車両用ブレーキ装置
【課題】本発明は、ブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダルの後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる車両のブレーキ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】S3で衝突したと判断(YES判断)した場合には、S6に移行する。S6では、シミュレータ解除弁を開放状態に制御して、S7に移行する。S7では、シミュレータ解除弁が開放されることで、ノーマルブレーキ制御で制御を行なうことになる。なお、このときシミュレータは、擬似踏力を発生しない非作動となる。
【解決手段】S3で衝突したと判断(YES判断)した場合には、S6に移行する。S6では、シミュレータ解除弁を開放状態に制御して、S7に移行する。S7では、シミュレータ解除弁が開放されることで、ノーマルブレーキ制御で制御を行なうことになる。なお、このときシミュレータは、擬似踏力を発生しない非作動となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ブレーキ装置に関し、特にブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御されるいわゆるバイワイヤシステムの車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用ブレーキ装置においては、運転者のブレーキペダルの踏力をマスタシリンダに伝達して、このマスタシリンダで発生したブレーキ油圧を、各車輪のブレーキに作用させるものが一般的である。
【0003】
しかし、近年、ハイブリッド車両が盛んに開発されており、ブレーキ装置でも、ハイブリッド車両の回生ブレーキ状態を得るために、様々な構造が提案されている。
【0004】
例えば、その一例として、下記特許文献1では、ブレーキペダルとマスタシリンダのプッシュロッドとの間に所定間隔の隙間を設けて、運転者のブレーキペダル操作とは別に、プッシュロッドを電子制御ユニットの信号により自動的にストロークさせる車両のブレーキ装置が提案されている。
【0005】
この車両のブレーキ装置によると、ブレーキペダルのストロークとプッシュロッドのストロークとの関係を断絶することができるため、電子制御ユニットの制御によって回生ブレーキ状態を容易に得ることができる。
【0006】
また、この車両のブレーキ装置では、故障時の安全性を確保するために、電子制御ユニット等の故障時には、ブレーキペダルとプッシュロッドの間の隙間をなくして、ブレーキペダルの踏力を、直接プッシュロッドに伝達するように構成している。
【特許文献1】特表2005−532220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ブレーキペダルには、車両の衝突安全性の高まりから、車両衝突時における後退を可及的に防いで、運転者の足に作用する負担をできるだけ軽減することが求められている。
【0008】
この点、前述の特許文献1の車両のブレーキ装置においては、こうしたブレーキペダルの車両衝突時の問題について何ら記載されておらず、こうした車両衝突時の問題を解消することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、ブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダルの後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる車両のブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の車両用ブレーキ装置は、ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、車両衝突時に、前記踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる衝突時踏力低減手段とを備えたものである。
【0011】
上記構成によれば、衝突検出手段によって車両の衝突を検出した時には、衝突時踏力低減手段が踏力発生手段の擬似踏力を低減することになる。
【0012】
このため、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダルの踏力が軽くなり、ブレーキペダルからの荷重を軽減できる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、前記制御手段の故障時には、踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる故障時踏力低減手段を備え、該故障時踏力低減手段が、前記衝突時踏力制御手段を兼ねたものである。
上記構成によれば、制御手段の故障時に、故障時踏力低減手段が踏力発生手段の擬似踏力を低減することになり、故障時のブレーキペダルの踏力増加を防ぐことになる。また、車両衝突時には、同じ故障時踏力低減手段が作動して、踏力発生手段の擬似踏力を低減することになる。
よって、制御手段の故障時のブレーキペダルの踏力増加を防ぐ効果と、衝突時のブレーキペダルの踏力低減の効果とを、一つの踏力低減手段で両立して達成することができる。
【0014】
この発明の車両用ブレーキ装置は、ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、車両衝突時に、前記プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる衝突時ストローク制御手段とを備えたものである。
【0015】
上記構成によれば、衝突検出手段によって車両の衝突を検出した時には、衝突時ストローク制御手段が、プッシュロッドとブレーキペダルの間の隙間を減少するように(前方に移動するように)、制御することになる。
このため、車両衝突時には、ブレーキペダルが前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダルの後退を防ぐことができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記制御手段の故障時には、プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間を減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる故障時ストローク制御手段を備え、該故障時ストローク制御手段が、前記衝突時ストローク制御手段を兼ねたものである。
上記構成によれば、制御手段の故障時に、故障時ストローク制御手段がブレーキペダルとプッシュロッドとの間の隙間を減少させることで、ブレーキペダルで直接プッシュロッドを操作できるようになる。また、車両衝突時には、同じ故障時ストローク制御手段が作動して、プッシュロッドとの間の隙間を減少することになる。
よって、制御手段の故障時におけるブレーキペダルによるプッシュロッドの操作性確保と、衝突時のブレーキペダルの後退防止の効果を、一つのストローク制御手段で両立して達成することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記衝突検出手段を、車両衝突時にエアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサとしたものである。
上記構成によれば、エアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサの信号を受けて、衝突時踏力低減手段、又は衝突時ストローク制御手段が作動することになる。
このため、エアバッグ装置の作動と同期して、ブレーキペダルの踏力又はストロークが制御されることになり、常に、エアバッグ装置とブレーキペダルの衝突安全機構を一致して作動させることができる。
よって、車両の衝突安全性を高める安全装置が、別々に作動するような不具合をなくして、常に二つの安全装置が一致して作動するようにできる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記ペダルブラケットを支持する支持ブラケットと、車両衝突時にペダルブラケットを支持ブラケットから離脱させる離脱手段と、離脱したペダルブラケットを後方斜め下方に案内するガイド手段とを備えたものである。
上記構成によれば、車両衝突時には、離脱手段とガイド手段により、ペダルブラケットが、支持ブラケットから離脱して下方に案内されることになる。
このため、車両衝突時に、ブレーキペダルの支軸位置が下方に下がることになり、この結果、ブレーキペダルが前方に回動(おじぎ)して、ブレーキペダルの後退を抑制することができる。
よって、車両衝突時には、さらにブレーキペダルの前方移動を促進することができ、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、衝突初期には、前記衝突時踏力低減手段又は前記衝突時ストローク制御手段が作動するように設定し、衝突後期には、前記離脱手段によりペダルブラケットが支持ブラケットから離脱するように設定したものである。
上記構成によれば、衝突初期には、衝突時踏力低減手段又は衝突時ストローク制御手段によってブレーキペダルの後方移動を抑制して、衝突後期には、離脱手段によってブレーキペダルの後方移動を抑制することになる。
このため、車両衝突時の全域に亘ってブレーキペダルの後方移動を抑制することができる。
よって、より確実にブレーキペダルの後方移動を防止して、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダルの踏力が軽くなり、ブレーキペダルからの荷重を低減できる。又は、車両衝突時には、ブレーキペダルが前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダルの後退を防ぐことができる。
【0021】
よって、ブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダルの後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本実施形態の車両用ブレーキ装置について説明する。
図1〜図4は、本発明の第一実施形態を示した図である。図1は第一実施形態の車両用ブレーキ装置の全体システム図、図2はブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図、図3は実施形態の特徴部分のシステムブロック図、図4は本実施形態の制御フローチャートである。
【0023】
まず、図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ装置1は、図示しない運転席下部に設置されるブレーキペダル2と、ブレーキペダル2の前方側でブレーキの作動油圧を発生するアクティブブースター3と、ブレーキペダル2の上部でブレーキペダル2の擬似踏力を発生するシミュレータ4と、アクティブブースター3のマスタシリンダ5の作動油圧を4つの車輪ブレーキ6に適切に配分する油圧制御ユニット(HCU)7と、ブレーキペダル2やアクティブブースター3のストローク信号等を受けてアクティブブースター3等を制御する電子制御ユニット(ECU)8とを備える。また、この電子装置ユニット8には、車両の駆動状態を制御するハイブリッド制御装置9を連結している。
【0024】
この車両用ブレーキ装置1は、運転者のブレーキペダル2の踏み込み操作で、直接ブレーキ作動油圧を発生させるものではなく、アクティブブースター3が自動的にストロークすることで、ブレーキ作動油圧を発生させるように構成した、いわゆるバイワイヤ制御のブレーキ装置である。
【0025】
すなわち、運転者がブレーキペダル2を踏み込み操作した信号をECU8が取り込み、このECU8から自動的にストロークする信号をアクティブブースター3に送信して、アクティブブースター3が自動的にストロークして、ブレーキ作動油圧が発生するように構成したものである。
【0026】
なお、発生したブレーキ作動油圧は、その後HCU7に供給されて4つの車輪ブレーキ6に適切に供給される。
【0027】
次に、図2により、ブレーキペダルとアクティブブースターの詳細構造について説明する。
【0028】
ブレーキペダル2は、上端にブレーキブラケット(図7参照)に対して支軸10を介して揺動自在に支持される軸支部21を設け、下端に運転者が踏み込み操作を行なう踏面22を設けている。また、ブレーキペダル2上部近傍には、ブレーキペダル2の前後方向のストローク量(揺動量)を検出するペダルストロークセンサ23を設けている。なお、ペダルストロークセンサは、二つ設けることでセンサを二重系として構成するのが望ましい。
【0029】
このブレーキペダル2の上部には、シミュレータ4を設けている。このシミュレータ4はブレーキペダル2の軸支部21と同軸上に支軸10を介して揺動自在に支持されており、後述するカットオフデバイス44で係止固定されることで、その位置を固定している。
【0030】
シミュレータ4は、内部に空間を設けたケーシング41と、ケーシング41内に上下方向に延びるように介装したコイルスプリング42と、コイルスプリング42内に同心状に配置されたゴムダンパー43とを備え、さらに、ケーシング内にブレーキペダル2の揺動部24を上下方向に揺動自在となるように設置している。
【0031】
このブレーキペダル2の揺動部24がブレーキペダル2の踏み込み操作に伴って、下方に揺動すると、ケーシング内のコイルスプリング42とゴムダンパー43が下方に圧縮されることになり、これにより、コイルスプリング42とゴムダンパー43に付勢力と減衰力が発生するように構成している。
【0032】
このため、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、あたかも通常(ノーマル)のブレーキ装置のブレーキペダル2を踏み込んでいるような踏力(擬似踏力)を得られる。
【0033】
シミュレータ4の位置を固定するカットオフデバイス44は、シミュレータ4のケーシング41の前端41aに当接してケーシング41のブレーキ踏む込み方向(図2では時計回り方向)の回転を規制する規制ピン45と、規制ピン45を上下方向に摺動自在に支持するデバイスケーシング46と、規制ピン45に一体形成され、デバイスケーシング46内で上下方向に移動するピストン47と、ピストン上方でデバイスケーシング46内に形成されてオイルOが充填される油圧室48と、油圧室48内へオイルOを給俳する油路49と、油路の開閉を行なうシミュレータ解除弁50と、を備えている。
【0034】
このカットオフデバイス44は、シミュレータ解除弁50を閉鎖した状態では、油圧室48内にオイルOが充填されているため、規制ピン45がシミュレータ4の位置を係止固定する。
【0035】
一方、シミュレータ解除弁50を開放した状態では、油圧室48内からオイルOが排出されるため、規制ピン45がシミュレータ4の位置を係止固定しない。
【0036】
このため、シミュレータ解除弁50を開放すると、シミュレータ4は、ペダル踏み込み時に、擬似踏力を発生しないようになる。
【0037】
アクティブブースター3は、内部に大きな空間を有する略ドラム形状のブースターケース31と、ブースターケース31内で内部空間をA室32とB室33に区画するダイヤフラム34と、ブースターケース31の前方に設けられたブレーキ作動油圧を発生するマスタシリンダ5と、その上部でブレーキオイルを貯えるリザーブタンク51とを備えている。
【0038】
特に、アクティブブースター3では、ブレーキペダル2中央に軸支された前後方向に延びるペダル側ロッド35と、このペダル側ロッド35と同軸上に所定間隔の隙間Zを設けて前後方向に延びるプッシュロッド36と、このプッシュロッド36を前後方向にストロークさせるソレノイドアクチュエータ37と、このソレノイドアクチュエータ37に作動電流を供給するブースター駆動装置38と、ダイヤフラム34の移動量を検出するブースター移動センサ39と、ブースターケース31のA室32内に負圧を発生させるバキュームポンプ40を備えている。
【0039】
このアクティブブースター3も、通常のブレーキブースターと同様に、ブースターケース31、ダイヤフラム34、マスタシリンダ5等を備えることで、プッシュロッド36の前後方向ストロークにより、バキュームポンプ40によって発生した負圧を利用して、ブレーキ作動油圧を発生するように構成している。なお、バキュームポンプ40で負圧を得るようにしているのは、ハイブリッド車両の場合には、車両走行中にエンジンが停止して、ブレーキ作動時にエンジン負圧を得られない場合もあるからである。
【0040】
このアクティブブースター3によって、前述したように、運転者の踏み込み操作とは関係なく、自動的にブレーキ作動油圧が発生するバイワイヤ制御が可能となる。
【0041】
すなわち、一点破線で示すように、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、ペダル側ロッド35は、前方にストロークするが、所定の隙間Zを設けているため、プッシュロッド36を直接押圧することはない。また、プッシュロッド36もECU8からの作動信号を受けた場合には、ソレノイドアクチュエータ37によって前方にストロークするため、ペダル側ロッド35から押圧力を受けることもない。このため、運転者の踏み込み操作とは関係なく、自動的にブレーキ作動油圧が発生するバイワイヤ制御が可能となる。
【0042】
このようにアクティブブースター3で、バイワイヤ制御が可能となることで、例えば、ハイブリッド制御装置9から回生ブレーキモード信号を受けた場合には、ブレーキペダル2がわずかにストロークした場合でも、ブレーキ作動油圧を発生させないように制御することが可能となる。また逆に、運転者がブレーキペダル2を踏み込んでいない場合でも、ブレーキ作動油圧を発生させることも可能となる。
【0043】
次に、図3、図4で、本実施形態の特徴部分の制御システム及び制御方法について説明する。
図3の制御ブロックに示すように、中央のECU8には、入力手段として、ハイブリッド制御装置9と、ペダルストロークセンサ23と、ブースター移動センサ39と、さらに、アクティブブースター3等の故障を検出する故障センサ60と、車両衝突を検出するエアバッグ衝突センサ61とを連結している。
【0044】
このうち、エアバッグ衝突センサ61は、周知のようにエアバッグ装置(図示せず)に用いられる衝突センサであり、例えば、車体前部に設置しており、Gセンサ等で構成している。なお、このエアバッグ衝突センサ61の代わりに、エアバッグ装置の制御装置(図示せず)を連結して、この制御装置で得られた衝突信号を、ECU8で取り込むように構成してもよい。
【0045】
また、ECU8には、出力手段として、ブースター駆動装置38と、シミュレータ解除弁50とを連結している。なお、破線で示したシミュレータ駆動モータ104は、第二実施形態で用いる出力手段である。
【0046】
このようにシステム構成されたブレーキ装置のECU8は、図4の制御フローチャートによって制御を行なう。
【0047】
まず、S1で各入力手段から各種信号を読み込みを行なう。
そして、S2で故障かを判断する。具体的には、故障センサ6からの故障信号によって、ブースター駆動装置38等が故障していないかを判断する。ここで、故障していないと判断(NO判断)した場合には、S3に移行する。
【0048】
S3では、車両が衝突かを判断する。具体的には、エアバッグ衝突センサ61からの衝突信号で車両が衝突したか否かを判断する。ここでも、衝突もないと判断(NO判断)した場合には、そのままS4に移行する。
【0049】
S4では、シミュレータ解除弁50を閉鎖状態に制御して、S5に移行する。S5では、前述したバイワイヤ制御でブレーキ制御を行なうことなる。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生する作動状態となる。
【0050】
一方、S2で故障したと判断(YES判断)した場合、又はS3で衝突したと判断(YES判断)した場合には、S6に移行する。
S6では、シミュレータ解除弁50を開放状態に制御して、S7に移行する。S7では、シミュレータ解除弁50が開放されることで、ノーマルブレーキ制御で制御を行なうことになる。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生しない非作動となる。
【0051】
このように、S6、S7のステップでシミュレータ解除弁50が開放されると、シミュレータ4が非作動となるため、擬似踏力が全く生じない状態になる。
【0052】
このため、故障又は衝突を検出したときには、通常のブレーキ装置と同様に、直接プッシュロッド36を押圧してブレーキ作動油圧を発生させることになる。
【0053】
こうしたS1〜S7の制御フローにより、本実施形態の車両用ブレーキ装置1は、ブレーキ制御を行なうことになる。
【0054】
このように、本実施形態では、故障時又は衝突時には、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わるため、以下のような作用を得ることができる。
【0055】
まず、故障時に、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わることで、直接プッシュロッド36をブレーキペダル2の踏み込み操作で操作できるため、車両用ブレーキ装置1が作動しなくなるといった状況をなくすことができ、安全性を高めることができる。
【0056】
また、衝突時に、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わることで、所定間隔の隙間Z(図2参照)をペダル側ロッド35が「空走」する間は、シミュレータ4等から反力が全く作用しないため、踏力を軽減することができ、運転者の足への負担を軽減できる。
【0057】
このように、故障時及び衝突時に、プッシュロッド36とペダル側ロッド35との間の隙間Zが詰めるように制御することにより、走行安全性や衝突安全性を高めることができる。
【0058】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
この実施形態の車両用ブレーキ装置1は、車両の衝突を検出するエアバッグ衝突センサ61と、車両衝突時に、シミュレータ4が発生する擬似踏力をなくすシミュレータ解除弁50とを備えている。
【0059】
これにより、エアバッグ衝突センサ61によって車両の衝突を検出した時には、シミュレータ解除弁50を開放することで、シミュレータ4の擬似踏力をなくすことができる。
【0060】
このため、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダル2の踏力が軽くなり、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0061】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両用ブレーキ装置1において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0062】
また、この実施形態では、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時にも、シミュレータ4が発生する擬似踏力をなくすように、シミュレータ解除弁50を開放している。
これにより、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時にも、ブレーキペダル2の踏力増加を防ぐことができる。
よって、故障時のブレーキペダル2の踏力増加を防ぐ効果と、衝突時のブレーキペダル2の踏力低減の効果とを、同一のシミュレータ解除弁50で両立して達成することができる。
【0063】
また、この実施形態では、ブレーキ装置のECU8に取り込む衝突信号を、エアバッグ衝突センサ61から取り込むようにしている。
このため、エアバッグ装置の作動と同期して、シミュレータ4の擬似踏力をなくすことができ、常に、エアバッグ装置と車両用ブレーキ装置1のシミュレータ解除弁50を一致して作動させることができる。
よって、車両の衝突安全性を高める安全装置が、別々に作動するような不具合を無くし、二つの安全装置に常に一致した作動を生じさせることができる。
【0064】
なお、この実施形態では、エアバッグ装置のエアバッグ衝突センサ61から衝突信号を得るように構成したが、この他にも、例えば、衝突予知信号を得られる近接センサ(図示せず)から衝突予知信号を得て、衝突信号としてECU8に取り込むように構成したり、また、車輪センサ(図示せず)からスリップ状態の信号を得て、衝突信号(衝突前段階信号)としてECU8に取り込むように構成してもよい。
【0065】
次に、第二実施形態について、図5の制御フローチャートを中心に説明する。
この実施形態のブレーキ装置は、第一実施形態の機械的なシミュレータ4の代わりに、擬似踏力を任意に調整しうる電動式のシミュレータ駆動モータ104を備えて、このシミュレータ駆動モータ104の踏力を車両衝突時において低減するように制御するものである。
【0066】
具体的には、図2に示すシミュレータ4の代わりに、ブレーキペダル2の上部に図示しない電動式のシミュレータ駆動モータを設け、ブレーキペダル2の擬似踏力を任意に変更しうるようにブレーキ装置を構成する。
【0067】
そして、図3に示すように、システムブロックでは、ECU8の出力手段としてシミュレータ駆動モータ104を連結する。
【0068】
以上のような構成において、この実施形態は、図5に示す制御フローチャートに従って制御を行なう。なお、図4の制御フローチャートと同様のステップについては同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
この実施形態では、S3で衝突であると判断した場合には、S8に移行する。
S8では、シミュレータ駆動モータ104の踏力を低減する。そして、S9で衝突時ブレーキ制御という、ブレーキペダル2の擬似踏力をバイワイヤ制御の時よりも、低下させた制御を行なう。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生する作動状態となる。
【0070】
このため、この実施形態では、車両の衝突を検出したときには、ブレーキペダル2の踏力を低減して、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、車両衝突時にシミュレータ駆動モータ104により擬似踏力を低減することで、第一実施形態と同様に、ブレーキペダル2の踏力を軽減して、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0072】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両用ブレーキ装置1において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0073】
特に、本実施形態では、シミュレータ4を作動させながらブレーキペダル2の踏力を軽減するため、一気にブレーキペダル2の踏力がなくなることを防止して、運転者が違和感なくブレーキペダル2の踏み込み操作を行うことができるという効果が得られる。
【0074】
次に、第三実施形態について、図6のブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細断面図を使って説明する。
【0075】
この実施形態は、第一実施形態に構成に加えて、ブレーキペダル2の上部にブレーキペダル2を前方に付勢するスプリング部材201を設けて、車両衝突時には、強制的にブレーキペダル2を前方にストロークするように構成したものである。
【0076】
具体的には、ブレーキペダル2の上部に車体側部材との間に、前後方向に延びるコイル状のスプリング部材201を設けて、常にブレーキペダル2を前方に付勢するように構成する。
【0077】
このため、第一実施形態と同様に、車両衝突時に、シミュレータ解除弁50を開放すると、ブレーキペダル2が強制的に前方にストロークして、ペダル側ロッド35が前方に移動してプッシュロッド36に当接することになる。
【0078】
よって、車両衝突時には、ブレーキペダル2が前方にストロークすることになるため、所定間隔の隙間Zが狭まり、衝突時のブレーキペダル2の後退を防ぐことができる。
【0079】
また、第一実施形態と同様に、この実施形態でも、故障時には、シミュレータ解除弁50を開放して、ブレーキペダル2を強制的に前方に移動させて、ペダル側ロッド35部材がプッシュロッド36に当接するように構成している。これにより、バイワイヤ制御状態からノーマルブレーキ制御状態に強制的に切り替えることになる。
【0080】
以上のように、本実施形態では、車両衝突時にプッシュロッド36とブレーキペダル2との間の隙間Zが減少するようにブレーキペダル2をストロークさせるスプリング部材201を備えている。
【0081】
このため、車両衝突時には、ブレーキペダル2が強制的に前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダル2の後退を防ぐことができる。
【0082】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0083】
特に、この実施形態では、ブレーキペダル2が強制的に前方に移動するため、運転者のブレーキペダル2の踏み込みがない場合、又は少ない場合であったとしても、確実に、ブレーキペダル2を前方に移動させることができる。
【0084】
また、この実施形態でも、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時には、シミュレータ解除弁50を開放することで、ブレーキペダル2を前方に移動させることになる。
【0085】
これにより、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時に、強制的に直接ブレーキペダル2でプッシュロッド36を操作できるようになる。
よって、故障時におけるブレーキペダル2によるプッシュロッド36の操作性確保と、衝突時のブレーキペダル2の後退防止の効果を、同一のシミュレータ解除弁50とスプリング部材201で両立して達成することができる。
【0086】
なお、本実施形態のようにスプリング部材201を設けることなく、ブレーキペダル2の重量バランス等をうまく設定して、シミュレータ解除弁50を開放することで、ブレーキペダル2の自重等により、ブレーキペダル2が自動的に前方にストロークするように構成してもよい。
【0087】
次に、第四実施形態について、図7、図8により説明する。
図7は本実施形態のブレーキペダル近傍の全体側面図、図8は車両衝突時の挙動変化を説明する側面図である。
【0088】
この実施形態は、ブレーキペダル2の支持構造も含めて、車両衝突時のブレーキペダル2の後退をより確実に防止しようとしたものであり、シミュレータ解除弁等の構成要素に加えてブレーキペダル2を支持するペダルブラケット301を、衝突時に車体側部材から脱落するように構成して、ブレーキペダル2の後退をより確実に防止しようとするものである。
【0089】
この実施形態のブレーキペダル2は、ダッシュパネル302に対して前端面を接合固定した斜め上方に延びるペダルブラケット301と、このペダルブラケット301の上端面に前端面をボルト締結部材303を介して係合固定して、後端面をインパネメンバー304に固定した固定ブラケット305に接合固定した略三角形状の支持ブラケット306と、によって支持している。
【0090】
また、第一実施形態と同様に、ブレーキペダル2の前方にはアクティブブースター3を設けており、また、上方にはシミュレータ4を設けており、さらに、側方にはカットオフデバイス44を設けている(カットオフデバイス44の位置は、第一実施形態とは異なるが、機能は同じである)。
【0091】
前述のペダルブラケット301は、中央にブレーキペダル2等を軸支する支軸10を支持する軸支穴307を設けている。また、上端面には、C矢視詳細図に示すように、ボルト303Aを挿通して前方側に開放する切欠き溝308を形成している。この切欠き溝308は、ペダルブラケット301が前方からの衝突荷重を受けた場合に支持ブラケット306との係合固定を解除する解除機構として機能している。
【0092】
さらに、ペダルブラケット301の上端近傍の側面には、側方に突出する丸ピン309を設けている。この丸ピン309は、後述するように、衝突時にペダルブラケット301を下方に案内する際の係合部として機能するものである。この係合部の機能は、ブレーキペダル2を軸支する支軸10に持たせてもよいが、本実施形態の場合には、支軸10でシミュレータ4等を支持しているため、別途、丸ピン309を設定している。
【0093】
前述の支持ブラケット306は、上端面にボルト303Aを挿通固定するボルト穴310を形成している。また、側面下部には斜め下方に傾斜する案内フランジ面311を形成している。この案内フランジ面311は、衝突時に、前述の丸ピン309を後方側斜め下方に案内するガイド部として機能する。
【0094】
このように構成される本実施形態の衝突時の挙動は、図8に示すようになる。(a)は衝突前のブレーキペダル踏み込み状態、(b)は衝突初期の状態、(c)は衝突中期の状態、(d)は衝突後期の状態を示したものである。
【0095】
(a)に示すように、衝突前に運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、ブレーキペダル2は、前方にその踏面22がダッシュパネル302との間にわずかに空間Xを残した位置まで移動する。この位置は、最大限ブレーキペダル2を踏み込んだ位置であり、通常のブレーキ装置であれば、これ以上前方へは移動できない位置である。
【0096】
(b)に示すように、エアバッグ衝突センサ61(図3参照)で衝突を検出するとシミュレータ解除弁50(図2参照)が開放されることで、ペダル側ロッド35とプッシュロッド36との間の隙間Zがなくなり(図2参照)、ブレーキペダル2の踏面22がさらに前方に移動することになる。このため、ダッシュパネル302が後退変形する前から、ブレーキペダル2の踏面22が前方に移動する。この位置は、バイワイヤ制御をおこなうブレーキ装置でなければ、移動させることができない位置である。
【0097】
(c)に示すように、さらに衝突が進み、ダッシュパネル302が後退変形する程度に変形が生じると、ダッシュパネル302及びマスタシリンダ5に押されてペダルブラケット301が後方に移動する。このとき、前述のようにペダルブラケット301に切欠き溝308(図7参照)を設けているため、ペダルブラケット301が支持ブラケット306(車体側部材)から下方へ離脱する。よって、ブレーキペダル2も下方に移動して、ブレーキペダル2の上端が後方に移動することで、ブレーキペダル2の踏面22がさらに前方に移動する。
【0098】
(d)に示すように、さらに衝突が進み、ダッシュパネル302が大きく後退変形する程度に変形が生じると、ペダルブラケット301の丸ピン309が支持ブラケット306の案内フランジ面311に沿って後方側下方に案内されることになる。このため、ペダルブラケット301の上端がさらに後方側下方に案内されることになり、ブレーキペダル2の踏面22がより前方に移動することになる。
【0099】
このように、本実施形態では、衝突初期、中期、後期と、衝突時全域にわたって、ブレーキペダル2の踏面22が前方に移動するように構成している。このため、ブレーキペダル2の後退を確実に防止することができる。
【0100】
特に、衝突初期にシミュレータ解除弁50を開放して、ブレーキペダル2が前方に移動するように構成していることで、ダッシュパネル302の後退変形に関係なく、ブレーキペダル2の後退を防ぐことができ、より運転者の足への負担を軽減することができる。
【0101】
以上のように、この実施形態では、ペダルブラケット301を支持する支持ブラケット306と、車両衝突時にペダルブラケット301を支持ブラケット306から離脱させる切欠き溝308と、離脱したペダルブラケット301を後方斜め下方に案内する案内フランジ面311と丸ピン309とを備えている。
これにより、車両衝突時には、ペダルブラケット301が、支持ブラケット306から離脱して下方に案内されることになる。
このため、車両衝突時には、ブレーキペダル2の軸支部21(図2参照)が下方に下がることになり、この結果、ブレーキペダル2の踏面22が前方に回動して、ブレーキペダル2の後退を抑制することができる。
よって、車両衝突時には、さらにブレーキペダル2の前方移動を促進することができ、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0102】
また、この実施形態では、衝突初期には、シミュレータ解除弁50を作動するように設定し、衝突後期には、切欠き溝308によりペダルブラケット301が支持ブラケット306から離脱するように設定している。
これにより、衝突初期には、シミュレータ解除弁50を開放するように設定して、ブレーキペダル2の後方移動を抑制して、衝突後期には、ペダルブラケット301を支持ブラケット306から離脱させることによってブレーキペダル2の後方移動を抑制することになる。
このため、車両衝突時の全域に亘ってブレーキペダル2の後方移動を抑制することができる。
よって、より確実にブレーキペダル2の後方移動を防止して、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0103】
なお、この実施形態では、シミュレータ解除弁50を開放するもので説明したが、さらに、第三実施形態のように、スプリング部材201を設けて、強制的にブレーキペダル2が前方にストロークするように構成してもよい。
【0104】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明の踏力発生手段は、実施形態のシミュレータ4に対応し、
以下、同様に
制御手段は、電子制御ユニット(ECU)8に対応し、
衝突時踏力低減手段は、シミュレータ解除弁50又はシミュレータ駆動モータ104に対応し、
故障時踏力低減手段は、シミュレータ解除弁50又はシミュレータ駆動モータ104に対応し、
衝突時ストローク制御手段は、スプリング部材201とシミュレータ解除弁50に対応し、
故障時ストローク制御手段は、スプリング部材201とシミュレータ解除弁50に対応し、
離脱手段は、切欠き溝308に対応し、
ガイド手段は、案内フランジ面311と丸ピン309に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車両用ブレーキ装置の実施形態を含むものである。
前述の実施形態では、ハイブリッド車両に用いるブレーキ装置を前提に説明したが、必ずしもハイブリッド車両に用いるブレーキ装置に限定されるものではなく、一般的な車両に用いるブレーキ装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第一実施形態の車両用ブレーキ装置の全体システム図。
【図2】ブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図。
【図3】特徴部分のシステムブロック図。
【図4】第一実施形態の制御フローチャート。
【図5】第二実施形態の制御フローチャート。
【図6】第三実施形態のブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図。
【図7】第四実施形態のブレーキペダル近傍の全体側面図。
【図8】車両衝突時の挙動変化を説明する側面図。
【符号の説明】
【0106】
1…車両用ブレーキ装置
2…ブレーキペダル
3…アクティブブースター
4…シミュレータ
5…マスタシリンダ
8…電子制御ユニット
50…シミュレータ解除弁
201…スプリング部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ブレーキ装置に関し、特にブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御されるいわゆるバイワイヤシステムの車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用ブレーキ装置においては、運転者のブレーキペダルの踏力をマスタシリンダに伝達して、このマスタシリンダで発生したブレーキ油圧を、各車輪のブレーキに作用させるものが一般的である。
【0003】
しかし、近年、ハイブリッド車両が盛んに開発されており、ブレーキ装置でも、ハイブリッド車両の回生ブレーキ状態を得るために、様々な構造が提案されている。
【0004】
例えば、その一例として、下記特許文献1では、ブレーキペダルとマスタシリンダのプッシュロッドとの間に所定間隔の隙間を設けて、運転者のブレーキペダル操作とは別に、プッシュロッドを電子制御ユニットの信号により自動的にストロークさせる車両のブレーキ装置が提案されている。
【0005】
この車両のブレーキ装置によると、ブレーキペダルのストロークとプッシュロッドのストロークとの関係を断絶することができるため、電子制御ユニットの制御によって回生ブレーキ状態を容易に得ることができる。
【0006】
また、この車両のブレーキ装置では、故障時の安全性を確保するために、電子制御ユニット等の故障時には、ブレーキペダルとプッシュロッドの間の隙間をなくして、ブレーキペダルの踏力を、直接プッシュロッドに伝達するように構成している。
【特許文献1】特表2005−532220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ブレーキペダルには、車両の衝突安全性の高まりから、車両衝突時における後退を可及的に防いで、運転者の足に作用する負担をできるだけ軽減することが求められている。
【0008】
この点、前述の特許文献1の車両のブレーキ装置においては、こうしたブレーキペダルの車両衝突時の問題について何ら記載されておらず、こうした車両衝突時の問題を解消することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、ブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダルの後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる車両のブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の車両用ブレーキ装置は、ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、車両衝突時に、前記踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる衝突時踏力低減手段とを備えたものである。
【0011】
上記構成によれば、衝突検出手段によって車両の衝突を検出した時には、衝突時踏力低減手段が踏力発生手段の擬似踏力を低減することになる。
【0012】
このため、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダルの踏力が軽くなり、ブレーキペダルからの荷重を軽減できる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、前記制御手段の故障時には、踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる故障時踏力低減手段を備え、該故障時踏力低減手段が、前記衝突時踏力制御手段を兼ねたものである。
上記構成によれば、制御手段の故障時に、故障時踏力低減手段が踏力発生手段の擬似踏力を低減することになり、故障時のブレーキペダルの踏力増加を防ぐことになる。また、車両衝突時には、同じ故障時踏力低減手段が作動して、踏力発生手段の擬似踏力を低減することになる。
よって、制御手段の故障時のブレーキペダルの踏力増加を防ぐ効果と、衝突時のブレーキペダルの踏力低減の効果とを、一つの踏力低減手段で両立して達成することができる。
【0014】
この発明の車両用ブレーキ装置は、ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、車両衝突時に、前記プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる衝突時ストローク制御手段とを備えたものである。
【0015】
上記構成によれば、衝突検出手段によって車両の衝突を検出した時には、衝突時ストローク制御手段が、プッシュロッドとブレーキペダルの間の隙間を減少するように(前方に移動するように)、制御することになる。
このため、車両衝突時には、ブレーキペダルが前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダルの後退を防ぐことができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記制御手段の故障時には、プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間を減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる故障時ストローク制御手段を備え、該故障時ストローク制御手段が、前記衝突時ストローク制御手段を兼ねたものである。
上記構成によれば、制御手段の故障時に、故障時ストローク制御手段がブレーキペダルとプッシュロッドとの間の隙間を減少させることで、ブレーキペダルで直接プッシュロッドを操作できるようになる。また、車両衝突時には、同じ故障時ストローク制御手段が作動して、プッシュロッドとの間の隙間を減少することになる。
よって、制御手段の故障時におけるブレーキペダルによるプッシュロッドの操作性確保と、衝突時のブレーキペダルの後退防止の効果を、一つのストローク制御手段で両立して達成することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記衝突検出手段を、車両衝突時にエアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサとしたものである。
上記構成によれば、エアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサの信号を受けて、衝突時踏力低減手段、又は衝突時ストローク制御手段が作動することになる。
このため、エアバッグ装置の作動と同期して、ブレーキペダルの踏力又はストロークが制御されることになり、常に、エアバッグ装置とブレーキペダルの衝突安全機構を一致して作動させることができる。
よって、車両の衝突安全性を高める安全装置が、別々に作動するような不具合をなくして、常に二つの安全装置が一致して作動するようにできる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記ペダルブラケットを支持する支持ブラケットと、車両衝突時にペダルブラケットを支持ブラケットから離脱させる離脱手段と、離脱したペダルブラケットを後方斜め下方に案内するガイド手段とを備えたものである。
上記構成によれば、車両衝突時には、離脱手段とガイド手段により、ペダルブラケットが、支持ブラケットから離脱して下方に案内されることになる。
このため、車両衝突時に、ブレーキペダルの支軸位置が下方に下がることになり、この結果、ブレーキペダルが前方に回動(おじぎ)して、ブレーキペダルの後退を抑制することができる。
よって、車両衝突時には、さらにブレーキペダルの前方移動を促進することができ、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、衝突初期には、前記衝突時踏力低減手段又は前記衝突時ストローク制御手段が作動するように設定し、衝突後期には、前記離脱手段によりペダルブラケットが支持ブラケットから離脱するように設定したものである。
上記構成によれば、衝突初期には、衝突時踏力低減手段又は衝突時ストローク制御手段によってブレーキペダルの後方移動を抑制して、衝突後期には、離脱手段によってブレーキペダルの後方移動を抑制することになる。
このため、車両衝突時の全域に亘ってブレーキペダルの後方移動を抑制することができる。
よって、より確実にブレーキペダルの後方移動を防止して、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダルの踏力が軽くなり、ブレーキペダルからの荷重を低減できる。又は、車両衝突時には、ブレーキペダルが前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダルの後退を防ぐことができる。
【0021】
よって、ブレーキ装置の作動油圧が電子装置ユニットによって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダルの後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本実施形態の車両用ブレーキ装置について説明する。
図1〜図4は、本発明の第一実施形態を示した図である。図1は第一実施形態の車両用ブレーキ装置の全体システム図、図2はブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図、図3は実施形態の特徴部分のシステムブロック図、図4は本実施形態の制御フローチャートである。
【0023】
まず、図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ装置1は、図示しない運転席下部に設置されるブレーキペダル2と、ブレーキペダル2の前方側でブレーキの作動油圧を発生するアクティブブースター3と、ブレーキペダル2の上部でブレーキペダル2の擬似踏力を発生するシミュレータ4と、アクティブブースター3のマスタシリンダ5の作動油圧を4つの車輪ブレーキ6に適切に配分する油圧制御ユニット(HCU)7と、ブレーキペダル2やアクティブブースター3のストローク信号等を受けてアクティブブースター3等を制御する電子制御ユニット(ECU)8とを備える。また、この電子装置ユニット8には、車両の駆動状態を制御するハイブリッド制御装置9を連結している。
【0024】
この車両用ブレーキ装置1は、運転者のブレーキペダル2の踏み込み操作で、直接ブレーキ作動油圧を発生させるものではなく、アクティブブースター3が自動的にストロークすることで、ブレーキ作動油圧を発生させるように構成した、いわゆるバイワイヤ制御のブレーキ装置である。
【0025】
すなわち、運転者がブレーキペダル2を踏み込み操作した信号をECU8が取り込み、このECU8から自動的にストロークする信号をアクティブブースター3に送信して、アクティブブースター3が自動的にストロークして、ブレーキ作動油圧が発生するように構成したものである。
【0026】
なお、発生したブレーキ作動油圧は、その後HCU7に供給されて4つの車輪ブレーキ6に適切に供給される。
【0027】
次に、図2により、ブレーキペダルとアクティブブースターの詳細構造について説明する。
【0028】
ブレーキペダル2は、上端にブレーキブラケット(図7参照)に対して支軸10を介して揺動自在に支持される軸支部21を設け、下端に運転者が踏み込み操作を行なう踏面22を設けている。また、ブレーキペダル2上部近傍には、ブレーキペダル2の前後方向のストローク量(揺動量)を検出するペダルストロークセンサ23を設けている。なお、ペダルストロークセンサは、二つ設けることでセンサを二重系として構成するのが望ましい。
【0029】
このブレーキペダル2の上部には、シミュレータ4を設けている。このシミュレータ4はブレーキペダル2の軸支部21と同軸上に支軸10を介して揺動自在に支持されており、後述するカットオフデバイス44で係止固定されることで、その位置を固定している。
【0030】
シミュレータ4は、内部に空間を設けたケーシング41と、ケーシング41内に上下方向に延びるように介装したコイルスプリング42と、コイルスプリング42内に同心状に配置されたゴムダンパー43とを備え、さらに、ケーシング内にブレーキペダル2の揺動部24を上下方向に揺動自在となるように設置している。
【0031】
このブレーキペダル2の揺動部24がブレーキペダル2の踏み込み操作に伴って、下方に揺動すると、ケーシング内のコイルスプリング42とゴムダンパー43が下方に圧縮されることになり、これにより、コイルスプリング42とゴムダンパー43に付勢力と減衰力が発生するように構成している。
【0032】
このため、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、あたかも通常(ノーマル)のブレーキ装置のブレーキペダル2を踏み込んでいるような踏力(擬似踏力)を得られる。
【0033】
シミュレータ4の位置を固定するカットオフデバイス44は、シミュレータ4のケーシング41の前端41aに当接してケーシング41のブレーキ踏む込み方向(図2では時計回り方向)の回転を規制する規制ピン45と、規制ピン45を上下方向に摺動自在に支持するデバイスケーシング46と、規制ピン45に一体形成され、デバイスケーシング46内で上下方向に移動するピストン47と、ピストン上方でデバイスケーシング46内に形成されてオイルOが充填される油圧室48と、油圧室48内へオイルOを給俳する油路49と、油路の開閉を行なうシミュレータ解除弁50と、を備えている。
【0034】
このカットオフデバイス44は、シミュレータ解除弁50を閉鎖した状態では、油圧室48内にオイルOが充填されているため、規制ピン45がシミュレータ4の位置を係止固定する。
【0035】
一方、シミュレータ解除弁50を開放した状態では、油圧室48内からオイルOが排出されるため、規制ピン45がシミュレータ4の位置を係止固定しない。
【0036】
このため、シミュレータ解除弁50を開放すると、シミュレータ4は、ペダル踏み込み時に、擬似踏力を発生しないようになる。
【0037】
アクティブブースター3は、内部に大きな空間を有する略ドラム形状のブースターケース31と、ブースターケース31内で内部空間をA室32とB室33に区画するダイヤフラム34と、ブースターケース31の前方に設けられたブレーキ作動油圧を発生するマスタシリンダ5と、その上部でブレーキオイルを貯えるリザーブタンク51とを備えている。
【0038】
特に、アクティブブースター3では、ブレーキペダル2中央に軸支された前後方向に延びるペダル側ロッド35と、このペダル側ロッド35と同軸上に所定間隔の隙間Zを設けて前後方向に延びるプッシュロッド36と、このプッシュロッド36を前後方向にストロークさせるソレノイドアクチュエータ37と、このソレノイドアクチュエータ37に作動電流を供給するブースター駆動装置38と、ダイヤフラム34の移動量を検出するブースター移動センサ39と、ブースターケース31のA室32内に負圧を発生させるバキュームポンプ40を備えている。
【0039】
このアクティブブースター3も、通常のブレーキブースターと同様に、ブースターケース31、ダイヤフラム34、マスタシリンダ5等を備えることで、プッシュロッド36の前後方向ストロークにより、バキュームポンプ40によって発生した負圧を利用して、ブレーキ作動油圧を発生するように構成している。なお、バキュームポンプ40で負圧を得るようにしているのは、ハイブリッド車両の場合には、車両走行中にエンジンが停止して、ブレーキ作動時にエンジン負圧を得られない場合もあるからである。
【0040】
このアクティブブースター3によって、前述したように、運転者の踏み込み操作とは関係なく、自動的にブレーキ作動油圧が発生するバイワイヤ制御が可能となる。
【0041】
すなわち、一点破線で示すように、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、ペダル側ロッド35は、前方にストロークするが、所定の隙間Zを設けているため、プッシュロッド36を直接押圧することはない。また、プッシュロッド36もECU8からの作動信号を受けた場合には、ソレノイドアクチュエータ37によって前方にストロークするため、ペダル側ロッド35から押圧力を受けることもない。このため、運転者の踏み込み操作とは関係なく、自動的にブレーキ作動油圧が発生するバイワイヤ制御が可能となる。
【0042】
このようにアクティブブースター3で、バイワイヤ制御が可能となることで、例えば、ハイブリッド制御装置9から回生ブレーキモード信号を受けた場合には、ブレーキペダル2がわずかにストロークした場合でも、ブレーキ作動油圧を発生させないように制御することが可能となる。また逆に、運転者がブレーキペダル2を踏み込んでいない場合でも、ブレーキ作動油圧を発生させることも可能となる。
【0043】
次に、図3、図4で、本実施形態の特徴部分の制御システム及び制御方法について説明する。
図3の制御ブロックに示すように、中央のECU8には、入力手段として、ハイブリッド制御装置9と、ペダルストロークセンサ23と、ブースター移動センサ39と、さらに、アクティブブースター3等の故障を検出する故障センサ60と、車両衝突を検出するエアバッグ衝突センサ61とを連結している。
【0044】
このうち、エアバッグ衝突センサ61は、周知のようにエアバッグ装置(図示せず)に用いられる衝突センサであり、例えば、車体前部に設置しており、Gセンサ等で構成している。なお、このエアバッグ衝突センサ61の代わりに、エアバッグ装置の制御装置(図示せず)を連結して、この制御装置で得られた衝突信号を、ECU8で取り込むように構成してもよい。
【0045】
また、ECU8には、出力手段として、ブースター駆動装置38と、シミュレータ解除弁50とを連結している。なお、破線で示したシミュレータ駆動モータ104は、第二実施形態で用いる出力手段である。
【0046】
このようにシステム構成されたブレーキ装置のECU8は、図4の制御フローチャートによって制御を行なう。
【0047】
まず、S1で各入力手段から各種信号を読み込みを行なう。
そして、S2で故障かを判断する。具体的には、故障センサ6からの故障信号によって、ブースター駆動装置38等が故障していないかを判断する。ここで、故障していないと判断(NO判断)した場合には、S3に移行する。
【0048】
S3では、車両が衝突かを判断する。具体的には、エアバッグ衝突センサ61からの衝突信号で車両が衝突したか否かを判断する。ここでも、衝突もないと判断(NO判断)した場合には、そのままS4に移行する。
【0049】
S4では、シミュレータ解除弁50を閉鎖状態に制御して、S5に移行する。S5では、前述したバイワイヤ制御でブレーキ制御を行なうことなる。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生する作動状態となる。
【0050】
一方、S2で故障したと判断(YES判断)した場合、又はS3で衝突したと判断(YES判断)した場合には、S6に移行する。
S6では、シミュレータ解除弁50を開放状態に制御して、S7に移行する。S7では、シミュレータ解除弁50が開放されることで、ノーマルブレーキ制御で制御を行なうことになる。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生しない非作動となる。
【0051】
このように、S6、S7のステップでシミュレータ解除弁50が開放されると、シミュレータ4が非作動となるため、擬似踏力が全く生じない状態になる。
【0052】
このため、故障又は衝突を検出したときには、通常のブレーキ装置と同様に、直接プッシュロッド36を押圧してブレーキ作動油圧を発生させることになる。
【0053】
こうしたS1〜S7の制御フローにより、本実施形態の車両用ブレーキ装置1は、ブレーキ制御を行なうことになる。
【0054】
このように、本実施形態では、故障時又は衝突時には、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わるため、以下のような作用を得ることができる。
【0055】
まず、故障時に、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わることで、直接プッシュロッド36をブレーキペダル2の踏み込み操作で操作できるため、車両用ブレーキ装置1が作動しなくなるといった状況をなくすことができ、安全性を高めることができる。
【0056】
また、衝突時に、バイワイヤ制御からノーマルブレーキ制御に切り換わることで、所定間隔の隙間Z(図2参照)をペダル側ロッド35が「空走」する間は、シミュレータ4等から反力が全く作用しないため、踏力を軽減することができ、運転者の足への負担を軽減できる。
【0057】
このように、故障時及び衝突時に、プッシュロッド36とペダル側ロッド35との間の隙間Zが詰めるように制御することにより、走行安全性や衝突安全性を高めることができる。
【0058】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
この実施形態の車両用ブレーキ装置1は、車両の衝突を検出するエアバッグ衝突センサ61と、車両衝突時に、シミュレータ4が発生する擬似踏力をなくすシミュレータ解除弁50とを備えている。
【0059】
これにより、エアバッグ衝突センサ61によって車両の衝突を検出した時には、シミュレータ解除弁50を開放することで、シミュレータ4の擬似踏力をなくすことができる。
【0060】
このため、車両衝突時に、運転者の踏み込むブレーキペダル2の踏力が軽くなり、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0061】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両用ブレーキ装置1において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0062】
また、この実施形態では、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時にも、シミュレータ4が発生する擬似踏力をなくすように、シミュレータ解除弁50を開放している。
これにより、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時にも、ブレーキペダル2の踏力増加を防ぐことができる。
よって、故障時のブレーキペダル2の踏力増加を防ぐ効果と、衝突時のブレーキペダル2の踏力低減の効果とを、同一のシミュレータ解除弁50で両立して達成することができる。
【0063】
また、この実施形態では、ブレーキ装置のECU8に取り込む衝突信号を、エアバッグ衝突センサ61から取り込むようにしている。
このため、エアバッグ装置の作動と同期して、シミュレータ4の擬似踏力をなくすことができ、常に、エアバッグ装置と車両用ブレーキ装置1のシミュレータ解除弁50を一致して作動させることができる。
よって、車両の衝突安全性を高める安全装置が、別々に作動するような不具合を無くし、二つの安全装置に常に一致した作動を生じさせることができる。
【0064】
なお、この実施形態では、エアバッグ装置のエアバッグ衝突センサ61から衝突信号を得るように構成したが、この他にも、例えば、衝突予知信号を得られる近接センサ(図示せず)から衝突予知信号を得て、衝突信号としてECU8に取り込むように構成したり、また、車輪センサ(図示せず)からスリップ状態の信号を得て、衝突信号(衝突前段階信号)としてECU8に取り込むように構成してもよい。
【0065】
次に、第二実施形態について、図5の制御フローチャートを中心に説明する。
この実施形態のブレーキ装置は、第一実施形態の機械的なシミュレータ4の代わりに、擬似踏力を任意に調整しうる電動式のシミュレータ駆動モータ104を備えて、このシミュレータ駆動モータ104の踏力を車両衝突時において低減するように制御するものである。
【0066】
具体的には、図2に示すシミュレータ4の代わりに、ブレーキペダル2の上部に図示しない電動式のシミュレータ駆動モータを設け、ブレーキペダル2の擬似踏力を任意に変更しうるようにブレーキ装置を構成する。
【0067】
そして、図3に示すように、システムブロックでは、ECU8の出力手段としてシミュレータ駆動モータ104を連結する。
【0068】
以上のような構成において、この実施形態は、図5に示す制御フローチャートに従って制御を行なう。なお、図4の制御フローチャートと同様のステップについては同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
この実施形態では、S3で衝突であると判断した場合には、S8に移行する。
S8では、シミュレータ駆動モータ104の踏力を低減する。そして、S9で衝突時ブレーキ制御という、ブレーキペダル2の擬似踏力をバイワイヤ制御の時よりも、低下させた制御を行なう。なお、このときシミュレータ4は、擬似踏力を発生する作動状態となる。
【0070】
このため、この実施形態では、車両の衝突を検出したときには、ブレーキペダル2の踏力を低減して、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、車両衝突時にシミュレータ駆動モータ104により擬似踏力を低減することで、第一実施形態と同様に、ブレーキペダル2の踏力を軽減して、ブレーキペダル2からの荷重を軽減できる。
【0072】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両用ブレーキ装置1において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0073】
特に、本実施形態では、シミュレータ4を作動させながらブレーキペダル2の踏力を軽減するため、一気にブレーキペダル2の踏力がなくなることを防止して、運転者が違和感なくブレーキペダル2の踏み込み操作を行うことができるという効果が得られる。
【0074】
次に、第三実施形態について、図6のブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細断面図を使って説明する。
【0075】
この実施形態は、第一実施形態に構成に加えて、ブレーキペダル2の上部にブレーキペダル2を前方に付勢するスプリング部材201を設けて、車両衝突時には、強制的にブレーキペダル2を前方にストロークするように構成したものである。
【0076】
具体的には、ブレーキペダル2の上部に車体側部材との間に、前後方向に延びるコイル状のスプリング部材201を設けて、常にブレーキペダル2を前方に付勢するように構成する。
【0077】
このため、第一実施形態と同様に、車両衝突時に、シミュレータ解除弁50を開放すると、ブレーキペダル2が強制的に前方にストロークして、ペダル側ロッド35が前方に移動してプッシュロッド36に当接することになる。
【0078】
よって、車両衝突時には、ブレーキペダル2が前方にストロークすることになるため、所定間隔の隙間Zが狭まり、衝突時のブレーキペダル2の後退を防ぐことができる。
【0079】
また、第一実施形態と同様に、この実施形態でも、故障時には、シミュレータ解除弁50を開放して、ブレーキペダル2を強制的に前方に移動させて、ペダル側ロッド35部材がプッシュロッド36に当接するように構成している。これにより、バイワイヤ制御状態からノーマルブレーキ制御状態に強制的に切り替えることになる。
【0080】
以上のように、本実施形態では、車両衝突時にプッシュロッド36とブレーキペダル2との間の隙間Zが減少するようにブレーキペダル2をストロークさせるスプリング部材201を備えている。
【0081】
このため、車両衝突時には、ブレーキペダル2が強制的に前方に移動することになり、衝突時のブレーキペダル2の後退を防ぐことができる。
【0082】
よって、ブレーキ装置の作動油圧がECU8によって電子的に制御される車両のブレーキ装置において、車両衝突時のブレーキペダル2の後退を防いで、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0083】
特に、この実施形態では、ブレーキペダル2が強制的に前方に移動するため、運転者のブレーキペダル2の踏み込みがない場合、又は少ない場合であったとしても、確実に、ブレーキペダル2を前方に移動させることができる。
【0084】
また、この実施形態でも、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時には、シミュレータ解除弁50を開放することで、ブレーキペダル2を前方に移動させることになる。
【0085】
これにより、ブースター駆動装置38やECU8等の故障時に、強制的に直接ブレーキペダル2でプッシュロッド36を操作できるようになる。
よって、故障時におけるブレーキペダル2によるプッシュロッド36の操作性確保と、衝突時のブレーキペダル2の後退防止の効果を、同一のシミュレータ解除弁50とスプリング部材201で両立して達成することができる。
【0086】
なお、本実施形態のようにスプリング部材201を設けることなく、ブレーキペダル2の重量バランス等をうまく設定して、シミュレータ解除弁50を開放することで、ブレーキペダル2の自重等により、ブレーキペダル2が自動的に前方にストロークするように構成してもよい。
【0087】
次に、第四実施形態について、図7、図8により説明する。
図7は本実施形態のブレーキペダル近傍の全体側面図、図8は車両衝突時の挙動変化を説明する側面図である。
【0088】
この実施形態は、ブレーキペダル2の支持構造も含めて、車両衝突時のブレーキペダル2の後退をより確実に防止しようとしたものであり、シミュレータ解除弁等の構成要素に加えてブレーキペダル2を支持するペダルブラケット301を、衝突時に車体側部材から脱落するように構成して、ブレーキペダル2の後退をより確実に防止しようとするものである。
【0089】
この実施形態のブレーキペダル2は、ダッシュパネル302に対して前端面を接合固定した斜め上方に延びるペダルブラケット301と、このペダルブラケット301の上端面に前端面をボルト締結部材303を介して係合固定して、後端面をインパネメンバー304に固定した固定ブラケット305に接合固定した略三角形状の支持ブラケット306と、によって支持している。
【0090】
また、第一実施形態と同様に、ブレーキペダル2の前方にはアクティブブースター3を設けており、また、上方にはシミュレータ4を設けており、さらに、側方にはカットオフデバイス44を設けている(カットオフデバイス44の位置は、第一実施形態とは異なるが、機能は同じである)。
【0091】
前述のペダルブラケット301は、中央にブレーキペダル2等を軸支する支軸10を支持する軸支穴307を設けている。また、上端面には、C矢視詳細図に示すように、ボルト303Aを挿通して前方側に開放する切欠き溝308を形成している。この切欠き溝308は、ペダルブラケット301が前方からの衝突荷重を受けた場合に支持ブラケット306との係合固定を解除する解除機構として機能している。
【0092】
さらに、ペダルブラケット301の上端近傍の側面には、側方に突出する丸ピン309を設けている。この丸ピン309は、後述するように、衝突時にペダルブラケット301を下方に案内する際の係合部として機能するものである。この係合部の機能は、ブレーキペダル2を軸支する支軸10に持たせてもよいが、本実施形態の場合には、支軸10でシミュレータ4等を支持しているため、別途、丸ピン309を設定している。
【0093】
前述の支持ブラケット306は、上端面にボルト303Aを挿通固定するボルト穴310を形成している。また、側面下部には斜め下方に傾斜する案内フランジ面311を形成している。この案内フランジ面311は、衝突時に、前述の丸ピン309を後方側斜め下方に案内するガイド部として機能する。
【0094】
このように構成される本実施形態の衝突時の挙動は、図8に示すようになる。(a)は衝突前のブレーキペダル踏み込み状態、(b)は衝突初期の状態、(c)は衝突中期の状態、(d)は衝突後期の状態を示したものである。
【0095】
(a)に示すように、衝突前に運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、ブレーキペダル2は、前方にその踏面22がダッシュパネル302との間にわずかに空間Xを残した位置まで移動する。この位置は、最大限ブレーキペダル2を踏み込んだ位置であり、通常のブレーキ装置であれば、これ以上前方へは移動できない位置である。
【0096】
(b)に示すように、エアバッグ衝突センサ61(図3参照)で衝突を検出するとシミュレータ解除弁50(図2参照)が開放されることで、ペダル側ロッド35とプッシュロッド36との間の隙間Zがなくなり(図2参照)、ブレーキペダル2の踏面22がさらに前方に移動することになる。このため、ダッシュパネル302が後退変形する前から、ブレーキペダル2の踏面22が前方に移動する。この位置は、バイワイヤ制御をおこなうブレーキ装置でなければ、移動させることができない位置である。
【0097】
(c)に示すように、さらに衝突が進み、ダッシュパネル302が後退変形する程度に変形が生じると、ダッシュパネル302及びマスタシリンダ5に押されてペダルブラケット301が後方に移動する。このとき、前述のようにペダルブラケット301に切欠き溝308(図7参照)を設けているため、ペダルブラケット301が支持ブラケット306(車体側部材)から下方へ離脱する。よって、ブレーキペダル2も下方に移動して、ブレーキペダル2の上端が後方に移動することで、ブレーキペダル2の踏面22がさらに前方に移動する。
【0098】
(d)に示すように、さらに衝突が進み、ダッシュパネル302が大きく後退変形する程度に変形が生じると、ペダルブラケット301の丸ピン309が支持ブラケット306の案内フランジ面311に沿って後方側下方に案内されることになる。このため、ペダルブラケット301の上端がさらに後方側下方に案内されることになり、ブレーキペダル2の踏面22がより前方に移動することになる。
【0099】
このように、本実施形態では、衝突初期、中期、後期と、衝突時全域にわたって、ブレーキペダル2の踏面22が前方に移動するように構成している。このため、ブレーキペダル2の後退を確実に防止することができる。
【0100】
特に、衝突初期にシミュレータ解除弁50を開放して、ブレーキペダル2が前方に移動するように構成していることで、ダッシュパネル302の後退変形に関係なく、ブレーキペダル2の後退を防ぐことができ、より運転者の足への負担を軽減することができる。
【0101】
以上のように、この実施形態では、ペダルブラケット301を支持する支持ブラケット306と、車両衝突時にペダルブラケット301を支持ブラケット306から離脱させる切欠き溝308と、離脱したペダルブラケット301を後方斜め下方に案内する案内フランジ面311と丸ピン309とを備えている。
これにより、車両衝突時には、ペダルブラケット301が、支持ブラケット306から離脱して下方に案内されることになる。
このため、車両衝突時には、ブレーキペダル2の軸支部21(図2参照)が下方に下がることになり、この結果、ブレーキペダル2の踏面22が前方に回動して、ブレーキペダル2の後退を抑制することができる。
よって、車両衝突時には、さらにブレーキペダル2の前方移動を促進することができ、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0102】
また、この実施形態では、衝突初期には、シミュレータ解除弁50を作動するように設定し、衝突後期には、切欠き溝308によりペダルブラケット301が支持ブラケット306から離脱するように設定している。
これにより、衝突初期には、シミュレータ解除弁50を開放するように設定して、ブレーキペダル2の後方移動を抑制して、衝突後期には、ペダルブラケット301を支持ブラケット306から離脱させることによってブレーキペダル2の後方移動を抑制することになる。
このため、車両衝突時の全域に亘ってブレーキペダル2の後方移動を抑制することができる。
よって、より確実にブレーキペダル2の後方移動を防止して、運転者の足に作用する負担を軽減することができる。
【0103】
なお、この実施形態では、シミュレータ解除弁50を開放するもので説明したが、さらに、第三実施形態のように、スプリング部材201を設けて、強制的にブレーキペダル2が前方にストロークするように構成してもよい。
【0104】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明の踏力発生手段は、実施形態のシミュレータ4に対応し、
以下、同様に
制御手段は、電子制御ユニット(ECU)8に対応し、
衝突時踏力低減手段は、シミュレータ解除弁50又はシミュレータ駆動モータ104に対応し、
故障時踏力低減手段は、シミュレータ解除弁50又はシミュレータ駆動モータ104に対応し、
衝突時ストローク制御手段は、スプリング部材201とシミュレータ解除弁50に対応し、
故障時ストローク制御手段は、スプリング部材201とシミュレータ解除弁50に対応し、
離脱手段は、切欠き溝308に対応し、
ガイド手段は、案内フランジ面311と丸ピン309に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車両用ブレーキ装置の実施形態を含むものである。
前述の実施形態では、ハイブリッド車両に用いるブレーキ装置を前提に説明したが、必ずしもハイブリッド車両に用いるブレーキ装置に限定されるものではなく、一般的な車両に用いるブレーキ装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第一実施形態の車両用ブレーキ装置の全体システム図。
【図2】ブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図。
【図3】特徴部分のシステムブロック図。
【図4】第一実施形態の制御フローチャート。
【図5】第二実施形態の制御フローチャート。
【図6】第三実施形態のブレーキペダルとアクティブブースター等の詳細側方断面図。
【図7】第四実施形態のブレーキペダル近傍の全体側面図。
【図8】車両衝突時の挙動変化を説明する側面図。
【符号の説明】
【0106】
1…車両用ブレーキ装置
2…ブレーキペダル
3…アクティブブースター
4…シミュレータ
5…マスタシリンダ
8…電子制御ユニット
50…シミュレータ解除弁
201…スプリング部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、
該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、
ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、
前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
車両衝突時に、前記踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる衝突時踏力低減手段とを備えた
車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御手段の故障時には、踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる故障時踏力低減手段を備え、
該故障時踏力低減手段が、前記衝突時踏力制御手段を兼ねた
請求項1記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、
該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、
ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、
前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
車両衝突時に、前記プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる衝突時ストローク制御手段とを備えた
車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記制御手段の故障時には、プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる故障時ストローク制御手段を備え、
該故障時ストローク制御手段が、前記衝突時ストローク制御手段を兼ねた
請求項3記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記衝突検出手段を、車両衝突時にエアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサとした
請求項1〜4いずれか記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項6】
前記ペダルブラケットを支持する支持ブラケットと、
車両衝突時にペダルブラケットを支持ブラケットから離脱させる離脱手段と、
離脱したペダルブラケットを後方斜め下方に案内するガイド手段とを備えた
請求項1〜5いずれか記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項7】
衝突初期には、前記衝突時踏力低減手段又は前記衝突時ストローク制御手段が作動するように設定し、
衝突後期には、前記離脱手段によりペダルブラケットが支持ブラケットから離脱するように設定した
請求項6記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項1】
ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、
該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、
ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、
前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
車両衝突時に、前記踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる衝突時踏力低減手段とを備えた
車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御手段の故障時には、踏力発生手段が発生する擬似踏力を低減させる故障時踏力低減手段を備え、
該故障時踏力低減手段が、前記衝突時踏力制御手段を兼ねた
請求項1記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
ペダルブラケットに支軸を介して揺動自在に支持されるブレーキペダルと、
該ブレーキペダルに擬似踏力を与える踏力発生手段とを備え、
ブレーキのマスタシリンダのプッシュロッドと前記ブレーキペダルとの間に所定の隙間を設定して、
前記ブレーキペダルのストローク時には、前記踏力発生手段で擬似踏力を発生させつつ、制御手段によって前記プッシュロッドを自動的にストロークさせてブレーキ作動油圧を発生するようにした車両のブレーキ装置であって、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
車両衝突時に、前記プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる衝突時ストローク制御手段とを備えた
車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記制御手段の故障時には、プッシュロッドとブレーキペダルとの間の隙間が減少するように、ブレーキペダルをストロークさせる故障時ストローク制御手段を備え、
該故障時ストローク制御手段が、前記衝突時ストローク制御手段を兼ねた
請求項3記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記衝突検出手段を、車両衝突時にエアバッグを作動させるエアバッグ衝突センサとした
請求項1〜4いずれか記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項6】
前記ペダルブラケットを支持する支持ブラケットと、
車両衝突時にペダルブラケットを支持ブラケットから離脱させる離脱手段と、
離脱したペダルブラケットを後方斜め下方に案内するガイド手段とを備えた
請求項1〜5いずれか記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項7】
衝突初期には、前記衝突時踏力低減手段又は前記衝突時ストローク制御手段が作動するように設定し、
衝突後期には、前記離脱手段によりペダルブラケットが支持ブラケットから離脱するように設定した
請求項6記載の車両用ブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−260330(P2008−260330A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102649(P2007−102649)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]