説明

車両用メータ

【課題】 聴覚情報提供手段の使い勝手を向上させ、利便性に優れた車両用メータを提供する。
【解決手段】 各種車両情報表示を行うための表示部101と、各種警報音に関する仕様の各種設定を登録するカスタマイズモードを有する制御手段202と、各種設定の内容を登録するための第2の記憶手段(記憶手段)204とを備え、各種設定の内容には各種警報音の音色を選択する項目が含まれており、制御手段202は、カスタマイズモードへ移行すると、表示部101(カスタマイズモード時の他の初期画面320)に警報音の繰り返しピッチ、警報音を単音で鳴動するか、和音で鳴動するか、警報音にエコーをかけるか否かの選択を行う画面を表示させ、「ピッチ長、和音、エコーあり」の選択を行ったときに、第2の記憶手段204の識別コードID1に対応する音色1エリア(領域R6)には設定内容である「ピッチ長、和音、エコーあり」が登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴覚情報を用いて利用者に各種情報を提供する車両用情報提供装置(車両用メータ)に関し、特に利用者の好みに応じて聴覚情報をカスタマイズ可能な車両用情報提供装置(車両用メータ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用情報提供装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の車両用情報提供装置は、ディスプレイ手段(視覚情報提供手段)と音声出力手段(聴覚情報出力手段)とを有し、ディスプレイ手段には視覚情報として走行距離値や電圧値、時刻といった通常情報と所定の警報情報を表示させ、音声出力手段には緊急を要する情報や視覚情報では誤解を招く虞のある情報を聴覚情報として音声出力するよう構成され、ディスプレイ手段と音声出力手段の双方を通じて内容的に重複する特定の警報情報を提供する点も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−66783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載の車両用情報提供装置は、視覚情報と聴覚情報を組み合わせて利用者に各種情報を提供するものであり、利用者の使い勝手の向上が図られているが、特に聴覚情報に関しては、利用者の聴覚特性、好みが人それぞれ異なるため、前記聴覚情報を発するための前記音声発生手段のカスタマイズ化が望まれるとともに、このカスタマイズ化に伴って車両情報である聴覚情報を発する音声出力手段の使い勝手の向上を図り、利便性に優れた車両用情報提供装置が望まれている。
本発明の前述した問題点に着目し、今後、車両への搭載比率が高まることが予想される聴覚情報提供手段を備えた車両用情報提供装置(車両用メータ)において、車両情報を少なくとも含む聴覚情報を発する聴覚情報提供手段のカスタマイズ化を実現し、前記聴覚情報提供手段の使い勝手を向上させ、利便性に優れた車両用情報提供装置(車両用メータ)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、利用者に各種車両情報表示を行うための表示部と、前記利用者に車両情報を少なくとも含む各種警報音を提供する聴覚情報提供手段の前記各種警報音に関する仕様の各種設定を登録するカスタマイズモードを有する制御手段と、前記カスタマイズモードにおける前記各種設定の内容を定めるための入力手段と、前記各種設定の内容を登録するための記憶手段とを備えた車両用メータにおいて、前記各種設定の内容には、前記各種警報音の音色を選択する項目が含まれており、前記制御手段は、前記カスタマイズモードへ移行すると、前記表示部を前記各種車両情報表示から前記カスタマイズモードの専用画面表示に切り替えるとともに前記表示部に前記音色に関連する候補を示す選択候補と初期設定値とを表示させ、前記利用者が前記入力手段を用いて前記各種警報音の中から1つの警報音の前記選択候補を選択して、この前記利用者によって選択された前記1つの警報音の前記選択候補を、前記初期設定値から切り替えて選択表示するとともに前記聴覚情報提供手段を通じてリアルタイムで予め認識可能とし、さらに前記利用者が選択した前記選択候補を、前記記憶手段の前記1つの警報音に対応して設けられたエリアへ記憶させることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記各種設定の内容を表示可能とする前記表示部は、前記利用者によって選択された前記選択候補を前記聴覚情報提供手段を通じて予め認識させるために設定されたプレビュー表示を備えてなることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記各種設定の内容は、前記利用者を識別する乗員識別手段による識別情報と前記各種設定の内容とが関係付けられた状態にて前記記憶手段に登録されてなることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記選択表示は、前記表示部に表示させた前記選択候補のアンダーラインの切り替えで示すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、聴覚情報提供手段を利用した車両用情報提供装置(車両用メータ)において、利用者の聴覚特性、好みに応じた前記聴覚情報提供手段のカスタマイズ登録が実施可能であり、様々な聴覚特性、好みを持った利用者の要求に応え、車両用情報提供装置(車両用メータ)の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による車両用情報提供装置の概観図である。
【図2】同実施形態による車両用情報提供装置のブロック図である。
【図3】(a)は同実施形態によるカスタマイズモードを示す図であり、(b)は同実施形態によるカスタマイズモードの記憶状態を示す図である。
【図4】(a)は同実施形態による他のカスタマイズモードを示す図であり、(b)は同実施形態による他のカスタマイズモードの記憶状態を示す図である。
【図5】(a)は同実施形態による他のカスタマイズモードを示す図であり、(b)は同実施形態による他のカスタマイズモードの記憶状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、車両用情報提供装置の一例の概観図を示すもので、車両用情報提供装置100は、各種情報表示を行う視覚情報提供手段となる表示部(表示手段)101と、エンジン回転数をアナログ指示する回転計102と、タンク内燃料量をアナログ指示する燃料計103と、エンジン冷却水の温度をアナログ表示する温度計104とからなる。
【0013】
表示部101は、例えばTFT等の液晶表示装置(LCD)からなる電子式表示パネルが用いられ、後述する各種警報に係わる視覚情報(視覚警報)の他、車速や走行距離等、図示しない各種センサからの検出情報や同じく図示しないスイッチからの状態情報に応じて様々な内容の視覚情報を表示する。
【0014】
図2は、図1の車両用情報提供装置100のシステム構成を示すブロック図である。その構成としては、車両用情報提供装置100をカスタマイズモードに移行させるための設定手段(カスタマイズモード設定端子)210と、カスタマイズモードの実行時に各種設定内容を設定または選択するための入力手段(入力端子)211と、車両情報の入出力を行う車両情報端子212及び多重通信入出力端子(多重通信入出力手段)213と、車両インターフェース(I/F)手段201と、車両用情報提供装置100の制御を行う例えばマイクロコンピュータからなる制御手段202と、制御手段202の処理プログラムが格納されたROM等からなる第1の記憶手段203と、入力手段211より設定される各種設定を乗員(利用者)毎に登録可能とするEEPROM等の不揮発性メモリからなる第2の記憶手段(記憶手段)204と、各種情報の視覚的に表示する前述した表示部101と、表示部101の表示制御及び各種アナログ式計器(指針式計器)102,103,104の駆動制御を行う駆動手段205と、各種情報を聴覚的に報知するための聴覚情報提供手段240とを有している。
【0015】
聴覚情報提供手段240は、各種の警報音を混合するミキシング手段241と、このミキシング手段241からの出力信号を増幅するアンプ242と、このアンプ242からの増幅信号を出力するスピーカ243とで構成され、後述する各種警報に係わる情報を含む車両の各種状態を聴覚にて報知する。なお、本実施形態の場合、スピーカ243は、聴覚情報提供手段240の一部を構成するものであったが、例えば後述するオーディオのスピーカを適用することも可能である。
【0016】
また、車両用情報提供装置100は、乗員識別手段であるキーレスエントリ装置220の送信機221及び受信機222と、オーディオ223と、車両の車庫入れや縦列駐車等の際、障害物を検知して報知するコーナーセンサ装置224、バックソナー装置225等からなる障害物警報装置とが多重通信線230を介して接続されている。なお、制御手段202は、多重通信入出力端子213及び多重通信線230を介してオーディオ223へ音量のミユート指示を行う指示信号を出力することが可能である。
【0017】
次に、図2〜図5を用いてカスタマイズモードについて説明する。図3(a),図4(a),図5(a)は、車両用情報提供装置100をカスタマイズモードに移行させたとき、表示部101 に表示される各種設定の内容を示すものであり、また、図3(b),図4(b),図5(b)は、第2の記憶手段204における前記カスタマイズモードにて登録された各種設定内容の登録状態を示すものである。なお、図3(a),図4(a),図5(a)の各図中におけるアンダーライン箇所は、初期設定値を示している。
【0018】
車両の利用者は、カスタマイズモード設定端子210を外部より操作して制御手段202が予め有しているカスタマイズモードへ移行するように制御手段202に指示を与える。具体的には、カスタマイズモード設定端子210の通常電位が「ハイ」レベルにある端子をスイッチ等の所定操作により「ロー」レベルに変更することで制御手段202による認識が可能となる。制御手段202は、前記カスタマイズモードへ移行すると、駆動手段205を介して表示部101を通常表示から図3(a)で示すカスタマイズモードの初期画面表示(初期画面300)へ切り替える処理を実行する。
【0019】
かかる初期画面300は、利用者が、入力手段211を介して各聴覚情報の周波数(スピーカ243による鳴動周波数)を選択する画面である。ここで図3(a)中、1は利用者が自動変速機のセレクトレバーをリバースに操作したことを検出して報知されるリバース警報音の周波数の選択画面を示している。例えば初期設定値である800Hzから700Hzへの選択が利用者によってなされたとすると、制御手段202は、キーレスエントリ装置220を介して車両を利用している利用者の識別コード(識別情報)を特定し(ここでは、識別コードとしてID1を得たものとする)、第2の記憶手段204の識別コードID1に関係付けられたエリアへ設定内容を記憶させる。つまり、図3(b)に示すように識別コードID1に対応する周波数1エリア(領域R1)には設定内容である700Hzが登録される。これと同時に、制御手段202は、初期画面300において800Hzに選択表示されているアンダーラインを700Hzに切り替えるような制御を行い、これにより図示は省略するが前記アンダーラインが800Hzではなく700Hzを選択表示することになる。
【0020】
また、図3(a)中、2はコーナーセンサ装置224からの警報指示に基づいて発せられる警報音の周波数の選択画面を示している。例えば初期設定値である4000Hzから2000Hzへの選択が利用者によってなされたとすると、制御手段202は、キーレスエントリ装置220を介して車両を利用している利用者の識別コード(識別情報)を特定し(ここでは、識別コードとしてID1を得たものとする)、第2の記憶手段204の識別コードID1に関係付けられたエリアへ設定内容を記憶させる。つまり、図3(b)に示すように識別コードID1に対応する周波数2エリア(領域R2)には設定内容である2000Hzが登録される。これと同時に、制御手段202は、初期画面300において4000Hzに選択表示されているアンダーラインを2000Hzに切り替えるような制御を行い、これにより図示は省略するが前記アンダーラインが4000Hzではなく2000Hzを選択表示することになる。ここで、コーナーセンサ装置224から発せられる警報音の周波数の初期設定値である4000Hz付近は、成人の耳の感度が高くなり小さな音でもよく聞こえる周波数であるが、高齢の利用者にとっては周波数が高い音ほど聞き取りにくくなる傾向にあるため、ここでは2000Hzを選択している。
【0021】
また、図3(a)中、3はバックソナー装置225からの警報指示に基づいて発せられる警報音の周波数の選択画面を示している。ここでは初期設定値である1000Hzの選択が利用者によってなされたため、制御手段202は、第2の記憶手段204への設定内容の書き込み処理は行わない。これにより図3(b)に示すように第2の記憶手段204の識別コードID1に対応する周波数3エリア(領域R3)には初期設定値1000Hzが記憶される。
【0022】
なお、この初期画面300における前記リバース警報音、コーナセンサ装置224やバックソナー装置225から発せられる警報音の周波数の選択にあたっては、初期画面300の右下に設けられたプレビューマーク(プレビュー表示)301を選択することで事前にリアルタイムで選択された各警報音の周波数を確認することが可能となる。具体的には、制御手段202は、プレビューマーク301の選択を検出すると、ミキシング手段241、アンプ242を介して、スピーカ243で選択された各警報音の周波数を鳴動させるので、利用者はこの選択された各警報音の周波数を予め確認(認識)することができる。例えばリバース警報音であれば、利用者は実際に前記セレクトレバーをリバースに操作する前に、前記利用者の選択(設定)した前記リバース警報音(周波数)を予め確認することができるようになっている。
【0023】
また、利用者の好みに応じて、コーナーセンサ装置224から発せられる警報音の周波数(初期設定値)と、バックソナー装置225から発せられる警報音の周波数(初期設定値)を入れ替えることも可能である。つまり、この場合、制御手段202は、識別コード(ここでは、他の識別コードID2)に対応する周波数2エリア(領域R4),周波数3エリア(領域R5)に対して、領域R4にはバックソナー装置225から発せられる警報音の周波数の初期設定値である1000Hzを書き込み、領域R5にはコーナセンサ装置224から発せられる警報音の周波数の初期設定値である4000Hzを書き込む処理を行うことになる。
【0024】
次に、カスタマイズモードにおける他の初期画面310について説明する。カスタマイズモードへ移行すると、制御手段202は、駆動手段205を介して表示部101を通常表示から図4(a)に示すカスタマイズモードの初期画面表示(初期画面310)へ切り替える処理を実行する。かかる初期画面310は、利用者が、入力手段211を介して各聴覚情報の優先度に関する(ここでは、同時に複数の警報条件が発生したときの各警報音の報知方法の)選択を行う画面である。
【0025】
例えば図4(a)中、1は予め決められた優先順位に従って、各聴覚情報(各警報音)を順次鳴動する場合の選択項目を示し、2はミキシング手段241により各警報音を同時に鳴動する場合の選択項目を示している。なお、2の場合においては、そのときの各警報音の音圧(音圧レベル)を同じにするか、優先度に応じて各警報音の音圧を可変にするかの選択を行うことが可能である。
【0026】
なお、この初期画面310における各警報音の優先度の選択にあたっては、初期画面310の右下に設けられたプレビューマーク(プレビュー表示)311を選択することで事前にリアルタイムで選択された項目における各警報音の鳴動状態を確認することが可能となる。具体的には、制御手段202は、プレビューマーク311の選択を検出すると、ミキシング手段241、アンプ242を介して、スピーカ243で選択された項目に対して各警報音を順次鳴動あるいは同時鳴動させるので、利用者は選択された項目における各警報音の鳴動状態を予め確認することができる。
【0027】
次に、カスタマイズモードにおける他の初期画面320について説明する。カスタマイズモードへ移行すると、制御手段202は、駆動手段205を介して表示部101を通常表示から図5(a)に示すカスタマイズモードの初期画面表示(初期画面320)へ切り替える処理を実行する。かかる初期画面320は、利用者が、入力手段211を介して各聴覚情報の音色(ここでは、警報音の繰り返しピッチ、警報音を単音で鳴動するか、和音で鳴動するか、警報音にエコーをかけるか否か)の選択を行う画面である。
【0028】
ここで図5(a)中、1は前記リバース警報音の音色の選択画面を示しており、例えば初期設定値である「ピッチ中、単音、エコーなし」から「ピッチ長、和音、エコーあり」への選択が利用者によってなされたとすると、制御手段202は、キーレスエントリ装置220を介して車両を利用している利用者の識別コード(識別情報)を特定し(ここでは、識別コードとしてID1を得たものとする)、第2の記憶手段204の識別コードID1に関係付けられたエリアへ設定内容を記憶させる。つまり、図5(b)に示すように識別コードID1に対応する音色1エリア(領域R6)には設定内容である「ピッチ長、和音、エコーあり」が登録される。これと同時に、制御手段202は、初期画面320において「ピッチ中、単音、エコーなし」に選択表示されている各アンダーラインを「ピッチ長、和音、エコーあり」にそれぞれ切り替えるような制御を行い、これにより図示は省略するが前記各アンダーラインが「ピッチ中、単音、エコーなし」ではなく「ピッチ長、和音、エコーあり」をそれぞれ選択表示することになる。
【0029】
また、図5(a)中、2は利用者がシートベルトを着用していない場合に、報知されるシートベルト非着用警報音の音色の選択画面を示している。ここでは初期設定値である「ピッチ中、和音、エコーあり」の選択が利用者によってなされたため、制御手段202は、第2の記憶手段204へ設定内容の書き込み処理は行わない。これにより図5(b)に示すように第2の記憶手段204の識別コードID1に対応する音色2エリア(領域R7)には初期設定値「ピッチ中、和音、エコーあり」が記憶される。
【0030】
なお、この初期画面320における前記リバース警報音、前記シートベルト非着用警報音の音色の選択にあたっては、初期画面320の右下に設けられたプレビューマーク(プレビュー表示)321を選択することで事前にリアルタイムで選択された各警報音の音色を確認することが可能となる。具体的には、制御手段202は、プレビューマーク321の選択を検出すると、ミキシング手段241、アンプ242を介して、スピーカ243で選択された各警報音の音色を鳴動させるので、利用者はこの選択された各警報音の音色を予め確認することができる。
【0031】
以上のように本実施形態では、利用者に車両情報を聴覚情報にて提供するスピーカ243の前記聴覚情報に関する仕様の各種設定を登録するカスタマイズモードを有する制御手段202と、前記カスタマイズモードにおける前記各種設定の内容を定めるための入力手段211と、前記各種設定の内容を登録するための第2の記憶手段204とを備えた車両用情報提供装置100において、第2の記憶手段204に登録された前記各種設定の内容は、前記利用者に対してスピーカ243を通じて予め認識可能に設定されていることによって、例えばリバース警報音からなる聴覚情報であれば、利用者は実際にセレクトレバーをリバースに操作する前の段階で、前記利用者の選択(設定)した前記リバース警報音を予め確認することができ、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を向上させることができるとともに、車両の利用者の年齢に応じた聴覚特性、あるいは好みに応じて車両用情報提供装置の少なくともスピーカ243の聴覚情報に関する仕様のカスタマイズ登録を行うことが可能となり、また、様々な聴覚特性、好みを持った利用者の要求に応えることが可能となり、利便性に優れた車両用情報提供装置を提供できる。
【0032】
また本実施形態では、各種設定の内容には各種警報音の音色を選択する項目が含まれており、制御手段202は、カスタマイズモードへ移行すると、カスタマイズモード時の他の初期画面320に警報音の繰り返しピッチ、警報音を単音で鳴動するか、和音で鳴動するか、警報音にエコーをかけるか否かの選択を行う画面を表示させ、利用者が「ピッチ長、和音、エコーあり」の選択を行ったときに、第2の記憶手段204の識別コードID1に対応する音色1エリア(領域R6)には設定内容である「ピッチ長、和音、エコーあり」が登録されることによって、利用者によって選択された前記設定内容を常に最新の状態にて更新することが可能となり、利便性の高い車両用情報提供装置を提供できる。
【0033】
また、前記聴覚情報に関する各種設定の内容は、利用者を識別するキーレスエントリ装置220による識別コードと前記各種設定の内容とが関係付けられた状態にて第2の記憶手段204に登録されてなるものであり、利用者毎の聴覚情報に関する仕様のカスタマイズ登録を行うことができ、しかも識別コードとともに前記聴覚情報の各種設定を記憶することが可能であることから、利用者が車両の乗り込む毎に設定しなければならないといった煩わしい作業が不要となることから、聴覚情報を発する車両用情報提供装置100としての利便性が更に高まる。
【0034】
また本実施形態では、前記各種設定の内容を表示可能とする表示手段101を備え、この表示手段101は、第2の記憶手段204に登録された前記各種設定の内容をスピーカ243を通じて予め認識させるために設定されたプレビュー表示301,311,321を有することにより、利用者は聴覚情報の事前確認操作を容易に行うことができるというメリットがある。
【0035】
また本実施形態では、聴覚情報提供手段をスピーカ243により構成するものであったが、スピーカ243の代わりとしてブザーやチャイムからなる聴覚情報提供手段を用意し、前記聴覚情報提供手段の周波数や音色等を様々な設定により異ならせることによって、聴覚情報のカスタマイズ化を容易に得ることができる。
【0036】
また本実施形態では、キーレスエントリ装置220を利用者識別手段としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばリモコン操作を不要としたスマートエントリ装置、盗難防止のためのイモビライザー装置等の利用者識別コードを利用するもの、さらには指紋照合等の個人認証装置を使用できることは言うまでもない。
【0037】
また本実施形態では、通常モードからカスタマイズモードへの移行において、カスタマイズモード設定端子210を用いるものであったが、例えば「通常モードとカスタマイズモードとの切り換え」、「設定項目の選択」、「設定内容の入力」、「設定内容のプレビュー」、「設定内容の登録」等の機能別に分けて複数個のスイッチ群からなる入力手段を構成し、この入力手段の所定入力に応じて通常モードとカスタマイズモードとの切り換えを行うものであってもよい。なお、かかる入力手段は、車両のステアリング等に配設することが可能である。
【0038】
また本実施形態では、カスタマイズモードへの移行後に入力手段211の所定入力により「設定項目の選択」及び「設定内容の登録」を行うものであったが、カスタマイズモードへ移行するための1個のスイッチを用意し、この単一のスイッチによりカスタマイズモードへの移行及び前記カスタマイズモードでの各種設定、登録を行うものであってもよい。具体的には、単一のスイッチを用い、短い時間の押圧操作で「通常モードとカスタマイズモードとの切り換え」及び「設定項目の選択」を行い、各設定項目においては短い時間の押圧操作で複数の設定内容を順次切り換えながら表示部101で表示し、利用者の所望の前記設定内容が表示された時点で長い時間の押圧操作で設定内容の登録を行い、その後の短い時間の押圧操作で次の設定項目へ移り、以下同様な操作を繰り返すことにより、単一のスイッチによる「通常モードとカスタマイズモードとの切り換え」、「設定項目の選択」及び「設定内容の登録」を行うことができ、また、他の「通常モードとカスタマイズモードとの切り換え」、「設定項目の選択」、「設定内容の入力」、「設定内容のプレビュー」及び「設定内容の登録」にあっては、音声入力手段を備え、この音声入力手段を介して音声入力により指示することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、聴覚情報提供手段を利用した車両用情報提供装置に関し、車両情報を表示する車両用メータのみならず、車両に搭載されるナビゲーション装置やマルチディスプレイ装置等の車両用情報提供装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
100 車両用情報提供装置
101 表示部(表示手段)
202 制御手段
203 第1の記憶手段
204 第2の記憶手段(記憶手段)
210 設定手段(カスタマイズモード設定端子)
211 入力手段(入力端子)
212 車両情報端子
213 多重通信入出力手段(多重通信入出力端子)
220 キーレスエントリ装置
224 コーナーセンサ装置
225 バックソナー装置
230 多重通信ライン
240 聴覚情報提供手段
243 スピーカ
301、311、321 プレビューマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に各種車両情報表示を行うための表示部と、
前記利用者に車両情報を少なくとも含む各種警報音を提供する聴覚情報提供手段の前記各種警報音に関する仕様の各種設定を登録するカスタマイズモードを有する制御手段と、
前記カスタマイズモードにおける前記各種設定の内容を定めるための入力手段と、
前記各種設定の内容を登録するための記憶手段とを備えた車両用メータにおいて、
前記各種設定の内容には、前記各種警報音の音色を選択する項目が含まれており、
前記制御手段は、前記カスタマイズモードへ移行すると、前記表示部を前記各種車両情報表示から前記カスタマイズモードの専用画面表示に切り替えるとともに前記表示部に前記音色に関連する候補を示す選択候補と初期設定値とを表示させ、
前記利用者が前記入力手段を用いて前記各種警報音の中から1つの警報音の前記選択候補を選択して、この前記利用者によって選択された前記1つの警報音の前記選択候補を、前記初期設定値から切り替えて選択表示するとともに前記聴覚情報提供手段を通じてリアルタイムで予め認識可能とし、
さらに前記利用者が選択した前記選択候補を、前記記憶手段の前記1つの警報音に対応して設けられたエリアへ記憶させることを特徴とする車両用メータ。
【請求項2】
前記各種設定の内容を表示可能とする前記表示部は、前記利用者によって選択された前記選択候補を前記聴覚情報提供手段を通じて予め認識させるために設定されたプレビュー表示を備えてなることを特徴とする請求項1記載の車両用メータ。
【請求項3】
前記各種設定の内容は、前記利用者を識別する乗員識別手段による識別情報と前記各種設定の内容とが関係付けられた状態にて前記記憶手段に登録されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用メータ。
【請求項4】
前記選択表示は、前記表示部に表示させた前記選択候補のアンダーラインの切り替えで示すことを特徴とする請求項1記載の車両用メータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82457(P2013−82457A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27311(P2013−27311)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2005−247041(P2005−247041)の分割
【原出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)