説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】外部から取込んだ汎用アプリケーションと、既存の専用アプリケーションとの間で、特定条件に応じてUI出力の調停を行う車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】バーチャルIVIシステム34は、オープンプラットフォーム32上で動作中の汎用アプリに関する属性情報をHMIコントローラ35に対して通知する。HMIコントローラ35は、バーチャルIVIシステム34から通知された属性情報に基づき、特定条件下のときに、動作中の汎用アプリが当該特定条件下におけるUI出力を認められているか否かを判定する。判定の結果、汎用アプリケーションが当該特定条件下におけるUI出力を認められていない場合、出力手段において行うUI出力を、オープンプラットフォーム32に非依存の専用アプリによるUI出力、又は当該特定条件下におけるUI出力を認められた別の汎用アプリによるUI出力に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から取込んだHMI(Human machine interface)アプリケーションを所定のプラットフォーム上で動作させる車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、専用の無線機(例えば、DCM:Data Communication Module)や携帯電話端末を用いて外部から特定のHMIアプリケーションを取込み、そのHMIアプリケーションによる表示や音声等のユーザインタフェース(UI)出力を行うことにより情報提供をする車両用ナビゲーション装置が開発されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“G−BOOK.com”、[online]、トヨタメディアサービス株式会社、[平成23年7月25日検索]、インターネット<URL:http://g-book.com/pc/default.asp>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用ナビゲーション装置においては、HMIアプリケーションを外部から取込んで動作させるために、その車両用ナビゲーション装置における動作要件に合ったアプリケーションを個別に開発する必要があった。例えば、スマートフォン等の携帯情報端末向けに、オープンプラットフォームに対応したHMIアプリケーションが開発されているが、それらのHMIアプリケーションは、そのままでは車両用ナビゲーション装置に取込み、動作させることはできなかった。
【0005】
また、車両用ナビゲーション装置では、本来実装されている経路案内やカーオーディオ・ビジュアル、クリアランスソナーによる障害物回避案内といった車両用の既存アプリケーションが動作している。そのため、仮に、車両用ナビゲーション装置専用に開発されたアプリケーション以外のHMIアプリケーションを取込めたとしても、次のような問題が生じる可能性がある。
【0006】
例えば、従来の車両用の既存アプリケーションによるUI出力画面が表示されるべきところで、外部から取得のHMIアプリケーションによるUI出力画像が表示されていたがために、本来の既存アプリケーションのUI出力画面が表示されない可能性がある。
【0007】
このような事態を回避するために、その既存アプリケーションが行う表示や音声等のUI出力と、外部から取込まれたHMIアプリケーションが行うUI出力とが競合しないように調整しなければならない。その点において、従来の車両用ナビゲーション装置においては、外部から取込まれるHMIアプリケーションに、取込み先の車両用ナビゲーション装置での動作要件を考慮した個別の仕組みを設ける必要があった。よって、車両用ナビゲーション装置の要件に合ったHMIアプリケーションを個別に開発するのには多大な開発資源を必要とし、また、それが情報鮮度や汎用性の高いHMIアプリケーションの普及を妨げる要因にもなる。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、車両用ナビゲーション装置専用に開発されたアプリケーション以外の、外部から取込んだHMIアプリケーションであっても車両用ナビゲーション装置上でUI出力ができ、かつ所定条件に応じて必要なUI出力に切替可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、外部との情報通信を通じて導入される汎用アプリケーションを動作させるためのプラットフォームを備えており、プラットフォームに非依存の専用アプリケーションと、プラットフォーム上の汎用アプリケーションとが独立して動作する構成を備える車両用ナビゲーション装置であって、制御手段と管理手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
制御手段は、所定の出力手段において行うUI出力を、専用アプリケーションによるUI出力と、プラットフォーム上で動作している汎用アプリケーションによるUI出力とで選択的に切替える機能を有する。管理手段は、プラットフォーム上で動作するソフトウェアであって、当該車両用ナビゲーション装置に導入されている汎用アプリケーションに関する属性情報を取得し、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションの属性情報を制御手段に対して通知する機能を有する。
【0011】
そして、制御手段は、特定の条件下のときに、プラットフォーム上で動作中であって出力手段でUI出力をしている汎用アプリケーションが、当該特定の条件下におけるUI出力を認められたものであるか否かを、管理手段から通知された属性情報に基づいて判定し、その判定の結果、その汎用アプリケーションが当該特定の条件下におけるUI出力を認められていない場合、出力手段において行うUI出力を専用アプリケーションによるUI出力、又はプラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションのうち当該特定の条件下におけるUI出力を認められた別の汎用アプリケーションによるUI出力に切替える機能を有する。
【0012】
本発明によれば、汎用アプリケーションを動作させるためのプラットフォームを備えることで、車両用ナビゲーション装置で外部から導入される汎用アプリケーションによるUI出力を行うことができる。なお、ここでいうUI出力とは、表示、音声、触力覚的作用といった様々な手法でユーザである車両の乗員に対して何らかの情報を提示することを意味する。
【0013】
特に、様々なコンピュータシステムで広く使われているソフトウェアを利用することを想定したいわゆるオープンプラットフォームを用いることで、車両用ナビゲーション装置専用のソフトウェア開発メーカが開発した独自規格の専用アプリケーション以外に、オープンプラットフォームの標準規格に準拠した多種多様な汎用アプリケーションを利用できる。そして、このような汎用性の高いアプリケーションを利用することで、インターネットを中心とするクラウドコンピューティングとの連携や、スマートフォン等の高機能携帯端末との連携等、広い分野での情報の相互利用が可能となる。
【0014】
そして、制御手段は、プラットフォーム上で動作する管理手段から通知された汎用アプリケーションの属性情報に基づいて、車両用ナビゲーション装置の専用アプリケーションによるUI出力と、プラットフォーム上で動作する汎用アプリケーションによるUI出力とで選択的に切替えることができる。このような構成によれば、制御手段は今プラットフォーム上でどの汎用アプリケーションが動作しているかとか、その動作の状況等を意識する必要はなく、専ら管理手段から通知された属性情報に基づき、所定条件に応じて必要なUI出力に切替を行うことができる。
【0015】
また、管理手段は、プラットフォーム上で動作する汎用アプリケーションと制御手段との仲立ちをする機能を担うものである。この管理手段をプラットフォーム上で動作するソフトウェアとしたことで、共通のプラットフォーム上で動作する汎用アプリケーションとの間でデータの相互利用が可能であり、汎用アプリケーションに関する属性情報の取得や動作状況の把握が容易となる。
【0016】
一方、プラットフォーム上で動作する汎用アプリケーションからみれば、プラットフォームの標準規格に準拠したものであれば、上述の管理手段及び制御手段の働きにより、取込み先の車両用ナビゲーション装置側での動作要件を考慮した個別の仕組みを設ける必要がない。
【0017】
つぎに、請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置においては、管理手段が、当該車両用ナビゲーション装置に導入された汎用アプリケーションに関する属性情報を取得し、その取得した属性情報を当該車両用ナビゲーション装置が備える所定の記憶手段に記録する。そして、記憶手段に記録した属性情報の中から、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションの属性情報を制御手段に対して通知することを特徴とする。このように構成することで、管理手段は、車両用ナビゲーション装置に導入されている汎用アプリケーションに関する属性情報を制御手段が必要とするときにいつでも取得できる。
【0018】
さらに、請求項3に記載のように、当該車両用ナビゲーション装置が外部との通信を通じて汎用アプリケーションを取得したときに、管理手段が当該汎用アプリケーションに関する属性情報を取得して記憶手段に記録するように構成するとよい。このように構成することで、汎用アプリケーションの導入後すぐに、その汎用アプリケーションに関する属性情報を利用可能にすることができる。また、属性情報の取得方法としては、取得された汎用アプリケーションに元から組込まれている属性情報のデータを取得するようにしてもよいし、外部との情報通信によって汎用アプリケーションの取得する際に、その配布元から一緒に提供される属性情報を取得するようにしてもよい。
【0019】
つぎに、請求項4に記載の車両用ナビゲーション装置は以下の特徴を有する。すなわち、制御手段は、特定の条件下で出力手段において行うUI出力を専用アプリケーションによるUI出力に切替える際、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションの停止を指示する旨の停止通知を管理手段に対して通知する。これに対し、管理手段は、制御手段から受けた停止通知に応じて、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションを一時停止又は終了させる。
【0020】
このように構成することで、例えば、専用アプリケーションによるUI出力を最優先で表示すべき条件下のときに、制御手段からの要求に応じて管理手段がプラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションを停止又は終了させることができる。その際、制御手段は、動作中の汎用アプリケーションに対して直接要求するのではなく、管理手段に対して汎用アプリケーション停止又は終了を指示するため、プラットフォーム上でどの汎用アプリケーションが動作しているかを制御手段が把握する必要はない。
【0021】
さらに、制御手段からの要求に応じて管理手段がプラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションを停止又は終了させる場合、請求項5に記載のようにすることが考えられる。すなわち、管理手段は、制御手段から停止通知を受けた場合、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションに対応する属性情報に基づき、当該汎用アプリケーションが当該特定の条件下において一時停止できるものと判断した場合、その汎用アプリケーションの動作を一時停止させる。一方、当該汎用アプリケーションが当該特定の条件下において一時停止できないものと判断した場合、その汎用アプリケーションの動作を強制終了させる。
【0022】
この様にする場合、属性情報は車両用ナビゲーション装置で動作する際の一種のプライオリティを規定するものとして扱われる。例えば、汎用アプリケーションの製造元(サプライヤ)において特定の認定を受けたものには、その旨が属性情報として取得されるようにする。そして、制御手段から停止通知を受けた場合、認定を受けた汎用アプリケーションに対しては一時停止の措置をとり、認定を受けていない汎用アプリケーションに対しては強制終了の措置をとるといった具合に、汎用アプリケーションのプライオリティに応じた制御を行うことができる。
【0023】
ところで、UI出力をさせるアプリケーションを切替える特定の条件として、車両が走行している最中は、例えば、運転支援に関する情報を提供する専用アプリケーションのような、車両を走行させる運転者にとって有用な情報を提供するアプリケーションのUI出力を優先し、車両の走行にあまり有用でないUI出力については他のUI出力に切替えることが考えられる。これは、車両用ナビゲーション装置においては、運転支援等の車両の走行に関する情報を提供することが本来優先されるべきものであり、娯楽性の高い汎用アプリケーションはあくまで副次的なものであるためである。
【0024】
そこで、請求項6に記載のように構成するとよい。すなわち、制御手段は、車両が走行を始めた条件下のときに、プラットフォーム上で動作中であって出力手段でUI出力をしている汎用アプリケーションが、車両走行中におけるUI出力を認められたものであるか否かを属性情報に基づいて判定する。そして、その判定の結果、その汎用アプリケーションが車両走行中におけるUI出力を認められていない場合、出力手段において行うUI出力を専用アプリケーションによるUI出力、又はプラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションのうち車両走行中におけるUI出力を認められた別の汎用アプリケーションによるUI出力に切替える。
【0025】
この様にする場合、属性情報は車両用ナビゲーション装置で動作する際の走行時におけるUI出力の可否を規定するものとして扱われる。例えば、汎用アプリケーションの製造元において特定の認証を受けたものには、その旨が属性情報として取得されるようにする。そして、車両が走行を開始した場合、認証を受けていない汎用アプリケーションに対しては、専用アプリケーション又は認証を受けた別の汎用アプリケーションによるUI出力に切替えるといった具合に、走行時のUI出力の可否に応じた制御を行うことができる。
【0026】
あるいは、UI出力をさせるアプリケーションを切替える特定の条件として、交差点直前の案内や注意、警報等の提示等、車両用ナビゲーション装置の専用アプリケーションによる偶発的かつ最優先のイベントが発生した場合、他のUI出力に割込みをして最優先のイベントに関するUI出力を行うように制御することが考えられる。
【0027】
そこで、請求項6に記載のように構成するとよい。すなわち、制御手段は、専用アプリケーションからUI出力の割込み要求を受付け、割込み要求を受けたときに、出力手段において行うUI出力を専用アプリケーションによるUI出力に切替えると共に、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションの停止を指示する旨の停止通知を管理手段に対して通知する。これに対し、管理手段は、制御手段から受けた停止通知に応じて、プラットフォーム上で動作中の汎用アプリケーションを一時停止又は終了させる。
【0028】
この様にすることで、汎用アプリケーションが導入された車両用ナビゲーション装置においても、専用アプリケーションにおいて発生した偶発的かつ最優先のイベントによるUI出力を確実に遂行できるので、ナビゲーション装置としての本来の機能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は、車両用ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は、車両用ナビゲーション装置のソフトウェアシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】UI出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】属性情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】走行強制イベントにおける表示切替の手順を示すシーケンス図である。
【図5】割込みイベントにおける表示切替の手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[車両用ナビゲーション装置1の構成の説明]
本実施形態の車両用ナビゲーション装置1は、車両に搭載されるナビゲーションシステムであり、図1(a)に示すように、車両の現在地を検出するための位置検出部21と、ユーザからの各種指示を入力するための操作部22と、外部との無線通信を行う通信装置からなる通信部23と、地図データやプログラム等を記憶する大容量記憶媒体からデータを入力するデータ入力部24と、各種車載機器から出力される車両情報を入力するための車両情報入力部25と、各種アプリケーションからの出力による情報の表示を行うための表示部26と、各種アプリケーションからの出力による情報の音声出力を行うための音声出力部27と、制御部29とを備える。
【0031】
位置検出部21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信信号を受信し、車両の位置座標や高度を検出するGPS受信機や、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ、車両の走行距離を出力する距離センサからの出力信号に基づいて、自車両の現在地、方位、速度等を算出する。
【0032】
操作部22は、表示部26の表示面上に一体に設置されるタッチパネルや表示部26の周囲に設けられるメカニカルなキースイッチ等で構成されている。通信部23は、無線通信によりインターネットを中心に構成されるクラウドコンピューティングや、スマートフォン等の携帯通信端末との間でデータ通信を行うことで、様々なオープンコンテンツや汎用アプリケーションを取得する。
【0033】
データ入力部24は、例えばハードディスク等に記録された地図データや、システムプログラム、アプリケーションプログラム、コンテンツデータ等の各種データを制御部29に入力するための装置である。車両情報入力部25は、車両を制御する各部のECU(Electronic Control Unit)から車両の動作状況に関する情報を取得する。
【0034】
表示部26は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、制御部29で実行される専用アプリケーションや汎用アプリケーション等によるUI出力である画像を表示するための出力装置である。音声出力部27は、制御部29で実行される専用アプリケーションや汎用アプリケーション等によるUI出力である音声出力を行うための出力装置である。
【0035】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知の情報処理装置(例えば、マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMやデータ入力部24等から読込んだプログラムやデータに基づいて種々のアプリケーション処理を実行する。
【0036】
この制御部29によって実現されるソフトウェアシステムについて、図1(b)を参照しながら説明する。制御部29では、専用アプリケーション、オープンプラットフォーム32、汎用アプリケーション、バーチャルIVIシステム34、及びHMIコントローラ35からなるソフトウェアシステムが構成されている。
【0037】
専用アプリケーションは、車両用ナビゲーション装置の組込みシステム専用のアプリケーションであり、ここではナビゲーションアプリ31a、オーディオアプリ31b、クリアランスソナーアプリ31c等が例示される。これらの専用アプリケーションによる表示や音声出力等のUI出力は、何れも表示部26及び音声出力部27を利用して行われる。また、各専用アプリケーションにおけるユーザの操作は、何れも操作部22を通じて行われるようになっている。
【0038】
ナビゲーションアプリ31aは、車両向けの経路案内を行うアプリケーションであり、地図表示や経路探索、経路案内等が実行される。地図表示は、位置検出部21からの検出信号に基づいて車両の現在地を算出し、データ入力部24を介して読込んだ現在地付近の地図や車両の現在地を示すマーク等をUI出力として表示部26に表示する機能である。また、経路探索は、データ入力部24を介して読込んだ地図データと、操作部22を通じてユーザから指定された目的地とに基づいて、現在地から目的地までの最適な経路を自動的に算出する機能である。経路案内は、前述の経路探索によって求めた経路に沿った走行案内を行う機能である。この経路案内では、経路探索の結果と、地図データとして格納されている道路の接続情報や交差点の位置情報等から、走行案内(右左折の指示等のいわゆるナビゲーション)を行うポイントや走行案内の内容を決定する。そして、その決定に基づき、現在地の地図や推奨経路、交差点付近では交差点周辺の拡大図等を描画し、UI出力として表示部26に表示する。また、走行案内には、UI出力として音声出力部27によるガイド音声の出力も併用する。
【0039】
オーディオアプリ31bは、例えば、テレビチューナや、CDドライブ、DVDドライブ、デジタルオーディオプレーヤ、ラジオチューナ等の各種映像・音声ソースに基づいて各種映像や音声の出力を行うアプリケーションである。オーディオ関係の機能としては、選択可能な複数の映像・音声ソースのうち、ユーザによって指定された映像・音声ソースからの映像・音声信号に基づく映像や音声を、UI出力として表示部26及び音声出力部27により出力する。
【0040】
クリアランスソナーアプリ31cは、車体に供えられたソナーにより検知した障害物の接近を音や表示で運転者に報知するアプリケーションである。このクリアランスソナーアプリ31cでは、車体の前側や後側に供えられたソナーにより自車両に接触するおそれのある障害物を検知した場合、その障害物の方向や自車両との距離をUI出力として表示部26に表示したり、障害物との接近を知らせるための警告音や音声をUI出力として音声出力部27により出力する。
【0041】
オープンプラットフォーム32は、コンピュータシステムのハードウェアを抽象化したインタフェースをアプリケーションに提供するオペレーティングシステム(OS)である。オープンプラットフォーム32は、標準化された規格に準拠したOSであり、その標準規格に則って作られた様々な汎用アプリケーションをオープンプラットフォーム32上で動作させることができる。つまり、オープンプラットフォーム32の標準規格に準拠したアプリケーションであれば、車両用ナビゲーション装置本体のベンダーとは直接の関係がないサードパーティにより開発された車両専用以外のアプリケーションであっても、これらの汎用アプリケーションによるUI出力を車両用ナビゲーション装置1で実現できる。
【0042】
汎用アプリケーションは、オープンプラットフォーム32上で動作するプラットフォーム依存型のアプリケーションであり、ここではオープンPFアプリ33a(アプリA)、オープンPFアプリ33b(アプリB)、メニューアプリ33c等が例示される。これらの汎用アプリケーションによる表示や音声出力等のUI出力は、表示部26及び音声出力部27を利用して行われる。また、各専用アプリケーションにおけるユーザの操作は、何れも操作部22を通じて行われるようになっている。
【0043】
汎用アプリケーションは、例えば、ユーザの任意によりインターネットを中心とするクラウドコンピューティングを構成するサーバ群からデータ通信を介して導入された外部のアプリケーション等が想定される。このような汎用アプリケーションにより、クラウドコンピューティングや、スマートフォン等の高機能携帯端末との連携により、広い分野での情報やユーザインタフェースの相互利用が可能となる。これらの各汎用アプリケーションは、車両の走行に関するものに限らず多様性に富む情報をUI出力として表示部26及び音声出力部27により出力する。
【0044】
バーチャルIVI(In-Vehicle Infotainment)システム34は、オープンプラットフォーム32上で動作する他の汎用アプリケーションの管理及び制御を行うアプリケーションであり、このバーチャルIVIシステム34自体がオープンプラットフォーム32上で動作するアプリケーションとして構成されている。
【0045】
このバーチャルIVIシステム34は、車両用ナビゲーション装置1に導入された各汎用アプリケーションに関する属性情報を取得し、所定の記憶装置等に保存しておく。汎用アプリケーションに関する属性情報とは、特定の条件下での当該汎用アプリケーションによるUI出力の可否や、当該汎用アプリケーションの動作の一時停止の可否を特定する情報である。バーチャルIVIシステム34が汎用アプリケーションの属性情報を取得する際には、例えば、アプリケーションのサプライヤから所定の認定を受けたものであるかを確認し、その確認結果に基づいて、特定の条件下におけるUI出力の可否や、動作の一時停止の可否を特定して属性情報として取得する。
【0046】
そして、オープンプラットフォーム32上で動作中の汎用アプリケーションを確認し、予め保存しておいた属性情報の中から当該動作中の汎用アプリケーションに関する属性情報を読出し、それをHMIコントローラ35に通知する。また、バーチャルIVIシステム34は、HMIコントローラ35からの停止イベントが通知されることで、オープンプラットフォーム32上で動作中の汎用アプリケーションの属性情報に応じて、それらの汎用アプリケーションの動作を一時停止したり強制終了するといった制御を行う。
【0047】
HMIコントローラ35は、互いに独立して動作する、オープンプラットフォーム32に非依存の専用アプリケーションと、オープンプラットフォーム32に依存の汎用アプリケーションとによるUI出力の切替制御を行うソフトウェアである。このHMIコントローラ35は、表示部26や音声出力部27の出力装置を共用してUI出力を行う各アプリケーションの間で、特定の条件に則って画像表示や音声出力を行うアプリケーションを選択的に切替えることで、アプリケーション間におけるユーザインタフェースの出力調停を行う。
【0048】
具体的には、HMIコントローラ35は、ある特定条件が発生した場合、その時点において表示部26や音声出力部27に表示や音声のUI出力を行っている専用アプリケーションや汎用アプリケーションが、その特定条件下におけるUI出力に適合したアプリケーションであるか否かを判断する。その特定条件としては、例えば、車両が走行を開始したことや、専用アプリケーションから優先度の高い所定のUI出力イベントの要求があること等の条件が例示される。
【0049】
その際、オープンプラットフォーム32上で動作中の汎用アプリケーションについては、バーチャルIVIシステム34から通知された属性情報に基づいて、その汎用アプリケーションによるUI出力の適否を判断する。つまり、HMIコントローラ35は、バーチャルIVIシステム34と間で属性情報をやり取りすることで、オープンプラットフォーム32上でどの汎用アプリケーションが動作しているかを個別に意識する必要がないように構成されている。
【0050】
そして、特定条件下におけるUI出力の適否を判断した結果に応じて、表示部26や音声出力部27に対してUI出力をするアプリケーションを切替える。また、条件によっては、オープンプラットフォーム32上で動作中の汎用アプリケーションを一時的に停止する必要がある場合、停止イベントをバーチャルIVIシステム34に対して通知する。このときも、HMIコントローラ35は、バーチャルIVIシステム34と間で停止イベントの通知をやり取りするだけで、オープンプラットフォーム32上でどの汎用アプリケーションが動作しているかを個別に意識する必要がないように構成されている。
【0051】
このように、バーチャルIVIシステム34とHMIコントローラ35との連携により実現する機能により、オープンプラットフォーム32や汎用アプリケーション自体に車両用ナビゲーション装置独自の仕組みを組込まず、それらが標準の仕組みを保ったままで、各汎用アプリケーションに車両用ナビゲーション装置で機能する上での要件を満たす動作をさせることができる。
【0052】
[HMIコントローラが実行する処理の説明]
つぎに、HMIコントローラ35が実行するUI出力制御処理の手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、車両用ナビゲーション装置1において専用アプリケーションや汎用アプリケーションが動作しているときに、これらのアプリケーションと並行して実行される。
【0053】
HMIコントローラ35は、まず、現在状況がUI出力をさせるアプリケーションの切替えを行うべき特定条件に該当しているか否かを判定する(S100)。具体的には、車両が走行を開始したか、あるいは、現在動作中の専用アプリケーションから優先度の高い所定のUI出力イベントの要求があるか等の特定条件について判定する。現在状況が特定条件に該当する場合(S100:YES)、S102の処理に進む。一方、現在状況が特定条件に該当しない場合(S100:NO)、S104の処理に進み、現在のアプリケーションによるUI出力を維持する。
【0054】
現在状況が特定条件に該当する場合に進むS102では、現時点で表示部26や音声出力部27等の出力装置に対して映像や音声等のUI出力を行っているアプリケーションが、S100で該当した特定条件下においてUI出力を行うことが認められた特定アプリケーションに該当するか否かを判定する。
【0055】
具体的には、オープンプラットフォーム32上で動作する汎用アプリケーションがUI出力を行っている場合、バーチャルIVIシステム34から通知される当該汎用アプリケーションの属性情報を参照する。そして、属性情報の内容に基づき、当該汎用アプリケーションが現在の特定条件におけるUI出力に適合した特定アプリケーションであるか否かを判定する。あるいは、専用アプリケーションがUI出力を行っている場合、その専用アプリケーションの設定情報等に基づき、現在の特定条件におけるUI出力に適合した特定アプリケーションであるか否かを判定する。あるいは、専用アプリケーションについては無条件に特定アプリケーションとして扱うような構成であってもよい。
【0056】
UI出力を行っているアプリケーションが現在の特定条件に適合する特定アプリケーションに該当する場合(S102:YES)、S104の処理に進み、現在のアプリケーションによるUI出力を維持する。一方、UI出力を行っているアプリケーションが現在の特定条件に適合しない場合(S102:NO)、S106の処理に進む。S106では、その特定条件に適合する他の特定アプリケーションを選定し、現在のアプリケーションによるUI出力から、選定した特定アプリケーションによるUI出力に切替える。ここでは、切替先として、現在動作中の専用アプリケーション、あるいは、現在動作中の汎用アプリケーションのうち、当該特定条件に適合する汎用アプリケーションを選定する。そして、次のS108では、S104又はS106で設定したアプリケーションによる映像や音声等のUI出力を行う。
【0057】
[バーチャルIVIシステムが実行する処理の説明]
つぎに、バーチャルIVIシステム34が実行する属性情報取得処理の手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、車両用ナビゲーション装置1においてクラウドコンピューティングを構成するサーバ群から汎用アプリケーションをダウンロードしたときに実行される。
【0058】
バーチャルIVIシステム34は、まず、配信元からダウンロードした汎用アプリケーションに関する属性情報を取得する(S200)。ここでは、取得した汎用アプリケーションに対する認証処理をして、その汎用アプリケーションが特定の条件下におけるUI出力や動作の一時停止といった所定の動作が可能であることをサプライヤから認定されたものであるか否かを確認する。このような認証処理は、例えば、インターネット等を通じて汎用アプリケーションの配信元やサプライヤから提供される認定情報にアクセスしたり、ダウンロードしたアプリケーションのデータに含まれる認定情報に基づいて行うようにすることが考えられる。そして、認証処理における確認結果に基づいて、特定の条件下におけるUI出力の可否や、動作の一時停止の可否を特定して属性情報として取得する。
【0059】
つぎに、S200で取得した属性情報を、関連する汎用アプリケーションに対応付けて所定のメモリに記録する(S202)。記録先としては、例えば、車両用ナビゲーション装置1に接続されて用いられるハードディスクドライブや不揮発性半導体メモリ等が例示される。あるいは、属性情報を記憶させるための記憶手段をクラウドコンピューティングを構成する外部のサーバに設け、この外部のサーバの記憶手段にバーチャルIVIシステム34が取得した属性情報を記録するような構成であってもよい。属性処理の記録後、本処理を終了する。
【0060】
[走行強制イベントにおける表示切替シーケンスの説明]
つぎに、上述のUI出力制御処理の具体例として、走行強制イベントにおける表示切替シーケンスについて、図4を参照しながら説明する。走行強制イベントでは、車両が走行を開始したときに、走行強制対象の汎用アプリケーションによるコンテンツの表示を、専用アプリケーションによるコンテンツの表示に切替える。その後、車両が走行を停止したときに、元の汎用アプリケーションによるコンテンツの表示を再開する。
【0061】
図4に示す事例では、ナビゲーションアプリ31a(専用アプリケーション)と、オープンプラットフォーム32上で動作するオープンPFアプリA(汎用アプリケーション)とが並行して動作しており、車両が走行を開始する前の時点でオープンPFアプリAによるUI出力であるコンテンツ画像が表示部26に表示されている状況を想定している。
【0062】
図4に示すとおり、まず、バーチャルIVIシステム34が、オープンプラットフォーム32上で現在動作中の汎用アプリケーションを確認する。そして、動作を確認した汎用オープンPFアプリAに対応する属性情報をメモリから読出し、HMIコントローラ35に通知する。この属性情報には、走行中におけるUI出力が認められているか否かを特定する情報が含まれている。属性情報において走行中のUI出力が認められていない場合、その汎用アプリケーションは走行強制対象に該当する。
【0063】
HMIコントローラ35は、車両情報入力部25を通じて入力された情報に基づいて車両が走行を開始したことを検知すると、バーチャルIVIシステム34から通知された属性情報を参照し、オープンプラットフォーム32上で現在動作中の汎用アプリケーションが走行強制対象であるか否かを判断する。ここで、現在動作中の汎用アプリケーションが走行強制対象であると判断した場合には、以降の処理を実行し、走行強制対象でないと判断した場合には、以降の処理は実行しない。
【0064】
HMIコントローラ35は、オープンプラットフォーム32上で現在動作中の汎用アプリケーションが走行強制対象であることを確認すると、専用アプリケーションであるナビゲーションアプリ31aに対してコンテンツ画像の描画指示を出す。
【0065】
ナビゲーションアプリ31aは、HMIコントローラ35から描画指示を受けると、表示部26に表示するためのコンテンツ画像として、自車両の現在地周辺の地図画像を所定の画像バッファに描画する。そして、地図画像の描画が完了すると、その旨をHMIコントローラ35に通知する。HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aから描画完了の通知を受けると、表示部26で表示中の画像をオープンPFアプリAによるコンテンツ画像から、ナビゲーションアプリ31aにより描画された地図画像に更新する。以上の手順により、車両が走行を開始するに伴って、表示部26の画面がナビゲーションアプリ31aによる地図画像に自動的に遷移する。
【0066】
その後、車両の走行が終了して停止状態になると、HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aに対して描画終了指示を出す。ナビゲーションアプリ31aは、HMIコントローラ35から描画終了指示を受けると、地図画像の描画を終了して画像を消去する。そして、地図画像の消去が完了すると、その旨をHMIコントローラ35に通知する。
【0067】
HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aから消去完了の通知を受けると、表示部26で表示中の画像をナビゲーションアプリ31aにより描画された地図画像から、オープンPFアプリAによるコンテンツ画像に更新する。以上の手順により、車両が走行を終了するに伴って、表示部26の画面がオープンPFアプリAによるコンテンツ画像に自動的に遷移する。
【0068】
なお、上述の走行強制イベントでは、表示部26における表示の切替えを行う事例について説明したが、アプリケーションによるUI出力が音声出力(音声出力部27)を行うものである場合でも同様に、走行開始・終了に伴い音声出力を行うアプリケーションの切替えを行う。また、走行強制イベントにおいて、走行開始後におけるUI出力の切替え先をナビゲーションアプリ31a以外の動作中の専用アプリケーション、又は走行強制対象ではない他の汎用アプリケーションとしてもよい。
【0069】
[割込みイベントにおける表示切替シーケンスの説明]
つぎに、上述のUI出力制御処理の具体例として、割込みイベントにおける表示切替シーケンスについて、図5を参照しながら説明する。割込みイベントでは、専用アプリケーションにおいて優先度の高い表示を行う割込み処理が発生したときに、動作中の他の汎用アプリケーションを一時的に停止又は強制終了して、その専用アプリケーションによるコンテンツの表示に切替える。その後、割込み処理が終了してから汎用アプリケーションの一時停止を解除して、その汎用アプリケーションによるコンテンツの表示を再開する。
【0070】
図5に示す事例では、ナビゲーションアプリ31a(専用アプリケーション)と、オープンプラットフォーム32上で動作するオープンPFアプリA(汎用アプリケーション、認定)及びオープンPFアプリB(汎用アプリケーション、非認定)とが並行して動作しており、割込みイベントが発生する前の時点でオープンプラットフォーム32上で動作するオープンPFアプリA,BによるUI出力であるコンテンツ画像が表示部26に表示されている状況を想定している。
【0071】
図5に示すとおり、バーチャルIVIシステム34が、オープンプラットフォーム32上で現在動作中の汎用アプリケーションを確認し、動作中であることを確認したオープンPFアプリA,Bの属性情報を参照する。これらの属性情報には、割込み処理のときに動作の一時停止が認められている(認定)か、認められていない(非認定)かを特定する情報が含まれている。バーチャルIVIシステム34は、動作中のオープンPFアプリA,Bについて認定か非認定かを把握する。なお、ここで説明する事例においては、オープンPFアプリAが、動作の一時停止が認められた認定アプリケーションであり、オープンPFアプリBが、動作の一時停止が認められていない非認定アプリケーションであると想定する。
【0072】
一方、あるタイミングにおいて、ナビゲーションアプリ31aが、優先度の高い割込み処理として経路案内対象の交差点の拡大図を表示するための要求をHMIコントローラ35に通知する。これに対してHMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aに対してコンテンツ画像の描画指示を出す。
【0073】
ナビゲーションアプリ31aは、HMIコントローラ35から描画指示を受けると、表示部26に表示するためのコンテンツ画像として、経路案内対象の交差点の拡大図を所定の画像バッファに描画する。そして、交差点の拡大図の描画が完了すると、その旨をHMIコントローラ35に通知する。HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aから描画完了の通知を受けると、バーチャルIVIシステム34に対して割込み処理による停止イベントの発生を通知する。そして、表示部26で表示中の画像をオープンPFアプリA,Bによるコンテンツ画像からナビゲーションアプリ31aにより描画された交差点拡大図に更新する。以上の手順により、割込みイベントの発生に伴って、表示部26の画面がナビゲーションアプリ31aによる交差点拡大図に自動的に遷移する。
【0074】
一方、バーチャルIVIシステム34は、HMIコントローラ35から割込み処理による停止イベントが通知されると、認定アプリケーションであるオープンPFアプリAに対してプロセスの一時停止を指示する。ここでは、動作中の全ての認定アプリケーションに対して一時停止を指示する。オープンPFアプリAは、バーチャルIVIシステム34から一時停止の指示を受けると、アプリケーションのプロセスを一時停止する。また、バーチャルIVIシステム34は、非認定アプリケーションであるオープンPFアプリBに対して強制終了を行う。ここでは、動作中の全ての非認定アプリケーションに対して強制終了を行う。オープンPFアプリBは、バーチャルIVIシステム34から強制終了されると、アプリケーションのプロセスを終了する。
【0075】
その後、ナビゲーションアプリ31aにおいて交差点の拡大表示案内が終了すると、ナビゲーションアプリ31aは交差点拡大図の消去要求をHMIコントローラ35に通知する。HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aから交差点拡大図の消去要求を受けると、ナビゲーションアプリ31aに対して描画終了指示を出す。ナビゲーションアプリ31aは、HMIコントローラ35から描画終了指示を受けると、交差点拡大図の描画を終了して画像を消去する。そして、交差点拡大図の消去が完了すると、その旨をHMIコントローラ35に通知する。
【0076】
HMIコントローラ35は、ナビゲーションアプリ31aから消去完了の通知を受けると、バーチャルIVIシステム34に対して割込み処理の終了による再開イベントの発生を通知する。これに対し、バーチャルIVIシステム34は、HMIコントローラ35から再開イベントが通知されると、一時停止中のオープンPFアプリA(認定アプリケーション)に対してプロセスの再開を指示する。ここでは、一時停止中の全ての認定アプリケーションに対して再開を指示する。オープンPFアプリAは、バーチャルIVIシステム34から再開の指示を受けると、一時停止中のアプリケーションのプロセスを再開する。
【0077】
そして、HMIコントローラ35は、表示部26で表示中の画像をナビゲーションアプリ31aにより描画された交差点拡大図から、一時停止が解除されたオープンPFアプリAによるコンテンツ画像に更新する。以上の手順により、割込みイベントの終了に伴って、表示部26の画面がオープンPFアプリAによるコンテンツ画像に自動的に遷移する。
【0078】
なお、上述の割込みイベントでは、表示部26における表示の切替えを行う事例について説明したが、アプリケーションによるUI出力が音声出力(音声出力部27)を行うものである場合でも同様に、割込み処理の発生に伴い音声出力を行うアプリケーションの切替えや、切替えられた汎用アプリケーションの一時停止・強制終了を行う。また、割込みイベントにおいて、HMIコントローラ35に対して割込み処理を要求する専用アプリケーションは、ナビゲーションアプリ31a以外の専用アプリケーションであってもよい。例えば、クリアランスソナーアプリ31cにおいて、障害物への接近に対する警報を行う場合等にHMIコントローラ35に対して割込み処理を要求し、HMIコントローラ35がクリアランスソナーアプリ31cのUI出力に切替える。
【0079】
[効果]
実施形態の車両用ナビゲーション装置によれば、以下のような効果を奏する。
汎用アプリケーションを動作させるためのオープンプラットフォーム32を備えることで、クラウドコンピューティング等から導入される汎用アプリケーションによるUI出力(表示、音声、触力覚的作用による情報提示)を行うことができる。特に、オープンプラットフォーム32を用いることで、車両用ナビゲーション装置1における独自規格の専用アプリケーション以外に、オープンプラットフォームの標準規格に準拠した多種多様な汎用アプリケーションを利用できる。
【0080】
HMIコントローラ35は、今プラットフォーム上でどの汎用アプリケーションが動作しているかとか、その動作の状況等を自ら意識する必要はなく、専らバーチャルIVIシステム34から通知された属性情報に基づき、走行強制イベントや割込みイベント等の特定条件に応じて、必要なUI出力に切替えることができる。また、バーチャルIVIシステム34をオープンプラットフォーム32上で動作するソフトウェアとしたことで、共通のプラットフォーム上で動作する汎用アプリケーションとの間でデータの相互利用が可能であり、汎用アプリケーションに関する属性情報の取得や動作状況の把握が容易となる。
【0081】
このように、バーチャルIVIシステム34とHMIコントローラ35との連携により実現する機能により、オープンプラットフォーム32や汎用アプリケーション自体に車両用ナビゲーション装置1独自の仕組みを組込まず、それらが標準の仕組みを保ったままで、各汎用アプリケーションに車両用ナビゲーション装置1で機能する上での要件を満たす動作をさせることができる。
【0082】
[特許請求の範囲に記載の構成との対応]
実施形態の車両用ナビゲーション装置の構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。実施形態のHMIコントローラ35が特許請求の範囲における制御手段に相当する。また、バーチャルIVIシステム34が管理手段に相当する。また、表示部26及び音声出力部27が出力手段に相当する。
【符号の説明】
【0083】
1…車両用ナビゲーション装置、21…位置検出部、22…操作部、23…通信部、24…データ入力部、25…車両情報入力部、26…表示部、27…音声出力部、29…制御部、31a〜31c…専用アプリケーション、32…オープンプラットフォーム、33a〜33c…汎用アプリケーション、34…バーチャルIVIシステム、35…HMIコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との情報通信を通じて導入される汎用アプリケーションを動作させるためのプラットフォームを備え、前記プラットフォームに非依存の専用アプリケーションと、前記プラットフォーム上の前記汎用アプリケーションとが独立して動作する構成を備える車両用ナビゲーション装置であって、
所定の出力手段において行うユーザインタフェース(以下、UI)出力を、前記専用アプリケーションによるUI出力と、前記プラットフォーム上で動作している前記汎用アプリケーションによるUI出力とで選択的に切替える制御手段と、
前記プラットフォーム上で動作するソフトウェアであって、当該車両用ナビゲーション装置に導入されている前記汎用アプリケーションに関する属性情報を取得し、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションの属性情報を前記制御手段に対して通知する管理手段とを備え、
前記制御手段は、特定の条件下のときに、前記プラットフォーム上で動作中であって前記出力手段でUI出力をしている前記汎用アプリケーションが、当該特定の条件下におけるUI出力を認められたものであるか否かを、前記管理手段から通知された属性情報に基づいて判定し、その判定の結果、その汎用アプリケーションが当該特定の条件下におけるUI出力を認められていない場合、前記出力手段において行うUI出力を前記専用アプリケーションによるUI出力、又は前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションのうち当該特定の条件下におけるUI出力を認められた別の汎用アプリケーションによるUI出力に切替えること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記管理手段は、当該車両用ナビゲーション装置に導入された前記汎用アプリケーションに関する前記属性情報を取得し、その取得した属性情報を当該車両用ナビゲーション装置が備える所定の記憶手段に記録し、前記記憶手段に記録した属性情報の中から、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションの属性情報を前記制御手段に対して通知すること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記管理手段は、当該車両用ナビゲーション装置が外部との通信を通じて前記汎用アプリケーションを取得したときに、当該汎用アプリケーションに関する前記属性情報を取得して前記記憶手段に記録すること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、特定の条件下で前記出力手段において行うUI出力を前記専用アプリケーションによるUI出力に切替える際、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションの停止を指示する旨の停止通知を前記管理手段に対して通知し、
前記管理手段は、前記制御手段から受けた前記停止通知に応じて、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションを一時停止又は終了させること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記管理手段は、前記制御手段から前記停止通知を受けた場合、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションに対応する前記属性情報に基づき、当該汎用アプリケーションが当該特定の条件下において一時停止できるものと判断した場合、その汎用アプリケーションの動作を一時停止させる一方、当該汎用アプリケーションが当該特定の条件下において一時停止できないものと判断した場合、その汎用アプリケーションの動作を強制終了させること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、車両が走行を始めた条件下のときに、前記プラットフォーム上で動作中であって前記出力手段でUI出力をしている前記汎用アプリケーションが、車両走行中におけるUI出力を認められたものであるか否かを前記属性情報に基づいて判定し、その判定の結果、その汎用アプリケーションが車両走行中におけるUI出力を認められていない場合、前記出力手段において行うUI出力を前記専用アプリケーションによるUI出力、又は前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションのうち車両走行中におけるUI出力を認められた別の汎用アプリケーションによるUI出力に切替えること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の車両用ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記専用アプリケーションからUI出力の割込み要求を受付け、前記割込み要求を受けたときに、前記出力手段において行うUI出力を前記専用アプリケーションによるUI出力に切替えると共に、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションの停止を指示する旨の停止通知を前記管理手段に対して通知し、
前記管理手段は、前記制御手段から受けた前記停止通知に応じて、前記プラットフォーム上で動作中の前記汎用アプリケーションを一時停止又は終了させること
を特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101435(P2013−101435A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243841(P2011−243841)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】