説明

車両用ベンチレータ

【課題】風向調整用の操作摘みの操作位置に係わりなく、操作摘みを夜間でも確実に視認可能にすること。
【解決手段】ベンチレータ本体1に取り付けられた発光ダイオード15と、複数の横ルーバ3のうちの1つの横ルーバ3の内部に設けられ前記発光ダイオード15からの光を当該横ルーバ3中央部から前方の光出口である切り欠き17に導く導光路16と、前記横ルーバ3の切り欠き17を覆うようにこの横ルーバ3に沿って摺動自在に取り付けられた操作摘み9とを備え、前記操作摘み9の前面には透光部材12を設けると共に内部には切り欠き17から出た光を拡散する光拡散部材13を配設し、前記切り欠き17から出た光を前記光拡散部材13で拡散して前記操作摘み9の透光部材12を介して前方へ導くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用ベンチレータでは、例えば、特許文献1に開示されているように縦ルーバの向きを変える操作摘みを横ルーバに沿って摺動自在に設けるとともに、ベンチレータ本体の側面に設けた光源の光を導光路を介して操作摘みに導くことにより、操作摘みを照明するようにし、室内が暗くなる夜間でも風向調整が容易に行えるようにしている。
【特許文献1】特開2001−180252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した車両用ベンチレータでは、操作摘みの操作位置によって透光部材の光量が変化し、操作摘みが見づらくなる欠点があった。
【0004】
そこで本発明は、風向調整用の操作摘みの操作位置に係わりなく、操作摘みを夜間でも確実に視認可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面には透光部材を設けると共に内部には前記光出口から出た光を拡散する光拡散部材を配設し、前記光出口から出た光を前記光拡散部材で拡散して前記操作摘みの透光部材を介して前方へ導くようにしたことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面に前面透光部材を設けると共に内部に内部透光部材を設け、前記内部透光部材には前面透光部材の隅部に向けて光を反射させる反射面を設けたことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面に透光部材を設けると共に内部にこの透光部材より小さい窓を有する非透光部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、風向調整用の操作摘みの操作位置に係わりなく、操作摘みを夜間でも確実に視認可能にすることができる。特に第1の発明によれば、光源からの光は横ルーバ内の導光路及び光出口を通って操作摘みの中に入り、光拡散部材にて操作摘みの内部全体に拡散されるため、風向調整用の操作摘みの操作位置に係わりなく、操作摘み前面の透光部材から出る光の量が殆ど変わらないため、夜間でも操作摘みを確実に視認することができ、運転中でも安全に風向設定を行うことができる。
【0009】
また第2の発明によれば、内部透光部材には操作摘みの前面透光部材の隅部に向けて光を反射させる反射面が設けられているため、前面透光部材から出る光の量を隅々まで均一化することができ、視覚的にも良好である。
【0010】
更に第3の発明のように、前記操作摘み内部に前面に設けた透光部材より小さい窓を有する非透光部材を設けたから、横ルーバの光出口からの光を非透光部材の前記窓を介して操作摘みの透光部材を照らし、透光部材から出る光の量が操作位置によって変化しないようにでき、同等な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に基づき、車両用ベンチレータに係る本発明の実施の形態について説明する。図1及び2において、1は車両用ベンチレータのベンチレータ本体であり、車両の空調送風ダクト(図示せず)に連結するようにダッシュボード(図示せず)に設置されており、前面に空気吹き出し口2を有している。ベンチレータ本体1内部の空気吹き出し口2側には複数の横ルーバ3と複数の縦ルーバ4が前後に所定間隔毎に配置されている。横ルーバ3と縦ルーバ4は黒色合成樹脂材料で作られている。
【0012】
複数の横ルーバ3は、図3に示すように、前端側の両端部の突起3aがベンチレータ本体1の左右の各支持板5にて回動自在に支持されると共に後端側の両端部の突起3bが各連結板6に回転自在に支持されて、複数の横ルーバ3は互いに連動可能に支持されている。また複数の縦ルーバ4は、図4に示すように、前端側の両端部の突起4aがベンチレータ本体1の上下の各支持板7にて回動自在に支持される共に後端側の両端部の突起4bが各連結板8に回転自在に支持されて、複数の縦ルーバ4は連結板8にて互いに連動可能に支持されている。
【0013】
そして、複数の横ルーバ3のうちの上下の中央に位置する横ルーバ3には、前端部が空気吹き出し口2から突出するように操作摘み9が取り付けられている。即ち、操作摘み9は横に扁平した筒状で、後部に左右に伸びる切り込み10があり、この切り込み10内に前記中央の横ルーバ3が嵌め込まれている。また、後端部の左右の中間部には一対の突出片9a、9aが一体形成され、この一対の突出片9a、9a内に左右の中央に位置する縦ルーバ4が嵌め込まれている。更に、図2に示すように、前方から見て操作摘み9の後端部左側には係合片9bが設けられ、この係合片9bが前記上下の中央に位置する横ルーバ3の後部に形成された切り欠き11内に配設されることにより、係合片9bが切り欠き11内の左右の所定の可動範囲内で移動することにより、操作摘み9が前記横ルーバ3に沿って左右方向に摺動自在に支持されている。
【0014】
前記操作摘み9は黒色の合成樹脂材料で作られており、前面開口には乳白色の半透明合成樹脂材料からなる透光部材12が嵌め込まれている。また、操作摘み9内部の横ルーバ3よりも前方へ突出した部分には光拡散性の合成樹脂材料からなる調光部材(光拡散部材)13が設けられている。
【0015】
前記上下の中央の横ルーバ3の前端側方のベンチレータ本体1の支持板5の外面には光源収納部14に取り付けられた光源としての発光ダイオード15が設けられている。そして、光源収納部14に左の突起3aを臨ませた中央の横ルーバ3にはその前端縁に沿って透明アクリルで作られた導光体16(導光路を形成する。)が埋め込まれている。
【0016】
そして、前記上下の中央の横ルーバ3の前端中央の切り欠き17に導光体16の先端部を臨ませることにより、発光ダイオード15からの光を導光体16を介して前記上下の中央の横ルーバ3内に導入し、切り欠き17をその導入された光の出口としている。また、切り欠き17に対応する導光体16の後方には、前記切り欠き17と同等長さに白色塗装や梨地処理が施されることにより反射層18が設けられている。また、操作摘み9は上述した可動範囲で摺動自在に上下の中央の横ルーバ3に支持され、切り欠き17の長さと反射層18の長さをほぼ同等長さとし、操作摘み9の可動範囲の長さをこれらの長さの半分かそれより僅か長くすることにより、この操作摘み9が光出口となる切り欠き17を左方向又は右方向に移動しても常に覆うようにし、光が直接には漏れないようにしている。
【0017】
そして、空調送風ダクト(図示せず)からベンチレータ本体1に入った調和空気は複数の横ルーバ3と複数の縦ルーバ4によって左右方向及び上下方向に風向が変更され、空気吹き出し口2から車両の室内に吹き出される。
【0018】
即ち、空気吹き出し口2から吹き出される空気の風向を上下方向に調整するには上下の中央の横ルーバ3に設けられた操作摘み9を上下に操作する。このとき、支持板5にて回動自在に支持された複数の横ルーバ3は連結板6にて連動して上下方向に調整される。
【0019】
また、空気吹き出し口2から吹き出される空気の風向を左右方向に調整するには操作摘み9を左右に操作する。このとき、操作摘み9の左右の動きが一対の突出片9aを介して左右の中央の縦ルーバ4に伝達され、支持板7に回動自在に支持された複数の縦ルーバ4は連結板8にて連動して左右方向に調整される。このようにして操作摘み9の上下、左右の操作によって複数の横ルーバ3と複数の縦ルーバ4が連動し、風向が上下、左右に調整される。
【0020】
なお、車両の運転中はベンチレータ本体1の側部に設けられた発光ダイオード15が点灯する。発光ダイオード15の光を導光体16を介して前記上下の中央の横ルーバ3内に導入し、前端縁に沿った導光体16を通って前記反射層18によって光出口となる切り欠き17から操作摘み9内部の調光部材13に入る。このとき、調光部材13は光拡散合成樹脂材料で作られているため、発光ダイオード15の光は調光部材13全体に拡散して広がり、操作摘み9の透光部材12を通って車両の室内へと出る。
【0021】
このため、操作摘み9が中央、左右のどの位置に操作されても、光出口からの光が調光部材13によって透光部材12に導かれ、透光部材12から出る車両室内への光の量が殆ど変わらないため、夜間でも操作摘み9を確実に視認することができ、運転中でも安全に風向設定を行うことができる。
【0022】
また、操作摘み9の後端部一側の係合片9bと上下の中央の横ルーバ3の後部の切り欠き11とが係合しており、操作摘み9の左右の可動範囲が規制され、操作摘み9が必要以上に摺動することがないため、操作摘み9によって光出口となる切り欠き17が常に覆われ、操作摘み9の周りから光が直接漏れ出る心配もない。
【0023】
図5は車両用ベンチレータに係る本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図2と異なるのは透光性の合成樹脂材料で作られた調光部材(透光部材)13Aの左右両側の入光部に操作摘み9の透光部材12の左右の隅部に向けて光を反射させる反射面19、19を形成したことである。即ち、この反射面19、19は、白色塗装や梨地処理を施して反射層を形成して、操作摘み9の透光部材12の左右の隅部に向けて光を反射させるものである。
【0024】
また、操作摘み9は上下の中央の横ルーバ3に沿って摺動自在に支持され、切り欠き17の長さと反射層18の長さをほぼ同等長さとし、操作摘み9の可動範囲の長さをこれらの長さの半分かそれより僅か長くすることにより、この操作摘み9が光出口となる切り欠き17を左方向又は右方向に移動しても常に覆うようにし、光が直接には漏れないようにしている。
【0025】
以上のようにすると、導光体16から切り欠き17を介して出た光は調光部材13Aの左右両側の反射面19、19で操作摘み9の透光部材12の隅部に向けて反射するため、即ち図5に示すように、操作摘み9が正面から見て右隅まで移動しても、導光体16からの光が正面から見て左の反射面19により透光部材12の右隅部に向けて反射され、逆に操作摘み9が正面から見て左隅まで移動しても、導光体16からの光が正面から見て右の反射面19により透光部材12の左隅部に向けて反射される。
【0026】
従って、操作摘み9の操作位置によって透光部材12から出る光の量が変化しないようにできるばかりでなく、透光部材12から出る光の量を隅々まで均一化することができ、視覚的にも良好である。
【0027】
図6は車両用ベンチレータに係る本発明の第3の実施の形態を示すものであり、図2及び図5と異なるのは、非透光性の黒色の合成樹脂材料で作られた調光部材(非透光部材)13Bの中央に前記透光部材12より小さい小窓20が開設されていることである。
【0028】
操作摘み9は上下の中央の横ルーバ3に沿って摺動自在に支持され、切り欠き17の長さと反射層18の長さをほぼ同等長さとし、操作摘み9の可動範囲の長さをこれらの長さの半分かそれより僅か長くすることにより、この操作摘み9が光出口となる切り欠き17を左方向又は右方向に移動しても常に覆うようにし、光が直接には漏れないようにしているが、前記小窓20は操作摘み9の可動範囲の長さの約半分程度とする。
【0029】
以上のようにすると、導光体16からの光を調光部材13Bの小窓20を介して操作摘み9の透光部材12を照らし、透光部材12から出る光の量が操作位置によって変化しないようにできる。
【0030】
なお、以上の第1乃至第3の実施形態の導光路として、透明アクリルで作られた導光体16の代わりに発光ダイオード15の光を切り欠き17に導く空洞(図示せず)を横ルーバ3の前端縁に沿って形成するようにしても良い。
【0031】
また、操作摘み9は、縦ルーバー又は横ルーバーのみの風向を調整するものであっても、両者の風向を調整するものであってもよい。
【0032】
以上本発明の実施形態について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】横ルーバの一部を切欠して示す車両用ベンチレータの斜視図である。
【図2】操作摘みを右端部に寄せた状態(点線は左端部に寄せた状態)の車両用ベンチレータの断面図である。
【図3】横ルーバの取り付け状態を示す説明図である。
【図4】縦ルーバの取り付け状態を示す説明図である。
【図5】操作摘みを右端部に寄せた状態(点線は左端部に寄せた状態)の車両用ベンチレータの第2の実施態様を示す断面図である。
【図6】操作摘みを右端部に寄せた状態(点線は左端部に寄せた状態)の車両用ベンチレータの第3の実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ベンチレータ本体
2 空気吹き出し口
3 横ルーバ
4 縦ルーバ
8 操作摘み
12 透光部材
13 調光部材
13A 調光部材
13B 調光部材
15 発光ダイオード(光源)
16 導光体(導光路)
17 切り欠き(光出口)
20 小窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面には透光部材を設けると共に内部には前記光出口から出た光を拡散する光拡散部材を配設し、前記光出口から出た光を前記光拡散部材で拡散して前記操作摘みの透光部材を介して前方へ導くようにしたことを特徴とする車両用ベンチレータ。
【請求項2】
ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面に前面透光部材を設けると共に内部に内部透光部材を設け、前記内部透光部材には前面透光部材の隅部に向けて光を反射させる反射面を設けたことを特徴とする車両用ベンチレータ。
【請求項3】
ベンチレータ本体の空気吹き出し口より吹き出される空気の風向を、連動可能に取り付けられた複数の横ルーバ又は/及び縦ルーバで調整する車両用ベンチレータにおいて、ベンチレータ本体に取り付けられた光源と、複数の横ルーバのうちの1つの横ルーバの内部に設けられ前記光源からの光を当該横ルーバ中央部から前方の光出口に導く導光路と、前記横ルーバの光出口を覆うようにこの横ルーバに沿って摺動自在に取り付けられた操作摘みとを備え、前記操作摘みの前面に透光部材を設けると共に内部にこの透光部材より小さい窓を有する非透光部材を設けたことを特徴とする車両用ベンチレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−100111(P2010−100111A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271471(P2008−271471)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】