説明

車両用リヤサスペンションの取付構造

【課題】 車体重量の増加を招く点を解決することで、車体重量の軽量化を図ることを可能にするとともに、車室内を圧迫する点を解決することで、車室内スペースを大きく設定することを可能にする。
【解決手段】 ダンパ支持ブラケット50を、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成した長手状の部材に形成し、長手方向を外壁37に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部57.58の底面平坦部61,62からそれぞれスタットボルト53,54を突出させるように溶接し、ダンパ43の上端49に、車体前後方向に延ばした取付金具47を設け、この取付金具47の両端にスタットボルト53,54に嵌合させることで、ダンパ支持ブラケット50にダンパ43の上端49を取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に後輪をリヤサスペンションで懸架し、このリヤサスペンションのダンパを車体側に支持させることができる車両用リヤサスペンションの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用リヤサスペンションの取付構造として、ホイールハウスの上部近傍にダンパを支持するダンパ支持部を設けたものが実用に供されている。
実用の車両用リヤサスペンションの取付構造は、車体でダンパの上端を受けるようにすれば実用上十分であった。
【0003】
このような車両用リヤサスペンションの取付構造として、ダンパ本体の外周に圧縮ばね(コイルばね)介在させたダンパを、ホイールハウスの上面近傍で支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−54440公報(第7頁、図4)
【0004】
図9は従来の基本構成を説明する図であり、車両用リヤサスペンションの取付構造200は、ダンパ(damper)201を、後輪(不図示)の衝撃を吸収する圧縮ばね(コイルばね)202と、この圧縮ばね202が撓むときは速やかに撓ませる(減衰力を小さく設定する)とともに圧縮ばね202が伸びるときはゆっくりと戻す(減衰力を大きく設定する)ダンパ本体(ショックアブソーバ;shock absorber)203と、から構成し、ダンパ201の上端をホイールハウス204に形成した縦壁部205内の略平面部206で受けるようにしたものである。
【0005】
しかし、車両用リヤサスペンションの取付構造200では、ホイールハウス204における縦壁部205内の略平面部206で受けるようにしたので、略平面部206に応力が集中する。従って、縦壁部205内の略平面部206の強固に形成するために、板厚の厚い板金を用いる必要かあり、車体重量の増加を招くという問題があった。
【0006】
また、車両用リヤサスペンションの取付構造では、ダンパが、ダンパ本体(ショックアブソーバ)203の外周に圧縮ばね(コイルばね)202を配置した構造なので、ダンパの外径が大きく必要であり、ダンパを車体中心に寄せて配置する必要があり、車室内を圧迫するという欠点があった。
【0007】
すなわち、車体重量の軽量化を図ることができるとともに、車室内スペースを大きく設定することができる車両用リヤサスペンションの取付構造が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車体重量の増加を招く点を解決し、車体重量の軽量化を図ることができる車両用リヤサスペンションの取付構造を提供するとともに、車室内を圧迫する点を解決し、車室内スペースを大きく設定することができる車両用リヤサスペンションの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、リヤフレームの外側に後輪を覆うホイールハウスを設け、このホイールハウスの下方に後輪を支持するリヤサスペンションを配置し、このリヤサスペンションのダンパを支持するためにホイールハウスにダンパ支持ブラケットを設けた車両用リヤサスペンション取付構造であって、ホイールハウスを、後輪を覆う外壁を正面断面で弓形の曲面状に形成し、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向を外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部の底面平坦部からそれぞれスタットボルトを突出させるように溶接し、ダンパの上端に、車体前後方向に延ばした取付金具を設け、この取付金具の両端にスタットボルトに嵌合させる嵌合孔を設け、第1・第2凸部の間にダンパの側面を潜り込ませつつ、スタットボルトに嵌合孔を嵌合させ、スタットボルトにナットをねじ込むことで、ダンパ支持ブラケットにダンパの上端を取付けたことを特徴とする。
【0010】
例えば、車体重量の軽量化を図ることができるとすれば、燃料消費の低減を図ることが
できるので好ましいことである。
【0011】
そこで、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウスの外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部にダンパの上端を取付けた。
【0012】
すなわち、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウスの外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部にダンパの上端を取付けることで、ダンパ支持ブラケットに板厚の薄い材料を用いることができる。
【0013】
また、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウスの外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付けることで、ダンパから伝わる荷重をホイールハウスの外壁で円滑に受けることができる。
【0014】
さらに、第1・第2凸部の間にダンパの側面を潜り込ませつつ、スタットボルトに嵌合孔を嵌合させ、スタットボルトにナットをねじ込み、ダンパ支持ブラケットにダンパの上端を取付けることで、第1・第2凸部に取付金具を密着させることができる。
【0015】
例えば、車室内スペースを大きく設定することができるとすれば、車室を使いやすいものにすることができ好都合である。
【0016】
請求項2に係る発明は、ダンパを、第1・第2凸部に略平行に配置したことを特徴とする。
ダンパを、第1・第2凸部に略平行に配置することで、ホイールハウスにダンパを寄せて配置することができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウスの外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部にダンパの上端を取付けたので、ダンパ支持ブラケットに板厚の薄い材料を用いることができる。これにより、車体重量の低減を図ることができる。この結果、車両の燃料消費の低減を図ることができるという利点がある。
【0018】
また、ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウスの外壁に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付けたので、ダンパから伝わる荷重をホイールハウスの外壁で円滑に受けることができる。この結果、車体に集中荷重か加わることを防止することができるという利点がある。
【0019】
さらに、第1・第2凸部の間にダンパの側面を潜り込ませつつ、スタットボルトに嵌合孔を嵌合させ、スタットボルトにナットをねじ込み、ダンパ支持ブラケットにダンパの上端を取付けたので、第1・第2凸部に取付金具を密着させることができる。この結果、ダンパ支持ブラケットにダンパを強固に取付けることができるという利点がある。
【0020】
請求項2に係る発明では、ダンパを、第1・第2凸部に略平行に配置したので、ホイールハウスにダンパを寄せて配置することができる。この結果、車室内スペースを幅広に設定することができ、車室の利便性の向上を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用した車両の斜視図であり、10は車両、11車体、12は前輪、13は後輪、14はボンネット、15はフロントグリル、16,16は左右の前照灯、17はフロントバンパ、18はフロントウインドウ、19はルーフ、21は前ドア、22は後ドア、23はドアミラー、24はリヤバンパであり、26は車室、31,31は左右のリヤフレーム、32はクロスメンバ、33は後輪13のホイールハウスである。
【0022】
後述するように、本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造30は、後輪13を緩衝自在に支えるリヤサスペンション40の構成部品であるダンパ43の取付部分の構造であって、ダンパ43から伝わる荷重をホイールハウス33で円滑に受けることができるように構成した取付構造である。
【0023】
図2は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用した車体後部の斜視図であり、車両用リヤサスペンションの取付構造30は、左右のリヤフレーム(フロアフレーム)31,31と、これらのリヤフレーム31,31を繋ぐクロスメンバ(アンダフレーム)32と、リヤフレーム31,31の外側にそれぞれ設けることで後輪13,13(図1参照)を覆う左右のホイールハウス33,33と、これらのホイールハウス33,33の下方に配置することで後輪13,13(図1参照)を緩衝自在に支持するリヤサスペンション40,40(一方の40は不図示)と、このリヤサスペンション40,40のダンパ43,43(一方の43は不図示)支持するためにホイールハウス33,33にそれぞれ取付けたダンパ支持ブラケット50,50(一方の50は不図示)と、からなる。
【0024】
リヤフレーム31は、車体前後方向に延ばしたフレームであり、リヤサスペンション40のトレーリングアームホルダ(不図示)を介してリヤサスペンション40のトレーリングアーム45を支持するフレームである。また、リヤサスペンション40のコイルばね44を支持するばね受け部36(図3参照)を備える。
【0025】
クロスメンバ32は、リヤサスペンション40のロアアーム41を揺動自在に支持するロアアーム支持部35を備える。
ホイールハウス33は、後輪13(図1参照)を覆う外壁(側壁)37を正面断面で弓形若しくはアーチ状の曲面状に形成したものである。
【0026】
図3は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用したリヤサスペンションの背面図であり、リヤサスペンション40は、クロスメンバ32のロアアーム支持部36に一端を揺動自在(スイング自在)に取付けるロアアーム41と、このロアアーム41の他端に揺動自在に取付けたナックル42と、このナックル42及びダンパ支持ブラケット50の間に渡したダンパ(ショックアブソーバ)43と、ロアアーム41及びクロスメンバ32のばね受け部36の間に介在させるコイルばね(圧縮ばね)44と、一端をナックル42に取付けるとともに他端をリヤフレーム31側にスイング自在に取付けるトレーリングアーム45と、一端をナックル42にスイング自在に取付けるとともに他端をリヤフレーム31側にスイング自在に取付けるアッパアーム46と、を主要構成とするマークファーソン式のサスペンションである。
【0027】
図中、72はロアアーム41の一端及びロアアーム支持部35に介在させた支持ピン、73はロアアーム41の他端及びナックル42に介在させた支持ピン、74はダンパ43の下端49aをナックル42に支持する支持ピン、75はアッパアーム46をナックル42に支持する支持ピンを示す。
【0028】
図4は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用したリヤサスペンションの平面図であり、ロアアーム41は、車体幅方向に延ばしたフレームであって、ダンパ43及びコイルばね44の衝撃緩衝作用で後輪13を緩衝自在に支えるアームであり、コイルばね44の支持部41aを備える。ナックル42は、車輪13の車軸(不図示)を支持する部材である。
【0029】
ダンパ43(damper)は、略車体鉛直方向に配置する部材であり、上端49に車体前後方向に延ばした取付金具47を設け、この取付金具47をダンパ支持ブラケット50に固定する。なお、43aはダンパ43の側面、43bは取付金具47を嵌合させる金具嵌合部、48,48は取付金具47に形成した嵌合孔である。
【0030】
また、ダンパ43は、コイルばね44が撓むときは速やかに撓ませる(減衰力を小さく設定する)とともにコイルばね44が伸びる(戻る)ときはゆっくりと戻す(減衰力を大きく設定する)ように作用させる部材である。
【0031】
コイルばね44は、ダンパ43とは別配置した部材であり、 後輪13(図1参照)の衝撃を吸収する部材である。
トレーリングアーム45は、車体前後方向に延ばしたアームであって、車両10の直進性を保つためのアームであり、アッパアーム46は、車体幅方向に延ばしたフレームである。
【0032】
図5は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造のホイールハウスにダンパ支持ブラケットを介してダンパを取付けた状態を示す斜視図であり、図6は図5の6−6線断面図である。
【0033】
ダンパ支持ブラケット(ダンパ支持部材)50は、図6に示すように、インナブラケット51と、このインナブラケット51に一体的に形成したアウタブラケット52と、これらのインナブラケット51及びアウタブラケット52に一体的に取付たスタットボルト53,54と、からなり、インナブラケット51に、スタットボルト53,54を溶接するための取付用凹部55,56を形成するとともに、アウタブラケット52に、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成し、図5に示すようにインナブラケット51及びアウタブラケット52を長手状の部材に形成し、インナブラケット51及びアウタブラケット52の長手方向をホイールハウス33の外壁37に垂直に且つ外壁37の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部57,58の底面平坦部61,61からそれぞれスタットボルト53,54突出させて溶接したものである。
なお、59は第1・第2凸部57,58で形成することで、ダンパ43の側面43aを潜り込ませる凹部である。
【0034】
図6に示すように、スタットボルト53は、取付凹部55に溶接する頭部64と、インナブラケット51及びアウタブラケットの第1凸部57の空間を保つボス部65と、ダンパ43の取付金具47の嵌合孔48を貫通させナット71をねじ込む雄ねじ部66と、からなる。
なお、スタットボルト54は、スタットボルト53と同一構成であり、67は頭部、68はボス部、69は雄ねじ部を示す。
【0035】
図6に示すように、車両用リヤサスペンションの取付構造30は、第1・第2凸部57,58の間に(凹部59に)ダンパ43の側面43aを潜り込ませつつ、スタットボルト53,54に嵌合孔48,48を嵌合させ、スタットボルト53,54にナット71,71をねじ込み、ダンパ支持ブラケット50にダンパ43の上端49を取付けたので、第1・第2凸部57,58に取付金具47を密着させることができる。この結果、ダンパ支持ブラケット50にダンパ43を強固に取付けることができる。
【0036】
図6に示すように、車両用リヤサスペンションの取付構造30は、ダンパ43を、第1・第2凸部57,58に略平行に配置したので、ホイールハウス33にダンパ43を寄せて配置することができる。この結果、車室26(図1参照)内スペースを幅広に設定することができ、車室26の利便性の向上を図ることができる。
【0037】
図7は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造の側面図であり、車両用リヤサスペンションの取付構造30は、リヤフレーム31の外側に後輪13を覆うホイールハウス33を設け、このホイールハウス33の下方に後輪13を支持するリヤサスペンション40を配置し、このリヤサスペンション40のダンパ43を支持するためにホイールハウス33にダンパ支持ブラケット50を設けた車両用リヤサスペンション取付構造であって、ホイールハウス33を、後輪13を覆う外壁(側壁)37を正面断面で弓形の曲面状に形成し、ダンパ支持ブラケット50を、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成した長手状の部材に形成し、長手方向を外壁37に垂直に且つ外壁の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部57.58の底面平坦部61,62(図6参照)からそれぞれスタットボルト53,54を突出させるように溶接し、ダンパ43の上端49に、車体前後方向に延ばした取付金具47を設け、この取付金具47の両端にスタットボルト53,54に嵌合させる嵌合孔48,48を設け、第1・第2凸部57,58の間に(凹部59に)ダンパ43の側面43aを潜り込ませつつ、スタットボルト53,54に嵌合孔58,58を嵌合させ、スタットボルト53,54にナット71,71をねじ込むことで、ダンパ支持ブラケット50にダンパ43の上端49を取付けたものと言える。
【0038】
例えば、車体重量の軽量化を図ることができるとすれば、燃料消費の低減を図ることが
できるので好ましいことである。
【0039】
すなわち、ダンパ支持ブラケット(ダンパ支持部材)50を、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウス33の外壁37に垂直に且つ外壁37の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部57,58にダンパの43上端49を取付けることで、ダンパ支持ブラケット50に板厚の薄い材料を用いることができる。これにより、車体重量の低減を図ることができる。この結果、車両10ああ(図1参照)の燃料消費の低減を図ることができる。
【0040】
また、ダンパ支持ブラケット50を、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウス33の外壁37に垂直に且つ外壁37の曲面に沿わせて取付け、第1・第2凸部57,58にダンパの43上端49を取付けることで、ダンパ43から伝わる荷重をホイールハウス33の外壁37で円滑に受けることができる。この結果、車体に集中荷重か加わることを防止することができる。
【0041】
車両用リヤサスペンションの取付構造30は、ダンパ43に衝撃の吸収をするコイルばね44を備え、このコイルばね44をダンパ43から分離構成することで、空いたスペースにダンパ43若しくはコイルばね44を別々に配置することができる。この結果、設計の自由度の拡大を図ることができる。
【0042】
図8(a),(b)は本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造の作用を示す説明図である。(a)は比較例の車両用リヤサスペンションの取付構造130を示し、(b)は実施例の車両用リヤサスペンションの取付構造30を示す。
(a)において、車両用リヤサスペンションの取付構造130は、ホイールハウス133の内側にダンパハウジング134を設け、このダンパハウジング134に、ダンパ本体142及びコイルばね144を一体的に組みこんだダンパ143の上端149を取付けたものである。
【0043】
例えば、ダンパ143に矢印a1の如く荷重が作用した場合に、この荷重は矢印a2,a2の如くダンパハウジング134平面に集中するので、ダンパハウジング134の剛性を要求される。この結果、ダンパハウジング134に板厚の厚い材料を用いる必要に迫られ、車体重量の増加を招くこともある。
【0044】
(b)において、車両用リヤサスペンションの取付構造30は、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部57,58を形成した長手状の部材に形成し、長手方向をホイールハウス33の外壁37に垂直に且つ外壁37の曲面に沿わせて取付けたので、ダンパに矢印b1の如く荷重が作用した場合に、この荷重は矢印b2,b3の如くホイールハウス33の外壁37に沿わせて円滑に伝達することができる。従って、ホイールハウス33の車体剛性を小さくすることができる。この結果、車体重量の低減を図ることができる。
【0045】
尚、本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造は、図4に示すように、後輪13を支持するリヤサスペンションのダンパの取付構造であったが、これに限るものではなく、前輪を支持するフロントサスペンションのダンパの取付構造に採用したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造は、車体剛性を要求されるとともに静粛性を要求される高級サルーンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用した車両の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用した車体後部の斜視図である。
【図3】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用したリヤサスペンションの背面図である。
【図4】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造を採用したリヤサスペンションの平面図である。
【図5】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造のホイールハウスにダンパ支持ブラケットを介してダンパを取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は図5の6−6線断面図である。
【図7】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造の側面図である。
【図8】本発明に係る車両用リヤサスペンションの取付構造の作用を示す説明図である。
【図9】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
10…車両、13…後輪、30…車両用リヤサスペンションの取付構造、31…リヤフレーム、33…ホイールハウス、37…外壁、40…リヤサスペンション、43…ダンパ、43a…側面、47…取付金具、48…嵌合孔、49…上端、50…ダンパ支持ブラケット、53,54…スタットボルト、57,58…第1・第2凸部、61,62…底面平坦部、71…ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤフレームの外側に後輪を覆うホイールハウスを設け、このホイールハウスの下方に後輪を支持するリヤサスペンションを配置し、このリヤサスペンションのダンパを支持するためにホイールハウスにダンパ支持ブラケットを設けた車両用リヤサスペンション取付構造であって、
前記ホイールハウスを、前記後輪を覆う外壁を正面断面で弓形の曲面状に形成し、
前記ダンパ支持ブラケットを、断面視にて2条の略ハット形の第1・第2凸部を形成した長手状の部材に形成し、前記長手方向を前記外壁に垂直に且つ前記外壁の曲面に沿わせて取付け、前記第1・第2凸部の底面平坦部からそれぞれスタットボルトを突出させるように溶接し、
前記ダンパの上端に、車体前後方向に延ばした取付金具を設け、この取付金具の両端に前記スタットボルトに嵌合させる嵌合孔を設け、
前記第1・第2凸部の間に前記ダンパの側面を潜り込ませつつ、前記スタットボルトに前記嵌合孔を嵌合させ、前記スタットボルトにナットをねじ込むことで、前記ダンパ支持ブラケットに前記ダンパの上端を取付けたことを特徴とする車両用リヤサスペンションの取付構造。
【請求項2】
前記ダンパを、前記第1・第2凸部に略平行に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用リヤサスペンションの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−44427(P2006−44427A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227113(P2004−227113)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】