説明

車両用フロアマット

【課題】固定状態を確実に保持することができる車両用フロアマットを提供する。
【解決手段】マット本体5と、このマット本体5を車両に固定する固定装置7とを備えた車両用フロアマット1において、固定装置7は、車両に固定した第一固定部材4と、マット本体5に固定した第二固定部材6とを備え、第一固定部材4は、上下方向を軸とした回転ノブと、この回転ノブの上部に可倒自在に設けたレバーとを備え、第二固定部材6に回転ノブを挿入する挿入受け部を設け、この挿入受け部に挿入した回転ノブの回転により挿入受け部に回転ノブが係止し、回転ノブの係止状態でレバーを倒すことにより回転ノブの回転を規制するように構成した。これによりマット本体5の車両に対する固定機構を回転ノブとレバーにより二段階で固定することで強固な固定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定装置を備えた車両用フロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、フロアマットをカーペットに固定する固定装置であって、カーペットの取付穴の周囲部分に取付けられる第1固定具と、前記第1固定具に取付けられるノブと、前記フロアマットの取付穴の周囲部分に取付けられ且つ中央に貫通穴を有する第2固定具とから成り、前記第1固定具は、カーペットの取付穴の周囲部分を両面から挟持する、第1カーペットグロメットと第2カーペットグロメットとから成り、該第1カーペットグロメット及び第2カーペットグロメットは、カーペットの取付穴の周囲部分に当接する第1カーペットグロメットフランジ及び第2カーペットグロメットフランジと、カーペットを挟持した状態で前記第1カーペットグロメット及び第2カーペットグロメットを相互に連結できる係止手段とを有し、前記第2カーペットグロメットには、前記ノブを受入れて該ノブに連結するノブベースが形成されており、該ノブベースは、中央に前記ノブを受入れるノブ受入穴が形成される空間を有する筒状体として前記第2カーペットグロメットフランジから立上っており、前記第1カーペットグロメットには、前記ノブベースが貫通する貫通穴が形成されており、前記ノブ及び前記ノブベースは、該ノブが該ノブベースに挿入されると該ノブベース内で軸回りに回転可能に該ノブベースに連結されるように形成されており、前記ノブは、前記第2固定具の前記貫通穴の周囲部分に当接できる大きさを有するノブ頭部と、前記ノブベースに挿入されるノブ軸部とを備え、前記ノブベースは、前記第1カーペットグロメットの係止手段に係止する、前記筒状体の外側に形成されたベース係止部と、前記ノブ受入穴に挿入された前記ノブ軸部の係止手段に係止する、前記筒状体の内側に形成されたノブ連結用係止爪とを備え、前記ノブは、前記ノブ頭部が前記第2固定具に係止しない非ロック位置と前記第2固定具に係止するロック位置をとるように前記ノブベースの内側で軸回りに回転できる構成であり、前記第1固定具の前記第1カーペットグロメット及び前記第2カーペットグロメットがカーペットの両面を挟持するように取付けられ、前記第2固定具がフロアマットに取付けられ、前記ノブベースに前記ノブが連結され、前記ノブ頭部が前記第2固定具の前記貫通穴を貫通する状態で前記カーペットの前記第1固定具の前記第1カーペットグロメットに前記フロアマットの前記第2固定具が重ねられ、前記ノブが前記非ロック位置から前記ロック位置に軸回りに回転された状態では、前記ノブ頭部が前記第2固定具に形成された係止部に当接して該第2固定具を軸方向に前記第1固定具に押圧して前記カーペットに前記フロアマットが固定される固定装置(例えば特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−195179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の固定装置では、ノブを非ロック位置からロック位置に軸回りに回転することによりカーペットにフロアマットを固定する構造であるから、通常の操作では乗員などがノブを逆に回転しない限りロックが解除されることはないが、乗員の靴が当たってノブが回転するなどして意図せずにロックが解除される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、固定状態を確実に保持することができる車両用フロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、マット本体と、このマット本体を車両に固定する固定装置とを備えた車両用フロアマットにおいて、前記固定装置は、前記車両に固定した第一固定部材と、前記マット本体に固定した第二固定部材とを備え、前記第一固定部材は、上下方向を軸とした回転ノブと、この回転ノブの上部に可倒自在に設けたレバーとを備え、前記第二固定部材に前記回転ノブを挿入する挿入受け部を設け、この挿入受け部に挿入した前記回転ノブの回転により前記挿入受け部に前記回転ノブが係止し、前記回転ノブの係止状態で前記レバーを倒すことにより前記回転ノブの回転を規制するように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記第二固定部材には、倒した前記レバーが係合する係合部を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記係合部が係合凹部であり、この係合凹部に倒した前記レバーが係入することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記レバーは前記係合凹部に係入した状態で前記第二固定部材の周縁に収まる長さに形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記レバーは車両の進行方向に略沿って倒れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の車両用フロアマットによれば、マット本体の車両に対する固定機構を回転ノブとレバーにより二段階で固定することで強固な固定が可能となる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の車両用フロアマットによれば、レバーを倒した際に第二固定部材の係合部にレバーが係合することにより回転ノブの回転が規制される。
【0013】
本発明の請求項3に記載の車両用フロアマットによれば、レバーを倒した際に第二固定部材の係合凹部に受け入れ保持されることで強固な固定が可能になり、レバーが第二固定部材の係合凹部に収まることにより回転ノブの回転が規制されると共に、出っ張り部分が少なくなりマット本体の固定時に違和感がなくなる。
【0014】
本発明の請求項4に記載の車両用フロアマットによれば、レバーの先端が出っ張らず、レバーの先端に靴などが当たり難くなると共に、マット本体を違和感なく固定することができる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の車両用フロアマットによれば、レバーを前方又は後方のどちら側に倒す場合でも固定可能となり第二固定部材の取付が容易となると共に、レバーを前方に倒す構造では着脱時の操作が容易となり、後方に倒す構造ではマット本体の固定時において乗員の足の位置に対する影響を受け難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す全体平面図である。
【図2】同上、進行方向の断面図である。
【図3】同上、進行方向交差方向の断面図である。
【図4】同上、第一固定部材の斜視図である。
【図5】同上、回転ノブが非ロック位置の固定装置の斜視図である。
【図6】同上、回転ノブがロック位置の固定装置の斜視図である。
【図7】同上、回転ノブがロック位置でレバーを倒した状態の固定装置の斜視図である。
【図8】同上、下挟着部を図示省略した第一固定部材の斜視図である。
【図9】同上、第一固定部材の要部の断面図である。
【図10】同上、第一固定部材の要部の断面図であり、図9と交差方向の断面を示す。
【図11】同上、レバーを取り付けた回転ノブを下方向から見た斜視図である。
【図12】同上、回転ノブとレバーの要部の拡大断面図である。
【図13】同上、中部を断面にした第一固定部材の要部の底面図である。
【図14】同上、第一固定部材を底面側から見た斜視図である。
【図15】同上、第一固定部材の要部を底面側から見た斜視図である。
【図16】同上、第一固定部材を底面側から見た一部切欠き斜視図である。
【図17】同上、保持壁部と中部の拡大断面図である。
【図18】同上、保持壁部の正面図である。
【図19】同上、保持壁部に保持した状態での中部の回転を説明する第一固定部材の要部の底面説明図である。
【図20】同上、第二固定部材の分解斜視図である。
【図21】同上、第二固定部材の外側連結部の拡大断面図である。
【図22】同上、中央貫通孔と外側貫通孔の位置を示すマット本体の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の車両用フロアマットの実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1〜図22は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、車両用フロアマット1は、車両のフロア2に設けた車両側カーペット3に固定した合成樹脂製の第一固定部材4と、前記車両側カーペット3上に着脱可能に敷設するマット本体5と、このマット本体5に固定した合成樹脂製の第二固定部材6とを備え、前記第一固定部材4と第二固定部材6により、マット本体5を車両に固定する固定装置7を構成している。尚、合成樹脂としては、POM(ポリアセタール)などが例示される。
【0019】
図1において、前記マット本体5は、車両の運転席側のフロア2に敷設されるものを例示している。前記フロア2の運転側には、右側に前後方向に長いアクセルペダル8が配置され、このアクセルペダル8の左側には、左右方向に長いブレーキペダル9が配置されている。また、前記マット本体5の前右角部には、前記アクセルペダル8に対応して凹部5Aが設けられ、さらに、前記マット本体5の前端縁5Bが前記ブレーキペダル9に近接配置されていると共に、前記マット本体5の前端縁5Bと前記ブレーキペダル9との間に間隔を設けており、この間隔によりマット本体5と前記ブレーキペダル9が干渉しないように配置されている。
【0020】
図4などに示すように、前記第一固定部材4は、車両用カーペット3に固定するカーペット固定部11を備え、このカーペット固定部11は、車両用カーペット3の上面に配置する平板状の上ベース部12と、車両用カーペット3の下面に配置され前記上ベース部12との間に車両用カーペット3を挟む下挟着部13とを備える。前記上ベース部12の平面形状は略長方形であり、前記下挟着部13の平面形状は前記上ベース部12と同一方向に長い略長方形であり、前記下挟着部13は前記上ベース部12より小さく形成されている。また、前記上ベース部12の下面には、長さ方向一側に挿通部14が突設され、この挿通部14の下端に前記下挟着部13の長さ方向一端を連結し、前記挿通部14と前記下挟着部13との間には薄肉状のヒンジ部15が設けられている。さらに、前記下挟着部13の長さ方向他端側には、弾性爪片16を上向きに突設し、この弾性爪片16が弾発的に連結する爪受け部17が、前記上ベース部12の下面に設けられ、さらに、その爪受け部17より外側に位置して、前記下挟着部13の他端には上側に屈曲した立上り部18を設けており、固定状態で前記立上り部18の内側に前記爪受け部17が隠れる。また、前記下挟着部13の上面には複数の凹凸部19が形成されている。そして、前記弾性爪片16と前記爪受け部17とにより、上ベース部12と下挟着部13の他側を弾発的に連結する第一固定部材4の連結部20を構成している。
【0021】
図2などに示すように、前記第一固定部材4の取付位置に対応して、車両側カーペット3には、対をなす一方及び他方の挿通孔21,22が穿設されている。そして、車両用カーペット3の上方から一方の挿通孔21に前記下挟着部13を挿通すると共に、他方の挿通孔22に前記爪受け部17を挿入し、この挿通した前記下挟着部13を、前記ヒンジ部15を中心にカーペット側に折曲げ、先端の前記弾性爪片16を前記爪受け部17に弾発的に係止することにより、前記上ベース部12と前記下挟着部13が車両用カーペット3を上下から挟着し、第一固定部材4が車両用カーペット3に固定される。この状態で、前記弾性爪片16,爪受け部17及び立上り部18は、他方の挿通孔22内に収納され、前記爪受け部17は弾性爪片16と立上り部18により挟まれているから、前記爪受け部17が他方の挿通孔22の内縁に当たることがなく、また、前記弾性爪片16が他方の挿通孔22の内縁に当たっても前記弾性爪片16は係止方向に押されるから、前記爪受け部17から弾性爪片16が外れることがない。また、固定状態で車両用カーペット3の下面には前記凹凸部19が当接しているから、車両用カーペット3に対する第一固定部材4の位置ずれを防止できる。
【0022】
前記上ベース部12の略中央には、貫通孔23が穿設されており、この貫通孔23に上方に向って筒部24を突設し、この筒部24の上部の中央に一段高い中央上面25を設け、この中央上面25は第一固定部材4の長さ方向に長く形成され、その中央上面25の周囲には、段部26と前記中央上面25より一段低い横方向の段差面27が設けられ、この段差面27は、前記中央上面25の長さ方向両側が幅方向両側より広く形成されている。また、前記中央上面25の略中央には、該中央上面25と同一方向に長い長孔28が穿設されている。
【0023】
また、図8に示すように、前記上ベース部12の下面には前記貫通孔23を挟んだ両側に凹凸部29が形成されている。さらに、前記上ベース部12の上面には、第一固定部材4の取付方向を示す印30が設けられ、この例では印30は矢印形状により方向を示している。
【0024】
前記第一固定部材4の前記上ベース部12には、合成樹脂製の回転ノブ31が回転可能に軸支される。この第一固定部材4に設けた回転ノブ31が、前記第二固定部材6に係止する第一固定部材側係止部である。
【0025】
また、図11の底面側から見た斜視図に示すように、前記の回転ノブ31は、上部に操作子32を有すると共に、下部に抜止め連結部たる連結保持部33を有し、前記操作子32と前記連結保持部33の間に、軸部たる中部34を一体に有する。前記操作子32は前記中央上面25と略同一の長さのベース部35を有し、このベース部35の長さ方向両側に縦片部36,36を突設し、これら縦片部36,36の間にレバー用連結軸37を横設し、図12などに示すように、このレバー用連結軸37の断面は、略正方形の異形断面で、4つの角をそれぞれ面取りして湾曲した湾曲角部37Aを形成すると共に、隣合う湾曲角部37A,37A間に直線部37Bを形成している。前記レバー用連結軸37にレバー41が連結され、このレバー41は、略長方形形状の板材からなるレバー本体42と、このレバー本体42の基端に設けたレバー連結部43とを一体に備え、このレバー連結部43は、筒体の基端側に開口部44を設けた断面略C字状をなす。また、そのレバー連結部43の内面形状は、前記レバー連結軸37の外面形状に対応して、3つの湾曲角部43Aと、隣り合う湾曲角部43A,43A間を結ぶ直線部43Bと、前記湾曲角部43Aと開口部44を結ぶ短直線部43Cを有する。また、前記回転ノブ31の前記レバー連結軸37の湾曲角部37Aは、上下と左右に配置されている。
【0026】
したがって、レバー連結軸37の上側の湾曲角部37Aに、レバー連結部43の開口部44を合わせて、レバー41を押し下げると、そのレバー連結部43が弾性変形して広がり、レバー連結部43内にレバー連結軸37が挿入され、湾曲角部37Aと湾曲角部43Aとが係合することにより、レバー41が垂直及び水平の位置で位置決め固定することができ、このようにして回転ノブ31に対してレバー41を可倒自在に設けている。
【0027】
また、前記回転ノブ31の前記ベース部35の下面には、前記中部34を中心とした円形座面35Aが突出形成され、この円形座面35Aに対応して、前記筒部24の前記中央上面25に円形凹部25Aが形成され、この円形凹部25Aに前記円形座面35Aが係入し、この係入状態で前記回転ノブ31が回転操作される。尚、円形凹部25Aの幅方向両側は開口部25B,25Bにより開口している。
【0028】
図13などに示すように、前記中部34は、前記レバー連結軸37と同様に、断面が非円形で、この例では断面略正方形であり、角を面取りした湾曲角部34Aを備え、隣り合う湾曲角部34A,34Aの間に直線部34Bが形成されている。
【0029】
前記連結保持部33は、前記操作子32と同一方向に長く形成され、その上面33Uが前記中部34より幅広であり、下方に向って幅狭に形成され、具体的には、前記連結保持部33は、対をなす長さ方向の側面33L,33L間が下方に向かって狭まり、対をなす幅方向の側面33W,33W間が下方に向かって狭まる形状をなす。
【0030】
前記回転ノブ31の下部は、前記長孔28から前記筒部24内に挿入される。図9,図10,図15及び図16などに示すように、前記第一固定部材4には、前記回転ノブ31を抜け止め状態で係止すると共に回転自在に軸支するノブ受け部50が設けられている。このノブ受け部50は、前記筒部24内に、対向する対向内面51,51を平行に配置し、これら対向内面51,51は前記長孔28の長辺部28L,28Lに連続して形成されている。また、前記段差面27の下面27Kには、前記長孔28の長さ方向両側に左右の固定壁部52,52を設け、これら左右の固定壁部52,52の内面は前記対向内面51,51と面一に形成されている。尚、前記筒部24の周りの説明において、前記長孔28の長さ方向を左右として説明する。
【0031】
また、前記ノブ受け部50は、前記左右の固定壁部52,52の間に、前記回転ノブ31の前記中部34を係合する保持壁部53が設けられており、これら両側の保持壁部53,53間に挟まれて前記中部34が保持される。また、図13の底面図などに示すように、前記保持壁部53,53は内側に張り出して形成され、その内面53N,53Nが相互に平行であると共に、前記内面53Nと前記対向内面51とが平行をなし、その保持壁部53の左右を、平面において斜めの壁連結部54,54によりそれぞれ左右の前記固定壁部52,52に連結している。さらに、前記保持壁部53の上縁53Uはスリット55により前記段差面27の下面27Kと分離し、その保持壁部53の外面中央に、突起状の爪部である支持部56を一体的に設け、この支持部56の上部は前記段差面27の下面27Kに固定されている。また、前記支持部56の下面56Kは前記保持壁部53の下面53Kと面一である。
【0032】
前記支持部56は、平行な左右側面56S,56Sと、後面56Bとを有し、平断面が略長方形形状をなし、前面を前記保持壁部53に一体的に設けている。尚、後述するように保持壁部53は、前記中部34の回転により該中部34から荷重を受ける。
【0033】
したがって、保持壁部53が、内面53N側から外側への荷重を受けると、保持壁部53は、壁連結部54と支持部56の間で弾性変形可能であり、また、支持部56の箇所では、支持部56が弾性変形することにより弾性変形可能となる。このように保持壁部53は、支持部56の箇所より両側が弾性変形し易い構造となっている。この場合、支持部56の大きさを変えることにより、支持部56箇所における保持壁部53の弾性変形量を調整できる。
【0034】
図13に示すように、前記保持壁部53,53の間隔は、前記中部34の直線部34B,34Bの間隔Hと略等しく、上述したように前記連結保持部33の上面33Uの幅は前記間隔Hより広い。また、前記保持壁部53,53の間には、前記連結保持部33が挿通され、この挿通を容易にするため前記保持壁部53の下面53Kには、内側角部に湾曲角部53Wを形成している。
【0035】
そして、長孔28から回転ノブ31の連結保持部33を保持壁部53,53間に挿入すると、湾曲角部53Wに沿って保持壁部53,53間に連結保持部33が圧入されると共に、保持壁部53,53間が弾性変形して開き、連結保持部33が保持壁部53,53間を通過すると、保持壁部53,53が復帰し、保持壁部53,53の下面53Kに連結保持部33が係止し、抜け止め状態となり、回転ノブ31の円形座面35Aが長孔28上部の円形凹部25Aに係入する。
【0036】
次に、前記車両用カーペット3に固定する前記第二固定部材6の詳細について説明する。図20などに示すように、前記第二固定部材6は、前記マット本体5を上下から挟んで組み付けられる上部半体61と下部半体62とを備える。前記上部半体61の本体61Hは、略楕円形状をなし、周囲より中央側が高く、上連結筒部63が中央から下方に突設されており、一方、前記下部半体62の本体62Hは前記上部半体61と同一方向に長い略長方形形状をなし、前記上連結筒部63に連結する下連結筒部64が中央から上方に突設されている。尚、下部連結筒体64は本体62Hの開口部64Aに設けられている。
そして、前記上連結筒部63と下連結筒部64により、半体連結部65を構成している。
【0037】
図2及び図3に示すように、前記上連結筒部63の外周には、係止鍔部66を多段に周設し、この係止鍔部66は、その下面が内側から外側に向って高くなるように傾斜すると共に、その上面が略水平をなしている。また、前記下連結筒部64には、下端が開口した複数の切欠き67,67を周方向に間隔を置いて設け、これら切欠き67,67間に、下端が自由端をなす係止受け片68を設け、この係止受け片68の下端内面に、前記係止鍔部66が係止する係止爪部69を設け、この係止爪部69は、その上面が内側から外側に向って高くなるよう傾斜し、下面が略水平をなしている。尚、この例では、4つの係止受け片68が円周方向等間隔に設けられている。また、係止鍔部66は、前記上連結筒部63の全周に設けてもよいし、前記係止爪部69に対応する箇所のみに設けてもよい。
【0038】
そして、係止鍔部66と係止爪部69により、上連結筒部63と下連結筒部64とを連結する連結手段を構成している。
【0039】
したがって、下連結筒部64内に上連結筒部63を挿入すると、係止受け片68が弾性変形して外側に移動し、所定の位置の係止鍔部66が係止爪部69に抜け止め状態で係止し、これにより上,下連結筒部63,64が連結される。
【0040】
また、前記半体連結部65を挟んだ両側の対称位置に外側連結部71,71が設けられ、この外側連結部71は、前記上部半体61の下面から下方に突設した外側上連結筒部72と、前記下部半体62の上面から上方に突設した外側下連結筒部73とを備え、前記外側上連結筒部72の下端に、係止外鍔部74Sを周設すると共に、上下方向のスリット75を複数設け、一方、前記外側下連結筒部73の上端に係止内鍔部74Uを周設している。そして、前記係止内鍔部74U内に前記係止外鍔部74Sを挿入する際、前記スリット75が狭まるように係止外鍔部74Sが弾性変形することにより、係止内鍔部74Uに係止外鍔部74Sが挿入連結され、抜け止め状態となる。また、前記外側下連結筒部73の下部には開口部76が設けられ、この開口部76から連結部材77を挿入し、この連結部材77を前記外側上連結筒部72に挿入することにより、前記外側上連結筒部72の下端の縮小を防止し、前記係止外鍔部74Sと前記係止内鍔部74Uとの連結を保持することができる。この場合、前記連結部材77がネジであれば、このネジなどの螺合部材を前記外上連結筒部72に螺合すればよいし、前記連結部材77がピンであれば、このピンを前記外上連結筒部72に圧入すればよく、このように前記連結部材77により前記係止外鍔部74Sと前記係止内鍔部74Uとの連結を解除できないようにして連結を保持することができる。
【0041】
そして、前記係止内鍔部74Uと係止外鍔部74Sにより、外側上連結筒部72と外側下連結筒部73とを連結する連結手段を構成している。また、前記係止内鍔部74Uの先端面には、外側から内側に向かって低くなる傾斜案内部74Tが設けられると共に、前記係止外鍔部74Sの先端面には、内側から外側に向かって高くなる傾斜案内部74Tが設けられ、それら傾斜案内部74T,74Tにより、係止内鍔部74U内に前記係止外鍔部74Sをスムーズに挿入することができる。
【0042】
前記マット本体5には、前記半体連結部65を挿入する中央貫通孔81と、前記外側連結部71を挿入する外側貫通孔82とが穿設されており、前記中央貫通孔81内において前記半体連結部65の連結を行うと共に、前記外側貫通孔82内に前記外側連結部71の連結を行うことにより、上,下半体61,62によりマット本体5を挟着した状態で、第二固定部材6をマット本体5に固定することができる。また、図3などに示すように、前記上部半体61の本体61Hの周囲下面には前記マット本体5に挿入係止するピン83を複数設けると共に、図2などに示すように前記下部半体62の本体62Hの周囲上面には前記マット本体5に挿入係止するピン84を複数設け、それらピン83,84により前記マット本体5に対して第二固定部材6を回り止め状態で固定することができる。
【0043】
また、前記上連結筒部63内には、第一固定部材側係止部たる前記回転ノブ31が係止可能な挿入受け部90が設けられている。この挿入受け部90は、前記上連結筒部63内に設けられた該上連結筒部63より小さな受け長孔91と、この受け長孔91の幅方向両側に設けた仕切り板状の係止受け部92とを備え、前記受け長孔91は前記回転ノブ31の操作子32が挿通可能な大きさを有し、前記受け長孔91に前記筒部24の前記中央上面25が係入し、この係入状態で、前記受け長孔91の幅方向両側の前記係止受け部92の下面が前記段差面27に当接し、第一固定部材4に第二固定部材6が位置合わせされると共に、前記係止受け部92の上面に、ロック位置の前記操作子32が係止する。
【0044】
次に、前記回転ノブ31を用いた第一固定部材4への第二固定部材6の固定及び固定解除方法について説明する。まず、図4に示すように、長孔28の長さ方向、即ち中央上面25の長さ方向に回転ノブ31の長さ方向を合わせるように回転ノブ31を回した位置が、回転ノブ31の非ロック位置となる。そして、レバー41を起立した状態でレバー41及び操作子32を用いて回転ノブ31を非ロック位置に回し、この後、レバー41と操作子32を受け長孔91に通すようにして第一固定部材4に第2固定部材6を重ね合わせ、前記受け長孔91に前記筒部24の前記中央上面25を係入する。そして、回転ノブ31を90度回転してロック位置にすると、第二固定部材6の係止受け部92上に回転ノブ31のベース部35が係止し、第一固定部材4に第二固定部材6が固定されたロック状態となる。
【0045】
この場合、図13などに示すように、ロック位置及び非ロック位置において、中部34は直線部34B,34Bが保持壁部53,53に挟まれた状態であり、ここから回転ノブ31を回転すると、保持壁部53の面に中部34が接しながら回転し、保持壁部53が弾性変形すると共に、支持部56により中部34が回転トルクを受け、良好なクリック感が得られると共に、長期に渡ってそのクリック感を保持することができる。また、保持壁部53に支持部56が一体に設けられているため、その支持部56により回転ノブ31の操作荷重を上げることができると共に、支持部56の大きさなどにより操作荷重を設定することができる。
【0046】
また、前記上部半体61の本体61Hの上面には、前記回転ノブ31のロック位置においてレバー41が係入する係合部たる係合凹部93,93が形成され、この係合凹部93は前記第二固定部材6の幅方向にそれぞれ形成され、前記挿入受け部90に連続して上部半体61の本体61Hの上部面61Jに設けられている。また、前記レバー41は、前記係合凹部93に倒した際に、第二固定部材6の上部半体61の本体61Aの周縁61Fに収まる長さを有し、この例では、前記周縁61Fと前記レバー41の先端41Sは略同一位置となり、レバー41の先端41Sが突出しない。また、前記係合凹部93は前記レバー41が収まる幅を有しており、レバー41を倒した上体では、レバー41の幅方向両側が係合凹部93の端縁93F,93Fに係止することにより、回転ノブ31を回転することが防止される。このようにレバー41を起さないと回転ノブ31が回転しないため、靴の素材・形状を問わず、ロックの確実性を向上することができる。尚、図3に示すように、係合凹部93にレバー41を係合した状態で、先端41Sの下面と係合凹部93との間に隙間94があるから、この隙間94を利用してレバー41の立ち上げ操作を行うことができる。
【0047】
したがって、回転ノブ31をロック位置に回転し、このロック位置でレバー41を倒し、二段階でマット本体を固定するから、固定状態を確実に保持することができる。また、レバー41を倒した際に係合凹部93に受け入れ保持されることで強固な固定が可能になり、レバー41が係合凹部93に収まることにより回転ノブ31の回転が規制されると共に、出っ張り部分が少なくなりマット本体5の固定時に違和感がなくなる。しかも、レバー41を前方又は後方のどちら側に倒す場合でも固定可能となり第二固定部材6の取付が容易となると共に、レバー41を前方に倒す構造を採用した場合では着脱時の操作が容易となり、後方に倒す構造を採用した場合ではマット本体5の固定時において乗員の足の位置に対する影響を受け難くなる。
【0048】
また、第一固定部材4及び第二固定部材6は、以下のように、前記車両用カーペット3及び前記マット本体5にそれぞれ固定されている。即ち、図1に示すように、前記マット本体5は前記アクセルペダル8及びブレーキペダル9の後方に向けて延長配置され、マット本体5に固定した第二固定部材6は、アクセルペダル8の後方延長線近傍で、マット本体5の後部に設けられている。また、図1右側の固定装置7において、前記半体連結部65と両側の前記外側連結部71,71は、前記アクセルペダル8の後方延長線上に対して略直交して配置されている。このように配置すると、前記係合凹部93,93はアクセルペダル8の後方延長線上に略沿って前後に配置され、前記レバー41が車両の直進の場合の進行方向Sに対して略平行に前後に倒れる。そして、図21に示すように、中央貫通孔81及び外側貫通孔82,82は進行方向Sと略直交して前記マット本体5に形成されている。さらに、図1に示すように、マット本体5の後部左側にも固定装置7が設けられている。
【0049】
したがって、半体連結部65の外側に外側連結部71を設けることで上部半体61と下部半体62のマット本体5に対する保持強度の更なる向上が図られる。また、第二固定部材6は、アクセルペダル8の後方延長線近傍で、マット本体5の後部に設けられているから、乗員のアクセルペダル操作により加わるマット本体5の前方への荷重に対して十分な保持強度の向上が図られる。さらに、半体連結部65及び外側連結部71を進行方向Sと直交方向に配置することで半体連結部65にかかる荷重を分散させることにより半体連結部65の脱落防止と共にマット本体5に対する保持強度の向上が図られる。
【0050】
このように本実施例では、請求項1に対応して、マット本体5と、このマット本体5を車両に固定する固定装置7とを備えた車両用フロアマット1において、固定装置7は、車両に固定した第一固定部材4と、マット本体5に固定した第二固定部材6とを備え、第一固定部材4は、上下方向を軸とした回転ノブ31と、この回転ノブ31の上部に可倒自在に設けたレバー41とを備え、第二固定部材6に回転ノブ31を挿入する挿入受け部90を設け、この挿入受け部90に挿入した回転ノブ31の回転により挿入受け部90に回転ノブ31が係止し、回転ノブ31の係止状態でレバー41を倒すことにより回転ノブ31の回転を規制するように構成したから、マット本体5の車両に対する固定機構を回転ノブ31とレバー41により二段階で固定することで強固な固定が可能となる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、第二固定部材6には、倒したレバー41が係合する係合部たる係合凹部93を形成したから、レバー41を倒した際に第二固定部材6の係合凹部93にレバー41が係合することにより回転ノブ31の回転を規制することができる。
【0052】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、前記係合部が係合凹部93であり、この係合凹部93に倒したレバー41が係入するから、レバー41を倒した際に第二固定部材6の係合凹部93に受け入れ保持されることで強固な固定が可能になり、レバー41が第二固定部材6の係合凹部93に収まることにより回転ノブ31の回転が規制されると共に、出っ張り部分が少なくなりマット本体5を違和感なく固定することができる。
【0053】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、レバー41は係合凹部93に係入した状態で第二固定部材6の周縁61Fに収まる長さに形成されているから、レバー41の先端41Sが出っ張らず、レバー41の先端41Sに靴などが当たり難くなると共に、マット本体5を違和感なく固定することができる。
【0054】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、レバー41は車両の進行方向Sに略沿って倒れるから、レバー41を前方又は後方のどちら側に倒す場合でも固定可能となり第二固定部材6の取付が容易となると共に、レバー41を前方に倒す構造では着脱時の操作が容易となり、後方に倒す構造ではマット本体5の固定時において乗員の足の位置に対する影響を受け難くなる。
【0055】
また、実施例上の効果として、レバー連結軸37が略正方形の非円形で、レバー41にレバー連結部43を設け、このレバー連結部43が前記レバー連結軸37に係合して回転し、レバー連結軸37とレバー連結部43との係合により、レバー41が係合凹部93と係合する水平位置(係合位置)と、係合凹部93と係合しない非係合位置である起立位置とにおいて、それぞれ姿勢を維持することができ、水平位置からレバー41が不用意に立ち上がることもない。また、回転ノブ31にはレバー41を設けたから、レバー41を起立することにより回転操作が容易となり、一方、レバー41を倒せば係合部がなくても回し難くなる。
【0056】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、レバーが係合する係合部として係合凹部を例示したが、上部半体の上部面より一段高い凸部にレバーを係合するようにしてもよく、この場合は、凸部が回転を防止する係合部となる。また、実施例では、レバーを前後両方に倒すことができるものを例示したが、レバーが起立位置から前後の一方のみに倒れるように構成してもよい。さらに、実施例では平板状のレバーを示したが、棒状などでもよく、断面三角形などでもよい。また、実施例では、断面における角をそれぞれ面取りして湾曲した湾曲角部を形成したが、直線状の面取りであってもよい。さらに、実施例では、保持壁部は、一定厚さのものを示したが、部分的に厚さが異なっていたり、厚さが変化する形状でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用フロアマット
2 フロア
3 車両側カーペット
4 第一固定部材
5 マット本体
6 第二固定部材
7 固定装置
8 アクセルペダル
31 回転ノブ
41レバー
41S 先端
61F 周縁
41S 先端
90 挿入受け部
91 受け長孔
92 係止受け部
93 係合凹部(係合部)
93F 端縁
S 進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体と、このマット本体を車両に固定する固定装置とを備えた車両用フロアマットにおいて、
前記固定装置は、前記車両に固定した第一固定部材と、前記マット本体に固定した第二固定部材とを備え、
前記第一固定部材は、上下方向を軸とした回転ノブと、この回転ノブの上部に可倒自在に設けたレバーとを備え、
前記第二固定部材に前記回転ノブを挿入する挿入受け部を設け、この挿入受け部に挿入した前記回転ノブの回転により前記挿入受け部に前記回転ノブが係止し、前記回転ノブの係止状態で前記レバーを倒すことにより前記回転ノブの回転を規制するように構成したことを特徴とする車両用フロアマット。
【請求項2】
前記第二固定部材には、倒した前記レバーが係合する係合部を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用フロアマット。
【請求項3】
前記係合部が係合凹部であり、この係合凹部に倒した前記レバーが係入することを特徴とする請求項2記載の車両用フロアマット。
【請求項4】
前記レバーは前記係合凹部に係入した状態で前記第二固定部材の周縁に収まる長さに形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用フロアマット。
【請求項5】
前記レバーは車両の進行方向に略沿って倒れることを特徴とする請求項3又は4記載の車両用フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−49339(P2013−49339A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188013(P2011−188013)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】