説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 曲がるべき交差点を新規な手法でわかりやすくに伝えることができるような車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置は、案内交差点Xについて、「案内交差点Xとその手前交差点Yとの距離が所定距離より短い」という条件と「案内交差点Xへの進入可能車線、および手前交差点Yにおける進入可能車線が、案内経路によって制限される」という条件が共に満たされる場合、自車両がその手前交差点に近づいたとき、画像表示と音声表示を併せて行う。その画像表示は、案内交差点X、手前交差点Y、案内経路に沿った案内交差点Xおよび手前交差点Yへの進入道路、案内交差点Xおよび手前交差点Yへの進入可能車線の指定線22、およびこの2つの交差点の強調表示31、32を同時に画像表示する。また、その音声表示は、その案内交差点への進入可能車線の指定、およびその手前交差点への進入可能車線の指定を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内交差点と案内交差点の手前の交差点の案内を共に行う車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ナビゲーション装置は、設定された目的地までの案内経路において、案内交差点の手前にさしかかると、音声等で経路の案内を行うようになっていた。案内交差点とは、例えば右左折する交差点等をいう。
【0003】
また、案内交差点のごく直前に別の交差点がある場合には、ユーザがどの交差点を曲がればよいのか迷ってしまう場合があった。図1に、このような場合を示すための交差点A、Bの俯瞰図を示す。車両50に搭載された車両用ナビゲーション装置は、実線矢印51で示した、交差点Aを左折する真の案内経路を案内するために、「○○メートル先、左方向です」等の音声案内を行うが、車両50のユーザは、交差点Aと交差点Bとが近いため、どちらの交差点を曲がればよいのか迷ってしまい、最終的に誤った経路52を走行してしまう可能性がある。
【0004】
このような問題を解決するための技術として、特許文献1には、現在位置からいくつ先の交差点を曲がるかを、音声で案内する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−83517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような特許文献1の技術では、走行するタイミングと案内するタイミングの細かいずれによって、案内された対象の交差点と実際に曲がらなければならない交差点がずれてしまう場合がある。図2に、このような場合を示すための交差点C、D、Eの俯瞰図を示す。
【0006】
車両53に搭載された車両用ナビゲーション装置は、実線矢印54で示した、交差点Cを左折する真の案内経路を案内するために、車両の現在位置と交差点C、D、Eの位置との相対関係に基づき、「2番目の交差点を、左方向です」等の音声案内を行う。しかし、その案内を受けるタイミングが、ちょうど車両53が交差点Eに進入するときである場合、ユーザは、2番目の交差点が交差点Dを指すのかCを指すのかについて迷ってしまい、最終的に誤った経路55を走行してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、曲がるべき交差点を新規な手法でわかりやすく伝えることができるような車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、前記距離判定手段の判定に基づいて、(1)前記案内交差点、(2)前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路、(3)この進入道路中の案内車線の指定、(4)前記手前交差点、(5)前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路、および(6)この進入道路中の案内車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0009】
このようになっているので、案内交差点とその手前交差点が近い場合、(1)その案内交差点、(2)案内経路に沿ったその案内交差点への進入道路、(3)この進入道路中の案内車線の指定、(4)その手前交差点、(5)案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路、および(6)この進入道路中の案内車線の指定が、同時に画像表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、前記距離判定手段の判定に基づいて、前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路中の案内車線の指定を音声表示する音声表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0011】
このようになっているので、案内交差点とその手前交差点が近い場合、案内経路に沿ったその案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路中の案内車線の指定が音声表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、選択した交差点への進入可能車線、および前記選択した交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点における進入可能車線が、前記案内経路によって制限されることを判定する制限判定手段と、前記制限判定手段の判定に基づいて、前記選択した交差点への進入可能車線の指定と前記手前交差点への進入可能車線の指定とを同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0013】
このようになっているので、選択した交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される場合、その選択した交差点への進入可能車線の指定とその手前交差点への進入可能車線の指定とが同時に画像表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記画像表示手段は、前記制限判定手段の判定に基づいて、(1)前記選択した交差点、(2)前記案内経路に沿った前記選択した交差点への進入道路、(3)前記選択した交差点への進入可能車線の指定、(4)前記手前交差点、(5)前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路、および(6)前記手前交差点への進入可能車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
このようになっているので、選択した交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される場合、(1)その選択した交差点、(2)案内経路に沿ったその選択した交差点への進入道路、(3)その選択した交差点への進入可能車線の指定、(4)その手前交差点、(5)案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路、および(6)その手前交差点への進入可能車線の指定が同時に画像表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、選択した交差点への進入可能車線、および前記選択した交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点における進入可能車線が、前記案内経路によって制限されることを判定する制限判定手段と、前記制限判定手段の判定に基づいて、前記選択した交差点への進入可能車線の指定、および前記手前交差点への進入可能車線の指定を音声表示する音声表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【0017】
このようになっているので、その選択した交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される場合、その選択した交差点への進入可能車線の指定、およびその手前交差点への進入可能車線の指定が音声表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置において、前記選択した交差点は案内交差点であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、設定された目的地までの案内経路を特定し、その案内経路の案内を行う車両用ナビゲーション装置であって、案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、前記距離判定手段の判定に基づいて、前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路中の案内車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0020】
このようになっているので、案内交差点とその手前交差点が近い場合、案内経路に沿ったその案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路中の案内車線の指定が、同時に画像表示されるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図3に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。
【0022】
車載用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、オーディオアンプ14、スピーカ15、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基いた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0024】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基いた信号を制御回路19に出力する。
【0025】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基いた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0026】
オーディオアンプ14は、制御回路19から出力された音声信号を増幅してスピーカ15に出力する。
【0027】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0028】
地図データは、道路片(リンク)、交差点(ノード)、交差点と道路片との接続関係、各道路の車線数、各車線と交差点退出方向との車線−退出方向対応情報、各車線間の移動制限についての車線制限情報等を有している。
【0029】
車線−退出方向対応情報は、ある道路片から交差点に進入し、その交差点に接続している他の道路片へと退出する場合についての情報であって、進入道路片の各車線と、その車線からその交差点に入って退出することが許されている退出先道路片との対応関係を有するようになっている。
【0030】
車線制限情報は、その道路片のどの部分において、どの車線からどの車線に移動することが禁止されているか等の情報を有するようになっている。
【0031】
制御回路19は、図示しないRAM、ROM、CPUを有している。このCPUは、ROMおよび外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際には上記ROM、RAM、外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM、外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、オーディオアンプ14に対して信号の授受を行う。
【0032】
制御回路19のCPUがプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、案内経路検索処理、経路案内処理等がある。
【0033】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0034】
案内経路検索処理は、入力装置からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。また、本実施形態の案内経路検索処理は、検索の結果特定した案内経路中の、どの交差点でどのような形式で案内を行うかの案内予定データを、外部記憶媒体18に保存するようになっている。
【0035】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された案内経路やメモリ地点等を地図データと共に画像表示装置13に画像表示させ、オーディオアンプ14に案内音声を出力することで、ユーザの案内経路に沿った運転を促す処理である。また、本実施形態の経路案内処理は、上記した案内予定データに従った形式の案内を行うようになっている。
【0036】
ここで、案内経路検索処理について説明する。図4に、この案内経路検索処理を制御回路19に実現させるための案内経路検索プログラム100を示す。
【0037】
制御回路19は、ユーザによる操作スイッチ群12を用いた目的地設定の操作を検出することで、この案内経路検索プログラム100の実行を開始し、まずステップ110で、案内経路の確定のための処理を行う。すなわち、周知のダイクストラ法等を用い、現在位置特定処理によって特定した現在位置から設定された目的地までの最適な経路を算出し、その算出結果の経路を案内経路とする。
【0038】
続いてステップ120で、現在位置から案内経路の進行方向に沿って案内交差点を1つ抽出する。案内交差点としては、案内経路中、直進しない交差点等とする。
【0039】
続いてステップ130で、抽出した案内交差点への進入に制限があるか否かを判定する。具体的には、案内経路に沿って当該案内交差点へ進入する道路片(以下進入道路片と記す)の車線(以下進入車線と記す)のうち、方向制限のある車線が1つでもあるとき、当該案内交差点への進入に制限があると判定する。ここで、方向制限のある車線とは、その車線から当該案内交差点に進入しても、退出できない道路片が、当該案内交差点に接続する道路片のうちに(進入車線を除いて)1つでもあることをいう。そして、全ての進入車線が、方向制限のない車線である場合、当該案内交差点への進入に制限がないと判定する。なお、この判定は、地図データ中の車線−退出方向対応情報に基づいて行う。
【0040】
当該案内交差点への進入に制限がある場合、続いてステップ140を実行し、ない場合、続いてステップ180を実行する。
【0041】
ステップ140では、当該案内交差点から手前交差点までの距離が規定値以内か否かを判定する。手前交差点とは、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる交差点をいう。規定値は、例えば50m、100m等である。規定値以内の場合、続いてステップ150を実行し、規定値より大きい場合、続いてステップ180を実行する。
【0042】
ステップ150では、手前交差点からの退出に制限があるか否かを判定する。これは、具体的には、地図データ中の車線制限情報に基づいて、当該案内経路に沿った当該案内交差点からの退出道路片が、その案内交差点から退出した直後の地点において、車線変更禁止が1つでもあるか否かで判定する。手前交差点からの退出に制限がある場合、続いてステップ160を実行し、制限がない場合、続いてステップ180を実行する。
【0043】
ステップ160では、当該案内交差点と手前交差点の制限を組み合わさないと、当該案内交差点での案内方向の道路片への退出が不可能となるか否かの判定を行う。具体的には、当該案内交差点における進入可能車線、および手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限されるか否かで判定する。
【0044】
案内交差点における進入可能車線が案内経路によって制限されるとは、この案内交差点に進入し、案内経路に従った退出路からこの案内交差点を退出するためには、この案内交差点への進入車線が限定されることをいう。具体的には、車線−退出方向対応情報に基づいて、複数あるその案内交差点への進入車線のうち、案内経路に沿った退出道路片に退出できない車線があるか否かで、この案内交差点における進入可能車線が案内経路によって制限されるか否かを判定する。
【0045】
手前交差点における進入可能車線が案内経路によって制限されるとは、この手前交差点に進入し、最終的に案内経路に従った退出路から当該案内交差点を退出するためには、この手前交差点への進入車線が限定されることをいう。具体的には、車線−退出方向対応情報および車線制限情報に基づいて、手前交差点から案内交差点へ繋がる道路片において、その手前交差点退出直後から、その案内交差点まで、ほぼ切れ目無く車線変更制限があり、かつ、手前交差点からその道路片へ退出する際にとる車線によっては、当該案内交差点から案内経路に従った退出道路片に退出できなくなる場合があるか否かで判定する。
【0046】
当該案内交差点における進入可能車線、および手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される場合、続いてステップ170を実行し、制限されない場合、続いてステップ180を実行する。
【0047】
ステップ170では、当該案内交差点と手前交差点とを組み合わせた案内表示を、音声および画像で行うためのデータを作成し、これを案内予定データとして外部記憶媒体18に保存する。作成するデータは、車両が当該案内交差点の手前交差点に近づいたときに実際に表示させる画像データおよび音声データであってもよいし、そのときにどのような画像とどのような音声を表示のために生成するかを指定するデータであってもよい。
【0048】
ステップ180では、通常の案内交差点として、案内を作成する。すなわち、手前交差点を組み合わせない案内を、音声および画像で行うためのデータを作成し、これを案内予定データとして外部記憶媒体18に保存する。
【0049】
ステップ170、180の後、ステップ190では、案内経路中の案内交差点を最後まで抽出したか否かを判定する。最後まで抽出していれば、案内経路検索プログラム100の実行を終了する。抽出していない案内交差点があれば、続いてステップ120で、そのうちから1つを抽出する。
【0050】
このように、案内経路検索プログラム100を実行することで、制御回路19は、選択した案内交差点と、その手前交差点との距離が所定値以下であることを判定し(ステップ140参照)、選択した案内交差点における進入可能車線、および手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限されることを判定する(ステップ160参照)ことに基づいて、案内交差点と手前交差点を組み合わせた画像および音声案内のためのデータを案内予定データとして記憶媒体に記憶する。
【0051】
そして、制御回路19は、このように各案内交差点についての案内のためのデータを有するようになった案内予定データに基づいて、上記した経路案内処理を行う。すなわち、画像および音声の案内のためのデータが対象とする位置から所定距離内に自車両が到達すると、そのデータに基づいた画像信号、音声信号を、それぞれ画像表示装置13、オーディオアンプ14に出力する。
【0052】
図5に、経路案内処理によって19が行う画面表示の一例を示す。この表示画像は、案内系路上の案内交差点Xおよび手前交差点Yを含む道路地図上に、自車両21、案内車線指示線22等を重ねて表示させたものである。
【0053】
この例においては、案内交差点Xと手前交差点Yの案内経路に沿った距離は、上記した所定距離以下である。また、案内経路に沿った案内交差点Xへの進入道路片は片側2車線であり、手前交差点Yへの進入道路片は片側3車線である。また、案内交差点Yから手前交差点Xへの道路片の2車線は、分離帯23によって終始車線変更不能となっている。また、路上ペイント24〜28に示されるように、案内交差点Xの手前の道路片の最も左の車線は、左折のみが許可されるようになっており、左端から2番目の車線は、直進のみが許可されるようになっている。したがって、案内経路通り案内交差点Xを左折するには、手前交差点Yへの進入道路片において、中央の車線を通らねばならない。すなわち、手前交差点Yにおける進入可能車線が案内経路によって制限されている。
【0054】
このような案内交差点Xについて、制御回路19が案内予定データに書き込み、その後自車両がこの手前交差点Yに近づいたとき画像表示装置13を制御して表示させる画像は、図5のように、案内交差点X、手前交差点Y、および案内経路に沿った案内交差点X、手前交差点Yへの進入道路片を含む地図上に、案内交差点Xへの進入可能車線および手前交差点Yへの進入可能車線を指定する案内車線指示線22が重ねられ、さらに、この2つの交差点X、Yの画像表示を強調する円31、32が重ねられたものとなる。
【0055】
そして制御回路19は、このような画像表示を行うと共に、オーディオアンプ14に、「交差点Yは中央の車線を走行してください。その先、左車線です。○○メートル先、交差点Xを左方向です。」という音声信号を出力する。
【0056】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、決定した案内経路中の案内交差点を1つずつ選択し、その選択した案内交差点について、「案内交差点とその手前交差点との距離が所定距離より短い」という条件、ならびに、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」という条件が共に満たされる場合、後に自車両がその手前交差点に近づいたとき、画像表示と音声表示を併せて行う。そして、その画像表示は、(1)その案内交差点、(2)案内経路に沿ったその案内交差点への進入道路、(3)その案内交差点への進入可能車線の指定、(4)その手前交差点、(5)案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路、および(6)その交差点への進入可能車線の指定を、同時に表し、さらに、この2つの交差点の画像表示を強調する。また、その音声表示は、その案内交差点への進入可能車線の指定、およびその手前交差点への進入可能車線の指定を案内するものである。このような画像表示および音声表示が行われるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0057】
なお、本実施形態においては、制御回路19が、案内経路検索プログラム100のステップ140を実行することで、距離判定手段として機能する。
【0058】
また、制御回路19が、案内経路検索プログラム100のステップ160を実行することで、制限判定手段として機能する。
【0059】
また、画像表示装置13が、画像表示手段に相当する。
【0060】
また、オーディオアンプ14およびスピーカ15が、音声表示手段に相当する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成は第1実施形態と同じである。本実施形態の作動が第1実施形態と異なるのは、制御回路19が、案内経路検索プログラム100に代え、図6に示す案内経路検索プログラム200を実行することである。
【0061】
以下、この案内経路検索プログラム200について説明する。制御回路19は、ユーザによる操作スイッチ群12を用いた目的地設定の操作を検出することで、この案内経路検索プログラム200の実行を開始し、まずステップ210で、案内経路検索プログラム100のステップ110と同等の、案内経路を確定するための処理を行う。
【0062】
続いてステップ220で、現在位置から案内経路の進行方向に沿って交差点を1つ抽出する。ここで抽出する対象となるのは、案内交差点に限らず、全ての交差点である。
【0063】
続いてステップ230で、抽出した当該交差点への進入に制限があるか否かを、案内経路検索プログラム100のステップ130と同じように判定する。制限がある場合、続いてステップ240を実行し、制限がない場合、続いてステップ270を実行する。
【0064】
ステップ240では、当該交差点の手前交差点からの退出に制限があるか否かを、案内経路検索プログラム100のステップ150と同じように判定する。制限がある場合、続いてステップ250を実行し、制限がない場合、続いてステップ270を実行する。
【0065】
ステップ250では、当該交差点と手前交差点の制限を組み合わさないと該当交差点から案内方向への退出が不可能であるか否かを、案内経路検索プログラム100のステップ160と同じように判定する。不可能であれば続いてステップ260を実行し、可能であれば続いてステップ270を実行する。
【0066】
ステップ260では、案内経路検索プログラム100のステップ170と同じように、当該交差点と手前交差点を組み合わせた案内のためのデータを作成し、案内予定データとして制御回路19に保存する。ステップ260の後、続いてステップ290を実行する。
【0067】
ステップ270では、当該交差点が案内交差点であるか否かを判定し、案内交差点であれば続いてステップ280を実行し、案内交差点でなければ続いてステップ290を実行する。
【0068】
ステップ280では、当該交差点について、案内経路検索プログラム100のステップ180と同様、通常の案内交差点としての案内のためのデータを作成し、案内予定データとして制御回路19に保存する。ステップ280の後、続いてステップ290を実行する。
【0069】
ステップ290では、案内経路中の交差点を最後まで抽出したか否かを判定する。最後まで抽出していれば、案内経路検索プログラム200の実行を終了する。抽出していない交差点があれば、続いてステップ220で、そのうちから1つを抽出する。
【0070】
このような案内経路検索プログラム200を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、選択した案内交差点における進入可能車線、および手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限されることを判定する(ステップ250参照)ことに基づいて、交差点と手前交差点を組み合わせた画像および音声案内のためのデータを案内予定データとして記憶媒体に記憶する。
【0071】
そして、制御回路19は、このように各案内交差点についての案内のためのデータを有するようになった案内予定データに基づいて、第1実施形態に示した経路案内処理を行う。すなわち、画像および音声の案内のためのデータが対象とする位置から所定距離内に自車両が到達すると、そのデータに基づいた画像信号、音声信号を、それぞれ画像表示装置13、オーディオアンプ14に出力する。
【0072】
図7に、経路案内処理によって19が行う画面表示の一例を示す。この表示画像は、案内系路上の、第1実施形態において図5に示した交差点Xおよび手前交差点Yを含む道路地図上に、自車両21、案内車線指示線29等を重ねて表示させたものである。ただし、本実施形態における案内経路は、交差点Xを左折せずに直進するので、交差点Xは案内交差点ではない。したがって、案内経路通り交差点Xを直進するには、手前交差点Yへの進入道路片において、最も右側を通らねばならない。すなわち、手前交差点Yにおける進入可能車線が案内経路によって制限されている。
【0073】
このような交差点Xについて、制御回路19が案内予定データに書き込み、その後自車両がこの手前交差点Yに近づいたとき画像表示装置13を制御して表示させる画像は、図7のように、交差点X、手前交差点Y、および案内経路に沿った交差点X、手前交差点Yへの進入道路片を含む地図上に、交差点Xへの進入可能車線および交差点Yへの進入可能車線を指定する案内車線指示線29が重ねられ、さらに、この2つの交差点X、Yの画像表示を強調する円31、32が重ねられたものとなる。
【0074】
そして制御回路19は、このような画像表示を行うと共に、オーディオアンプ14に、「交差点Yは右側の車線を走行してください。その先、右車線です。」という音声信号を出力する。
【0075】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、決定した案内経路中の全ての交差点を1つずつ選択し、その選択した交差点について、「当該交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」という条件が共に満たされる場合、後に自車両がその手前交差点に近づいたとき、画像表示と音声表示を併せて行う。そして、その画像表示は、(1)その選択した交差点、(2)案内経路に沿ったその選択した交差点への進入道路、(3)その選択した交差点への進入可能車線の指定、(4)その手前交差点、(5)案内経路に沿ったその手前交差点への進入道路、および(6)その手前交差点への進入可能車線の指定を、同時に表し、さらに、この2つの交差点の画像表示を強調する。また、その音声表示は、その選択した交差点への進入可能車線の指定、およびその手前交差点への進入可能車線の指定を案内するものである。このような画像表示および音声表示が行われるので、曲がるべき交差点がわかりやすく伝わる。
【0076】
なお、本実施形態においては、制御回路19が、案内経路検索プログラム200のステップ250を実行することで、制限判定手段として機能する。
【0077】
また、画像表示装置13が、画像表示手段に相当する。
【0078】
また、オーディオアンプ14およびスピーカ15が、音声表示手段に相当する。
(他の実施形態)
なお、上記した第1実施形態においては、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」という条件が満たされるか否かを判定するために、ステップ160で、手前交差点から案内交差点へ繋がる道路片において、その手前交差点退出直後から、その案内交差点まで、ほぼ切れ目無く車線変更制限があり、かつ、手前交差点からその道路片へ退出する際にとる車線によっては、当該案内交差点から案内経路に従った退出道路片に退出できなくなる場合があるか否かを判定している。
【0079】
しかし、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」か否かの判定は、必ずしもこのような例に限らず、例えば、車線−退出方向対応情報に基づいて、手前交差点への案内経路に沿った進入道路片中の複数の進入車線のうち、案内交差点への案内経路に沿った進入道路片に入れない車線がある場合に、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」と判定してもよい。このような判定が行われる場合に、車両用ナビゲーション装置が経路案内処理によって行う画像表示の一例を図8に示す。この表示画像は、案内系路上の案内交差点Pおよびその手前交差点Qを含む道路地図上に、自車両41、案内車線指示線42、ポップアップ画像43等を重ねて表示させたものである。
【0080】
この例においては、案内交差点Pと案内交差点Qの案内経路に沿った距離は、上記した所定距離以下である。また、案内経路に沿った案内交差点Pへの進入道路片は片側2車線であり、手前交差点Qへの進入道路片は片側2車線である。案内交差点Yから手前交差点Xへの道路片の2車線には、特に車線変更規制はない。また、路上ペイント44〜47に示されるように、案内交差点Pの手前の道路片の最も左の車線は、直進および左折のみが許可されるようになっており、左端から2番目の車線は、直進のみが許可されるようになっている。また手前交差点Qの手前の道路変の最も左の車線は、左折のみが許可されるようになっていおり、左端から2番目の車線は、直進のみが許可されるようになっている。したがって、自車両41が案内経路通り案内交差点Xを左折するには、手前交差点Yへの進入道路片において、左側の車線を通らねばならない。
【0081】
このような案内交差点Xについて、制御回路19が案内予定データに書き込み、その後自車両がこの手前交差点Yに近づいたとき画像表示装置13を制御して表示させる画像は、図8のように、案内交差点P、手前交差点Q、および案内経路に沿った案内交差点P、手前交差点Qへの進入道路片を含む地図上に、案内交差点Pへの進入可能車線および手前交差点Qへの進入可能車線を指定する案内車線指示線42が重ねられ、さらに、この2つの交差点X、Yの画像表示を強調する円48、49が重ねられたものとなる。
【0082】
また、この画像に、レーンリストを表示するポップアップ画像43を更に重ねてもよい。レーンリストは、2つの交差点への進入道路片における車線、案内経路に沿った案内交差点Pへの進入道路中の案内車線の指定、および案内経路に沿ったその手前交差点Pへの進入道路中の案内車線の指定を、同時に行うものである。
【0083】
また、上記した第1実施形態において、車両用ナビゲーション装置1は、「案内交差点とその手前交差点との距離が所定距離より短い」という条件、ならびに、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」という2つの条件が共に満たされる場合、後に、第1実施形態に示したような、その案内交差点と手前交差点を組み合わせた画像表示と音声表示を併せて行うようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、「案内交差点への進入可能車線、およびその手前交差点における進入可能車線が、案内経路によって制限される」という条件が満たされなくとも、「案内交差点とその手前交差点との距離が所定距離より短い」という条件が満たされれば、後に、その案内交差点と手前交差点を組み合わせた画像表示と音声表示を併せて行うようになっていてもよい。
【0084】
このような場合の画像表示は、案内交差点、その手前交差点、および案内経路に沿った案内交差点、手前交差点への進入道路片を含む地図上に重ねる案内車線指示線は、案内経路に沿って案内交差点を退出するには、必ずしもその車線を走行しなければならないわけではないが、その車線を走行することが望ましいような車線を指示する案内車線指示線であればよい。例えば図8において、手前交差点Qへの案内経路に沿った進入道路片の左端の車線が、直進も可能になっている場合、案内経路に沿って案内交差点Pを退出するには、この手前交差点への進入道路片のどの車線を通ってもよいが、2つの交差点P、Q間が近いということから、左端の車線を通ることが望ましい。このようなとき、この左端の車線は、「案内経路に沿って案内交差点を退出するには、その車線を走行することが望ましい」車線である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来技術における交差点案内の例を示す図である。
【図2】従来技術における交差点案内の例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成を示す図である。
【図4】案内経路検索プログラム100のフローチャートである。
【図5】第1実施形態の経路案内処理によって画像表示装置13が行う画面表示の一例を示す図である。
【図6】案内経路検索プログラム200のフローチャートである。
【図7】第2実施形態の経路案内処理によって画像表示装置13が行う画面表示の一例を示す図である。
【図8】制御回路19による経路案内処理によって画像表示装置13が行う画面表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、 14…オーディオアンプ、15…スピーカ、
18…外部記憶媒体、19…制御回路、21…車両、 22、29…案内車線指示線、 23…分離帯、100、200…案内経路検索プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、
前記距離判定手段の判定に基づいて、(1)前記案内交差点、(2)前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路、(3)この進入道路中の案内車線の指定、(4)前記手前交差点、(5)前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路、および(6)この進入道路中の案内車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、
前記距離判定手段の判定に基づいて、前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路中の案内車線の指定を音声表示する音声表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
選択した交差点への進入可能車線、および前記選択した交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点における進入可能車線が、前記案内経路によって制限されることを判定する制限判定手段と、
前記制限判定手段の判定に基づいて、前記選択した交差点への進入可能車線の指定と前記手前交差点への進入可能車線の指定とを同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記画像表示手段は、前記制限判定手段の判定に基づいて、(1)前記選択した交差点、(2)前記案内経路に沿った前記選択した交差点への進入道路、(3)前記選択した交差点への進入可能車線の指定、(4)前記手前交差点、(5)前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路、および(6)前記手前交差点への進入可能車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
選択した交差点への進入可能車線、および前記選択した交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点における進入可能車線が、前記案内経路によって制限されることを判定する制限判定手段と、
前記制限判定手段の判定に基づいて、前記選択した交差点への進入可能車線の指定、および前記手前交差点への進入可能車線の指定を音声表示する音声表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記選択した交差点は案内交差点であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
設定された目的地までの案内経路を特定し、その案内経路の案内を行う車両用ナビゲーション装置であって、
案内交差点と、この案内交差点に対して案内経路に沿って1つ手前となる手前交差点との距離が所定値以下であることを判定する距離判定手段と、
前記距離判定手段の判定に基づいて、前記案内経路に沿った前記案内交差点への進入道路中の案内車線の指定、および前記案内経路に沿った前記手前交差点への進入道路中の案内車線の指定を、同時に画像表示する画像表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−23158(P2006−23158A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200631(P2004−200631)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】