説明

車両用ディスプレイ装置

【課題】重要度の高い情報が生成された場合に、運転者の基準視線に合う位置に情報を移動して表示する車両用ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】画像情報を生成する画像情報生成部と、画像情報生成部で生成された画像情報を車両のフロントガラスに投影表示するヘッドアップディスプレイと、画像情報が通常の第1の情報301か重要度の高い第2の情報302かを判別して画像情報の表示位置を制御し、第1の情報301を運転者の基準視線よりも低い第1の高さ位置に表示し、第2の情報302を運転者の基準視線にほぼ一致する第2の高さ位置に表示するように制御する制御部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者の前方視野領域に運転支援のためにナビゲーション情報などを表示する車両用ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの運転を支援するナビゲーション装置があり、出発地又は現在地から目的地までの地図情報や、車両の現在位置の情報等を車両に設けた液晶パネル等のディスプレイに表示するようにしている。また近年では、ナビゲーション情報や走行速度などの車両情報を車両のフロントガラスに表示するヘッドアップデイスプレイ(以下、HUDと称す)を設け、運転者の視認性を向上した装置もある。さらに車両の周囲の状況を複数のカメラで撮影したり、車両に装備されたレーダを使用することにより、車両周辺に障害物がある場合には、運転者に障害物があることを知らせる障害物検出装置を備えた車両もある。
【0003】
HUDを備えた車両用ディスプレイ装置では、フロントガラスにナビゲーション情報や車両情報を表示するため、表示された情報と実景とが重なってしまい、運転に支障を来たす場合がある。このため、通常は運転の支障にならないように、フロントガラスの低い位置、つまり運転者が前方を見る視線の位置よりも低い位置にナビゲーション用の情報を表示するようにしている。
【0004】
情報を運転者の視線よりもずらした位置に表示した場合、運転中に妨害となることはないが、その反面、重要な情報(例えば前方にある障害物の情報等)を表示する場合、重要情報を運転者が知るには視線移動を伴うため、認知するまでに時間遅れを生じ、事故に繋がることもあり得る。
【0005】
特許文献1には、車両用の視覚情報表示装置が開示されている。この例では、カメラで撮影した画像をもとに前方を認識し、前方認識部で認識した対象物をフロントウインドウに表示するようにしている。またユーザ(運転者)の視線を視線カメラで撮影し、ユーザの視線移動があっても視線と対象物とが結び付く位置に表示位置を設定するようにしている。しかしながら、特許文献1の例では、視線カメラ等の付属物を必要とするため構成が複雑になるという問題点がある。また、特許文献1の例では、前方を見て運転している場合には、常に視線の位置に情報が表示されるため、表示情報が運転の妨害になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−223659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のHUDを備えた車両用ディスプレイ装置では、フロントガラスの運転者の視線よりも低い位置にナビゲーション情報を表示するため、緊急性の高い情報が表示された場合に運転者が緊急情報を知るには視線移動を伴い、認知するまでに時間遅れを生じる。また特許文献1の例では、視線カメラ等の付属物を必要とするため構成が複雑になるという問題点がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、運転手にとって重要度の高い情報が生成された場合に運転者の視線位置に表示位置を移動することにより、素早く重要情報を認知することができる車両用ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ディスプレイ装置は、画像情報を生成する画像情報生成部と、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を車両のフロントガラスに投影表示するヘッドアップディスプレイと、前記画像情報が通常の第1の情報か重要度の高い第2の情報かを判別して前記画像情報の表示位置を制御し、前記第1の情報を運転者の基準視線よりも低い第1の高さ位置に表示し、前記第2の情報を運転者の基準視線にほぼ一致する第2の高さ位置に表示するように制御する制御部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用ディスプレイ装置によれば、通常の画像情報は運転の支障にならない位置に表示して実景を優先的に注視することができ、重要情報を表示する場合は、運転者の視線上にシフトして表示するため、運転者に遅延なく報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ディスプレイ装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるHUD(ヘッドアップディスプレイ)を示す構成図。
【図3】同実施形態における表示情報の表示位置を示す説明図。
【図4】同実施形態おける運転者の視線と表示位置を示す説明図。
【図5】表示情報をフロントガラスに投影した状態を示す説明図。
【図6】夜間走行時に表示情報をフロントガラスに投影した状態を示す説明図。
【図7】夜間走行時に表示情報をフロントガラスに投影した別の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用ディスプレイ装置について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ディスプレイ装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、車両用ディスプレイ装置10は、システム制御部11と、車両情報取得部12、ナビゲーション情報生成部13、アンテナ14、情報受信部15及び障害物検出部16を備え、車両情報取得部12、ナビゲーション情報生成部13、情報受信部15、障害物検出部16は、システム制御部11に接続されている。またシステム制御部11には操作部17、画像情報生成部18、制御信号生成部19が接続されている。
【0015】
システム制御部11は、車両用ディスプレイ装置10の動作を制御するものであり、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータシステムである。
【0016】
車両情報取得部12は、自車両の車速や傾きを検出する車速度センサやジャイロセンサ等を有し、車両の速度情報、進行方向(前進、バック、右・左折)の情報、ブレーキ情報などを取得する。またエンジンを始動してからの走行時間や走行距離の情報、前照灯のオン・オフ情報、前照灯のビーム位置(アッパービーム、ロウビーム)の情報等を取得し、システム制御部11に入力する。
【0017】
ナビゲーション情報生成部13は、車速センサやジャイロセンサ等に車内LANを介して接続されており、自車両の現在位置を検出するGPS受信部、地図データを格納した地図データベース、目的地までの経路を探索する探索部等を含む。GPS受信部はアンテナ14に接続され、GPS衛星から送信された信号をアンテナ14で受信し、受信信号に基づいて車両の現在位置情報を取得する。そしてナビゲーション情報生成部13は、車両の進行を案内するナビゲーション情報(例えば経路案内用の2次元地図上に車両の現在位置を重ね合せた情報)を生成する。
【0018】
情報受信部15は、ラジオ受信機、テレビ受信機、データ通信装置などで構成され、例えば地震、津波、竜巻情報等の緊急情報を受信したときに、緊急情報を受信したことをシステム制御部11に伝える。緊急情報は一般の放送信号とは異なる特殊な情報を含むため、緊急情報を受信したことを認識することができる。また情報受信部15は、緊急放送専用の受信機であっても良い。
【0019】
障害物検出部16は、例えば、車両に複数のカメラを搭載して車両の周囲の映像を撮影し、撮影した画像を分析することで道路上の障害物(動物等)を識別し、障害物がある場合に表示部30(後述)に表示し、運転者に報知するものである。或いは後方から急接近する車両があれば障害物ありとして報知する。
【0020】
また障害物検出部16としては、カメラで周囲を撮影する方法以外に、車両に複数の超音波センサやレーダを取り付けて車両周囲の障害物を検知するものでも良い。即ち、超音波センサから車両の周囲に向けて超音波を発信し、障害物がある場合に障害物によって反射した超音波をセンサで受信して障害物の有無を確認し、障害物が車両に接近したときに運転者に報知するようにしても良い。
【0021】
操作部17は、車両に設けられた操作ボタン(図示せず)からの入力を検知するもので、運転者の操作によって、ナビゲーション表示のオン・オフ指示や、出発地と目的地の情報等を入力する。尚、操作部17は、ディスプレイをタッチするタッチパネル式のものでもよい。
【0022】
ナビゲーション情報生成部13、情報受信部15、障害物検出部16は、情報提供手段を構成するものであり、画像情報生成部18は、この情報提供手段から提供された情報をもとに画像情報を生成し、表示装置20(後述)に供給する。また画像情報生成部18は、情報提供手段から運転者に緊急に報知すべき情報が提供されたとき、提供された情報をもとに重要度の高い画像情報(例えば緊急性のあるナビゲーション情報、緊急情報、障害物情報等)を表示装置20に供給する。
【0023】
制御信号生成部19は、表示部30に表示する画像情報の種類を判別し、また車両情報取得部12からの前照灯のオン・オフ信号や前照灯の位置情報を判別して画像情報の表示位置を切り換える位置制御信号を生成し、表示装置20に供給する。
【0024】
次に表示装置20の構成について説明する。尚、以下の説明では表示装置20としてヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いた例を説明する。HUDは、例えば車両のダッシュボードにおける運転席に対応する位置に配置されたプロジェクターであり、運転席前方のフロントガラスに画像を投影するものである。
【0025】
図2は、表示装置20(HUD)の構成図である。図2において、HUD20は、光束生成部21と、照射レンズ22及び照射範囲を制御する光学レンズ23を含む。照射レンズ22と光学レンズ23は光学ボックス24を構成し、フォーカスや倍率を制御することができる。さらに照射位置を制御するミラー25、画像を拡大するレンズ26と、ミラー25の角度を制御する駆動部27を含む。
【0026】
光束生成部21には、画像情報生成部10からの画像情報が供給され、光束生成部21は画像情報を表示する光束を出力する。光束は、照射レンズ22及び光学レンズ23を介してミラー25に照射される。ミラー25で反射した光束は、拡大レンズ26で拡大され、車両のフロントガラスFG(表示部30)に投影される。光学ボックス24、ミラー25、拡大レンズ26は投射光学系を構成する。
【0027】
投影された画像の表示範囲は、光学レンズ22によって制御することができ、照射位置はミラー25の角度を調整することによって制御することができる。駆動部27は、制御信号生成部19からの位置制御信号によって駆動され、ミラー25の角度を調整し表示情報の表示位置を変える。
【0028】
本発明の車両用ディスプレイ装置では、表示部30に、車両の運転者を対象として任意の出発地から目的地に至る経路に沿ってナビゲーション情報を表示する。また車両の周辺の状況を監視して障害物の有無を判別し、障害物がある場合に障害物の検出結果を表示する。また緊急情報(例えば地震、津波、竜巻情報)を受信したときに緊急情報の有無を表示する。
【0029】
図3は、表示情報の表示位置を概略的に示す図である。表示部30は、運転席前方のフロントガラスFGで代用され、HUD20からの画像301を運転席前方のフロントガラスFGに投影する。尚、車両のダッシュボード中央部にLCDディスプレイ等の表示部31を配置し、この表示部31に各種の情報を表示することもできる。
【0030】
本実施形態においては、運転中は実景を優先的に注視できるように、フロントガラスFGの下側の位置、つまり運転者の基準視線(視界)よりも下側の位置に通常の画像情報301を投影して表示する。また重要度の高い画像情報302については、運転者の基準視線と重なる位置に移動して表示する点に特徴がある。
【0031】
例えば、車両情報(速度や回転数など)やナビゲーション情報のように視認が遅れても支障の少ない通常の画像情報301は、基本的にフロントガラスFGの下側に表示する。また重要度の高い画像情報302は、通常の表示位置から少し高い位置に表示し、運転者の基準視線と重なる位置にシフトして表示する。
【0032】
重要度の高い画像情報302としては、例えば情報受信部15で緊急放送を受信した場合の緊急情報がある。緊急放送を受信した場合、画像情報生成部18は、例えば「緊急情報を受信しました」といったメッセージを生成する。尚、情報受信部15で緊急放送を受信した場合に、受信情報から「地震」、「津波」、「竜巻」等の情報を識別可能な場合は、「地震が発生しました」といった具体的なメッセージや、「地震」、「津波」、「竜巻」を示すシンボルを生成しても良い。
【0033】
また重要度の高い画像情報302としては、障害物検出部16からの障害物の情報も該当する。例えば、障害物検出部16によって車両の前方に障害物が検出された場合、画像情報生成部18は、「障害物発見」といったメッセージを生成する。また複数のカメラで周囲を撮影し、車線変更時に自車の側面に別の車両が存在するような危険状態を観測した場合にも緊急情報を生成する。或いは車内LANを用いてECU(Electronic Control Unit)からの重要度の高い警告メッセージ、例えばエンジントラブル等のメッセージを生成してもよい。
【0034】
こうして、重要度の高い画像情報302が生成された場合、画像情報302は通常の表示位置から少し高い位置に表示し、運転者の視線と重なる位置にシフトして表示する。重要度の高い画像情報302は緊急性を要する画像であるため、以下の説明では緊急情報302と呼ぶ場合もある。
【0035】
図4は、運転者の基準視線を説明する図である。運転者Dは、通常は矢印Z1で示すように走行方向の前方に視線が向く。尚、運転時は瞬間的に左右や上下に視線が移動することはあるが、走行時には基本的に進行方向の前方を注視するため、この走行時の注視視線を基準視線とする。したがって、通常の画像情報301は、基準視線Z1よりも角度αだけ低い位置にシフトした視線Z2上に表示する。一方、緊急情報302は運転者の基準視線Z1上に表示する。図4では、通常の画像情報301は視線Z2上に表示され、緊急情報302は視線Z1上に表示されることを模式的に示している。
【0036】
運転時の基準視線は、運転者の身長や姿勢によって多少変動するが、運転席から見て少し内側寄りで、フロントガラスFGの中央部付近の高さ位置にある。また緊急情報302を表示する位置は、運転時の視線に完全に一致する必要はなく、運転者が視認できればよいので、大体の視線方向を想定して緊急情報302の表示位置をプリセットすればよい。
【0037】
図5は、運転者から見た表示情報の表示例を示す説明図である。図5において、通常の画像情報301は、高さ位置H1で示すようにフロントガラスの下側に表示される。また運転時の視線は、運転席から見るとやや内側を向くため、画像情報301の横方向の表示中心位置は、運転席の正面Y0から少し内側に所定距離だけシフトしたY1の位置に表示される。
【0038】
一方、緊急情報302は、矢印A方向にずらし高さ位置H2で示すように、フロントガラスの中央部にシフトした位置に表示され、運転者の基準視線とほぼ重なる位置に表示される。このとき横方向の位置Y1は変わらない。また緊急情報302を表示する場合は、通常の画像情報301は非表示となる。
【0039】
尚、緊急性のある情報か否かは、情報源などから判断することができる。例えば、情報受信部15で緊急放送を受信した場合や、障害物検出部16で障害物を検出した場合や、車内LANに接続したECUからの警告メッセージを受信した場合にシステム制御部11は緊急と判断し、通常の画像情報301の代わりに緊急情報302を表示するように制御する。
【0040】
またシステム制御部11は、緊急と判断した場合に制御信号生成部19を制御する。制御信号生成部19からは位置制御信号が出力され、位置制御信号によって駆動部27を駆動する。これによりミラー25の角度が所定の角度だけ変化し、表示位置をフロントガラスFGの中央部の高さ位置H2にシフトする。
【0041】
こうして緊急情報302が表示された場合、運転者は遅延なく素早く視認することができるため、運転中であれば車両を停止し、緊急放送を受信したときはラジオなどで詳細な状況を確認することができる。また障害物を検出した場合は、前方の状況を確認して障害物への衝突等を避けることができる。或いは、車内に異常が生じている場合には、速やかに停車させることができる。
【0042】
尚、表示位置をシフトした際に画像情報のフォーカスがぼける可能性があるため、駆動部27は光学ボックス24を制御してフォーカスが正しく合うように調整する。また表示位置をシフトすることで画像情報の大きさが変化する場合は、表示倍率を調整し、同じ大きさで表示するようにしても良い。フォーカスや表示倍率は、表示位置をシフトしたときに最適になるように、予め設定した調整値に制御される。
【0043】
また、緊急情報302を表示した後、そのままの状態では運転視界を妨げるため、所定の時間が経過したあと、システム制御部11の制御のもとに、元の位置(通常の画像情報301と同じ表示位置)に切り替え表示すると良い。また緊急情報302を表示したあと通常の画像情報301を表示するには、ユーザが操作部17を操作して表示を切り替えるようにしても良いが、システム制御部11の制御のもとに、所定の時間が経過したあと、通常の画像情報301の表示に切り替わるようにしても良い。
【0044】
このように本発明の実施形態では、通常の画像情報301を表示する場合は運転の支障にならない位置に表示して実景を優先的に注視することができる。また緊急情報302を表示する場合は、運転者の視線上にシフトして表示するため、運転者に遅延なく状況を知らせることができる。
【実施例2】
【0045】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。以上の実施形態では昼間の走行時について説明したが、第2の実施形態は夜間走行時における表示情報の表示位置の制御に関する。即ち第2の実施形態は、車両の前照灯の点灯状態と、前照灯のビーム位置(アッパービームかロウビーム)によって緊急情報302の表示位置を切り替えるものである。
【0046】
図6は、運転者から見た夜間走行時の表示情報の表示例を示す説明図である。夜間走行時か昼間の走行時であるかは、車両情報取得部12からの前照灯の点灯情報をもとに判断することができ、システム制御部11は前照灯がオンしている場合は夜間走行時であると判断する。また前照灯のビーム位置(アッパービームかロウビーム)に応じて緊急情報の表示位置を切り替える。
【0047】
図6は、前照灯のビーム位置がロウビームの状態を示し、通常の画像情報301は、高さ位置H1で示すようにフロントガラスの下側に表示される。また運転時の視線は、運転席から見るとやや内側を向くため、画像情報301は、運転席の正面Y0から少し内側にシフトしたY1の位置に表示される。
【0048】
一方、緊急情報302は、矢印A方向にずらし高さ位置H3で示すようにフロントガラスの中央部にシフトした位置に表示される。このとき昼間の走行時の表示高さH2よりもやや下側に緊急情報302が表示される。夜間走行時は、視界が悪くなり、前照灯が照らす領域は若干下方に移動するため緊急情報302もそれに合わせてH2よりも下側の高さ位置H3にシフトして表示する。これにより運転者の基準視線とほぼ重なる位置に表示される。
【0049】
図7は前照灯のビーム位置がアッパービームの状態を示す。通常の画像情報301は、高さ位置H1で示すようにフロントガラスの下側に表示される。また画像情報301は、運転席の正面Y0から少し内側にシフトしたY1の位置に表示される。
【0050】
一方、緊急情報302は矢印A方向にずらし、高さ位置H4で示すようにフロントガラスの中央部にシフトした位置に表示される。このとき昼間の走行時の表示高さH2よりもやや上側に緊急情報302が表示される。夜間走行時にアッパービームにすると前照灯が照らす領域は上方に移動するため、緊急情報302もそれに合わせてH2よりも上側の高さ位置H4にシフトして表示する。これにより運転者の基準視線とほぼ重なる位置に表示される。
【0051】
尚、緊急情報302を表示した後、そのままの状態では運転視界を妨げるため、所定の時間が経過したあとシステム制御部11の制御のもとに、元の位置(通常の画像情報301と同じ表示位置)に切り替え表示すると良い。
【0052】
また緊急情報302を表示したあと通常の画像情報301を表示するには、ユーザが操作部17を操作して表示を切り替えるようにしても良いが、システム制御部11の制御のもとに、所定の時間が経過したあと、通常の画像情報301を表示するようにしても良い。
【0053】
このように本発明の第2の実施形態では、前照灯の照射領域と運転者の基準視線に対応して緊急情報302の表示高さ位置を制御することにより、緊急情報302が運転者の基準視線上に表示されるため、運転者に遅延なく知らせることができる。また通常の画像情報301を表示する場合は運転の支障にならない位置に表示して実景を優先的に注視することができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。例えば通常の画像情報や緊急情報は、以上説明した例のほかに種々の情報がある。またHUD20も図2の構成以外に種々の構成を採用することができる。さらに表示情報の位置をシフトする例としてミラーの角度を調整する方法を述べたが、他の方法でシフトしてもよいし、画像処理によって表示情報の位置をシフトするようにしても良い。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…車両用ディスプレイ装置
11…システム制御部
12…車両情報取得部
13…ナビゲーション情報生成部
14…アンテナ
15…情報受信部
16…障害物検出部
17…操作部
18…画像情報生成部
19…制御信号生成部
20…表示装置(ヘッドアップ・ディスプレイ)
21…光束生成部
22…照射レンズ
23…光学レンズ
24…光学ボックス
25…ミラー
26…拡大レンズ
27…駆動部
30…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を車両のフロントガラスに投影表示するヘッドアップディスプレイと、
前記画像情報が通常の第1の情報か重要度の高い第2の情報かを判別して前記画像情報の表示位置を制御し、前記第1の情報を運転者の基準視線よりも低い第1の高さ位置に表示し、前記第2の情報を運転者の基準視線にほぼ一致する第2の高さ位置に表示するように制御する制御部と、
を具備したことを特徴とする車両用ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記車両に、障害物検出部、緊急情報を受信可能な受信部、ナビゲーション情報生成部の少なくとも1つを含む情報提供手段を備え、
前記画像情報生成部は、前記情報提供手段から運転者に緊急に報知すべき情報が提供されたときに、前記第2の情報を表す画像情報を前記ヘッドアップディスプレイに供給することを特徴とする請求項1記載の車両用ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像情報生成部からの画像情報をもとに光束を生成する光束生成部と、前記光束をミラーで反射して前記フロントガラスに投射する投射光学系とを備え、
前記制御部は、前記ミラーによる反射角度を制御して前記画像情報の表示位置を制御することを特徴とする請求項1記載の車両用ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の画像情報を前記第2の高さ位置に表示して所定の時間を経過したあと、前記第1の高さ位置にシフトして表示するように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の画像情報を前記第2の高さ位置に表示して所定の時間を経過したあと、前記第1の画像情報を前記第1の高さ位置に表示するように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用ディスプレイ装置。
【請求項6】
車両情報を取得する車両情報取得部を備え、
前記制御部は、前記車両の前照灯のオン・オフ信号によって前記画像情報の表示位置を制御し、前記前照灯のオン・オフに拘わらず前記第1の情報を前記第1の高さ位置に表示し、前記前照灯がオンしているときは、前記第2の情報の表示高さ位置を前記前照灯の照射領域と運転者の基準視線に対応して制御することを特徴とする請求項1記載の車両用ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車両の前照灯のビーム位置の情報に応じて、前記第2の情報の表示高さ位置を変更することを特徴とする請求項6記載の車両用ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−218891(P2011−218891A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87982(P2010−87982)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】