説明

車両用メータユニット

【課題】車両状態情報を表示する表示モニタの形状、大きさ、デザイン等が異なる車両用メータユニットの間で、車両状態情報を表示させるための電子基板の共通部品化を可能とする車両用メータユニットを提供すること。
【解決手段】画面を形成する画像表示モニタ2と、画像表示モニタ2に車両状態情報をメータ表示させるメータECU3と、を備える。画像表示モニタ2とメータECU3とがコネクタ端子29,30により着脱自在に接続されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに配設される、車両用メータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車速、エンジン回転数、燃料残量、シフトポジションなどの車両状態情報を表示するためのメータユニットが搭載されている。車両用メータユニットとしては、文字、図形等が描かれた表示板の裏側に、LEDや指針駆動部を実装した電子基板が配設され、LEDや指針を駆動させることによって車両状態情報を運転者に知らせるもの(以下「指針タイプ」という。)や、特許文献1に開示されているように、車両状態情報を全面液晶モニタにて表示するもの(以下「全面液晶タイプ」という。)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4626710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指針タイプの車両用メータユニットでは、表示板のデザインに合わせて、電子基板上の部品(LEDや指針駆動部材)の配置が決められるため、表示板のデザインが異なる車両用メータユニットの間で、同じタイプの電子基板を共通で使用することは困難であった。
【0005】
また、全面液晶タイプの車両用メータユニットでも、例えば特許文献1の第11図に示されるように、車両状態情報を表示する液晶表示面と、その液晶表示面の裏側に配設される電子基板とがほぼ同じ大きさおよび形状とされ、互いに着脱困難に一体化されるため、液晶表示面の外形等が異なる車両用メータユニットの間で、同じタイプの電子基板を共通で使用することも困難であった。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みて創案されたものであり、車両状態情報を表示する表示モニタの形状、大きさ、デザイン等が異なる車両用メータユニットの間で、車両状態情報を表示させるための電子基板の共通部品化を図るための車両用メータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用メータユニットは、画面を形成する画像表示モニタと、前記画像表示モニタに車両状態情報をメータ表示させる電子基板と、を備えるものを前提としており、前記画像表示モニタと前記電子基板とがコネクタ端子により着脱自在に接続されたことを特徴としている。
【0008】
かかる構成を備える車両用メータユニットによれば、前記画像表示モニタと前記電子基板とが、コネクタ端子により着脱自在に接続されるため、コネクタ端子の形状さえ対応させておけば、様々な種類の画像表示モニタに対し、同じ電子基板を接続して使用することができる。つまり、車両状態情報を表示する表示モニタの形状、大きさ等が異なる車両用メータユニットや、表示させる情報の表示形態等が異なる車両用メータユニットに対し、プログラムを変更するだけで、同じ電子基板を接続して使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用メータユニットによれば、車両状態情報を表示する表示モニタの形状、大きさ、デザイン等が異なる車両用メータユニットの間で、車両状態情報を表示させるための電子基板の共通部品化が図られる。その結果、車両用メータユニットの開発期間を短縮でき、部品点数およびコストの低減も図られる。また、メータのデザインの自由度も広がり、ユーザにとって選択肢が増える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用メータユニットのメータECUに入力される車両状態情報等を示したブロック図である。
【図2】画像表示モニタにメータECUを嵌め込む様子を示した斜視図である。(a)は画像表示モニタにメータECUを嵌め込む前の様子を示し、(b)は画像表示モニタにメータECUを嵌め込んだ後の様子を示している。
【図3】画像表示モニタに表示される車両状態情報の表示形態の一例を示した図である。
【図4】画像表示モニタとメータECUとをワイヤハーネスを用いて接続した例を示す斜視図である。
【図5】画像表示モニタとメータECUとをワイヤハーネスを用いて接続した例を示す斜視図である。
【図6】その他の実施形態を示す図であって、画像表示モニタにメータECUを嵌め込む様子を示した斜視図である。(a)は画像表示モニタにメータECUを嵌め込む前の様子を示し、(b)は画像表示モニタにメータECUを嵌め込んだ後の様子を示している。
【図7】その他の実施形態を示す図であって、車両用メータユニットの画像表示モニタに入力される車両状態情報等を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る車両用メータユニットは、車両のインストルメントパネルに配設され、コンビネーションメータとして機能するものである。図1のブロック図に示すように、車両用メータユニット1は、画面を形成する画像表示モニタ2と、この画像表示モニタ2に車両状態情報を表示させるメータECU3とを備えている。
【0012】
画像表示モニタ2は、全面液晶モニタからなり、その液晶画素の駆動によって、各種の車両状態情報を画像表示する。前記液晶モニタは、例えばTFT型透過液晶モニタであり、液晶を含む板状の液晶パネルと、バックライト等の光源と、これらの液晶パネル、光源などを駆動する駆動回路と、これらの背部を保護するモニタ筐体4(図2参照)を備えていている。
【0013】
メータECU3は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子基板と、この電子基板を収容したECU筐体5(図2参照)を備えている。メータECU3は、そのメモリ6に、画像表示モニタ2の表示を制御するためのプログラムや各種画像データを格納しており、このプログラムを実行することにより、各種画像データおよび入力される各種の情報に基づいて、運転者が理解できるような文字、図形、記号、疑似指針などを画像表示モニタ2に表示させ、各種の車両状態情報を運転者に知らせる。メータECU3のメモリに格納されているプログラムおよび画像データは、専用端末装置を使って書き換え可能となっている。また、上記プログラムは、専用端末装置を使って、車載ネットワーク(CAN(Controller Area Network)など)を介しても書き換え可能となっている。
【0014】
図1に示すように、メータECU3には、車両状態情報を画像表示モニタ2に表示させるために必要な各種の情報が入力される。すなわち、エンジンを制御するエンジン_ECU21からエンジン回転数情報、発電情報、ガソリン噴射量情報等が、無段変速機を制御するCVT_ECU22からシフトポジション情報が、アンチロックブレーキシステムを制御するABS_ECU23から車速情報が、車体系の情報を制御するBODY_ECU24からターン信号、セキュリティ情報等が、アイドルストップ機能を制御するアイドルストップ_ECU25からアイドルストップ情報が、各種の故障診断装置26から故障診断に関する情報が、その他、パーキングブレーキ信号、ベッドランプ信号、ガソリン残量情報などがメータECU3に入力される。メータECU3は、入力された各種の情報および、メモリ6に格納している画像データを使用して、画像表示モニタ2を制御し、運転者が理解できるような形態で車両状態情報を表示させる。
【0015】
図3は、画像表示モニタ2に表示される車両状態情報の表示形態の一例を示している。この画像表示モニタ2では、車速を指示する車速メータ7、エンジン回転数を指示するタコメータ8、燃料残量を指示する燃料残量メータ9が疑似指針にてメータ表示される。また、平均燃費、オドメータ、トリップメータ等が所定表示部10において数値にてメータ表示される。その他の画像表示モニタ2に表示される車両状態情報としては、シフトポジションを示すシフトインジケータ12、アイドルストップ状態を示すエコアイドル表示灯13、方向指示灯とともに点滅する方向指示表示灯14、パーキングブレーキが完全に解除されていないことを知らせるブレーキ警告灯15、ヘッドランプが上向きであることを知らせるヘッドランプ上向き表示灯16、アンチロックブレーキシステムの異常を知らせるABS警告灯17、エンジン制御システムの異常を知らせるエンジン警告灯18、エンジンオイルの圧力異常を知らせる油圧警告灯19などがある。図3においてはその他にも種々の表示が図示されているが、それらの説明は省略する。
【0016】
図2に示すように、画像表示モニタ2の外周部および背部は、モニタ筐体4で覆われている。このモニタ筐体4は、液晶パネル、光源、駆動回路等の背部を保護するものであり、その背面(車両前側の面)には、図2(a)に示すように、メータECU3を嵌め込むための凹部27が形成されている。この凹部27にはコネクタ端子29が設けられており、当該凹部27にECU筐体5(モニタECU3)が嵌め込まれると、上記コネクタ端子29とモニタECU3に設けられたコネクタ端子30とが接続される。これらのコネクタ端子29,30は、互いに着脱自在であるため、モニタECU3を画像表示モニタ2側から取り外すと、画像表示モニタ2側のコネクタ端子29からモニタECU3側のコネクタ端子30が脱抜するようになっている。なお、図2の符号31は、ワイヤハーネスであり、メータECU3を車載ネットワーク(CANなど)や各種センサ類と接続するものである。
【0017】
本実施形態では、ECU筐体5は略直方体とされ、凹部27がその略直方体に対応した凹形状とされ、モニタ筐体4の凹部27にECU筐体5(モニタECU3)を嵌め込むと、モニタ筐体4の背面とECU筐体5の背面が面一となるように各部の寸法が設定されている。これにより、画像表示モニタ2の裏面における突出部が抑制されるようになっている。
【0018】
以上に説明した車両用メータユニット1によれば、画像表示モニタ2とメータECU3とが、コネクタ端子29,30により着脱自在に接続されている。つまり、コネクタ端子の形状さえ対応させておけば、様々な種類の画像表示モニタに対し、同じメータECU3を接続することができる。このため、表示部の形状、大きさ等が異なる車両用メータユニットや、表示させる情報の表示形態等が異なる車両用メータユニットに対し、プログラムを変更するだけで、同じメータECU3を使用することができる。その結果、車両用メータユニットの開発期間を短縮でき、部品点数およびコストの低減も図られる。また、メータのデザインの自由度も広がり、ユーザにとって選択肢が増える。
【0019】
また、本実施形態に係る車両用メータユニット1では、画像表示モニタ2の裏面の一部のみにメータECU3を嵌め込んだものとしていることから、従来のように画像表示モニタの裏面全体に制御用の電子基板を設けたものと比較すると、メータユニット全体のコンパクト化が図られる。これにより、インストルメントパネルの設計の自由度(例えば、意匠や機能上の自由度)を増すことができる。
【0020】
なお、既述の実施形態では、画像表示モニタ2は、単一の液晶モニタで構成されていたが、画像表示モニタ2は、複数の液晶モニタで構成されていてもよい。
【0021】
また、既述の実施形態では、画像表示モニタ2およびメータECU3にそれぞれ直接コネクタ端子29,30を設けワイヤハーネス等の配線を介さずにこれらを接続していたが、モニタ筐体4に凹部27を設けずに、図4に示すように、画像表示モニタ2のコネクタ端子29とメータECU3のコネクタ端子30とを、両端にコネクタ端子29A,30Aを有するワイヤハーネス32を介して互いに着脱自在に接続してもよい。この場合、メータECU3は、所定の設置場所(例えばフロントピラー間に架設されるメンバ等)に設置される。
【0022】
また、図5に示すように、画像表示モニタ2およびメータECU3のそれぞれからワイヤハーネス33,34を引き出して、これらのワイヤハーネス33,34の一端部にそれぞれコネクタ端子29B,30Bを設けて互いに着脱自在に接続するようにしてもよい。
【0023】
<その他の実施形態>
以上の実施形態では、各種の車両状態情報がワイヤハーネス31を介して一旦メータECU3内に入り、メータECU3が車載ネットワーク等を通じて入力された車両状態情報と、予め格納している画像データを使って画像表示モニタ2の表示を制御していたが、図6に示すように、画像表示モニタ2に直接ワイヤハーネス31を接続し、図7に示すように、車載ネットワーク等からの各種の車両状態情報を一旦画像表示モニタ2内に蓄積(入力)し、メータECU3が画像表示モニタ2に蓄積された車両状態情報を取得するようにしてもよい。なお、図6(a)は、画像表示モニタ2にメータECU3を嵌め込む前の様子を示し、図6(b)は画像表示モニタ2にメータECU3を嵌め込んだ後の様子を示している。
【0024】
このようにした場合、メータECU3と車載情報入力用の配線(ワイヤハーネス31)とを別々にすることができ、その結果、メータECU3を単独で組付けあるいは取り外しする際に、メータECU3と車載ネットワークとの接続を着脱する手間が省かれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、例えば自動車のインストルメントパネルに配設される全面液晶型のメータユニットに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用メータユニット
2 画像表示モニタ
3 メータECU(電子基板)
29,29A コネクタ端子
30,30A コネクタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を形成する画像表示モニタと、
前記画像表示モニタに車両状態情報をメータ表示させる電子基板と、
を備える車両用メータユニットにおいて、
前記画像表示モニタと前記電子基板とがコネクタ端子により着脱自在に接続されたことを特徴とする車両用メータユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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