説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 津波警報が発令された際に、ユーザに海の位置を提示し、ユーザを適切な方向に避難させることのできる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、海域情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、前記現在位置及び前記地図情報に基づく地図画像を表示する表示部と、前記海域情報に基づき、前記現在位置に最も近い海域を検出する海域検出部と、津波情報を受信する津波情報受信部と、前記津波情報を受信したとき、前記現在位置及び検出された前記海域が前記表示部に表示されるように、前記地図画像の縮尺を変更する縮尺変更部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、ユーザに現在位置に対する海の方向を提示する車両用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、ユーザに地図情報とともに車両の現在位置を通知し、走行を支援する車両用ナビゲーション装置が広範に利用されている。
【0003】
車両用ナビゲーション装置は、通常、地図画像が表示された画面の中央に車両の現在位置を表示し、車両の移動に伴い地図画像を自動的にスクロールさせて表示する。従って、画面に表示されていない領域の地図情報を知りたい場合、ユーザは、例えば、画面にタッチして地図画像をスクロールし、又は、地図画像を縮小して確認する必要がある。特に、地震発生に伴う津波警報が発令された場合には、海域を含む地図画像を画面に表示させ、現在位置に対する海の方向を確認した後、海から離れる方向に迅速に避難する必要がある。
【0004】
しかしながら、現在位置に対する海の方向を確認するために、地図画像をスクロールし、又は、地図画像を縮小する操作は、煩雑であるだけでなく、車両の現在位置が画面から外れてしまうと、現在位置を見失ってしまうおそれもある。
【0005】
ここで、ユーザに海に関する情報を提供可能な先行技術として、下記の特許文献1(特開2003−337044号公報)では、現在位置と位置情報のデータベースとに基づき、車両の現在位置が海沿いの場所であるか否かを判定し、海沿いである場合、海沿いの場所を連想させる音声を報知するように構成した車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【0006】
また、下記の特許文献2(特開2004−163152号公報)では、目的地が海の近くであるか否かを判定し、海の近くである場合、目的地の近くの海に関する情報を取得するように構成した車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【0007】
さらに、下記の特許文献3(特開2007−271299号公報)では、道路地図データが海沿いの道路を含む景観属性情報を備え、車両が景観属性情報を含む分岐点に近づいたとき、ユーザに景観属性情報を含む他の選択経路を最適経路とは別に案内するように構成した車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−337044号公報(段落[0047])
【特許文献2】特開2004−163152号公報(請求項2)
【特許文献3】特開2007−271299号公報(請求項1、3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1の場合、車両が海沿いを走行していない場合、海の方向を確認するためには、表示されている地図画像をユーザがスクロールして海域を表示させる必要がある。また、上記の特許文献2は、目的地が海の近くである場合において、海に関する情報を提供するものであって、現在位置に対する海の方向をユーザに提示するものではない。さらに、上記の特許文献3は、海沿いの道路を含む選択経路をユーザに案内するものであり、特許文献2と同様に、現在位置に対する海の方向をユーザに提示するものではない。従って、上記のいずれの先行技術も、津波警報が発令された際、ユーザに避難すべき方向を適切に提示することはできない。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、津波警報が発令された際に、ユーザに現在位置とともに海の方向を提示し、ユーザを適切な方向に避難させることのできる車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、海域情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、前記現在位置及び前記地図情報に基づく地図画像を表示する表示部と、前記海域情報に基づき、前記現在位置に最も近い海域を検出する海域検出部と、津波情報を受信する津波情報受信部と、前記津波情報を受信したとき、前記現在位置及び検出された前記海域が前記表示部に表示されるように、前記地図画像の縮尺を変更する縮尺変更部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車両用ナビゲーション装置において、前記海域情報は、海岸線情報を含むことを特徴とする。
【0013】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる車両用ナビゲーション装置において、前記地図情報は、前記地図情報を複数のエリアに分割するエリア情報を含み、前記各エリアが面している前記海域の方向を海域方向テーブルとして記憶する海域方向テーブル記憶部と、前記エリア情報に基づき、前記現在位置の前記エリアを特定するエリア特定部と、前記海域方向テーブルに基づき、特定された前記エリアが面している前記海域の方向を抽出する海域方向抽出部と、を備え、前記海域検出部は、前記海域情報に基づき、抽出された前記海域の方向から、前記現在位置に最も近い前記海域を検出することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1項にかかる車両用ナビゲーション装置において、前記表示部は、北を上とする前記地図画像を表示するノースアップ表示を行うことを特徴とする。
【0015】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1項にかかる車両用ナビゲーション装置において、前記表示部は、前記車両の進行方向を上とする前記地図画像を表示するヘディングアップ表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1にかかる発明においては、車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、海域情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、前記現在位置及び前記地図情報に基づく地図画像を表示する表示部と、前記海域情報に基づき、前記現在位置に最も近い海域を検出する海域検出部と、津波情報を受信する津波情報受信部と、前記津波情報を受信したとき、前記現在位置及び検出された前記海域が前記表示部に表示されるように、前記地図画像の縮尺を変更する縮尺変更部と、を備える。
【0017】
このように構成することにより、津波情報を受信した際、現在位置から最も近い海域を検出し、その海域が表示部に表示されるように、地図画像の縮尺を変更することにより、ユーザが地図画像をスクロールして海を探索する必要がなく、現在位置に対する海の方向をユーザに提示することができる。また、表示部には、現在位置及び検出された海域が表示されるため、ユーザは、現在位置に対する海の方向を正しく認識し、適切な方向に避難することができる。
【0018】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車両用ナビゲーション装置において、地図情報の海岸線情報に基づき、現在位置から最も近い海域を検出することができる。
【0019】
請求項3にかかる発明においては、請求項1又は2にかかる車両用ナビゲーション装置において、現在位置のエリアを特定し、海域方向テーブルからそのエリアが面している海域方向を抽出することにより、抽出された海域方向から、現在位置に最も近い海域を短時間に検出して表示させることができる。
【0020】
請求項4にかかる発明においては、請求項1〜3のいずれか1項にかかる車両用ナビゲーション装置において、北を上とする地図画像を表示するノースアップ表示を行うことにより、ユーザが車両の進行方向を変更しても、地図が回転することがないため、避難時における走行方向を容易に認識することができる。
【0021】
請求項5にかかる発明においては、請求項1〜3のいずれか1項にかかる車両用ナビゲーション装置において、車両の進行方向を上とする地図画像を表示するヘディングアップ表示を行うことにより、実際の道路と地図画像に表示されている道路との対応関係を把握し易いため、避難時における走行方向を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例における車両用ナビゲーション装置の構成ブロック図である。
【図2】図1の海域方向テーブル記憶部に記憶される海域方向テーブルの説明図である。
【図3】本発明の実施例における車両用ナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【図4】図1の表示部において、海域を含まない表示範囲と、海域を含んだ地図範囲との関係説明図である。
【図5】図1の表示部において、海域が表示されていない地図画像の説明図である。
【図6】図1の表示部において、図5に示す地図画像を縮小し、海域を表示させたノースアップ表示の地図画像の説明図である。
【図7】図1の表示部において、図5に示す地図画像を縮小し、海域を表示させたヘディングアップ表示の地図画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための車両用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの車両用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車両用ナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例における車両用ナビゲーション装置10の構成ブロック図である。
【0025】
車両用ナビゲーション装置10は、制御部11、現在位置検出部12、経路探索部13、地図情報記憶部14、海域方向テーブル記憶部15、エリア特定部16、海域方向抽出部17、縮尺変更部18、受信部19、操作部20、表示部21及びスピーカ22を備えて構成される。
【0026】
制御部11は、CPU23、RAM24及びROM25を備え、RAM24及び/又はROM25に記憶された制御プログラムをCPU23が実行することにより、下記に説明する車両用ナビゲーション装置10の各部の動作を制御・統括する。なお、制御部11は、車両の現在位置に最も近い海域を検出する海域検出部として機能する。
【0027】
現在位置検出部12は、所定の時間間隔で地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、受信した衛星信号に基づき、車両の現在位置を算出する。なお、現在位置検出部12は、加速度センサ、ジャイロセンサ等から取得した加速度や角速度、又は、基地局から発信される電波に基づいて、車両の現在位置を算出する自律航法手段により構成することもできる。
【0028】
経路探索部13は、地図情報記憶部14に記憶された地図情報と、現在位置検出部12を用いて算出した車両の現在位置又は操作部20を用いて設定された出発地と、目的地とに基づき、現在位置又は出発地から目的地までの最適な移動経路を探索する。経路探索部13は、現在位置又は出発地に対応する道路のノードから、目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を移動経路として探索する。
【0029】
地図情報記憶部14は、都道府県別のエリアを示すエリア情報、車両の移動経路を探索するための道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される地図情報を記憶する。地図情報は、エリア情報により複数のエリアに分割することができる。なお、地図情報は、外部の地図情報提供サーバ(図示せず)から取得し、最新の地図情報として地図情報記憶部14に記憶させるようにしてもよい。
【0030】
道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0031】
リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、ノード間の距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称のデータを含んで構成される。リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所、駐車場等のデータが付与される。建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また、背景データは、海域、湖沼、河川形状、山林等の背景画像情報となる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。海域を示す背景データである海域情報には、海岸線情報を含めることができる。
【0032】
海域方向テーブル記憶部15は、図2に示すように、地図情報記憶部14に記憶された都道府県別のエリアを示すエリア情報と、各エリアが面している海域方向との関係を海域方向テーブル26として記憶する。例えば、岩手県は、東の方向が海に面しているため、海域方向として「東」を示す方向の情報が設定される。北海道は、北、東、南、西の4方向が海に面しているため、海域方向として「北、東、南、西」の4方向の情報が設定される。また、長野県は、海に面していないため、海域方向として「無し」の情報が設定される。なお、海域方向は、北、東、南、西の4方向ではなく、8方向、16方向等であってもよい。
【0033】
エリア特定部16は、現在位置検出部12により検出された車両の現在位置と、地図情報記憶部14に記憶されている都道府県別のエリアを示すエリア情報とに基づき、現在位置のエリアを特定する。
【0034】
海域方向抽出部17は、海域方向テーブル26に基づき、エリア特定部16によって特定された車両の現在位置のエリアが面している海域方向を抽出する。なお、特定されたエリアに対して複数の海域方向が設定されている場合には、現在位置から最も近い海域方向を抽出する。
【0035】
縮尺変更部18は、表示部21に表示される地図画像に海域が含まれるように、地図画像の縮尺を変更する。
【0036】
受信部19は、外部の情報提供サーバ27から津波警報を受信する。受信部19は、津波情報受信部として機能する。
【0037】
操作部20は、車両用ナビゲーション装置10に対して、例えば、経路探索のための出発地及び目的地、地図画像の拡大、縮小、スクロール、所望のランドマークの登録等、各種情報を入力し、車両用ナビゲーション装置10に所望の指示を行うものである。表示部21は、各種メニュー画像、車両の現在位置及び地図画像、探索された移動経路等を表示するとともに、情報提供サーバ27から津波警報を受信した際に、現在位置に最も近い海域を表示する。スピーカ22は、ユーザに対して必要な案内音声を出力する。なお、操作部20は、表示部21上に形成されるタッチパネルにより構成することもできる。
【0038】
本実施例の車両用ナビゲーション装置10は、基本的には以上のように構成される。次に、図3に示すフローチャートに従い、車両用ナビゲーション装置10の動作について説明する。
【0039】
車両用ナビゲーション装置10の電源がONになると、現在位置検出部12は、GPS衛星から衛星信号を受信し、車両の現在位置を検出する(ステップS101)。検出された現在位置は、地図情報記憶部14から読み出された現在位置を中心とする地図情報にかかる地図画像とともに、表示部21に表示される(ステップS102)。
【0040】
ユーザが操作部20から出発地及び目的地を入力して経路探索を指示すると、経路探索部13は、地図情報記憶部14に記憶されている地図情報に基づき、出発地から目的地までの最適な移動経路を探索する。探索された移動経路は、地図画像とともに表示部21に表示される。そこで、ユーザが表示された移動経路に従って車両を走行させると、現在位置検出部12は、車両の現在位置を逐次検出し、制御部11は、表示部21に探索された移動経路とともに車両の現在位置を表示させる。従って、ユーザは、表示部21に表示された移動経路に従い、所望の目的地に向かって走行することができる。
【0041】
一方、車両用ナビゲーション装置10の起動中に地震が発生し、受信部19が情報提供サーバ27から津波情報を受信すると(ステップS103、YES)、制御部11は、表示部21に海域が表示されているか否かを判断する(ステップS104)。すなわち、制御部11は、地図情報記憶部14に記憶されている地図情報の海域情報に基づき、表示部21に表示されている地図画像の表示範囲にかかる地図情報に、海域を示す海域情報が含まれているか否かを判断する。
【0042】
図4は、表示部21の現在の表示範囲28と、海域29を含む地図範囲30との関係を例示したものである。この場合、表示範囲28には、海域29が含まれていないため、表示部21には、図5に示すように、海域29のない地図画像31が車両の現在位置を示すマーク32とともに表示されている。従って、ユーザは、図5の地図画像31から海がどの方向にあるのかを認識することができない。
【0043】
表示部21に海域29が表示されていないと判定されると(ステップS104、NO)、エリア特定部16は、現在位置検出部12により検出された車両の現在位置と、地図情報記憶部14に記憶されている都道府県別のエリアを示すエリア情報とに基づき、車両の現在位置のエリアを特定する(ステップS105)。エリアが特定されると、海域方向抽出部17は、海域方向テーブル記憶部15に記憶されている海域方向テーブル26に基づき、特定されたエリアが面している海域方向を抽出する(ステップS106)。
【0044】
次いで、制御部11は、抽出された海域方向から、現在位置と、抽出された海域方向にある海域の位置との距離を求め、現在位置に最も近い海域29を検出する(ステップS107)。なお、海域の位置は、地図情報に含まれる海域方向テーブル26から得ることができる。また、海域情報に海岸線情報が含まれている場合、海岸線の位置を現在位置に最も近い海域として取得することもできる。この場合、ステップS106の処理で海域方向を抽出しているため、制御部11は、現在位置と海域との間の距離を求める際、抽出された海域方向の海域情報のみを用いればよく、従って、現在位置に最も近い海域29を短時間で検出することができる。例えば、ステップS105で特定されたエリアが鳥取県である場合、海域方向として「北」が抽出されるため、海域29を検出する際、「北」の海域方向のみを検出に対象とすればよい。
【0045】
次に、縮尺変更部18は、現在位置と、ステップS107で検出した現在位置に最も近い海域29との間の距離に基づき、表示部21に車両の現在位置を示すマーク32と海域29とを同時に表示させることのできる地図画像の縮尺を算出する(ステップS108)。制御部11は、算出された縮尺に従い、図5に示す地図画像31の縮尺を変更し、図6に示すように、表示部21に海域29を含む地図画像33を表示させる(ステップS109)。
【0046】
例えば、現在表示中の1万分の1の縮尺の地図には海域が含まれていない場合には、5万分の1の縮尺の地図あるいは10万分の1の縮尺の地図・・・のように、現在位置と海域との距離に基づいて、地図縮尺を算出し、当該縮尺の地図を表示すれば海域を含む地図を表示することができる。
【0047】
この場合、ユーザは、地図画像をスクロールしたり、縮小表示させる処理を行うことなく、車両の現在位置を示すマーク32とともに海域29が表示された地図画像33に従い、海の方向を容易に認識することができる。そして、表示されている海域29から離れる方向に走行することにより、津波から速やかに避難することができる。なお、表示部21に海域29を表示させるとともに、スピーカ22から津波警報を報知させるようにしてもよい。
【0048】
ここで、地図画像31の縮尺の変更方法としては、例えば、地図情報記憶部14に記憶されている地図情報がベクトルデータからなる地図情報の場合には、現在位置と海域29との間の距離に基づき、地図画像33の縮尺を連続的に変更することができる。また、地図情報が縮尺の異なる複数の地図(例えば、縮尺の固定された市街地地図や広域地図等)からなる場合には、現在位置と海域29との間の距離に基づき、表示部21に海域29を表示させることのできる縮尺の地図を選択して変更すればよい。なお、地図画像33の縮尺は、表示部21に海域29が十分に表示できるように設定することが望ましい。
【0049】
また、表示部21における地図画像の表示方法としては、地図の北を上とするノースアップ表示と、車両の進行方向を上とするへディングアップ表示のいずれかを選択することができる。図6は、ノースアップ表示により車両の現在位置を示すマーク32及び海域29を表示した地図画像33を示す。ノースアップ表示を行うことにより、ユーザが車両の進行方向を変更しても、地図が回転することがなく、走行方向を認識し易くなる。また、図7は、ヘディングアップ表示により車両の現在位置を示すマーク32及び海域29を表示した地図画像34を示す。ヘディングアップ表示を行うことにより、実際の道路と地図上の道路との対応関係を認識し易くなる。
【0050】
以上の処理は、車両用ナビゲーション装置10の電源がOFFにされるまで繰り返され(ステップS110)。なお、津波情報を受信しない場合(ステップS103、NO)には、通常の表示状態が維持されることになる。また、津波情報を受信した場合であって、表示部21に海域29が既に表示されている場合には(ステップS104、YES)、画像の縮尺を変更することなく、表示されている海域29の方向を確認し、適切な方向に避難すればよい。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0052】
例えば、上述した実施例では、都道府県別のエリアを示すエリア情報を地図情報記憶部14に記憶させるとともに、前記各エリアと海域方向との関係を海域方向テーブル26として海域方向テーブル記憶部15に記憶させ、エリア情報から車両の現在位置を含む都道府県であるエリアを特定して海域方向を抽出するようにしている。これに代えて、所定区画の地形図別(例えば、国土地理院発行の地形図)のエリアを示すエリア情報を地図情報記憶部14に記憶させるとともに、前記各エリアと海域方向との関係を海域方向テーブル26として海域方向テーブル記憶部15に記憶させ、車両の現在位置を含む所定区画を特定して海域方向を抽出するようにしてもよい。
【0053】
また、地図情報記憶部14に記憶された地図情報に含まれる背景データに、海域、湖沼、河川、山林、緑地などをその形状に従って塗りつぶし処理するためのデータ(形状および位置のデータ)が備えられている場合、当該背景データの海のデータを用いて海域の方向、位置を特定し、現在位置からの距離を算出し、表示すべき地図の縮尺を決定するように構成することもできる。その場合は、海域方向テーブル記憶部15を作成する必要がない。
【符号の説明】
【0054】
10・・・車両用ナビゲーション装置
11・・・制御部
12・・・現在位置検出部
13・・・経路探索部
14・・・地図情報記憶部
15・・・海域方向テーブル記憶部
16・・・エリア特定部
17・・・海域方向抽出部
18・・・縮尺変更部
19・・・受信部
20・・・操作部
21・・・表示部
22・・・スピーカ
26・・・海域方向テーブル
27・・・情報提供サーバ
28・・・表示範囲
29・・・海域
30・・・地図範囲
31、33、34・・・地図画像
32・・・マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、
海域情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
前記現在位置及び前記地図情報に基づく地図画像を表示する表示部と、
前記海域情報に基づき、前記現在位置に最も近い海域を検出する海域検出部と、
津波情報を受信する津波情報受信部と、
前記津波情報を受信したとき、前記現在位置及び検出された前記海域が前記表示部に表示されるように、前記地図画像の縮尺を変更する縮尺変更部と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記海域情報は、海岸線情報を含むことを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図情報は、前記地図情報を複数のエリアに分割するエリア情報を含み、
前記各エリアが面している前記海域の方向を海域方向テーブルとして記憶する海域方向テーブル記憶部と、
前記エリア情報に基づき、前記現在位置の前記エリアを特定するエリア特定部と、
前記海域方向テーブルに基づき、特定された前記エリアが面している前記海域の方向を抽出する海域方向抽出部と、
を備え、前記海域検出部は、前記海域情報に基づき、抽出された前記海域の方向から、前記現在位置に最も近い前記海域を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示部は、北を上とする前記地図画像を表示するノースアップ表示を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記車両の進行方向を上とする前記地図画像を表示するヘディングアップ表示を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−72745(P2013−72745A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211832(P2011−211832)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】