説明

車両用スイッチ

【課題】本発明は、主として自動車に装着され、ドアの開閉等を検出する車両用スイッチに関し、操作体が斜め方向から押圧された場合でも、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】摺動体12上面にばね4を介して装着された操作体13下面に、下方へ突出する支持軸13Aを設けると共に、摺動体12上面に支持軸13Aが挿入される保持孔12Aを設けることによって、操作体13下面の支持軸13Aが摺動体12上面の保持孔12A内に挿入され、操作体13が斜め方向から押圧された場合でも、操作体13が大きく傾くことがないため、摺動体12を所定の位置まで確実に上下動させることができると共に、操作体13を覆うドーム部9Aの破損も防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車に装着され、ドアの開閉等を検出する車両用スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のドア部に車両用スイッチを装着し、これによってドアの開閉を検出して、車室内の照明の点灯や消灯等を制御することが広く行われている。
【0003】
このような従来の車両用スイッチについて図5〜図8を用いて説明する。
【0004】
図5は従来の車両用スイッチの断面図、図6は同分解斜視図であり、同図において、1は上面開口で略箱形の絶縁樹脂製のケース、2は同じく絶縁樹脂製の摺動体、3は略半球状で絶縁樹脂製の操作体で、摺動体2がケース1内に上下動可能に収納されると共に、操作体3がコイル状のばね4を介して摺動体2上面に装着されている。
【0005】
そして、ケース1の右内側面には導電金属製の固定接点5が植設され、この固定接点5下端がケース1右底面から外方に突出している。
【0006】
また、6は導電金属板製の取付板で、中間部には下方へ折曲されケース1の左内側面に延出する接点部6Aが設けられると共に、左方には貫通孔6Bが形成されている。
【0007】
さらに、7は略コの字状で導電金属薄板製の可動接点で、中間部が摺動体2に装着されると共に、左右両端がやや撓んだ状態で、取付板6の接点部6Aと固定接点5に各々弾接して、スイッチ接点が形成されている。
【0008】
また、8はコイル状のばねで、ケース1の内底面と摺動体2下面の間にやや撓んだ状態で装着され、このばね8によって摺動体2や操作体3が上方へ付勢されている。
【0009】
さらに、9はゴム等の弾性カバーで、この弾性カバー9下面に取付板6がインサート成形されると共に、右方のドーム部9Aがケース1上面開口部から上方へ突出した操作体3を覆い、左方には挿通孔9Bが設けられて、車両用スイッチが構成されている。
【0010】
そして、このように構成された車両用スイッチが、ケース1右底面から突出した固定接点5下端がリード線(図示せず)等によって、自動車の電子回路(図示せず)を介して室内灯等に接続されると共に、貫通孔6Bがネジ(図示せず)等によって車体のシャーシ(図示せず)に締め付けられ、取付板6がシャーシにアース接続されて、車両のドア部に装着される。
【0011】
以上の構成において、自動車のドアが開いた状態では、摺動体2がばね8によって上方へ付勢され、摺動体2に装着された可動接点7の左右両端が、取付板6の接点部6Aと固定接点5に各々弾接し、接点部6Aと固定接点5が可動接点7を介して電気的に接続された状態となっているため、これを車両の電子回路が検出して、例えば室内灯が点灯した状態となっている。
【0012】
また、ドアを閉じると、図7の断面図に示すように、ドアに取付けられた押圧体10が、弾性カバー9のドーム部9A上部を介して操作体3を押圧し、ドーム部9Aが弾性変形すると共に、摺動体2がばね8を撓めながらケース1内を下方へ移動する。
【0013】
そして、摺動体2に装着された可動接点7の左端が取付板6の接点部6Aから離れてケース1の左内側面に弾接し、接点部6Aと固定接点5間が電気的に切断された状態となり、これを電子回路が検出して、例えば室内灯が消灯した状態となる。
【0014】
なお、この時、ドア部に車両用スイッチを装着する際に多少の位置ずれが生じ、押圧体10が操作体3を斜めに押圧した場合には、操作体3と摺動体2を連結するばね4が前後左右に弾性変形して、摺動体2の上下動が行われるようになっている。
【0015】
つまり、ドアの開閉操作によって、車両のドア部に装着された車両用スイッチの操作体3を押圧操作し、摺動体2を上下動させて、可動接点7と接点部6Aや固定接点5から形成されたスイッチ接点の電気的接離を行うと共に、これを車両の電子回路が検出して、室内灯の消点灯等の各種制御を行うように構成されているものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−87928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の車両用スイッチにおいては、車両への装着時のドアに対する車両用スイッチの位置ずれが大きく、図8の断面図に示すように、押圧体10によって操作体3が斜め方向から押圧され、ばね4が大きく弾性変形して操作体3が傾いてしまった場合には、摺動体2の上下動が不確実なものになると共に、このようなドアの開閉操作を長期間繰返すと、弾性カバー9のドーム部9Aに亀裂等の破損が生じてしまう場合があるという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作体が斜め方向から押圧された場合でも、確実な操作が可能な車両用スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、摺動体上面にばねを介して装着された操作体下面に、下方へ突出する支持軸を設けると共に、摺動体上面に支持軸が挿入される保持孔を設けて車両用スイッチを構成したものであり、操作体下面の支持軸が摺動体上面の保持孔に挿入され、操作体が斜め方向から押圧された場合でも、操作体が大きく傾くことがないため、摺動体を所定の位置まで確実に上下動させることができると共に、操作体を覆うドーム部の破損も防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、操作体が斜め方向から押圧された場合でも、確実な操作が可能な車両用スイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による車両用スイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同押圧操作時の断面図
【図4】同断面図
【図5】従来の車両用スイッチの断面図
【図6】同分解斜視図
【図7】同押圧操作時の断面図
【図8】同断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0024】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による車両用スイッチの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は上面開口で略箱形のポリオキシメチレン等の絶縁樹脂製のケース、12は同じくポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の摺動体で、摺動体12がケース1内に上下動可能に収納されている。
【0026】
また、13は略半球状でポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の操作体、4は鋼線や銅合金線等のコイル状のばねで、操作体13がコイル状のばね4を介して摺動体12上面に装着されると共に、操作体13下面には下方へ突出する略円柱状の支持軸13Aが形成され、この支持軸13Aが摺動体12上面の、底面に比べ上方がやや広がるように傾斜した略円形の保持孔12A内に挿入されている。
【0027】
そして、ケース1の右内側面には銅合金等の導電金属製の固定接点5が植設され、この固定接点5下端がケース1右底面から外方に突出している。
【0028】
さらに、6は鋼や銅合金等の導電金属板製の取付板で、中間部には下方へ折曲されケース1の左内側面に延出する接点部6Aが設けられると共に、左方には貫通孔6Bが形成されている。
【0029】
そして、7は略コの字状で銅合金等の導電金属薄板製の可動接点で、中間部が摺動体12に装着されると共に、左右両端がやや撓んだ状態で、取付板6の接点部6Aと固定接点5に各々弾接して、スイッチ接点が形成されている。
【0030】
また、8は鋼線や銅合金線等のコイル状のばねで、ケース1の内底面と摺動体12下面の間にやや撓んだ状態で装着され、このばね8によって摺動体12や操作体13が上方へ付勢されている。
【0031】
さらに、9はゴムやエラストマー等の弾性カバーで、この弾性カバー9下面に取付板6がインサート成形されると共に、右方のドーム部9Aがケース1上面開口部から上方へ突出した操作体13を覆い、左方には挿通孔9Bが設けられて、車両用スイッチが構成されている。
【0032】
そして、このように構成された車両用スイッチが、ケース1右底面から突出した固定接点5下端がリード線(図示せず)等によって、自動車の電子回路(図示せず)を介して室内灯等に接続されると共に、貫通孔6Bがネジ(図示せず)等によって車体のシャーシ(図示せず)に締め付けられ、取付板6がシャーシにアース接続されて、車両のドア部に装着される。
【0033】
以上の構成において、自動車のドアが開いた状態では、摺動体12がばね8によって上方へ付勢され、摺動体12に装着された可動接点7の左右両端が、取付板6の接点部6Aと固定接点5に各々弾接し、接点部6Aと固定接点5が可動接点7を介して電気的に接続された状態となっているため、これを車両の電子回路が検出して、例えば室内灯が点灯した状態となっている。
【0034】
また、ドアを閉じると、図3の断面図に示すように、ドアに取付けられた押圧体10が、弾性カバー9のドーム部9A上部を介して操作体13を押圧し、ドーム部9Aが弾性変形すると共に、摺動体12がばね8を撓めながらケース1内を下方へ移動する。
【0035】
なお、この時、操作体13下面に突出した支持軸13Aの下端が、保持孔12Aの底面に当接して、摺動体12の下方への移動が行われるため、ばね4を介して摺動体12の移動を行う場合に比べ、移動距離のばらつきが殆んどなく、確実に所定の距離だけ摺動体12を移動させることが可能なようになっている。
【0036】
そして、摺動体12に装着された可動接点7の左端が取付板6の接点部6Aから離れてケース1の左内側面に弾接し、接点部6Aと固定接点5間が電気的に切断された状態となり、これを電子回路が検出して、例えば室内灯が消灯した状態となる。
【0037】
つまり、ドアの開閉操作によって、車両のドア部に装着された車両用スイッチの操作体13を押圧操作し、摺動体12を上下動させて、可動接点7と接点部6Aや固定接点5から形成されたスイッチ接点の電気的接離を行うと共に、これを車両の電子回路が検出して、室内灯の消点灯等の各種制御を行うように構成されている。
【0038】
また、この時、車両のドア部に車両用スイッチを装着する際に多少の位置ずれが生じ、図4の断面図に示すように、押圧体10が操作体13を斜めに押圧した場合にも、底面に比べ上方がやや広がるように傾斜した、保持孔12A内に挿入された支持軸13Aによって、摺動体12の上下動が確実に行われるようになっている。
【0039】
すなわち、押圧体10によって操作体13が斜め方向から押圧された場合、図4に示すように、ばね4が弾性変形して操作体13が傾くが、下方へ突出する支持軸13Aが傾斜した保持孔12A内に挿入されているため、支持軸13A外周が保持孔12A内周に当接した後は、これ以上は傾かず、支持軸13A下端が保持孔12A底面を押圧して、摺動体12の下方への移動が行われる。
【0040】
つまり、操作体13下面に下方へ突出する支持軸13Aを設けると共に、これを摺動体12上面の、上方がやや広がった保持孔12Aに挿入することによって、操作体13が斜め方向から押圧された場合でも、操作体13がある程度傾いた後は、摺動体12を所定の位置まで確実に上下動させ、可動接点7と接点部6Aや固定接点5の確実な電気的接離が行われるように構成されている。
【0041】
したがって、操作体13を覆う弾性カバー9のドーム部9Aに、無理な力が加わることもなく、ドアの開閉操作が長期間繰返された場合でも、ドーム部9Aに亀裂等の破損が生じることはないため、ケース1上面開口部と操作体13や摺動体12との隙間等からの、水滴や塵埃のケース1内への浸入を防ぎ、車両用スイッチの確実な操作が可能なようになっている。
【0042】
さらに、上述したように、支持軸13Aの下端を保持孔12Aの底面に当接させて、摺動体12の下方への移動を行うことによって、ばね4を介して摺動体12の移動を行う場合に比べ、移動距離のばらつきが殆んどなく、所定の距離だけ確実に摺動体12を移動させることができる。
【0043】
なお、以上の説明では、操作体13が押圧されていない状態では、接点部6Aと固定接点5が可動接点7を介して電気的に接続され、押圧操作した状態では電気的に切断される構成について説明したが、これとは逆に、押圧されていない状態では電気的に切断され、押圧操作した状態では電気的に接続される構成としても、本発明の実施は可能である。
【0044】
このように本実施の形態によれば、摺動体12上面にばね4を介して装着された操作体13下面に、下方へ突出する支持軸13Aを設けると共に、摺動体12上面に支持軸13Aが挿入される保持孔12Aを設けることによって、操作体13下面の支持軸13Aが摺動体12上面の保持孔12A内に挿入され、操作体13が斜め方向から押圧された場合でも、操作体13が大きく傾くことがないため、摺動体12を所定の位置まで確実に上下動させることができると共に、操作体13を覆うドーム部9Aの破損も防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による車両用スイッチは、操作体が斜め方向から押圧された場合でも、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に自動車のドアの開閉操作等の検出用として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケース
4 ばね
5 固定接点
6 取付板
6A 接点部
6B 貫通孔
7 可動接点
8 ばね
9 弾性カバー
9A ドーム部
9B 挿通孔
10 押圧体
12 摺動体
12A 保持孔
13 操作体
13A 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱形のケースと、このケース内に上下動可能に収納された摺動体と、この摺動体上面にばねを介して装着された操作体と、この操作体を覆うドーム部が形成された弾性カバーと、上記摺動体の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記操作体下面に下方へ突出する支持軸を設けると共に、上記摺動体上面に上記支持軸が挿入される保持孔を設けた車両用スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89336(P2013−89336A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226440(P2011−226440)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】