説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 車載用車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減する。
【解決手段】 車載用車両用ナビゲーション装置が、放送局データに基づいて、その放送局の受信可能エリアを地図に重ねて表示し、さらにその表示と同時にその放送局の名称および放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその無線送信基地局の現在位置からの距離を表示する。また、現在地から設定された目的地までの経路の選択を、当該経路が当該受信可能エリア内にあることを考慮した方法と、考慮しない方法の2つで行い、その2つの方法によって選択された2つの経路を、案内経路候補として、ユーザに選択を促すような形式で画像表示装置に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ、テレビ等の放送局の受信可能エリアを表示する車載用車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用ナビゲーション装置には、テレビ受信機能、ラジオ受信機能が備えられる等、車内で無線放送局の放送を受信することができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、放送局の無線送信基地局からの電波が届く範囲、すなわち受信可能エリアは限られている。図5の関東地図に例示すように、基地局61の受信可能エリアは、その地域の地形、高低変化等の要因に基づいて、例えば、ハッチングで示すようなエリアとなる。
【0004】
また、車両は、このような放送局の受信可能エリア内から外れることがあるので、そのような場合、車両用ナビゲーション装置は情報を受信できなくなってしまう。乗員にとっては、その放送局の受信可能エリアがどのようになっているかを知らなければ、どのような経路を通れば受信不能となることを避けられるのか、あるいは受信不能となったときにどこに向かえば受信復帰ができるのか判らなくなってしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、車両が乗員の意図に反して無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局名、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の名称およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置である。
【0007】
このようになっているので、地図上に受信可能エリアおよび放送局名が表示されるので、ユーザはどの放送局の受信可能エリアがどのようになっているかを視認することができる。したがって、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局の無線送信基地局の位置、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置である。
【0009】
このようになっているので、地図上に受信可能エリアおよび無線送信基地局への地図上の方向が表示されるので、ユーザは無線送信基地局がどこにあり、そして受信可能エリアはどのようになっているかを視認することができる。したがって、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局名、その放送局の無線送信基地局の位置、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の名称、その放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置である。
【0011】
このようになっているので、地図上に受信可能エリア、無線送信基地局への地図上の方向、および放送局名が表示されるので、ユーザはどの放送局の無線送信基地局がどこにあり、そして受信可能エリアはどのようになっているかを視認することができる。したがって、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置において、指向性を有する受信アンテナと、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の無線送信基地局の方向に、前記受信アンテナの指向性を向けるアンテナ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
このようになっていれば、もし放送局からの受信レベルが悪くなっていても、受信アンテナの指向性を無線送信基地局に向けることで、受信状態の悪化を抑えることができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、複数の無線送信放送局のそれぞれについて、その放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、前記記憶媒体中の地図データおよび放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして選択する第1経路選択手段と、前記記憶媒体中の地図データに基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとせずに選択する第2経路選択手段と、前記第1および第2経路選択手段によって選択された経路を、目的地までの案内経路候補として共に画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0015】
このようになっているので、案内放送局の受信可能エリアにある率が高い経路が優先的に選択され、それが案内候補として表示されるので、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。また、放送局の受信可能エリアにある率が高い経路が優先的に選択されることのない経路も、案内経路候補として共に表示されるので、ユーザの選択肢が広がる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、複数の無線送信放送局のそれぞれについて、その放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、前記記憶媒体中の地図データおよび放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして、選択する経路選択手段と、前記経路選択手段によって選択された経路を、目的地までの案内経路候補として画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、前記経路選択手段は、高速道路上の経路については、当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとしないことを特徴とする車両用ナビゲーション装置である。
【0017】
このようになっているので、案内放送局の受信可能エリアにある率が高い経路が優先的に選択され、それが案内候補として表示されるので、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。また、高速道路においては、その道路が受信可能エリア内であるか否かが経路選択に勘案されないようにもなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載用車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。車載用車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、オーディオアンプ14、スピーカ15、受信装置16、受信アンテナ17、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0019】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基いた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0020】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基いた信号を制御回路19に出力する。
【0021】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基いた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0022】
オーディオアンプ14は、制御回路19から出力された音声信号を増幅してスピーカ15に出力する。
【0023】
受信装置16は、アナログTVチューナ、デジタルTVチューナ、FM・AMラジオチューナ等、複数の媒体からデータを受信するための複数のチューナを有している。
【0024】
放送局としては、衛星デジタル放送各局、地上デジタルテレビ放送各局、地上アナログテレビ各局、FM、AMラジオ各局等がある。これら放送局は、放送内容の無線送信のための基地局を共用しあるいは独自に有している。
【0025】
各チューナは、それぞれの受信対象の放送局の使用する周波数帯の信号を受信できる受信アンテナ17から、当該周波数の無線信号を受け、その信号に対して、当該放送局にて用いられる通信規格に則った所定の周波数変換、増幅、(FM、AM、QPSK、OFDM等の)復調、アナログ/デジタル変換等の処理を施し、その処理の結果として生成されたデータを制御回路19に出力する。
【0026】
また、各チューナは、制御回路19から受信チャネルの選択を受けると、そのチャネルの信号の復調を行い、そのチャネルのデータを制御回路19に出力するようになっている。
【0027】
受信アンテナ17は、それぞれ異なる周波数帯の電波受信が可能なアンテナが複数集まったものでもよいし、1つのアンテナが複数の周波数帯の電波を受信できるようになっていてもよい。また、受信アンテナは、同じ周波数帯用のアンテナが、車両の前端、後端、右側面、左側面の四方に取り付けられている。そしてこの四方のアンテナのうちどれを用いて受信するかを、制御回路19が制御できるようになっている。したがって、受信アンテナ17は、全体として指向性が制御可能となっている。
【0028】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。また、本実施形態の外部記憶媒体18は、放送局データを記憶している。
【0029】
放送局データは、放送局毎のエントリを複数有し、各エントリは、その放送局の放送局名称、放送局が用いる1つまたは複数の無線送信基地局の位置情報(例えば緯度、経度)、および当該複数の無線送信基地局毎の受信可能エリア情報(例えば受信可能エリア境界の緯度、経度)という、3つの項目に関する情報を有している。
【0030】
制御回路19は、図示しないRAM、ROM、CPUを有している。このCPUは、ROMおよび外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際には上記ROM、RAM、外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM、外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、オーディオアンプ14、受信装置16に対して信号の出力、受け取り、または授受を行う。
【0031】
制御回路19のCPUがプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、案内経路検索処理、経路案内処理、TV・ラジオ表示処理、交通・気象情報利用処理等がある。
【0032】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0033】
案内経路検索処理は、入力装置からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。
【0034】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された案内経路やメモリ地点等を地図データと共に表示装置12に画像表示させ、表示装置12に音声出力させることで、ユーザの案内経路に沿った運転を促す処理である。
【0035】
TV・ラジオ表示処理は、ユーザによるTV・ラジオ視聴開始、受信放送局(放送方式およびチャネル)選択等のための入力装置の操作に基づいて、受信装置16の各チューナを制御してTV放送局・ラジオ放送局からの無線による映像・音声信号を受け、これに基づく映像信号を画像表示装置13に出力し、また音声信号をオーディオアンプ14に出力する。
【0036】
交通・気象情報利用処理は、放送局からの信号の中に含まれる交通情報または気象情報(例えばFM放送の送信信号中に含まれる交通情報データ)を取得するため、受信装置16のチューナを制御して所定のチャネルのデータを取得し、そのデータ中から交通情報または気象情報を抽出し、抽出したデータを外部記憶媒体18または制御回路19のRAMに蓄積し、ユーザによる位操作スイッチ群12を用いた要求がある等、必要に応じてこの蓄積した交通情報データまたは気象情報データに基づく画像信号を画像表示装置13に出力する。
【0037】
また、制御回路19は、図2にフローチャートとして示すプログラム100を繰り返し実行する。このプログラムは、上記した経路検索処理も兼ねている。
【0038】
まずステップ110で放送局を使用中であるか否か、すなわち、制御回路19が受信装置16を制御して特定の媒体の特定のチャネルのデータを受け付けているかを判定する。使用中の場合、続いてステップ115に進み、使用中でない場合プログラム100の実行を終了する。
【0039】
ステップ115では、アンテナ制御を行う。具体的には、受信中の放送局の無線送信基地局への方向に、受信アンテナ17の指向性を向ける。受信中の無線送信基地局の位置は、外部記憶媒体18中の放送局データ中の当該放送局のエントリに基づいて特定する。このとき、当該エントリ中に無線送信基地局が複数含まれている場合、現在位置から最も近い無線送信基地局の位置を用いる。あるいは、現在表示している地図上に受信可能エリアがある無線送信基地局の位置を用いてもよい。
【0040】
また、受信アンテナ17の指向性の制御は、当該放送局の無線電波を受信するアンテナで、車両の前後左右の四方に設けられているものの作動・非作動を独立に制御することで行う。具体的には、上記四方のアンテナのうち、車両の現在位置と向きに基づいて、上記特定した無線送信基地局の位置に近いアンテナを特定し、そのアンテナのみを受信のために用いる。
【0041】
続いてステップ120では、受信している放送局は、交通情報を提供している放送局か否かを判定する。これは、受信したデータに交通情報を示す文字列データが含まれているか否か出判定する。交通情報を提供している場合、続いてステップ130の処理を実行し、提供していない場合、続いてステップ170の処理を実行する。
【0042】
ステップ130では、経路検索要求を受けているか否かを判定する。具体的には、ユーザの操作スイッチ群12の操作によって目的地の入力を受けており、かつ目的地に対してまだ案内経路が決定しない場合、経路検索要求を受けていると判定し、それ以外の場合、経路検索要求を受けていないと判定する。経路検索要求を受けていると判定した場合、続いてステップ140の処理を実行し、受けていないと判定した場合、プログラム100の実行を終了する。
【0043】
ステップ140では、ステップ120で交通情報を提供していると判定した放送局の受信エリアを考慮した経路選択を行う。具体的には、放送局データ中の当該放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして選択する。
【0044】
例えば、経路中のリンク(交差点等によって区切られる道路辺)毎に重みを付与し、その重みの総和が最も大きい経路を選択する様になっているなら、そのリンクが当該放送局の受信可能エリア内にある場合より、そのリンクが当該放送局の受信可能エリア内に入らない場合の方が、そのリンクの重みが小さくなるようにしてもよい。
【0045】
また例えば、現在地から目的地まで全て当該放送局が用いる無線送信基地局のいずれかの受信可能エリア内あるような経路を最優先に選択するようになっていてもよい。
【0046】
また、経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして、選択する場合においても、高速道路上の経路については、当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとしないようになっていてもよい。
【0047】
続いてステップ150では、交通情報提供放送局の受信エリアを考慮しない経路選択を行う。例えば、現在地から目的地までの最短経路や、各道路の平均速度を勘案した最速経路等の選択を行う。また例えば、上記した重みを、そのリンクが当該放送局の受信可能エリア内にある場合でも、そのリンクが当該放送局の受信可能エリア内に入らない場合でも同じにしてもよい。
【0048】
続いてステップ160では、2つの経路を案内候補として画像表示装置13に表示させる。このとき、画像表示装置13上に選択ボタンを表示させる等により、ユーザが操作スイッチ群12を用いてそれらのうちの1つを選択できるように促してもよい。ユーザの選択があると、続いてステップ170に進む。
【0049】
ステップ170では、受信エリアの表示要求があるか否かを判定する。表示要求があったか否かは、具体的には、ユーザによる操作スイッチ群12を用いた、特定の放送局の受信エリアの表示を要求する操作があったか否かによって判定する。表示要求があれば続いてステップ180を実行し、なければプログラム100の実行を終了する。
【0050】
ステップ180では、ステップ170で要求された放送局の通信エリアを地図に重ねるようにして画像表示装置13に表示させる。重ねるとは、地図の地理的位置と、そのエリアの地理的位置とが合致するように重ねることをいう。さらに、その表示と同時にその放送局の名称および放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその無線送信基地局の現在位置からの距離を表示する。
【0051】
その放送局の名称は、放送局データの該当するエントリに基づいて特定する。その放送局の無線送信基地局への地図上の方向の表示については、例えば、放送局データの該当するエントリ中から無線送信基地局の位置を特定し、現在位置からその特定した位置への方位を、地図表示の方位表示形式(例えば北が上、車両進行方向が上等)に合わせて表示させる。
【0052】
なお、このとき、当該エントリ中に無線送信基地局が複数含まれている場合、現在位置から最も近い無線送信基地局の位置を用いる。あるいは、現在表示している地図上に受信可能エリアがある無線送信基地局の位置を用いてもよい。
【0053】
また、無線送信基地局の現在位置からの距離の表示については、例えば、放送局データの該当するエントリ中から無線送信基地局の位置を特定し、現在位置からその特定した位置までの直線距離を表示させる。
【0054】
ステップ180の後、プログラム100の実行を終了する。
【0055】
上記した制御回路19によるステップ180の処理に基づいて画像表示装置13が表示する、現在地を含む地図の表示画面30を、図3に例示する。この図の表示画面30においては、地図上の道路31〜33と、道路31上の現在地マーク34と、NSK東京というFMラジオ放送局が用いる無線送信基地局の受信可能エリア境界を示す太実線35が示されている。なお、地図中では、斜線ハッチング部が、この無線放送基地局の受信可能エリア外となっている。また、表示画面30は、その右上の小部分に、方向表示部36、距離表示部37およびメディア名表示部38を有している。方向表示部36には、上記した基地局の位置の方向表示が、距離表示部37には、上記した現在位置の基地局までの距離が、メディア名表示部38には、NSK東京の名称が表示されている。
【0056】
また、上記した制御回路19のステップ160の処理に基づいて画像表示装置13が表示する、2つの案内経路表示を、図4に示す。この図4の表示画面40も、図3と同様に、地図に受信可能エリアを重ねた表示に対する付加的な表示として、方向表示部36、距離表示部37、メディア名表示部38を有していてもよい。
【0057】
この図4の地図上において、道路41上に現在地マーク42があり、受信可能エリア境界43を境とする斜線ハッチングを施されている部分が、交通情報を提供する放送局の受信可能エリア外である。この地図上に、現在地マーク42を始点とする第1案内経路候補44(ハッチ1で示された経路)、第2案内経路候補45(ハッチ1で示された経路)が表示されている。第1案内経路候補44は、プログラム100のステップ140において制御回路19が選択した経路であり、受信可能エリアのみを通るようになっている。第2案内経路候補45は、ステップ150において制御回路19が選択した経路受信可能エリアである。
【0058】
なお、ユーザが、操作スイッチ群12のタッチパネルを用いて、この第1案内経路候補44または第2案内経路候補45の位置をタッチすることで、制御回路19は、そのタッチされた対象の経路を案内するようになっていてもよい。
【0059】
以上のようなプログラム100を制御回路19が実行することで、車載用車両用ナビゲーション装置1は、
ユーザにより受信指定された放送局があれば、外部記憶媒体18中の放送局データに基づいて、その放送局の受信可能エリアを地図に重ねて表示し、さらにその表示と同時にその放送局の名称および放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその無線送信基地局の現在位置からの距離を表示する。
【0060】
このようになっているので、地図上に受信可能エリア、無線送信基地局への地図上の方向、現在位置から無線送信基地局までの距離、および放送局名が表示されるので、ユーザはどの放送局の無線送信基地局がどこにあり、そして受信可能エリアはどのようになっているかを視認することができる。したがって、車載用車両用ナビゲーション装置1が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。
【0061】
また、ユーザが確実に受信できる放送局を選択することができる。
【0062】
また、ユーザが今受信可能エリアから外れていることを知れば、その位置では通信を控えることができるので、受信量に基づいて課金されるようなシステムにおいては、課金額を抑えることができる。
【0063】
また、車載用車両用ナビゲーション装置1は、現在位置から当該無線送信基地局の方向に、受信アンテナ17の指向性を向けるようになっているので、もし無線送信基地局からの受信レベルが悪くなっていても、受信状態の悪化を低減することができる。
【0064】
また、車載用車両用ナビゲーション装置1は、放送局データ中の交通情報を提供する放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして選択し、また、最短経路を選択する等、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとせずに選択し、その選択された2つの経路を、目的地までの案内経路候補として、ユーザに選択を促すような形式で画像表示装置に表示させる。
【0065】
このようになっているので、放送局の受信可能エリアにある率が高い経路が優先的に選択され、それが案内候補として表示されるので、当該受信可能エリア内に車両がいる時間が長くなり、車両用ナビゲーション装置が無線送信の放送局の受信可能エリア外に出る恐れを低減することができる。
【0066】
また、受信可能エリアの考慮の対象となる放送局が、交通情報提供放送局となっているので、変動する道路交通状態をより確実に受信することが可能となる。
【0067】
また、放送局の受信可能エリアにある率が高い経路が優先的に選択されることのない経路も、案内経路候補として共に表示されるので、ユーザの選択肢が広がる。
【0068】
なお、上記した実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ160およびステップ180を実行することで、表示制御手段として機能する。
【0069】
また、制御回路19が、プログラム100のステップ115を実行することで、アンテナ制御手段として機能する。
【0070】
また、制御回路19が、プログラム100のステップ140を実行することで、第1経路選択手段および経路選択手段として機能する。
【0071】
また、制御回路19が、プログラム100のステップ150を実行することで、第2経路選択手段として機能する。
【0072】
また、上記した実施形態の受信アンテナ17は、同じ周波数帯用のアンテナが、車両の前端、後端、右側面、左側面の四方に取り付けられ、それぞれの作動、非作動が独立に制御可能となっており、それによって、受信アンテナ17が全体として指向性を有するようになっていた。しかし受信アンテナ17が指向性を有する方法としては、かならずしもこのようになっておらずともよく、例えば、外部記憶媒体18の制御によって機械的に向きを変えることのできるアンテナ等によって実現されていてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、車載用車両用ナビゲーション装置1は、放送局からの無線信号を受信するようになっているが、必ずしも受信できる必要はない。例えば、車載用車両用ナビゲーション装置1が受信機能を有していなくても、車載用車両用ナビゲーション装置1とは別のラジオ受信器、TV受信器が車内に搭載されていれば、放送局の受信可能エリアや無線送信基地局の名称、現在位置からの距離、方向を車載用車両用ナビゲーション装置1が表示することは有益である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る車載用車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図2】制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】画像表示装置13による表示画面30である。
【図4】画像表示装置13による表示画面40である。
【図5】基地局61の受信可能エリアの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1…車載用車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…オーディオアンプ、15…スピーカ、16…受信装置、
17…受信アンテナ、18…外部記憶媒体、19…制御回路、30…表示画面、
31〜33…道路、34…現在地マーク、35…受信可能エリア境界、
36…方向表示部、37…距離表示部、38…メディア名表示部、40…表示画面、
41…道路、42…現在地マーク、43…受信可能エリア境界、
44…第1案内経路候補、45…第2案内経路候補、61…基地局、
100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局名、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の名称およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局の無線送信基地局の位置、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
複数の無線放送局のそれぞれについて、その放送局名、その放送局の無線送信基地局の位置、およびその放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体中の地図データに基づく地図上に、前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の名称、その放送局の無線送信基地局への地図上の方向、およびその放送局の受信可能エリアを重ねて、画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
指向性を有する受信アンテナと、
前記記憶媒体中の放送局データに係る放送局の無線送信基地局の方向に、前記受信アンテナの指向性を向けるアンテナ制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
複数の無線送信放送局のそれぞれについて、その放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体中の地図データおよび放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして選択する第1経路選択手段と、
前記記憶媒体中の地図データに基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとせずに選択する第2経路選択手段と、
前記第1および第2経路選択手段によって選択された経路を、目的地までの案内経路候補として共に画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
複数の無線送信放送局のそれぞれについて、その放送局の受信可能エリアの情報を示す放送局データ、および地図データを記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体中の地図データおよび放送局の受信可能エリアの情報に基づき、現在地から設定された目的地までの経路を、当該経路が当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとして、選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段によって選択された経路を、目的地までの案内経路候補として画像表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記経路選択手段は、高速道路上の経路については、当該受信可能エリア内にある率が高いことを優先選択条件の1つとしないことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−23160(P2006−23160A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200633(P2004−200633)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】