説明

車両用ドアミラー装置

【課題】ワンタッチで鏡面作動ユニットのミラーホルダへの組み付けを行うことのできる車両用ドアミラー装置を提供する。
【解決手段】ミラー本体と、ミラー本体を保持するミラーホルダ16と、内部に電動機構を有するとともにミラーホルダ16に取り付けられ、電動機構によってミラーホルダ16を介してミラー本体の向きを変える鏡面作動ユニット17と、開放端側にミラー本体が設けられ、かつ内部に、ミラーホルダ16及び鏡面作動ユニット17を収容したハウジングとを備えたドアミラー装置であって、ミラーホルダ16のうち鏡面作動ユニット17に対向する凹所18内に入力端子19.19を設ける一方、鏡面作動ユニット17内に出力端子21,21を設け、鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16に取り付けたとき、出力端子21,21と入力端子19,19とが接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアミラー装置に係り、特に、ヒータユニットや防眩ミラーを備えた車両用ドアミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ドアミラー装置は、ミラー本体と、そのミラー本体を保持するミラーホルダと、内部に電動機構を有するとともにミラーホルダに取り付けられ、電動機構によってミラー本体の向きを変える鏡面作動ユニットと、ミラーホルダ及び鏡面作動ユニットを収容したハウジングとを有している。そして、ドアミラー装置がヒータユニットや防眩ミラーを備えている場合は、ヒータユニットや防眩ミラーに電力を供給する必要があり、ミラーホルダには車体側から(具体的には、ハウジングを支持するステーを介して)ハーネスが取り付けられている。
【0003】
しかし、上記のような構成では、鏡面作動ユニットのミラーホルダへの取り付けと、ハーネスのミラーホルダへの取り付けを同時に行わなければならず、工数が増加して作業効率が悪くなるとともに、ハーネスの配線処理をしづらいため、ハーネスが外部から見えてしまい、見栄えが悪くなるという問題があった。
【0004】
そこで、前記ハーネスを鏡面作動ユニットの配線と一体にして、鏡面作動ユニットのミラーホルダへの取り付け時に、ハーネスをミラーホルダに接続する一方、ハーネスが外部から見えるのを防ぐようにした車両用ドアミラー装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−105548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、ハーネスが鏡面作動ユニット内に配線されており、鏡面作動ユニットのミラーホルダへの取り付け時には、作業者が手でハーネスをミラーホルダにいちいち接続しなければならず、組み付けに手間が掛かってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、ワンタッチで鏡面作動ユニットのミラーホルダへの組み付けを行うことのできる車両用ドアミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ミラー本体と、前記ミラー本体を保持するミラーホルダと、内部に電動機構を有するとともに前記ミラーホルダに取り付けられ、前記電動機構によって前記ミラーホルダを介して前記ミラー本体の向きを変える鏡面作動ユニットと、開放端側に前記ミラー本体が設けられ、かつ内部に、前記ミラーホルダ及び前記鏡面作動ユニットを収容したハウジングとを備えたドアミラー装置であって、前記ミラーホルダのうち前記鏡面作動ユニットに対向する範囲内に入力端子を設ける一方、前記鏡面作動ユニット内に通電部を設け、前記鏡面作動ユニットを前記ミラーホルダに取り付けたとき、前記通電部と前記入力端子とが接続されることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、鏡面作動ユニットをミラーホルダに取り付けるだけで、鏡面作動ユニットの導通部がミラーホルダの入力端子に電気的に接続され、組み付けに手間が掛からずワンタッチで行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記入力端子は、前記ミラー本体の裏面に設けられたヒータに電力を供給するための入力端子であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記導通部は、前記入力端子に接続され該入力端子に電力の供給を行う出力端子を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3において、前記通電部は、前記鏡面作動ユニットへの通電も兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワンタッチで鏡面作動ユニットのミラーホルダへの組み付けを行うことのできる車両用ドアミラー装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る車両用ドアミラー装置が搭載された車両の一部分を示す図である。
【図2】実施例1による車両用ドアミラー装置の要部分解斜視図である。
【図3】図2に示した鏡面作動ユニットの斜視図である。
【図4】鏡面作動ユニットをミラーホルダに取り付けたときの要部断面図である。
【図5】実施例2による車両用ドアミラー装置の要部分解斜視図である。
【図6】図5に示した鏡面作動ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0016】
《実施例1》
図1は、本発明に係る車両用ドアミラー装置が搭載された車両10の一部分を示している。本発明に係る車両用ドアミラー装置11は、ステー12を介して車両10のフロントサイドドア13の上部(フロントサイドガラス10Aの下部前縁)に取り付けられている。
【0017】
車両用ドアミラー装置11は、ステー12に支持されたハウジング14を有し、このハウジング14の後部開放端にはミラー本体15が設けられている。
【0018】
図2は、実施例1による車両用ドアミラー装置11の要部分解斜視図である。車両用ドアミラー装置11は、ミラー本体15(図1参照)と、ミラー本体15を保持するミラーホルダ16と、内部に電動機構(電動機構については後述する。)を有するとともにミラーホルダ16に取り付けられ、電動機構によってミラーホルダ16を介してミラー本体15の向きを変える鏡面作動ユニット17と、開放端側にミラー本体15が設けられ、かつ内部に、ミラーホルダ16及び鏡面作動ユニット17を収容したハウジング14(図1参照)とを備えている。
【0019】
ミラーホルダ16は角部が丸く形成された略矩形状を成し、その中央部に円形の凹所18が形成されている。一方、凹所18に合わせて鏡面作動ユニット17が設けられている。鏡面作動ユニット17は有底円筒形状を成し、ミラーホルダ16の凹所18内に嵌合される。
【0020】
本実施例では、ミラーホルダ16のうち鏡面作動ユニット17に対向する範囲内、つまり凹所18内の底面中央に一対の入力端子19,19が設けられている。また、鏡面作動ユニット17には、その凹所20(図3参照)の中央部に、入力端子19,19に対向させて一対の出力端子21,21が設けられている。
【0021】
図3は鏡面作動ユニット17の斜視図である。図2及び図3に示すように、ミラーホルダ16の入力端子19,19は中実角形(断面矩形状)の細い金属製部材で形成され、雄形端子となっている。一方、鏡面作動ユニット17の出力端子21,21は中空角形(断面矩形筒状)の細い金属製部材で形成され、雌形端子となっている。また、出力端子21,21は、鏡面作動ユニット17の凹所20の中央部底面付近でL字型に折り曲げられ、その折り曲げ部21A,21Aの先端21B,21Bは鏡面作動ユニット17の外部へ露出している。
【0022】
図には示してないが、鏡面作動ユニット17には電動機構が設けられ、折り曲げ部21A,21Aの先端21B,21Bに供給される電力は、出力端子21,21だけでなく、前記電動機構にも供給される。つまり、鏡面作動ユニット17には、前記電動機構や出力端子21,21に電力供給を行う導電部が設けられ、出力端子21,21は当該導電部の一部を成している。
【0023】
図4は、鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16に取り付けたときの要部断面図である。図4に示すように、ミラーホルダ16にはミラー本体15が取り付けられ、そのミラー本体15の裏面にヒータ22が設けられている。そして、このヒータ22に前記入力端子19,19が電気的に接続されている。
【0024】
一方、鏡面作動ユニット17には、一対のモータ23,23、及びこれらモータ23を駆動制御する制御基板24が設けられている。モータ23,23は、鏡面作動ユニット17内に設けられた制御桿(図示省略)を介してミラー本体15の傾きを調整することができる。すなわち、鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16に取り付けると、前記制御桿とミラー本体15とが連結され、モータ23,23の駆動力を前記制御桿を介してミラー本体15に伝達することにより、ミラー本体15の傾きを調整できるよう構成されている。なお、ここでは、モータ23,23、制御基板24及び制御桿等は電動機構を構成している。
【0025】
次に、本実施例における車両用ドアミラー装置11の作用について説明する。
【0026】
鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16の凹所18に嵌合させて、鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16に取り付けると、鏡面作動ユニット17の雌形端子である出力端子21,21と、ミラーホルダ16の雄形端子である入力端子19,19とが接続され、入出力の両端子の接続をワンタッチで行うことができる。そして、モータ23,23や制御基板24への電力と、ミラー本体15裏面のヒータ22への電力を、導電部の先端21B,21Bから折り曲げ部21A,21Aを介して供給することが可能となる。
【0027】
また、本実施例によれば、折り曲げ部21A,21Aの先端21B,21Bから出力端子21,21の間にハーネス等を使用しておらず、組み付け後にハーネス等が外部から見えて見栄えが悪くなるということもない。
【0028】
《実施例2》
図5は実施例2による車両用ドアミラー装置の分解斜視図である。本実施例では、ミラーホルダ16の凹所18の周縁に一対の入力端子31,31が配置され、また、鏡面作動ユニット17には、前記入力端子31,31に合わせて凹所20の周縁(周壁20A)に一対の出力端子32,32が配置されている。出力端子32,32は、周壁20Aの内部に配置されており、その端面は周壁20Aの端面と面一に形成されている。他の構成は実施例1の場合と同じである。
【0029】
本実施例の場合も、実施例1と同様、鏡面作動ユニット17をミラーホルダ16に取り付ける際、鏡面作動ユニット17の出力端子32,32と、ミラーホルダ16の雄形端子である入力端子31,31とが接続され、入出力の両端子の接続をワンタッチで行うことができる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0031】
例えば、上記各実施例では、ミラーホルダ16側の入力端子19,19または入力端子31,31を雄形端子とし、鏡面作動ユニット17側の出力端子21,21または出力端子32,32を雌形端子としたが、これとは逆に、ミラーホルダ16側の入力端子19,19または入力端子31,31を雌形端子とし、鏡面作動ユニット17側の出力端子21,21または出力端子32,32を雄形端子としてもよい。
【0032】
また、本発明は、ヒータ22への通電以外にも、周囲の明るさに応じてミラーの反射率を制御するEC(エレクトロ・クロミック)ミラーや鏡面に文字を表示する機器等、ミラーホルダ16に付属した部品への通電であれば使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
11 車両用ドアミラー装置
14 ハウジング
15 ミラー本体
16 ミラーホルダ
17 鏡面作動ユニット
18 凹所
19 入力端子
20 凹所
20A 周壁
21 出力端子
21A 折り曲げ部
21B 先端
22 ヒータ
23 モータ
24 制御基板
31 入力端子
32 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー本体と、前記ミラー本体を保持するミラーホルダと、内部に電動機構を有するとともに前記ミラーホルダに取り付けられ、前記電動機構によって前記ミラーホルダを介して前記ミラー本体の向きを変える鏡面作動ユニットと、開放端側に前記ミラー本体が設けられ、かつ内部に、前記ミラーホルダ及び前記鏡面作動ユニットを収容したハウジングとを備えた車両用ドアミラー装置であって、
前記ミラーホルダのうち前記鏡面作動ユニットに対向する範囲内に入力端子を設ける一方、前記鏡面作動ユニット内に通電部を設け、
前記鏡面作動ユニットを前記ミラーホルダに取り付けたとき、前記通電部と前記入力端子とが接続されることを特徴とする車両用ドアミラー装置。
【請求項2】
前記入力端子は、前記ミラー本体の裏面に設けられたヒータに電力を供給するための入力端子であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項3】
前記導通部は、前記入力端子に接続され該入力端子に電力の供給を行う出力端子を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項4】
前記通電部は、前記鏡面作動ユニットへの通電も兼ねることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の車両用ドアミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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