説明

車両用センターピラー

【課題】車両上側からの荷重が入力されるときのセンターピラーの耐力を向上させることができる車両用センターピラーを提供する。
【解決手段】車両の上下方向に延在し、車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部21a,22a,21b,22bを有するピラー本体21,22と、前側のフランジ部21a,22aと後側のフランジ部21b,22bとを接続する補強部材23とを備え、補強部材23は、前後方向において前側のフランジ部21a,22aと後側のフランジ部21b,22bとを直線状に接続する所定接続部23eを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用センターピラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、補強部材を備える車両用のピラーの技術が知られている。例えば、特許文献1には、中空閉断面状に形成されるクォーターピラーおよびクォーターピラー内に設けられたピラーリンフォースを備える自動車の後部車体構造の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−331959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、センターピラーにおいて荷重が入力されるときの耐力を向上させることについて、なお検討の余地がある。例えば、車両上側からの荷重(斜め上からの荷重など)が入力されるときのセンターピラーの耐力を向上させることについて、従来十分な検討がなされていない。
【0005】
本発明の目的は、車両上側からの荷重が入力されるときのセンターピラーの耐力を向上させることができる車両用センターピラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有するピラー本体と、前記前側のフランジ部と前記後側のフランジ部とを接続する補強部材とを備え、前記補強部材は、前記前後方向において前記前側のフランジ部と前記後側のフランジ部とを直線状に接続する所定接続部を有することを特徴とする。
【0007】
上記車両用センターピラーにおいて、前記所定接続部は、前記上下方向において、前記ピラー本体に隣接する窓枠の下端よりも上側に配置されていることが好ましい。
【0008】
上記車両用センターピラーにおいて、前記補強部材は、前記上下方向における前記所定接続部と異なる位置において前記車両の車幅方向に突出する突出部を有することが好ましい。
【0009】
上記車両用センターピラーにおいて、前記補強部材は、シートベルトアンカが固定されるものであり、かつ前記上下方向における前記所定接続部と異なる位置において前記車両の車幅方向に突出する突出部を有し、前記シートベルトアンカは、前記突出部において前記補強部材に連結されることが好ましい。
【0010】
上記車両用センターピラーにおいて、前記補強部材は、前記上下方向に沿った複数の結合点において前記前側のフランジ部および前記後側のフランジ部のそれぞれと互いに結合されるものであり、前記結合点が、前記所定接続部に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在し、車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有するピラー本体と、前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材とを備え、補強部材は、前後方向において前側のフランジ部と後側のフランジ部とを直線状に接続する所定接続部を有する。これにより、車両上側からの荷重が入力されるときのセンターピラーの弾性変形が抑制される。よって、本発明にかかる車両用センターピラーによれば、車両上側からの荷重が入力されるときのセンターピラーの耐力を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態にかかる車両用センターピラーの断面を示す図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる車両の概略構成を示す図である。
【図3】図3は、センターピラーを車両の内側から見た図である。
【図4】図4は、センターピラーの透視図である。
【図5】図5は、実施形態にかかる車両用センターピラーの断面を示す他の図である。
【図6】図6は、ベルトアンカリインフォースを示す平面図および断面図である。
【図7】図7は、センターピラーの側面図である。
【図8】図8は、ベルトアンカリインフォースの形状の一例を示す図である。
【図9】図9は、荷重の入力によるセンターピラーの変形の一例を示す図である。
【図10】図10は、実施形態のセンターピラーにおける荷重の入力による変形を示す図である。
【図11】図11は、実施形態の変形例にかかるベルトアンカリインフォースを示す平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる車両用センターピラーの一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
(実施形態)
図1から図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用センターピラーに関する。図1は、本発明の実施形態にかかる車両用センターピラーの断面を示す図、図2は、実施形態にかかる車両の概略構成を示す図、図5は、実施形態にかかる車両用センターピラーの断面を示す他の図である。
【0015】
本実施形態の車両用センターピラーは、上部あるいは斜め上からの入力に対する強度を確保するベルトアンカリインフォースを備える。ベルトアンカリインフォースは、センターピラーのピラーベルトラインより上部の断面内に配置されている。ベルトアンカリインフォースは、変形抵抗に対し質量効率良く形成され、かつ配置されている。具体的には、ベルトアンカリインフォースは、センターピラーのピラー本体における前後のフランジ部を直線状に接続する所定接続部を有する。この所定接続部により、センターピラーの断面形状の崩れ(変形)が抑制されることで、車両上側からの荷重が入力されるときのセンターピラーの耐力を向上させることができる。
【0016】
図2において、符号1は、車両を示す。車両1は、フロントピラー10、センターピラー20およびリアピラー30を備える。ルーフパネル40は、フロントピラー10、センターピラー20およびリアピラー30によって支持されている。センターピラー20は、車両1の上下方向に延在している。
【0017】
図3は、センターピラー20を車両1の内側から見た図である。すなわち、図3には、センターピラー20における車室内側が示されている。また、図4は、センターピラー20の透視図である。以下の説明において、車幅方向における車内側を単に「内側」と記載し、車外側を単に「外側」と記載する。また、車両1の上下方向における上側を単に「上側」と記載し、車両1の上下方向における下側を単に「下側」と記載する。また、車両1の前後方向における前側を単に「前側」と記載し、車両1の前後方向における後側を単に「後側」と記載する。センターピラー20における内側には、ベルトアンカ(シートベルトアンカ)50が配置されている。ベルトアンカ50は、シートベルトのスリップジョイントを支持するものである。
【0018】
図4において、符号23は、ベルトアンカリインフォース23を示す。ベルトアンカリインフォース23には、ベルトアンカ50が結合され、固定される。図5は、図4におけるA−A断面を示す図、図1は、図4におけるB−B断面を示す図、図6は、ベルトアンカリインフォース23を示す平面図および断面図である。また、図7は、センターピラー20の側面図である。図5および図6には、ベルトアンカリインフォース23における同じ断面(A−A断面)が示されている。図1および図5に示すように、センターピラー20は、センターピラーアウタ21、センターピラーインナ22、ベルトアンカリインフォース23およびアウタリインフォース24を有する。
【0019】
センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、センターピラー20のピラー本体である。センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、車両1の上下方向に延在している。センターピラーアウタ21における前側および後側には、それぞれフランジ部が設けられている。前側に設けられたフランジ部であるアウタ前側フランジ部21aと、後側に設けられたフランジ部であるアウタ後側フランジ部21bとの間には、外側に向けて突出する突出部21cが形成されている。センターピラーアウタ21は、センターピラー20の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0020】
センターピラーインナ22における前側および後側には、それぞれフランジ部が設けられている。前側に設けられたフランジ部であるインナ前側フランジ部22aと、後側に設けられたフランジ部であるインナ後側フランジ部22bとの間には、内側に向けて突出する突出部22cが形成されている。センターピラーインナ22は、センターピラー20の延在する方向と直交する断面形状が、内側に向けて突出するハット形状となっている。
【0021】
ベルトアンカリインフォース23は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材である。図1および図5に示すように、ベルトアンカリインフォース23における前側および後側には、それぞれフランジ部が設けられている。前側に設けられたフランジ部であるアンカ前側フランジ部23aは、アウタ前側フランジ部21aおよびインナ前側フランジ部22aのそれぞれと車幅方向において互いに対向している。また、後側に設けられたフランジ部であるアンカ後側フランジ部23bは、アウタ後側フランジ部21bおよびインナ後側フランジ部22bのそれぞれと車幅方向において互いに対向している。
【0022】
図5に示すように、ベルトアンカリインフォース23には、車幅方向に突出する突出部23cが形成されている。突出部23cは、アンカ前側フランジ部23aおよびアンカ後側フランジ部23bよりも内側に突出している。突出部23cにおける前側の端部および後側の端部には、稜線部23dが形成されている。稜線部23dは、上下方向に延在する稜線状(尾根状)に形成されている。稜線部23dは、断面形状が略U字状であり、内側に向けて凸となっている。ベルトアンカリインフォース23に突出部23cおよび稜線部23dが形成されていることで、センターピラー20の耐力が強化される。なお、ベルトアンカリインフォース23は、アンカ前側フランジ部23aおよびアンカ後側フランジ部23bよりも外側に向けて突出する突出部を有していてもよい。
【0023】
アウタリインフォース24は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。アウタリインフォース24における前側および後側には、それぞれフランジ部が設けられている。前側に設けられたフランジ部であるリインフォース前側フランジ部24aと、後側に設けられたフランジ部であるリインフォース後側フランジ部24bとの間には、外側に向けて突出する突出部24cが形成されている。つまり、アウタリインフォース24は、センターピラー20の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0024】
各フランジ部は、車幅方向と直交しており、かつ互いに平行となっている。すなわち、アウタ前側フランジ部21a、インナ前側フランジ部22a、アンカ前側フランジ部23aおよびリインフォース前側フランジ部24aは、それぞれ車幅方向と直交しており、かつ車幅方向において互いに対向している。また、アウタ後側フランジ部21b、インナ後側フランジ部22b、アンカ後側フランジ部23bおよびリインフォース後側フランジ部24bは、それぞれ車幅方向と直交しており、かつ車幅方向において互いに対向している。
【0025】
図5に示すように、センターピラーアウタ21の突出部21cとアウタリインフォース24の突出部24cとは、略平行となっている。また、センターピラーインナ22の突出部22cとベルトアンカリインフォース23の突出部23cとは略平行となっている。つまり、突出部22cおよび突出部23cにおいて、車幅方向の突出状態は対応しており、突出部22cが内側に向けて凸となるように湾曲している部分では、これに対応して突出部23cも内側に向けて湾曲しており、突出部22cが外側に向けて凸となるように湾曲している部分では、これに対応して突出部23cも外側に向けて湾曲している。
【0026】
また、センターピラーアウタ21の突出部21cおよびセンターピラーインナ22の突出部22cは、車幅方向において互いに対向している。つまり、突出部21cおよび突出部22cは、それぞれ側突荷重の方向に対して直交している。
【0027】
本実施形態のセンターピラー20は、センターピラー20の上部あるいは斜め上からの入力に対する強度が向上されている。図2や図7に示すように、センターピラー20の上部からの荷重(F1)の入力や斜め上からの荷重(F2)の入力があった場合、図7に示すように、センターピラー20における内側には、圧縮荷重が作用する。本実施形態では、ベルトアンカリインフォース23に突出部23cおよび稜線部23dが形成されていることで、入力される荷重に対するセンターピラー20の強度を向上させることができる。また、ベルトアンカリインフォース23が複数の部材に分かれておらず、一体の部材であるため、入力される荷重に対するセンターピラー20の強度を向上させることができる。
【0028】
このように、センターピラー20の上部あるいは斜め上からの入力に対し、圧縮入力側(内側)に稜線部23dが配置されることは、耐力強化に有効な手段であるものの、変形初期にセンターピラー20のベルトライン付近(図7の符号20a参照)に弾性変形が発生して車両内倒れ方向の実耐力が低下するという問題がある。ここで、ベルトラインとは、車両1の図示しない窓枠の下端位置である。車両1には、センターピラー20に隣接してドアが配置されるが、このドアに形成された窓枠の下端位置がベルトラインである。
【0029】
図7に示すように、センターピラー20の上下方向に沿った形状が、外側に向けて凸となるように湾曲する形状であると、センターピラー20の上部あるいは斜め上からの荷重の入力によって、内側に圧縮荷重が入力される。この荷重による変形の初期に、センターピラー20におけるベルトライン付近に弾性変形が発生する。ベルトアンカリインフォース23の下端部の断面形状が、図8に示すように突出部23cや稜線部23dを有するものであると、この弾性変形が抑制されにくい。図8は、図4のB−B断面におけるベルトアンカリインフォース23の形状の一例を示す図である。図8に示すように、センターピラー20の耐力強化のために、ベルトアンカリインフォース23の下端まで突出部23cや稜線部23dを形成することが考えられるが、このようにした場合、以下に図9を参照して説明するように、センターピラー20の車両内倒れ方向の実耐力が低下しやすくなる。
【0030】
図9は、荷重の入力によるセンターピラー20の変形の一例を示す図である。センターピラー20の上部あるいは斜め上からの荷重の入力によってセンターピラー20のベルトライン付近が弾性変形すると、センターピラー20において、断面サイズが車両横手方向(車幅方向)に縮小し、前後方向に延びるように変形が生じる。つまり、センターピラー20において、前後方向に引っ張られた場合のように変形が生じる。ベルトアンカリインフォース23において、突出部23cや稜線部23dが形成された形状でこの変形を抑制しようとすると、板厚アップ等が必要になり、質量が増加してしまう。
【0031】
本実施形態のセンターピラー20では、図1に示すように、ベルトアンカリインフォース23が、断面形状が略直線状である所定接続部23eを有する。所定接続部23eは、車両1の上下方向において、突出部23cや稜線部23dとは異なる位置に形成されている。所定接続部23eは、前後方向において、アウタ前側フランジ部21aおよびインナ前側フランジ部22aと、アウタ後側フランジ部21bおよびインナ後側フランジ部22bとを直線状に接続している。「直線状に接続する」とは、アンカ前側フランジ部23aとアンカ後側フランジ部23bとを結ぶ仮想の直線に沿って所定接続部23eが延在していることである。所定接続部23eは、この仮想線に対して車幅方向(内側や外側)に湾曲していないことが好ましい。例えば、所定接続部23eにおける車幅方向の中心線が、上記仮想線と一致することが好ましい。
【0032】
所定接続部23eは、センターピラー20のピラー本体であるセンターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22の延在する方向である上下方向と直交する断面形状が略直線状となっている。ここで、断面形状が略直線状であるとは、例えば、車幅方向の厚みが一定であることを示す。なお、所定接続部23eの断面形状は、直線状でなくてもよい。例えば、前後方向に沿って所定接続部23eの車幅方向の厚みが変化してもよい。
【0033】
所定接続部23eは、前後方向に直線状に延在しているため、突出部23cや稜線部23dが形成された部分と比較して、前後方向の引っ張りに対する変形抵抗が大きい。よって、ベルトアンカリインフォース23に所定接続部23eが設けられていることで、センターピラー20が前後方向に延びることが抑制される。図10は、本実施形態のセンターピラー20における荷重の入力による変形を示す図である。所定接続部23eが前後方向の引っ張りに対して大きな変形抵抗を有することで、センターピラー20の上部あるいは斜め上からの荷重の入力があった場合に、センターピラー20において、断面サイズが車両横手方向に縮小する変形や、前後方向に延びる変形が抑制される。このように変形初期の弾性変形が抑制されることで、センターピラー20の車両内倒れ方向の実耐力が増加する。よって、本実施形態のセンターピラー20によれば、コストアップや質量アップすることなくセンターピラー20の車両内倒れ方向の実耐力が増加する。
【0034】
また、本実施形態では、所定接続部23eは、ベルトアンカリインフォース23における下端部、言い換えると、ベルトアンカリインフォース23におけるベルトラインに最も近い位置に所定接続部23eが形成されている。図4において、符号WLは、ベルトラインを示す。ベルトアンカリインフォース23は、センターピラー20におけるベルトラインWLよりも上側に配置されており、下端部(B−B断面部分)に所定接続部23eが形成されている。これにより、センターピラー20のベルトラインWL近傍における変形初期の弾性変形が効果的に低減される。
【0035】
本実施形態のベルトアンカリインフォース23は、上下方向に沿った複数の結合点においてセンターピラー20のピラー本体であるセンターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22と互いに結合されている。図6において、符号WPは、結合点を示す。結合点WPは、各アンカ前側フランジ部23aおよび各アンカ後側フランジ部23bに配置されている。各結合点WPにおいて、ベルトアンカリインフォース23のアンカ前側フランジ部23aは、アウタ前側フランジ部21a、インナ前側フランジ部22aおよびリインフォース前側フランジ部24aとスポット溶接等によって互いに結合される。また、各結合点WPにおいて、アンカ後側フランジ部23bは、アウタ後側フランジ部21b、インナ後側フランジ部22bおよびリインフォース後側フランジ部24bとスポット溶接等によって互いに結合される。なお、結合点WPにおける結合方法は、スポット溶接には限らず、他の公知の結合方法によってベルトアンカリインフォース23のフランジ部とピラー本体のフランジ部とが結合されてもよい。
【0036】
ベルトアンカリインフォース23における突出部23cには、取り付け穴23f,23gが形成されている。ベルトアンカリインフォース23には、少なくとも取り付け穴23f,23gが形成される箇所において、センターピラーインナ22に向けて突出する突出部23cが形成されており、この突出部23cがセンターピラーインナ22の突出部22cと面合わせされている。
【0037】
取り付け穴23f,23gは、車幅方向にベルトアンカリインフォース23を貫通する貫通孔である。ベルトアンカ50は、この二つの取り付け穴23f,23gでボルト締結によってベルトアンカリインフォース23に固定される。取り付け穴23fはベルトアンカリインフォース23の上部に、取り付け穴23gはベルトアンカリインフォース23の下部に形成されている。取り付け穴23fには、ベルトアンカ50の上部が、取り付け穴23gにはベルトアンカ50の下部がそれぞれ連結される。ベルトアンカ50およびセンターピラーインナ22には、それぞれ取り付け穴23f,23gに対応する貫通孔が形成されている。ベルトアンカ50とベルトアンカリインフォース23がセンターピラーインナ22を挟んだ状態で、この貫通孔および取り付け穴23fあるいは取り付け穴23gに挿入されたボルトにナットが締結されて共締めされることで、ベルトアンカ50がセンターピラー20に固定される。
【0038】
本実施形態では、ベルトアンカリインフォース23の下部にオープニングフランジである所定接続部23eが形成されている。所定接続部23eは、アンカ前側フランジ部23aおよびアンカ後側フランジ部23bを含むものである。所定接続部23eのアンカ前側フランジ部23aおよびアンカ後側フランジ部23bにそれぞれ結合点WP(WP1、WP2)が設定されている。結合点WPは、スポット溶接のスポット打点である。このように、所定接続部23eによってスポット打点WP1,WP2が直線で連結されることで、センターピラー20は前後方向の引張り荷重に対して大きな変形抵抗を有することができる。これにより、所定接続部23eのアンカ前側フランジ部23aおよびアンカ後側フランジ部23bに結合点WPが設定されていない場合よりもセンターピラー20のベルトラインWL近傍における変形初期の弾性変形が効果的に低減される。
【0039】
なお、本実施形態では、ベルトアンカリインフォース23において所定接続部23eが1カ所に形成されているが、これには限定されず、ベルトアンカリインフォース23が複数の所定接続部23eを有してもよい。
【0040】
本実施形態では、全結合点WPのうち一部の結合点WP(WP1,WP2)のみが所定接続部23eに設定されているが、これには限定されず、全ての結合点WPが所定接続部23eに設定されてもよい。言い換えると、結合点WPの少なくとも一部が所定接続部23eに設定されていればよい。例えば、ベルトアンカリインフォース23は、その上端と下端にフラットな所定接続部23eを有し、上下方向の中間部に突出部23cや稜線部23dを有する形状であってもよい。この場合に、結合点WPが所定接続部23eにのみ設定されてもよい。
【0041】
センターピラー20のベルトラインWL付近の弾性変形を抑制する観点からは、所定接続部23eがベルトラインWLの近傍にあることが好ましい。また、上部あるいは斜め上からの入力によってセンターピラー20において弾性変形が生じやすい箇所に所定接続部23eが配置されてもよい。例えば、上下方向に沿って略一定で推移していたセンターピラー20の断面積(中空部の断面積)が増加あるいは減少に転じる箇所に所定接続部23eが配置されることができる。また、センターピラー20において、車幅方向の傾斜が変化する箇所に所定接続部23eが配置されてもよい。
【0042】
本実施形態では、ベルトアンカリインフォース23に所定接続部23eが形成されていたが、これには限定されない。センターピラー20のピラー本体の前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材が、前側のフランジ部と後側のフランジ部とを直線状に接続する所定接続部を有していればよい。所定接続部は、例えば、アウタリインフォース24に形成されてもよい。
【0043】
(実施形態の変形例)
ベルトアンカリインフォース23の形状は、上記実施形態(図6)のものには限定されない。ベルトアンカリインフォース23は、例えば、図11に示すような形状とされてもよい。図11は、変形例にかかるベルトアンカリインフォースを示す平面図および断面図である。図11に示すベルトアンカリインフォース23は、図6に示すものと同様に、下部に所定接続部23eを有しており、図6に示すベルトアンカリインフォース23と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかる車両用センターピラーは、耐力の向上に有用であり、特に、車両内倒れ方向の実耐力の向上に適している。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
20 センターピラー
21 センターピラーアウタ
21a アウタ前側フランジ部
21b アウタ後側フランジ部
22 センターピラーインナ
22a インナ前側フランジ部
22b インナ後側フランジ部
23 ベルトアンカリインフォース
23a アンカ前側フランジ部
23b アンカ後側フランジ部
23c 突出部
23d 稜線部
23e 所定接続部
50 ベルトアンカ
WL ベルトライン
WP 結合点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有するピラー本体と、
前記前側のフランジ部と前記後側のフランジ部とを接続する補強部材とを備え、
前記補強部材は、前記前後方向において前記前側のフランジ部と前記後側のフランジ部とを直線状に接続する所定接続部を有する
ことを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項2】
前記所定接続部は、前記上下方向において、前記ピラー本体に隣接する窓枠の下端よりも上側に配置されている
請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項3】
前記補強部材は、前記上下方向における前記所定接続部と異なる位置において前記車両の車幅方向に突出する突出部を有する
請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項4】
前記補強部材は、シートベルトアンカが固定されるものであり、かつ前記上下方向における前記所定接続部と異なる位置において前記車両の車幅方向に突出する突出部を有し、
前記シートベルトアンカは、前記突出部において前記補強部材に連結される
請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項5】
前記補強部材は、前記上下方向に沿った複数の結合点において前記前側のフランジ部および前記後側のフランジ部のそれぞれと互いに結合されるものであり、
前記結合点が、前記所定接続部に設定されている
請求項1に記載の車両用センターピラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−219014(P2011−219014A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91975(P2010−91975)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】