車両用テーブル
【課題】テーブルの使用状態で比較的広い使用面域を確保できるとともに、テーブルの収納状態で内装材の機能部位を露出させることができる車両用テーブルを提供する。
【解決手段】本テーブル1は、車両の内装材(ドアトリム2)に回転可能に支持されるテーブルであって、開口5aを有するテーブル本体5と、前記開口を塞ぐ蓋体6と、前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段(リンク機構7)と、を備え、前記テーブルの使用状態Rでは、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態Pでは、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放される。
【解決手段】本テーブル1は、車両の内装材(ドアトリム2)に回転可能に支持されるテーブルであって、開口5aを有するテーブル本体5と、前記開口を塞ぐ蓋体6と、前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段(リンク機構7)と、を備え、前記テーブルの使用状態Rでは、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態Pでは、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用テーブルに関し、更に詳しくは、テーブルの使用状態で比較的広い使用面域を確保できるとともに、テーブルの収納状態で内装材の機能部位を露出させることができる車両用テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用テーブルとして、ドアトリムに対して回転可能に支持され、ドアトリムに縦向きに収納される収納状態と水平向きの使用状態とに切り替えられるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−83461号公報
【特許文献2】特開昭61−146656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記ドアトリムには、通常、アームレストや操作スイッチ等の機能部位が設けられている。そのため、上記従来の車両用テーブルでは、収納状態で機能部位が覆われないようにテーブルの形状や大きさを考慮する必要があり設計自由度が低い。この問題を解決するために、テーブルに機能部位を露出させるための開口を形成することが考えられる。しかしながら、開口を有するテーブルでは、その使用状態で開口により使用面域が狭くなってしまう。なお、上述の問題は、機能部位が設けられるドアトリム以外の内装材(例えば、インストルメントパネル、コンソール、シート等)にテーブルを支持する場合も同様に生じる。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、テーブルの使用状態で比較的広い使用面域を確保できるとともに、テーブルの収納状態で内装材の機能部位を露出させることができる車両用テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、
開口を有するテーブル本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段と、を備え、
前記テーブルの使用状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放されることを特徴とする車両用テーブル。
2.前記連結手段は、前記内装材に対する前記テーブルの回転によって前記テーブル本体に対して前記蓋体を移動させて前記テーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有する上記1.記載の車両用テーブル。
3.前記リンク機構は、前記テーブル本体に設けられる第1支持片と、該第1支持片に軸支される第1リンクと、該第1リンクに軸支される第2リンクと、該第2リンクに軸支され且つ前記内装材に対する前記テーブルの回転軸回りに軸支され且つ前記蓋体に設けられる第2支持片と、を有する上記2.記載の車両用テーブル。
4.前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する上記3.記載の車両用テーブル。
5.前記第1規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する上記4.記載の車両用テーブル。
6.前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する上記3.記載の車両用テーブル。
7.前記第2規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、前記内装材に設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する上記6.記載の車両用テーブル。
8.前記被係止部は、前記当接部材により構成されている上記7.記載の車両用テーブル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用テーブルによれば、テーブルの使用状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが略面一とされて蓋体でテーブル本体の開口が塞がれる一方、テーブルの収納状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが面一からずらされてテーブルの開口が開放される。このように、テーブルの使用状態で蓋体によりテーブル本体の開口を塞ぐようにしたので、比較的広い使用面域を確保することができる。また、テーブルの収納状態でテーブル本体の開口を開放するようにしたので、その開口から内装材の機能部位を露出させることができる。
また、前記連結手段が、リンク機構を有する場合は、このリンク機構によって、内装材に対するテーブルの回転によりテーブル本体に対して蓋体が移動されてテーブル本体の開口が開閉される。そのため、蓋体を移動させるための専用の動力源を必要とせず、連結手段ひいては車両用テーブルを簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記リンク機構が、第1支持片と、第1リンクと、第2リンクと、第2支持片と、を有する場合は、リンク機構ひいては車両用テーブルを更に簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記リンク機構が、当接部材と、第1規制部と、を更に有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させるときに、第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接部材に当接して第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされる。そして、内装材に対してテーブルを回転させて使用状態とするときに、第1規制部によって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。これにより、テーブルの使用状態において、横向きの蓋体に上方から荷重がかけられても蓋体が下方に移動してしまうことが防止される。
また、前記第1規制部が、係止部と、被係止部と、を有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させて使用状態とするときに、一方のリンクの係止部が他方のリンクの被係止部に係止することによって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。
また、前記リンク機構が、当接部材と、第2規制部と、を更に有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させるときに、第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接部材に当接して第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされる。そして、内装材に対してテーブルを回転させて収納状態とするときに、第2規制部によって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。これにより、テーブルの収納状態において、縦向きの蓋体が自重等により横方に移動してしまうことが防止される。
また、前記第2規制部が、係止部と、被係止部と、を有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させて収納状態とするときに、一方のリンクの係止部が内装材の被係止部に係止することによって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。
さらに、前記被係止部が、前記当接部材により構成されている場合は、第1及び第2リンクをターンオーバーさせるための当接部材を利用して、テーブルの収納状態で第1及び第2リンクの相対回転を規制できる。そのため、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る車両用テーブルの収納状態を示す斜視図である。
【図2】上記車両用テーブルの水平向き状態を示す斜視図である。
【図3】上記車両用テーブルの使用状態を示す斜視図である。
【図4】上記車両用テーブルの使用状態での裏面側からみた平面図である。
【図5】上記車両用テーブルの収納状態での蓋体を車両内側からみた斜視図である。
【図6】上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)での蓋体を車両内側からみた斜視図である。
【図7】上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)での蓋体を車両内側からみた要部斜視図である。
【図8】上記車両用テーブルの収納状態と水平向き状態(又は使用状態)での蓋体の開閉作用を説明するための縦断面図である。
【図9】本実施例に係るリンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンクの係止部が当接部材に係止した状態を示す。
【図10】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンクの突出部が当接部材に当接した状態を示す。
【図11】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされた状態を示す。
【図12】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)で第1リンクの係止部が第2リンクの被係止部に係止した状態を示す。
【図13】その他の形態の車両用テーブルを説明するための説明図であり、(A)はテーブルの収納状態を示し、(B)テーブルの使用状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.車両用テーブル
本実施形態1.に係る車両テーブルは、車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、開口を有するテーブル本体と、この開口を塞ぐ蓋体と、テーブル本体と蓋体とを連結する連結手段と、を備え、テーブルの使用状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが略面一とされてテーブル本体の開口が塞がれ、テーブルの収納状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが面一からずらされてテーブルの開口が開放されることを特徴とする。この車両用テーブルでは、通常、内装材に対するテーブルの回転によってテーブルの収納状態と使用状態とが切り替えられる。
【0011】
なお、上記「車両」としては、例えば、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などを挙げることができる。また、上記「内装材」としては、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル、コンソール、シート等を挙げることができる。
【0012】
上記「テーブル本体」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。このテーブル本体と内装材との間には、例えば、内装材に対してテーブル本体を水平軸回りに回転可能に支持する支持構造が設けられていることができる。この支持構造としては、例えば、テーブル本体及び内装材のうちの一方に設けられ且つ水平方向に延びる支持軸と、他方に設けられ且つ支持軸を軸支する軸受部と、を有する形態(例えば、図4参照)を挙げることができる。また、上記開口の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この開口は、通常、内装材の機能部位に対応する位置に配設されている。
【0013】
上記「蓋体」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。この蓋体は、通常、上記テーブル本体の開口を塞ぎ得る形状に形成されている。
【0014】
上記「連結手段」の構造、連結形態等は特に問わない。この連結手段は、例えば、上記内装材に対するテーブルの回転によってテーブル本体に対して蓋体を移動させてテーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有することができる。この蓋体の移動は、例えば、内装材に対するテーブルの回転軸を軸心とする回転であることができる。この場合、例えば、テーブルを収納状態と使用状態とに切り替える際に、テーブル本体に対する蓋体の回転量は、内装材に対するテーブルの回転量より大きな値に設定されていることができる。
【0015】
上記リンク機構としては、例えば、テーブル本体に設けられる第1支持片と、この第1支持片に軸支される第1リンクと、この第1リンクに軸支される第2リンクと、この第2リンクに軸支され且つ内装材に対するテーブルの回転軸回りに軸支され且つ蓋体に設けられる第2支持片と、を有する形態(例えば、図7参照)を挙げることができる。
【0016】
上述の形態のリンク機構としては、例えば、(1)内装材に設けられ且つ内装材に対してテーブルを回転させるときに第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して第1リンク及び第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、内装材に対してテーブルを回転させてテーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する形態(例えば、図11参照)、(2)内装材に設けられ且つ内装材に対してテーブルを回転させるときに第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して第1リンク及び第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、内装材に対してテーブルを回転させてテーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する形態(例えば、図9参照)等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0017】
上記(1)形態において、上記第1規制部は、例えば、第1リンク及び第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ係止部が係止する被係止部と、を有することができる。また、上記(2)形態において、上記第2規制部は、例えば、第1リンク及び第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、内装材に設けられ且つ係止部が係止する被係止部と、を有することができる。この被係止部は、上記当接部材により構成されていることが好ましい。
【0018】
なお、上記「ターンオーバー」とは、第1リンク及び第1支持片の軸支点(P1)と第2リンク及び第2支持片の軸支点(P2)とを結ぶ直線で仕切られる一方側の平面空間に第1リンク及び第2リンクの軸支点(P3)が位置する状態(例えば、図9参照)より、その軸支点(P3)が他方側の平面空間に位置する状態(例えば、図11参照)とされたり、その軸支点(P3)が直線上に位置する状態とされたりすることを意図する。
【0019】
ここで、本実施形態1.の車両用テーブルとしては、例えば、上記テーブル本体とドアトリムとの間に、テーブル本体をドアトリムに対して車両の前後方向を軸心として回転可能且つ車両の前後方向に移動可能に支持する第1支持部が設けられ、上記テーブル本体とドアトリム以外の内装材との間に、テーブル本体を内装材に対して車両の前後方向に移動可能に支持する第2支持部が設けられており、テーブルの収納状態では、テーブル本体が第1支持部によりドアトリムに支持され且つ第2支持部による内装材に対する支持が解除され、テーブルの使用状態では、テーブル本体が第1支持部によるドアトリムに対する支持が解除され且つ第2支持部により内装材に支持されている形態を挙げることができる(例えば、図4参照)。これにより、テーブルの使用状態では、第1支持部によるテーブル本体とドアトリムとの支持が解除されるので、ドアを開けてドアを移動させてもテーブルは移動しない。そのため、従来のようにドアの開放動作に伴ってテーブルが着座者に当接したり、ドアの開閉が困難になったりするという事態の発生を防止することができる。
【0020】
さらに、上記実施形態1.の車両用テーブルとしては、例えば、テーブル本体の裏側には、テーブルの使用状態でテーブル本体に対して立設してテーブル本体を支持する状態となり且つテーブルの収納状態でテーブル本体に対して折畳まれてテーブルとともにドアトリムに収納される状態となる脚部が設けられている形態(例えば、図1及び図3参照)を挙げることができる。これにより、テーブルの使用状態では、脚部により床面に対して支持されるため、テーブルの安定性を高めることができる。この場合、例えば、内装材に対してテーブル本体を移動させる際の力を動力伝達機構を介して脚部に伝達して脚部を立設及び折畳みさせたり、手動により脚部を立設及び折畳みさせたりすることができる。
【実施例】
【0021】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、本発明に係る「車両用テーブル」として、自動車の助手席に設置される車両用テーブルを例示する。
【0022】
(1)車両用テーブルの構成
本実施例に係る車両用テーブル1(以下、単に「テーブル」とも記載する。)は、図1〜図3に示すように、車室内側でドアトリム2(本発明に係る「内装材」として例示する。)に回転可能に支持されている。そして、この車両用テーブル1は、ドアトリム2に対して車両の前後方向を軸心として回転されることによって、ドアトリム2に形成された凹部2a(図2参照)に縦向きに収納される収納状態P(図1参照)と水平向き状態Q(図3参照)とに切り替えられる。さらに、車両用テーブル1は、ドアトリム2に対して車両の前後方向に沿ってスライドされることによって、上記水平向き状態Q(図2参照)とインストルメントパネル13(ドアトリム以外の内装材)に支持された使用状態R(図3参照)とに切り替えられる。なお、上記ドアトリム2には、アームレスト及び操作スイッチからなる機能部位3(図1参照)が設けられている。
【0023】
また、上記車両用テーブル1は、開口5aを有するテーブル本体5と、この開口5aを塞ぐ蓋体6と、これらテーブル本体5と蓋体6とを連結するリンク機構7(本発明に係る「連結手段」として例示する。図7参照)と、を備えている。
【0024】
上記テーブル本体5とドアトリム2との間には、図4に示すように、車両の前後方向に所定間隔で一対の第1支持部11が設けられている。これら各第1支持部11は、テーブル本体5の裏面側に設けられ且つ車両の前後方向に延びる支持軸11aと、ドアトリム2に設けられ且つ支持軸11aを軸支し且つスライド可能に支持する軸受片11bと、を有している。この支持軸11aと軸受部11bとは車両の前後方向に着脱可能とされている。そして、この支持軸11aの軸受片11bに対する軸支によって、テーブル本体5は、ドアトリム2に対して車両の前後方向を軸心として回転可能に支持される。また、この支持軸11aの軸受片11bに対するスライド移動によって、テーブル本体5は、ドアトリム2に対して車両の前後方向にスライド可能に支持される。
【0025】
また、上記テーブル本体5とインストルメントパネル13との間には、図4に示すように、車両の左右方向に所定間隔で一対の第2支持部12が設けられている。これら各第2支持部12は、テーブル本体5の前端側に突出して設けられる一対の係合片12aと、インストルメントパネル13に形成され且つ各係合片12aが係合する一対の係合溝12bと、を有している。この係合片12aと係合溝12bとは車両の前後方向に係脱可能とされている。そして、この係合片11aの係合溝11bに対する係合によって、テーブル本体5は、インストルメントパネル13に対して車両の前後方向にスライド可能に支持される。
【0026】
ここで、テーブル1の収納状態P(図1参照)では、テーブル本体5が第1支持部11によりドアトリム2に支持され且つ第2支持部12によるインストルメントパネル13に対する支持が解除されている。一方、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル本体5が第1支持部11によるドアトリム2に対する支持が解除され且つ第2支持部12によりインストルメントパネル13に支持されている。
【0027】
また、上記テーブル本体5の裏面側には、テーブル1の使用状態R(又は水平向き状態Q)でテーブル本体5に対して立設してテーブル本体5を支持する状態となり且つテーブル1の収納状態Pでテーブル本体5に対して折畳まれてテーブル1とともにドアトリム2に収容される状態となる略L字状の脚部15が設けられている。なお、このテーブル本体5は、縦横の長尺材を組み付けてなる枠体8と、この枠体8に取り付けられテーブル面を構成するカバー体9と、を有している(図4参照)。
【0028】
上記リンク機構7は、図5〜図7に示すように、蓋体の長尺方向の両端側の2箇所に配置されている。各リンク機構7は、板材を曲折してなる第1支持片17と、平板L字状の第1リンク18と、平板長尺状の第2リンク19と、板材を曲折してなる第2支持片20と、棒状の当接部材21と、第1及び第2規制部22,23(図9参照)と、を有している。
【0029】
上記第1支持片17の基端側には、図9〜図12に示すように、テーブル本体5が固定されている。この第1支持片17の先端側には、第1リンク18の一端側18aが軸支されている。この第1リンク18の曲折端側18cには、第2リンク19の一端側19aが軸支されている。この第2リンク19の他端側19bには、第2支持片20の先端側が軸支されている。この第2支持片20の基端側には、蓋体6の横縁側が固定されている。また、この第2支持片20の基端側は、ドアトリム2に対するテーブル1の回転軸である上述の支持軸11aに軸支されている。
【0030】
そして、上記リンク機構7によって、ドアトリム2に対するテーブル1の回転によりテーブル本体5に対して蓋体6を支持軸11aを軸心として回転させてテーブル本体5の開口5aが開閉されるようになっている。具体的には、図8中に仮想線で示すように、テーブル1の水平向き状態Q(又は使用状態R)では、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが略面一とされてテーブル本体5の開口5aが塞がれる。一方、図8中に実線で示すように、テーブル1の収納状態Pでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが面一からずらされてテーブル本体5の開口5aが開放される。なお、テーブル1を収納状態Pと水平向き状態Qとに切り替える際、テーブル本体5に対する蓋体6の回転量は、ドアトリム2に対するテーブル1の回転量より大きな値に設定されている。
【0031】
上記当接部材21は、図6に示すように、上述の軸受片11bの下端側に固定されている。この当接部材21には、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに第1リンク18の一端側18aに設けられた突出部25が当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。
【0032】
上記第1規制部22は、図11に示すように、第2リンク19に設けられる係止部22aと、第1リンク18に設けられ且つ係止部22aが係止する被係止部22bと、を有している。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて水平向き状態Qとするときに係止部22aが被係止部22bに係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。
【0033】
上記第2規制部23は、図9に示すように、第1リンク18の他端側18bに設けられる係止部23aと、この係止部23aが係止する上記当接部材21と、を有している。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて収納状態Pとしたときに係止部23aが当接部材21に係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。
【0034】
(2)車両用テーブルの作用
次に、上記構成の車両用テーブル1の作用について説明する。先ず、テーブル1を収納状態Pから使用状態Rとするときの作用について説明する。なお、この収納状態Pでは、テーブル1は、第1支持部11の支持によりドアトリム2の凹部2aに縦向きに収納されている(図1参照)。また、蓋体6は、テーブル本体5の表面から車室外側に位置されており、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が面一からずれてテーブル本体5の開口5aが開放されている(図8中に実線で示す)。さらに、脚部15は、折り畳まれてテーブル本体5とともに凹部2aに収納されている。
【0035】
収納状態Pより、テーブル1を凹部2aから引き出して支持軸11aを中心に上方に向けて水平向き状態Qまで回転させる(図2参照)。このテーブル1の回転によって、リンク機構7を介して蓋体6も上方に向けて水平向きとなるまで回転される。このとき、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が略面一とされてテーブル本体5の開口5aが閉鎖される(図8中に仮想線で示す。)。
【0036】
上記テーブル1の回転の途中では、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して(図10参照)、第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる(図11参照)。このとき、第2リンク19の係止部22aが第1リンク18の被係止部22bに係止して第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向への相対回転が規制される。その後、テーブル1の回転の終了時には、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が略面一とされる(図8中に仮想線で示す。)。
【0037】
その後、水平向き状態Qのテーブル1を前方にスライドさせる。すると、テーブル本体5の支持軸11aがドアトリム2の軸受片11bから離脱するとともに、テーブル本体5の係合片12aがインストルメントパネル13の係合溝12bに係合して、テーブル1は使用状態Rとされる(図3及び図4参照)。この使用状態Rでは、脚部15は、テーブル本体5の裏面から立設されてテーブル1を支持している。
【0038】
次に、テーブル1を使用状態Rから収納状態Pとするときの作用について説明する。使用状態Rのテーブル1を後方にスライドさせる。すると、テーブル本体5の係合片12aがインストルメントパネル13の係合溝12bから離脱するとともに、テーブル本体5の支持軸11aがドアトリム2の軸受片11bに挿入支持され、テーブル1は水平向き状態Qとされる(図2参照)。
【0039】
次いで、水平向き状態Qのテーブル1を下方に向けてドアトリム2の凹部2aに縦向きに収納されるまで回転させる。このテーブル1の回転によって、リンク機構7を介して蓋体6も下方に向けて縦向きとなるまで回転される。このとき、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が面一からずれてテーブル本体5の開口5aが開放される(図8中に実線で示す。)
【0040】
上記テーブル1の回転の途中では、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接し、第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。その後、テーブル1の回転の終了時には、第1リンク18の係止部23aが当接部材21に係止して第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向への相対回転が規制される(図9参照)。なお、第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向と反対側の移動は、蓋体6がドアトリム2の壁面に当接することにより規制される。
【0041】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用テーブル1によれば、テーブル1の使用状態Rでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが略面一とされて蓋体6でテーブル本体5の開口5aが塞がれる一方、テーブル1の収納状態Pでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが面一からずらされてテーブル本体5の開口5aが開放される。このように、テーブル1の使用状態Rで蓋体6によりテーブル本体5の開口5aを塞ぐようにしたので、比較的広い使用面域を確保することができる。また、テーブル1の収納状態Pでテーブル本体5の開口5aを開放するようにしたので、その開口5aからドアトリム2のアームレストや操作スイッチ等の機能部位3を露出させることができる。
【0042】
また、本実施例では、リンク機構7によって、ドアトリム2に対するテーブル1の回転でテーブル本体5に対して蓋体6を移動させてテーブル本体5の開口5aを開閉させるようにしたので、蓋体6を移動させるための専用の動力源を必要とせず、リンク機構7ひいては車両用テーブル1を簡易且つ安価な構造とすることができる。特に、本実施例では、第1支持片17、第1リンク18、第2リンク19及び第2支持片20を有してリンク機構7を構成したので、リンク機構7ひいては車両用テーブル1を更に簡易且つ安価な構造とすることができる。
【0043】
また、本実施例では、当接部材21及び第1規制部22を更に有してリンク機構7を構成したので、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて使用状態Rとするときに、第2リンク19の係止部22aが第1リンク18の被係止部22bに係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。これにより、テーブル1の使用状態Rにおいて、横向きの蓋体6に上方から荷重がかけられても蓋体6が下方に移動してしまうことが防止される。
【0044】
また、本実施例では、当接部材21及び第2規制部23を更に有してリンク機構7を構成したので、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて収納状態Pとしたときに、第1リンク18の係止部23aが当接部材21に係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。これにより、テーブル1の収納状態Pにおいて、縦向きの蓋体6が自重等により移動してしまうことが防止される。また、第1及び第2リンク18,19をターンオーバーさせるための当接部材21を利用して、テーブル1の収納状態Pで第1及び第2リンク18,19の相対回転を規制でき、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【0045】
また、本実施例の車両用テーブル1によると、テーブル1の収納状態Pでは、テーブル本体5が第1支持部11によりドアトリム2に支持され且つ第2支持部12によるインストルメントパネル13に対する支持が解除される一方、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル本体5が第1支持部11によるドアトリム2に対する支持が解除され且つ第2支持部12によりインストルメントパネル13に支持される。このように、テーブル1の使用状態Rでは、第1支持部11によるテーブル本体5とドアトリム2との支持を解除するようにしたので、ドアを開けてドアを移動させてもテーブル1は移動しない。そのため、従来のようにドアの開放動作に伴ってテーブルが着座者に当接したり、ドアの開閉が困難になったりするという事態の発生を防止することができる。
【0046】
さらに、本実施例では、テーブル本体5の裏側に、テーブル1の使用状態Rでテーブル本体5に対して立設してテーブル本体5を支持する状態となり且つテーブル1の収容状態Pでテーブル本体5に対して折畳まれてテーブル1とともにドアトリム2に収容される状態となる脚部15を設けたので、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル1は第2支持部12とともに脚部15により床面に対して支持されるため、テーブル1の安定性を高めることができる。
【0047】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、テーブル本体5と蓋体6とを連結する連結手段としてリンク機構7を例示したが、これに限定されず、例えば、リンク機構、歯車機構、カム機構、チェーン機構等のうちの1種又は2種以上の組み合わせにより連結手段を構成してもよい。
【0048】
また、上記実施例では、ドアトリム2に対するテーブル1の回転力を利用してテーブル本体5に対して蓋体6を移動させるようにしたが、これに限定されず、例えば、モータ、シリンダ等の駆動源の作用でテーブル本体5に対して蓋体6を移動させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、テーブル1の収納状態Pでテーブル本体5に対して蓋体6を傾斜させて開口5aを開放するようにしたが、これに限定されず、例えば、テーブル本体5に対して蓋体6を略平行となるように車室外側に位置させて開口5aを開放するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、ドアトリム2に対してテーブル1を水平軸回りに回転可能で且つ水平方向に移動可能に支持するようにしたが、これに限定されず、例えば、ドアトリム2に対してテーブル1を水平軸回りに回転可能で且つ水平方向に移動不能に支持するようにしてもよい。この場合、ドアトリム2に対するテーブル1の水平軸回りの回転によってテーブル1は収納状態Pと使用状態Rとに切り替えられる。
【0051】
さらに、上記実施例では、車両用テーブル1を乗用車の助手席に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、後部座席に設けたり、運転席に設けたりしてもよい。後部座席に設ける場合には、図13(A)(B)に示すように、センターピラー51及びセンターコンソール52に設けられた係合溝12bにテーブル1の係合片12aを係合させてテーブル1を使用状態Rとしたり、シートに設けられた係合溝にテーブルの係合片を係合させてテーブルを使用状態としたりすることができる。
【0052】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0053】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
車両に搭載して使用する車両用テーブルに関する技術として広く利用される。特に、テーブルが不使用時にはドアトリムに収容されると共に、使用時にはドアトリムから取り外すことができる車両用テーブルとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0055】
1;車両用テーブル、2;ドアトリム、5;テーブル本体、5a;開口、6;蓋体、7;リンク機構、17;第1支持片、18;第1リンク、19;第2リンク、20;第2支持片、21;当接部材、22;第1規制部、22a;係止部、22b;被係止部、23;第2規制部、23a;係止部、P;テーブルの収納状態、R;テーブルの使用状態。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用テーブルに関し、更に詳しくは、テーブルの使用状態で比較的広い使用面域を確保できるとともに、テーブルの収納状態で内装材の機能部位を露出させることができる車両用テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用テーブルとして、ドアトリムに対して回転可能に支持され、ドアトリムに縦向きに収納される収納状態と水平向きの使用状態とに切り替えられるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−83461号公報
【特許文献2】特開昭61−146656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記ドアトリムには、通常、アームレストや操作スイッチ等の機能部位が設けられている。そのため、上記従来の車両用テーブルでは、収納状態で機能部位が覆われないようにテーブルの形状や大きさを考慮する必要があり設計自由度が低い。この問題を解決するために、テーブルに機能部位を露出させるための開口を形成することが考えられる。しかしながら、開口を有するテーブルでは、その使用状態で開口により使用面域が狭くなってしまう。なお、上述の問題は、機能部位が設けられるドアトリム以外の内装材(例えば、インストルメントパネル、コンソール、シート等)にテーブルを支持する場合も同様に生じる。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、テーブルの使用状態で比較的広い使用面域を確保できるとともに、テーブルの収納状態で内装材の機能部位を露出させることができる車両用テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、
開口を有するテーブル本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段と、を備え、
前記テーブルの使用状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放されることを特徴とする車両用テーブル。
2.前記連結手段は、前記内装材に対する前記テーブルの回転によって前記テーブル本体に対して前記蓋体を移動させて前記テーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有する上記1.記載の車両用テーブル。
3.前記リンク機構は、前記テーブル本体に設けられる第1支持片と、該第1支持片に軸支される第1リンクと、該第1リンクに軸支される第2リンクと、該第2リンクに軸支され且つ前記内装材に対する前記テーブルの回転軸回りに軸支され且つ前記蓋体に設けられる第2支持片と、を有する上記2.記載の車両用テーブル。
4.前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する上記3.記載の車両用テーブル。
5.前記第1規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する上記4.記載の車両用テーブル。
6.前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する上記3.記載の車両用テーブル。
7.前記第2規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、前記内装材に設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する上記6.記載の車両用テーブル。
8.前記被係止部は、前記当接部材により構成されている上記7.記載の車両用テーブル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用テーブルによれば、テーブルの使用状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが略面一とされて蓋体でテーブル本体の開口が塞がれる一方、テーブルの収納状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが面一からずらされてテーブルの開口が開放される。このように、テーブルの使用状態で蓋体によりテーブル本体の開口を塞ぐようにしたので、比較的広い使用面域を確保することができる。また、テーブルの収納状態でテーブル本体の開口を開放するようにしたので、その開口から内装材の機能部位を露出させることができる。
また、前記連結手段が、リンク機構を有する場合は、このリンク機構によって、内装材に対するテーブルの回転によりテーブル本体に対して蓋体が移動されてテーブル本体の開口が開閉される。そのため、蓋体を移動させるための専用の動力源を必要とせず、連結手段ひいては車両用テーブルを簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記リンク機構が、第1支持片と、第1リンクと、第2リンクと、第2支持片と、を有する場合は、リンク機構ひいては車両用テーブルを更に簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記リンク機構が、当接部材と、第1規制部と、を更に有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させるときに、第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接部材に当接して第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされる。そして、内装材に対してテーブルを回転させて使用状態とするときに、第1規制部によって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。これにより、テーブルの使用状態において、横向きの蓋体に上方から荷重がかけられても蓋体が下方に移動してしまうことが防止される。
また、前記第1規制部が、係止部と、被係止部と、を有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させて使用状態とするときに、一方のリンクの係止部が他方のリンクの被係止部に係止することによって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。
また、前記リンク機構が、当接部材と、第2規制部と、を更に有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させるときに、第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接部材に当接して第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされる。そして、内装材に対してテーブルを回転させて収納状態とするときに、第2規制部によって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。これにより、テーブルの収納状態において、縦向きの蓋体が自重等により横方に移動してしまうことが防止される。
また、前記第2規制部が、係止部と、被係止部と、を有する場合は、内装材に対してテーブルを回転させて収納状態とするときに、一方のリンクの係止部が内装材の被係止部に係止することによって、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転が規制される。
さらに、前記被係止部が、前記当接部材により構成されている場合は、第1及び第2リンクをターンオーバーさせるための当接部材を利用して、テーブルの収納状態で第1及び第2リンクの相対回転を規制できる。そのため、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る車両用テーブルの収納状態を示す斜視図である。
【図2】上記車両用テーブルの水平向き状態を示す斜視図である。
【図3】上記車両用テーブルの使用状態を示す斜視図である。
【図4】上記車両用テーブルの使用状態での裏面側からみた平面図である。
【図5】上記車両用テーブルの収納状態での蓋体を車両内側からみた斜視図である。
【図6】上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)での蓋体を車両内側からみた斜視図である。
【図7】上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)での蓋体を車両内側からみた要部斜視図である。
【図8】上記車両用テーブルの収納状態と水平向き状態(又は使用状態)での蓋体の開閉作用を説明するための縦断面図である。
【図9】本実施例に係るリンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンクの係止部が当接部材に係止した状態を示す。
【図10】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンクの突出部が当接部材に当接した状態を示す。
【図11】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルを収納状態から水平向き状態に回転させたときに第1リンク及び第2リンクがターンオーバーされた状態を示す。
【図12】上記リンク機構を説明するための説明図であり、上記車両用テーブルの水平向き状態(又は使用状態)で第1リンクの係止部が第2リンクの被係止部に係止した状態を示す。
【図13】その他の形態の車両用テーブルを説明するための説明図であり、(A)はテーブルの収納状態を示し、(B)テーブルの使用状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.車両用テーブル
本実施形態1.に係る車両テーブルは、車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、開口を有するテーブル本体と、この開口を塞ぐ蓋体と、テーブル本体と蓋体とを連結する連結手段と、を備え、テーブルの使用状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが略面一とされてテーブル本体の開口が塞がれ、テーブルの収納状態では、連結手段によりテーブル本体と蓋体とが面一からずらされてテーブルの開口が開放されることを特徴とする。この車両用テーブルでは、通常、内装材に対するテーブルの回転によってテーブルの収納状態と使用状態とが切り替えられる。
【0011】
なお、上記「車両」としては、例えば、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などを挙げることができる。また、上記「内装材」としては、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル、コンソール、シート等を挙げることができる。
【0012】
上記「テーブル本体」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。このテーブル本体と内装材との間には、例えば、内装材に対してテーブル本体を水平軸回りに回転可能に支持する支持構造が設けられていることができる。この支持構造としては、例えば、テーブル本体及び内装材のうちの一方に設けられ且つ水平方向に延びる支持軸と、他方に設けられ且つ支持軸を軸支する軸受部と、を有する形態(例えば、図4参照)を挙げることができる。また、上記開口の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この開口は、通常、内装材の機能部位に対応する位置に配設されている。
【0013】
上記「蓋体」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。この蓋体は、通常、上記テーブル本体の開口を塞ぎ得る形状に形成されている。
【0014】
上記「連結手段」の構造、連結形態等は特に問わない。この連結手段は、例えば、上記内装材に対するテーブルの回転によってテーブル本体に対して蓋体を移動させてテーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有することができる。この蓋体の移動は、例えば、内装材に対するテーブルの回転軸を軸心とする回転であることができる。この場合、例えば、テーブルを収納状態と使用状態とに切り替える際に、テーブル本体に対する蓋体の回転量は、内装材に対するテーブルの回転量より大きな値に設定されていることができる。
【0015】
上記リンク機構としては、例えば、テーブル本体に設けられる第1支持片と、この第1支持片に軸支される第1リンクと、この第1リンクに軸支される第2リンクと、この第2リンクに軸支され且つ内装材に対するテーブルの回転軸回りに軸支され且つ蓋体に設けられる第2支持片と、を有する形態(例えば、図7参照)を挙げることができる。
【0016】
上述の形態のリンク機構としては、例えば、(1)内装材に設けられ且つ内装材に対してテーブルを回転させるときに第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して第1リンク及び第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、内装材に対してテーブルを回転させてテーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する形態(例えば、図11参照)、(2)内装材に設けられ且つ内装材に対してテーブルを回転させるときに第1リンク及び第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して第1リンク及び第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、内装材に対してテーブルを回転させてテーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた第1リンク及び第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する形態(例えば、図9参照)等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0017】
上記(1)形態において、上記第1規制部は、例えば、第1リンク及び第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ係止部が係止する被係止部と、を有することができる。また、上記(2)形態において、上記第2規制部は、例えば、第1リンク及び第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、内装材に設けられ且つ係止部が係止する被係止部と、を有することができる。この被係止部は、上記当接部材により構成されていることが好ましい。
【0018】
なお、上記「ターンオーバー」とは、第1リンク及び第1支持片の軸支点(P1)と第2リンク及び第2支持片の軸支点(P2)とを結ぶ直線で仕切られる一方側の平面空間に第1リンク及び第2リンクの軸支点(P3)が位置する状態(例えば、図9参照)より、その軸支点(P3)が他方側の平面空間に位置する状態(例えば、図11参照)とされたり、その軸支点(P3)が直線上に位置する状態とされたりすることを意図する。
【0019】
ここで、本実施形態1.の車両用テーブルとしては、例えば、上記テーブル本体とドアトリムとの間に、テーブル本体をドアトリムに対して車両の前後方向を軸心として回転可能且つ車両の前後方向に移動可能に支持する第1支持部が設けられ、上記テーブル本体とドアトリム以外の内装材との間に、テーブル本体を内装材に対して車両の前後方向に移動可能に支持する第2支持部が設けられており、テーブルの収納状態では、テーブル本体が第1支持部によりドアトリムに支持され且つ第2支持部による内装材に対する支持が解除され、テーブルの使用状態では、テーブル本体が第1支持部によるドアトリムに対する支持が解除され且つ第2支持部により内装材に支持されている形態を挙げることができる(例えば、図4参照)。これにより、テーブルの使用状態では、第1支持部によるテーブル本体とドアトリムとの支持が解除されるので、ドアを開けてドアを移動させてもテーブルは移動しない。そのため、従来のようにドアの開放動作に伴ってテーブルが着座者に当接したり、ドアの開閉が困難になったりするという事態の発生を防止することができる。
【0020】
さらに、上記実施形態1.の車両用テーブルとしては、例えば、テーブル本体の裏側には、テーブルの使用状態でテーブル本体に対して立設してテーブル本体を支持する状態となり且つテーブルの収納状態でテーブル本体に対して折畳まれてテーブルとともにドアトリムに収納される状態となる脚部が設けられている形態(例えば、図1及び図3参照)を挙げることができる。これにより、テーブルの使用状態では、脚部により床面に対して支持されるため、テーブルの安定性を高めることができる。この場合、例えば、内装材に対してテーブル本体を移動させる際の力を動力伝達機構を介して脚部に伝達して脚部を立設及び折畳みさせたり、手動により脚部を立設及び折畳みさせたりすることができる。
【実施例】
【0021】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、本発明に係る「車両用テーブル」として、自動車の助手席に設置される車両用テーブルを例示する。
【0022】
(1)車両用テーブルの構成
本実施例に係る車両用テーブル1(以下、単に「テーブル」とも記載する。)は、図1〜図3に示すように、車室内側でドアトリム2(本発明に係る「内装材」として例示する。)に回転可能に支持されている。そして、この車両用テーブル1は、ドアトリム2に対して車両の前後方向を軸心として回転されることによって、ドアトリム2に形成された凹部2a(図2参照)に縦向きに収納される収納状態P(図1参照)と水平向き状態Q(図3参照)とに切り替えられる。さらに、車両用テーブル1は、ドアトリム2に対して車両の前後方向に沿ってスライドされることによって、上記水平向き状態Q(図2参照)とインストルメントパネル13(ドアトリム以外の内装材)に支持された使用状態R(図3参照)とに切り替えられる。なお、上記ドアトリム2には、アームレスト及び操作スイッチからなる機能部位3(図1参照)が設けられている。
【0023】
また、上記車両用テーブル1は、開口5aを有するテーブル本体5と、この開口5aを塞ぐ蓋体6と、これらテーブル本体5と蓋体6とを連結するリンク機構7(本発明に係る「連結手段」として例示する。図7参照)と、を備えている。
【0024】
上記テーブル本体5とドアトリム2との間には、図4に示すように、車両の前後方向に所定間隔で一対の第1支持部11が設けられている。これら各第1支持部11は、テーブル本体5の裏面側に設けられ且つ車両の前後方向に延びる支持軸11aと、ドアトリム2に設けられ且つ支持軸11aを軸支し且つスライド可能に支持する軸受片11bと、を有している。この支持軸11aと軸受部11bとは車両の前後方向に着脱可能とされている。そして、この支持軸11aの軸受片11bに対する軸支によって、テーブル本体5は、ドアトリム2に対して車両の前後方向を軸心として回転可能に支持される。また、この支持軸11aの軸受片11bに対するスライド移動によって、テーブル本体5は、ドアトリム2に対して車両の前後方向にスライド可能に支持される。
【0025】
また、上記テーブル本体5とインストルメントパネル13との間には、図4に示すように、車両の左右方向に所定間隔で一対の第2支持部12が設けられている。これら各第2支持部12は、テーブル本体5の前端側に突出して設けられる一対の係合片12aと、インストルメントパネル13に形成され且つ各係合片12aが係合する一対の係合溝12bと、を有している。この係合片12aと係合溝12bとは車両の前後方向に係脱可能とされている。そして、この係合片11aの係合溝11bに対する係合によって、テーブル本体5は、インストルメントパネル13に対して車両の前後方向にスライド可能に支持される。
【0026】
ここで、テーブル1の収納状態P(図1参照)では、テーブル本体5が第1支持部11によりドアトリム2に支持され且つ第2支持部12によるインストルメントパネル13に対する支持が解除されている。一方、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル本体5が第1支持部11によるドアトリム2に対する支持が解除され且つ第2支持部12によりインストルメントパネル13に支持されている。
【0027】
また、上記テーブル本体5の裏面側には、テーブル1の使用状態R(又は水平向き状態Q)でテーブル本体5に対して立設してテーブル本体5を支持する状態となり且つテーブル1の収納状態Pでテーブル本体5に対して折畳まれてテーブル1とともにドアトリム2に収容される状態となる略L字状の脚部15が設けられている。なお、このテーブル本体5は、縦横の長尺材を組み付けてなる枠体8と、この枠体8に取り付けられテーブル面を構成するカバー体9と、を有している(図4参照)。
【0028】
上記リンク機構7は、図5〜図7に示すように、蓋体の長尺方向の両端側の2箇所に配置されている。各リンク機構7は、板材を曲折してなる第1支持片17と、平板L字状の第1リンク18と、平板長尺状の第2リンク19と、板材を曲折してなる第2支持片20と、棒状の当接部材21と、第1及び第2規制部22,23(図9参照)と、を有している。
【0029】
上記第1支持片17の基端側には、図9〜図12に示すように、テーブル本体5が固定されている。この第1支持片17の先端側には、第1リンク18の一端側18aが軸支されている。この第1リンク18の曲折端側18cには、第2リンク19の一端側19aが軸支されている。この第2リンク19の他端側19bには、第2支持片20の先端側が軸支されている。この第2支持片20の基端側には、蓋体6の横縁側が固定されている。また、この第2支持片20の基端側は、ドアトリム2に対するテーブル1の回転軸である上述の支持軸11aに軸支されている。
【0030】
そして、上記リンク機構7によって、ドアトリム2に対するテーブル1の回転によりテーブル本体5に対して蓋体6を支持軸11aを軸心として回転させてテーブル本体5の開口5aが開閉されるようになっている。具体的には、図8中に仮想線で示すように、テーブル1の水平向き状態Q(又は使用状態R)では、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが略面一とされてテーブル本体5の開口5aが塞がれる。一方、図8中に実線で示すように、テーブル1の収納状態Pでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが面一からずらされてテーブル本体5の開口5aが開放される。なお、テーブル1を収納状態Pと水平向き状態Qとに切り替える際、テーブル本体5に対する蓋体6の回転量は、ドアトリム2に対するテーブル1の回転量より大きな値に設定されている。
【0031】
上記当接部材21は、図6に示すように、上述の軸受片11bの下端側に固定されている。この当接部材21には、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに第1リンク18の一端側18aに設けられた突出部25が当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。
【0032】
上記第1規制部22は、図11に示すように、第2リンク19に設けられる係止部22aと、第1リンク18に設けられ且つ係止部22aが係止する被係止部22bと、を有している。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて水平向き状態Qとするときに係止部22aが被係止部22bに係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。
【0033】
上記第2規制部23は、図9に示すように、第1リンク18の他端側18bに設けられる係止部23aと、この係止部23aが係止する上記当接部材21と、を有している。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて収納状態Pとしたときに係止部23aが当接部材21に係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。
【0034】
(2)車両用テーブルの作用
次に、上記構成の車両用テーブル1の作用について説明する。先ず、テーブル1を収納状態Pから使用状態Rとするときの作用について説明する。なお、この収納状態Pでは、テーブル1は、第1支持部11の支持によりドアトリム2の凹部2aに縦向きに収納されている(図1参照)。また、蓋体6は、テーブル本体5の表面から車室外側に位置されており、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が面一からずれてテーブル本体5の開口5aが開放されている(図8中に実線で示す)。さらに、脚部15は、折り畳まれてテーブル本体5とともに凹部2aに収納されている。
【0035】
収納状態Pより、テーブル1を凹部2aから引き出して支持軸11aを中心に上方に向けて水平向き状態Qまで回転させる(図2参照)。このテーブル1の回転によって、リンク機構7を介して蓋体6も上方に向けて水平向きとなるまで回転される。このとき、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が略面一とされてテーブル本体5の開口5aが閉鎖される(図8中に仮想線で示す。)。
【0036】
上記テーブル1の回転の途中では、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して(図10参照)、第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる(図11参照)。このとき、第2リンク19の係止部22aが第1リンク18の被係止部22bに係止して第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向への相対回転が規制される。その後、テーブル1の回転の終了時には、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が略面一とされる(図8中に仮想線で示す。)。
【0037】
その後、水平向き状態Qのテーブル1を前方にスライドさせる。すると、テーブル本体5の支持軸11aがドアトリム2の軸受片11bから離脱するとともに、テーブル本体5の係合片12aがインストルメントパネル13の係合溝12bに係合して、テーブル1は使用状態Rとされる(図3及び図4参照)。この使用状態Rでは、脚部15は、テーブル本体5の裏面から立設されてテーブル1を支持している。
【0038】
次に、テーブル1を使用状態Rから収納状態Pとするときの作用について説明する。使用状態Rのテーブル1を後方にスライドさせる。すると、テーブル本体5の係合片12aがインストルメントパネル13の係合溝12bから離脱するとともに、テーブル本体5の支持軸11aがドアトリム2の軸受片11bに挿入支持され、テーブル1は水平向き状態Qとされる(図2参照)。
【0039】
次いで、水平向き状態Qのテーブル1を下方に向けてドアトリム2の凹部2aに縦向きに収納されるまで回転させる。このテーブル1の回転によって、リンク機構7を介して蓋体6も下方に向けて縦向きとなるまで回転される。このとき、テーブル本体5及び蓋体6の各表面が面一からずれてテーブル本体5の開口5aが開放される(図8中に実線で示す。)
【0040】
上記テーブル1の回転の途中では、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接し、第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。その後、テーブル1の回転の終了時には、第1リンク18の係止部23aが当接部材21に係止して第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向への相対回転が規制される(図9参照)。なお、第1及び第2リンク18,19のターンオーバー方向と反対側の移動は、蓋体6がドアトリム2の壁面に当接することにより規制される。
【0041】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用テーブル1によれば、テーブル1の使用状態Rでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが略面一とされて蓋体6でテーブル本体5の開口5aが塞がれる一方、テーブル1の収納状態Pでは、リンク機構7によりテーブル本体5と蓋体6とが面一からずらされてテーブル本体5の開口5aが開放される。このように、テーブル1の使用状態Rで蓋体6によりテーブル本体5の開口5aを塞ぐようにしたので、比較的広い使用面域を確保することができる。また、テーブル1の収納状態Pでテーブル本体5の開口5aを開放するようにしたので、その開口5aからドアトリム2のアームレストや操作スイッチ等の機能部位3を露出させることができる。
【0042】
また、本実施例では、リンク機構7によって、ドアトリム2に対するテーブル1の回転でテーブル本体5に対して蓋体6を移動させてテーブル本体5の開口5aを開閉させるようにしたので、蓋体6を移動させるための専用の動力源を必要とせず、リンク機構7ひいては車両用テーブル1を簡易且つ安価な構造とすることができる。特に、本実施例では、第1支持片17、第1リンク18、第2リンク19及び第2支持片20を有してリンク機構7を構成したので、リンク機構7ひいては車両用テーブル1を更に簡易且つ安価な構造とすることができる。
【0043】
また、本実施例では、当接部材21及び第1規制部22を更に有してリンク機構7を構成したので、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて使用状態Rとするときに、第2リンク19の係止部22aが第1リンク18の被係止部22bに係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。これにより、テーブル1の使用状態Rにおいて、横向きの蓋体6に上方から荷重がかけられても蓋体6が下方に移動してしまうことが防止される。
【0044】
また、本実施例では、当接部材21及び第2規制部23を更に有してリンク機構7を構成したので、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させるときに、第1リンク18の突出部25が当接部材21に当接して第1及び第2リンク18,19がターンオーバーされる。そして、ドアトリム2に対してテーブル1を回転させて収納状態Pとしたときに、第1リンク18の係止部23aが当接部材21に係止して、ターンオーバーされた第1及び第2リンク18,19の相対回転が規制される。これにより、テーブル1の収納状態Pにおいて、縦向きの蓋体6が自重等により移動してしまうことが防止される。また、第1及び第2リンク18,19をターンオーバーさせるための当接部材21を利用して、テーブル1の収納状態Pで第1及び第2リンク18,19の相対回転を規制でき、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【0045】
また、本実施例の車両用テーブル1によると、テーブル1の収納状態Pでは、テーブル本体5が第1支持部11によりドアトリム2に支持され且つ第2支持部12によるインストルメントパネル13に対する支持が解除される一方、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル本体5が第1支持部11によるドアトリム2に対する支持が解除され且つ第2支持部12によりインストルメントパネル13に支持される。このように、テーブル1の使用状態Rでは、第1支持部11によるテーブル本体5とドアトリム2との支持を解除するようにしたので、ドアを開けてドアを移動させてもテーブル1は移動しない。そのため、従来のようにドアの開放動作に伴ってテーブルが着座者に当接したり、ドアの開閉が困難になったりするという事態の発生を防止することができる。
【0046】
さらに、本実施例では、テーブル本体5の裏側に、テーブル1の使用状態Rでテーブル本体5に対して立設してテーブル本体5を支持する状態となり且つテーブル1の収容状態Pでテーブル本体5に対して折畳まれてテーブル1とともにドアトリム2に収容される状態となる脚部15を設けたので、テーブル1の使用状態Rでは、テーブル1は第2支持部12とともに脚部15により床面に対して支持されるため、テーブル1の安定性を高めることができる。
【0047】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、テーブル本体5と蓋体6とを連結する連結手段としてリンク機構7を例示したが、これに限定されず、例えば、リンク機構、歯車機構、カム機構、チェーン機構等のうちの1種又は2種以上の組み合わせにより連結手段を構成してもよい。
【0048】
また、上記実施例では、ドアトリム2に対するテーブル1の回転力を利用してテーブル本体5に対して蓋体6を移動させるようにしたが、これに限定されず、例えば、モータ、シリンダ等の駆動源の作用でテーブル本体5に対して蓋体6を移動させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、テーブル1の収納状態Pでテーブル本体5に対して蓋体6を傾斜させて開口5aを開放するようにしたが、これに限定されず、例えば、テーブル本体5に対して蓋体6を略平行となるように車室外側に位置させて開口5aを開放するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、ドアトリム2に対してテーブル1を水平軸回りに回転可能で且つ水平方向に移動可能に支持するようにしたが、これに限定されず、例えば、ドアトリム2に対してテーブル1を水平軸回りに回転可能で且つ水平方向に移動不能に支持するようにしてもよい。この場合、ドアトリム2に対するテーブル1の水平軸回りの回転によってテーブル1は収納状態Pと使用状態Rとに切り替えられる。
【0051】
さらに、上記実施例では、車両用テーブル1を乗用車の助手席に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、後部座席に設けたり、運転席に設けたりしてもよい。後部座席に設ける場合には、図13(A)(B)に示すように、センターピラー51及びセンターコンソール52に設けられた係合溝12bにテーブル1の係合片12aを係合させてテーブル1を使用状態Rとしたり、シートに設けられた係合溝にテーブルの係合片を係合させてテーブルを使用状態としたりすることができる。
【0052】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0053】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
車両に搭載して使用する車両用テーブルに関する技術として広く利用される。特に、テーブルが不使用時にはドアトリムに収容されると共に、使用時にはドアトリムから取り外すことができる車両用テーブルとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0055】
1;車両用テーブル、2;ドアトリム、5;テーブル本体、5a;開口、6;蓋体、7;リンク機構、17;第1支持片、18;第1リンク、19;第2リンク、20;第2支持片、21;当接部材、22;第1規制部、22a;係止部、22b;被係止部、23;第2規制部、23a;係止部、P;テーブルの収納状態、R;テーブルの使用状態。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、
開口を有するテーブル本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段と、を備え、
前記テーブルの使用状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放されることを特徴とする車両用テーブル。
【請求項2】
前記連結手段は、前記内装材に対する前記テーブルの回転によって前記テーブル本体に対して前記蓋体を移動させて前記テーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有する請求項1記載の車両用テーブル。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記テーブル本体に設けられる第1支持片と、該第1支持片に軸支される第1リンクと、該第1リンクに軸支される第2リンクと、該第2リンクに軸支され且つ前記内装材に対する前記テーブルの回転軸回りに軸支され且つ前記蓋体に設けられる第2支持片と、を有する請求項2記載の車両用テーブル。
【請求項4】
前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する請求項3記載の車両用テーブル。
【請求項5】
前記第1規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する請求項4記載の車両用テーブル。
【請求項6】
前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する請求項3記載の車両用テーブル。
【請求項7】
前記第2規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、前記内装材に設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する請求項6記載の車両用テーブル。
【請求項8】
前記被係止部は、前記当接部材により構成されている請求項7記載の車両用テーブル。
【請求項1】
車両の内装材に回転可能に支持されるテーブルであって、
開口を有するテーブル本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記テーブル本体と前記蓋体とを連結する連結手段と、を備え、
前記テーブルの使用状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが略面一とされて前記テーブル本体の開口が塞がれ、前記テーブルの収納状態では、前記連結手段により前記テーブル本体と前記蓋体とが面一からずらされて前記テーブルの開口が開放されることを特徴とする車両用テーブル。
【請求項2】
前記連結手段は、前記内装材に対する前記テーブルの回転によって前記テーブル本体に対して前記蓋体を移動させて前記テーブル本体の開口を開閉させるリンク機構を有する請求項1記載の車両用テーブル。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記テーブル本体に設けられる第1支持片と、該第1支持片に軸支される第1リンクと、該第1リンクに軸支される第2リンクと、該第2リンクに軸支され且つ前記内装材に対する前記テーブルの回転軸回りに軸支され且つ前記蓋体に設けられる第2支持片と、を有する請求項2記載の車両用テーブル。
【請求項4】
前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを使用状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第1規制部と、を更に有する請求項3記載の車両用テーブル。
【請求項5】
前記第1規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、他方のリンクに設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する請求項4記載の車両用テーブル。
【請求項6】
前記リンク機構は、前記内装材に設けられ且つ前記内装材に対して前記テーブルを回転させるときに前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの少なくとも一方のリンクが当接して該第1リンク及び該第2リンクをターンオーバーさせる当接部材と、前記内装材に対して前記テーブルを回転させて該テーブルを収納状態とするときに、ターンオーバーされた前記第1リンク及び前記第2リンクの相対回転を規制する第2規制部を更に有する請求項3記載の車両用テーブル。
【請求項7】
前記第2規制部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのうちの一方のリンクに設けられる係止部と、前記内装材に設けられ且つ該係止部が係止する被係止部と、を有する請求項6記載の車両用テーブル。
【請求項8】
前記被係止部は、前記当接部材により構成されている請求項7記載の車両用テーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−84176(P2011−84176A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238755(P2009−238755)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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