説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】極めて簡単で安価な構成からなり、ドライバによる走行中の操作を確実に制限できる一方、ドライバ以外のユーザが操作の制限を容易に解除して所望のサービスを享受することのできる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ドライバによる走行中の操作を制限する一方、経路案内を含む各種サービスを提供する車両用ナビゲーション装置10において、前記各種サービスに係る情報を表示する表示部20の所定位置に配置され、ユーザの一方の手の指等により前記制限を解除する解除部18と、前記ユーザが前記一方の手の指等で前記解除部18を操作しているときに前記一方の手の指等で操作することができない前記表示部20の所定位置に配置され、前記ユーザの、他方の手の指等により前記各種サービスのための所定の操作を行う操作部操作ボタン19a〜19gと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、ドライバによる走行中の操作を制限する一方、経路案内を含む各種サービスを提供する車両用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、目的地までの走行経路を探索してユーザに経路案内を行う経路案内機能を有するとともに、テレビ視聴やDVD再生等の各種サービスを提供することのできる車両用ナビゲーション装置が広範に利用されている。

ところで、このような車両用ナビゲーション装置では、走行の安全性を確保するため、走行中における車両用ナビゲーション装置の操作を制限するように構成したものがある。しかしながら、ドライバ以外の同乗者は、車両用ナビゲーション装置を操作して、所望のサービスを受けたいときがある。この場合、車両用ナビゲーション装置の操作の制限を容易に解除できるように構成すると、ドライバがその制限を解除してしまい、安全性が脅かされてしまうおそれがある。

そこで、下記特許文献1(特開2008−306544号公報)では、車両用ナビゲーション装置を操作するリモコンに、リモコンを把持するユーザの、一方の手の5本の指が接触したことを検出する検出部を設け、検出部が5本の指の全てを検出したとき、他方の手によるリモコンの操作を許可するように構成した車両用ナビゲーション装置を開示している。この場合、ドライバは、ハンドルから両手を離してリモコンの操作を可能とることはできないが、両手が自由であるドライバ以外のユーザは、リモコンの操作を可能とすることができる。

また、下記特許文献2(特開2007−302223号公報)では、車両用ナビゲーション装置の操作部周囲に死角のない状態で検知器(例えば、赤外線センサ)を設け、ドライバ側からの操作を検知した場合には、操作を制限し、ドライバ以外の方向からの操作を検知した場合には、操作を許可するように構成した車両用ナビゲーション装置を開示している。

さらに、下記特許文献3(特開2007−45169号公報)では、ドライバの視線を検知する視線検知センサを車両用ナビゲーション装置に設け、走行中にドライバの視線が車両用ナビゲーション装置の表示部に向いたとき、操作キーを非表示状態とし、あるいは、表示部全体を非表示状態とし、走行中でない場合、あるいは、ドライバ以外に対しては、操作可能とするように構成した車両用ナビゲーション装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−306544号公報(段落[0076]〜[0080]、図面[図4])
【特許文献2】特開2007−302223号公報(段落[0009]、図面[図1])
【特許文献3】特開2007−45169号公報(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、ユーザの、一方の全ての指が検出されることを条件として、リモコンの操作を許可しているため、ドライバ以外のユーザであっても、各指を検出部の決められた位置に正しく接触させていないと、リモコンの操作の制限を確実に解除することができないおそれがある。また、この先行技術は、車両用ナビゲーション装置がリモコンによって操作されることが前提であり、車両用ナビゲーション装置本体の操作を制限するものではない。従って、本体に対しても同様の機構を組み込もうとすると、非常に高価なものとなってしまう。

また、上記特許文献2及び3の場合には、ドライバの手を検知する検知器や、ドライバの視線を検知する視線検知センサを用いて、ドライバが操作しようとしているのか、あるいは、ドライバ以外のユーザが操作しようとしているのかを判別する構成であり、構成が複雑で高価となる問題がある。また、検知器や視線検知センサは、その配置や検出精度に問題があり、正確な判別が確実に保証されるものではない。

本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、極めて簡単で安価な構成からなり、ドライバによる走行中の操作を確実に制限できる一方、ドライバ以外のユーザが操作の制限を容易に解除して所望のサービスを享受することのできる車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
ドライバによる走行中の操作を制限する一方、経路案内を含む各種サービスを提供する車両用ナビゲーション装置において、前記各種サービスに係る情報を表示する表示部の所定位置に配置され、ユーザの一方の手の指等により前記制限を解除する解除部と、前記ユーザが前記一方の手の指等で前記解除部を操作しているときに、前記一方の手の指等で操作することができない前記表示部の所定位置に配置され、前記ユーザの他方の手の指等により前記各種サービスのための所定の操作を行う操作部と、を備えることを特徴とする。

本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に係る車両用ナビゲーション装置において、前記解除部は、前記一方の手の指等の一部分により操作する第1解除操作部と、前記一方の手の指等の他の部分により操作する第2解除操作部とを備え、前記第1解除操作部及び前記第2解除操作部を同時に操作することで、前記制限が解除されることを特徴とする。

本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に係る車両用ナビゲーション装置において、前記解除部は、前記操作部の一部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1にかかる発明においては、ドライバによる走行中の操作を制限する一方、経路案内を含む各種サービスを提供する車両用ナビゲーション装置において、前記各種サービスに係る情報を表示する表示部の所定位置に配置され、ユーザの一方の手の指等により前記制限を解除する解除部と、前記ユーザが前記一方の手の指等で前記解除部を操作しているときに、前記一方の手の指等で操作することができない前記表示部の所定位置に配置され、前記ユーザの他方の手の指等により前記各種サービスのための所定の操作を行う操作部と、を備える。

このように構成することにより、ドライバは、走行中に車両用ナビゲーション装置を操作することができないため、走行の安全性が確保される。一方、ドライバ以外のユーザは、両手を用いて操作の制限を容易に解除して操作を行うことにより、所望のサービスを享受することができる。また、操作の制限を解除するための解除部は、ユーザの一方の手の指等で操作可能な簡易なものとすることができるため、装置を極めて安価に構成することができる。

請求項2に係る発明においては、請求項1に係る車両用ナビゲーション装置において、前記解除部は、前記一方の手の指等の一部分により操作する第1解除操作部と、前記一方の手の指等の他の部分により操作する第2解除操作部とを備え、前記第1解除操作部及び前記第2解除操作部を同時に操作して前記制限を解除するように構成することにより、例えば、ドライバが車両用ナビゲーション装置の解除操作を行ってしまう事態を確実に回避することができる。

請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に係る車両用ナビゲーション装置において、前記解除部は、前記操作部の一部とすることにより、操作を制限するための専用の解除部を設ける必要がないため、車両用ナビゲーション装置を一層安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例における車両用ナビゲーション装置の構成ブロック図である。
【図2】図1に示す実施例の車両用ナビゲーション装置における表示部における操作制限解除ボタン及び操作ボタンの配置説明図である。
【図3】図1に示す車両用ナビゲーション装置における処理フローチャートである。
【図4】図2に示す操作制限解除ボタンと操作ボタンの操作検出信号による制御論理を示すタイミングチャートである。
【図5】図1に示す実施例の車両用ナビゲーション装置における表示部に対する操作制限解除ボタン及び操作ボタンの他の形態の配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための車両用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの車両用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車両用ナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例における車両用ナビゲーション装置10の構成ブロック図である。車両用ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、目的地までの走行経路を探索してユーザに経路案内を行う経路案内機能を有するとともに、テレビ視聴やDVD再生等の各種サービスを提供することのできる装置である。

車両用ナビゲーション装置10は、制御部11、現在位置検出部12、経路探索部13、地図情報記憶部14、車速信号取得部15、AV再生部16、TVチューナ17、操作制限解除ボタン18(解除部)、操作ボタン19a〜19g(操作部)、表示部20及びスピーカ21を備えて構成される。

制御部11は、CPU22、RAM23及びROM24を備え、RAM23及び/又はROM24に記憶された制御プログラムをCPU22が実行することにより、下記に説明する車両用ナビゲーション装置10の各部の動作を制御・統括する。

現在位置検出部12は、所定の時間間隔で地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、受信した衛星信号に基づき、車両用ナビゲーション装置10の現在位置を算出する。なお、現在位置検出部12は、加速度センサ、ジャイロセンサ等から取得した加速度や角速度、又は、基地局から発信される電波に基づいて、車両用ナビゲーション装置10の現在位置を算出する自律航法手段により構成することもできる。

経路探索部13は、地図情報記憶部14に記憶された地図情報と、現在位置検出部12を用いて算出した車両用ナビゲーション装置10の現在位置、又は、操作ボタン19a〜19gを用いて設定された出発地及び目的地とに基づき、現在位置又は出発地から目的地までの最適な移動経路を探索する。経路探索部13は、現在位置又は出発地に対応する道路のノードから、目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を移動経路として探索する。

地図情報記憶部14は、移動経路(車両の走行経路又はユーザの歩行経路)を探索するための道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される地図情報を記憶する。なお、地図情報は、外部の情報提供サーバ(図示せず)から取得し、最新の地図情報として地図情報記憶部14に記憶させるようにしてもよい。

道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。

リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、ノード間の距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称のデータを含んで構成される。リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所、駐車場等のデータが付与される。建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。

車速信号取得部15は、車両が備える車速センサ25から車速信号を取得する。制御部11のCPU22は、取得した車速信号に基づき、車両が走行中であるか否かを判断する。

AV再生部16は、DVDやハードディスク(図示せず)に記録されている映像、又は、CDに記録されている楽曲等を表示部20及びスピーカ21を用いて再生する。また、TVチューナ17は、テレビ電波を受信して表示部20の表示画面にテレビ画像を表示させるとともに、スピーカ21に音声を出力させる。

操作制限解除ボタン18は、車両の走行中における車両用ナビゲーション装置10の操作の制限を解除するためのボタンである。操作ボタン19a〜19gは、車両用ナビゲーション装置10に対してユーザが所望の操作指示を行うためのボタンである。例えば、操作ボタン19aは、表示部20の表示画面にオプションメニュー画像を表示させてオプションの選択を可能とするボタン、操作ボタン19bは、標準のメニュー画像を表示させ、所望の機能の選択を可能とするボタン、操作ボタン19cは、車両の現在位置を表示部20の表示画面に表示させるボタン、操作ボタン19dは、AV再生部16又はTVチューナ17を起動させるボタンである。また、操作ボタン19eは、表示部20の表示画面に表示されるカーソルを移動させるボタン、操作ボタン19fは、音量調節ボタン、操作ボタン19gは、車両用ナビゲーション装置10の電源ボタンである。

表示部20は、液晶表示パネルからなる表示画面部分と、その周辺を含む筐体部分とからなり、各種メニュー画像、車両の現在位置及び地図画像、探索された移動経路を表示画面に表示するとともに、AV再生部16により再生された画像やTVチューナ17により受信したテレビ電波の画像を表示画面に表示する。スピーカ21は、ユーザに対して必要な案内音声を出力するとともに、再生された画像やテレビ画像に付随する音声を出力する

図2は、車両用ナビゲーション装置10の表示部20における操作制限解除ボタン18及び操作ボタン19a〜19gの配置説明図である。これらの操作ボタンは、表示部20の表示画面の周囲である筐体部分にハードキーとして設けられる。

操作制限解除ボタン18は、表示部20の表示画面の左下に配置され、ユーザの、一方の手の指26Lで押下可能なボタンである。操作ボタン19a〜19dは、ユーザが一方の手の指26Lで操作制限解除ボタン18を押下しているとき、同じ手の指26Lでは操作することができず、他方の手の指26Rでのみ押下可能なように配置されたボタンである。また、カーソルを移動させる操作ボタン19e、音量を調整する操作ボタン19f、及び、車両用ナビゲーション装置10の電源をON/OFFさせる操作ボタン19gは、走行中にドライバが操作しても、安全性を損なうおそれのない機能を実現するためのボタンであり、操作ボタン19a〜19dよりも操作制限解除ボタン18寄りの位置に配置され、操作制限が解除されているか否かにかかわらず、ユーザの操作よる操作内容を制御部11のCPU22に指示可能なボタンである。

すなわち、操作ボタン19a〜19dは、走行中にドライバの操作を許容した場合には走行の安全性に影響を及ぼす恐れのある機能、例えば、目的地を設定するための地点入力などの入力機能の操作ホタンであり、車両が走行中には操作制限解除ボタン18が操作(押下)されている間のみ、これらの操作ボタン19a〜19dの操作が有効とされるように構成されている。他の操作ボタン19e、〜19gは、車両が走行中であっても操作制限解除ボタン18の操作なしにその操作が有効とされる。なお、前者(操作ボタン19a〜19d)と後者(操作ボタン19e、〜19g)の操作ボタンの例示は一例であって、必要に応じて適宜設定、配置することができる。

本実施例のナビゲーション装置10は、基本的には以上のように構成される。次に、図3に示すフローチャートに従い、ナビゲーション装置10の動作について説明する。

車両用ナビゲーション装置10の制御部11におけるCPU22は、車速信号取得部15が車速センサ25から取得する車両の車速信号を常時監視し、車速が0、すなわち、車両が停車中であるときには(ステップS101、NO)、車両用ナビゲーション装置10の、全ての操作ボタン19a〜19gの操作を受け付け可能な状態とする。この状態において、ドライバを含むユーザにより所望の操作ボタン19a〜19gが押下されると(ステップS104、YES)、CPU22は、押下された操作ボタン19a〜19gに応じた指示内容の処理を実行する(ステップS105)。

例えば、ユーザが操作ボタン19bを操作して表示部20表示画面にメニュー画像を表示させ、目的地を入力して経路探索を指示すると、経路探索部13は、経路探索指示に従い、地図情報記憶部14に記憶されている地図情報に基づき、現在位置検出部12によって検出された現在位置から目的地までの案内経路を探索し、その経路を表示部20の表示画面に地図画像とともに表示させる。そこで、ユーザは、表示された案内経路に従って、所望の目的地まで移動することができる。また、ユーザが操作ボタン19dを操作してAV再生部16又はTVチューナ17を起動させると、表示部20及びスピーカ21を用いてテレビ映像を含む所望の映像を視聴し、あるいは、所望の楽曲を再生して楽しむことができる。

車両が停車中であって、いずれの操作ボタン19a〜19gも押下されず(ステップS104、NO)、且つ、車両のイグニッションスイッチがOFFになると、車両用ナビゲーション装置10の電源もOFFとなり(ステップS106、YES)、全ての処理が終了する。

一方、CPU22は、車速信号取得部15が車速センサ25から取得した車速信号に基づき、車両が走行中であると判定すると(ステップS101、YES)、操作ボタン19a〜19dの操作を制限する(ステップS102)。この状態において、例えば、運転中のドライバが操作ボタン19a〜19dを操作したとしても、車両用ナビゲーション装置10のCPU22は、その操作指示の内容を受け付けない。

すなわち、CPU22は、車両が走行中であって、操作制限解除ボタン18が押下されていない状態のとき、操作ボタン19a〜19dの操作を受け付けない状態とする。この場合、操作制限解除ボタン18と、操作ボタン19a〜19dとは、ユーザの、片方の手の指だけでは、同時に押下できない位置に配置されている。また、車両が走行中には、これらの操作ボタン19a〜19dが操作されても、操作制限解除ボタン18が操作(押下)されていない状態では有効とされない。

従って、ハンドルを操作しているドライバは、操作制限解除ボタン18及び操作ボタン19a〜19dを同時に操作することができないため、結局、ドライバは、一部の機能を除き、車両用ナビゲーション装置10を操作することができないため、走行の安全性が確保される。なお、一部の機能とは、例えば、カーソルを移動させる操作ボタン19e、音量を調整する操作ボタン19f、車両用ナビゲーション装置10の電源をON/OFFさせる操作ボタン19gであり、これらの操作ボタン19e〜19gは、ドライバがハンドルを操作して前方を注視している状態で操作することが可能なものである。

図4は、操作制限解除ボタン18、操作ボタン19a〜19dの操作検出信号による制御論理を示すタイミングチャートである。図4において、(a)は操作制限解除ボタン18の操作(押下)の検出状態を示す波形を、(b)は操作ボタン19a〜19dの何れか1つのボタンの操作押下)の検出状態を示す波形を示している。この図に示すように、操作制限解除ボタン18、操作ボタン19a〜19dの何れかが同時に操作され、両者が論理「1」(ハイレベルの検出信号)が得られた場合に、操作制限が解除される。ここで、両者が同時に論理「1」となった時間「t」が所定の時間、継続した場合に操作制限が解除するように構成すれば、より確実にドライバによる操作を制限しつつ、同乗者による操作を許容することができる。

なお、操作制限解除ボタン18が、図5を参照して後述するように複数(例えば、2つの操作制限解除ボタン18a、18b)設けられる場合も同様であり、この場合は、2つの操作制限解除ボタン18aおよび18bと、操作ボタン19a〜19dの何れかが同時に操作され、両者ともに論理「1」(ハイレベルの検出信号)が得られた場合に、操作制限が解除される。

一方、車両に同乗しているドライバ以外のユーザは、走行中であっても、車両用ナビゲーション装置10を操作して所望のサービスを受けたい場合がある。この場合、両手が自由であるユーザは、図2に示すように、一方の手の指26Lにより操作制限解除ボタン18を押下して操作の制限を解除し(ステップS103、YES)、他方の手の指26Rにより所望の操作ボタン19a〜19dを押下することができる(ステップS104、YES)。この結果、ドライバ以外のユーザは、DVDの映像や楽曲の再生、テレビの視聴といった所望のサービスを享受することができる(ステップS105)。なお、これらの処理は、車両用ナビゲーション装置10の電源がOFFになった時点で終了する(ステップS106、YES)。

図5は、ユーザの、一方の手の2本の指26L1及び26L2により同時に押下可能な位置に、第1操作制限解除ボタン18a(第1解除操作部)及び第2操作制限解除ボタン18b(第2解除操作部)を配置した実施例を示す。

この実施例では、ユーザは、一方の手の、2本の指26L1、26L2で第1操作制限解除ボタン18a及び第2操作制限解除ボタン18bを押下して操作の制限を解除し、それと同時に、他方の手の指26Rで所望の操作ボタン19a〜19dを押下することにより、操作した所望の指示内容を実行することができる。

このように構成することにより、運転中のドライバによる車両用ナビゲーション装置10の操作を一層確実に制限し、安全性を確保することができる。一方、両手が自由であるドライバ以外のユーザは、操作ボタン19a〜19dの制限を容易に解除して、所望のサービスを享受することができる。

以上のように、本実施例では、両手が自由であるユーザは、一方の手の指により表示部20に設けられた操作制限解除ボタン18又は操作制限解除ボタン18a、18bを押下するとともに、他方の手の指により所望の操作ボタン19a〜19dを押下することにより、操作の制限を容易に解除して、所望のサービスを享受することができる。しかも、構成が簡単な操作制限解除ボタン18又は操作制限解除ボタン18a、18bによって操作の制限を解除する手段を極めて安価に実現することができる。

なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。

例えば、操作を解除する手段として、操作制限解除ボタン18又は操作制限解除ボタン18a、18bを設けるものとして説明したが、ユーザの片手で同時に押下できない位置に配置されている2つ以上の異なる操作ボタン19a〜19gのうち、少なくとも1つを操作制限解除ボタンとして割り当てることにより、操作ボタン19a〜19gに操作制限解除機能を持たせ、操作制限解除ボタンを新たに設けることなく、安価に操作制限解除機能を実現することができる。

また、上述した実施例では、操作制限解除ボタン18、18a、18b及び操作ボタン19a〜19gを、表示部20の表示画面の周囲である筐体部分にハードキーとして構成しているが、表示部20と一体に構成したタッチパネルを用い、ソフトキーとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0010】
10・・・車両用ナビゲーション装置
11・・・制御部
12・・・現在位置検出部
13・・・経路探索部
14・・・地図情報記憶部
15・・・車速信号取得部
16・・・AV再生部
17・・・TVチューナ
18、18a、18b・・・操作制限解除ボタン
19a〜19g・・・操作ボタン
20・・・表示部
21・・・スピーカ
26L、26L1、26L2、26R・・・指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによる走行中の操作を制限する一方、経路案内を含む各種サービスを提供する車両用ナビゲーション装置において、
前記各種サービスに係る情報を表示する表示部の所定位置に配置され、ユーザの一方の手の指等により前記制限を解除する解除部と、
前記ユーザが前記一方の手の指等で前記解除部を操作しているときに前記一方の手の指等で操作することができない前記表示部の所定位置に配置され、前記ユーザの他方の手の指等により前記各種サービスのための所定の操作を行う操作部と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記解除部は、前記一方の手の指等の一部分により操作する第1解除操作部と、前記一方の手の指等の他の部分により操作する第2解除操作部とを備え、前記一方の手の指により前記第1解除操作部及び前記第2解除操作部を同時に操作することで、前記制限が解除されることを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記解除部は、前記操作部の一部であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29471(P2013−29471A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167261(P2011−167261)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】