説明

車両用シート

【課題】バックフレームに対して上下動するバックシェルを備えた構成であっても、簡単な構成で外観を良好にすることができる。
【解決手段】車両用シート10では、バックフレーム30に対して上下方向に移動可能に支持された可動バックシェル42によって、着座者の背部が支持される。この可動バックシェル42の背面側には、バックフレーム30に対して変位不能に取り付けられた非可動バックシェル46が配置されており、当該非可動バックシェル46によってバックフレーム30が覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に、シートバックのバックフレームに対して移動可能に支持されたバックシェルを有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された車両用シートでは、着座者の背部をホールド可能な形状に成形されたバックシェルと、着座者の臀部をホールド可能な形状に成形されたクッションシェルと、を備えている。バックシェルは、バックフレームに対して上下方向及び前後方向に移動可能に取り付けられており、クッションシェルは、クッションフレームに対して上下方向に移動可能に取り付けられている。また、バックシェルとクッションシェルは、ヒンジを介して連結されており、クッションシェルの上下動に追従してバックシェルが上下動するようになっている。このような車両用シートでは、バックシェル及びクッションシェルによって着座者を良好にホールドすることができると共に、バックシェル及びクッションシェルが着座者の体形や姿勢に合わせて移動することにより、乗り心地を良好にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−526425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如き車両用シートでは、バックシェルがバックフレームに対して上下動する構成であるため、バックフレーム等の骨格部材をバックシェル(可動部材)のみによって完全に覆い隠すことが困難であり、外観を良好にするための対策が必要である。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、バックフレームに対して上下動するバックシェルを備えた構成であっても、簡単な構成で外観を良好にすることができる車両用シートを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、シートバックの骨格を構成するバックフレームと、前記バックフレームに対して少なくとも上下方向に移動可能に支持されると共に、着座者の背部を支持可能とされた可動バックシェルと、前記可動バックシェルの背面側に配置され、前記バックフレームを覆った非可動バックシェルと、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の車両用シートでは、バックフレームに対して少なくとも上下方向に移動可能に支持された可動バックシェルによって、着座者の背部が支持される。この可動バックシェルの背面側には、非可動バックシェルが配置されており、当該非可動バックシェルによってバックフレームが覆われている。したがって、バックフレームに対して上下動する可動バックシェルを備えた構成であっても、簡単な構成で外観を良好にすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記非可動バックシェルは、前記シートバックの前方側から見た場合に、少なくともシート幅方向両端側が前記可動バックシェルの外周よりも外側へ張り出している。
【0009】
請求項2に記載の車両用シートでは、可動バックシェルの背面側に配置された非可動バックシェルは、シートバックの前方側から見た場合に、少なくともシート幅方向両端側が可動バックシェルの外周よりも外側へ張り出している。このため、可動バックシェルが上下動しても、本車両用シートと他の車両部品との寸法関係(距離)が変化することがなく好適である。また、非可動バックシェルの外側には、非可動バックシェルに対する可動バックシェルの相対移動を吸収する形状を設定しなくてもよいため、シートバックの外形形状の自由度を向上させることができ、デザインの自由度を増すことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記非可動バックシェルは、前記バックフレームに装着されたパッド材を含んで構成されている。
【0011】
請求項3に記載の車両用シートでは、非可動バックシェルが、バックフレームに装着されたパッド材を含んで構成されているので、非可動バックシェルを軽量で安価に構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートでは、バックフレームに対して上下動するバックシェルを備えた構成であっても、簡単な構成で外観を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用シートの主要部の構成を示す斜視図であり、同車両用シートの構成部材であるシートシェルをシート幅方向において半分に切断し、その片側のみを図示した図である。
【図2】図1に対応した斜視図であり、シートシェルがシートフレームに対して下降した状態を示す図である。
【図3】同車両用シートの構成部材であるシートシェル、サポートパッド及びシートクッションフレームの構成を示す概略的な分解斜視図である。
【図4】同車両用シートの構成部材であるバックシェル支持機構の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印Wは車両幅方向(車両左右方向)を示している。また、本実施形態では、車両用シート10における前後左右上下の方向は、車両における前後左右上下の方向と一致している。
【0015】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、シートシェル12によって着座者(乗員)を支持するシェル型シートであり、着座者の臀部及び大腿部を支持するシートクッション14と、着座者の背部を支持するシートバック16と、着座者の頭部を支持するヘッドレスト18と、を備えている。
【0016】
シートクッション14は、左右一対のスライドレール20を含んで構成されたスライド機構を介して車体の床部に連結されている。スライドレール20は、車体の床部に固定されたロアレール22と、当該ロアレール22に取り付けられたアッパレール24とを有している。ロアレール22及びアッパレール24は、車両前後方向に沿って長尺状に形成されており、アッパレール24は、ロアレール22に対して車両前後方向にスライド可能に支持されている。また、アッパレール24は、図示しないロック機構によってロアレール22に対するスライドを規制されており、ロック解除レバー26が操作されることにより、ロアレール22に対するスライドを許容されるようになっている。
【0017】
左右のアッパレール24間には、シートクッション14の骨格を構成するクッションフレーム28が掛け渡されている。クッションフレーム28は、板金材によって構成されており、シート幅方向両端部が左右のアッパレール24の上面に固定されている。また、左右のアッパレール24の後端部には、シートバック16の骨格を構成するバックフレーム30が、リクライニング機構32を介して傾動可能に連結されている。バックフレーム30は、パイプ材によって構成されており、シート前後方向から見て略枠状に形成されている。このバックフレーム30は、リクライニング機構32に設けられたロック機構によってクッションフレーム28に対する傾動を規制されており、ロック解除レバー34が操作されることにより、クッションフレーム28に対する傾動を許容されるようになっている。
【0018】
バックフレーム30の上方には、ヘッドレスト18の骨格を構成するヘッドレストフレーム36が設けられている。ヘッドレストフレーム36は、パイプ材によって構成されており、シート前後方向から見て逆U字状に形成されている。このヘッドレストフレーム36は、下端部がバックフレーム30の上端部に溶接等の手段によって固定されている。そして、これらのヘッドレストフレーム36、バックフレーム30、及びクッションフレーム28によって、本車両用シート10の骨格部材であるシートフレーム38が構成されている。なお、本実施形態では、前述した如く、クッションフレーム28が板金材によって構成され、バックフレーム30及びヘッドレストフレーム36がパイプ材によって構成されているが、これに限らず、各フレームの材料は適宜変更することができる。
【0019】
上述したシートフレーム38には、シートシェル12が取り付けられている。シートシェル12は、クッションフレーム28に対して上下方向に移動可能に支持されたクッションシェル40と、バックフレーム30に対して上下方向に移動可能で且つシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に支持された可動バックシェル42(可動部材)と、バックフレーム30に変位不能に取り付けられて当該バックフレーム30を覆った非可動バックシェル46(非可動部材)と、によって構成されている。
【0020】
クッションシェル40は、硬質合成樹脂材によって成形された外側シェル48及び内側シェル50を有しており、外側シェル48と内側シェル50との間には、ウレタンパッド等の発泡体によって形成された薄厚なパッド材52が介在されている。このクッションシェル40は、着座者の臀部及び大腿部を良好にホールドすることができるように、上面(外側シェル48の表面)が着座者の臀部及び大腿部の形状に沿うように形成されている。また、このクッションシェル40の下面(内側シェルの下面)には、図3に示されるように、4つの取付片51が固定されている(なお、図3では、クッションシェル40が概略的に記載されている)。
【0021】
上述のクッションシェル40は、クッションフレーム28の上方に配置されており、クッションフレーム28の上面には、上記4つの取付片51と対応した4つの取付片53が固定されている。各取付片51、53は、それぞれリンク54によって連結されている。これらのリンク54は、平行リンク機構を構成しており、クッションシェル40は、クッションフレーム28に対して所定の範囲内で上下方向に移動可能に支持されている。なお、上記平行リンク機構の代わりに、Xリンク機構を用いる構成にしてもよい。
【0022】
また、クッションシェル40とクッションフレーム28との間には、ウレタンパッド等の発泡体によって形成されたサポートパッド56が介在している。このサポートパッド56は、下面がクッションフレーム28の上面に当接し、上面がクッションシェル40の下面(内側シェル50の下面)に当接している。このサポートパッド56によって、クッションシェル40がクッションフレーム28に対する移動範囲の上端側に保持されており、着座者がクッションシェル40に着座した際には、サポートパッド56が弾性変形することにより、クッションシェル40が下降するようになっている。また、車両の走行時には、車両の振動に応じてサポートパッド56が弾性変形することにより、着座者の良好な乗り心地が確保されるようになっている。なお、サポートパッド56は、発泡体によって形成されたものに限らず、金属バネ、空気バネ、油圧クッション等であってもよい。
【0023】
一方、可動バックシェル42は、硬質合成樹脂材によって成形された外側シェル58及び内側シェル60を有しており、外側シェル58と内側シェル60との間には、ウレタンパッド等の発泡体によって形成された薄厚なパッド材62が介在されている。この可動バックシェル42は、着座者の背部を良好にホールドすることができるように、表面(外側シェル58の上面)が着座者の背部の形状に沿うように形成されている。具体的には、可動バックシェル42は、シート幅方向中央側が着座者の背部と接する本体部42Aとされ、シート幅方向両端側が本体部42Aよりもシート前方側へ膨出したサイドサポート部42Bとされており、サイドサポート部42Bによって着座者を側方から支持するように構成されている。
【0024】
なお、上記外側シェル48、58及び内側シェル50、60の材料としては、硬質合成樹脂材に限らず、アルミニウム等の軽合金材、FRP材、木材等を適用することもできる。
【0025】
上述の可動バックシェル42は、バックフレーム30に対してシートバック前方側に配置されており、左右一対のバックシェル支持機構64を介してバックフレーム30に支持されている。バックシェル支持機構64は、可動バックシェル42をバックフレーム30に対して上下方向に移動可能で且つシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に連結するものであり、図4に示されるように、取付部材66と、スライドレール68と、スライダ70と、取付片72とから構成されている。
【0026】
取付部材66は、板金材料等によって形成されてバックフレーム30のサイドフレーム部30Aに溶接等の手段によって固定されており、車両の追突時などに塑性変形することによりエネルギを吸収するように構成されている。この取付部材66には、ボルト67及びナット69によってスライドレール68が固定されている。スライドレール68は、断面ハット形の長尺な部材であり、長手方向がシートバック高さ方向に沿う状態で配置されている。このスライドレール68には、スライダ70が取り付けられている。このスライダ70は、断面略C字状の長尺な部材であり、内側にスライドレールが摺動可能に嵌合している。これにより、スライダ70は、スライドレール68に対してシートバック高さ方向にスライド可能とされている。
【0027】
上述のスライダ70には、取付片72が連結されている。取付片72は、長尺なブロック状の部材であり、長手方向がシートバック高さ方向に沿う状態で配置されている。この取付片72は、スライダ70と対向した第1取付面72Aと、可動バックシェル42の背面と対向した第2取付面72Bとを有している。第1取付面72Aには、中央に円形のボルト孔74が形成されており、当該ボルト孔74の上下にそれぞれ長円形の長孔76が形成されている。これらのボルト孔74及び長孔76は、取付片72をシート幅方向に貫通している。
【0028】
スライダ70には、上下3箇所にボルト78が貫通している。中央のボルト78は、取付片72の中央のボルト孔74を貫通してナット79に螺合している。これにより、取付片72がスライダ70に対して中央のボルト78回り(シート幅方向に沿った軸線回りに)に回転可能に連結されている。また、上下のボルト78は、それぞれ上下の長孔76を貫通してナットに螺合している。これにより、スライダ70に対する取付片72の回動範囲が長孔76の範囲内に制限されている。
【0029】
また、取付片72には、当該取付片72をシートバック前後方向に貫通して第2取付面72Bで開口した複数のボルト孔80が形成されており、これらのボルト孔80に挿通された図示しないボルトによって、取付片72が可動バックシェル42の背面にボルト止めされている。これにより、可動バックシェル42がバックシェル支持機構64を介してバックフレーム30に連結されている。このバックシェル支持機構64では、スライダ70がスライドレール68に対してスライドすることにより、バックフレーム30に対する可動バックシェル42の上下方向の相対移動(上下動)が許容されると共に、スライダ70に対する取付片72の回動によりバックフレーム30に対する可動バックシェル42の回動が許容される。
【0030】
なお、可動バックシェル42をバックフレーム30に連結するバックシェル支持機構の構成は、上述したものに限らず、種々変更することができる。例えば、スライド機構とXリンク機構が組み合わされることにより構成され、可動バックシェル42をバックフレーム30に対して上下方向及び前後方向に移動可能に連結するものであってもよい。
【0031】
上述の如くバックフレーム30に支持された可動バックシェル42は、下端部がヒンジ82を介してクッションシェル40の後端部に連結されている。これにより、可動バックシェル42は、クッションシェル40に対してヒンジ82回り(シート幅方向に沿った軸線回り)に回動可能に連結されている。このため、クッションシェル40の上下動に伴って、可動バックシェル42も上下動するようになっている。また、その際には、着座者の姿勢に合わせて可動バックシェル42の傾斜角度が適度に変化するようになっている。なお、図1には、クッションシェル40及び可動バックシェル42が、上下方向の移動範囲における上端側に配置された状態が図示されており、図2には、クッションシェル40及び可動バックシェル42が、上記移動範囲の下端側に配置された状態が図示されている。
【0032】
一方、上述した可動バックシェル42の背面側には、非可動バックシェル46が配置されている。非可動バックシェル46は、ウレタンフォーム等の発泡体によって形成されてバックフレーム30に装着されたパッド材84と、当該パッド材84を覆った外皮材86とによって構成されている。この非可動バックシェル46は、バックフレーム30に対して変位不能に取り付けられており、バックフレーム30を外側から覆っている。なお、上記外皮材86には前記バックシェル支持機構64と対向する部位に貫通孔が形成されており、当該貫通孔が可動バックシェル42によって覆われている。この外皮材86の材料は特に限定されるものではなく、例えば、布材、合成樹脂材、アルミニウム等の軽合金材、FRP材、木材等を適用することができる。
【0033】
また、非可動バックシェル46は、ヘッドレスト部46Aを一体に有しており、当該ヘッドレスト部46Aによってヘッドレストフレーム36が覆われている。つまり、本実施形態では、シートバック16における着座者の背部を支持する部位の外形が、可動バックシェル42によって構成されており、シートバック16における上記以外の部位の外形およびヘッドレスト18の外形が非可動バックシェル46によって構成されている。
【0034】
非可動バックシェル46は、可動バックシェル42よりも大きく形成されており、シートバック16の前方側から見た場合に、非可動バックシェル46の上端側及びシート幅方向両端側が可動バックシェル42の外周よりも外側へ張り出している。また、非可動バックシェル46のシート幅方向両端側は、可動バックシェル42のサイドサポート部42Bに沿うようにシートバック前方側へ膨出している。
【0035】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0036】
上記構成の車両用シート10では、バックフレーム30に対して上下方向に移動可能に支持された可動バックシェル42によって、着座者の背部が支持される。この可動バックシェル42の背面側には、バックフレーム30に対して変位不能に取り付けられた非可動バックシェル46が配置されており、当該非可動バックシェル46によってバックフレーム30が覆われている。したがって、バックフレーム30に対して上下動する可動バックシェル42を備えた構成であっても、簡単な構成で外観を良好にすることができる。
【0037】
なお、背景技術の欄で説明した車両用シートにおいても、バックシェルによって覆われないシートバックの背面側や、バックシェルの上面に形成されたヘッドレストフレーム挿通用の孔などに、樹脂カバー等のカバー部材を設定すれば、バックフレームが外部に露出することを防止できる。しかしながら、そのようなカバー部材は、バックシェルの上下動を吸収可能なもの、すなわち、例えばバックフレームに対するバックシェルの上下動に追従して変形するように構成されたものでなければならず、しかも、シートバックの背面側などの広範囲に設定されることになる。このため、製造コストの増加や、他の部品のレイアウトの自由度が低下することが懸念される。この点、本車両用シート10では、上述の如きカバー部材が不要であるため、製造コストの増加や、他の部品のレイアウトの自由度が低下することを防止又は抑制でき、さらに、デザインの自由度を増すことができる
【0038】
しかも、この車両用シート10では、可動バックシェル42の背面側に配置された非可動バックシェル46が、可動バックシェル42よりも大きく形成されており、シートバック16の前方側から見た場合に、非可動バックシェル46の上端側及びシート幅方向両端側が可動バックシェル42の外周よりも外側へ張り出している。このため、可動バックシェル42が上下動しても、本車両用シート10と他の車両部品との寸法関係(距離)が変化することがなく好適である。また、非可動バックシェル46の外側には、非可動バックシェル46に対する可動バックシェル42の相対移動を吸収する形状を設定しなくてもよいため、シートバック16の外形形状の自由度を向上させることができ、デザインの自由度を増すことができる。
【0039】
また、この車両用シート10では、非可動バックシェル46が、ウレタンフォーム等の発泡体によって形成されてバックフレーム30に装着されたパッド材84を含んで構成されている。これにより、非可動バックシェル46を軽量で安価に構成することができる。しかも、非可動バックシェル46がパッド材84を含んで構成されることにより、乗員に対して柔らかな触り心地を提供することができるので、乗員の快適性を向上させることができる。
【0040】
さらに、この車両用シート10では、非可動バックシェル46のシート幅方向両端側は、可動バックシェル42のサイドサポート部42Bに沿うようにシートバック前方側へ膨出している。これにより、可動バックシェル42と非可動バックシェル46とが一体的な外観を呈するので、シートバック16の見栄えを良好なものにすることができる。
【0041】
また、この車両用シート10では、非可動バックシェル46が、ヘッドレストフレーム36を覆ったヘッドレスト部46Aを一体に備えているので、部品点数を低減することができると共に、車両用シート10の低コスト化を図ることができる。
【0042】
<実施形態の補足説明>
上記実施形態では、非可動バックシェル46がヘッドレスト部46Aを一体に備えた構成にしたが、請求項1〜請求項3に係る発明はこれに限らず、シートバックとヘッドレストとが別体に形成される場合には、非可動バックシェルからヘッドレスト部が省略された構成になる。
【0043】
また、上記実施形態では、非可動バックシェル46が、パッド材84を含んで構成された場合について説明したが、請求項1及び請求項2に係る発明はこれに限らず、非可動バックシェルの構成は適宜変更することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、シートバック16の前方側から見た場合に、非可動バックシェル46の上端側及びシート幅方向両端側が可動バックシェル42の外周よりも外側へ張り出した構成にしたが、請求項1及び請求項2に係る発明はこれに限らず、シートバックの前方側から見た場合に、非可動バックシェルの上端側が可動バックシェルによって覆われた構成にしてもよい。また、請求項1に係る発明では、シートバックの前方側から見た場合に、非可動バックシェルの全体が可動バックシェルによって覆われた構成にしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、可動バックシェル42が、バックフレーム30に対して上下方向に移動可能で且つシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に支持された構成にしたが、請求項1に係る発明はこれに限らず、可動バックシェル42は、バックフレーム30に対して少なくとも上下方向に移動可能に支持されたものであればよい。
【0046】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
10 車両用シート
16 シートバック
30 バックフレーム
42 可動バックシェル
46 非可動バックシェル
84 パッド材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの骨格を構成するバックフレームと、
前記バックフレームに対して少なくとも上下方向に移動可能に支持されると共に、着座者の背部を支持可能とされた可動バックシェルと、
前記可動バックシェルの背面側に配置され、前記バックフレームを覆った非可動バックシェルと、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記非可動バックシェルは、前記シートバックの前方側から見た場合に、少なくともシート幅方向両端側が前記可動バックシェルの外周よりも外側へ張り出している請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記非可動バックシェルは、前記バックフレームに装着されたパッド材を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−82236(P2013−82236A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221394(P2011−221394)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】