説明

車両用ダクト構造

【課題】車両前面衝突時における車両用ダクトが受ける荷重の最大値を小さくしつつ、衝突エネルギーを効果的に吸収する。
【解決手段】前面衝突時に、ロアダクト100Lが車両後方側に移動すると、導風シュラウド300の端部の凹部310が整流板110の後端部110Rを受け、整流板110の後端部110Rが凹部310の内周面に沿って、後端部110Rが車両前方側を向くように整流板110が湾曲する。凹部310は車両前方側の上端形状部が下側に突出するように形成されている。よって、ロアダクト100が車両後方側に移動するに従って整流板110が巻き回る。そして、このように整流板110が湾曲し巻き回ることで、衝突エネルギーが吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントバンパの上下に形成されたアッパグリル及びロアグリルから取り入れられた冷却風を、フロントバンパの車両後方側に配置されたラジエータ等の熱交換器に導入する導風ダクトが知られている。
【0003】
このような導風ダクトは、導風効率を向上させるために、フロントバンパと熱交換器とに密着して配置されており、このため車両前面衝突時にフロントバンパに車両前方から衝撃が加わると、その衝撃を受けてフロントバンパが後退し、フロントバンパに押された車両用導風ダクトがフロントバンパと熱交換器との間で潰されて破損する。
【0004】
例えば、特許文献1には、バンパーと熱交換器との間に介在され、バンパーの開口から導入された外気を熱交換器に導くと共に、車外からバンパーに入力される衝撃による変位を吸収する変位吸収部を有する車載用導風ダクトにおいて、変位吸収部は、衝撃の入力方向に延在するよう車両用ダクトに予め形成されたスリットと、該スリットの部分を端部としスリットの延在方向と略直交する方向に沿って山型に折り曲げられた折り曲げ部と、からなる車載用導風ダクトが提案されている(特許文献1を参照)。
【0005】
ここで、車外からバンパーに入力される衝撃を吸収する場合、車載用導風ダクトが折れるまではエネルギー吸収効果は発揮されない。よって、車載用導風ダクトが受ける荷重は、車載用導風ダクトが折れるまでは急激に増大し、その後、車載用導風ダクトが折れる際にエネルギーが吸収されることで荷重が急激に減小する。つまり、車載用導風ダクトが折れる瞬間を境に、受ける荷重が急激に変化する。よって、車載用導風ダクトが受ける荷重がピークを持ち、荷重の最大値はこのピーク値となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−080371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記を考慮し、車両前面衝突時における車両用ダクトが受ける荷重の最大値を小さくしつつ、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる車両用ダクト構造を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、車両前面に開口し、冷却風を導入する開口部と、前記開口部の車両後方側に設けられた熱交換器と、の間に設けられ、前記開口部から導入された前記冷却風を前記熱交換器に導く車両用ダクトと、前記車両用ダクトの外壁の一部を構成し、前記車両用ダクトに導入された前記冷却風を整流する整流板と、前記整流板とこれと隣接する外壁との境界部に形成された脆弱部と、前記熱交換器から前記車両用ダクトに向かって延出する延出部材と、前記延出部材における延出方向の端部に形成され、前記車両用ダクトが車両後方側に移動すると、前記整流板の後端部を受け、前記後端部が車両前方側を向くように前記整流板を湾曲させる凹部と、を備える。
【0009】
請求項1の発明では、車両前面衝突時に、車両用ダクトが車両後方側に移動すると、整流板の後端部も車両後方側に移動する。この移動する整流板の後端部が熱交換器から延出する延出部材の端部の凹部で受け止められる。そして、凹部によって整流板の後端部が車両前方側を向くように整流板が湾曲することで、衝突エネルギーが吸収される。よって、車両用ダクトが受ける荷重が低減する。
【0010】
ここで、衝突エネルギーは、車両用ダクトを構成する整流板が湾曲する際に吸収される、すなわち、整流板が湾曲し続ける間、衝突エネルギーが吸収される。よって、例えば、車両用ダクトが折れたり破損したりして衝突エネルギーを吸収する構成と比較し、車両用ダクトが受ける荷重のピーク値が小さくなり、すなわち受ける荷重の最大値が小さくなる。
【0011】
請求項2の発明は、前記凹部は、前記整流板の前記後端部が車両前方側に向いたのち、前記ダクトが車両後方側に移動するに従って、前記整流板が巻き回るように形成されている。
【0012】
請求項2の発明では、車両用ダクトが車両後方側に移動するに従って整流板が巻き回るので、整流板が巻き回らない構成と比較し、狭いスペースであっても車両用ダクトの車両後方側の移動量が確保される。
【0013】
請求項3の発明は、前記延出部は板状とされ、前記車両用ダクトから排出された前記冷却風が板状の前記延出部に前記熱交換器に導かれる。
【0014】
請求項3の発明では、延出部が熱交換器に冷却風を導く導風効果を有するので、車両用ダクトと板状の延出部とで熱交換器に冷却風が導かれ、その結果、熱交換器の冷却効率が向上する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、車両用ダクトが折れたり破損したりして衝突エネルギーを吸収する構成と比較し、車両用ダクトが受ける荷重の最大値を小さくしつつ、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、整流板が巻き回らない構成と比較し、狭いスペースであっても、車両用ダクトの車両後方側の移動量を確保することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、延出部が熱交換器に冷却風を導く導風効果を有しない構成と比較し、熱交換器の冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造が適用された車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造が適用された車両の前部構造を示す図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造を構成するロアダクトと導風シュラウドを有するラジエータとが分離された状態の斜視図であり、(B)はロアダクトと導風シュラウドを有するラジエータとが組み合われた状態の斜視図である。
【図4】(A)は本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造を構成するロアダクトのサイドダクトを示す拡大斜視図であり、(B)は車両前面衝突時にサイドダクトが曲がった状態を示す拡大斜視図である。
【図5】(A)は本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造を構成するロアダクトと導風シュラウドを有するラジエータとが組み合われた状態の斜視図であり、(B)は車両前面衝突時に整流板が湾曲し巻き回った状態を示す斜視図である。
【図6】(A)は車両前面衝突する前の整流板の状態を模式的に示す側面図であり、(B)は車両前面衝突時に整流板が湾曲し巻き回った状態を模式的に示す側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る図1とは別の第一の他の構成における(A)は車両前面衝突する前の整流板の状態を模式的に示す側面図であり、(B)は車両前面衝突時に整流板が湾曲し巻き回った状態を模式的に示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る図1とは別の他の第二の他の構成における(A)は車両前面衝突する前の整流板の状態を模式的に示す側面図であり、(B)は車両前面衝突時に整流板が湾曲し巻き回った状態を模式的に示す側面図である
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図8を用いて、本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造について説明する。なお、各図において、車両前後方向の車両前方側を矢印FR、車両上下方向の車両上方側を矢印UP、車両幅方向の車両外側を矢印OUTで示している。
【0020】
<車両前部構造>
本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造が適用された車両前部構造について説明する。
【0021】
図1と図2とに示すように、車両10の前面には、車両幅方向に沿ってフロントバンパ12が設けられている。図2に示すように、フロントバンパ12の内部には、車両幅方向を長手方向として配置されたバンパリインフォース50が設けられている。車両10の前部には、エンジン(図示略)が配置されると共に、エンジンフード16(図1も参照)で覆われたエンジンルーム14が設けられている。また、図1に示すように、車両10には、車両幅方向の両端部におけるフロントバンパ12の車両上方側に、ヘッドライト18が設けられている。
【0022】
図2に示すように、エンジンルーム14内には、熱交換器の一例としてのラジエータ60が設けられている。ラジエータ60は正面視において矩形状とされている。また、ラジエータ60はアルミニウム製などの細管を多数並べた構造とされ、車両前方側の正面60Aには、細管に設けられたフィン66が露出している。ラジエータ60の細管には、エンジン(図示略)との間を循環する冷却水が流れている。
【0023】
なお、本実施形態では、熱交換器としてラジエータ60を一例として説明するが、熱交換器としては、ラジエータ60に加えて、車両用空調装置を形成するコンデンサ(放熱器)など、車両10に設けられる各種の熱交換器を含むことができる。
【0024】
図1と図2とに示すように、車両10の前面におけるフロントバンパ12の下部には、ロアグリル70が形成されている。また、車両10の前面におけるフロントバンパ12の上方側(フロントバンパ12とエンジンフード16の間)で、且つ、ヘッドライト18(図1参照)の間に、アッパグリル80が形成されている。ロアグリル70及びアッパグリル80には、車両幅方向を長手方向として配置された複数のフィン32が、車両上下方向に間隔をあけて配設されている。
【0025】
車両10では、ロアグリル70及びアッパグリル80のそれぞれから、外気を冷却風として取り入れエンジンルーム14内に導入する。そして、取り入れられた冷却風(外気)がラジエータ60を通過する際に、ラジエータ60の中を流れる冷却水との間で熱交換が行われることにより、冷却水の冷却が行われ、これによりエンジン(図示略)が冷却される。
【0026】
図2に示すように、ラジエータ60の車両後方側は、ファンシュラウド62によって囲われている。このファンシュラウド62は、車両後方側に延出し、車両後方側端部には開口部62Aが形成されている。また、この開口部62A内に冷却ファン64が設けられている。そして、この冷却ファン64がファンモータやエンジン(図示略)等の駆動力によって回転駆動されることで、車両10が停止中であっても車両前方側の外気がロアグリル70及びアッパグリル80から冷却風として導入される。
【0027】
図2と図3とに示すように、ラジエータ60の周囲を構成する枠部68における車両前方側の車両幅方向両外側には、車両用ダクト構造を構成する左右一対の板状の導風シュラウド300が設けられている。板状の導風シュラウド300は、車両幅方向を板厚方向して配置され、車両前方側に向かって延出されている。
【0028】
また、導風シュラウド300の車両前方側端部には、側面視で車両後方側に凹状となった略円形状の凹部310、320、330がこの順番で下から順番に三つ上下に並んで形成されている(図2参照)。なお、下側の凹部310は、車両前方側の上端形状部が下側に突出するように形成されている。また、真中と上側の凹部320、330(図2参照)は、車両前方側の下端形状部が上側に突出するように形成されている。
【0029】
ここまで説明したように、車両10の前部には、ロアグリル70及びアッパグリル80と、バンパリインフォース50を有するフロントバンパ12と、が設けられ、エンジンルーム14におけるロアグリル70及びアッパグリル80とバンパリインフォース50の車両後方側にラジエータ60が配置された構成とされている。
【0030】
ロアグリル70とラジエータ60との間には、ロアグリル70から導入された冷却風をラジエータ60に導く流路を形成するロアダクト100Lが設けられている。また、アッパグリル80とラジエータ60との間には、アッパグリル80から導入された冷却風をラジエータ60に導く流路を形成するアッパダクト100Uが設けられている。
【0031】
<ロアダクト及びアッパダクト>
つぎに、本発明の実施形態に係る車両用ダクト構造を構成するロアダクト100及びアッパダクト100Uについて説明する。なお、バンパリインフォース50の車両上下方向の下側に配置されたロアダクト100Lと、バンパリインフォース50の車両上下方向の上側に配置されたアッパダクト100Uと、は後述する底面を構成する部位以外は、基本的な構造は同様である。
【0032】
よって、以降の説明ではロアダクト100Lを例にとって説明すると共に、符号の後のL及びUは、これらを区別する必要がある場合を除いて省略して説明する。
【0033】
図2に示すように、ロアダクト100Lは、冷却風を車両前後方向に導風する流路102が形成されている。流路102は断面略矩形状の筒状とされている。
【0034】
図3に示すように、ロアダクト100Lの流路102の天井面を構成する整流板110及び底面を構成するロアアブソーバ120は、ロアダクト100の流路102の車両方幅方向外側の両側面を構成するサイドダクト130よりも車両幅方向外側に延在するように構成されている。
【0035】
そして、ロアダクト100Lを構成する整流板110及びロアアブソーバ120と、サイドダクト130と、の境界部分には、車両後方側から車両前方側に向かってスリット140が形成されている。言い換えると、ロアダクト100の流路102の角部にはスリット140が形成されている。
【0036】
サイドダクト130における車両前後方向の中央部の外面には、車両上下方向に沿って線状の細溝132が形成されている(図4も参照)。なお、サイドダクト130は、細溝132の部位が車両幅方向外側に若干凸状となるように構成されている(図4も参照)。
【0037】
図2に示すように、一方、アッパダクト100Uは、前述したようにロアダクト100Lと略同様の構成であるが、底面がロアアブソーバ120でなく、整流板110Uで構成されている。
【0038】
そして、図2及び図3(B)に示すように、ロアダクト100Lとアッパダクト100Uの3枚の整流板110の車両後方側端部110Rが、ラジエータ60の車両幅方向両外側に設けられた導風シュラウド300の凹部310、320、330の中に若干入り込むように、組み付けられている。
【0039】
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。なお、以降の説明では、主にロアダクト100Lを図示し説明するが、アッパダクト100Uも同様である。
【0040】
図5と図7とに示すように、車両10(図1を参照)の前面衝突時に、ロアダクト100Lが車両後方側に移動すると、導風シュラウド300の端部の凹部310が整流板110の後端部110Rを受け止め、整流板110の後端部110Rが凹部310の内周面に沿って、後端部110Rが車両前方側を向くように整流板110が湾曲する(図7(A)の矢印J1を参照)。
【0041】
凹部310は車両前方側の上端形状部が下側に突出するように形成されている。よって、ロアダクト100が車両後方側に移動するに従って整流板110が巻き回る(図7(A)の矢印J2を参照)。そして、このように整流板110が湾曲し巻き回ることで、衝突エネルギーが吸収される。
【0042】
なお、図示は省略するが、アッパダクト100Uが車両後方側に移動すると、導風シュラウド300の端部の凹部320、330が整流板110の後端部110Rを受け止め、整流板110の後端部110Rが凹部320、330に沿って、後端部110Rが車両前方側を向くように整流板110が湾曲した後、巻き回る。
【0043】
本実施形態では、ロアダクト100Lの整流板110は、凹部310が車両前方側の上端形状部が下側に突出するように形成されているので、図2における反時計周りに渦を巻くように巻き回される。一方、アッパダクト100Uの整流板110は、凹部320、330が車両前方側の下端形状部が上側に突出するように形成されているので、図2における時計周りに渦を巻くように巻き回される。
【0044】
なお、本実施形態では、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uにはスリット140が形成されているので、整流板110がサイドダクト130に拘束されることなく、湾曲し巻き回る。
【0045】
ここで、例えば、車両用ダクトが折れたり破損したりして衝突エネルギーを吸収する構成の場合は、車載用ダクトが受ける荷重は、車載用ダクトが折れるまでは急激に増大し、その後、車載用ダクトが折れるときにエネルギーが吸収されることで荷重が急激に減小する。つまり、車載用ダクトが折れる瞬間を境に、受ける荷重が急激に変化する。よって、車載用ダクトが受ける荷重がピークを持つので、受ける荷重の最大値(ピーク値)が大きくなる。
【0046】
これに対して、本実施形態のロアダクト100L及びアッパダクト100Uは、整流板110が湾曲し巻き回る間中、衝突エネルギーが吸収される。したがって、折れたり破損したりして衝突エネルギーを吸収する構造と比較し、車両前面衝突時におけるロアダクト100L及びアッパダクト100Uが受ける荷重のピーク値が小さくなり、すなわち、受ける荷重の最大値が小さくなる。つまり、ピーク値、すなわち最大値は小さくても、衝突エネルギーを吸収する時間は長くなる。
【0047】
また、本実施形態では、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uが車両後方側に移動するに従って整流板110が巻き回るので、狭いスペースであっても、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uの車両後方側の移動量を、大きく確保することができる。
【0048】
なお、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uが車両後方側に大きく移動しても、図4(B)に示すように、サイドダクト130は枠部68に当たり、細溝132部分が車両幅方向外側に突出するように曲がることで、衝突エネルギーが吸収される。
【0049】
更に、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uと板状の導風シュラウド300とで、ラジエータ60に冷却風が導かれるので、ラジエータ60の冷却効率が向上する。
【0050】
また、導風シュラウド300によってロアダクト100L及びアッパダクト100Uがラジエータ60のフィン66に直接接触しないので、フィン66の破損が防止される。
【0051】
また、整流板110が湾曲するので、整流板110が割れて、その破片がラジエータ60に当たり損傷する可能性が低下する。
【0052】
<その他>
本発明は上記実施形態に限定されない。
【0053】
例えば、上記実施形態では、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uが車両後方側に移動するに従って整流板110が巻き回るように構成されていたが、これに限定されない。
【0054】
例えば、図7に示すように、車両前方側の上端形状部が略水平の凹部312とし、整流板110が略U字状に湾曲する構成であってもよい。
【0055】
或いは、図8に示すように、車両前方側の上端形状部が斜め前方上側に傾斜する凹部314とし、整流板110の端部110Rが斜め上方に向くように湾曲する構成であってもよい。
【0056】
要は、整流板110が折れることなく、R形状を有して湾曲する構成であればよい。
【0057】
また、本実施形態では、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uの上面及び下面を構成する整流板110が、サイドダクト130に拘束されることなく自由に湾曲するために角部にスリット140を形成したが、これに限定されない。例えば、整流板110とサイドダクト130との境界の部位(角部)を肉薄とし、容易に破断するように構成されていてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、ロアダクト100L及びアッパダクト100Uの上面及び下面を構成する整流板110が湾曲する構成であったがこれに限定されない。ロアダクト100L及びアッパダクト100Uの側面を構成するサイドダクト130も湾曲する構成であってもよい。
【0059】
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
10 車両
60 ラジエータ(熱交換器)
70 ロアグリル(開口部)
80 アッパグリル(開口部)
100L ロアダクト(車両用ダクト)
100U アッパダクト(車両用ダクト)
110 整流板
130 サイドダクト(外壁)
140 スリット(脆弱部)
300 導風シュラウド(延出部材)
310 凹部
312 凹部
314 凹部
320 凹部
330 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前面に開口し、冷却風を導入する開口部と、前記開口部の車両後方側に設けられた熱交換器と、の間に設けられ、前記開口部から導入された前記冷却風を前記熱交換器に導く車両用ダクトと、
前記車両用ダクトの外壁の一部を構成し、前記車両用ダクトに導入された前記冷却風を整流する整流板と、
前記整流板とこれと隣接する外壁との境界部に形成された脆弱部と、
前記熱交換器から前記車両用ダクトに向かって延出する延出部材と、
前記延出部材における延出方向の端部に形成され、前記車両用ダクトが車両後方側に移動すると、前記整流板の後端部を受け、前記後端部が車両前方側を向くように前記整流板を湾曲させる凹部と、
を備える車両用ダクト構造。
【請求項2】
前記凹部は、前記整流板の前記後端部が車両前方側に向いたのち、前記車両用ダクトが車両後方側に移動するに従って、前記整流板が巻き回るように形成されている請求項1に記載の車両用ダクト構造。
【請求項3】
前記延出部は板状とされ、前記車両用ダクトから排出された前記冷却風が板状の前記延出部によって前記熱交換器に導かれる請求項1又は請求項2に記載の車両用ダクト構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−86660(P2012−86660A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234678(P2010−234678)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)