説明

車両用ランプ

【課題】発光面積の小さい小型のランプの実効的な発光面積を拡大した車両用ランプを提供する。
【解決手段】自動車CARのフェンダーFDの一部に配設したランプCL,TSLから出射された光を車体の他の一部、例えばフェンダーFDの他の一部やサイドミラーSMに照射するための屈折体、反射体、導光体等からなる光学手段(121a,122a)を備える。ランプCL,TSLが点灯したときに、これらの光源から出射された光が反射する反射領域D−CL,D−TSLをランプCL,TSLのダミーの発光面とすることでランプCL,TSLの実効発光面を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車に装備される車両用ランプに関し、特に小型に形成する一方で発光面積を広くした車両用ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車、特に車体が小型化される傾向にある電気自動車やハイブリッド自動車では、車体の小型化に伴ってヘッドランプや補助ランプ等の自動車用ランプの配設スペースに制約を受けるようになる。例えば、小型の電気自動車では車体のエンジンルーム内に電池を配設することが多いため、エンジンルーム内の前部領域に配設スペースが必要とされる車体前部のグリル部にヘッドランプを配設することが難しく、したがって例えば特許文献1のようにヘッドランプを自動車の車体前部左右のフェンダーに配設することになる。このことはクリアランスランプやターンシグナルランプのような標識ランプあるいは補助ランプについても言える。また、この種の自動車では、車体後部に荷物室を確保するために車体後部に設けられるテールランプについても配設するための制約を受けることになる。そのため、この種の小型の自動車の車体に配設するランプの小型化は避けることができない状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−121399号公報
【特許文献2】特開2007−62565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように自動車の小型化に伴ってランプを小型化すると、これに伴ってランプの発光面積が低減されるため他車から自車を見たときの視認性が低下され、交通安全の上で深刻な問題になる。特に、クリアランスランプやターンシグナルランプ、さらには自動車の後部に配設するテールランプ等の標識機能を有するランプが小型化されると、他車における自車の視認性の低下が著しいものとなる。特許文献2では、プロジェクタ型のランプの視認性を向上するために、その発光面積を拡大する技術が提案されているが、この技術はプロジェクタ型のランプに限られること、並びに発光面積の拡大に伴ってランプ自体が大きくなって小型化に対応できなくなること等の理由で前記した小型のランプにおける実効的な発光面積の拡大を図ることは困難である。
【0005】
本発明の目的は発光面積の小さい小型のランプにおいても実効的な発光面積を拡大することを可能にした車両用ランプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の車体の一部に配設され、光源から出射した光を所要の配光で照射するランプであって、当該ランプは光源から出射した光を車体の他の一部に照射する光学手段を備えることを特徴とする。本発明における光学手段は、ランプに設けられたレンズの一部に形成された屈折体、反射体、導光体の少なくとも一つを含んで構成される。
【0007】
本発明は、例えばランプは車両のフェンダーの一部に配設されており、光学手段は光源から出射した光を当該フェンダーの他の一部あるいは車両のサイドミラーに照射する構成とする。あるいは、本発明は、ランプは車体のリア面の一部に配設され、光学手段は光源から出射した光を当該リア面の他の一部あるいは車両のリアウインドに照射する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ランプの光源から出射された光は所要の配光で照射されることはもとより、当該光源から出射された光は光学手段によって車体の一部に照射されるので、照射された光は車体の表面で反射されて外方に向けて照射される。そのため、車両を外部から観察したときに、所要の配光での光照射に車体での反射による光照射が加わるので、本来のランプの発光面に車体の光反射した領域が発光面として加算されることになり、発光面積の大きなランプとして視認されることになり、当該ランプの実効的な発光面積を拡大することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1の自動車の前部の概略斜視図。
【図2】実施形態1の自動車の前面図。
【図3】実施形態1の左ヘッドランプの概略外観図。
【図4】実施形態1の左ヘッドランプの概略断面図。
【図5】本発明の実施形態2の自動車の後部の概略斜視図。
【図6】実施形態2の自動車の後面図。
【図7】実施形態2の右リアランプの一部を破断した概略外観図。
【図8】図7のa−a線,b−b線の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を小型自動車、ここでは電気自動車のフロント側のランプに適用した実施形態1の前方から見た外観図、図2はその前面図である。図1及び2において、自動車CARは車体前部の左右の各フェンダーFDにそれぞれ右複合型ヘッドランプRCHLと左複合型ヘッドランプLCHLが配設されている。これらの複合型ヘッドランプRCHL,LCHLは詳細を後述するように1つのランプハウジング内にヘッドランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプを一体に構成したものである。
【0011】
図3は前記左複合型ヘッドランプLHLの概略外観図、図4はランプ光軸Lxに沿った方向の断面図である。ランプボディ11とアウターレンズ12とでランプハウジング1が構成され、このランプハウジング1内にそれぞれユニット化されたヘッドランプHL、クリアランスランプCL、ターンシグナルランプTSLが内装されている。前記ランプボディ11は前記フェンダーFDに設けられた開口内に埋設状態に配設されている。また、前記アウターレンズ12は白色透明の樹脂で形成されて前記ランプボディ11の上面から前面にわたって設けられた開口を覆うように取着され、前記フェンダーFDの表面よりも凸曲面状に突出した形状とされている。
【0012】
前記ヘッドランプHLはLED(発光ダイオード)を光源とするプロジェクタ型ランプとして構成されており、このプロジェクタ型ランプについては従来から提供されているプロジェクタ型ランプユニットをそのまま使用している。すなわち、簡単に説明すれば、ベース体24に支持されたLED光源21と、LED光源21から出射された光を集光状態に反射するリフレクタ22と、集光された光を前方に向けて照射する照射レンズ23を1つのユニットとして構成したものである。クリアランスランプCLは背面が回転放物面形状をしたリフレクタ32と、このリフレクタ32内に配設した白色のLED光源31を備えており、当該LED光源31から出射した光をリフレクタ32で前方に向けて反射し、自車の前方から側方に向けて出射して所要の配光を得る構成である。また、ターンシグナルランプTSLはリフレクタ42とアンバー色のLED光源21を備えており、当該LED光源41から出射した光をリフレクタ42で前方ないし側方に向けて反射し、自車の前方から側方に向けて出射して所要の配光を得るように構成されている。
【0013】
前記アウターレンズ12は、前記ヘッドランプHLから出射される光が透過される領域はいわゆる素通しレンズとして構成されているが、前記クリアランスランプCLとターンシグナルランプTSLからの各光が透過される領域はそれぞれ所要の配光を得るためのレンズステップ121,122が形成されている。さらに、前記アウターレンズ12には、これらのレンズステップ121,122とは別に、ランプ光軸Lxとは異なる自車の車体の一部に向けた方向に光を屈折又は反射するための光学手段が設けられている。すなわち、クリアランスランプCLからの光が透過されるレンズステップ121の一部には、当該透過光の一部を前方下向きに比較的大きな角度で屈折して前記フェンダーFDの前側領域に照射させるためのクリアランス光屈折体121aが設けられている。また、ターンシグナルランプTSLからの光が透過されるレンズステップ122の一部には、当該透過光の一部を車体外側寄りで、かつ自車の後方上向きに向けて反射して自車のフロンドドアやフロントピラーに配設されているサイドミラーSMに照射させるためのターン光反射体122aが設けられている。これらクリアランス光屈折体121aとターン光反射体122については後述する。
【0014】
この構成によれば、ヘッドランプHLを点灯すると、LED光源21から出射した光はリフレクタ22により集光状態に反射され、照射レンズ23により前方に向けて照射される。照射される光はアウターレンズ12の素通し領域を透過し、ランプ光軸Lxに沿って自車の前方領域に照射される。これにより、所要の配光での光照射が行われる。実施形態1では配光を制御するための可動シェードについての図示及び説明は行っていないが、この可動シェードを制御することによりハイビーム配光とロービーム配光を切り替えての光照射が可能である。
【0015】
クリアランスランプCLを点灯すると、LED光源31から出射した光はリフレクタ32で前方ないし側方に向けて反射され、アウターレンズ12を透過して出射される。この出射される光はアウターレンズ12に設けられているレンズステップ121により自車の前方から側方の領域に向けて出射され、所要の配光の照射光となる。また、図4に光路LAで示すように、クリアランスランプCLから出射される光の一部はクリアランス光屈折体121aにおいて屈折され、前記所要の配光とは異なり大きな角度で下方前方に向けて出射される。ここではクリアランス光屈折体121aは断面が上向き傾斜面を有する楔型のレンズステップで構成されている。そして、この出射された光は左複合型ヘッドランプLCHLが配設されている箇所の直前のフェンダーFDの表面に照射され、このフェンダーFDの表面で前方ないし側方に向けて反射される。
【0016】
これにより、当該自動車を前方から観察すると、図2に点描するように左複合型ヘッドランプLCHLにおいてクリアランスランプCLが点灯している状態が観察できるとともに、これと同時にクリアランスランプCLから出射してフェンダーFDで反射した光も観察されるため、このフェンダーFDにおいて光反射した領域D−CLが疑似(ダミー)クリアランスランプとして視認できるようになる。すなわち、本来のクリアランスランプCLの発光面にフェンダーFDでの光反射領域D−CLがダミーのクリアランスランプ発光面として加算されることになり、発光面積の大きなクリアランスランプとして視認されることになる。
【0017】
一方、ターンシグナルランプTSLを点灯(点滅)すると、LED光源41から出射した光はリフレクタ42で前方ないし側方に向けて反射され、アウターレンズ12を透過して出射される。この出射される光はアウターレンズに設けられているレンズステップ122により自車の前方から側方の領域に向けて出射され、所要の配光の照射光となる。また、図4に光路LBで示すように、ターンシグナルランプTSLから出射される光の一部はターン光反射体122aにおいて反射され、前記所要の配光とは異なり後上方に向けて出射される。ここではターン光反射体122aは下向き傾斜面を有する楔型のレンズステップで構成され、これらの傾斜面において光を反射するように当該傾斜面の角度が設定されている。この場合、当該傾斜面に半透明膜を成膜する等して光反射面処理するようにしてもよい。そして、この反射された光は自車のサイドミラーSMの背面(自車の前側を向いた表面)に照射され、このサイドミラーSMの背面で前方ないし側方に向けて反射される。
【0018】
これにより、当該自動車を前方から観察すると、図2に点描するように、左複合型ヘッドランプLCHLにおいてターンシグナルランプTSLが点灯している状態が観察できるとともに、ターンシグナルランプTSLから出射した光の一部はサイドミラーSMの背面での反射によって観察できるため、このサイドミラーの背面領域D−TSLが疑似ターンシグナルランプTSLとして視認できるようになる。すなわち、本来のターンシグナルランプTSLの発光面にサイドミラーSMの背面がダミーのターンシグナルランプ発光面として加算されることになり、発光面積の大きなターンシグナルランプとして視認されることになる。
【0019】
以上の説明は左複合型ヘッドランプLCHLについて説明したが、右複合型ヘッドランプRCHLについても同じである。このように、実施形態1では複合型ヘッドランプLCHL,RCHLを小型に構成し、そのため各該複合型ヘッドランプに内装されているクリアランスランプCLやターンシグナルランプTSLを小型に構成した場合でも、クリアランスランプCLは本来の発光面に加えてフェンダーFDで光反射する領域D−CLを発光面とすることができ、ターンシグナルランプTSLは本来の発光面にサイドミラーSMの背面領域D−TSLを加えることができ、これらランプの発光面積を拡大することが可能になる。これにより、他車からのクリアランスランプCLやターンシグナルランプTSLの視認性が高められ、交通の安全性を向上することが可能になる。
【0020】
実施形態1では、複合型ヘッドランプLCHL,RCHLにおけるヘッドランプHLについては発光面積を拡大していないが、これはヘッドランプについては高い精度の配光が要求されているため、車体の一部で反射した光をヘッドランプの照射光に加えて要求される配光を満たすことが難しいからである。したがって、このような配光上の要件を満たすことが可能であれば、クリアランスランプCLやターンシグナルランプTSLと同様にヘッドランプHLから出射した光の一部を自車の車体の一部に照射し、ここで反射させることによって発光面積を拡大することは可能である。
【0021】
実施形態1ではクリアランスランプCLの光の一部をフェンダーFDにおいて反射させ、ターンシグナルランプTSLの光の一部をサイドミラーSMにおいて反射させているが、光を反射させる領域は車体の他の箇所であってもよい。また、実施形態1では本発明を複合型ヘッドランプに適用した例を示したが、それぞれ独立した個別のランプを配設した場合でも本発明を同様に適用することができる。例えば、フォグランプやその他の補助ランプについても可能である。なお、いずれのランプに適用した場合でも、反射させた光によって他車を眩惑することがないように、さらには自車の乗員を眩惑することがないように当該光の配光や光度を制御することは必要である。
【0022】
(実施形態2)
図5は本発明の実施形態2の前記電気自動車を後方から見た外観図、図6はその後面図である。自動車CARの車体のリア面、すなわち車体後部の左右には複合型リアランプLRCL,RRCLがそれぞれ配設されている。ここではこの複合型リアランプは、自動車のハッチバック構造をしたリアドア(リアリッド)RDに設けられているリアウインドRWの下縁に沿った車体後部の左右両側に配設されており、後述するように1つのランプハウジング内にテール&ストップランプ、バックアップランプ、ターンシグナルランプを一体に構成したものである。
【0023】
図7に右複合型リアランプRRCLの一部を破断した概略構成を示すように、右複合型リアランプRRCLは上下方向の幅寸法が小さい横長の容器状をしたランプボディ51と、このランプボディ51の正面(自動車の後方側の面)の開口に取着された白色透明のアウターレンズ52とでランプハウジング5が形成されている。前記ランプボディ51は内面が光反射面として表面処理が施されているとともに、左右方向に並んだ3つのランプ室を区画する隔壁53が設けられている。ここでは自動車の車幅方向の内側からテール&ストップランプTL、バックアップランプBL、ターンシグナルランプTSLに区画しており、これらの各ランプ室内にはそれぞれ赤色、白色、アンバー色の各LED光源54,55,56が配設され、これらのLED光源をそれぞれ前記テール&ストップランプTL、バックアップランプBL、ターンシグナルランプTSLの光源として構成している。これらのランプは、各LED光源54,55,56が点灯されたときに、当該LED光源54,55,56から出射した光はランプボディ51の内面で反射され、アウターレンズ52に設けたレンズステップ521により所要の配光で光照射を行うように構成されている。
【0024】
さらに、図8(a)に図7のa−a線縦断面図を示すように、前記テール&ストップランプTLにおいては、ランプボディ51の下縁の一部を切り欠いてテール窓57を形成し、前記アウターレンズ52の一部はこのテール窓57を塞ぐ領域にまで延長形成されている。そして、このテール窓57を塞ぐ領域のアウターレンズ52には光を下方の背後方向(自動車の前方)に向けて屈折するための光学手段としてテール光屈折体521aを設けている。また、これとは反対に、図8(b)に図7のb−b線縦断面図を示すように、前記ターンシグナルランプTSLにおいては、ランプボディ51の上縁の一部を切り欠いてターン窓58を形成し、前記アウターレンズ52の一部はこのターン窓58を塞ぐ領域にまで延長形成されている。そして、このターン窓58を塞ぐ領域のアウターレンズ52には光を上方の背後方向(自動車の前方)に向けて屈折するためのターン光屈折体522aを設けている。これらの屈折体521a,522aはいずれも断面形状が楔型のレンズステップで構成している。
【0025】
この構成によれば、テール&ストップランプTLを点灯すると、LED光源54から出射される光は直接あるいはランプボディ51の内面で反射され、アウターレンズ52を透して出射される。この出射される光はアウターレンズ52に設けられているレンズステップ521により自車の後方から側方の領域に向けて出射され、所要の配光の照射光となる。また、図8(a)に光路LCで示すように、LED光源54から出射される光のうち、下側に向けられた光の一部はテール光屈折体521aにおいて屈折され、前記所要の配光とは異なり大きな角度で下方に、かつ左右に拡散して出射される。ここでは特に車幅方向の外側に大きな角度で拡散される。そして、この出射された光は自車のリアドアRDの表面に照射され、このリアドアRDの表面で後方ないし側方に向けて反射される。なお、アウターレンズ52の下縁の領域を透過して出射される光の一部はアウターレンズ52内を下方に導光された上で下方に向けて出射されることもあり、この光もリアドアRDの表面に照射される。
【0026】
これにより、図6に点描するように、自動車CARを後方から観察すると、複合型リアランプRCLにおいてテール&ストップランプTLが点灯している状態が観察できるとともに、テール&ストップランプTLから出射した光の一部がリアドアRDの表面一部において反射されるため、この反射したリアドアRDの表面領域D−TLが疑似(ダミー)テール&ストップランプとして視認できるようになる。すなわち、本来のテール&ストップランプTLの発光面に加えてリアドアRDの一部領域D−TLがダミーのテール&ストップランプ発光面として加算されることになり、発光面積の大きなテール&ストップランプとして視認されることになる。
【0027】
また、ターンシグナルランプTSLを点灯(点滅)すると、LED光源56から出射される光は直接あるいはランプボディ51の内面で反射され、アウターレンズ52を透して出射される。この出射される光はアウターレンズ52に設けられているレンズステップ522により自車の後方から側方の領域に向けて出射され、所要の配光の照射光となる。また、図8(b)に光路LDで示すように、LED光源56から出射される光のうち、上側に向けられた光の一部はターン光屈折体522aにおいて屈折され、前記所要の配光とは異なり大きな角度で上方に、かつ左右に拡散して出射される。ここでは特に車幅方向の内側に大きな角度で拡散される。そして、この出射された光は自車のリアウインドRWの下縁に沿った表面領域に照射され、このリアウインドRWの表面で後方ないし側方に向けて反射される。なお、アウターレンズ52の上縁の領域を透過して出射される光の一部はアウターレンズ52内を上方に導光された上で上方に向けて出射されることもあり、この光もリアウインドRWの表面に照射される。
【0028】
これにより、当該自動車を後方ないし側方から観察すると、図6に点描するように、複合型リアランプRCLにおいてターンシグナルランプTSLが点灯している状態が観察できるとともに、ターンシグナルランプTSLから出射した光の一部がリアウインドRWの表面において観察されるため、このリアウインドRWの表面一部が疑似ターンシグナルランプとして視認できるようになる。すなわち、本来のターンシグナルランプTSLの発光面に加えてリアウインドRWの一部領域D−TSLがダミーのターンシグナルランプ発光面として加算されることになり、発光面積の大きなターンシグナルランプTSLとして視認されることになる。
【0029】
以上の説明は右複合型リアランプRRCLについて説明したが、左複合型リアランプLRCLについても同じである。このように、実施形態2では複合型リアランプRCLを小型に構成し、そのため当該複合型リアランプに内装されているテール&ストップランプTLやターンシグナルランプTSLを小型に構成した場合でも、テール&ストップランプTLは本来の発光面に加えてリアドアRDでの光反射する領域D−TLを発光面に加えることができ、ターンシグナルランプTSLは本来の発光面に加えてリアウインドRDでの光反射する領域D−TSLを発光面に加えることができ、これらランプの発光面積を拡大することが可能になる。これにより、他車からのこれらランプの視認性が高められ、交通の安全性を向上することが可能になる。
【0030】
実施形態2では、バックアップランプBLには本発明を適用していないが、これは他車からのバックアップランプの視認性の要求がそれほど高くないためである。したがって、バックアップランプの視認性を高めることが要求される場合には本発明をバックアップランプに適用してもよい。また、リアランプを構成している各ランプがそれぞれ独立した個別のランプとして配設されている場合でも本発明を同様に適用することができる。さらに各ランプから出射された光を反射する領域は前記したリアドアやリアウインドに限られるものでないことは言うまでもなく、車体の後面であれば任意の領域を利用することが可能である。なお、実施形態2のターンシグナルランプのようにリアウインドRWでの光反射を利用する場合には当該光がリアウインドを透して自車の乗員を眩惑することがないように構成することが必要であることは言うまでもない。
【0031】
実施形態1,2では車体の表面やリアウインドの表面には特に表面処理を施してはいないが、各ランプから出射した光の反射効率を高めるために車体やリアウインドの表面一部を反射面処理し、あるいは反射シート等の反射材を配設するようにしてもよい。このようにすることで車体やリアウインドで反射する反射光量を増大し、ダミーのランプの明るさを増大して本発明の作用効果を助長することが可能になる。また、実施形態2の場合にはリアウインドの一部を導光体として構成し、あるいは導光体を一体的に形成し、ランプからの光を導光体に導光させることによって広い領域を発光面として構成するようにしてもよい。さらに、実施形態1,2では本発明にかかる光学手段として、アウターレンズに設けたレンズステップからなる屈折体や反射体により各ランプから出射する光を車体の一部に向けて屈折しあるいは反射することによって照射しているが、アウターレンズ内を導光させる光によって車体の一部への光照射が実現できる場合には本発明にかかる光学手段を導光体として構成してもよく、この場合にはアウターレンズには特に屈折体や反射体を形成しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は特に小型自動車に配設する小型のランプに採用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
CAR 自動車
FD フェンダー
SM サイドミラー
RD リアドア
RW リアウインド
LCHL,RCHL 複合型ヘッドランプ
LRCL,RRCL 複合型リアランプ
HL ヘッドランプ
CL クリアランスランプ
TSL ターンシグナルランプ
TL テール&ストップランプ
BL バックアップランプ
1 ランプハウジング
11 ランプボディ
12 アウターレンズ
21,31,41 LED光源
22,32,42 リフレクタ
23 照射レンズ
51 ランプボディ
52 アウターレンズ
53 隔壁
54,55,56 LED光源
121a クリアランス光屈折体(光学手段)
122a ターン光反射体(光学手段)
521a テール光屈折体(光学手段)
522a ターン光屈折体(光学手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体一部に配設され、光源から出射した光を所要の配光で照射するランプであって、当該ランプは前記光源から出射した光を前記車体の他の一部に照射する光学手段を備えることを特徴とする車両用ランプ。
【請求項2】
前記光学手段はランプに設けられたレンズの一部に形成された屈折体、反射体、導光体のいずれかを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
前記ランプは車両のフェンダーの一部に配設され、前記光学手段は前記光源から出射した光を当該フェンダーの他の一部あるいは車両のサイドミラーに照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
前記ランプは車体のリア面の一部に配設され、前記光学手段は前記光源から出射した光を当該リア面の他の一部あるいは車両のリアウインドに照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ランプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−95263(P2013−95263A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239857(P2011−239857)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】