説明

車両用フロアマット

【課題】マット本体の貫通孔において上部半体及び下部半体の連結筒部を確実に連結する。
【解決手段】マット本体5の固定装置は、車両に固定した第一固定部材4と、マット本体5に固定した第二固定部材6とを備え、第一固定部材4は上下方向の回転ノブを備え、第二固定部材6は回転ノブを挿入する挿入受け部70を備え、この挿入受け部70に回転ノブが保持可能である。また、第二固定部材6は、マット本体5を挟む上部半体41及び下部半体42と、これら上部半体41及び下部半体42にそれぞれ設けられた対をなす連結筒部43,44とを備え、マット本体5に貫通孔61を設け、この貫通孔61内で対をなす連結筒部43,44を連結して上部半体41及び下部半体42を連結する。そして、一方の連結筒部44の開口縁44Fに延長部51を設け、両半体41,42を係合した際に延長部51が屈曲するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット本体に固定する固定部材を備えた車両用フロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、第1、及び第2止め具から構成され、カーペットの表面側からカーペットに設けられた貫通孔に挿通される第1止め具の第1筒状部に、カーペットの裏面側から第2止め具の第2筒状部が内嵌され、第1筒状部の他端側の内周面に設けられた第1係合ツメと、第2筒状部の一端側の外周面に設けられる第2係合ツメとが係合して組立てられ、第2筒状部の一端側の内周面に設けられたフック係合ツメにフックの嵌合突起が係止されるフック止め具(例えば特許文献1)や、樹脂製の雄グロメットと樹脂製の雌グロメットとから構成され、前記雌グロメットは、マットに設けられた穴に挿入される、両端が開口した外筒部と、該外筒部の一端の外周に形成されて前記マットの一方の面に接するフランジとを有し、前記雄グロメットは、前記外筒部に挿入される、両端が開口した内筒部と、該内筒部の他端の外周に形成されて前記マットの他方の面に接するフランジとを有し、前記外筒部と前記内筒部とには、雄グロメットと雌グロメットとを相互に連結するための、係止手段が設けられ、前記マット穴の周縁の一方の面に一方のフランジを他方の面に他方のフランジを当接させることによってマットに挟着されるマット用固定具(例えば特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−230134号公報
【特許文献2】特許第4493210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のフック止め具では、カーペットの表面側からカーペットに設けられた貫通孔に第1止め具の第1筒状部を挿入する際、カーペットのパイルが倒れ、前記第1筒状部とこれに内嵌する第2止め具との間にカーペットのパイルが挟まれ易いという問題があり、また、上記特許文献2のマット用固定具でも、マット穴内において、雌グロメットと雄グロメットを連結する際、両者の間にカーペットのパイルが挟まれ易いため、パイルを挟まないように注意して装着する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、マット本体の貫通孔において上部半体及び下部半体の連結筒部同士を確実に連結することができる車両用フロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、マット本体と、このマット本体を車両に固定する固定装置とを備えた車両用フロアマットにおいて、
前記固定装置は、前記車両に固定した第一固定部材と、前記マット本体に固定した第二固定部材とを備え、
前記第一固定部材は上下方向の第一固定部材側保持部を備え、
前記第二固定部材は前記第一固定部材側保持部を挿入する挿入受け部を備え、この挿入受け部に前記第一固定部材側保持部が保持可能であり、
前記第二固定部材は、前記マット本体を挟む上部半体及び下部半体と、これら上部半体及び下部半体にそれぞれ設けられた対をなす連結筒部とを備え、
前記マット本体に貫通孔を設け、この貫通孔内で前記対をなす連結筒部を連結して前記上部半体及び下部半体を連結し、前記対をなす連結筒部に前記第一固定部材側保持部が挿入され、前記対をなす連結筒部の一方の連結筒部の開口縁に延長部を設け、前記両半体を係合した際に前記延長部が屈曲するように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記延長部が設けられた一方の連結筒部に、他方の連結筒部が挿入可能であり、前記両半体が係合した際に前記延長部が沿って屈曲する屈曲案内部を他方の半体に設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記マット本体の一側面から前記貫通孔に前記一方の連結筒部を挿入した状態で、前記延長部は、その先端が前記マット本体の他端面から突出する高さを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の車両用フロアマットによれば、マット本体に第二固定部材を保持する際にマット本体のパイルの噛み込みが防止され、固定部材の装着が容易になる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の車両用フロアマットによれば、パイルの噛み込み防止用の延長部が第二固定部材の屈曲案内部に沿って屈曲することでパイルの噛み込みを確実に防止できると共に、延長部が第二固定部材内に収まることで外観性の向上が図られる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の車両用フロアマットによれば、延長部がマット本体の厚さより高く形成されていることでパイルの噛み込み防止が確実となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1を示す全体平面図である。
【図2】同上、第二固定部材の分解斜視図である。
【図3】同上、第二固定部材の組み付け方法を説明する断面図である。
【図4】同上、第二固定部材の組み付け方法を説明する断面図であり、上段の係止鍔部に係止爪部を係止した状態を示す。
【図5】同上、第二固定部材の組み付け方法を説明する断面図であり、下段の係止鍔部に係止爪部を係止した状態を示す。
【図6】同上、固定装置の取り付け状態の断面図である。
【図7】本発明の実施例2を示す延長部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の車両用フロアマットの実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1〜図6は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、車両用フロアマット1は、車両のフロア2に設けた車両側カーペット3に固定した合成樹脂製の第一固定部材4と、前記車両側カーペット3上に着脱可能に敷設するマット本体5と、このマット本体5に固定した合成樹脂製の第二固定部材6とを備え、前記第一固定部材4と第二固定部材6により、マット本体5を車両に固定する固定装置7を構成している。尚、合成樹脂としては、POM(ポリアセタール)などが例示される。
【0015】
また、前記マット本体5は、下部に設けられたゴムなどからなるベース層10Aと、上部に設けられたパイルや毛からなるカーペット層10Bとを備え、そのパイルや毛の上端は自由端に形成されている。
【0016】
図1において、前記マット本体5は、車両の運転席側のフロア2に敷設されるものを例示している。前記フロア2の運転側には、右側に前後方向に長いアクセルペダル8が配置され、このアクセルペダル8の左側には、左右方向に長いブレーキペダル9が配置されている。また、前記マット本体5の前右角部には、前記アクセルペダル8に対応して凹部5Aが設けられ、さらに、前記マット本体5の前端縁5Bが前記ブレーキペダル9に近接配置されていると共に、前記マット本体5の前端縁5Bと前記ブレーキペダル9との間に間隔を設けており、この間隔によりマット本体5と前記ブレーキペダル9が干渉しないように配置されている。
【0017】
図6に示すように、前記第一固定部材4は、車両側カーペット3に固定するカーペット固定部11を備え、このカーペット固定部11は、車両側カーペット3の上面に配置する平板状の上ベース部12と、車両側カーペット3の下面に配置され前記上ベース部12との間に車両側カーペット3を挟む下挟着部13とを備え、前記上ベース部12と下挟着部13は一側がヒンジ部により連結されていると共に、他側が図示しない連結部により連結される。
【0018】
前記第一固定部材4の前記上ベース部12には、合成樹脂製の回転ノブ21が回転可能に軸支され、この第一固定部材4に設けた回転ノブ21が、前記第二固定部材6に係止する第一固定部材側保持部である。前記回転ノブ21は、上部に操作子22を有すると共に、下部に抜止め連結部たる連結保持部23を有し、前記操作子22と前記連結保持部23の間に、軸部たる中部24を一体に有し、この中部24の断面形状は略長方形である。
【0019】
前記上ベース部12の略中央には、貫通孔31が穿設されており、この貫通孔31には、上方に向って筒部32が突設され、この筒部32の上部に筒状のノブ受け部33を設け、このノブ受け部33内には長孔34が形成されており、前記ノブ受け部33の下部には、前記回転ノブ21の中部24が係合する保持壁部35,35が設けられ、これら両側の保持壁部35,35間に挟まれて前記中部24が保持される。
【0020】
次に、前記マット本体5に固定する前記第二固定部材6の詳細について説明する。図2などに示すように、前記第二固定部材6は、前記マット本体5を上下から挟んで組み付けられる上部半体41と下部半体42とを備える。前記上部半体41の鍔状をなす本体41Hは、略円形形状をなし、周囲より中央側が高く、上連結筒部43が中央から一方である下方に突設されており、また、前記下部半体42の鍔状をなす本体42Hは、略正方形形状をなし、前記上連結筒部43に連結する下連結筒部44が中央から他方である上方に突設されている。尚、下連結筒部44は本体42Hの開口部44Aに設けられている。そして、前記上連結筒部43と下連結筒部44により、半体連結部45を構成している。
【0021】
図2及び図6に示すように、前記上連結筒部43の外周には、係止鍔部46を上下多段に周設し、この係止鍔部46は、その下面が内側から外側に向って高くなるように傾斜すると共に、その上面が略水平をなしている。また、前記下連結筒部44には、下端が開口した複数の切欠き47,47を周方向に間隔を置いて設け、これら切欠き47,47間に、下端が自由端をなす係止受け片48を設け、この係止受け片48の下端内面に、前記係止鍔部46が係止する係止爪部49を設け、この係止爪部49は、その上面が内側から外側に向って高くなるよう傾斜し、下面が略水平をなしている。尚、この例では、4つの係止受け片48が円周方向等間隔に設けられている。また、係止鍔部46は、前記上連結筒部43の全周に設けてもよいし、前記係止爪部49に対応する箇所のみに設けてもよい。
【0022】
そして、係止鍔部46と係止爪部49により、上連結筒部43と下連結筒部44とを連結する連結手段を構成している。
【0023】
したがって、下連結筒部44内に上連結筒部43を挿入すると、係止受け片48が弾性変形して外側に移動し、所定の位置の係止鍔部46が係止爪部49に抜け止め状態で係止し、これにより上,下連結筒部43,44が連結され、係止位置を変えることによりマット本体5の厚さに対応することができる。
【0024】
前記下連結筒部44の開口縁44Fには、延長部51が設けられ、この延長部51は下連結筒部44の略全周に渡って突出され、円周方向に間隔をおいて複数のスリット52が設けられ、これらスリット52により複数の分割延長部51Aに分割され、複数の分割延長部51Aの上辺は同一高さ位置にある。このように縦方向のスリット52が分割延長部51Aの分離箇所となる。前記延長部51の厚さは前記下連結筒部44の厚さに比べて薄く形成されており、このように薄く形成することにより延長部51は可撓性を備え、その延長部51の基端側は下連結筒部44の開口縁44Fの厚さ方向において、内周側に設けられている。また、延長部51は基端側から先端側に向って徐々に薄くなるように形成され、延長部51は、その内面が略垂直で、その外面が先端側に向かって僅かに内向きになっている。尚、隣り合うスリット52,52の間隔は、分割延長部51Aに所定の可撓性を付与する面から、下連結筒部44の円周方向において60度以下とすることが好ましい。また、前記スリット52の幅は、カーペット層10Bのパイルの太さより狭くすることが好ましい。
【0025】
前記マット本体5には、前記半体連結部45を挿入する貫通孔61が穿設されており、前記貫通孔61内において前記半体連結部45の連結を行うことにより、上,下部半体41,42によりマット本体5を挟着した状態で、第二固定部材6をマット本体5に固定することができる。
【0026】
ここで前記延長部51の好適な高さについて説明する。図3に示すように、前記下連結筒部44をマット本体5のベース層10Aから前記貫通孔61に挿入し、ベース層10Aに前記下部半体42の本体42Hの周縁を当接した状態で、その先端が前記マット本体5の他端面から突出する高さを有する。また、前記下部半体42の本体42Hの内面には、前記上連結筒部43の周囲に屈曲案内部53を設け、この屈曲案内部53は凹状の湾曲面により構成されている。
【0027】
また、図2及び図3などに示すように、前記上部半体41の本体41Hの周囲下面には前記マット本体5に挿入係止するピン62を複数設けると共に、前記下部半体42の本体42Hの周囲上面には前記マット本体5に挿入係止するピン63を複数設け、それらピン62,63により前記マット本体5に対して第二固定部材6を回り止め状態で固定することができる。
【0028】
また、前記上連結筒部43内には、第一固定部材側保持部たる前記回転ノブ21が係止可能な挿入受け部70が設けられている。この挿入受け部70は、前記上連結筒部43内に設けられた該上連結筒部43より小さな受け長孔71と、この受け長孔71の幅方向両側に設けた仕切り板状の係止受け部72とを備え、前記受け長孔71は前記回転ノブ21の操作子22が挿通可能な大きさを有し、前記受け長孔71に、下から前記ノブ受け部33の上部が係入し、この係入状態で、回転ノブ21を回転すると、前記係止受け部72の上面に、ロック位置の前記操作子22が係止する。
【0029】
また、第一固定部材4及び第二固定部材6は、以下のように、前記車両側カーペット3及び前記マット本体5にそれぞれ固定されている。即ち、図1に示すように、前記マット本体5は前記アクセルペダル8及びブレーキペダル9の後方に向けて延長配置され、マット本体5に固定した第二固定部材6は、アクセルペダル8の後方延長線近傍で、マット本体5の後部に設けられている。さらに、図1に示すように、マット本体5の後部左側にも固定装置7が設けられている。
【0030】
次に、前記第二固定部材6のマット本体5への取り付け方法について説明する。マット本体5の下面側から貫通孔61に下連結筒部44を挿入すると、図3に示すように、マット本体5の上面から前記延長部51の先端が突出する。そして、マット本体5の上面側から、上部半体41の上連結筒部43を延長部51内を通して下連結筒部44に挿入し、係止鍔部46に係止爪部49を抜け止め状態で係止し、これにより上,下連結筒部43,44が連結されて上部半体41と下部半体42とが連結される。このように上連結筒部43を延長部51内を通して下連結筒部44に挿入するため、カーペット層10Bのパイルが貫通孔61内に倒れこむことが無く、上,下連結筒部43,44間にパイルが噛み込まれることがない。
【0031】
また、図4の位置から上連結筒部43を押し込むと、係止爪部49に係止する係止鍔部46の位置が変わり、屈曲案内部53に沿って延長部51が外側に広がるようにして屈曲し、本体41H内に延長部51が収まり、第二固定部材6の外部に延長部51が露出することがなく、厚さの異なるマット本体5にも対応することができる。尚、図6では、延長部51は90度以上屈曲している。
【0032】
このように本実施例では、マット本体5と、このマット本体5を車両に固定する固定装置7とを備えた車両用フロアマット1において、固定装置7は、車両に固定した第一固定部材4と、マット本体5に固定した第二固定部材6とを備え、第一固定部材4は上下方向の第一固定部材側保持部たる回転ノブ21を備え、第二固定部材6は回転ノブ21を挿入する挿入受け部70を備え、この挿入受け部70に回転ノブ21が保持可能であり、第二固定部材6は、マット本体5を挟む上部半体41及び下部半体42と、これら上部半体41及び下部半体42にそれぞれ設けられた対をなす連結筒部43,44とを備え、マット本体5に貫通孔61を設け、この貫通孔61内で前記対をなす連結筒部43,44を連結して上部半体41及び下部半体42を連結し、対をなす連結筒部43,44に回転ノブ21が挿入され、対をなす連結筒部43,44の一方の連結筒部44の開口縁44Fに延長部51を設け、両半体41,42を係合した際に延長部51が屈曲するように構成したから、マット本体5に第二固定部材6を保持する際にマット本体5のパイルの噛み込みが防止され、固定部材4,6の装着が容易になる。
【0033】
また、このように本実施例では、延長部51が設けられた一方の連結筒部である下連結筒部44に、他方の連結筒部である上連結筒部43が挿入可能であり、両半体41,42が係合した際に延長部51が沿って屈曲する屈曲案内部53を他方の半体である上部半体41に設けたから、パイルの噛み込み防止用の延長部51が第二固定部材6の屈曲案内部53に沿って屈曲することでパイルの噛み込みを確実に防止できると共に、延長部51が第二固定部材6内に収まることで外観性の向上が図られる。
【0034】
また、このように本実施例では、マット本体5の一側面たる下面から貫通孔61に一方の連結筒部44を挿入した状態で、延長部51は、その先端がマット本体5の他端面たる上面から突出する高さを有するから、延長部51がマット本体5の厚さより高く形成されていることでパイルの噛み込み防止が確実となる。
【0035】
また、実施例上の効果として、カーペット層10Bと逆側のベース層10A側から貫通孔61に延長部51を挿入するから、挿入によりパイルが倒れることがない。また、延長部51は分割箇所たるスリット52により複数の分割延長部51Aに分割されているから、両半体41,42を連結すると、延長部51が周囲に広がるように円滑に屈曲させることができる。また、延長部51は基端側から先端側に向って徐々に薄くなるように形成されているから、屈曲案内部53に沿って屈曲し易くなる。さらに、延長部51は、合成樹脂製の上部半体41に一体成形したものであるから、安価に設けることができる。
【実施例2】
【0036】
図7は、本発明の実施例2を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の延長部51は、前記分割延長部51Aの上部を周方向幅広に形成して隣り合う分割延長部51A,51Aの上辺の縁同士を非連結状態で重ね合わせ、スリット52の上部を塞いでおり、具体的には、前記分割延長部51Aを、上辺が長い略台形形状に形成し、その上辺の左右の一側縁51Lを、隣合う前記分割延長部51Aの他側縁51Rの外面又は内面に重ね合わせ、これら重ね合わせた一側縁51Lと他側縁51Rとにより前記スリット52の上部を塞ぐようにしている。
【0037】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏し、また、このように本実施例では、隣り合う分割延長部51Aの上辺の縁同士を重ね合わせ、スリット52の少なくとも上部を塞いだから、カーペット層10Bのパイルが細い場合でも、そのパイルがスリット52に入ることがなく、第二固定部材6の装着作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、実施例上の効果として、上辺の左右の一側縁51L及び他側縁51Rを、左右両側で隣合う前記分割延長部51Aの他側縁51Rの外面及び一側縁51Lの内面に重ね合わせたから、複数の分割延長部51A,51Aを屈曲案内部53により均一に屈曲させることができる。
【0039】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、第一固定部材側保持部として、第一固定部材を平面方向及び上下方向に位置決め可能な回転ノブを例示したが、第一固定部材側保持部は、挿入受け部に挿入して第一固定部材を平面方向に位置決めするピン状のものでもよい。また、実施例では、分離箇所として、上下方向に連続したスリットを示したが、スリットに代え、分離箇所としてミシン目状の切り込みを設けてもよく、あるいは分離箇所を延長部の他の部分より薄肉に形成し、この薄肉部分を分離箇所としてもよく、こうすると屈曲案内部に沿って延長部が外側に広がる際、薄肉部分が上辺側から切断されて隣り合う分離延長部が分離される。さらに、分割延長部を略T字方に形成して分割延長部の上辺の縁同士を重ね合わせてもよい。また、延長部を設けた連結筒部をカーペット層側から貫通孔に挿入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用フロアマット
2 フロア
3 車両側カーペット
4 第一固定部材
5 マット本体
6 第二固定部材
7 固定装置
21 回転ノブ(第一固定部材側保持部)
41 上部半体
42 下部半体
43 上連結筒部
44 下連結筒部
51 延長部
53 屈曲案内部
61 貫通孔
70 挿入受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体と、このマット本体を車両に固定する固定装置とを備えた車両用フロアマットにおいて、
前記固定装置は、前記車両に固定した第一固定部材と、前記マット本体に固定した第二固定部材とを備え、
前記第一固定部材は上下方向の第一固定部材側保持部を備え、
前記第二固定部材は前記第一固定部材側保持部を挿入する挿入受け部を備え、この挿入受け部に前記第一固定部材側保持部が保持可能であり、
前記第二固定部材は、前記マット本体を挟む上部半体及び下部半体と、これら上部半体及び下部半体にそれぞれ設けられた対をなす連結筒部とを備え、
前記マット本体に貫通孔を設け、この貫通孔内で前記対をなす連結筒部を連結して前記上部半体及び下部半体を連結し、前記対をなす連結筒部に前記第一固定部材側保持部が挿入され、
前記対をなす連結筒部の一方の連結筒部の開口縁に延長部を設け、前記両半体を係合した際に前記延長部が屈曲するように構成したことを特徴とする車両用フロアマット。
【請求項2】
前記延長部が設けられた一方の連結筒部に、他方の連結筒部が挿入可能であり、前記両半体が係合した際に前記延長部が沿って屈曲する屈曲案内部を他方の半体に設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用フロアマット。
【請求項3】
前記マット本体の一側面から前記貫通孔に前記一方の連結筒部を挿入した状態で、前記延長部は、その先端が前記マット本体の他端面から突出する高さを有することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111996(P2013−111996A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256891(P2011−256891)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】