説明

車両用ブレーキ・システムおよび車両ブレーキ・システムの作動方法

本発明は、第1のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)からその中に移動可能な第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)と、第2のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)からその中に移動可能な第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)と、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)に付属された第1のポンプ(54a)と、および第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)に付属された第2のポンプ(54b)と、を有する車両用ブレーキ・システムにおいて、この場合、ブレーキ・システムがブレーキ媒体貯蔵容器(20)に結合された遮断弁(90)を含み、第1のポンプ(54a)により第3のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された遮断弁(90)および第1の逆止弁(100a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内にポンピング可能であり、および第2のポンプ(54b)により第4のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された遮断弁(90)および第2の逆止弁(100b)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)内にポンピング可能である、該車両用ブレーキ・システムに関するものである。さらに、本発明は、車両ブレーキ・システムの作動方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ・システムに関するものである。さらに、本発明は、車両ブレーキ・システムの作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車/ハイブリッド車は、回生制動においていわゆる発電運転される電動機を備えた、回生制動用に設計されたブレーキ・システムを有している。回生制動において得られた電気エネルギーは、中間蓄積後に車両の加速のために使用されることが好ましい。このようにして、通常の車両が走行中の頻繁な制動において有する損失動力、エネルギー損失および電気自動車/ハイブリッド車の有害物質エミッションが低減可能である。
【0003】
しかしながら、電動機例えば電気駆動モータの発電運転は、一般に、車両の特定最小速度を前提とする。したがって、回生ブレーキ・システムは、しばしば、走行中の車両が停止に至るまでの間は、車両車輪に発電ブレーキ・トルクを提供することが可能ではない。このために、ハイブリッド車は、回生運転される電動機に追加して、しばしば、さらに油圧ブレーキ・システムを有し、油圧ブレーキ・システムにより、少なくとも低速範囲内においては、使用できない回生ブレーキのブレーキ作用を、油圧ブレーキ・システムにより補償可能である。この場合、電気エネルギー蓄積器がフルに充電されているときには、たいていの場合、回生ブレーキが車輪に制動トルクを提供可能ではなく、このときにおいても、油圧ブレーキ・システムを介して全制動トルクを提供可能である。
【0004】
他方で、多くの状況において、高い回生率を達成するために、できるだけ低い油圧ブレーキ力を車輪に提供することが好ましい。例えば、中間蓄積器の確実な充電および高いエネルギー節約を保証するために、切換過程後において、切り離された発電機は頻繁に回生ブレーキとして作動される。
【0005】
一般に、ドライバは、回生ブレーキの作動/非作動とは無関係に、例えばドライバのブレーキ・ペダル操作のようなブレーキ入力要素のドライバ操作に対応する車両の全制動トルクを優先する。このために、たいていの電気自動車/ハイブリッド車は、希望の全制動トルクが保持されるように、油圧ブレーキ・システムの制動トルクを回生ブレーキの実際制動トルクに適合させるべき自動装置を有している。これにより、ドライバ自身は、ブレーキ入力要素の対応操作により回生ブレーキの実際制動トルクに適合させることによる減速制御器の役目を行う必要はない。このような自動装置に対する例は、ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システム、特にEHB(電子油圧ブレーキ)システムである。しかしながら、その高価な電子装置、機械装置および油圧装置のために、ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムは比較的高価である。
【0006】
ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムの代替態様として、ドイツ特許公開第102008002345A1号は、マスタ・ブレーキ・シリンダから切り離され且つブレーキ媒体貯蔵容器に接続された第1のブレーキ回路を含むブレーキ・システムを記載している。この第1のブレーキ回路に1つの車軸が付属され、この車軸上に、発電運転された電動機の回生ブレーキ・トルクを提供可能である。他の2つのブレーキ回路は、ドライバが直接それらのブレーキ回路内にブレーキ係合し、これにより、2つの他のブレーキ回路に付属された車輪に、直接油圧ブレーキ・トルクを提供可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102008002345A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1の特徴を有する車両用ブレーキ・システムおよび請求項12の特徴を有する車両ブレーキ・システムの作動方法を提供する。
ここに記載のブレーキ・システムの利点は、電気操作可能な弁の数が少ないことにある。ここで、電気操作可能な弁とは、電気制御信号/電気切換信号により、少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能な弁と理解可能である。電気制御可能な弁が少ないことは、必要な全ての電気的に操作可能/切換可能な弁を制御するために使用される、特にブレーキ・システムの電子装置に対するコストを低減させる。
【0009】
本発明は、特に、それぞれ1つの車両車輪に付属可能な2つのブレーキ回路の形成を可能にし、この場合、両方のブレーキ回路の各々に対して主切換弁(高圧切換弁)の設置は省略可能である。その代わりに、省略された両方の主切換弁(高圧切換弁)の機能は、ブレーキ媒体貯蔵容器に結合されている遮断弁を介して実行可能である。したがって、遮断弁は、省略された両方の主切換弁の代わりをする。
【0010】
提供された遮断弁によって両方の主切換弁を省略することにより、ブレーキ・システムにより必要とされる、電気切換信号/電気制御信号によって少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能/制御可能な弁の全体数が低減可能である。このことは、ブレーキ・システムに対する製造費を低減させる。さらに、以下に、より詳細に説明されるように、電気的に切換可能/制御可能な弁の数が低減されたとき、よりコスト的に有利に且つより簡単に製造される制御電子装置が使用可能である。
【0011】
したがって、本発明によるブレーキ・システムは、少なくとも1つの他のブレーキ回路を設けてもよく、この場合、必要とされる/使用される操作可能な弁の全体数は、通常の形態に比較してより少ないままである。これにより、以下に記載のブレーキ・システムは、第1の車輪ブレーキ・シリンダおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダに付属されているブレーキ回路に追加して、さらに少なくとも1つの他のブレーキ回路を有するように容易に拡張可能である。
【0012】
この他のブレーキ回路がマスタ・ブレーキ・シリンダから切離し可能であることが好ましい。マスタ・ブレーキ・シリンダから切り離された少なくとも1つの追加のブレーキ回路は、この場合、追加のブレーキ回路に付属された少なくとも1つの追加の車輪ブレーキ・シリンダ内の油圧ブレーキ・トルクの能動的形成のために簡単に使用可能である。
【0013】
例えば、この場合、少なくとも1つの追加の車輪ブレーキ・シリンダ内の油圧ブレーキ・トルクは、時間的に変化する発電ブレーキ・トルクが共用可能なように設定可能である。したがって、センサによりおよび/または評価により、全制動トルクのいかなる部分がドライバによりおよび/または車両の自動制御システムにより希望され、且ついかなる実際回生制動トルクが回生ブレーキにより提供されるか、を決定する可能性が存在する。第1の車輪ブレーキ・シリンダおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダにより提供される油圧ブレーキ・トルクをさらに考慮して、提供された制動トルクと希望の全制動トルクとの間にいかなる差が存在するかが決定可能である。決定された差に対応する油圧ブレーキ・トルクが、それに続いて、追加のブレーキ回路により能動的に提供可能である。
【0014】
これは、ドライバが追加の作業を実行することなく、発電ブレーキ・トルクの共用を可能にする。上記の方法ステップを実行するために高価な電子装置は必要ではない。これにより、本発明が使用されたとき、代替コストのために十分な回生差が保証されている。したがって、本発明は、特に後輪駆動車両または全輪駆動車両に対してきわめて有利な、簡単に操作可能で且つコスト的に有利な、通常のブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムに対する代替態様を提供する。しかしながら、本発明は、バイ・ワイヤ前車軸を有する前輪駆動に対しても使用可能である。この場合、制動距離に全く影響を与えない共用過程が保証されている。
【0015】
一方、本発明は、電気自動車/ハイブリッド車における使用に限定されない。例えば、横方向加速度の関数としてのブレーキ力分配もまた、本発明により実行可能である。横方向加速度の関数としてのブレーキ力分配においては、車両の幾つかの車輪好ましくは両方の後軸車輪におけるブレーキ力が、カーブ走行において発生する路面抗力に対応して分配される。このようにして、車輪の摩擦係数特に両方の後車輪の摩擦係数が横方向加速度に適応可能である。これにより、車両は、カーブにおいて、より安定して制動される。第1のブレーキ回路により能動的に設定されるべき油圧ブレーキ・トルクの決定のために、センサ装置によって決定された横方向加速度が使用されることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の使用は動的カーブ制動に対しても可能である。動的カーブ制動においては、カーブ内側車輪におけるブレーキ力がカーブ外側車輪におけるブレーキ力よりも上昇される。これは動的走行特性を達成させる。
【0017】
さらに、本発明は、後退走行の間における有利な制動に対してもまた使用可能である。特に、この場合、後車軸におけるブレーキ力の上昇により、後退走行に対してより良好なブレーキ力分配が設定される。これは後退ブレーキ力分配とも呼ばれる。特に下り坂における低速後退走行において、これは明らかにより安定な制動特性を可能にする。
【0018】
同時に、本発明は、他のブレーキ回路をマスタ・ブレーキ・シリンダから切り離すことによりペダル感覚の改善の可能性を保証するので、ドライバは、他のブレーキ回路を、もはや直接ブレーキ・ペダルに加えられる力を介して制御する必要はない。このようにして、ペダル・ストロークもまた短縮可能である。
【0019】
しかしながら、本発明によるブレーキ・システムの使用可能性は、上記の説明に対応する他のブレーキ回路の追加装備に限定されないことを指摘しておく。他のブレーキ回路に対する上記の実施形態は単なる一例とみなされるべきである。
【0020】
本発明は、X型ブレーキ回路分割を有する車両において使用可能なブレーキ・システムを可能にする。これにより、本発明によるブレーキ・システムは、通常のブレーキ・システムとは異なり、マスタ・ブレーキ・シリンダから切り離された車軸を設けていることは好ましいが、車軸ごとのブレーキ力分配を有する車両への使用に限定されない。
【0021】
ブレーキ媒体貯蔵容器はマスタ・ブレーキ・シリンダと理解されるべきではないことを指摘しておく。その代わりに、ブレーキ媒体貯蔵容器はブレーキ媒体容量またはブレーキ媒体容器と理解可能であり、ブレーキ媒体容器の内部圧力はマスタ・ブレーキ・シリンダの内部圧力とは無関係に設定可能であるか、または例えば大気圧のような固定設定圧力に対応している。
【0022】
両方の逆止弁およびその配向により、第1および第2の両方の車輪ブレーキ・シリンダに付属されたブレーキ回路間の好ましくないブレーキ媒体交換は阻止されていることが保証可能である。これが望ましくないかぎり、少なくとも部分開放された遮断弁を介して、追加のブレーキ媒体容量が、第1のポンプおよび/または第2のポンプにより、付属された第1および/または第2の車輪ブレーキ・シリンダ内にポンピング可能であることが同時に保証されている。したがって、車輪ごとの外力ブレーキ圧力、即ちマスタ・ブレーキ・シリンダに力を加えることに基づかないブレーキ圧力が、第1または第2の車輪ブレーキ・シリンダ内に発生可能であることが有利である。
【0023】
例えば、第1の逆止弁は、第1のポンプから遮断弁へのブレーキ媒体移動が第1の逆止弁により阻止されているように配向されていてもよく、および/または第2の逆止弁は、第2のポンプから遮断弁へのブレーキ媒体移動が第2の逆止弁により阻止されているように配向されていてもよい。このようにして、第1の車輪ブレーキ・シリンダと協働するブレーキ・システムの下部ユニットと第2の車輪ブレーキ・シリンダと協働するブレーキ・システムの下部ユニットとの間の好ましくないブレーキ媒体交換が確実に阻止されている。
【0024】
ブレーキ・システムの有利な実施形態において、第5のブレーキ媒体容量が第1の車輪ブレーキ・シリンダから第1の蓄積器内に移動可能なように、ブレーキ・システムの第1の蓄積室が第1の車輪ブレーキ・シリンダと油圧結合されていてもよく、および/または第6のブレーキ媒体容量が第2の車輪ブレーキ・シリンダから第2の蓄積室内に移動可能なように、ブレーキ・システムの第2の蓄積室が第2の車輪ブレーキ・シリンダと油圧結合されていてもよい。これにより、それぞれの蓄積室内への第5のブレーキ媒体容量および/または第6のブレーキ媒体容量の移動を介して、第1の車輪ブレーキ・シリンダにより形成された第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の車輪ブレーキ・シリンダにより形成された第2の油圧ブレーキ・トルクのより急速な解除が急速に実行可能である。
【0025】
第1のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダから少なくとも部分開放された第1の切換弁を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ内に移動可能なように、第1の切換弁がマスタ・ブレーキ・シリンダと第1の車輪ブレーキ・シリンダとの間に配置されていることは好ましい。さらに、ブレーキ・システムの第1の車輪入口弁により、第1の切換弁から第1の車輪ブレーキ・シリンダへのブレーキ媒体移動および/または第1のポンプの吐出側から第1の車輪ブレーキ・シリンダへのブレーキ媒体移動が制御可能であってもよい。同様に、ブレーキ・システムの第2の車輪入口弁により、対応する第2の切換弁から第2の車輪ブレーキ・シリンダへのブレーキ媒体移動および/または第2のポンプの吐出側から第2の車輪ブレーキ・シリンダへのブレーキ媒体移動が制御可能であってもよい。これにより、希望された第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の油圧ブレーキ・トルクが、ここに記載のブレーキ・システムにより確実に設定可能である。
【0026】
ブレーキ・システムの第1の車輪出口弁により、第1の車輪ブレーキ・シリンダから第1のポンプの吸込側へのブレーキ媒体移動および/または第1の車輪ブレーキ・シリンダから第1の蓄積室へのブレーキ媒体移動が制御可能であることは有利である。ブレーキ・システムの第2の車輪出口弁により、第2の車輪ブレーキ・シリンダから第2のポンプ吸込側へのブレーキ媒体移動および/または第2の車輪ブレーキ・シリンダから第2の蓄積室へのブレーキ媒体移動もまた制御可能であることが好ましい。これは、第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の油圧ブレーキ・トルクの設定における精度を改善する。
【0027】
一変更態様において、ブレーキ・システムは、ブレーキ媒体貯蔵容器に結合された第3のポンプと、少なくとも1つの第3の車輪ブレーキ・シリンダであって、第7のブレーキ媒体容量が第3のポンプによりブレーキ媒体貯蔵容器から第3の車輪ブレーキ・シリンダ内にポンピング可能なように、第3のポンプと油圧結合されている、該少なくとも1つの第3の車輪ブレーキ・シリンダと、および連続調節可能な弁であって、第8のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された連続調節可能な弁を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダからブレーキ媒体貯蔵容器内に移動可能なように、ブレーキ媒体貯蔵容器および少なくとも第3の車輪ブレーキ・シリンダと油圧結合されている、該連続調節可能な弁と、をさらに含んでいてもよい。これにより、上記のブレーキ・システムは、第3のポンプ、連続調節可能な弁および少なくとも1つの第3の車輪ブレーキ・シリンダを有する追加のブレーキ回路だけ拡張可能である。この追加のブレーキ回路は、マスタ・ブレーキ・シリンダから切り離されているので、第3の車輪ブレーキ・シリンダにより提供可能な第3の油圧ブレーキ・トルクは、第3のポンプの操作を介して能動的に設定可能である。第3の油圧ブレーキ・トルクの能動的設定により、好ましい全制動トルクおよび/または車両車輪への有利なブレーキ・トルク分配が達成可能である。
【0028】
補足態様として、追加のブレーキ回路はさらに第4の車輪ブレーキ・シリンダを備えていてもよい。これにより、第4の車輪ブレーキ・シリンダによって提供された第4の油圧ブレーキ・トルクもまた好ましい値に対応して能動的に形成可能である。
【0029】
特にブレーキ・システムは発電機を含んでいてもよく、発電機により、少なくとも第3の車輪ブレーキ・シリンダに付属された車輪に発電ブレーキ・トルクを提供可能である。第3の車輪ブレーキ・シリンダの第3の油圧ブレーキ・トルクは能動的に提供可能であるので、第3の油圧ブレーキ・トルクの提供を介して、時間的に変化する発電ブレーキ・トルクが共用可能であることは有利である。
【0030】
さらに、第1のポンプ、第2のポンプおよび/または第3のポンプがモータの共通軸上に配置されていてもよい。これは、必要なモータの数を低減させる。
特に、ブレーキ・システムは正確に12の操作可能な弁を有していてもよく、これらの弁は、ブレーキ・システムの制御装置から提供される電気信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能である。ブレーキ・システムにより必要とされる、電気的に少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能な弁を12の数に制限することは、制御装置として適した電子装置に対する要求および/またはコストを低減させる。
【0031】
他の有利な一実施形態において、車両固有の構成要素から提供された外力ブレーキ・データを受け取り、外力ブレーキ・データを受け取ったのちに遮断弁を少なくとも部分開放状態に制御し、および外力ブレーキ・データを考慮して第1のポンプおよび/または第2のポンプを操作するように、ブレーキ・システムの制御装置が設計されていてもよく、これにより、第3のブレーキ媒体容量がブレーキ媒体貯蔵容器から少なくとも部分開放された遮断弁を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ内にポンピング可能であり、および/または第4のブレーキ媒体容量がブレーキ媒体貯蔵容器から少なくとも部分開放された遮断弁を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ内にポンピング可能である。制御装置により実行可能な外力ブレーキ・データは、これを必要とする交通状況を特定したのちの車両の自動制動のための自動速度制御装置および/または車両安全システムのデータであってもよい。したがって、ここに記載のブレーキ・システムにより、第1の車輪ブレーキ・シリンダおよび/または第2の車輪ブレーキ・シリンダ内へのドライバの直接ブレーキ係合に追加して、外力制動もまた提供可能であり、外力制動はマスタ・ブレーキ・シリンダへの力の供給を必要としない。
【0032】
上記の利点は、対応するブレーキ・システムを有する車両においてもまた保証されている。
車両ブレーキ・システムの対応する作動方法によってもまた、上記の利点は達成可能である。
【0033】
本発明のその他の特徴および利点が以下に図により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、ブレーキ・システムの一実施形態の回路図を示す。
【図2】図2は、本方法の一実施形態の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、ブレーキ・システムの一実施形態の回路図を示す。
図1に略図で示されたブレーキ・システムは、電気自動車/ハイブリッド車においてのみ使用可能ではない。その代わりに、ブレーキ・システムは、例えばカーブ走行および/または後退走行の間における制動において車両車輪における好ましいブレーキ力分配を保証するために、任意の車両においてもまた使用可能である。電気自動車/ハイブリッド車におけるブレーキ・システムの使用可能性に関する以下に記載の指針は、単なる例として理解されるべきである。
【0036】
ブレーキ・システムは、第1の車輪12aを制動するための第1のブレーキ回路10a、第2の車輪12bを制動するための第2のブレーキ回路10bおよび第3の車輪16aおよび第4の車輪16bを制動するための第3のブレーキ回路14を含む。しかしながら、ブレーキ・システムが第3のブレーキ回路14を備えていることはオプションである。第1の車輪12aおよび第2の車輪12bは、車両の共通軸上例えば後車軸上に配置されていてもよい。しかしながら、ブレーキ・システムの利用可能性は、第1の車輪12aおよび第2の車輪12bの同軸配置には限定されない。同軸配置の代わりに、車輪12aおよび12bは、当該車両の片側または車両の対角方向に配置されていてもよい。
【0037】
図示されているブレーキ・システムは4つの車輪12a、12b、16aおよび16bの固定数に限定されないことを指摘しておく。その代わりに、ブレーキ・システムは、より多くの数の車輪が制動可能なように拡張可能である。特に、この場合、ブレーキ・システムは、第3のブレーキ回路14に対応する少なくとも2つのブレーキ回路を有していてもよい。
【0038】
ブレーキ・システムはマスタ・ブレーキ・シリンダ18およびブレーキ媒体貯蔵容器20を有している。マスタ・ブレーキ・シリンダ18とブレーキ媒体貯蔵容器20との間に、例えば通気内孔のようなブレーキ媒体交換内孔が形成されていてもよい。しかしながら、マスタ・ブレーキ・シリンダ18およびブレーキ媒体貯蔵容器20は油圧結合が形成されていなくてもよい。
【0039】
マスタ・ブレーキ・シリンダ18に、例えばブレーキ・ペダルのようなブレーキ入力要素22が結合されていてもよい。ブレーキ・ペダルの代わりにまたはブレーキ・ペダルに補足して、他の形に形成されたブレーキ入力要素22が使用されてもよい。ブレーキ入力要素22により、ブレーキ・システムを有する車両のドライバは、マスタ・ブレーキ・シリンダ18の内部容積内に圧力上昇を与えることが可能である。ドライバにより与えられた、マスタ・ブレーキ・シリンダ18の内部容積内の圧力上昇がブレーキ力増幅装置24により増大可能なように、ブレーキ力増幅装置24がマスタ・ブレーキ・シリンダ18に結合されていることは好ましい。ブレーキ力増幅装置24は、例えば油圧式ブレーキ力増幅装置であっても、および/または電気機械式ブレーキ力増幅装置(iブースタ)であってもよい。ブレーキ力増幅装置24は制御可能/操作可能なブレーキ力増幅装置であることが好ましい。
【0040】
補足態様として、ドライバによるブレーキ入力要素22の操作がセンサ26により測定可能なように、ブレーキ入力要素22にセンサ26が配置されていてもよい。センサ26は、ブレーキ・ペダルの操作に対応するブレーキ力信号および/またはブレーキ・ストローク信号を(図示されていない)評価電子装置に提供するように形成されていることが好ましい。センサ26により提供される情報の使用可能性に関しては、以下に、より詳細に説明される。センサ26は、例えばペダル・ストローク・センサ、ブースタ/膜ストローク・センサおよび/またはステム・ストローク・センサであってもよい。しかしながら、センサ26の実行可能性はここに示された例に限定されない。
【0041】
マスタ・ブレーキ・シリンダ18に、第1のブレーキ回路10aの第1の供給配管28aおよび第2のブレーキ回路10bの第2の供給配管28bが結合されている。第1の供給配管28aは第1の切換弁30aをマスタ・ブレーキ・シリンダ18と結合している。第1の切換弁30aに並列に、逆止弁32aを有するバイパス配管が伸長している。第1の切換弁30aは配管34を介して第1の車輪入口弁36aと結合されている。第1の切換弁30aに並列に配置された逆止弁32aは、配管34から第1の供給配管28aの方向のバイパス配管を介してのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。第1の車輪入口弁36aに並列に、逆止弁38aを有するバイパス配管もまた形成されている。逆止弁38aは、配管34から、第1の車輪入口弁36aに同様に結合された配管40の方向への、バイパス配管を介してのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。
【0042】
配管40は第1の車輪入口弁36aを第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aと結合し、第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aにより、第1の車輪12aを制動するための第1の油圧ブレーキ・トルクが発生可能である。オプションとして、分岐点44を介して圧力センサ46が配管40に結合されていてもよい。圧力センサ46により、第1のブレーキ回路10aの内部圧力が決定可能である。分岐点44内に配管48が合流してもよく、配管48を介して、第1の車輪出口弁50aが第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aと結合されている。第1の車輪出口弁50aから、第1のポンプ54aの吸込側に配管52が通じている。第1のポンプ54aの吐出側から配管56が伸長し、配管56は、配管34内に配置された分岐点58内に合流する。第1のブレーキ回路10aは第1の蓄積室60aもまた有し、第1の蓄積室60aは、配管62を介して、配管52内に配置された分岐点64と結合されている。
【0043】
第2のブレーキ回路10bは第1のブレーキ回路10aに対応して形成されていてもよい。しかしながら、ここに記載のブレーキ・システムは、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bの類似の形態に限定されないことを指摘しておく。第2のブレーキ回路10bの以下の説明は単なる例として理解されるべきである。
【0044】
例えば、第2の供給配管28bはマスタ・ブレーキ・シリンダ18から第2の切換弁30bに通じ、第2の切換弁30bは、これに並列に配置された、逆止弁32bを含むバイパス配管を有している。配管66を介して、第2の切換弁30bは第2の車輪入口弁36bと結合されていてもよく、第2の車輪入口弁36bは並列に伸長するバイパス配管を設け、バイパス配管は逆止弁38bを有している。逆止弁32bおよび38bの配向に関しては、第1のブレーキ回路10aの説明が参照される。オプションとして、分岐点68を介して、第2のブレーキ回路10b内の圧力を決定するための他の圧力センサ70が第2の供給配管28bに結合されていてもよい。
【0045】
第2のブレーキ回路10bの第2の車輪ブレーキ・シリンダ42bは、配管72を介して第2の車輪入口弁36bと結合されている。配管72内の分岐点74から配管76が伸長し、配管76は第2の車輪出口弁50bに通じている。第2の車輪出口弁50bは配管78を介して第2のポンプ54bの吸込側と結合されている。配管78内に、分岐点80を介して配管82もまた合流し、配管82の端部に第2のブレーキ回路10bの第2の蓄積室60bが配置されている。第2のポンプ54bの吐出側から、配管83が、配管66内に配置された分岐点85に通じている。
【0046】
これにより、第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aは、第1のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ18から少なくとも部分開放された第1の切換弁30aおよび少なくとも部分開放された第1の車輪入口弁36aを介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ42a内に移動可能なように、マスタ・ブレーキ・シリンダ18と油圧結合されている。それに対応して、第2のブレーキ媒体容量もまた、マスタ・ブレーキ・シリンダ18から少なくとも部分開放された第2の切換弁30bおよび少なくとも部分開放された第2の車輪入口弁36bを介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ42b内に移動可能である。したがって、ドライバは、ブレーキ回路10aおよび10b内への直接ブレーキ係合により制動する可能性を有している。
【0047】
第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bは、マスタ・ブレーキ・シリンダ18を迂回してブレーキ媒体貯蔵容器20にもまた接続されている。例えば、ブレーキ媒体貯蔵容器20から吸込配管84が伸長し、吸込配管84に、分岐点86を介して配管88が接続され、配管88は遮断弁90に通じている。遮断弁90は第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bに共通に付属されている。可能な実施形態として、遮断弁90から離れて伸長する配管92は、第1の結合配管94aおよび第2の結合配管94bに分割されていてもよい。第1の結合配管94aは、第1の蓄積室60aを第1の車輪出口弁50aおよび第1のポンプ54aと結合する配管62の内部の分岐点96内に合流することが好ましい。それに対応して、第2の結合配管94bは、第2の蓄積室60bを第2の車輪出口弁50bおよび第2のポンプ54bと結合する配管82の内部の分岐点98内に合流していてもよい。
【0048】
第1の結合配管94aおよび第2の結合配管94b内にそれぞれ、逆止弁100aおよび100bが配置されている。第1の結合配管94a内に配置された逆止弁100aは、配管62から配管92の方向への第1の結合配管94aを通過するブレーキ媒体流れが阻止されているように配向されている。それに対応して、第2の結合配管94bの逆止弁100bの配向により、配管82から配管92の方向への第2の結合配管94bを通過するブレーキ媒体流れは阻止されている。したがって、逆止弁100aおよび100bの各々は、蓄積室60aまたは60b、車輪出口弁50aまたは50bおよびポンプ54aまたは54bの吸込側から、ないしは構成要素50a、54aおよび60aまたは50b、54bおよび60bの間のブレーキ回路容積から、遮断弁90へのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。特に、逆止弁100aおよび100bの配向が反対方向であることにより、構成要素50a、54aおよび60aの間の第1のブレーキ回路10aの部分容積からのブレーキ媒体流れおよび構成要素50b、54bおよび60bの間の第2のブレーキ回路10bの部分容積からのブレーキ媒体流れが阻止されている。
【0049】
車輪ブレーキ・シリンダ42aまたは42bにおいてABS制御係合が必要な場合、付属の出口弁50aまたは50bが開放される。それに続いて、それぞれのブレーキ回路10aまたは10bの付属された蓄積室60aまたは60b内にのみ、ある容量が流動可能である。ポンプ54aまたは54bにより、この容量は付属されたブレーキ回路10aまたは10b内にのみ、移動により戻すことが可能である。これにより、ABS制御係合においてもまた、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bの内部容量は安定して保持される。
【0050】
両方の逆止弁100aおよび100bは、車輪出口弁50aまたは50bを介して排出されたブレーキ媒体容量が、当該ブレーキ回路10aまたは10b内にのみ、供給により戻されることを保証するものであることを再度指摘しておく。これは、各ブレーキ回路10aおよび10bの内部容量を確保させる。それにもかかわらず、ブレーキ入力要素22の操作から切り離されて、またはブレーキ入力要素22の操作を考慮して、能動的圧力上昇が希望される場合、遮断弁90を介してブレーキ媒体貯蔵容器20から両方のブレーキ回路10aまたは10bのいずれか内に個々に、または両方のブレーキ回路10aおよび10b内に同時に、追加の容量を供給する可能性が存在する。
【0051】
第1の切換弁30a、第2の切換弁30b、第1の車輪入口弁36aおよび第2の車輪入口弁36bは、無通電において開放する弁として形成されていてもよい。この場合、第1の車輪出口弁50aおよび第2の車輪出口弁50bが無通電において閉鎖される弁として形成されているとき、それは有利である。遮断弁90は無通電において閉鎖される弁として形成されていることが好ましい。これは、遮断弁90の非作動(無通電)において、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bがブレーキ媒体貯蔵容器20から確実に切り離されていることを保証する。
【0052】
以下に、第1の車輪12aおよび第2の車輪12bを制動するための個々の構成要素の関係が記載される。
ブレーキ入力要素22の操作により、ドライバは、マスタ・ブレーキ・シリンダ18の内部容積内の圧力上昇を介して、車輪12aおよび12bを制動させるためにブレーキ回路10aおよび10bへの直接ブレーキ係合を行うことが可能である。この場合、第1および第2のブレーキ媒体容量が、ドライバおよび/またはブレーキ力増幅装置24から供給された力に対応して、車輪ブレーキ・シリンダ42aおよび42b内に移動可能である。さらに、第1のポンプ54aにより、第3のブレーキ媒体容量が、ブレーキ媒体貯蔵容器20から少なくとも部分開放された遮断弁90、逆止弁100aおよび少なくとも部分開放された第1の車輪入口弁36aを介して、第1の車輪ブレーキ・シリンダ42a内にポンピング可能である。それに対応して、第2のポンプ54bの操作により、第4のブレーキ媒体容量が、ブレーキ媒体貯蔵容器20から少なくとも部分開放された遮断弁90、逆止弁100bおよび少なくとも部分開放された第2の車輪入口弁36bを介して、第2の車輪ブレーキ・シリンダ42b内にポンピング可能である。これにより、ドライバによるブレーキ入力要素22の操作とは無関係にも、またはブレーキ入力要素22の操作を考慮しても、外力制動を車輪12aおよび12bに提供可能である。
【0053】
ブレーキ媒体貯蔵容器20から第1のブレーキ回路10aおよび/または第2のブレーキ回路10b内へのブレーキ媒体供給のために、ないしはブレーキ媒体貯蔵容器20内への対応するブレーキ媒体戻し供給のためには、遮断弁90を操作するだけでよい。このために他の弁は必要ではなく、特に、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bの固有の主切換弁(高圧切換弁)をそれぞれ省略するために、コスト的に有利な遮断弁が使用可能である。したがって、電気制御信号/電気切換信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能/切換可能な弁30a、30b、36a、36b、50a、50bおよび90の全体数が比較的少ないにもかかわらず、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bの多機能性が保証されている。
【0054】
第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bが遮断弁90を介してブレーキ媒体貯蔵容器20に共通結合されているにもかかわらず、第1のブレーキ回路10aおよび10b間の好ましくないブレーキ媒体移動は、逆止弁100aおよび100bの逆の配向に基づいて阻止されている。したがって、コスト的に有利な逆止弁100aおよび100bにより、電気的に制御可能/切換可能な弁が節約可能である。
【0055】
第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の油圧ブレーキ・トルクの急速解除のために、第5のブレーキ媒体容量が第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aから第1の蓄積室60a内に移動され、および/または第6のブレーキ媒体容量が第2の車輪ブレーキ・シリンダ42bから第2の蓄積室60b内に移動されてもよい。これにより、もはや希望されない車両減速を急速且つ適切に解除することが可能である。この場合、逆止弁100aおよび100bの逆の配向は、第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10bの間の好ましくないブレーキ媒体移動もまた阻止している。
【0056】
第3のブレーキ回路14もまた吸込配管34を介してブレーキ媒体貯蔵容器20に結合されている。したがって、第3のブレーキ回路14はマスタ・ブレーキ・シリンダ18への通常の油圧結合を有していない。これにより、第3のブレーキ回路14の、第3の車輪16aに付属された第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aおよび第4の車輪16bに付属された第4の車輪ブレーキ・シリンダ102b内の内部圧力は、好ましくは第3の油圧ブレーキ・トルクおよびそれに対応する第4の油圧ブレーキ・トルクに対応して能動的に設定可能/解除可能である。
【0057】
以下に、第3のブレーキ回路14の好ましい一実施形態が説明されるが、この実施形態は、ここに開示されたブレーキ・システムに対する単なる例として理解されるべきである。
【0058】
第3のブレーキ回路14が第3のポンプ104および連続調節可能/連続制御可能な弁106を有していることは好ましい。連続調節可能な弁106(連続制御可能な弁)は吸込配管84を介してブレーキ媒体貯蔵容器20と結合されている。分岐点86から配管108が配管112の分岐点110まで伸長し、配管112は第3のポンプ104の吸込側に合流する。第3のポンプ104の吐出側から配管114が第4の車輪入口弁116bまで伸長し、第4の車輪入口弁116bは配管118を介して第4の車輪ブレーキ・シリンダ102bと結合されている。配管114内の分岐点120から他の配管122が第3の車輪入口弁116aまで伸長している。第3の車輪入口弁116aは配管124を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aと結合されている。第3の車輪入口弁116aおよび第4の車輪入口弁116bに並列に、逆止弁126aおよび126bをそれぞれ有するバイパス配管が伸長している。逆止弁126aおよび126bはそれぞれ、第3のポンプ104からバイパス配管を介して付属された車輪ブレーキ・シリンダ102aまたは102bへのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。
【0059】
配管124内の分岐点128および配管130を介して、第3の車輪出口弁132aが第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aと結合されている。同様に、第4の車輪出口弁132bは、配管118内の分岐点134および配管136を介して第4の車輪ブレーキ・シリンダ102bと結合されている。第3の車輪出口弁132aおよび第4の車輪出口弁132bからそれぞれ、配管138および140が伸長し、配管138および140は、配管112の、第3のポンプ104とは反対側の端部の分岐点142内に合流する。
【0060】
連続調節可能な弁106は、その機能およびその仕様に関して、切換弁と比較可能である。連続調節可能な弁106はPCR弁(圧力制御弁)と呼ばれてもよい。連続調節可能な弁106および第3のポンプ104により、ドライバとは無関係の、第3のブレーキ回路14内の圧力設定が可能である。ブレーキ圧力のこの能動的形成により、特に後車輪として形成された車輪16aおよび16bの強い制動が、車両が横滑りすることなく実行可能である。
【0061】
連続調節可能な弁106は、無通電において開放される弁として形成されていることが好ましい。これは、顕著な温度変化があるときに第3のブレーキ回路内の圧力均衡を可能にする。
【0062】
第1のポンプ54aおよび/または第2のポンプ54bは単連ピストン・ポンプであってもよい。この場合、第3のポンプ104の三連ピストン・ポンプとしての形態が有利である。しかしながら、ポンプ54a、54bおよび104に対して、1つまたは複数のピストンを有する他のポンプ、非対称ポンプおよび/または歯車ポンプもまた使用可能であることを指摘しておく。ポンプ54a、54bおよび104はモータ146の共通軸144上に配置されていることが好ましい。このようにして、ポンプ54a、54bおよび104を運転するための追加のモータが省略可能である。
【0063】
第1の車輪入口弁36aにより、第1の切換弁30aから第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aへのブレーキ媒体移動が制御可能であるのみならず、第1のポンプ54aの吐出側から第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aへのブレーキ媒体移動もまた制御可能である(第1の車輪出口弁50aの使用により、同様に、第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aから第1のポンプ54aの吸込側へのブレーキ媒体移動および/または第1の車輪ブレーキ・シリンダ42aから第1の蓄積室60aへのブレーキ媒体移動が制御可能である)。それに対応して、第2の車輪入口弁36bおよび第2の車輪出口弁50bもまた使用可能である。したがって、弁36a、36b、50aおよび50bにより、ポンプ54aおよび54bの共通運転にもかかわらず、付属された車輪ブレーキ・シリンダ42aおよび42b内の外部圧力形成が車輪ごとに実行可能である。
【0064】
それに対応して、第3のポンプ104の共通運転にもかかわらず、第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aおよび/または第4の車輪ブレーキ・シリンダ102b内の好ましくない圧力変化は、弁106、116a、116b、132aおよび132bにより阻止可能である。同様に、第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の油圧ブレーキ・トルクを一定に保持することにより、第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aの第3の油圧ブレーキ・トルクおよび第4の車輪ブレーキ・シリンダ102bの第4の油圧ブレーキ・トルクが、車輪ごとに且つ能動的に設定可能である。このために、第3のポンプ104および連続調節可能な弁106が、希望された第3の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第4の油圧ブレーキ・トルクに対応して操作される。第3のポンプ104の運転において、第1のポンプ54aおよび第2のポンプ54bもまた共通運転されるにもかかわらず、ブレーキ回路10aおよび10b内へのブレーキ媒体移動によるブレーキ媒体貯蔵容器20の好ましくない容量変化は、遮断弁90の閉鎖を介して簡単に阻止可能である。これにより、これが希望されるかぎり、ポンプ54aおよび54bの共通運転にもかかわらず、追加の油圧ブレーキ・トルクが車輪12aおよび12bに形成されることはない。
【0065】
第3の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第4の油圧ブレーキ・トルクを解除するために、連続調節可能な弁106が、低減されるべきブレーキ希望に対応して開放可能である。このとき、ある容量が、少なくとも開放された連続調節可能な弁106を介してブレーキ媒体貯蔵容器20内に流動により戻る。
【0066】
以下に、車輪16aおよび16bの車軸に結合された発電機の回生ブレーキ・トルクを共用するためのブレーキ・システムの有利な利用可能性について説明される。
例えば、回生制動において、既知ではあるが一定ではない発電ブレーキ・トルクが車輪16aおよび16bの共通軸に作用する。さらに、センサ26によりドライバのブレーキ希望が決定され且つ好ましい全制動トルクに関する対応情報がブレーキ・システムの(図示されていない)評価装置/制御装置に提供されてもよい。好ましい全制動トルク、発電ブレーキ・トルクおよびオプションとしての第1の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第2の油圧ブレーキ・トルクを考慮して、それに続いて、目標追加ブレーキ・トルクが特定可能であり、この目標追加ブレーキ・トルクは、第3の車輪ブレーキ・シリンダ102aおよび第4の車輪ブレーキ・シリンダ102bにより、全制動トルクを確実に保持するように設定可能である。それに続いて、特定された目標追加ブレーキ・トルクは第3の油圧ブレーキ・トルクおよび第4の油圧ブレーキ・トルクの和として車輪ブレーキ・シリンダ102aおよび102bにより設定される。例えば、第3の油圧ブレーキ・トルクおよび/または第4の油圧ブレーキ・トルクの設定は、連続調節可能な弁106のΔ−P操作による圧力調節により実行可能である。この代わりに、圧力制御もまた可能である。このために、オプションとして、分岐点120に圧力センサ148が結合されていてもよい。
【0067】
上記の共用は、ドライバにより設定された車両減速度を確実に保持することを可能にする。この共用過程はドライバには感知可能ではない。
ブレーキ・システムは(図示されていない)制御装置を含むことが好ましく、制御装置は、さらに、車両固有の構成要素から提供された外力ブレーキ・データを受け取り、外力ブレーキ・データを受け取ったのちに遮断弁90を少なくとも部分開放された状態に制御し、および外力ブレーキ・データを考慮して、ブレーキ媒体貯蔵容器20から少なくとも部分開放された遮断弁90を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ42a内への追加ブレーキ媒体容量および/またはブレーキ媒体貯蔵容器20から少なくとも部分開放された遮断弁90を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ42b内への他のブレーキ媒体容量がポンピング可能なように、第1のポンプ54aおよび/または第2のポンプ54bを操作するように設計されている。外力ブレーキ・データは、特に、自動速度制御装置として設計された構成要素および/または事故防護装置として形成された構成要素例えばエアバッグ装置および/または安全ベルト装置から提供されてもよい。これにより、特定の状況において、特に車輪16aおよび16bと共に、車輪12aおよび12bの有利な強い制動が達成可能である。
【0068】
上記のブレーキ・システムは、そのブレーキ回路10a、10bまたは14の1つが故障したのちにおいても、少なくとも3つの車輪12a、12b、16aまたは16bにおける当該車両の確実な制動を保証する。
【0069】
第1のブレーキ回路10aまたは第2のブレーキ回路10bの機能損傷の場合、ポンプ54a、54bおよび104の運転により、形成された油圧ブレーキ・トルクの和が機能損傷を補償するように、まだ機能している車輪ブレーキ・シリンダ42a、42b、102aまたは102b内の圧力が上昇可能である。
【0070】
例えば付属された制御装置、伝送装置および/またはエネルギー供給装置の電気故障による第3のブレーキ回路14の機能損傷の場合、ドライバは、なお第1のブレーキ回路10aおよび第2のブレーキ回路10b内に直接ブレーキ係合可能である。このような状況において、ブレーキ力増幅装置を使用することにより、マスタ・ブレーキ・シリンダ内に追加の圧力が形成可能であることが好ましい。これは第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の油圧ブレーキ・トルクの制御を行う。特に、このようなブレーキ力増幅装置24の使用により、第3のブレーキ回路14の機能損傷は適切に補償可能である。
【0071】
図2は、本方法の一実施形態の流れ図を示す。
本方法は、マスタ・ブレーキ・シリンダ、ブレーキ媒体貯蔵容器、マスタ・ブレーキ・シリンダと油圧結合されている第1の車輪ブレーキ・シリンダ、マスタ・ブレーキ・シリンダと油圧結合されている第2の車輪ブレーキ・シリンダ、ブレーキ媒体貯蔵容器に結合されている遮断弁、第1の逆止弁を介して遮断弁と油圧結合されている第1のポンプおよび第2の逆止弁を介して遮断弁と油圧結合されている第2のポンプを備えたブレーキ・システムにより実行可能である。本方法を実行するために、例えば図1のブレーキ・システムが使用されてもよい。しかしながら、本方法の実行可能性はこのブレーキ・システムに限定されない。
【0072】
方法ステップS1において、車両固有の構成要素から提供された外力ブレーキ・データが受け取られる。このために使用される構成要素に対する例は既に上で示されている。
方法ステップS2において、遮断弁が少なくとも部分開放された状態に制御される。しかしながら、方法ステップS2は、方法ステップS1の前に既に実行されてもよい。方法ステップS1およびS2の番号順は、方法の保持されるべき時間経過順序を決定するものではない。
【0073】
方法ステップS3において、ブレーキ媒体貯蔵容器から少なくとも部分開放された遮断弁を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ内に第1のブレーキ媒体容量が、および/またはブレーキ媒体貯蔵容器から少なくとも部分開放された遮断弁を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ内に第2のブレーキ媒体容量がポンピングされるように、第1のポンプおよび/または第2のポンプが運転される。第1のポンプおよび/または第2のポンプの運転は、受け取られた外力ブレーキ・データを考慮して行われる。これにより、受け取られた外力ブレーキ・データは、コスト的に有利な構成要素を使用し、且つ比較的少ない費用で実行可能である。特に、このようにして、車両は、可能な事故が発生する前に急速に制動可能であり、および/または自動速度制御システムにより運転可能である。
【符号の説明】
【0074】
10a 第1のブレーキ回路
10b 第2のブレーキ回路
12a、12b、16a、16b 車輪
14 第3のブレーキ回路
18 マスタ・ブレーキ・シリンダ
20 ブレーキ媒体貯蔵容器
22 ブレーキ入力要素
24 ブレーキ力増幅装置
26 センサ
28a、28b 供給配管
30a、30b 切換弁
32a、32b、38a、38b、100a、100b、126a、126b 逆止弁
34、40、48、52、56、62、66、72、76、78、82、83、88、92、108、112、114、118、122、124、130、136、138、140 配管
36a、36b、116a、116b 車輪入口弁
42a、42b、102a、102b 車輪ブレーキ・シリンダ
44、58、64、68、74、80、85、86、96、98、110、120、128、134、142 分岐点
46、70、148 圧力センサ
50a、50b、132a、132b 車輪出口弁
54a、54b、104 ポンプ
60a、60b 蓄積室
84 吸込配管
90 遮断弁
94a、94b 結合配管
106 連続調節可能な弁
144 共通軸
146 モータ
S1−S3 方法ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と、
ブレーキ媒体貯蔵容器(20)と、
第1のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)から第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内に移動可能なように、マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と油圧結合されている、該第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)と、
第2のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)から第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)内に移動可能なように、マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と油圧結合されている、該第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)と、
第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)に付属された第1のポンプ(54a)および第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)に付属された第2のポンプ(54b)と、を有する車両用ブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ媒体貯蔵容器(20)に結合された遮断弁(90)であって、この場合、
第1のポンプ(54a)により第3のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された遮断弁(90)および第1の逆止弁(100a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内にポンピング可能なように、第1のポンプ(54a)が第1の逆止弁(100a)を介して遮断弁(90)と結合可能であり、および
第2のポンプ(54b)により第4のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された遮断弁(90)および第2の逆止弁(100b)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)内にポンピング可能なように、第2のポンプ(54b)が第2の逆止弁(100b)を介して遮断弁(90)と結合可能である、該遮断弁(90)を特徴とする、
車両用ブレーキ・システム。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ・システムにおいて、
第1の逆止弁(100a)は、第1のポンプ(54a)から遮断弁(90)へのブレーキ媒体移動が第1の逆止弁(100a)により阻止されているように配向されていること、および
第2の逆止弁(100b)は、第2のポンプ(54b)から遮断弁(90)へのブレーキ媒体移動が第2の逆止弁(100b)により阻止されているように配向されていること、の少なくともいずれかである、ブレーキ・システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブレーキ・システムにおいて、
第5のブレーキ媒体容量が第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)から第1の蓄積室(60a)に移動可能なように、ブレーキ・システムの第1の蓄積室(60a)が第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)と結合されていること、および
第6のブレーキ媒体容量が第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)から第2の蓄積室(60b)に移動可能なように、ブレーキ・システムの第2の蓄積室(60b)が第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)と結合されている、の少なくともいずれかである、
ブレーキ・システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
第1のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)から少なくとも部分開放された第1の切換弁(30a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内に移動可能なように、第1の切換弁(30a)がマスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)との間に配置され、および
ブレーキ・システムの第1の車輪入口弁(36a)により、第1の切換弁(30a)から第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)へのブレーキ媒体移動および第1のポンプ(54a)の吐出側から第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)へのブレーキ媒体移動の少なくともいずれかが制御可能である、ブレーキ・システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムの第1の車輪出口弁(50a)により、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)から第1のポンプ(54a)の吸込側へのブレーキ媒体移動および第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)から第1の蓄積室(60a)へのブレーキ媒体移動の少なくともいずれかが制御可能である、ブレーキ・システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムが、
ブレーキ媒体貯蔵容器(20)に結合された第3のポンプ(104)と、
少なくとも1つの第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)であって、第7のブレーキ媒体容量が第3のポンプ(104)によりブレーキ媒体貯蔵容器(20)から第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)内にポンピング可能なように、第3のポンプ(104)と油圧結合されている、該少なくとも1つの第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)と、および
連続調節可能な弁(106)であって、第8のブレーキ媒体容量が少なくとも部分開放された連続調節可能な弁(106)を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)からブレーキ媒体貯蔵容器(20)内に移動可能なように、ブレーキ媒体貯蔵容器(20)および少なくとも第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)と油圧結合されている、該連続調節可能な弁(106)と、をさらに含む、ブレーキ・システム。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキ・システムにおいて、ブレーキ・システムが発電機を含み、該発電機により、少なくとも第3の車輪ブレーキ・シリンダ(102a、102b)に付属された車輪に発電ブレーキ・トルクを提供可能である、ブレーキ・システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、第1のポンプ(54a)、第2のポンプ(54b)および第3のポンプ(104)の少なくともいずれかがモータ(146)の共通軸(144)上に配置されている、ブレーキ・システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、ブレーキ・システムが正確に12の操作可能な弁(30a、30b、36a、36b、50a、50b、90、106、116a、116b、132a、132b)を有し、これらの弁は、ブレーキ・システムの制御装置から提供される電気信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能である、ブレーキ・システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
車両固有の構成要素から提供された外力ブレーキ・データを受け取り、外力ブレーキ・データを受け取ったのちに遮断弁(90)を少なくとも部分開放状態に制御し、および外力ブレーキ・データを考慮して第1のポンプ(54a)および第2のポンプ(54b)の少なくともいずれかを操作するように、ブレーキ・システムの制御装置が設計され、これにより、第3のブレーキ媒体容量がブレーキ媒体貯蔵容器(20)から少なくとも部分開放された遮断弁(90)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内にポンピング可能であること、および第4のブレーキ媒体容量がブレーキ媒体貯蔵容器(20)から少なくとも部分開放された遮断弁(90)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)内にポンピング可能であること、の少なくともいずれかである、ブレーキ・システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のブレーキ・システムを有する車両。
【請求項12】
マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と、ブレーキ媒体貯蔵容器(20)と、マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と油圧結合されている第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)と、マスタ・ブレーキ・シリンダ(18)と油圧結合されている第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)と、ブレーキ媒体貯蔵容器(20)に結合された遮断弁(90)と、第1の逆止弁(100a)を介して遮断弁(90)と油圧結合された第1のポンプ(54a)と、および第2の逆止弁(100b)を介して遮断弁(90)と油圧結合された第2のポンプ(54b)と、を有する車両ブレーキ・システムの作動方法において、
車両固有の構成要素から提供された外力ブレーキ・データを受け取るステップ(S1)と、
遮断弁(90)を少なくとも部分開放状態に制御するステップ(S2)と、および
第1のブレーキ媒体容量がブレーキ媒体貯蔵容器(20)から少なくとも部分開放された遮断弁(90)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(42a)内にポンピングされること、および第2のブレーキ媒体容量がおよびブレーキ媒体貯蔵容器(20)から少なくとも部分開放された遮断弁(90)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(42b)内にポンピングされること、の少なくともいずれかであるように、受け取られた外力ブレーキ・データを考慮して第1のポンプ(54a)および第2のポンプ(54b)の少なくともいずれかを運転するステップ(S3)と、を有する、
車両ブレーキ・システムの作動方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−520342(P2013−520342A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553237(P2012−553237)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050247
【国際公開番号】WO2011/104046
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】