説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得すること。
【解決手段】交通情報を受信する第1の交通情報取得手段(40、45)と、前記第1の第1の交通情報取得手段に比して高コストで交通情報を受信する第2の交通情報取得手段(50)と、前記第1又は第2の交通情報取得手段により取得された交通情報が、道路区間を表すリンク別に所定の記憶媒体に記憶されたリンク別交通情報(30B)と、前記リンク別交通情報に基づいて交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に交通情報を取得するように前記第2の情報取得手段を制御する判断制御手段(64)と、を備える車両用ナビゲーション装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外設備から交通情報を受信し、これに基づく案内を行なう車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報センターで編集、処理された渋滞や旅行時間(ある区間の走行所要時間をいう)、交通規制などの交通情報をリアルタイムで車両に送信する無料の情報通信システムが、VICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System)という名称で知られている。VICSでは、ビーコンやFM多重放送を介して車両への情報送信が行なわれている。車両において受信された情報は、車載機により表示・音声出力等される。
【0003】
また、自動車メーカーは、独自に情報センターを設置し、有償で交通情報を車両に送信するサービス事業を行なっている。車両への情報送信は、主に携帯電話の電波網やFM多重放送等を介して行なわれている。
【0004】
これらにより取得された交通情報は、車両内のユーザーに見やすいように加工されて液晶ディスプレイ等に表示される他、ナビゲーション装置が行なう自車両の現在位置から目的地までの経路案内に反映させると好適である。すなわち、渋滞情報や旅行時間情報を反映させ、最短時間で到達可能な経路を生成することが考えられる。
【0005】
この際に、渋滞情報や旅行時間等の交通情報が存在しない道路区間(リンク)の扱いが問題となる。これに関し、受信した交通情報に基づいて渋滞中心を予測し、渋滞中心に向かうリンクについては、同様に渋滞中心に向かうリンクのうち交通情報が存在するものに基づいて、補完処理を行なう装置についての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3953061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の装置は、あくまで同一方向に向かう他のリンクの渋滞程度や区間旅行時間に基づいて、交通情報の存在しないリンクの交通状態を推定するものであるため、最終的に導出される総旅行時間等の精度が低下するおそれがある。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得することが可能な車両用ナビゲーション装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
交通情報を受信する第1の交通情報取得手段と、
前記第1の第1の交通情報取得手段に比して高コストで交通情報を受信する第2の交通情報取得手段と、
前記第1又は第2の交通情報取得手段により取得された交通情報が、道路区間を表すリンク別に所定の記憶媒体に記憶されたリンク別交通情報と、
前記リンク別交通情報に基づいて交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に交通情報を取得するように前記第2の情報取得手段を制御する判断制御手段と、
を備える車両用ナビゲーション装置である。
【0009】
ここで、「高コスト」とは、情報料、通信料、電力消費等の観点から費用やエネルギー消費が高くなることをいう。
【0010】
この本発明の一態様によれば、リンク別交通情報に基づいて交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に交通情報を取得するように第2の情報取得手段を制御するため、通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得することができる。
【0011】
本発明の一態様において、
前記判断制御手段は、自車両周辺の所定領域内に存在するリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれない場合に、交通情報の取得が必要であると判断する手段であるものとしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様において、
自車両の現在位置からユーザーにより設定された目的地に至る推奨経路を生成する推奨経路生成手段を備え、
前記判断制御手段は、前記推奨経路生成手段により生成された推奨経路上のリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれない場合に、交通情報の取得が必要であると判断する手段であるものとしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様において、
自車両の現在位置からユーザーにより設定された目的地に至る推奨経路を生成する推奨経路生成手段と、
渋滞に関する統計情報を記憶した統計情報記憶手段と、を備え、
前記判断制御手段は、前記推奨経路生成手段により生成された推奨経路上のリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれないときに、前記統計情報記憶手段を参照して交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に、交通情報を取得するように前記第2の情報取得手段を制御する手段であるものとしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様において、
前記交通情報は、例えば、渋滞情報、及びリンク旅行時間情報を含む。
【0015】
また、本発明の一態様において、
前記第1の交通情報取得手段は、例えば、ビーコン又は公共電波を介して無償で交通情報を取得する手段である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得することが可能な車両用ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0018】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例に係る車両用ナビゲーション装置1について説明する。図1は、車両用ナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。車両用ナビゲーション装置1は、主要な構成として、GPS受信機10と、INS用センサー15と、HMI(Human Machine Interface)20と、メモリ30と、FM多重放送受信機40と、ビーコン受信機45と、通信装置50と、ナビゲーション装置用ECU(Electronic Control Unit)60と、を備える。なお、図中の矢印は、多重通信線を介し、CAN(Controller Area Network)やBEAN、AVC−LAN、FlexRay等の適切な通信プロトコルを用いて行なわれる機器間の情報通信の流れを示す。
【0019】
GPS受信機10は、GPS衛星から衛星の軌道と時刻のデータを含む電波信号を受信してナビゲーション装置用ECU60に出力する。INS用センサー15は、例えばジャイロセンサーや車速センサーを含み、センサー出力値をナビゲーション装置用ECU60に出力する。
【0020】
HMI20は、例えば、タッチパネルとしてユーザーによる各種の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置や、音声入出力のためのマイク、スピーカー、ブザー等を含む。HMI20の出力内容はナビゲーション装置用ECU60により決定され、HMI20になされた入力内容は、ナビゲーション装置用ECU60に送信される。
【0021】
メモリ30は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やCD−ROM、DVD等の記憶媒体である。メモリ30には、地図データ30A及びリンク別交通情報30Bその他の情報が格納されている。地図データ30Aは、交差点等を示す複数のノード座標、及びこれを接続するリンクにより道路形状を表現したものである。各リンクには、道路幅員や車線数、曲率等が付随して記憶されている。また、地図データは、代表的な設備の情報(地点情報)を含んでいる。リンク別交通情報30Bについては後述する。
【0022】
FM多重放送受信機40、及びビーコン受信機45は、第1情報センター110から交通情報を受信する。FM多重放送受信機40は、電源オンの状態で常時作動し、FM多重放送を介して交通情報(広域情報)を受信する。また、ビーコン受信機45は、電波ビーコン受信機と光ビーコン受信機を含み、高速道路脇に設置された電波発信機や主要道路に設置された投受光機の傍を通過した際に、交通情報(狭域情報)を受信する。FM多重放送受信機40、及びビーコン受信機45により受信された情報は、ナビゲーション装置用ECU60に出力される。
【0023】
第1情報センター110は、例えばVICSセンターなどの、無料で交通情報を提供する公共の設備である。第1情報センター110は、警察や道路管理者等のデータベースから入力された情報を元に、渋滞の有無及び程度、区間旅行時間、交通規制などを含む交通情報を生成し、車両に提供する。
【0024】
通信装置50は、第2情報センター120と無線通信を行なうための装置であり、例えば、無線基地局121及びネットワーク122を介して第2情報センター120との送受信を行なう。通信装置50と無線基地局121との間では携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話等を利用した無線通信が行なわれる。また、無線基地局121と第2情報センター120を接続するネットワーク122は、例えば、公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線ネットワークである。更に、通信装置50は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の短距離無線通信方式を用いたものであってもよい。
【0025】
第2情報センター120は、例えば自動車メーカーが運営する施設であり、第1情報センター110と同様のサービスを有償で行なっている。従って、通信に要する電力や情報料等の点で、通信装置50による第2情報センター120からの情報取得は、FM多重放送受信機40やビーコン受信機45による第1情報センター110からの情報取得に比して高コストなものとなっている。
【0026】
なお、第1情報センター110及び第2情報センター120が渋滞情報を生成する際の手法として、いわゆるプローブ情報システムが用いられてよい。
【0027】
ナビゲーション装置用ECU60は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等がバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、I/Oポート、タイマー、カウンター等を備える。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0028】
また、ナビゲーション装置用ECU60は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、目的地設定部61と、現在位置特定部62と、経路生成・案内部63と、情報取得判断部64と、リンク別交通情報管理部65と、を備える。
【0029】
目的地設定部61は、所定のタイミングでHMI20により目的地設定をユーザーに促し、音声又はタッチ入力等によりユーザーが目的地を設定すると、これを地図データ30Aから検索して、目的地の座標を現在位置特定部62に出力する。なお、「出力する」とは便宜的な表現であり、例えばメモリ30等の共有メモリに書き込む処理が行なわれてもよい。
【0030】
現在位置特定部62は、GPS受信機10及びINS用センサー15から入力される信号に基づいて、自車両の現在位置(緯度、経度)を特定する。具体的には、例えば、原則としてGPS受信機10が受信した電波信号の時間差に基づく演算により自車両の現在位置を特定し、GPS受信機10の受信圏外においてはINSセンサー15の出力に基づく補正を行なって自車両の現在位置を推定する。更に、地図データとのマッチングにより、特定した自車両の現在位置が正確か否かを定期的にチェックする処理を行なってもよいし、FM多重放送受信機40やビーコン受信機45を介して受信される各種情報に基づいて自車両の現在位置を補正してもよい。現在位置特定部62が特定した自車両の現在位置は、経路生成・案内部63に出力される。
【0031】
経路生成・案内部63は、現在位置特定部62が特定した自車両の現在位置から目的地設定部61により設定された目的地に至る推奨経路を、ダイクストラ法等を用いて生成し、生成した推奨経路に沿って自車両が走行できるように、HMI20によるナビゲーション表示や音声案内を行なう。より具体的には、交差点における右左折の案内や、高速道路の利用案内、目的地が近づいてきた旨の案内等を行なうように、これらを制御する。本実施例の場合、特に、リンク別交通情報30Bを参照して、総走行距離が最短となるように、或いは渋滞を回避するように、推奨経路が生成される。
【0032】
情報取得判断部64は、リンク別交通情報30Bに基づいて交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に交通情報を取得するように通信装置50を制御する。より具体的には、自車両周辺の所定領域内に存在するリンクについての交通情報がリンク別交通情報30Bに含まれない場合に、交通情報の取得が必要であると判断する。
【0033】
情報取得判断部64の具体的処理内容に先立って、リンク別交通情報30Bについて説明する。リンク別交通情報30Bは、例えばリンク別交通情報管理部65により管理され、図2に示す如きデータテーブルとしてメモリ30に記憶されている。リンク別交通情報管理部65は、FM多重放送受信機40、ビーコン受信機45、又は通信装置50により交通情報が受信されると、交通情報に含まれる渋滞度情報の有無、旅行時間情報の有無を図2に示す如き形式でメモリ30に記憶させる。ここで、渋滞度情報とは、例えば、ある区間の交通状態を、順調、混雑、渋滞の三段階で表したものである。また、旅行時間情報とは、そのリンクを走行するのに必要な所要時間である。なお、リンク別交通情報30Bは、車両電源がオフの状態となった度に消去されてもよいし、車両電源の状態に拘わらず所定時間(又は日数)毎に消去されてもよい。
【0034】
図3は、リンク別交通情報管理部65が実行する処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、FM多重放送受信機40、ビーコン受信機45、又は通信装置50により交通情報が受信される度に実行される。
【0035】
まず、受信リンク番号を取得する(S100)。続いて、リンク毎に、渋滞度の提供の有無を取得し(S102)、リンク旅行時間の提供の有無を取得し(S104)、リンク別交通情報30Bにおける当該リンクの欄を更新する(S106)。
【0036】
そして、S100〜S106の処理を一定時間(例えば、数[min]程度)繰り返し実行し(S108)、本フローを終了する。
【0037】
以下、情報取得判断部64が通信装置50を制御する際の動作について説明する。図4は、第1実施例に係る情報取得判断部64が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、例えば所定周期をもって繰り返し実行される。例えば、自車両の現在位置の変化に応じて推奨経路の再生成(リルート)がされる度に実行されてよい。
【0038】
まず、目的地設定部61により目的地が設定されるまで待機する(S200)。
【0039】
目的地設定部61により目的地が設定されると、経路探索範囲内のリンクについてリンク旅行時間情報が存在するか否かを判定する(S202)。ここで、経路探索範囲内とは、例えば半径数十[km]の円領域をいう。また、「経路探索範囲内のリンクについてリンク旅行時間情報が存在する」とは、理想的には「路探索範囲内に存在する全てのリンクについてリンク旅行時間情報が存在する」であるが、主要なリンクについてリンク旅行時間情報が存在することをもって「経路探索範囲内のリンクについてリンク旅行時間情報が存在する」と判定してもよいし、全リンクのうち所定割合以上のリンクについてリンク旅行時間情報が存在することをもって「経路探索範囲内のリンクについてリンク旅行時間情報が存在する」と判定してもよい。
【0040】
経路探索範囲内のリンクについてリンク旅行時間情報が存在する場合は(S202のYes)、経路探索(生成)を行なうように経路生成・案内部63に指示する(S204)。
【0041】
一方、経路探索範囲内のリンクについて旅行時間情報が存在しない場合は(S202のNo)、情報センター120に接続してリンク旅行時間情報を取得するように通信装置50を制御し(S206)、その後に経路探索(生成)を行なうように経路生成・案内部63に指示する(S204)。
【0042】
これにより、リンク旅行時間情報に基づいて、より適切な推奨経路が経路生成・案内部63により生成されることとなる。例えば、最短時間で到達可能な推奨経路を生成することが可能となる。また、経路探索範囲内のリンクについて旅行時間情報が存在する場合は、情報センター120への接続は行なわずに経路探索(生成)を行なうため、不要な通信接続が行なわれることを防止することができ、通信コストを抑制することができる。
【0043】
本実施例の車両用ナビゲーション装置1によれば、通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得することができる。
【0044】
<第2実施例>
以下、本発明の第2実施例に係る車両用ナビゲーション装置2について説明する。図5は、車両用ナビゲーション装置2の全体構成の一例を示す図である。車両用ナビゲーション装置2は、ハードウエア構成において第1実施例の車両用ナビゲーション装置と共通するため、同一の構成に対しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施例のメモリ30には、統計交通情報30Cが記憶される。また、本実施例のナビゲーション装置用ECU60は、機能ブロックとして統計交通情報管理部66を更に備える。
【0046】
統計交通情報30Cは、統計交通情報管理部66により管理される情報であり、過去に第1情報センター110又は第2情報センター120から受信した交通情報に基づいて、所定の要因(曜日、時間帯、天候、季節等)毎に、渋滞の発生確率(又は渋滞度を数値化している場合はその平均値等)を算出して記憶したものである。統計交通情報管理部66は、係る統計処理を情報受信の度、或いは所定時間毎に行なっている。
【0047】
以下、本実施例の情報取得判断部64が通信装置50を制御する際の動作について説明する。図6は、第2実施例に係る情報取得判断部64が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、例えば所定周期をもって繰り返し実行される。例えば、自車両の現在位置の変化に応じて推奨経路の再生成(リルート)がされる度に実行されてよい。
【0048】
まず、経路生成・案内部63による経路探索(生成)が行なわれるまで待機する(S300)。
【0049】
経路生成・案内部63による経路探索(生成)が行なわれると、生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在するか否かを判定する(S302)。ここで、「生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在する」とは、第1実施例で述べた如く、理想的には「生成された推奨経路上の全てのリンクにリンク旅行時間情報が存在する」であるが、推奨経路上の主要なリンクについてリンク旅行時間情報が存在することをもって「生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在する」と判定してもよいし、全リンクのうち所定割合以上のリンクについてリンク旅行時間情報が存在することをもって「生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在する」と判定してもよい。生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在する場合は、リンク旅行時間情報を反映させた適切な推奨経路が生成されていると考えられるため、経路案内を開始するように経路生成・案内部63に指示する(S316)。
【0050】
一方、生成された推奨経路上のリンクにリンク旅行時間情報が存在しない場合は、生成された推奨経路上のリンクに渋滞度情報が存在するか否かを判定する(S304)。
【0051】
生成された推奨経路上のリンクに渋滞度情報が存在する場合は(S304のYes)、その渋滞度情報の中に「渋滞」となっているものが存在するか否かを判定する(S306)。渋滞度情報の中に「渋滞」となっているものが存在しない場合は、目的地に至る交通状態が順調であり、交通情報を反映させる必要がないと考えられるため、経路案内を開始するように経路生成・案内部63に指示する(S316)。これに反し、渋滞度情報の中に「渋滞」となっているものが存在する場合は、目的地に至る交通状態が順調でなく、交通情報を反映させる必要があると考えられるため、第2情報センター120に接続して交通情報を取得するように通信装置50を制御し(S308)、経路の再探索(生成)を行なうように経路生成・案内部63に指示した後に(S310)、経路案内を開始するように経路生成・案内部63に指示する(S316)。
【0052】
また、生成された推奨経路上のリンクに渋滞度情報が存在しない場合は(S304のNo)、メモリ30から統計交通情報30Cを取得(ロード)する(S312)。そして、統計交通情報30Cを参照して渋滞可能性が高いか否かを判定する(S314)。ここで、渋滞可能性の判定は、例えば、現在の曜日や時間帯等を用いて、統計交通情報30Cにおける同一要因の場合の渋滞の発生確率が所定値以上である場合に、渋滞可能性が高いと判定する。渋滞可能性が高いと判定されなかった場合は、目的地に至る交通状態が順調であり、交通情報を反映させる必要がないと考えられるため、経路案内を開始するように経路生成・案内部63に指示する(S316)。これに反し、渋滞可能性が高いと判定された場合は、目的地に至る交通状態が順調でなく、交通情報を反映させる必要があると考えられるため、第2情報センター120に接続して交通情報を取得するように通信装置50を制御し(S308)、経路の再探索(生成)を行なうように経路生成・案内部63に指示した後に(S310)、経路案内を開始するように経路生成・案内部63に指示する(S316)。
【0053】
係る処理によって、リンク旅行時間情報が必要と考えられる場合には、これを第2情報センター120から取得して、適切な推奨経路が経路生成・案内部63により生成されることとなる。また、リンク旅行時間情報が必要と考えられる場合には、第2情報センター120への接続は行なわずに経路案内を開始するため、不要な通信接続が行なわれることを防止することができ、通信コストを抑制することができる。
【0054】
本実施例の車両用ナビゲーション装置2によれば、通信コストを抑制しつつ、必要な交通情報を取得することができる。
【0055】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0056】
例えば、第1実施例に係る処理と、第2実施例に係る処理は排他的・択一的なものではなく、これらが組み合わされてもよい。例えば、車両始動時の目的地設定の際には第1実施例に係る処理が実行され、その後の目的地再設定の際には第2実施例に係る処理が実行される等してよい。
【0057】
また、第1情報センター110と第2情報センター120が同一の施設であってもよい。すなわち、特許請求の範囲における「第1の交通情報取得手段」と「第2の交通情報取得手段」は、同一の施設から異なる手法により交通情報を取得する手段であってよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】車両用ナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】リンク別交通情報30Bの一例を示す図である。
【図3】リンク別交通情報管理部65が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第1実施例に係る情報取得判断部64が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】車両用ナビゲーション装置2の全体構成の一例を示す図である。
【図6】第2実施例に係る情報取得判断部64が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1、2 車両用ナビゲーション装置
10 GPS受信機
15 INS用センサー
20 HMI
30 メモリ
30A 地図データ
30B リンク別交通情報
30C 統計交通情報
40 FM多重放送受信機
45 ビーコン受信機
50 通信装置
60 ナビゲーション装置用ECU
61 目的地設定部
62 現在位置特定部
63 経路生成・案内部
64 情報取得判断部
65 リンク別交通情報管理部
66 統計交通情報管理部
110 第1情報センター
120 第2情報センター
121 無線基地局
122 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を受信する第1の交通情報取得手段と、
前記第1の第1の交通情報取得手段に比して高コストで交通情報を受信する第2の交通情報取得手段と、
前記第1又は第2の交通情報取得手段により取得された交通情報が、道路区間を表すリンク別に所定の記憶媒体に記憶されたリンク別交通情報と、
前記リンク別交通情報に基づいて交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に交通情報を取得するように前記第2の情報取得手段を制御する判断制御手段と、
を備える車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判断制御手段は、自車両周辺の所定領域内に存在するリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれない場合に、交通情報の取得が必要であると判断する手段である、
請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
自車両の現在位置からユーザーにより設定された目的地に至る推奨経路を生成する推奨経路生成手段を備え、
前記判断制御手段は、前記推奨経路生成手段により生成された推奨経路上のリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれない場合に、交通情報の取得が必要であると判断する手段である、
請求項1又は2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
自車両の現在位置からユーザーにより設定された目的地に至る推奨経路を生成する推奨経路生成手段と、
渋滞に関する統計情報を記憶した統計情報記憶手段と、を備え、
前記判断制御手段は、前記推奨経路生成手段により生成された推奨経路上のリンクについての交通情報が前記リンク別交通情報に含まれないときに、前記統計情報記憶手段を参照して交通情報の取得が必要であるか否かを判断し、交通情報の取得が必要であると判断した場合に、交通情報を取得するように前記第2の情報取得手段を制御する手段である、
請求項1又は2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記交通情報は、渋滞情報、及びリンク旅行時間情報を含む、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記第1の交通情報取得手段は、ビーコン又は公共電波を介して無償で交通情報を取得する手段である、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−133732(P2009−133732A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310354(P2007−310354)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】