説明

車両用フロア構造

【課題】質量の増加の抑制とフロア面の平坦化を図りながら、衝突時におけるフロアパネルの変形を抑えることができる車両用フロア構造を得る。
【解決手段】車両のフロアパネル16上にダイラタント特性を有する材料からなるシート材52を備えたフロアカーペット50が敷設されている。このため、車両の衝突時に、荷重F1(衝撃)がフロアパネル16側に加えられると、シート材52がダイラタント特性により衝撃を吸収して硬化することで、フロアパネル16の変形が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用フロア構造においては、車両の前後方向に沿って延設されたフロアサイドメンバと、車幅方向に沿って延設されたクロスメンバとが、フロアパネル上で交差することにより接合された構造がある(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、フロアの強度が上げられるため、衝突時におけるフロアパネルの変形が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−112662公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、質量が増加してしまうと共にフロア面を平坦化するための別部品が必要になる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、質量の増加の抑制とフロア面の平坦化を図りながら、衝突時におけるフロアパネルの変形を抑えることができる車両用フロア構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両用フロア構造は、車両のフロアパネル上にダイラタント特性を有する材料からなるシート材が敷設されている。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両用フロア構造によれば、車両のフロアパネル上にダイラタント特性を有する材料からなるシート材が敷設されているので、車両の衝突時には、シート材がダイラタント特性により衝撃を吸収して硬化し、硬化したシート材によってフロアパネルの変形が抑えられる。
【0008】
請求項2に記載する本発明の車両用フロア構造は、請求項1記載の構成において、前記シート材は、前記フロアパネルを覆うフロアカーペットと一体に形成されている。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車両用フロア構造によれば、シート材は、フロアパネルを覆うフロアカーペットと一体に形成されているので、フロアカーペットとは別にシート材を敷設しなくても、衝突時のフロアパネルの変形は、フロアカーペットと一体に形成されたシート材により抑えられる。
【0010】
請求項3に記載する本発明の車両用フロア構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記シート材の前端部は、ダッシュパネルの車室側の壁面に沿って車両幅方向に延在するダッシュリインフォースメントに対して、車両後方側に接した状態で配置されている。
【0011】
請求項3に記載する本発明の車両用フロア構造によれば、シート材の前端部は、ダッシュパネルの車室側の壁面に沿って車両幅方向に延在するダッシュリインフォースメントに対して、車両後方側に接した状態で配置されているので、車両の前面衝突時には、ダッシュリインフォースメントがシート材に当たるまで空走するといった時間が生じない。すなわち、前面衝突時にダッシュリインフォースメントに作用した荷重はシート材に瞬時に伝達されるので、ダッシュリインフォースメントが前記荷重を受けるとシート材が瞬時に硬化し、硬化したシート材によってフロアパネルの変形が抑えられる。
【0012】
請求項4に記載する本発明の車両用フロア構造は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記シート材の車両幅方向両端部は、前記フロアパネルの車両幅方向両側で車両前後方向に延在するロッカに対して、車両幅方向内側に接した状態で配置されている。
【0013】
請求項4に記載する本発明の車両用フロア構造によれば、シート材の車両幅方向両端部は、フロアパネルの車両幅方向両側で車両前後方向に延在するロッカに対して、車両幅方向内側に接した状態で配置されているので、車両の側面衝突時には、ロッカがシート材に当たるまで空走するといった時間が生じない。すなわち、側面衝突時にロッカに作用した荷重はシート材に瞬時に伝達されるので、ロッカが前記荷重を受けるとシート材が瞬時に硬化し、硬化したシート材によってフロアパネルの変形が抑えられる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用フロア構造によれば、質量の増加の抑制とフロア面の平坦化を図りながら、衝突時におけるフロアパネルの変形を抑えることができるという優れた効果を有する。
【0015】
請求項2に記載の車両用フロア構造によれば、フロアカーペットとは別にシート材を敷設しなくても、衝突時におけるフロアパネルの変形を抑えることができるという優れた効果を有する。
【0016】
請求項3に記載の車両用フロア構造によれば、車両の前面衝突時にはシート材を瞬時に硬化させることができるという優れた効果を有する。
【0017】
請求項4に記載の車両用フロア構造によれば、車両の側面衝突時にはシート材を瞬時に硬化させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用フロア構造を側方から見た状態(フロアカーペットは図2の1−1線に沿った切断面)で示す断面図である。
【図2】図1に示される車両用フロア構造のフロアカーペットを示す斜視図である。
【図3】図1に示される車両用フロア構造を正面から見た状態(フロアカーペットは図2の3−3線に沿った切断面)で示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車両用フロア構造のフロアカーペットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両用フロア構造について図1〜図3を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0020】
図1には、車両用フロア構造10が側方から見た状態の断面図にて示され、図3には、車両用フロア構造10が正面から見た状態の断面図にて示されている。図1に示されるように、車両用フロア構造10は、フロアパネル16を備えている。フロアパネル16は、車室(キャビン)14の底部を構成しており、平面視で略矩形状に形成されている。図3に示されるように、フロアパネル16は、車両幅方向の左右両側に平坦状のフロア部16Aを備えると共に、略車両幅方向中央部に車両上方側へ膨出したトンネル部16Bを備えている。トンネル部16Bは、車両前後方向に沿って延在しており、車体下部を補強している。なお、フロア部16Aとトンネル部16Bとは、一部材で形成されてもよいし、別部材とされてこれらが結合されることでフロアパネル16を構成してもよい。
【0021】
図1に示されるように、フロアパネル16の前端部は、ダッシュパネル18の下端部にスポット溶接等で結合されて一体化されている。ダッシュパネル18は、車体前部12Aと車室14とを隔成している。ダッシュパネル18の上部は、略垂直に立設された縦板部18Aとなっており、ダッシュパネル18の下部は、この縦板部18Aに連続して車両後方下側に傾斜したトーボード部18Bとなっている。
【0022】
なお、車体前部12Aの両サイドには、左右一対のフロントサイドメンバ112Aが略車両前後方向に延在してダッシュパネル18の車両前方側に配置されている。また、左右一対のフロントサイドメンバ112Aの前端部同士は、車両幅方向に延在する図示しないフロントバンパリインフォースによって相互に連結されている。
【0023】
ダッシュパネル18における縦板部18A及びトーボード部18Bの車室14側の壁面にはパッド20が取り付けられている。また、ダッシュパネル18における縦板部18Aの車室14側の壁面に沿ってダッシュリインフォースメント22が車両幅方向に延在している。ダッシュリインフォースメント22は、車両側面視での断面形状がハット形状に形成され、車両後方側へ凸状に突出するコ字状部22Aを備えると共に、フランジ部22B、22Cがダッシュパネル18にスポット溶接等により結合されている。これにより、ダッシュリインフォースメント22は、ダッシュパネル18との間に閉断面部を形成している。
【0024】
ダッシュパネル18の上端部には、カウル24の下面が結合されている。カウル24は図示しない左右一対のフロントピラー間に架け渡されている。カウル24の上端側には、ウインドシールドガラス26の下端部が支持されている。また、カウル24よりも車両後方側でトーボード部18Bの車両上方側には、インパネリインフォース30が配置されている。インパネリインフォース30は、インストルメントパネル28内に配置され、図示しない左右一対のフロントピラーを車両幅方向に連結するパイプ状の部材である。インパネリインフォース30における車両幅方向中間部には、インパネブレース32の上端部が取り付けられ、インパネブレース32の下端部はトンネル部16Bの側壁上部に取り付けられている。
【0025】
また、フロアパネル16のフロア部16Aの上面には、フロアリインフォースメント34が車両幅方向に延在している。フロアリインフォースメント34は、車両側面視での断面形状がハット形状に形成されて車両上方側へ凸状に突出すると共に、フランジ部がフロアパネル16の上面にスポット溶接等により結合されている。これにより、フロアリインフォースメント34は、フロアパネル16との間に閉断面部を形成している。
【0026】
フロアリインフォースメント34にはフロントシートブラケット36の前端部がボルト締結により固定され、フロントシートブラケット36にはフロントシート38が取り付けられている。また、トンネル部16Bの上面には、コンソールブラケット42を介してコンソール44がボルト締結により固定されると共に、シフトレバー装置40がボルト締結により固定されている(図3参照)。なお、図3では、シフトレバー装置40とトンネル部16Bとの締結部を一点鎖線で示している。
【0027】
また、図3に示されるように、フロアパネル16の車両幅方向両側、すなわち、車体側部12Bの下端部には、ロッカ46(サイドシルともいい、広義には「車両前後方向骨格部材」として把握される要素である。)が車両前後方向に延在している。ロッカ46は、車両幅方向外側(車室外側)に配置されたロッカアウタパネル46Aと、車両幅方向内側(車室内側)に配置されてフロアパネル16の車両幅方向両端部が結合されたロッカインナパネル46Bと、を含んで構成されている。なお、ロッカ46の上方側には、ドア開口部を開閉するサイドドア48が配置されている。
【0028】
図1及び図3に示されるように、フロアパネル16はフロアカーペット50によって覆われている。図2にはフロアカーペット50が斜視図にて示されている。フロアカーペット50は、全体としてはフロアパネル16にフロアリインフォースメント34及びダッシュパネル18が結合された形状とほぼ同様の形状に形成されている。すなわち、フロアカーペット50は、フロアパネル16のフロア部16Aにほぼ沿った形状の平坦部150、フロアパネル16のトンネル部16Bにほぼ沿った形状の膨出部250、フロアリインフォースメント34にほぼ沿った形状の凸状部350、及びダッシュパネル18の縦板部18Aの下部及びトーボード部18Bの形状にほぼ沿った形状の立ち上がり部450を備えている。また、フロアカーペット50の幅方向外側の両端部550は上方側へ曲げられている。
【0029】
図1に示されるように、本実施形態のフロアカーペット50は、バッキング層50Aを備えている。バッキング層50Aは、その表面側を覆う起毛層50Bの起毛の抜けを防止するための層を構成している。起毛層50Bには、ナイロン繊維やポリエチレンテレフタレート(PET)繊維等が使用される。
【0030】
また、バッキング層50Aは、ダイラタント特性を有する材料(例えば、英国のd3oTMlab社が製造する「d3oTM」)からなるシート材52で構成されている。すなわち、バッキング層50Aは、ダイラタント流体を成形することで形成されたものであり、衝撃が加えられたときにはこの衝撃を吸収して硬化し、衝撃がなくなると元の状態に戻る特性(ダイラタント特性)を有している。そして、フロアカーペット50と一体に形成されたシート材52は、フロアカーペット50が車室14(図1参照)内に配設されることでフロアパネル16上に敷設されている。
【0031】
図2に示されるように、フロアカーペット50の平坦部150及び凸状部350には、フロアパネル16のフロア部16A及びフロアリインフォースメント34に対して、フロアカーペット50をフロントシートブラケット36(図1参照)と共に共締めするための締結孔54Aが形成されている。また、フロアカーペット50の膨出部250の上面部には、フロアパネル16のトンネル部16Bの上面部に対して、フロアカーペット50をコンソール44(図1参照)と共に共締めするための締結孔54B、及び、フロアカーペット50をシフトレバー装置40(図1参照)及びパーキングブレーキ装置(図示省略)と共に共締めするための締結孔54Cが形成されている。さらに、フロアカーペット50の膨出部250の側部前側には、フロアパネル16のトンネル部16Bの側壁上部に対して、フロアカーペット50をインパネブレース32(図1参照)と共に共締めするための締結孔54Dが形成されている。
【0032】
図1に示されるように、フロアカーペット50におけるシート材52の前端部52Aは、ダッシュリインフォースメント22の下フランジ部22Cに対して、車両後方側に接した状態で配置されている。また、フロアカーペット50におけるシート材52の前端部52Aの端面(上端面)は、ダッシュリインフォースメント22のコ字状部22Aの下面に突き当てられている。
【0033】
また、図3に示されるように、フロアカーペット50におけるシート材52の車両幅方向両端部52Bは、ロッカ46に対して、車両幅方向内側に接した状態で配置されている。
【0034】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0035】
図1及び図3に示されるように、本実施形態に係る車両用フロア構造10では、車両のフロアパネル16上にダイラタント特性を有する材料からなるシート材52を備えたフロアカーペット50が敷設されている。このため、車両の衝突時に、荷重F1、F2(衝撃)がフロアパネル16側に加えられると、シート材52がダイラタント特性により衝撃を吸収して硬化することで、フロアパネル16の変形が抑えられる。
【0036】
また、シート材52は、フロアパネル16を覆うフロアカーペット50と一体に形成されているので、フロアカーペット50とは別にシート材を敷設しなくても、衝突時のフロアパネル16の変形は、フロアカーペット50と一体に形成されたシート材52により抑えられる。
【0037】
また、図1に示されるように、車両の前面衝突時にフロントサイドメンバ112Aからの荷重F1(衝撃)がダッシュパネル18に入力されると、ダッシュパネル18にはその下端部(フロアパネル16との結合部)を支点とするモーメントが作用する。これにより、ダッシュパネル18は、トーボード部18Bが起こされるように回転移動(矢印A方向に変形)しょうとすると共に、縦板部18Aが略車両後方側へ回転移動(矢印B方向に変形)しょうとする。ここで、フロアカーペット50におけるシート材52の前端部52Aは、ダッシュパネル18の車室14側の壁面に沿って車両幅方向に延在するダッシュリインフォースメント22に対して、車両後方側に接した状態で配置されている。このため、前面衝突時にダッシュリインフォースメント22がフロアカーペット50のシート材52に当たるまで空走するといった時間が生じない。すなわち、前面衝突時にダッシュリインフォースメント22に作用した荷重F1はフロアカーペット50のシート材52に瞬時に伝達されるので、ダッシュリインフォースメント22が前記荷重F1を受けるとフロアカーペット50のシート材52が瞬時に硬化し、硬化したシート材52によってフロアパネル16の変形が抑えられる。また、フロアカーペット50の膨出部250ではシート材52の硬化によって荷重F1が効果的に車両後方側へ伝達される。
【0038】
また、図3に示されるように、車両の側面衝突時に荷重F2がロッカ46に入力されると、フロアパネル16には車両幅方向内側への荷重が作用する。これに対して、フロアカーペット50におけるシート材52の車両幅方向両端部52Bは、ロッカ46に対して車両幅方向内側に接した状態で配置されているので、車両の側面衝突時には、ロッカ46がフロアカーペット50のシート材52に当たるまで空走するといった時間が生じない。すなわち、側面衝突時にロッカ46に作用した荷重F2はフロアカーペット50のシート材52に瞬時に伝達されるので、ロッカ46が前記荷重F2を受けるとフロアカーペット50のシート材52が瞬時に硬化し、硬化したシート材52によってフロアパネル16の変形が抑えられる。また、フロアカーペット50の凸状部350(図2参照)ではシート材52の硬化によって荷重F2が効果的に車両幅方向の反衝突側へ伝達される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用フロア構造10によれば、質量の増加の抑制とフロア面の平坦化を図りながら、衝突時におけるフロアパネル16の変形を抑えることができる(耐荷重性の向上)。補足すると、本実施形態では、フロア構成部材の数を減らすこと及びフロアパネル(フロア鋼板)の板厚を薄くすることで、質量軽減及びコスト低減を図ることが可能になると共に、フロア面の平坦化のために隙詰部材を配置する必要がなくなることから車室14のスペース(床上スペース)を広くすることも可能となる。また、本実施形態では、前面衝突時にフロアパネル16の変形が抑えられるだけでなく、ダッシュパネル18の変位も抑えられる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用フロア構造について、図4を用いて説明する。なお、以下に説明する点を除いて、第2の実施形態に係る車両用フロア構造は第1の実施形態に係る車両用フロア構造10と実質的に同様の構成になっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図4には、本発明の第2の実施形態に係る車両用フロア構造のフロアカーペット62の一部が断面図にて示されている。本実施形態のフロアカーペット62は、起毛層50Bによって覆われるバッキング層62Aを備えている。バッキング層62Aは、ポリエチレン樹脂等の樹脂材料によって形成されている。バッキング層62Aの下面には、接着層62Bを介して遮音・吸音層62Cが配設されている。遮音・吸音層62Cは、ダイラタント特性を有する材料からなるシート材52で構成されている。そして、フロアカーペット62と一体に形成されたシート材52は、フロアカーペット62が車室14(図1参照)内に配設されることでフロアパネル16(図1参照)上に敷設されている。
【0042】
本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。また、本実施形態によれば、シート材52によって遮音・吸音がなされる。
【0043】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、図1及び図4に示されるように、シート材52は、フロアパネル16を覆うフロアカーペット50、62と一体に形成されているが、例えば、シート材とフロアカーペットとが別体とされると共に、フロアパネル上に、ダイラタント特性を有する材料からなるシート材が敷設され、そのシート材の上にフロアカーペットが配設されてもよい。
【0044】
また、図1に示されるように、上記第1の実施形態では、フロアカーペット50におけるシート材52の前端部52Aは、ダッシュリインフォースメント22の下フランジ部22Cに対して、車両後方側に接した状態で配置されており、前面衝突時にダッシュリインフォースメント22の空走をなくす観点からはこのような構成が好ましいが、シート材の前端部がダッシュリインフォースメントに接していない構成とすることも可能である。また、上記第1の実施形態では、フロアカーペット50におけるシート材52の前端部の端面(上端面)が、ダッシュリインフォースメント22のコ字状部22Aの下面に突き当てられているが、例えば、シート材の前端部がダッシュリインフォースメントを覆うような構成であってもよい。
【0045】
また、図3に示されるように、上記第1の実施形態では、フロアカーペット50におけるシート材52の車両幅方向両端部52Bが、ロッカ46に対して、車両幅方向内側に接した状態で配置されており、側面衝突時にロッカ46の空走をなくす観点からはこのような構成が好ましいが、シート材の車両幅方向両端部が、ロッカに接していない構成とすることも可能である。
【0046】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 車両用フロア構造
14 車室
16 フロアパネル
18 ダッシュパネル
22 ダッシュリインフォースメント
46 ロッカ
50 フロアカーペット
52 シート材
52A シート材の前端部
52B シート材の車両幅方向両端部
62 フロアカーペット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネル上にダイラタント特性を有する材料からなるシート材が敷設されている車両用フロア構造。
【請求項2】
前記シート材は、前記フロアパネルを覆うフロアカーペットと一体に形成されている請求項1記載の車両用フロア構造。
【請求項3】
前記シート材の前端部は、ダッシュパネルの車室側の壁面に沿って車両幅方向に延在するダッシュリインフォースメントに対して、車両後方側に接した状態で配置されている請求項1又は請求項2に記載の車両用フロア構造。
【請求項4】
前記シート材の車両幅方向両端部は、前記フロアパネルの車両幅方向両側で車両前後方向に延在するロッカに対して、車両幅方向内側に接した状態で配置されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用フロア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−153185(P2012−153185A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11923(P2011−11923)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】