説明

車両用ランプおよびその製造方法、並びに、車両用ランプにおける導光体の製造方法

【課題】導光体を用いて構成される車両用ランプにおいて、反射膜を備えた導光体を格別保護部材を設けることなく反射膜の保護が図れるようにする。
【解決手段】ドアミラー1に組込まれるサイドターンランプ2に、長尺状の導光部材6を設け、該導光部材6aに設けられる断面円形状の導光部6aを、長尺方向一端部に設けた第一発光ダイオード9による照射で長尺状の光を放射するよう構成したものにおいて、導光部6aは内部に反射面Lを設けて、導光部6aに入光した光が反射面Lを介して乱反射状態で放射する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられる車両用ランプおよびその製造方法、並びに、車両用ランプにおける導光体の製造方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ランプのなかには、長尺中実状の導光体を用いて構成されるものがあり、このものでは、導光体の長尺方向一端部に設けた光源からの入光により、導光体から長尺状の光が放射するように構成している。このような車両用ランプをドアミラーに組込まれるサイドターンランプとした場合、長尺状の光を設けることで法定要件を満足できるうえ、意匠的にも優れたサイドターンランプとすることができ、近年多用されている。
【0003】
このようなものにおいて、サイドターンランプの視認性、意匠性の向上を図るために、導光体の長尺方向に沿う一方の面であって、サイドターンランプの光の放射方向とは反対側となる長尺面に乱反射発生手段として反射膜を設けて、導光体の他方の長尺面から光が散乱する状態で放射され、しかも、長尺方向一端部側から入光した光が他端部に至るまでの間に減衰するのを防止するようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】特開2008−94215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のもののように、光散乱手段として金属膜を蒸着等の手段により設ける場合では、導光体の材料と金属膜の金属との相性によっては金属膜が剥離しやすく、不良品の発生率が高くなったり、耐久性が低下する等の問題がある。さらに、金属膜の金属をアルミニウムのように腐食性の金属とした場合では、早期に酸化する等、耐久性に問題があり、これに対処するためには、例えば金属膜に耐食性の膜をコーティングする等の別途作業が必要となり、作業工程数が増加して作業が煩雑になるばかりでなく、コストアップという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、長尺状の導光体を用いた車両用ランプにおいて、前記導光体は、該導光体の長尺方向一端部に設けた光源の照射により長尺状の光を放射するものとし、前記導光体は、内部に反射面を有していることを特徴とする車両用ランプである。
請求項2の発明は、導光体は、反射面に隣接して中空部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプである。
請求項3の発明は、反射面は、耐食性金属を蒸着処理することにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ランプである。
請求項4の発明は、反射面は、腐食性金属を蒸着処理することにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ランプである。
請求項5の発明は、長尺状の導光体を組込んで製造する車両用ランプの製造方法であって、前記導光体は、長尺方向に沿って二分割された半割り体をそれぞれ一次射出する第一工程と、一方の半割り体の突合せ面に反射面を蒸着処理する第二工程と、半割り体同士を突合せて、外周部に樹脂材を二次射出して半割り体同士を接合する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプの製造方法である。
請求項6の発明は、長尺状の導光体を組込んで製造する車両用ランプの製造方法であって、前記導光体は、長尺方向に沿って二分割された一方の半割り体を一次射出する第一工程と、前記一次射出された半割り体に反射面を蒸着処理する第二工程と、前記一次射出された半割り体に他方の半割り体を二次射出する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプの製造方法である。
請求項7の発明は、長尺状の導光体は、長尺方向に沿って二分割された半割り体をそれぞれ一次射出する第一工程と、一方の半割り体の突合せ面に反射面を蒸着処理する第二工程と、半割り体同士を突合せて、外周部に樹脂材を二次射出して半割り体同士を接合する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプにおける導光体の製造方法である。
請求項8の発明は、長尺状の導光体は、長尺方向に沿って二分割された一方の半割り体を一次射出する第一工程と、前記一次射出された半割り体に反射面を蒸着処理する第二工程と、前記一次射出された半割り体に他方の半割り体を二次射出する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプにおける導光体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、反射面となる金属と導光体の材料との選択の自由度を大きくできるとともに、格別保護部材を設けることなく反射面の保護が図れて、耐久性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、意匠性の向上を図れる。
請求項3、4の発明とすることにより、反射面の保護が図れて耐久性を向上できる。
請求項5、6、7、8の発明とすることにより、反射面が内部に形成された導光体、該導光体を用いた車両用ランプを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は車両のドアに設けられるドアミラーであって、該ドアミラー1を構成するボディー1aは、前方に開口部が形成され、該開口部に図示しないミラーが位置調整自在に嵌め込まれている。前記ボディー1aのミラーの背面側となる後部は、後方に膨出する形状に形成されており、該膨出部における下方部位に、本発明が実施されたターンランプ2が一体的に組込まれており、ターンランプ2の点灯によりドアミラー1の後方(車両の前方)から左右何れか一方の端部に向けて光を放射するように構成されている。
【0008】
尚、ドアミラー1は左右対称状のものが車両の左右ドア体に設けられるが、ここでは、図1に示す車両左側に設けられるドアミラー1についての説明をし、右側のドアミラー1の説明については省略する。
前記ドアミラー1に組込まれるターンランプ2は、ミラーの後方(背面側)を構成するボディー1aの後方膨出部の下方部位に位置して、一つの組立て部品として組込まれている。
前記ターンランプ2は、ボディー1aの内側(ミラー側)に収容されるベースハウジング3とインナーハウジング4、さらには、インナーハウジング4の後方部位を覆蓋し、ボディー1a外周面とともに外部に露出するアウターレンズ5とを備えて構成されている。
【0009】
前記ベースハウジング3は、非透光性樹脂材により形成されており、図3に示すように、ドアミラーボディー1aの下方部位に内装されるべく左右方向長尺状の湾曲形状に形成されており、車体の左右方向外方となる左端部位が、前方に向けてR状に折曲する形状に形成されている。そして、ベースハウジング3は、底片3aを備え、後方から左方に向けて開口する凹部3bを備えて形成されており、該凹部3bの後方からインナーハウジング4が組込まれることにより凹部3bが塞がれるように構成されている。
尚、3cは、外部電源との接続部、3dはドアミラー1のボディー1aと一体化するための取付け片である。
【0010】
一方、前記インナーハウジング4は、透光性樹脂材により形成されており、図4に示すように、ベースハウジング3と同様に左右方向長尺状で、左端部位が前方に向けてR状に折曲する湾曲形状に形成されるが、本実施の形態では、インナーハウジング4は、長尺状で、かつ、断面円形状の導光部6a(本発明の導光体に相当する)を備えた導光部材6とインナー部材7とを一体化することにより構成されている。
前記インナー部材7は、図5に示すように、上下一対のフランジ片部7a、7bと、これらフランジ片部7a、7bとのあいだを連結する一体化片部7cとにより構成されている。前記一体化片部7cは、上下のフランジ片部7a、7bよりも前方に偏寄する凹溝形状に形成されているとともに、左端側部位が切欠かれて上下のフランジ片部7a、7bとのあいだに中空部7dが形成されている。尚、7eは上下のフランジ片部7a、7bの右端から延出し、一体化片部7cの右端側に位置するように形成された支持片部であって、該支持片部7eは、後述する光源ユニット8に配設される第一発光ダイオード9を位置決め状に固定支持するように構成されている。
尚、インナー部材7は光遮断手段を設けてもよく、光遮断手段としては、例えば、しぼ加工を全体に施す構成、反射膜を全体に塗布する構成、また、インナー部材7を非透明、好ましくは、非透光性樹脂材で形成する構成が提唱される。そして、このように光遮断手段を設けた場合では、インナー部材7の前方に組込まれる光源ユニット8をアウターレンズ5側から目視することができず、意匠性の向上を図ることができるとともに、光源ユニット8の漏光を防止することも可能となる。
【0011】
また、前記導光部材6は透明部材(透光性樹脂材であって、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等)を用いて湾曲形状に形成されており、図6に示すように、前記断面円形状に形成される導光部6aは、後方に対向するように形成され、導光部6aの右端部には半球体形状の入光部6bが形成されている。さらに、導光部6aの左端側部位には、前方に向けてR状に折曲して左方に対向するインナーレンズ部6cが形成されており、該インナーレンズ部6cは扁平状に形成されている。そして、導光部材6は、インナー部材7に後方から組込まれ、導光部6aが一体化片部7cの凹溝形状に嵌め込まれて保持される状態となっており、インナーレンズ部6cは、中空部7dを介して前方に露出してベースハウジング3と直接対向するように構成されている。
【0012】
また、本実施の形態の導光部材6は、導光部6aの内部に光散乱手段に相当する左右方向長尺状の反射面Lが設けられており、入光部6bから照射された光を反射面Lにより反射して、散乱した状態で導光部6aの後面から後方に向けて放射するように構成されている。
つまり、導光部材6は、導光部6aを長尺方向に沿って二分割した半割り体同士を一体化(接合)することにより構成されており、ミラー側に位置する半割り体である前側部位6dと光を放射する側の半割り体である後側部位6eとを備えて構成されている。このとき、導光部6aに続くインナーレンズ部6cは、後側部位6eに一体形成されており、該後側部位6e(の占める割合)は、前側部位6d(が占める割合)よりも大きく形成されている。前記前側部位6dと後側部位6eとは、互いに密着する状態で突当てられており、突当て面同士となる前側部位6dの後面6fは後方に向けて膨出状に、後側部位6eの前面6gは前記膨出状部を嵌入するよう前方に向けて凹状に形成されることにより、突当て部が後方に膨出する形状となっている。
【0013】
そして、これら後面6fと前面6gとの少なくとも一方の面である後面6fおよび/または前面6gに反射面Lが設けられている。本実施の形態では、後側部位6eの長尺状の前面6gの外周縁部を除く全域に、金属を蒸着させることにより形成される金属膜からなる反射面Lが設けられている。前記反射面Lが形成された後側部位6eは、反射面Lが形成されない外周縁部と前側部位6dの外周縁部とを接合することにより導光部材6が形成されており、これによって、反射面Lが導光部6aの内部に設けられるように構成されている。そして、導光部材6は、入光部6bを介して導光部6aに入光した光が反射面Lにより乱反射する状態となって後方に向けて放射するように構成されている。
さらに、この場合に、反射面Lは、図2(B)に示すように、後方に膨出する湾曲形状に形成されており、光が上下方向に拡散する状態で反射されて視認度が高められるように構成されている。
ここで、本実施の形態の反射面Lは、腐食性の金属であるアルミニウムを蒸着することによる金属膜であるが、導光部6aの内部に設けられることにより酸化が防止され、耐久性の向上が図れるように構成されている。また、互いに密着する前側部位部6dの後面6fと後側部位6eの前面6gとの間に反射面Lが設けられており、反射面Lが剥離し難く、長期にわたる反射機能を保持できるように構成されている。
また、導光部材6のインナーレンズ部6cは、前面に入光された光を乱反射するための乱反射手段6hが施されているが、ここでの乱反射手段6hは、前面に複数の凹凸面を形成することにより乱反射するように構成されている。これによって、導光部6aは、入光された光が反射面Lにより乱反射する状態で後側部位6eから放射され、また、インナーレンズ部6cは、乱反射する光が後方から左方に向けて放射されるように構成されている。
【0014】
ここで、導光部材6の形成手順について説明する。
本実施の形態では、型移動を伴う射出成形により導光部材6が形成されており、この場合に、第一工程では、一次射出がなされて、前側部位6dと後側部位6eとがそれぞれ型成形される。続く第二工程では、後側部位6eの前面6gを成形する型を取外し、後側部位6eを支持する型を蒸着装置に対向させ、後側部位6eの前面6gに反射面Lを蒸着する。そして、第三工程では、後側部位6eを支持する型と、後面6fを形成する型が取外された前側部位6dを支持する型とを突当てて、後側部位6eの前面6gと前側部位6dの後面6fとの外周縁部に二次射出を施して、後側部位6eと前側部位6dとを接合する。
このとき、二次射出に用いる樹脂材は、前、後側部位6d、6eを形成するべく一次射出で用いた樹脂材と同様の樹脂材が用いられているが、異なる樹脂材を用いることも可能である。
このようにすることにより、内部に反射膜Lが形成された導光部6aを備えた導光部材6を簡単、かつ、容易に、しかも、歩留まりよく形成することが可能となる。
【0015】
一方、前記光源ユニット8は、図7に示すように、ベースハウジング3とインナーハウジング4とのあいだに組込まれるように構成されており、本実施の形態では、ターンランプ2の光源となる第一、第二、第三発光ダイオード9、10、11をバスバー12に適宜接続して一体化されたものに構成されている。さらに、前記光源ユニット8のバスバー12は湾曲形状に形成されており、前側面となる湾曲内側面には、第一〜第三発光ダイオード9、10、11が適宜配線されるとともに必要な電子部品が装着された基板13が設けられている。前記光源ユニット8は、インナーハウジング4(インナー部材7)に保持されるように構成されており、インナーハウジング4と光源ユニット8との組込み状態を一つのユニット化されたインナーアッシーとして、ベースハウジング3とアウターレンズ部5とのあいだに組込まれるように構成されている。このとき、光源ユニット8には基盤13に一体化する状態で中間部材14が設けられており、該中間部材14の前端縁部が、ベースハウジング3とアウターレンズ5との突当て部に挟持状に一体化されるように構成されている。これによって、インナーハウジング4と光源ユニット8とはガタつきなくベースハウジング3とアウターレンズ部5とに保持されるように構成されている。尚、14aは、基板13と外部電源とを接続するための端子であって、中間部材14を上下方向に貫通して、ベースハウジング3の接続部3cに内装されるように構成されている。
【0016】
ここで、前記各発光ダイオード9、10、11は何れも汎用のものが用いられており、インナー部材7の支持片部7eに支持される第一発光ダイオード9は導光部材6の長尺方向一方の端部(右端部)の入光部6bの一端側(右端側)に位置し入光部6bに向けて放光するように配設されている。また、第二、第三発光ダイオード10、11は、中空部7dを介してベースハウジング3側に露出する導光部材6のインナーレンズ部6cの前方に位置し、インナーレンズ部6cに対して左斜め後側方向と左側方向とに向けて放光するように配設されている。これによって、導光部材6は、入光部6bの右端側に配される第一発光ダイオード9の点灯により、入光部6bから導光部6a、インナーレンズ部6cに至る長尺状の光が反射面Lにより乱反射し、しかも、反射面Lが後方に膨出する湾曲形状になっていることから拡散する状態となって後方に向けて放射するとともに、第二、第三発光ダイオード10、11の点灯により、インナーレンズ部6cから乱反射する光を後方から左方側に向けて光を放射するように設定されている。
因みに、導光部材6の入光部6bを半球体形状とすることにより、第一発光ダイオード9からの光が散乱した状態となって導光部6a、インナーレンズ部6cに向けて誘導されるように設定されており、光の減衰を低減することができて意匠性のよい光を放射するように構成されている。また、本実施の形態では、車体の左右方向外方部である左端部に第二、第三発光ダイオード9、10を設けてインナーレンズ部6c部位に入光させ、該インナーレンズ部6cから光が散乱した状態で外部に放射されるように構成されているため、ターンランプ2としての法定要件を満足する照度を確実に放射できるように構成されている。
【0017】
そして、インナーハウジング4の後方を覆蓋するようにアウターレンズ5が配され、ベースハウジング3の外周縁とアウターレンズ5の外周縁とを突き当て状に一体化することによりターンランプ2が構成されるが、前記アウターレンズ5は、透光性樹脂材で一体形成されており、インナーハウジング4のインナー部材7に形成される支持片7eに支持される第一発光ダイオード9が配設された部位に対向する光源対向部位5aは、段差部5bを介して第一発光ダイオード9に近接するように形成されている。さらに、光源対向部位5aには光遮断手段が設けられていて、第一発光ダイオード9から放射される光が光源対向部位5aを介して外部に放射する(漏光する)のを防止して、効率よく導光部材6を照射することができるように構成されている。
因みに、本実施の形態の光源対向部位5aは、しぼ加工することにより光遮断手段が構成されているが、光遮断手段としては、非透光性のシールを貼着すること、反射膜等、非透光性の成膜を形成すること等、他の光遮断手段を用いることも可能である。
このようにすることにより、第一発光ダイオード9から放射される光は導光部6aの左端側において減衰するのが防止され、導光部6aの左右方向全域において均一に光が放射され、視認性を高めることができる。さらに、光源対向部位5aは、ドアミラー1のボディー1aにより覆蓋するように組込まれるように構成されており、これによって、光源対向部位5aから外部への漏光が一層防止されている。
【0018】
叙述の如く構成された本形態において、ドアミラー1に組込まれたターンランプ2は、導光部材6の導光部6aには第一発光ダイオード9からの光が入光し、インナーレンズ部6cには第二、第三発光ダイオード10、11からの光が入光して、導光部6aからは意匠性を向上させる長尺状の光が後方に向けて放射され、インナーレンズ6cからは法定要件を満足するための光が左右方向外方に向けて放射される。そして、この場合に、導光部材6の導光部6aは、後方に向けて乱反射するべく光を反射させるための反射面Lが、導光部6aの内部に設けられている。この結果、導光部6aからの長尺状の光が乱反射する状態で後方に放射されて、視認度が高く、意匠性に優れたサイドターンランンプ2とすることができる。しかも、反射面Lは、前側部位6dと後側部位6eとの間に挟み込まれるように設けられているので反射面Lの剥離が防止される。このため、格別保護部材を設けることなく反射面Lの保護が図れて、反射面Lを構成する蒸着処理される金属と導光部6aの材料との選択の自由度を大きくすることができる。そのうえ、反射面Lは、導光部6aの内部に形成されていて外部に露出することがないので、アルミニウムのように腐食性の金属膜により構成されているとしても、酸化してしまうようなことがなく、反射面Lの保護が図れて耐久性の優れた反射面Lとすることができる。
【0019】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、反射面は、耐食性金属(例えばステンレス)を蒸着処理するようにしてもよい。
また、図8(A)、(B)に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
前記第二の実施の形態の導光部材15は、前記第一の実施の形態と同様に構成されており、長尺状で、断面円形状の導光部15aを、前側部位15bと後側部位15cとの半割り体により構成し、後側部位15cの前面15dに反射面L2を形成し、その後、前、後側部位15b、15c同士を外周縁部において接合して一体化することにより、内部に反射面L2が形成されている。さらに、第二の実施の形態の導光部15aは、反射面L2が平板状に形成されるとともに、反射面L2の前方に隣接する状態で中空部S2が設けられているが、この場合でも、導光部15aの一端部の入光部15eから入光する光源は、反射面L2により乱反射する状態で導光部15aから長尺状に放射することができ、しかも、反射面L2の保護が図れる。
さらに、図8(C)、(D)、(E)に示す第三、第四、第五の実施の形態の導光体16、17、18は、それぞれ前、後側部位16a、16b、17a、17b、18a、18bの半割り体で構成され、前側部位16a、17a、18aの後面16c、17c、18cに反射面L3、L4、L5を形成し、各反射面L3、L4、L5の後方に中空部S3、S4、S5が隣接する構成となっている。また、第三の実施の形態の反射面L3は平板状に、第四の実施の形態の反射面L4は前方に膨出する湾曲形状に、第五の実施の形態の反射面L5は前方に向けて陥没する凹形状に形成されていて、それぞれ固有の光の放射状態となるように形成されている。
このように、反射面の前方あるいは後方に空隙部を設けることにより、光の放射状態に変化を与えることができ、また、反射面の形状を、左右方向に凹凸を設けたり、種々変化させることによっても光の放射状態に変化を与えることができ、反射面の形状や中空部の大きさを種々変化させることにより、種々の光の放射状態とすることが可能であり、意匠性を高めることができる。
【0020】
さらに、このように内部に反射面が形成された導光体を射出形成する場合では、導光体の前側部位または後側部位となる半割り体の一方、例えば、前側部位を一次射出により形成し、該一次射出による形成品である前側部位の後面に反射面を蒸着処理して形成し、二次射出により後側部位を形成するという手順で形成することも可能であり、このようにすることにより、内部に反射面が形成された導光体を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(A)、(B)はドアミラーの全体斜視図、ターンランプの背面図である。
【図2】図2(A)、(B)はそれぞれ図1(B)のX−X断面図、Y−Y断面図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)はそれぞれベースハウジングの平面図、正面図、側面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれインナーアッシーの平面図、正面図、背面図、側面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれインナー部材の平面図、正面図、図5(A)におけるX−X断面図、側面図である。
【図6】図6(A)、(B)、(C)はそれぞれ導光部材の平面図、正面図、図6(B)におけるX−X断面図である。
【図7】ベースハウジングとインナーアッシーとの組込み状態を説明する分解斜視図である。
【図8】図8(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態の導光部材の平面図、断面図、図8(C)、(D)、(E)はそれぞれ第三、第四、第五の実施の形態の導光体の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ドアミラー
1a ボディー
2 ターンランプ
3 ベースハウジング
4 インナーハウジング
5 アウターレンズ
6 導光部材
6a 導光部
6c インナーレンズ部
6d 前側部位
6e 後側部位
7 インナー部材
8 光源ユニット
9 第一発光ダイオード
12 バスバー
13 基板
L 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の導光体を用いた車両用ランプにおいて、前記導光体は、該導光体の長尺方向一端部に設けた光源の照射により長尺状の光を放射するものとし、前記導光体は、内部に反射面を有していることを特徴とする車両用ランプ。
【請求項2】
導光体は、反射面に隣接して中空部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
反射面は、耐食性金属を蒸着処理することにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
反射面は、腐食性金属を蒸着処理することにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ランプ。
【請求項5】
長尺状の導光体を組込んで製造する車両用ランプの製造方法であって、前記導光体は、長尺方向に沿って二分割された半割り体をそれぞれ一次射出する第一工程と、一方の半割り体の突合せ面に反射面を蒸着処理する第二工程と、半割り体同士を突合せて、外周部に樹脂材を二次射出して半割り体同士を接合する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプの製造方法。
【請求項6】
長尺状の導光体を組込んで製造する車両用ランプの製造方法であって、前記導光体は、長尺方向に沿って二分割された一方の半割り体を一次射出する第一工程と、前記一次射出された半割り体に反射面を蒸着処理する第二工程と、前記一次射出された半割り体に他方の半割り体を二次射出する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプの製造方法。
【請求項7】
長尺状の導光体は、長尺方向に沿って二分割された半割り体をそれぞれ一次射出する第一工程と、一方の半割り体の突合せ面に反射面を蒸着処理する第二工程と、半割り体同士を突合せて、外周部に樹脂材を二次射出して半割り体同士を接合する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプにおける導光体の製造方法。
【請求項8】
長尺状の導光体は、長尺方向に沿って二分割された一方の半割り体を一次射出する第一工程と、前記一次射出された半割り体に反射面を蒸着処理する第二工程と、前記一次射出された半割り体に他方の半割り体を二次射出する第三工程とにより形成されていることを特徴とする車両用ランプにおける導光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−108825(P2010−108825A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281143(P2008−281143)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】