説明

車両用リヤランプの制御装置

【課題】2つの駆動回路のうちの一方が故障した場合であっても、他方の駆動回路の動作により、ブレーキランプ、及びテールランプの点灯を認識し易く点灯させることが可能な車両用リヤランプの制御装置を提供する。
【解決手段】右ブレーキランプ12R、及び左テールランプ11Lの点灯を制御する第1駆動回路13aと、左ブレーキランプ12L、及び右テールランプ11Rの点灯を制御する第2駆動回路13bを有し、第1駆動回路13aは、テール信号が入力された際に左テールランプ11Lを点灯させ、且つストップ信号が入力された際に右ブレーキランプ12Rを点灯させ、第2駆動回路13bは、テール信号が入力された際に右テールランプ11Rを点灯させ、且つストップ信号が入力された際に左ブレーキランプ12Lを点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるリヤランプの点灯を制御する制御装置に係り、特に、駆動回路に故障が発生した場合でもリヤランプの点灯を後続車両に気づき易くする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるリヤランプは、ブレーキランプ及びテールランプを有しており、ブレーキランプは、ブレーキが操作されてストップ信号が出力された際に点灯して、後続車両にブレーキが操作されたことを認識させ、テールランプは、ヘッドライトの点灯と連動して点灯することにより、後続車両に自車両の存在及び車幅を認識させる。この際、テールランプはブレーキランプよりも低い輝度で点灯する。
【0003】
このようなリヤランプは、通信線やランプが故障する場合においても最小限の機能を確保するため、例えば、特開2003−154891号公報(特許文献1)、或いは特開平11−291815号公報に記載されたものが開示されている。
【0004】
図3は、従来より用いられているリヤランプの制御装置の構成を示す回路図であり、車両幅方向の、進行方向に向いて右側のリヤランプの点灯を制御する第1駆動回路113a、及び進行方向に向いて左側のリヤランプの点灯を制御する第2駆動回路113bを備えている。
【0005】
第1駆動回路113aは、第1IC回路114aを備え、入力端子P11にテール信号(テールランプの点灯指示信号)が供給された場合には出力端子Q11より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT11をオンとして、右側のリヤランプに含まれる右テールランプ11R(例えば、出力5W)を点灯させる。また、入力端子P12にストップ信号(ブレーキ操作に連動する信号)が供給された場合には出力端子Q12より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT12をオンとして、右側のリヤランプに含まれる右ブレーキランプ12R(例えば、出力21W)を点灯させる。
【0006】
また、第2駆動回路113bについても同様に、第2IC回路114bを備え、入力端子P13にテール信号が供給された場合には出力端子Q13より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT13をオンとして、左側のリヤランプに含まれる左テールランプ11Lを点灯させる。また、入力端子P14にストップ信号が供給された場合には出力端子Q14より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT14をオンとして、左側のリヤランプに含まれる左ブレーキランプ12Lを点灯させる。こうして、テール信号が供給された場合には、左右のテールランプ11L,11Rを点灯させることができ、ストップ信号が供給された場合には、左右のブレーキランプ12L,12Rを点灯させることができる。即ち、図4(a)に示すように、テール信号、及びストップ信号のオン、オフに応じて、各ランプ11R,11L,12R,12Lの点灯、消灯が切り替えられることになる。
【0007】
ここで、第1駆動回路113a、または第2駆動回路113bが故障した際の動作について説明する。第1駆動回路113aが故障すると、該第1駆動回路113aに接続される右テールランプ11R、及び右ブレーキランプ12Rが点灯しなくなる。即ち、図4(b)に示すように、テール信号、或いはストップ信号がオンとされた場合には、左テールランプ11L、或いは左ブレーキランプ12Lは点灯するが、右テールランプ11R、及び右ブレーキランプ12Rは点灯しない。従って、右側のリヤランプが全て点灯しないこととなり、車両後方の後続車両からの視認性が損なわれるという問題が発生する。
【0008】
同様に、第2駆動回路113bが故障すると、該第2駆動回路113bに接続される左テールランプ11L、及び左ブレーキランプ12Lが点灯しなくなる。即ち、図4(c)に示すように、テール信号、或いはストップ信号がオンとされた場合には、右テールランプ11R、或いは右ブレーキランプ12Rは点灯するが、左テールランプ11L、及び左ブレーキランプ12Lは点灯しない。従って、左側のリヤランプが全て点灯しないこととなり、やはり車両後方の後続車両からの視認性が損なわれるという問題が発生する。
【0009】
また、他の従来例として、図5に示す如くのリヤランプ制御装置が知られている。図5に示すように、このリヤランプ制御装置は、ブレーキランプの点灯を制御するブレーキランプ駆動回路213a、及びテールランプの点灯を制御するテールランプ駆動回路213bを備えている。
【0010】
ブレーキランプ駆動回路213aは、第1IC回路214aを備え、入力端子P21にストップ信号が供給された場合には出力端子Q21より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT21をオンとして、右ブレーキランプ12R、及び左ブレーキランプ12Lを点灯させる。
【0011】
また、テールランプ駆動回路213bは、第2IC回路214bを備え、入力端子P22にテール信号が供給された場合には出力端子Q22より駆動信号を出力することにより、半導体スイッチT22をオンとして、右テールランプ11R、及び左テールランプ11Lを点灯させる。即ち、図6(a)に示すように、テール信号、及びストップ信号のオン、オフに応じて、各ランプ11R,11L,12R,12Lの点灯、消灯が切り替えられることになる。
【0012】
ここで、ブレーキランプ駆動回路213a、またはテールランプ駆動回路213bが故障した際の動作について説明する。ブレーキランプ駆動回路213aが故障すると、該ブレーキランプ駆動回路213aに接続される右ブレーキランプ12R、及び左ブレーキランプ12Lが点灯しなくなる。即ち、図6(b)に示すように、ストップ信号がオンとされた場合に、各ブレーキランプ12R,12Lが共に点灯しないことになる。従って、ブレーキが操作されたことを後続車両に知らせることができない。
【0013】
また、テールランプ駆動回路213bが故障すると、該テールランプ駆動回路213bに接続される右テールランプ11R、及び左テールランプ11Lが点灯しなくなる。即ち、図6(c)に示すように、テール信号が供給された場合に、各テールランプ11R,11Lが共に点灯しないことになる。従って、自車両の存在及び車幅を後続車両に知らせることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−154891号公報
【特許文献2】特開平11−291815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、従来におけるリヤランプの制御装置では、ブレーキランプ、テールランプの駆動回路に故障が発生すると、左側、または右側のリヤランプが全て点灯しなくなることや、左右のブレーキランプまたは左右のテールランプが同時に点灯しなくなることがあり、夜間ブレーキをかけたときに、後続車両にブレーキ操作、及び自車両の存在、車幅を認識させ難くなるという問題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、2つの駆動回路のうちの一方が故障した場合であっても、他方の駆動回路の動作により、ブレーキランプ、及びテールランプの点灯を認識し易く点灯させることが可能な車両用リヤランプの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、車両に搭載される左右ブレーキランプ、及び左右テールランプの点灯を制御する制御装置において、右ブレーキランプ、及び左テールランプの点灯を制御する第1駆動手段と、左ブレーキランプ、及び右テールランプの点灯を制御する第2駆動手段と、を有し、前記第1駆動手段は、テール信号が入力された際には、前記左テールランプを点灯させ、且つ、ストップ信号が入力された際には、前記右ブレーキランプを点灯させ、前記第2駆動手段は、テール信号が入力された際には、前記右テールランプを点灯させ、且つ、ストップ信号が入力された際には、前記左ブレーキランプを点灯させることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記左テールランプ、右ブレーキランプ、右テールランプ、左ブレーキランプはそれぞれ、第1〜第4の半導体スイッチを介して電源に接続され、前記第1駆動手段は、第1,第2の半導体スイッチのオン、オフを制御して、前記左テールランプ及び右ブレーキランプの点灯、消灯を制御し、前記第2駆動手段は、第3,第4の半導体スイッチのオン、オフを制御して、前記右テールランプ及び左ブレーキランプの点灯、消灯を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本願請求項1の発明では、第1駆動手段が故障した場合には、第2駆動手段のみによる制御が行われ、右テールランプ、及び左ブレーキランプの点灯が制御されるので、左右双方のリヤランプが全て点灯しないことを回避でき、また、テールランプ、或いはブレーキランプが全て点灯しないことを回避できる。同様に、第2駆動手段が故障した場合には、第1駆動手段のみによる制御が行われ、左テールランプ、及び右ブレーキランプの点灯が制御されるので、左右双方のリヤランプが全て点灯しないことを回避でき、また、テールランプ、或いはブレーキランプが全て点灯しないことを回避できる。
【0020】
請求項2の発明では、各ランプと電源との間に半導体スイッチを設け、該半導体スイッチのオン、オフにより、各ランプの点灯、消灯を制御するので、点灯信号が出力された場合には、各ランプを確実に点灯させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るリヤランプの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るリヤランプの制御装置における各ランプの点灯状態を示す説明図であり、平常時、第1駆動回路故障時、及び第2駆動回路故障時について示している。
【図3】従来におけるリヤランプの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】従来におけるリヤランプの制御装置における各ランプの点灯状態を示す説明図であり、平常時、第1駆動回路故障時、及び第2駆動回路故障時について示している。
【図5】従来におけるリヤランプの制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図6】従来におけるリヤランプの制御装置における各ランプの点灯状態を示す説明図であり、平常時、ブレーキランプ駆動回路故障時、及びリヤランプ駆動回路故障時について示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用リヤランプの制御装置の構成を示す回路図である。図1に示すように、この制御装置は、車幅方向の進行方向左側に設けられる左テールランプ11L、及び進行方向の右側に設けられる右ブレーキランプ12Rの点灯を制御する第1駆動回路13aと、進行方向の右側に設けられる右テールランプ11R、及び進行方向の左側に設けられる左ブレーキランプ12Lの点灯を制御する第2駆動回路13bと、を備えている。
【0023】
第1駆動回路13aは、第1IC回路14aと、該第1IC回路14aの出力端子Q1の出力信号によりオン、オフが切り替えられる半導体スイッチ(第1の半導体スイッチ)T1と、出力端子Q2の出力信号によりオン、オフが切り替えられる半導体スイッチ(第2の半導体スイッチ)T2と、を備えている。また、第1IC回路14aは、入力端子P1,P2を備えており、入力端子P1にはテール信号(車幅灯が点灯されたときにオンとなる信号)が供給され、入力端子P2にはストップ信号(ブレーキが操作されたときにオンとなる信号)が供給される。
【0024】
半導体スイッチT1は、一端が電源+Bに接続され、他端が左テールランプ11Lに接続されており、該半導体スイッチT1がオンとなると、左テールランプ11Lが点灯する。また、半導体スイッチT2は、一端が電源+Bに接続され、他端が右ブレーキランプ12Rに接続されており、該半導体スイッチT2がオンとなると、右ブレーキランプ12Rが点灯する。
【0025】
一方、第2駆動回路13bは、第2IC回路14bと、該第2IC回路14bの出力端子Q3の出力信号によりオン、オフが切り替えられる半導体スイッチ(第3の半導体スイッチ)T3と、出力端子Q4の出力信号によりオン、オフが切り替えられる半導体スイッチ(第4の半導体スイッチ)T4と、を備えている。また、第2IC回路14bは、入力端子P3,P4を備えており、入力端子P3にはテール信号が供給され、入力端子P4にはストップ信号が供給される。
【0026】
半導体スイッチT3は、一端が電源+Bに接続され、他端が右テールランプ11Rに接続されており、該半導体スイッチT3がオンとなると、右テールランプ11Rが点灯する。また、半導体スイッチT4は、一端が電源+Bに接続され、他端が左ブレーキランプ12Lに接続されており、該半導体スイッチT4がオンとなると、左ブレーキランプ12Lが点灯する。
【0027】
即ち、本実施形態に係る制御装置は、平常時(第1駆動回路13a、第2駆動回路13bに故障が発生していない場合)においては図2(a)に示すように、テール信号が供給されると、右テールランプ11R、及び左テールランプ11Lを点灯させ、ストップ信号が供給されると、右ブレーキランプ12R、及び左ブレーキランプ12Lを点灯させることができる。
【0028】
ここで、第1駆動回路13a、或いは第2駆動回路13bに故障が発生した場合の動作について説明する。図2(b)は、第1駆動回路13aに故障が発生した場合の各ランプの点灯状況を示す説明図であり、テール信号が供給された場合には、右テールランプ11Rのみが点灯し、ストップ信号が供給された場合には、左ブレーキランプ12Lのみが点灯することになる。この場合には、テール信号及びストップ信号の双方が供給されると、右テールランプ11R、及び左ブレーキランプ12Lが点灯することとなり、換言すれば、右側、及び左側の双方にてランプ(ブレーキランプまたはテールランプ)が点灯することとなる。従って、ランプの点灯状態を後続車両に認識させ易くなる。換言すれば、後続車両の運転者は、自車両の状況を認識し易くなる。
【0029】
また、図2(c)は、第2駆動回路13bに故障が発生した場合の各ランプの点灯状況を示す説明図であり、テール信号が供給された場合には、左テールランプ11Lのみが点灯し、ストップ信号が供給された場合には、右ブレーキランプ12Rのみが点灯することになる。この場合においても前述と同様に、テール信号及びストップ信号の双方が供給されると、右側、及び左側にてランプが点灯することとなる。従って、ランプの点灯状態を後続車両に認識させ易くなる。
【0030】
このようにして、本実施形態に係る車両用リヤランプの制御装置では、第1駆動回路13aにより左テールランプ11L、及び右ブレーキランプ12Rの点灯を制御し、第2駆動回路13bにより右テールランプ11R、及び左ブレーキランプ12Lの点灯を制御するので、一方の駆動回路が故障した場合であっても、左側全部が点灯しなくなることや、右側全部が点灯しなくなることはなく、また、テールランプ全部が点灯しなくなることや、ブレーキランプ全部が点灯しなくなることはないので、後続車両に自車両の状況、即ち、ブレーキが操作されたことや、車幅感覚を認識させ易くすることが可能となる。
【0031】
以上、本発明の車両用リヤランプの制御装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、車両に搭載されるリヤランプを後続車両に気付き易くすることに利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
11L 左テールランプ
11R 右テールランプ
12L 左ブレーキランプ
12R 右ブレーキランプ
13a 第1駆動回路
13b 第2駆動回路
14a 第1IC回路
14b 第2IC回路
P1,P2 入力端子
Q1,Q2 出力端子
T1,T2 半導体スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される左右ブレーキランプ、及び左右テールランプの点灯を制御する制御装置において、
右ブレーキランプ、及び左テールランプの点灯を制御する第1駆動手段と、左ブレーキランプ、及び右テールランプの点灯を制御する第2駆動手段と、を有し、
前記第1駆動手段は、テール信号が入力された際には、前記左テールランプを点灯させ、且つ、ストップ信号が入力された際には、前記右ブレーキランプを点灯させ、
前記第2駆動手段は、テール信号が入力された際には、前記右テールランプを点灯させ、且つ、ストップ信号が入力された際には、前記左ブレーキランプを点灯させること
を特徴とする車両用リヤランプの制御装置。
【請求項2】
前記左テールランプ、右ブレーキランプ、右テールランプ、左ブレーキランプはそれぞれ、第1〜第4の半導体スイッチを介して電源に接続され、
前記第1駆動手段は、第1,第2の半導体スイッチのオン、オフを制御して、前記左テールランプ及び右ブレーキランプの点灯、消灯を制御し、
前記第2駆動手段は、第3,第4の半導体スイッチのオン、オフを制御して、前記右テールランプ及び左ブレーキランプの点灯、消灯を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用リヤランプの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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