかな溝(ビード)が形成されている。そして下部着座側サイドフレーム22,24は、上述した上部着座側サイドフレーム21,23と接合されており、さらに上部着座側サイドフレーム21,23がそれぞれ背凭れ側サイドフレーム11,12と接合されてシートフレームFを形成している。
【0037】
下部着座側サイドフレーム22,24は、それぞれ下方で支持されており、下部着座側サイドフレーム22,24には、アッパーレール25,25が取付けられている。そしてアッパーレール25,25は、ロアーレール26,26との間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。このように、下部着座側サイドフレーム22,24(着座側サイドフレーム121,123)の下方には、スライドレールとしてのアッパーレール25,25と、ロアーレール26,26とが備えられている。
【0038】
そして、図2に示すように、前後方向に延設されたスライドレール、より詳細には、ロアーレール26,26の下方には、車体側に取り付けられるライザー70,80がそれぞれ取り付けられている。
【0039】
ライザー70は、その上方にショルダーアンカー部14が取り付けられた側の着座側サイドフレーム121の下方に設けられており、ロアーレール26の長手方向の端部側にそれぞれ接合された前方脚部71と、後方脚部72と、前方脚部71と後方脚部72とに架設される第1連結部材としての側板73,74と、を備えている。そして、2枚の板片からなる側板73,74は、互いに対向して配設されている。
【0040】
このように、その上方にショルダーアンカー部14が設置された側の着座側サイドフレーム121の下方に配設されるライザー70は、2枚の板片によって構成され、より剛性が向上した構成とすると好ましい。シートベルトBが乗員の荷重を受ける際、ショルダーアンカー部14は、斜め下方向の荷重を受ける。したがって、ショルダーアンカー部14の設置側に配設される背凭れ側サイドフレーム11及び着座側サイドフレーム121は、特に大きな荷重が加わる部材である。したがって、その下方に配設されるライザー70にもまた大きな荷重が加わるため、ライザー70は、ライザー80と比較して、より外力に対して剛性が向上する構成であることが好ましい。
【0041】
また、ライザー80は、その上方にショルダーアンカー部14が取り付けられていない側の着座側サイドフレーム123の下方に設けられており、ロアーレール26の延在方向の端部にそれぞれ接合された前方脚部81と、後方脚部82と、前方脚部81と後方脚部82とに架設される第1連結部材としての側板83,84と、を備えている。そして、2枚の板片からなる側板83,84は、互いに対向して配設されている。
【0042】
そして、ライザー70とライザー80との間、すなわち側板73,74と側板83,84との間には、第2連結部材としてのライザー連結部材90が架設されている。この構成により、ライザー70,80の剛性が向上し、アッパーレール25,25と、ロアーレール26,26とを安定して動作させることができる。
【0043】
以下、図5及び図6を参照してライザー70,80の構成を詳細に説明する。なお、図5ではライザー70の構成を説明するが、ライザー80に関し、前方脚部81、後方脚部82の構成はライザー70と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
ライザー70を構成する前方脚部71、後方脚部72は、折曲された金属製の板材からなり、ロアーレール26の下方に接合される。前方脚部71、後方脚部72は、ロアーレール26の下方に接合される略水平な天面71a、72aと、天面71a、72aから下方に延設される側面71b,72bと、側面71b,72bから延設され、天面71a、72aと略平行に折曲される底面71c,72cとを備えている。
【0045】
なお、ロアーレール26に対する天面71a,72aの取付けは、ボルト−ナット等の接合手段によって行われても良いし、溶接等の手段により固着接合されていても良い。また、底面71c,72cは、ボルト−ナット等の接合手段により、車体側に固定される。
【0046】
そして、天面71a,72a及び側面71b,72bのそれぞれ側方には、金属製の板材からなる側板73,74が接合されている。側板73,74は、それぞれ前方脚部71と後方脚部72とを連結するように配設された板材であり、側板73,74は互いに対向するように前方脚部71及び後方脚部72に固着される。
【0047】
このように、ライザー70において、側板73,74の四隅がそれぞれ前方脚部71、後方脚部72に接合された構成とし、さらに側板73,74の表面にライザー補強部としてのビードを設けると、ライザー70の剛性が向上するため、好ましい。
【0048】
なお、図5においては前方脚部71、後方脚部72の板厚によって、側板73とロアーレール26との間に空隙が形成された例を図示しているが、側板73を上方まで延設し、ロアーレール26に当接する形状としても良い。このように、側板73とロアーレール26とが当接する構成とすると、ライザー70とロアーレール26とが接する面積が大きくなり、剛性が向上するため好ましい。したがって、側板74もまた、ロアーレール26と当接する構成であっても良い。
【0049】
そして、ライザー70,80の間には第2連結部材としてのライザー連結部材90が架設されている。管状部材からなるライザー連結部材90は、側板73,74,83,84を貫通するように配設されており、その表面(管状の壁面)の一部が、側板73,74,83,84に固着接合されている。
【0050】
このように、車両用シートSの左右方向において、ライザー70,80をライザー連結部材90が連結することにより、ライザー70,80の剛性が向上し、アッパーレール25,25と、ロアーレール26,26からなるスライドレールを安定して動作させることができる。
【0051】
さらに、側板73の表面には、凸状のライザー補強部73aが設けられていると好ましい。ライザー補強部73aは、前後方向に沿って延設された外側に膨出する凸部であり、ライザー連結部材90が嵌合された位置と重ならない位置に設けられる。
【0052】
そして、ライザー補強部73aを構成するビードは、側板73において、ライザー連結部材90が貫通して配設された位置と略同じ高さ位置で形成される。ライザー補強部73aは、ライザー連結部材90を挟んで車体前後方向に略直線状に延設されていると好ましい。ライザー補強部73a及びライザー連結部材90(より詳細には、ライザー連結部材90と側板73の連結位置)が車体前後方向に略一直線上に配設された構成とすることにより、側板73とライザー連結部材90の連結位置の剛性が向上する。したがって、より剛性の高いライザー70とすることができる。
【0053】
ライザー補強部73aのようなビードは、側板73だけでなく、対向する側板74においても同様に設けられる。この時、側板74に設けられるライザー補強部(不図示)は、側板73に設けられるライザー補強部73aと対向する位置に、ライザー補強部73aと同じ形状で、内側に膨出するように設けられていると好ましい。
【0054】
このように、ライザー70の側板73,74において、その一部を膨出させ、ライザー補強部73aのようなビードを形成することにより、側板73,74の板厚を厚くすることなく、ライザー70の剛性を向上させることができる。
【0055】
なお、ライザー補強部73aのような構造(ビード)は、ライザー70だけでなく、ライザー80の側板83,84においてもまた設けられた構成としても良い。
また、図6において、ライザー70,80は、側板73,74、側板83,84をそれぞれ備えた構成を示したが、例えば、ライザー80は側板を1枚のみ備えた構成であっても良い。ただし、ショルダーアンカー部14が備えられた側に配設されるライザー70は、より大きな荷重が加わり易いため、上述のように、側板73,74を組み合わせた構成とすると良い。
【0056】
図3及び図4で示すように、リトラクタ取付ブラケット50の表面には、複数の溝(ビード)が形成されており、その前方面にはシートデバイス部としてのリトラクタ54が接合されている。リトラクタ54は、シートベルトBが引き出されたり、巻き戻したりする構成を備えており、3点式シートベルトを備えた本実施形態において、リトラクタ取付ブラケット50の前方面側であって、一方の背凭れ側サイドフレーム11側の近傍に、後述の着座側後方フレーム28と接触しない位置で取付けられる。なお、図3は、リトラクタ54を図示するためクッション支持部材27を一部切り取った状態を示している。
【0057】
また、リトラクタ取付ブラケット50よりも前方にはパイプ状の着座側後方フレーム28が、さらにその前方には着座側前方フレーム29a,29bが、下部着座側サイドフレーム22,24を連結して取付けられている。また、リトラクタ取付ブラケット50の前方且つ下方位置に、下方連結部材51が下部着座側サイドフレーム22,24を連結して配設されている。これらのリトラクタ取付ブラケット50、着座側後方フレーム28、着座側前方フレーム29a,29b、下方連結部材51は金属製の板材及び管材によって構成され、それぞれの端部は下部着座側サイドフレーム22,24に溶接等により固着接合される。
【0058】
そして、着座フレーム2内(両側の着座側サイドフレーム121,123の間)で着座フレーム2の内側領域には、クッションパッド2aを下方から支えるクッション支持部材27が配設されている。クッション支持部材27は、略矩形状の板材からなり、対向する前後一対の辺が、それぞれ着座側後方フレーム28及び着座側前方フレーム29a,29bに架設されることにより、固定される。
【0059】
このクッション支持部材27は、金属製の板材によって構成されており、この板材には滑らかな凹凸が形成されている。なお、本実施形態ではクッション支持部材27として板材が配設された例を示したが、乗員及びクッションパッド2aを下方から支えることができる構造であれば、形状、材質はこれに限定されない。
【0060】
本実施形態において、図2に示すように、着座フレーム2は、シート幅を構成する着座側サイドフレーム121,123がそれぞれ背凭れ側サイドフレーム11,12の下方に配設されている。そして、着座側サイドフレーム121は、車両の前後方向に延設される下部着座側サイドフレーム22と、下部着座側サイドフレーム22の後方上部に連結された上部着座側サイドフレーム21とを備えている。着座側サイドフレーム123もまた同様に、下部着座側サイドフレーム24と、上部着座側サイドフレーム23とを備えている。
【0061】
ショルダーアンカー部14が配設された背凭れ側サイドフレーム11の下方に連結される着座側サイドフレーム121は、上部着座側サイドフレーム21が、リクライニング装置15を介して背凭れ側サイドフレーム11に連結されている。
【0062】
ショルダーアンカー部14が配設された背凭れ側サイドフレーム11に連結される着座側サイドフレーム121において、下部着座側サイドフレーム22は、図3に示すように、シート内側(乗員の着座側)とシート外側(車両ドア側)に、略同形、同大で形成された板材を備えている。すなわち、下部着座側サイドフレーム22は、シート外側に配設される下部外面材22aと、シート内側に備えられる下部内面材22kを備えている。
【0063】
下部外面材22a及び下部内面材22kは、互いに対向して、その縁辺が略垂直に折り曲げられ、その折曲した縁辺同士重なるように接合されている。すなわち、下部外面材22a及び下部内面材22kは、コ字断面形状の板材からなり、対向して縁辺同士が接合され、中空の筐体を形成している。
【0064】
このとき、下部外面材22a及び下部内面材22kの上部後端側、すなわち、上部着座側サイドフレーム21が重なって連結される部分は接合されておらず、開口した構成となっている。なお、縁辺全てが折り曲げられて接合されている必要はなく、十分な強度を得ることができれば、一部の縁辺のみを接合した構成としてもよい。例えば、乗員の着座面を形成する上辺22b及び22lのみを接合した構成としても良い(図5参照)。
【0065】
また、上部着座側サイドフレーム21においても、シート外側とシート内側とに、略同形、同大で形成された板材である上部外面材21aと、上部内面材21kとが備えられている。
【0066】
上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22との接合関係に関し、下部外面材22aの後方且つ上方は、上部外面材21aの下方が連結部21x(図5を参照)において重ねられ、溶接によって互いに接合されている。より詳細には、下部内面材22kの上部後端側には、上部内面材21kの下方の一部が重なるようにして接合されている。そして、略同形、同大の上部外面材21a及び上部内面材21kが対向して互いに接合されており、その内側に、下部外面材22a及び下部内面材22kを挟み込む構成となっている。
【0067】
このとき、上部着座側サイドフレーム21を構成する上部外面材21aと、上部内面材21kは、その縁辺が互いに重なるように略垂直に折り曲げられ、縁辺が重なるようにして接合されている。
【0068】
本発明の着座側サイドフレーム121においては、図5に示すように、上部着座側サイドフレーム21及び下部着座側サイドフレーム22の連結部21xの近傍に、それぞれショルダーアンカー部14からの荷重に対する剛性を向上させるため、補強部(上部フレーム補強部、下部フレーム補強部)が設けられている。なお補強部は、連結部21xの少なくとも近傍、より詳細には乗員が着座する側に設けられる構成であれば良く、上部着座側サイドフレーム21及び下部着座側サイドフレーム22上であって、連結部21xから離れた箇所においても設けられた構成であってもよい。
【0069】
上部着座側サイドフレーム21は、その縁端21b、すなわち外周の形状に沿った上部フレーム補強部としての上部フレーム膨出部21cを備えている。上部フレーム膨出部21cは、縁端21bの形状に沿って、上部外面材21aの一部をシート外側に膨出させて形成されており、リクライニング装置15の取付位置を避けて、その周囲を囲むようにして形成されている。
【0070】
なお、本実施形態では上部外面材21aに上部フレーム膨出部21cを備えた構成を図示したが、上部内面材21kにも同様に、リクライニング装置15の周辺位置にシート内側に膨出した膨出部を備えた構成としても良い。特に、リクライニング装置15の回動軸(中心軸)よりも上方に、膨出部を設ける構成とすると、より剛性が向上するため好ましい。
【0071】
一方、下部着座側サイドフレーム22は、連結部21xの近傍に、その上辺22bの形状に沿った下部フレーム補強部としての下部フレーム外面膨出部22cを備えている。上辺22bは滑らかに湾曲しており、その形状に沿って幅広な下部フレーム外面膨出部22cが、下部外面材22aの一部をシート外側に膨出して形成されている。下部フレーム外面膨出部22cに関し、上辺22bからの幅は、必ずしも上辺22bと平行にする必要はなく、本実施形態のように、場所によってその幅が異なる構成としても良い。
【0072】
上部フレーム膨出部21cと、下部フレーム外面膨出部22cとは、連続して重なる形状に形成されている。上部フレーム膨出部21cと、下部フレーム外面膨出部22cが、互いに独立して分断された形状とした場合と比較して、連続して形成することにより、連結部21xにかかる負荷に対する剛性がさらに向上する。
【0073】
そして、下部着座側サイドフレーム22は、下部外面材22a上の前方位置に、さらに外面ビード22d,22eを備えている。外面ビード22d,22eは下部外面材22aの一部をシート外側に向かって湾曲形状で膨出させ、縦方向に長い形状で配設されている。この構成により、さらに下部着座側サイドフレーム22の剛性が向上する。
【0074】
下部外面材22aに対向して配設された下部内面材22kにおいてもまた、下部フレーム補強部としての下部フレーム内面膨出部22mが備えられている。下部フレーム内面膨出部22mは、下部内面材22kの上辺22lの形状に沿って、下部内面材22kの一部をシート内側に膨出させることにより形成されている。
【0075】
また、下部着座側サイドフレーム22は、下部内面材22k上の前方位置に、さらに内面ビード22n,22oを備えている。内面ビード22n,22oは下部内面材22kの一部をシート内側に向かって湾曲形状で膨出させ、縦方向に長い形状で配設されている。
【0076】
そして、下部フレーム外面膨出部22cと、下部フレーム内面膨出部22mは、対向する位置に設けられている。また、外面ビード22d,22e及び内面ビード22n,22oもまた、それぞれが対向する位置に設けられている。
この構成により、さらに下部着座側サイドフレーム22の剛性を向上させることができる。
【0077】
さらに、外面ビード22d、22e及び内面ビード22n,22oの間には、着座側前方フレーム29aの端部が配設されており、もう一方の端部は着座側サイドフレーム123の下部着座側サイドフレーム24に接合されている(図2参照)。このように構成すると、着座側サイドフレーム121,123の連結強度が向上するため好ましい。
【0078】
ショルダーアンカー部14が配設されていない側の着座側サイドフレーム123は、上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24が接合して配設されている。着座側サイドフレーム121と、123とは、互いに非対称の形状とすると好ましい。
【0079】
すなわち、上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24は、それぞれショルダーアンカー部14が備えられる側に配設された上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22とはその形状、大きさが異なって非対称に形成されていると好ましい。そして特に、連結部21xに相当する位置においてその形状が異なって形成されていると好適である。
【0080】
上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22との連結部21x近傍は、乗員が着座する側の縁辺が連続した形状となっており、略円弧状に形成されている。上部着座側サイドフレーム23と、下部着座側サイドフレーム24の連結部の乗員が着座する側もまた、略円弧状に形成されているが、円弧の半径の大きさ、すなわち湾曲形状が着座側サイドフレーム121と着座側サイドフレーム123において異なって形成されていると好ましい。
【0081】
このとき、ショルダーアンカー部14の下方に備えられる上部着座側サイドフレーム21と、下部着座側サイドフレーム22の連結部21x近傍の円弧の半径は、もう一方の着座側サイドフレーム123と比較して、大きい方が好ましい。すなわち、ショルダーアンカー部14が取付けられる側の着座側サイドフレーム121において、連結部21xの着座側縁辺が、もう一方の着座側サイドフレーム123の同等部分と比較して、緩やかな湾曲形状である方が好ましい。この構成とすることにより、ショルダーアンカー部14からの荷重を、着座側サイドフレーム121,123の両方に効率よく分散させることができる。
【0082】
また、ショルダーアンカー部14が備えられていない側に配設される下部着座側サイドフレーム24は、下部外面材22a及び下部内面材22kが対向して接合されてなる下部着座側サイドフレーム22とは異なり、一枚の板材によって形成されている。そして、下部着座側サイドフレーム24の表面にも、シート外側又は内側に膨出した不図示の膨出部又は凸部が設けられている。
【0083】
下部着座側サイドフレーム24の表面に形成される膨出部又は凸部は、他方の下部着座側サイドフレーム22に設けられる下部フレーム外面膨出部22c,22mとは非対称の位置に、異なる形状で設けられると好ましい。このような構成とすると、ショルダーアンカー部14からの荷重をより分散させやすくなる。
【0084】
特に、着座側サイドフレーム121の連結部21xに相当する位置近傍において、非対称となる位置及び形状で、膨出部又は凸部が設けられていると好適である。
【0085】
図7は、本発明の他の実施形態を示すものであり、着座側サイドフレームの説明図である。本実施形態は、連結部21xの近傍に、下部フレーム補強部としての下部フレーム外面膨出部22cのみを設けた上述の実施形態とは異なり、下部フレーム補強部として、さらに外面凸部22fが配設されたことを特徴としている。
【0086】
外面凸部22fは、シート外側方向に膨出したビードであり、上辺22bから所定距離離間して、上辺22bに沿った形状で湾曲している。また、下部フレーム外面膨出部22cは上辺22bに沿った形状で形成されている。
【0087】
そして、上部着座側サイドフレーム21において、その縁端21b、すなわち外周の一部に沿って、上部フレーム膨出部21cが形成されている。上述の実施形態では、上部フレーム膨出部21cは、縁端21bのほぼ全領域に渡って設けられていたが、本実施形態のように、連結部21xの近傍のみに設けた構成としても良い。
【0088】
また、外面凸部22fは、下部外面材22aに配設されているが、下部内面材22kにおいても設けられていると好ましい。このとき、外面凸部22fと対向する位置に、下部フレーム補強部としての内面凸部22pが設けられているとさらに好ましい。
【0089】
さらにまた、外面凸部22fは、上述の実施形態(図5を参照)における外面ビード22d,22eに連結されて、連続に形成されていると好適である。このように、複数のビードを連結する構成とすると、下部着座側サイドフレーム22の剛性がさらに向上する。
【0090】
このように、上部着座側サイドフレーム21,下部着座側サイドフレーム22の連結部21xの近傍において、上部着座側サイドフレーム21の縁端21bに沿って膨出して形成された上部フレーム膨出部21c及び下部着座側サイドフレーム22の上辺22bに沿って膨出して形成された下部フレーム外面膨出部22cを備えることにより、連結部21xは、ショルダーアンカー部14から受ける荷重に対する剛性が向上する。
【0091】
上述のように、本発明の車両用シートSは、スライドレールを構成するアッパーレール25,25及びロアーレール26,26の下方に、ライザー70,80が設けられており、このライザー70,80は、着座幅方向(左右方向)に架設されたライザー連結部材90によって連結されている。
【0092】
このように、ライザー連結部材90によってライザー70,80が連結されているため、ライザー70,80の剛性が向上する。また、着座フレーム2を構成する着座側サイドフレーム121,123においてもまた、ビード等の凹凸が形成されているため、着座フレーム2の剛性が向上する。
【0093】
したがって、本発明の車両用シートSは、ライザー70,80だけでなく、着座フレーム2の剛性もまた高いため、上述のように、ショルダーアンカー部14を一方に備えた車両用シートSのように、ライザー70,80に対して非対称な荷重が加わった場合であっても、その荷重を受け止めることができると共に、その荷重を車体側に効率よく伝達することができる。
そして、着座フレーム2側から荷重が加わった場合であっても、ライザー70,80の剛性が高いため、本発明の車両用シートSは、スライドレールを安定して前後方向に動作させることができる。
【0094】
なお、上記各実施形態では、具体例として、自動車のフロントシートの助手席側に用いられる車両用シートについて説明したが、これに限らず、運転席側の車両用シート、後部座席の車両用シートについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
B シートベルト
B1 ショルダーベルト部
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
3 芯材
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11,12 背凭れ側サイドフレーム
11a 閉断面構造部
11b 延長部
11c 孔
13 上部フレーム
13a 側面部
14 ショルダーアンカー部
15 リクライニング装置
21,23 上部着座側サイドフレーム
22,24 下部着座側サイドフレーム
21a 上部外面材
21b 縁端
21c 上部フレーム膨出部(上部フレーム補強部)
21k 上部内面材
21x 連結部
22a 下部外面材
22b,22l 上辺
22c 下部フレーム外面膨出部(下部フレーム補強部)
22d,22e 外面ビード
22f 外面凸部(下部フレーム補強部)
22k 下部内面材
22m 下部フレーム内面膨出部(下部フレーム補強部)
22n,22o 内面ビード
22p 内面凸部(下部フレーム補強部)
25 アッパーレール(スライドレール)
26 ロアーレール(スライドレール)
27 クッション支持部材
28 着座側後方フレーム
29a,29b 着座側前方フレーム
30 サイドフレーム補強部材
40 メンバーパイプ(連結部材)
42,43 パイプ補強部材
50 リトラクタ取付ブラケット
51 下方連結部材
54 リトラクタ(シートデバイス部)
61 架設部材
70,80 ライザー
71,81 前方脚部
72,82 後方脚部
71a,72a,82a 天面
71b,72b,81b 側面
71c,72c,81c 底面
73,74,83,84 側板(第1連結部材)
73a ライザー補強部
90 ライザー連結部材(第2連結部材)
121,123 着座側サイドフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の着座側サイドフレームと、該着座側サイドフレームの下方において前後方向に延設されたスライドレールと、該スライドレールの下方に配設されたライザーと、を備えた車両用シートであって、
前記ライザーは、前記スライドレールの前端側に接合される前方脚部と、後端側に接合される後方脚部と、前記前方脚部と前記後方脚部とを連結する第1連結部材と、を有し、
前記ライザー間を連結する第2連結部材が架設され、前記第1連結部材は、前記第2連結部材が連結された位置とは異なる位置において、ライザー補強部を備えてなることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記第1連結部材は、対向して配設される2枚の側板からなり、前記第2連結部材は、前記2枚の側板を貫通して配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76546(P2012−76546A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222063(P2010−222063)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】