説明

車両用ブレーキ液圧制御装置

【課題】前輪用の車輪ブレーキおよび後輪用の車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニットの作動を、同軸上にある左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのブレーキ液圧間で許容される許容差圧となるように制御する車両用ブレーキ液圧制御装置において、路面の摩擦係数に安定して対応した許容差圧が得られるようにする。
【解決手段】制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧をロック液圧取得手段29が取得し、許容差圧設定手段27は、少なくともロック液圧取得手段29で得たロック液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪および後輪が制動時にロック状態に陥ることを防止すべく前輪用の車輪ブレーキおよび後輪用の車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニットと、同軸上にある左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのブレーキ液圧間で許容される許容差圧を設定する許容差圧設定手段とを備え、同軸上にある左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのブレーキ液圧の差圧が前記許容差圧設定手段で設定された許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニットの作動を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸上の左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御を相互に独立して行うようにした車両用ブレーキ液圧制御装置が、特許文献1で知られており、このものでは、車速、横加速度および同軸車輪の車輪ブレーキの液圧からそれぞれ算出した許容差圧から選択した許容差圧を許容差圧設定手段で設定し、その許容差圧以上の差圧が左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧で生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、許容差圧を設定するにあたって路面の摩擦係数に相当する成分として同軸車輪の車輪ブレーキの液圧を用いているが、アンチロックブレーキ制御中のブレーキ液圧の増減による液圧変化の影響でハンチングが生じてしまい、安定した許容差圧を得ることができない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、路面の摩擦係数に安定して対応した許容差圧が得られるようにした車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、制動時に車輪がロック状態に陥ることを防止すべく複数の車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニットと、同軸上にある左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのブレーキ液圧間で許容される許容差圧を設定する許容差圧設定手段とを備え、同軸上にある左右の前輪および後輪用の車輪ブレーキのブレーキ液圧の差圧が前記許容差圧設定手段で設定された許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニットの作動を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置において、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧を取得するロック液圧取得手段を含み、前記許容差圧設定手段が、少なくとも前記ロック液圧取得手段で得たロック液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ロック液圧取得手段が、複数の車輪ブレーキに共通なマスタシリンダの出力液圧と、前記液圧調整ユニットの一部を構成する電磁弁の駆動電流とに基づいて前記ロック液圧を算出することを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記許容差圧設定手段が、前記ロック液圧に対する前記許容差圧を予め設定したマップを有するとともに、そのマップに基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキの液圧を取得する液圧取得手段を含み、前記許容差圧設定手段が、前記ロック液圧取得手段が取得したロック液圧ならびに前記液圧取得手段が取得した液圧のうち大きい方の液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記許容差圧設定手段が、アンチロックブレーキ制御開始時の減圧開始から増圧開始までの間を除く期間で前記ロック液圧に基づく前記許容差圧を設定することを第5の特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、推定車体減速度を算出する推定車体減速度算出手段を含み、前記許容差圧設定手段が、前記推定車体減速度に基づいて設定した許容差圧ならびに前記ロック液圧に基づいて設定した許容差圧のうち大きい方の値を路面摩擦係数に対応した前記許容差圧として設定することを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧に少なくとも基づいて路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定するので、同軸輪の車輪ブレーキの液圧を路面の摩擦係数に相当する成分として用いていた従来のものと比べて、アンチロックブレーキ制御中のブレーキ液圧の増減による液圧変化の影響によるハンチングが生じることがないようにして許容差圧の変動を抑え、路面の摩擦係数に安定して対応した許容差圧を設定することができる。
【0013】
また本発明の第2の特徴によれば、マスタシリンダの出力液圧と、液圧調整ユニットの一部を構成する電磁弁の駆動電流とに基づいてロック液圧を算出するようにしているので、センサ等を用いることなくロック液圧を適切に取得することができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、ロック液圧に対して許容差圧を予め設定したマップに基づいて路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定するので、実験やシミュレーション等に基づいて設定したマップから許容差圧を路面の摩擦係数に適した値に容易に設定することができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキの液圧およびロック液圧のうち大きい方の液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定するので、ブレーキ液圧が増圧された場合でもそれを許容差圧の設定に直ちに反映させることができ、路面摩擦係数に対応した許容差圧をより高精度に設定することができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば、アンチロックブレーキ制御開始時の減圧開始から増圧開始までの間では、路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定しないことにより、急制動に伴ってロック液圧がオーバーシュートする可能性がある期間はロック液圧に基づく許容差圧を設定しないようにして、信頼性を高めることができる。
【0017】
さらに本発明の第6の特徴によれば、路面の摩擦係数に相当する成分として推定車体減速度も勘案して許容差圧を設定しており、走行路面の摩擦係数により精度よく対応した許容差圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両のブレーキ液圧制御系を示す図である。
【図2】液圧調整ユニットの構成を示す液圧回路図である。
【図3】車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】推定車体速度の算出を説明するための図である。
【図5】推定車体速度および許容差圧の関係を示すマップである。
【図6】横加速度および許容差圧の関係を示すマップである。
【図7】ロック液圧および許容差圧の関係を示すマップである。
【図8】推定車体減速度および許容差圧の関係を示すマップである。
【図9】同軸輪のブレーキ液圧およびロック液圧の一例を示すグラフである。
【図10】スプリット路での車輪の車輪速度および左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、添付の図1〜図10を参照しながら説明すると、先ず図1において、この車両Vは、エンジンEの駆動力がトランスミッションTを介して伝達される左右の同軸の前輪WA,WBと、左右の同軸の後輪WC,WDとを備え、ドライバーによって操作されるブレーキペダル11はマスタシリンダMに接続される。また前記前輪WA,WBおよび前記後輪WC,WDには、ブレーキ液圧の作用によって作動する車輪ブレーキBA,BB,BC,BDが設けられており、前記マスタシリンダMは液圧調整ユニット12を介して各車輪ブレーキBA〜BDに接続される。この液圧調整ユニット12は、制動時に車輪がロック状態に陥ることを防止すべく各車輪ブレーキBA〜BDに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能である。
【0020】
前記液圧調整ユニット12の作動は、液圧制御装置13によって制御されるものであり、この液圧制御装置13には、左右の前輪WA,WBおよび左右の後輪WC,WDに個別に付設される車輪速度センサSA,SB,SC,SDからの信号と、前記マスタシリンダMから出力されるブレーキ圧を検出する圧力センサSPからの信号と、車両Vに作用している横加速度を検出する横加速度センサSLからの信号とが入力され、前記液圧制御装置13は、前記各センサSA〜SD,SP,SLからの信号に基づいて前記液圧調整ユニット12の作動を制御する。
【0021】
図2において、前記液圧調整ユニット12は、左前輪WA用の車輪ブレーキBA、右前輪WB用の車輪ブレーキBB,左後輪WC用の車輪ブレーキBCおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDに個別に対応した常開型電磁弁15A〜15Dと、各常開型電磁弁15A〜15Dにそれぞれ並列に接続されるチェック弁16A〜16Dと、前記各車輪ブレーキBA〜BDに個別に対応した常閉型電磁弁17A〜17Dと、マスタシリンダMが備える第1および第2出力ポート23A,23Bの第1出力ポート23Aに連なる第1出力液圧路24Aに対応した第1リザーバ18Aと、前記マスタシリンダMの第2出力ポート23Bに連なる第2出力液圧路24Bに対応した第2リザーバ18Bと、第1および第2リザーバ18A,18Bに吸入側がそれぞれ接続されるとともに吐出側が第1および第2出力液圧路24A,24Bに接続される第1および第2ポンプ19A,19Bと、両ポンプ19A,19Bを駆動する共通1個の電動モータ20と、第1および第2ポンプ19A,19Bの吐出側がそれぞれ接続される第1および第2ダンパ21A,21Bと、各ダンパ21A,21BおよびマスタシリンダM間にそれぞれ設けられる第1および第2オリフィス22A,22Bとを備え、前記圧力センサSPは、第1および第2出力液圧路24A,24Bの一方、たとえば第2出力液圧路24Bに接続される。
【0022】
常開型電磁弁15A,15Dは、第1出力液圧路24Aと、左前輪WA用の車輪ブレーキBAおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDとの間に設けられ、常開型電磁弁15B,15Cは、第2出力液圧路24Bと、右前輪WB用の車輪ブレーキBBおよび左後輪WC用の車輪ブレーキBCとの間に設けられる。
【0023】
また各チェック弁16A〜16Dは、対応する車輪ブレーキBA〜BDからマスタシリンダMへのブレーキ液の流れを許容するようにして、各常開型電磁弁15A〜15Dに並列に接続される。
【0024】
常閉型電磁弁17A,17Dは、左前輪WA用の車輪ブレーキBAおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDと、第1リザーバ18Aとの間に設けられ、常閉型電磁弁17B,17Cは、右前輪WB用の車輪ブレーキBBおよび左後輪WC用の車輪ブレーキBCと、第2リザーバ18Bとの間に設けられる。
【0025】
このような液圧調整ユニット12は、各車輪がロックを生じる可能性のない通常ブレーキ時には、マスタシリンダMおよび車輪ブレーキBA〜BD間を連通するとともに、車輪ブレーキBA〜BDと、第1および第2リザーバ18A,18Bとの間を遮断する。すなわち各常開型電磁弁15A〜15Dが消磁、開弁状態とされるとともに各常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁状態とされ、マスタシリンダMの第1出力ポート23Aから出力されるブレーキ液圧は常開型電磁弁15Aを介して左前輪WA用の車輪ブレーキBAに作用するとともに、常開型電磁弁15Dを介して右後輪WD用の車輪ブレーキBDに作用する。またマスタシリンダMの第2出力ポート23Bから出力されるブレーキ液圧は、常開型電磁弁15Bを介して右前輪WB用の車輪ブレーキBBに作用するとともに常開型電磁弁15Cを介して左後輪WC用の車輪ブレーキBCに作用する。
【0026】
上記ブレーキ中に車輪がロック状態に入りそうになったときに、前記液圧調整ユニット12は、ロック状態に入りそうになった車輪に対応する部分でマスタシリンダMおよび車輪ブレーキBA〜BD間を遮断するとともに車輪ブレーキBA〜BDおよびリザーバ18A,18B間を連通する。すなわち常開型電磁弁15A〜15Dのうちロック状態に入りそうになった車輪に対応する常開型電磁弁が励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁17A〜17Dのうち上記車輪に対応する常閉型電磁弁が励磁、開弁される。これにより、ロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧の一部が第1リザーバ18Aまたは第2リザーバ18Bに吸収され、ロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧が減圧されることになる。
【0027】
またブレーキ液圧を一定に保持する際に、前記液圧調整ユニット12は、車輪ブレーキBA〜BDをマスタシリンダMおよびリザーバ18A,18Bから遮断する状態となる。すなわち常開型電磁弁15A〜15Dが励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁されることになる。さらにブレーキ液圧を増圧する際には、常開型電磁弁15A〜15Dが消磁、開弁状態とされるともに、常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁状態とされればよい。
【0028】
このように各常開型電磁弁15A〜15Dおよび各常閉型電磁弁17A〜17Dの消磁・励磁を制御することにより、車輪をロックさせることなく、効率良く制動することができる。
【0029】
ところで、上述のようなアンチロックブレーキ制御中に、電動モータ20は回転作動し、この電動モータ20の作動に伴って第1および第2ポンプ19A,19Bが駆動されるので、第1および第2リザーバ18A,18Bに吸収されたブレーキ液は、第1および第2ポンプ19A,19Bに吸入され、次いで第1および第2ダンパ21A,21Bを経て第1および第2出力液圧路24A,24Bに還流される。このようなブレーキ液の還流によって、ブレーキ液をマスタシリンダM側に戻すことができる。しかも第1および第2ポンプ19A,19Bの吐出圧の脈動は第1および第2ダンパ21A,21Bならびに第1および第2オリフィス22A,22Bの働きにより抑制され、上記還流によってブレーキペダル11の操作フィーリングが阻害されることはない。
【0030】
図3において、前記液圧調整ユニット12の作動を制御する液圧制御装置13は、上記アンチロックブレーキ制御を実行するのに加えて、同軸上にある左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび左右の後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧差を許容差圧内に制御する差圧制御を実行可能であり、その差圧制御を実行するために、前記液圧制御装置13は、前記車輪速度センサSA〜SDで得られる車輪速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段25と、その推定車体速度算出手段25で算出された推定車体速度に基づいて推定車体減速度を算出する推定車体減速度算出手段26と、同軸上にある左右の前輪WA,WBおよび後輪WC,WD用の車輪ブレーキBA,BB;BC,BDのブレーキ液圧間で許容される許容差圧を設定する許容差圧設定手段27と、該許容差圧設定手段27で設定される許容差圧、前記圧力センサSPで検出されるマスタシリンダMの出力液圧、前記車輪速度センサSA〜SDで得られる車輪速度ならびに前記推定車体速度算出手段25で算出された推定車体速度に基づいて制御量を定めて液圧調整ユニット12を作動せしめる液圧調整駆動手段28と、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキ液圧、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴って減圧を開始する際の液圧であるロック液圧ならびに左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBの前記ロック液圧を前記液圧調整駆動手段28の出力および前記圧力センサSPからの信号に基づいて取得する液圧取得手段29と、左右の車輪WA,WB;WC,WDの接地路面の摩擦係数が大きく異なるスプリット路であるか否かを前記液圧調整駆動手段28の出力に基づいて判定するスプリット路判定手段31と、前記推定車体減速度算出手段26で得られた推定車体減速度に基づいて路面の摩擦係数が所定摩擦係数よりも低い低摩擦係数の路面であるか否かを判定する低摩擦係数路判定手段32と、前記液圧調整駆動手段28の出力に基づいて走行路面の摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数側に所定値以上変化するμジャンプ状態であるか否かを判定するμジャンプ判定手段33とを備える。
【0031】
前記推定車体速度算出手段25は、たとえば各車輪速度センサSA〜SDで得られた車輪速度のうち最も大きな値である最高車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するものであり、最高車輪速度が図4で示すように変化するときに、その最高車輪速度を所定の加速度および減速度で補正することによって、最大加速度および最大減速度が前記所定の加速度および減速度となるようにした推定車体速度を得るようにしており、前記推定車体減速度算出手段26は、図4の鎖線で示すように、推定車体速度のピーク値を結ぶ直線の傾きとして推定車体減速度を算出する。
【0032】
液圧取得手段29は、複数の車輪ブレーキBA〜BDに共通なマスタシリンダMの出力液圧と、前記液圧調整ユニット12の一部を構成する電磁弁すなわち常開型電磁弁15A〜15Dおよび常閉型電磁弁17A〜17Dの駆動電流とに基づいて、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキ液圧ならびに前記ロック液圧を取得するものであり、マスタシリンダMの出力液圧が圧力センサSPから液圧取得手段29に入力され、常開型電磁弁15A〜15Dおよび常閉型電磁弁17A〜17Dの駆動電流を代表する信号が前記液圧調整駆動手段28から液圧取得手段29に入力される。
【0033】
前記許容差圧設定手段27は、推定車体速度に応じて定まる車体速度成分、横加速度に応じて定まる横加速度成分、ならびに走行路面の摩擦係数に応じて定まる摩擦係数成分のうち最大のものを選択して許容差圧を設定するものであり、前記推定車体速度算出手段25で得られる推定車体速度、前記推定車体減速度算出手段26で得られる推定車体減速度、前記横加速度センサSLで得られる横加速度、前記液圧取得手段29で得られるロック液圧、ならびに前記液圧取得手段30で得られる同軸輪の液圧が前記許容差圧設定手段27に入力される。
【0034】
而して前記許容差圧設定手段27は、前記推定車体速度算出手段25が算出した推定車体速度に応じて定まる車体速度成分として、図5で示すように、実験やシミュレーション等に基づいて推定車体速度に応じて前輪および後輪毎に許容差圧を設定したマップを有するとともに、前記横加速度センサSLが検出した横加速度に応じて定める横加速度成分として、図6で示すように、実験やシミュレーション等に基づいて横加速度に応じて前輪および後輪毎に許容差圧を設定したマップを有する。
【0035】
また前記許容差圧設定手段27は、走行路面の摩擦係数に応じて定まる摩擦係数成分としてロック液圧成分および推定車体減速度成分のうち大きい方の値を選択して摩擦係数成分とするものであり、ロック液圧成分として、図7で示すように、実験やシミュレーション等に基づいてロック液圧に応じて前輪および後輪毎に許容差圧を設定したマップを有するとともに、前記推定車体減速算出手段26で得られる推定車体減速度に応じて定まる推定車体減速度成分として、図8で示すように、実験やシミュレーション等に基づいて推定車体減速度に応じて前輪および後輪毎に許容差圧を設定したマップを有しており、前記許容差圧設定手段27は、それらのマップから得た許容差圧のハイセレクト値を路面摩擦係数に対応した許容差圧として設定する。
【0036】
ところで、急制動時のアンチロックブレーキ制御時には、図9で示すように、アンチロックブレーキ制御の1サイクル目にはブレーキ液圧がオーバーシュートし、それに伴ってロック液圧も鎖線で示すようにオーバーシュートする可能性があるので、前記液圧取得手段29は、アンチロックブレーキ制御の1サイクル目の増圧開始時である時刻t1からロック液圧の取得を開始し、それによって正確なロック液圧の取得を可能とする。而して前記許容差圧設定手段27は、前記液圧取得手段29で得られるロック液圧ならびに同軸輪のブレーキ液圧のうち大きい方の値を選択するものであり、同軸輪のブレーキ液圧がロック液圧よりも大きくなる時刻t2〜t3の間では、前記許容差圧設定手段27は、同軸輪のブレーキ液圧をロック液圧として用いることになる。
【0037】
しかも前記許容差圧設定手段27は、アンチロックブレーキ制御が開始されてから時刻t1までの間は、上述のようにロック液圧がオーバーシュートする可能性があるので、アンチロックブレーキ制御開始時の減圧開始から増圧開始までの間は前記ロック液圧に基づく許容差圧の設定を行わず、また走行路面の摩擦係数に対応した許容差圧を設定するために用いる推定車体減速度を、アンチロックブレーキ制御の初期では推定車体減速度算出手段26が精度良く算出し得ないので、アンチロックブレーキ制御でのブレーキ液圧の減圧、保持および増圧の制御サイクルを少なくとも2回以上繰り返した後で、前記推定車体言速度に基づく許容差圧を設定することとする。
【0038】
前記スプリット路判定手段31は、前記液圧調整駆動手段28からの信号に基づいて前記許容差圧を用いた独立制御を左右前輪のいずれかが所定時間以上持続して実行したときに前記スプリット路であると判定するとともに、制御対象の車輪のブレーキ液圧が、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのロック液圧よりも所定値以上高いときに前記スプリット路であると判定する。
【0039】
すなわち左右前輪の車輪ブレーキBA,BB間で差圧が生じている状態が所定時間以上持続している状態は、スプリット路であると推定することができ、そのような状態で前記スプリット路判定手段31はスプリット路であると判定する。
【0040】
ここでスプリット路を走行することで左右前輪の車輪速度が図10(a)で示すように変化したときに、左右前輪WA,WBの車輪ブレーキBA,BBのうち高摩擦係数側のブレーキ液圧およびロック液圧ならびに低摩擦係数側のブレーキ液圧およびロック液圧は、図1(b)で示すように変化するものであり、高摩擦係数側のロック液圧および低摩擦係数側のロック液圧には大きな差圧が生じており、制御対象の車輪のブレーキ液圧が、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのロック液圧よりも所定値以上高いときに前記スプリット路であると判定することが可能となる。
【0041】
また低摩擦係数路判定手段32は、前記推定車体減速度算出手段26の算出による推定車体減速度が規定値よりも低いときに低摩擦係数路と判定するとともに、左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBのうちいずれかのロック液圧が所定値よりも小さいときに低摩擦係数であると判定する。すなわち低摩擦係数の路面では、図10(b)で示したようにロック液圧が低くなるものであり、所定値よりもロック液圧が低いときに低摩擦係数であると判定することが可能である。
【0042】
またμジャンプ判定手段33は、左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBのうちいずれかでアンチロックブレーキ制御での減圧量が前回サイクルでの減圧量に対して所定量以上増加したときにμジャンプ状態であると判定する。
【0043】
而してスプリット路判定手段31がスプリット路であると判定したとき、前記低摩擦係数路判定手段32が推定車体減速度に基づいて低摩擦係数路と判定したとき、ならびに前記μジャンプ判定手段33がμジャンプ状態であると判定したときに、前記路面摩擦係数に対応した前記許容差圧の適用を禁止するものであり、この実施の形態では、前記許容差圧設定手段27が、路面摩擦係数に対応した許容差圧の設定を停止し、推定車体速度に応じて定まる車体速度成分ならびに横加速度に応じて定まる横加速度成分のうち大きい方を選択して許容差圧を設定することになる。
【0044】
また前記低摩擦係数路判定手段32が、左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBのロック液圧に基づいて低摩擦係数であると判定したときには、少なくとも左右の後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDの前記路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止する。
【0045】
さらに前記液圧取得手段29が取得した左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBのいずれかの前記ロック液圧が低摩擦係数であると判定し得る所定値以下のときには、少なくとも後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BD側の前記路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止する。
【0046】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、許容差圧設定手段27は、推定車体速度に応じて定まる車体速度成分、横加速度に応じて定まる横加速度成分、ならびに走行路面の摩擦係数に応じて定まる摩擦係数成分のうち最大のものを選択して許容差圧を設定するものであり、路面摩擦係数に対応した許容差圧は、推定車体減速度成分およびロック液圧成分のうち大きい方の値を選択して定めるものであり、推定車体減速度成分として推定車体減速度算出手段26が算出した推定車体減速度に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定するとともに、ロック液圧成分として液圧取得手段29が取得した同軸輪のロック液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定する。
【0047】
したがって推定車体減速度に基づいて路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定する場合には、制御対象の車輪と同軸の車輪のブレーキ液圧を路面の摩擦係数に相当する成分として用いていた従来のものと比べて、高摩擦係数の路面か、低摩擦係数の路面かを精度良く判定し、安定した走行路面である高摩擦係数の路面では同軸上の左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび左右の後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧間の許容液圧差を大きく設定することができ、左右独立制御の制御効率の向上を図ることができる。
【0048】
また同軸輪のロック液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定する場合には、アンチロックブレーキ制御中のブレーキ液圧の増減による液圧変化の影響によるハンチングが生じることがないようにして許容差圧の変動を抑え、路面の摩擦係数に安定して対応した許容差圧を設定することができる。
【0049】
また推定車体減速度算出手段26は、前輪WA,WBおよび後輪WC,WD毎の車輪速度センサSA,SB,SC,SDが検出した車輪速度から推定車体速度算出手段25が算出した推定車体速度に基づいて推定車体減速度を算出するので、加速度センサ等の他のセンサを用いることなく、推定車体減速度を精度良く算出することができる。
【0050】
また許容差圧設定手段27は、推定車体減速度に対する許容差圧を予め設定したマップを有し、路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を前記マップに基づいて設定するので、実験やシミュレーション等に基づいて設定したマップから許容差圧を路面の摩擦係数に適した値に容易に設定することができる。
【0051】
また前記許容差圧設定手段27は、車輪がロック状態に陥ることを防止するためのアンチロックブレーキ制御でのブレーキ液圧の減圧、保持および増圧の制御サイクルを少なくとも2回以上繰り返した後で、推定車体減速度に基づく許容差圧を設定するので、車体減速度を精度よく算出し得る状態でのみ推定車体減速度に基づく許容差圧を設定するようにして信頼性の高い許容差圧を得ることができる。
【0052】
また前記許容差圧設定手段27が、制御対象の車輪ブレーキと同軸上にある他の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧に基づく許容差圧ならびに前記推定車体減速度に基づいて設定した許容差圧のうち大きい方の値を路面摩擦係数に対応した前記許容差圧として設定することで、走行路面の摩擦係数により精度よく対応した許容差圧を得ることができる。
【0053】
また液圧取得手段29が、複数の車輪ブレーキBA,BB,BC,BDに共通なマスタシリンダMの出力液圧と、液圧調整ユニット12の一部を構成する常開型電磁弁15A,15B,15C,15Dおよび常閉型電磁弁17A,17B,17C,17Dの駆動電流とに基づいて前記ロック液圧を算出するので、センサ等を用いることなくロック液圧を適切に取得することができる。
【0054】
また許容差圧設定手段27が、前記ロック液圧に対する前記許容差圧を予め設定したマップを有するとともに、そのマップに基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定するので、実験やシミュレーション等に基づいて設定したマップから許容差圧を路面の摩擦係数に適した値に容易に設定することができる。
【0055】
制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキの液圧を液圧取得手段29が取得し、許容差圧設定手段27が、液圧取得手段29で取得したロック液圧ならびに制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキの液圧のうち大きい方の液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定するので、ブレーキ液圧が増圧された場合でもそれを許容差圧の設定に直ちに反映させることができ、路面摩擦係数に対応した許容差圧をより高精度に設定することができる。
【0056】
しかも許容差圧設定手段27は、アンチロックブレーキ制御開始時の減圧開始から増圧開始までの間を除く期間で前記ロック液圧に基づく許容差圧を設定するので、急制動に伴ってロック液圧がオーバーシュートする可能性がある期間はロック液圧に基づく許容差圧を設定しないようにして、信頼性を高めることができる。
【0057】
ところで左右の車輪の接地路面の摩擦係数が大きく異なるスプリット路であるか否かをスプリット路判定手段31が判定し、路面の摩擦係数が所定摩擦係数よりも低い低摩擦係数の路面であるか否かを低摩擦係数路判定手段32が判定し、スプリット路判定手段31の判定結果がスプリット路である状態ならびに低摩擦係数路判定手段32の判定結果が低摩擦係数路である状態のいずれかのときには、路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止するので、スプリット路や、低摩擦係数の路面ではない路面を走行することで車両の走行状態が安定している状態で同軸上にある左右の前輪WA,WBおよび後輪WC,WD用の車輪ブレーキBA,BB;BC,BDのブレーキ液圧間の許容差圧を圧路面摩擦係数に対応して設定するようにし、路面状態に応じた適切な許容差圧の設定が可能となる。
【0058】
前記スプリット路判定手段31は、許容差圧を用いた独立制御を左右前輪のいずれかが所定時間以上持続して実行したときに前記スプリット路であると判定し、また制御対象の車輪のブレーキ液圧が、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧よりも所定値以上高いときに前記スプリット路であると判定するので、スプリット路であることを適切に判定し、スプリット路を走行中の路面摩擦係数に対応した許容差圧の設定を停止して、車両の挙動安定性を確保することができる。
【0059】
低摩擦係数路判定手段32は、推定車体減速度算出手段26の算出による推定車体減速度が規定値よりも低いときに、低摩擦係数路と判定するので、低摩擦係数路であることを適切に判定し、車両の挙動安定性を確保することができる。
【0060】
また走行路面の摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数側に所定値以上変化するμジャンプ状態をμジャンプ判定手段33が判定し、許容差圧設定手段27は、μジャンプ判定手段33の判定結果がμジャンプ状態であるときには路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止するので、路面摩擦係数に対応した許容差圧をμジャンプ状態で設定することによって車両の挙動安定性が損なわれることを防止することができる。
【0061】
また液圧取得手段29は、前輪WA,WBの車輪ブレーキBA,BBのアンチロックブレーキ制御開始時の液圧であるロック液圧を取得し、液圧取得手段29が取得した前輪WA,WBの車輪ブレーキBA,BBの前記ロック液圧が低摩擦係数であると判定し得る所定値以下のときに路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止するので、低摩擦係数である路面では路面摩擦係数に対応した許容差圧を設定しないことによって路面状態に応じた許容差圧を適切に設定することができる。
【0062】
また液圧取得手段29が取得した左右いずれかの前輪WA,WBの車輪ブレーキBA,BBのロック液圧が前記所定値以下のときに、路面摩擦係数に対応した前記許容差圧の適用を禁止するので、左右前輪WA,WBの接地路面がいずれも高摩擦係数である状態以外では路面摩擦係数に対応した許容差圧を適用しないようにして、高摩擦係数の路面であってスプリット路ではない状態でのみ摩擦係数に対応した許容差圧の設定を許可する構成とすることができる。
【0063】
さらに許容差圧設定手段27が、前輪WA,WBの車輪ブレーキBA,BBのロック液圧に基づいて少なくとも後輪WC,WDの車輪ブレーキBC,BD側の路面摩擦係数に対応した許容差圧の適用を禁止するので、前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBのロック液圧に基づいて少なくとも左右後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDの路面摩擦係数に対応した許容差圧による差圧制御の許可・禁止が定まり、特に後輪WC,WDの差圧制御の許可・禁止を確実かつ速やかに行うことができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
12・・・液圧調整ユニット
15A,15B,15C,15D・・・常開型電磁弁
17A,17B,17C,17D・・・常閉型電磁弁
26・・・推定車体減速度算出手段
27・・・許容差圧設定手段
29・・・ロック液圧取得手段
30・・・液圧取得手段
BA,BB,BC,BD・・・車輪ブレーキ
M・・・マスタシリンダ
WA,WB・・・前輪
WC,WD・・・後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(WA,WB)および後輪(WC,WD)が制動時にロック状態に陥ることを防止すべく前輪(WA,WB)用の車輪ブレーキ(BA,BB)および後輪(WC,WD)用の車輪ブレーキ(BC,BD)に作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニット(12)と、同軸上にある左右の前輪(WA,WB)および後輪(WC,WD)用の車輪ブレーキ(BA,BB;BC,BD)のブレーキ液圧間で許容される許容差圧を設定する許容差圧設定手段(27)とを備え、同軸上にある左右の前輪(WA,WB)および後輪(WC,WD)用の車輪ブレーキ(BA,BB;BC,BD)のブレーキ液圧の差圧が前記許容差圧設定手段(27)で設定された許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニット(12)の作動を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置において、制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御に伴う減圧開始時の液圧であるロック液圧を取得するロック液圧取得手段(29)を含み、前記許容差圧設定手段(27)は、少なくとも前記ロック液圧取得手段(29)で得たロック液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記ロック液圧取得手段(29)が、前記各車輪ブレーキ(BA〜BD)に共通なマスタシリンダ(M)の出力液圧と、前記液圧調整ユニット(12)の一部を構成する電磁弁(15A,15B,15C,15D;17A,17B,17C,17D)の駆動電流とに基づいて前記ロック液圧を算出することを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記許容差圧設定手段(27)が、前記ロック液圧に対する前記許容差圧を予め設定したマップを有するとともに、そのマップに基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを特徴とする請求項1または2記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
制御対象の車輪と同軸上にある他の車輪の車輪ブレーキの液圧を取得する液圧取得手段(30)を含み、前記許容差圧設定手段(27)は、前記ロック液圧取得手段(29)が取得したロック液圧ならびに前記液圧取得手段(30)が取得した液圧のうち大きい方の液圧に基づいて路面摩擦係数に対応した前記許容差圧を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
前記許容差圧設定手段(27)が、アンチロックブレーキ制御開始時の減圧開始から増圧開始までの間を除く期間で前記ロック液圧に基づく許容差圧を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項6】
推定車体減速度を算出する推定車体減速度算出手段(26)を含み、前記許容差圧設定手段(27)が、前記推定車体減速度に基づいて設定した許容差圧ならびに前記ロック液圧に基づいて設定した許容差圧のうち大きい方の値を路面摩擦係数に対応した前記許容差圧として設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−71658(P2013−71658A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213085(P2011−213085)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】