説明

車両用データ集信システム、データ集信装置及びデータ提供装置

【課題】 車車間にて音楽データ等を送受信するに際し、通信インフラの整備コストの削減、音楽データ等の送受信における高速化、及び、音楽データ等の著作者に支払うべき著作権料の徴収を行うことができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置の提供。
【解決手段】 車両C1が備えるデータ集信装置10は、車車間通信回線N1を介し、車両C2が備えるデータ提供装置20から暗号化された音楽データ等を受信し、また、車外通信回線N2を介し、暗号化されたデータを復号化するために用いる復号化鍵を管理する鍵管理センタ4から復号化鍵を受信する。更に、鍵管理センタ4から復号化鍵を受信する際、鍵管理センタ4にて課金処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、他の車両が有する音楽,映像,地図画像等の様々のデータを集信するための車両用データ集信システム,該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの車両に搭乗した状態で、音楽データ等を取得する方法として、様々の方法が提案及び実現されている。例えば、PHS(Personal Handyphone System)を用いた「ケータイdeミュージック」なるサービスを利用する方法がある。該サービスは本来、音楽データをCD−ROM,又はメモリースティック等の可搬型記録媒体等を使用して入手し、入手した音楽データを再生するために必要な鍵データをPHSによりダウンロードするものであるが、音楽データそのものをPHSによりダウンロードすることも可能であり、車両の搭乗者がPHSを所持している場合は、車両に搭乗した状態にて音楽データを取得することが可能である。
【0003】また、専用挟域通信であるDSRC(Dedicated Short Range Communication)型路車間通信を利用する方法があり、各種研究機関にて研究が進められ、学会などでも報告されている。この方法は、音楽データ等を提供する相手方に対し、車両の搭乗者が携帯電話を用いてネゴシエーションし、前記音楽データ等はDSRC型路車間通信を利用してダウンロードするものであり、比較的高速通信を実現することができる。
【0004】また、特開平2001-136190に開示されている方法がある。この方法によれば、無線LANを介して異なる車両の車載LAN同士を接続し、該車載LANに接続されているCDチェンジャ,MDチェンジャ等から音楽データを取得することが可能であり、無線LANの通信可能領域内に存在する他の車両が有する音楽データを受信することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した方法による場合、実現性を困難とする問題点が夫々存在する。即ち、PHSを用いて音楽データ等をダウンロードする場合、ダウンロードにかかる時間及び通信料金が問題となる。例えば、1曲の音楽データを5MバイトとするとPHS(通信速度64kbps)を用いてダウンロードするためには10分程度必要となり、音楽CD1枚に12曲記憶されている場合には約2時間必要であり、ダウンロードにかかる時間及び通信料金が膨大で現実的でない。
【0006】また、DSRC型路車間通信を利用して音楽データ等をダウンロードする場合、基本的に通信料金は無料と考えられるが、道路側に設置される基地局等の通信インフラの整備に係るコストが問題となる。即ち、現在検討が進められているDSRC型路車間通信では1基の基地局当たりの通信範囲は約30mであり、連続的に車両との間で通信を行うためには、道路に沿って30m間隔で基地局を設置する必要がある。従って、高速道路にて100km/h(約28m/s)で走行する車両が、1基の基地局と通信できる時間は約1秒間であり、1曲5Mバイトの音楽データをダウンロードする場合、通信速度を4Mbpsとしても10台の基地局が必要となり、音楽CD1枚分を連続的にダウンロードするためには100台以上の基地局を30m間隔で連続的に設置する必要があり、通信インフラの整備に莫大なコストがかかる。
【0007】また、特開平2001-136190に開示されている方法によれば、他の車両の搭乗者が「全く面識のない者」であっても、何の制約もなく自由に音楽データ等を取得可能であるため、音楽データの著作者に対する配慮に欠けたものとなっており、現実的には著作権法上の問題から実現困難である。
【0008】本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、音楽データ,映像データ,地図データ等、ハードディスク等に記憶する各種データを提供する、車両に搭載されるデータ提供装置と、通信回線を介して前記各種データを集信する、車両に搭載されるデータ集信装置と、暗号化されたデータを復号化するのに用いる復号化鍵を管理する鍵管理センタとをシステムの構成要素とし、データ提供装置からデータ集信装置へは、車車間通信として無線LAN等の第1通信回線を介して暗号化されたデータを送信し、データ集信装置は、インターネット等の第2通信回線を介して鍵管理センタから取得した復号化鍵を用い、データ提供装置から受信した暗号化されたデータを復号化する。
【0009】このような構成とすることにより、道路上に基地局を必要とせず、通信インフラを整備するためのコストを大幅に削減することができ、車車間通信として例えばIEEE802.11b 又はミリ波帯無線を使用して高速通信を可能にすると共に、通信料金を大幅に削減することができ、また、データ提供装置から受信するデータを暗号化して鍵管理センタから別に復号化鍵を取得し、該復号化鍵を取得する際に、通信料金に付加するなどして、復号化鍵に応じて著作権料に相当する課金を行うことが可能であり、著作者にも配慮した車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を提供することを目的とする。
【0010】また、データ提供装置は、提供し得る音楽データ等のリスト情報を記憶して、データ集信装置からの要求に応じて送信し、データ集信装置は、受信したリスト情報に示されるデータのうち指定されたデータを前記データ提供装置へ要求し、該要求に応じてデータ提供装置から送信されたデータを受信することにより、データ集信装置を備える車両の搭乗者が、他の車両が備えるデータ提供装置が記憶するデータのうちから、取得するデータを選択することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を提供することを目的とする。
【0011】また、データ集信装置は、データを特定する特定情報を受け付け、該特定情報に係るを要求する旨の特定データ要求情報を、第1通信回線を介して他の車両が備えるデータ提供装置へ送信し、特定データ要求情報を受信したデータ提供装置は、該特定データ要求情報に係るデータを検索してデータ集信装置へ送信することにより、データ集信装置を備える車両の搭乗者等により特定された音楽データ等のみを、データ提供装置が提供可能なデータのうちから絞り込んで検索することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を提供することを目的とする。
【0012】また、データ提供装置は、特定データ要求情報に基づいて検索した結果、係るデータが存在しなかった場合、更に他の車両が備えるデータ提供装置へ特定データ要求情報を転送することにより、第1通信回線を介して直接的に通信可能であるデータ提供装置を備える車両のみならず、該車両が通信可能である他の車両においてデータを検索することができ、芋蔓式に遠方の車両が備えるデータ提供装置においてもデータを検索することができ、検索するデータを取得できる可能性が比較的高くなる車両用データ集信システム、及び該システムに用いるデータ提供装置を提供することを目的とする。
【0013】また、データ集信装置或いはデータ集信装置を備える車両、又は、データ提供装置或いはデータ提供装置を備える車両が、ゲートウェイ機能など、第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を備えることにより、例えば、データ提供装置が有するデータの改竄,破壊などを目的とする不正なアクセスを防止し、セキュリティを向上させることができる車両用データ集信システム、及び該システムに用いるデータ提供装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る車両用データ集信システムは、第1車両が有し、データを提供するためのデータ提供装置と、第2車両が有し、データを集信するためのデータ集信装置とを備え、通信回線を利用し、前記データ提供装置に記憶されたデータを、前記データ集信装置にて集信する車両用データ集信システムにおいて、暗号化されたデータを復号化するための復号化鍵を管理する鍵管理センタを備え、前記データ提供装置は、暗号化されたデータを第1通信回線を介して前記データ集信装置へ送信する手段を備え、前記データ集信装置は、暗号化されたデータを受信する手段と、受信するデータに対応する復号化鍵を、第2通信回線を介して前記鍵管理センタから受信する手段と、受信した復号化鍵を用いて暗号化されたデータを復号化する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】第2発明に係る車両用データ集信システムは、第1発明に係る車両用データ集信システムにおいて、前記データ提供装置は、提供し得るデータに関するリスト情報を記憶する手段を備え、前記データ集信装置は、前記リスト情報を要求するリスト要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段を備え、前記データ提供装置は更に、前記リスト要求情報を受信する手段と、受信したリスト要求情報に応じてリスト情報を送信する手段とを備え、前記データ集信装置は更に、リスト情報を受信する手段と、受信したリスト情報を出力する手段と、リスト情報に示されるデータのうち一又は複数のデータを指定する指定情報を受け付ける手段と、受け付けた指定情報に係るデータを要求する指定データ要求情報を送信する手段とを備え、前記データ提供装置は更に、指定データ要求情報を受信する手段と、受信した指定データ要求情報に応じてデータを前記データ集信装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0016】第3発明に係る車両用データ集信システムは、第1又は第2発明に係る車両用データ集信システムにおいて、前記データ集信装置は、一又は複数のデータを特定する特定情報を受け付ける手段と、受け付けた特定情報に係るデータを要求する特定データ要求情報を送信する手段とを備え、前記データ提供装置は、特定データ要求情報を受信する手段と、受信した特定データ要求情報に係るデータを検索する手段と、検索したデータを前記データ集信装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】第4発明に係る車両用データ集信システムは、第3発明に係る車両用データ集信システムにおいて、前記データ提供装置は、検索した結果、特定データ要求情報に係るデータが存在するか否かを判別する手段と、存在しないと判別した場合、第3車両が有するデータ提供装置へ特定データ要求情報を転送する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】第5発明に係る車両用データ集信システムは、第1乃至第4発明の何れかに係る車両用データ集信システムにおいて、前記第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする。
【0019】第6発明に係るデータ集信装置は、通信回線を利用し、車両外部からデータを集信するための、車両が有するデータ集信装置において、暗号化されたデータを第1通信回線を介して受信する手段と、暗号化されたデータを復号化するための復号化鍵を第2通信回線を介して受信する手段と、受信した復号化鍵を用いて暗号化されたデータを復号化する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】第7発明に係るデータ集信装置は、第6発明に係るデータ集信装置において、提供し得るデータに関するリスト情報を要求するリスト要求情報を、前記第1通信回線を介して送信する手段と、リスト情報を受信する手段と、受信したリスト情報を出力する手段と、リスト情報に示されるデータのうち一又は複数のデータを指定する指定情報を受け付ける手段と、受け付けた指定情報に係るデータを要求する指定データ要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0021】第8発明に係るデータ集信装置は、第6又は第7発明に係るデータ集信装置において、一又は複数のデータを特定する特定情報を受け付ける手段と、受け付けた特定情報に係るデータを要求する特定データ要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0022】第9発明に係るデータ集信装置は、第6乃至第8発明の何れかに係るデータ集信装置において、前記第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする。
【0023】第10発明に係るデータ提供装置は、通信回線を利用し、車両外部へ一又は複数のデータを提供するための、車両が有するデータ提供装置において、暗号化されたデータを前記通信回線を介して送信する手段を備えることを特徴とする。
【0024】第11発明に係るデータ提供装置は、第10発明に係るデータ提供装置において、提供し得るデータに関するリスト情報を記憶する手段と、該リスト情報を要求するリスト要求情報を受信する手段と、受信したリスト情報に応じてリスト情報を送信する手段と、リスト情報に示されるデータのうち指定された一又は複数のデータを要求する指定データ要求情報を受信する手段と、受信した指定データ要求情報に応じてデータを送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0025】第12発明に係るデータ提供装置は、第10又は第11発明に係るデータ提供装置において、指定された一又は複数のデータを要求する特定データ要求情報を受信する手段と、受信した特定データ要求情報に係るデータを検索する手段と、検索したデータを送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0026】第13発明に係るデータ提供装置は、第12発明に係るデータ提供装置において、検索した結果、特定データ要求情報に係るデータが存在するか否かを判別する手段と、存在しないと判別した場合、他の車両に対して特定データ要求情報を転送する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0027】第14発明に係るデータ提供装置は、第10乃至第13発明の何れかに係るデータ提供装置において、前記通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする。
【0028】第1発明,第6発明,及び第10発明による場合は、データ提供装置からデータ集信装置へは、無線LAN等の第1通信回線を介して暗号化したデータを送信し、該データを復号化するための復号化鍵は、インターネット等の第2通信回線を介して鍵管理センタから取得することにより、通信インフラの整備にかかるコストを大幅に削減可能であり、PHS等に比して高速通信が可能であり、また、復号化鍵を取得する際に著作権料相当額の課金をすることができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0029】第2発明,第7発明,及び第11発明による場合は、データ提供装置がリスト情報を記憶しており、データ集信装置は、リスト情報のうちから指定したデータをデータ提供装置から受信することにより、データ提供装置が有するデータのうちから選択的にデータを得ることができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0030】第3発明,第8発明,及び第12発明による場合は、データ集信装置にて、取得を希望するデータ等の特定を受け付け、該データを要求する旨をデータ提供装置へ送信し、この要求に応じてデータ提供装置は該当するデータをデータ集信装置へ送信することにより、データ集信装置にて受け付けた特定されたデータを絞り込んで検索することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0031】第4発明及び第13発明による場合は、データ提供装置が、特定された前記データを検索した結果、存在しないことが判別された場合に、他の車両が備えるデータ提供装置へ、特定された前記データを要求することにより、第1通信回線を介して直接的に通信可能であるデータ提供装置を備える車両のみならず、該車両が通信可能である他の車両においてもデータを検索することができる車両用データ集信システム、及び該システムに用いるデータ提供装置を実現することができる。
【0032】第5発明,第9発明及び第14発明による場合は、データ集信装置或いはデータ集信装置が備える車両、又は、データ提供装置或いはデータ提供装置を備える車両が、第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視することにより、例えば、データ改竄及びデータ破壊等の不正を目的とするアクセスを防止することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る車両用データ集信システムにおける実施の形態を示す模式図である。図中C1,C2,C3は夫々車両であり、本実施の形態では、主として車両C2が有する音楽,映像,カーナビゲーションシステムにて用いる地図等の暗号化されたデジタルデータを、車両C1にて集信する場合のシステム構成を示している。
【0034】車両C1は、シリアル・インタフェース規格であるIEEE1394(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers )等を利用したLANである車内通信回線L1を備えており、該車内通信回線L1には、本発明に係るデータ集信装置10の他、車両C1外部のネットワークとの間で通信可能に接続するためのゲートウェイ機能を有する通信制御装置11,キーボード,タッチパネル式液晶ディスプレイ,又は音声認識装置等からなり、ドライバの操作により情報を入力することができるHMI装置(HMI:Human Machine Interface )12,カーナビゲーションシステムにて地図データを再生する場合などに必要な映像再生装置13,オーディオなど音楽データを再生する場合に必要な音楽再生装置14,再生する地図データ等を表示するモニタ15,及び再生する音楽データを出力するスピーカ16等の各種車載機器が接続されており、前記通信制御装置11は、これら車載機器間での通信も制御することができる。
【0035】また、前記通信制御装置11には、IEEE802.11b 等の2.4GHz帯ISMバンド(Industrial,Scientific and Medical Band)を用いた無線装置,60GHz帯のミリ波無線装置などを利用した車車間通信装置17、及び、携帯電話18が接続されている。前記車車間通信装置17は、車車間通信回線N1を介して車両C2,C3等の他の車両との間にて通信可能に接続するためのものである。なお、前記IEEE802.11b では11Mbpsの通信速度を実現することができ、理論的には1曲5Mバイトの音楽データを約3.6秒、12曲入りアルバムの音楽データを約43秒で送受信することができ、信号待ちの間にアルバム1枚分のデータを送受信することが可能である。また、前記ミリ波では155Mbpsの高速通信を実現することができ、理論的には音楽データ1曲を約0.25秒、アルバム12曲分を約3秒で送受信することができ、この場合、他の車両に追従して走行する数秒間でアルバム1枚分のデータを送受信することが可能である。
【0036】また、前記携帯電話18は、インターネット等の車外通信回線N2を介して他の通信装置との間にて通信可能に接続するものであり、車両C1は前記車外通信回線N2を介し、車両間にて送受信される暗号化されたデータの復号化に用いる復号化鍵を管理する鍵管理センタ4が備える通信装置に接続されている。該鍵管理センタ4は、前記復号化鍵を用いて復号化されるデータの識別情報と前記復号化鍵とを関連付けて記憶する鍵データベースを備えている。
【0037】車両C2は、車両C1と同様にIEEE1394等を利用した車内通信回線L2を備え、該車内通信回線L2には、本発明に係るデータ提供装置20の他、通信制御装置21,HMI装置22,映像再生装置23,音楽再生装置24,モニタ25,及びスピーカ26等の各種車載機器が接続されている。
【0038】また、前記通信制御装置21には車車間通信装置27が接続されており、該車車間通信装置27は前記車車間通信回線N1を介して車両C1,C3等の他の車両との間にて通信可能に接続することができる。なお、車両C3についても、車両C2と略同様の構成をなしている。
【0039】図2は、車両C1が備えるデータ集信装置10の機能を示すブロック図である。データ集信装置10は、CPU等からなる制御部100を備え、該制御部100により、通信部101,データ集信部102,データ記憶部103,及びデータ復号化部104等の動作が制御される。
【0040】通信部101は、車内通信回線L1に接続するための通信インタフェースであり、前記車内通信回線L1を介して送受信されるデータの変換及びノイズ除去等を行う。データ集信部102は、車車間通信回線N1を介して他の車両から音楽,映像,地図等の暗号化されたデータを集信し、車外通信回線N2を介して鍵管理センタ4から復号化鍵を取得する機能を有している。
【0041】データ記憶部103は、ハードディスク及びRAM等により構成され、前記データ集信部102により集信されたデータ及び復号化鍵を記憶する他、制御部100にて演算処理を行う際に発生したデータを一時的に記憶し、また、通信部101を介して送受信されるデータを記憶する。
【0042】また、データ復号化部104は、車車間通信回線N1を介して他の車両から集信した暗号化されたデータを、車外通信回線N2を介して鍵管理センタ4から取得した復号化鍵を用いて復号化する機能を有している。なお、前記データ集信部102及びデータ復号化部104が有する機能は、ハードディスク又はROM等に記憶されたコンピュータプログラムを、制御部100を構成するCPUにて実行することにより実現してもよい。
【0043】また、本実施の形態ではデータ集信装置10及び通信制御部11を別個のハードウェアとして構成している場合について説明しているが、データ集信装置10が通信制御装置11と同様の機能を有することにより、車車間通信装置17及び携帯電話18と接続されていてもよい。この場合、通信制御装置11は単独のハードウェアとしては必要がなくなる。
【0044】図3は、車両C2が備えるデータ提供装置20の機能を示すブロック図である。データ提供装置20は、CPU等からなる制御部200を備え、該制御部200により、通信部201,データ提供部202,データ記憶部203,リスト記憶部204,及び検索部205等の動作が制御される。
【0045】通信部201は、車内通信回線L2に接続するための通信インタフェースであり、前記車内通信回線L2を介して送受信されるデータの変換及びノイズ除去等を行う。データ提供部202は、車車間通信回線N1を介して他の車両から要求されたデータを、前記他の車両へ提供するための機能を有している。
【0046】データ記憶部203は、ハードディスク及びRAM等により構成され、音楽再生装置24にて再生可能な音楽データ,映像再生装置23にて再生可能な映像データ,地図データ等が、MP3ファイル形式などに圧縮されて格納されている他、制御部200にて演算処理を行う際に発生したデータを一時的に記憶し、また、通信部201を介して送受信されるデータを記憶する。
【0047】なお、データ記憶部203に格納されている音楽,映像,及び地図等のデータは暗号化されたデータであり、本発明にて示す如く、他の車両から車車間通信を利用して取得してもよいし、また、店頭にて販売されている雑誌の付録CD−ROM等からコピーして取得してもよい。販売されているCD−ROM等からコピーして取得する場合、該CD−ROM等に予め暗号化されたデータを記録しておけばよいし、または、音楽,映像,地図等のデータとは別に暗号化鍵を記憶し、或いは、暗号化鍵のみ音楽ショップ等にて無料配布若しくは格安販売してもよい。
【0048】リスト記憶部204は、データ記憶部203に格納されている種々のデータに関するリストが記憶されている。なお、該リスト記憶部204をハードディスク又はRAM等により構成し、前記データ記憶部203と構成を共有すべくなしてもよい。
【0049】また、検索部205は、車車間通信回線N1を介して他の車両からデータの提供を要求された場合に、要求されたデータをデータ記憶部203内にて検索する機能を有している。更に、要求されたデータがデータ記憶部203に格納されていない場合に、他の車両が備えるデータ提供装置に対して前記データを要求する機能も有している。なお、前記データ提供部202及び検索部205が有する機能は、ハードディスク又はROM等に記憶されたコンピュータプログラムを、制御部200を構成するCPUにて実行することにより実現してもよい。
【0050】また、本実施の形態ではデータ提供装置20及び通信制御装置21を別個のハードウェアとして構成している場合について説明しているが、データ提供装置20が通信制御装置21と同様の機能を有することにより、車車間通信装置27と接続されていてもよい。この場合、通信制御装置21は単独のハードウェアとしては必要がなくなる。
【0051】次に、上述した構成をなす本実施の形態における車両用データ集信システムにおける動作の流れを説明する。
【0052】(実施例1)図4は、車両C2のデータ提供装置20が備えるデータに関するリストを車両C1のデータ集信装置10が取得する場合の本システムにおける動作の流れを説明するためのフローチャートである。初めに、車両C1のドライバはHMI装置12を用い、前方を走行する車両C2が有する音楽等のデータに関するリストを要求する旨の情報を入力する。前記情報が入力された場合、該情報は車内通信回線L1を介してデータ集信装置10へ入力され、これに応じてデータ集信部102は、車両C2に対してアクセスを要求する旨のアクセス要求情報を、車車間通信回線N1を介して送信する(S1)。
【0053】アクセス要求情報を車車間通信装置27にて受信した車両C2は(S2)、通信制御装置21において、前記アクセス要求情報が正当なものであるか否かを判別するための認証処理を行う(S3)。例えば、車両C1からのアクセス要求情報の送信にて、予め通信制御装置21にて許可するものとして設定されたもの以外のプロトコルが使用されている場合に不正なアクセスであると判別する。
【0054】ステップ3での認証処理の結果、不正アクセスであると判別した場合(S4:Y)、データ提供部202は、車両C1から要求されたアクセスに応じることができない旨のエラー情報を送信し(S5)、車両C1は車車間通信回線N1を介して前記エラー情報を受信し(S6)、本システムにおける動作を終了する。なお、車両C1にてエラー情報を受信した場合、前述した如くシステムの動作を終了する他、所定回数だけ再度アクセス要求情報を送信するようにしてもよい。
【0055】ステップ3での認証処理の結果、不正アクセスではないと判別した場合(S4:N)、データ提供部202は、車両C1から要求されたアクセスに応じて車両C1,C2間の接続が完了した旨の接続完了通知を送信する(S7)。該接続完了通知を受信した車両C1は(S8)、車両C2が有する音楽等のデータに関するリストを要求する旨のリスト要求情報を送信する(S9)。
【0056】車車間通信回線N1を介して前記リスト要求情報を受信した車両C2は(S10)、これに応じてリスト記憶部204に記憶されたリスト情報を送信し(S11)、車両C1は前記リスト情報を受信して(S12)、モニタ15又は液晶ディスプレイからなるHMI装置12にて出力し(S13)、本システムにおける動作を終了する。
【0057】次に、上述した動作により取得したリスト情報をドライバが参照し、該リスト情報に含まれるデータのうちから指定されたデータを集信する場合の本システムにおける動作の流れについて、図5に示すフローチャートを用いて説明する。初めにデータ集信装置10は、HMI装置12が操作されることにより、指定されたデータに関する指定データ情報の入力が、ドライバによりなされたか否かを判別する(S20)。ここで、指定データ情報の入力がない場合には(S20:N)、本システムにおける動作は終了され、車両C2との間における車車間通信回線N1が切断される。なお、所定期間を経ても入力がない場合にシステムの動作を終了するなど、予め設定しておけばよい。
【0058】ドライバによるHMI装置12の操作により指定データ情報の入力があった場合(S20:Y)、指定データ情報に係る指定データを要求する旨の指定データ要求情報を、車車間通信回線N1を介して車両C2へ送信する(S21)。車車間通信装置27を介して前記指定データ要求情報を受信した車両C2は(S22)、指定データ要求情報が示す暗号化されたデータをデータ記憶部203にて取得し(S23)、取得したデータを車両C1へ送信する(S24)。暗号化された前記データを受信した車両C1は(S25)、受信したデータをデータ記憶部103に記憶し(S26)、本システムにおける動作を終了する。なお、ドライバによる入力を受け付ける指定データ情報としては、一つのデータのみを指定する指定データ情報でも、複数のデータを指定する指定データ情報でもよく、また、指定データ情報を複数受け付けることも可能である。
【0059】次に、鍵管理センタ4が管理する復号化鍵を車両C1のデータ集信装置10が取得する場合の本システムにおける動作の流れを、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図4及び図5にて説明した如くに車両C2からデータを受信した後に復号化鍵を取得しする他、先に復号化鍵を取得しておき、その後、車両C2からデータを受信し、取得しておいた復号化鍵を用いて前記データを復号化するようにしてもよい。
【0060】初めに、データ集信装置10は、車両C1のドライバによるHMI装置12の操作により、取得しようとする復号化鍵により復号化するデータ(以下、対象データ)を識別可能な対象データ識別情報が入力されるのを受け付ける(S30)。車両C2から受信するなどしてデータ記憶部103に記憶されたデータに、自身を識別可能な情報が付加されている場合には、前記対象データ識別情報として前記情報を用いてもよく、この場合は、データ記憶部103に記憶されているデータの一覧をモニタ15に出力し、ドライバがHMI装置12を用いて前記一覧のうちから対象データを選択すればよい。また、音楽データにおける曲名,作詞者,作曲家名等、データを識別可能な情報を、ドライバがHMI装置12を用いて直接入力するようにしてもよい。
【0061】対象データ識別情報を受け付けたデータ集信装置10は、携帯電話18を介し、車外通信回線N2を通じて鍵管理センタ4へ、前記対象データ識別情報,及び復号化鍵を要求する旨の復号化鍵要求情報を送信する(S31)。前記対象データ識別情報及び復号化鍵要求情報を受信した鍵管理センタ4は(S32)、受信した対象データ識別情報に基づき、鍵データベースを参照して復号化鍵を取得し(S33)、取得した復号化鍵を車両C1へ送信する(S34)。携帯電話18を介して前記復号化鍵を受信した車両C1は(S35)、受信した復号化鍵をデータ記憶部103に記憶し(S36)、本システムにおける動作を終了する。
【0062】また、鍵管理センタ4は、ステップ34にて復号化鍵を送信した後、送信した復号化鍵、又は車両C1から受信した対象データ識別情報に応じて課金処理を行う(S37)。例えば、復号化鍵又は対象データ識別情報と、対象データの著作権料に関する課金情報とを関連付けて記憶する課金データベースを、鍵管理センタ4に予め備えておく。鍵管理センタ4は、送信する復号化鍵又は受信する対象データ識別情報に関連付けられた課金情報を取得する。取得した課金情報は、ステップ31にて車両C1と接続した際の携帯電話18の発信者番号等に関連付けて記憶しておき、携帯電話18の通話回線使用料金の徴収と併せて前記課金情報に係る金額を徴収する。なお、課金処理の方法は上記に限るものではなく、クレジット会社を介在させるなど、様々の方法が可能である。
【0063】上述した如くに取得した復号化鍵を用い、データ集信装置10は、車両C2から受信した暗号化されたデータを、データ復号化部104にて復号化することが可能であり、復号化したデータが映像データである場合には、映像再生装置13にて再生することによりモニタ15へ出力することができ、また、音楽データである場合は音楽再生装置14にて再生することによりスピーカ16へ出力することができる。
【0064】(実施例2)実施例1では、図4を用い、車両C2が備えるリスト情報に基づいてデータを指定し、指定したデータを車両C1が受信する場合について説明した。次に、本実施例2では、欲するデータを予め特定した特定データに基づき、データを検索して取得する場合の本システムにおける動作の流れについて、図7及び図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施例2にて取得したデータを復号化する際に用いる復号化鍵の取得方法は、図6にて説明したのと同様の方法により取得することができるため、本実施例2ではその説明は省略する。
【0065】初めに、車両C1のドライバはHMI装置12を用い、欲する音楽,映像,地図等のデータを特定することができる特定データ情報を入力する。データ集信装置10は、前記特定データ情報を受付け(S40)、車両C2に対してアクセスを要求する旨のアクセス要求情報を、車車間通信回線N1を介して送信する(S41)。
【0066】アクセス要求情報を車車間通信装置27にて受信した車両C2は(S42)、通信制御装置21において、前記アクセス要求情報が正当なものであるか否かを判別するための認証処理を行う(S43)。例えば、車両C1からのアクセス要求情報の送信にて、予め通信制御装置21にて許可するものとして設定されたもの以外のプロトコルが使用されている場合に不正なアクセスであると判別する。
【0067】ステップ43での認証処理の結果、不正アクセスであると判別した場合(S44:Y)、データ提供部202は、車両C1から要求されたアクセスに応じることができない旨のエラー情報を送信し(S45)、車両C1は車車間通信回線N1を介して前記エラー情報を受信し(S46)、本システムにおける動作を終了する。なお、車両C1にてエラー情報を受信した場合、前述した如くシステムの動作を終了する他、所定回数だけ再度アクセス要求情報を送信するようにしてもよい。
【0068】ステップ43での認証処理の結果、不正アクセスではないと判別した場合(S44:N)、データ提供部202は、車両C1から要求されたアクセスに応じて車両C1,C2間の接続が完了した旨の接続完了通知を送信する(S47)。該接続完了通知を受信した車両C1は(S48)、ステップ40にて入力を受け付けた特定データ情報に基づき、特定されたデータを要求する旨の特定データ要求情報を送信する(S49)。前記特定データ要求情報を受信した車両C2は(S50)、該特定データ要求情報に係るデータを、データ記憶部203内にて検索する(S51)。
【0069】ステップ51での検索の結果、前記特定データ要求情報に係るデータがデータ記憶部203内に存在する場合(S52:Y)、該データを取得し(S53)、取得したデータを車両C1へ送信する(S54)。前記データを受信した車両C1は(S55)、受信したデータをデータ記憶部103に記憶し(S56)、本システムにおける動作を終了する。なお、ドライバによる入力を受け付ける特定データ情報としては、一つのデータのみを特定する特定データ情報でも、複数のデータを特定する特定データ情報でもよく、また、特定データ情報を複数受け付けることも可能である。
【0070】ステップ51での検索の結果、前記特定データ要求情報に係るデータがデータ記憶部203内に存在しなかった場合(S52:N)、転送処理を行う(S57)。即ち、車両C2が備える車車間通信装置27を用いて通信可能な車両C1以外の車両C3に対し、前記特定データ要求情報を送信し、前記車両C3にて特定データ要求情報に係るデータを検索するよう要求し、車両C3が備えるデータ提供装置のデータ記憶部に、前記データが格納されている場合は、そのデータの返信を要求する。なお、車両C3が備えるデータ提供装置が、車両C2に備えられたデータ提供装置20と同様の機能を有している場合には、車両C3から更に他の車両に対して転送処理を行うことも可能である。
【0071】ステップ57での転送処理の結果、車両C3にデータが存在し、車両C2がそのデータを取得することができた場合(S58:Y)、前述したステップ54以下の動作を行う。また、ステップ57での転送処理の結果、車両C3にデータが存在せず、車両C2がそのデータを取得することができなかった場合(S58:N)、特定データ要求情報に係るデータを、最終的に取得することができない旨のエラー情報を送信する(S59)。車両C1が該エラー情報を受信した場合(S60)、車両C1,C2間の通信を切断するなどし、本システムにおける動作を終了する。
【0072】上述した本実施に係る車両用データ集信システムによれば、データ提供装置20からデータ集信装置10へは、車車間通信回線N1を介して暗号化されたデータを送信し、データ集信装置10は、インターネット等の車外通信回線N2を介して鍵管理センタ4から取得した復号化鍵を用い、データ提供装置20から受信した暗号化されたデータを復号化するため、基地局等の通信インフラを整備するためのコストを大幅に削減することができ、データを取得する際の通信料金を大幅に削減することができ、また、鍵管理センタ4から復号化鍵を取得する際に、著作権料に相当する課金を行うことが可能である。
【0073】また、データ提供装置20は、提供することができる音楽データ等のリスト情報を記憶して、データ集信装置10からの要求に応じて送信し、データ集信装置10は、受信したリスト情報に示されるデータのうち指定されたデータを前記データ提供装置20へ要求し、該要求に応じてデータ提供装置20から送信されたデータを受信するため、車両C1のドライバが、車両C2が備えるデータ提供装置20が記憶するデータのうちから、取得するデータを選択することができる。
【0074】また、データ集信装置10は、データを特定する特定情報を受け付け、該特定情報に係るデータを要求する旨の特定データ要求情報を、車車間通信回線N1を介して車両C2へ送信し、特定データ要求情報を受信した車両C2は、該特定データ要求情報に係るデータを検索してデータ集信装置10へ送信するため、車両C1のドライバにより特定された音楽データ等のみを、データ提供装置20が提供可能なデータのうちから絞り込んで検索することができる。
【0075】また、データ提供装置20は、特定データ要求情報に基づいて検索した結果、係るデータが存在しなかった場合、更に他の車両C3が備えるデータ提供装置へ特定データ要求情報を転送することにより、車車間通信回線N1を介して直接的に通信可能である車両C2のみならず、該車両C2が通信可能である他の車両C3においてデータを検索することができ、芋蔓式に遠方の車両が備えるデータ提供装置においてもデータを検索することができ、検索するデータを取得できる可能性を比較的向上させることができる。
【0076】また、データ集信装置10或いは該データ集信装置10を備える車両C1、又は、データ提供装置20或いはデータ提供装置20を備える車両C2が、ゲートウェイ機能など、車車間通信回線N1及び/又は車外通信回線N2を介する接続における不正の有無を監視する手段を備えることにより、例えば、データ提供装置20が有するデータの改竄,破壊などを目的とする不正なアクセスを防止し、セキュリティを向上させることができる。
【0077】なお、上述した実施の形態では、車両C1にデータ集信装置10を、車両C2にデータ提供装置20を夫々搭載する場合について説明しているが、車両C1,C2の夫々に、データ集信装置10及びデータ提供装置20の両方を搭載してもよい。また、この場合、データ集信装置10及びデータ提供装置20を同一の装置により構成してもよく、夫々が有する制御部100,200、通信部101,201、及びデータ記憶部103,203を共通のハードウェアにより構成することが可能である。更に、データ集信装置10及びデータ提供装置20を同一の装置としたものに、通信制御装置11,21の機能も付加することにより、通信制御装置11,21を単独のハードウェアとして備える必要がなくなる。
【0078】
【発明の効果】第1発明,第6発明,及び第10発明よれば、通信インフラの整備にかかるコストを大幅に削減可能であり、PHS等に比して高速通信が可能であり、また、復号化鍵を取得する際に著作権料相当額の課金をすることができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0079】第2発明,第7発明,及び第11発明によれば、データ提供装置が有するデータのうちから選択的にデータを得ることができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0080】第3発明,第8発明,及び第12発明によれば、データ集信装置にて受け付けた特定されたデータを絞り込んで検索することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【0081】第4発明及び第13発明によれば、第1通信回線を介して直接的に通信可能であるデータ提供装置を備える車両のみならず、該車両が通信可能である他の車両においてもデータを検索することができる車両用データ集信システム、及び該システムに用いるデータ提供装置を実現することができる。
【0082】第5発明,第9発明及び第14発明によれば、例えば、データ改竄及びデータ破壊等の不正を目的とするアクセスを防止することができる車両用データ集信システム、該システムに用いるデータ集信装置及びデータ提供装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用データ集信システムにおける実施の形態を示す模式図である。
【図2】データ集信装置の機能を示すブロック図である。
【図3】データ提供装置の機能を示すブロック図である。
【図4】データ提供装置が備えるデータに関するリストをデータ集信装置が取得する場合の本システムにおける動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図5】リスト情報に含まれるデータのうちから指定されたデータ集信する場合の本システムにおける動作の流れについて説明するためのフローチャートである。
【図6】鍵管理センタが管理する復号化鍵をデータ集信装置が取得する場合の本システムにおける動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図7】特定データに基づいてデータを検索して取得する場合の本システムにおける動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】特定データに基づいてデータを検索して取得する場合の本システムにおける動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
4 鍵管理センタ
10 データ集信装置
11,21 通信制御装置
12,22 HMI装置
17,27 車車間通信装置
18 携帯電話
20 データ提供装置
C1,C2,C3 車両
L1,L2 車内通信回線
N1 車車間通信回線
N2 車外通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1車両が有し、データを提供するためのデータ提供装置と、第2車両が有し、データを集信するためのデータ集信装置とを備え、通信回線を利用し、前記データ提供装置に記憶されたデータを、前記データ集信装置にて集信する車両用データ集信システムにおいて、暗号化されたデータを復号化するための復号化鍵を管理する鍵管理センタを備え、前記データ提供装置は、暗号化されたデータを第1通信回線を介して前記データ集信装置へ送信する手段を備え、前記データ集信装置は、暗号化されたデータを受信する手段と、受信するデータに対応する復号化鍵を、第2通信回線を介して前記鍵管理センタから受信する手段と、受信した復号化鍵を用いて暗号化されたデータを復号化する手段とを備えることを特徴とする車両用データ集信システム。
【請求項2】 前記データ提供装置は、提供し得るデータに関するリスト情報を記憶する手段を備え、前記データ集信装置は、前記リスト情報を要求するリスト要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段を備え、前記データ提供装置は更に、前記リスト要求情報を受信する手段と、受信したリスト要求情報に応じてリスト情報を送信する手段とを備え、前記データ集信装置は更に、リスト情報を受信する手段と、受信したリスト情報を出力する手段と、リスト情報に示されるデータのうち一又は複数のデータを指定する指定情報を受け付ける手段と、受け付けた指定情報に係るデータを要求する指定データ要求情報を送信する手段とを備え、前記データ提供装置は更に、指定データ要求情報を受信する手段と、受信した指定データ要求情報に応じてデータを前記データ集信装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用データ集信システム。
【請求項3】 前記データ集信装置は、一又は複数のデータを特定する特定情報を受け付ける手段と、受け付けた特定情報に係るデータを要求する特定データ要求情報を送信する手段とを備え、前記データ提供装置は、特定データ要求情報を受信する手段と、受信した特定データ要求情報に係るデータを検索する手段と、検索したデータを前記データ集信装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用データ集信システム。
【請求項4】 前記データ提供装置は、検索した結果、特定データ要求情報に係るデータが存在するか否かを判別する手段と、存在しないと判別した場合、第3車両が有するデータ提供装置へ特定データ要求情報を転送する手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の車両用データ集信システム。
【請求項5】 前記第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車両用データ集信システム。
【請求項6】 通信回線を利用し、車両外部からデータを集信するための、車両が有するデータ集信装置において、暗号化されたデータを第1通信回線を介して受信する手段と、暗号化されたデータを復号化するための復号化鍵を第2通信回線を介して受信する手段と、受信した復号化鍵を用いて暗号化されたデータを復号化する手段とを備えることを特徴とするデータ集信装置。
【請求項7】 提供し得るデータに関するリスト情報を要求するリスト要求情報を、前記第1通信回線を介して送信する手段と、リスト情報を受信する手段と、受信したリスト情報を出力する手段と、リスト情報に示されるデータのうち一又は複数のデータを指定する指定情報を受け付ける手段と、受け付けた指定情報に係るデータを要求する指定データ要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段とを更に備えることを特徴とする請求項6に記載のデータ集信装置。
【請求項8】 一又は複数のデータを特定する特定情報を受け付ける手段と、受け付けた特定情報に係るデータを要求する特定データ要求情報を前記第1通信回線を介して送信する手段とを更に備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のデータ集信装置。
【請求項9】 前記第1通信回線及び/又は第2通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のデータ集信装置。
【請求項10】 通信回線を利用し、車両外部へ一又は複数のデータを提供するための、車両が有するデータ提供装置において、暗号化されたデータを前記通信回線を介して送信する手段を備えることを特徴とするデータ提供装置。
【請求項11】 提供し得るデータに関するリスト情報を記憶する手段と、該リスト情報を要求するリスト要求情報を受信する手段と、受信したリスト情報に応じてリスト情報を送信する手段と、リスト情報に示されるデータのうち指定された一又は複数のデータを要求する指定データ要求情報を受信する手段と、受信した指定データ要求情報に応じてデータを送信する手段とを更に備えることを特徴とする請求項10に記載のデータ提供装置。
【請求項12】 指定された一又は複数のデータを要求する特定データ要求情報を受信する手段と、受信した特定データ要求情報に係るデータを検索する手段と、検索したデータを送信する手段とを更に備えることを特徴とする請求項10又は11に記載のデータ提供装置。
【請求項13】 検索した結果、特定データ要求情報に係るデータが存在するか否かを判別する手段と、存在しないと判別した場合、他の車両に対して特定データ要求情報を転送する手段とを更に備えることを特徴とする請求項12に記載のデータ提供装置。
【請求項14】 前記通信回線を介する接続における不正の有無を監視する手段を更に備えることを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載のデータ提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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