説明

車両用ルーフ構造

【課題】電装品の直上からの水滴の落下を抑制する車両用ルーフ構造を得る。
【解決手段】ルーフパネル12の内装天井14側の、電装品22の直上及びその周辺に凹部24を複数設けている。このように、ルーフパネル12の表面に凹部24を設けることで、ルーフパネル12の表面において、凹部24が設けられていない滑らかな領域と、凹部24が設けられた領域と、が設けられることとなる。このため、ルーフパネル12の表面に発生した水滴は、滑らかな領域へ移動して行きやすく、少なくとも電装品22の直上周辺では、水滴26の凝集が抑制される。これにより、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフパネルを備えた車両用ルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフパネルでは、車室内外の温度差によって発生する結露が最も多い。このため、例えば、特許文献1では、ルーフパネルの端部に結露水を貯める箇所を設けることで、荷室内の湿度を下げ、結露の発生を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ここでは、ルーフパネルの端部に結露水を貯める貯留部を設けているため、ルーフパネルの中央部で形成された結露が当該貯留部へ移動する間に結露同士が凝集し大きくなって落下することが懸念される。特に、ルーフパネルの車両下方には、室内ランプなどの電装品が配設された内装天井が設けられているため、このような電装品の直上から水滴が落下することも想定される。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制する車両用ルーフ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明に係る車両用ルーフ構造は、車体上部を構成するルーフパネルと、前記ルーフパネルの車両下方側に配置された内装天井と、前記内装天井に配設された電装品と、前記ルーフパネルの前記内装天井側に設けられ、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成された凹部又は凸部と、を有している。
【0007】
請求項1に記載の発明に係る車両用ルーフ構造では、車体上部を構成するルーフパネルの車両下方側には、電装品が配設された内装天井が配置されており、当該ルーフパネルの内装天井側には、少なくとも電装品の直上周辺に凹部又は凸部が形成されている。
【0008】
例えば、車室内外の温度差によってルーフパネルに発生した結露によって水滴が生じたとき、ルーフパネルの表面が滑らかな場合、当該水滴はルーフパネルの表面に沿って移動しやすく、水滴が凝集しやすくなる。
【0009】
しかし、ルーフパネルの少なくとも電装品の直上周辺に凹部又は凸部を形成することで、ルーフパネルの表面において、凹部又は凸部を形成されていない滑らかな領域と、凹部又は凸部が形成された粗い領域と、が設けられることとなる。このため、ルーフパネルの表面に発生した水滴は、滑らかな領域へ移動して行きやすく、少なくとも電装品の直上周辺で水滴の凝集を抑制することができ、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の車両用ルーフ構造は、車体上部を構成するルーフパネルと、前記ルーフパネルの車両下方側に配置された内装天井と、前記内装天井に配設された電装品と、前記ルーフパネルの前記内装天井側に設けられ、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成されて前記ルーフパネルの表面に発生する水滴の凝集を抑制する水滴凝集抑制部と、を有している。
【0011】
請求項2に記載の車両用ルーフ構造では、車体上部を構成するルーフパネルの車両下方側には、電装品が配設された内装天井が配置されており、ルーフパネルの内装天井側には、少なくとも電装品の直上周辺に、ルーフパネルの表面に発生する水滴の凝集を抑制する水滴凝集抑制部が形成されている。この水滴凝集抑制部によって、少なくとも電装品の直上周辺での水滴の凝集が抑制されるため、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の車両用ルーフ構造は、請求項2に記載の車両用ルーフ構造において、前記水滴凝集抑制部が、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成された、凹部又は凸部である。
【0013】
請求項3に記載の車両用ルーフ構造では、水滴凝集抑制部を、少なくとも電装品の直上周辺に形成された凹部又は凸部とすることで、請求項1に記載の車両用ルーフ構造の作用と略同じである。
【0014】
請求項4に記載の車両用ルーフ構造は、請求項2に記載の車両用ルーフ構造において、前記水滴凝集抑制部が、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成され、車両前後方向に沿って凹凸を繰り返す波形部である。
【0015】
請求項4に記載の車両用ルーフ構造では、少なくとも電装品の直上周辺に、車両前後方向に沿って凹凸を繰り返す波形部を形成することで、ルーフパネルの表面が滑らかな場合に比して、水滴の凝集を抑制することができる。また、水滴が凝集した場合は、波形部の凹部又は凸部に沿って、水滴は車幅方向へ案内される。一般的に、ルーフパネルは車幅方向中央部を凸とする湾曲状に形成されているため、波形部の形状に沿って案内される水滴は、車幅方向外側へ案内されることとなり、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の車両用ルーフ構造は、請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造において、前記凹部が前記ルーフパネルの表面に発生する水滴よりも大径の半球状を成し、当該凹部が複数形成されると共に、不規則に配列されている。
【0017】
請求項5に記載の車両用ルーフ構造では、凹部がルーフパネルの表面に発生する水滴よりも大径の半球状であるため、水滴を凹部内へ収容可能としている。これにより、水滴の凝集を抑制することができる。また、凹部が半球状を成しているため、凹部を略直方体状に形成した場合に比して、水滴との接触面積を増大させることができるため、水滴を落下し難くすることができる。さらに、この凹部を複数形成すると共に、不規則に配列することで、様々な水滴の動きに対応することができ、数多くの凹部で水滴を収容することができる。
【0018】
請求項6に記載の車両用ルーフ構造は、請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造において、前記凸部が円弧リブであり、前記円弧リブが前記電装品の直上を中心として車両後方側へ向かって同心円状に複数配置されている。
【0019】
請求項6に記載の車両用ルーフ構造では、電装品の直上を中心として車両後方側へ向かって同心円状に円弧リブを複数配置することで、円弧リブと円弧リブの間で水滴の凝集を抑制することができる。また、ルーフパネルの表面で凝集された水滴が円弧リブに到達すると、当該円弧リブの周壁に沿って車幅方向外側へ案内される。
【0020】
仮に、水滴が円弧リブの先端部を乗り越えようとした場合、水滴の大きさによっては、当該水滴は円弧リブの先端部に到達すると落下することとなる。また、水滴が円弧リブの先端部を乗り越えた場合でも、当該円弧リブの車両前方側に配置された円弧リブによって、水滴の電装品の直上への移動は規制される。つまり、水滴の電装品の直上への到達を防止して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の車両用ルーフ構造は、請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造において、前記凸部が直線リブであり、前記直線リブが前記電装品の直上を除いて格子状に複数配置されている。
【0022】
請求項7に記載の車両用ルーフ構造では、電装品の直上を除いて、直線リブを格子状に複数配置することで、水滴の凝集を抑制することができると共に、直線リブで構成される空間内に水滴を収容することができる。また、仮に、水滴が直線リブの先端部を乗り越えようとした場合、大きさによっては、当該水滴が直線リブの先端部に到達すると落下することとなる。さらに、水滴が直線リブの先端部を乗り越えたとしても、当該直線リブの車両前方側に配置された直線リブによって、水滴の電装品の直上への移動は規制される。
【0023】
つまり、水滴の電装品の直上への到達を防止して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、請求項1に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴の電装品の直上への移動を抑制して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0025】
請求項2に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴の凝集を抑制して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0026】
請求項3に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴の電装品の直上への移動を抑制して、電装品の直上からの水滴の落下を抑制することができる。
【0027】
請求項4に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴の凝集を抑制し、また、凝集された水滴を車幅方向外側へ案内することができる。
【0028】
請求項5に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴を収容して水滴の凝集を抑制し、また、水滴を落下し難くすることができる。
【0029】
請求項6に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴の凝集を抑制し、また、凝集された水滴を車幅方向外側へ案内することができる。
【0030】
請求項7に記載の車両用ルーフ構造によれば、水滴を収容して凝集を抑制し、また、凝集された水滴を電装品の直上に到着する前に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用ルーフ構造を示す概略分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用ルーフ構造を示す車室内側から見た下面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】(A)は図2の4(A)−4(A)線断面図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例に係る車両用ルーフ構造を示す概略分解斜視図である。
【図6】(A)は図5の6(A)−6(A)線断面図であり、(B)は(A)の部分拡大図、(C)は図5の6(C)−6(C)線断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用ルーフ構造を示す車室内側から見た下面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の変形例に係る車両用ルーフ構造を示す車室内側から見た下面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る車両用ルーフ構造について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。
【0033】
<第1の実施形態>
【0034】
図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態に係る車両用ルーフ構造について説明する。
【0035】
(車両用ルーフ構造の構成)
【0036】
図1には、車両用ルーフ構造10を構成するルーフパネル12及び内装天井14の概略斜視図が示されている。この図に示されるように、車室16の上端部を構成する車体上部11の最外側には、樹脂製のルーフパネル12が配設されており、ルーフパネル12の車両下方側には、ルーフパネル12と略対面した状態で、内装天井(ルーフヘッドライニング、成形天井又は内装トリムということもある)14が配置されている。
【0037】
図示はしないが、ルーフパネル12の両側部には、車両前後方向に沿ってルーフサイドレールが配設されており、ルーフパネル12の車両前端部にはフロントルーフレール15(図3参照)が車幅方向に沿って配設され、ルーフパネル12の車両後端部にはリアルーフレールが車幅方向に沿って配設されている。また、フロントルーフレール15とリアルーフレールの間には、ルーフセンタリインフォースがルーフパネル12の車両下方に位置して、車幅方向に沿って配設されている。これらのレールはスポット溶接やマスチックなどにより、ループパネル12と一体化され、車体上部11の面剛性を向上させている。
【0038】
一方、内装天井14には、ルームランプ18、マップランプ20等の電装品22が配設されており、内装天井14は、図示しないクリップ等を介して、上記のレールに固定されるようになっている。
【0039】
ここで、図1及び図2に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側には、電装品22(ルームランプ18及びマップランプ20)の直上及びその周辺、つまり、電装品22の直上及び電装品22の車幅方向の両側並びに電装品22の車両後方側の少なくとも一方を含む電装品22周りの直上に、凹部(水滴凝集抑制部)24が複数形成されている。
【0040】
図4(A)、(B)に示されるように(なお、図4(A)は図2の4(A)−4(A)線断面図であり、図4(B)は(A)の部分拡大図である)、この凹部24は水滴26よりも大径の略半球状を成しており、例えば、内径寸法が約5mmとされている。また、凹部24と凹部24のピッチは約5〜10mmの範囲となるように設定されており、凹部24は不規則に配置されている。
【0041】
(車両用ルーフ構造の作用・効果)
【0042】
次に、本実施の形態に係る車両用ルーフ構造の作用・効果について説明する。
【0043】
車室内と車室外とでは少なからず温度差が発生するため、ルーフパネルの表面(内装天井側の面)では、露点に達した水蒸気が気体から液体へ変わり結露が発生する。この結露(水滴)は、最初は微小な水滴であるが、温度差が激しくなった場合や、車両の動きにより(例えば、運転手がブレーキを踏んで車両前方向に加速度が発生した場合など)、水滴がルーフパネルの表面に沿って移動して水滴が互いに凝集した場合に、当該水滴が大きくなり内装天井側へ落下してしまう場合がある。
【0044】
このため、本実施形態では、図2及び図4(A)、(B)に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側の、電装品22の直上及びその周辺に凹部24を複数設けている。このように、ルーフパネル12の表面に凹部24を設けることで、ルーフパネル12の表面において、凹部24が設けられていない滑らかな領域と、凹部24が設けられた領域と、が設けられることとなる。
【0045】
このため、ルーフパネル12の表面に発生した水滴は、矢印に沿って滑らかな領域へ移動して行きやすく、少なくとも電装品22の直上周辺では、水滴26の凝集が抑制される。これにより、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができ、電装品22の機能損傷を防ぐことができる。
【0046】
ここで、ルーフパネル12の表面に発生する水滴26よりも大径の半球状で凹部24が形成されているため、水滴26は凹部24内へ収容可能とされる。また、この凹部24を複数形成すると共に、不規則に配列することで、様々な水滴26の動きに対応することができ、数多くの凹部24で水滴26を収容することができる。そして、この凹部24は半球状を成しているため、凹部24を略直方体とした場合に比して、水滴26との接触面積を増大させることができ、凹部24内に収容された水滴26を落下し難くすることができる。
【0047】
以上のように、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することで、例えば、電装品22の直上へ水滴26が落下しないようにするため設けられる止水スポンジ(図示省略)は不要となり、コストの削減を図ることができる。一方、ルーフパネル12は樹脂製であるため、金型形状により成形時にルーフパネル12の表面に複数の凹部24を容易に形成することできる。このため、二次加工により、凹部24を形成する場合と比較してコストが掛からない。
【0048】
なお、ここでは、凹部24を複数形成したが、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができれば良いためこれに限るものではない。例えば、電装品22の直上に、電装品22と対面するようにしてドーム状の凹部(図示省略)を1つ形成しても良い。ドーム状の凹部内において、水滴が凝集して大きくなったとしても、水滴は凹部の表面に沿って移動するため、この水滴は凹部との接触面積が低下する凹部とルーフパネルの表面との境界部で落下する。つまり、電装品22の直上からの水滴26の落下は抑制されることとなる。
【0049】
また、ここでは、電装品22として、ルームランプ18及びマップランプ20を例に挙げたが、直上からの水滴の落下により機能損傷を来す電装品であれば、上記以外の電装品であっても同様である。
【0050】
(第1の実施形態の変形例)
【0051】
第1実施形態では、図4(A)、(B)に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側には、電装品22の直上及びその周辺に、半球状の凹部24が複数形成されているが、本実施形態では、図5及び図6(A)〜(C)に示されるように(なお、図6(A)は図5の6(A)−6(A)線断面図であり、図6(B)は(A)の部分拡大図、図6(C)は図5の6(C)−6(C)線断面図である)、電装品22の直上及び電装品22の車両後方側の直上を含み、かつルーフパネル12の車幅方向の略全域に渡って、波形部(水滴凝集抑制部)28が形成されている。この波形部28は、ルーフパネル12の車両前後方向に沿って断面が略半球状の凹部28Aと凸部28Bの繰り返しによって形成されている。
【0052】
この波形部28を形成することで、ルーフパネル12の表面が滑らかな場合に比して、水滴26の凝集を抑制することができる。また、水滴26が凝集した場合は、凹部28A又は凸部28Bに沿って車幅方向へ案内される。
【0053】
一般的に、ルーフパネル12は車幅方向中央部を凸とする湾曲状に形成されているため、凹部28A又は凸部28Bに沿って案内される水滴26は、車幅方向外側へ案内されることとなり、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができる。つまり、ルーフパネル12に波形部28を設けることで、水滴26の凝集を抑制すると共に、凝集された水滴26を車幅方向外側へ案内して、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができる。
【0054】
なお、ここでは、波形部28が、断面が略半球状の凹部28Aと凸部28Bの繰り返しによって形成されているが、断面が略V字状の凹凸部の繰り返しによって形成されていても良い。
【0055】
<第2の実施形態>
【0056】
次に、図7及び図8を用いて(なお、図8は図7の8−8線断面図である)、本発明の第2実施形態に係る車両用ルーフ構造について説明する。なお、第1実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0057】
第1実施形態では、図2に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側には、電装品22の直上及びその周辺に、半球状の凹部24が複数形成されているが、本実施形態では、図7及び図8に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側には、電装品22の直上を中心として車両後方側へ向かってその同心円状に、円弧リブ30が複数設けられている。
【0058】
このように、電装品22の直上を中心として、その同心円状に複数の円弧リブ30を配置することで、円弧リブ30と円弧リブ30の間で水滴26の凝集を抑制することができる。また、ルーフパネルの表面で凝集された水滴が円弧リブ30に到達すると、当該円弧リブ30の周壁に沿って円弧リブ30の両端側、つまり、ルーフパネル12の車幅方向外側へ案内される。
【0059】
仮に、水滴26が円弧リブ30の先端部を乗り越えようとした場合、水滴26の大きさによっては、当該水滴26は円弧リブ30の先端部に到達すると落下する。また、水滴26が円弧リブ30の先端部を乗り越えた場合でも、当該円弧リブ30の内側(車両前方側)に配置された円弧リブ30によって、水滴26の電装品22の直上への移動は規制される。つまり、水滴26の電装品22の直上への到達を防止して、電装品22の直上からの水滴26の落下を抑制することができる。
【0060】
また、ルーフパネル12の内装天井14側に、複数の円弧リブ30を設けることで、ルーフパネル12の面剛性を向上させることができる。
【0061】
なお、ここでは、円弧リブ30を複数設けたが、この円弧リブ30のうち、電装品22の直上側に位置する(車両前方側に位置する)円弧リブ30のみが設けられた構成であっても良い。
【0062】
(第2の実施形態の変形例)
【0063】
第2実施形態では、図7及び図8に示されるように、ルーフパネル12の内装天井14側には、電装品22の直上を中心として車両後方側へ向かってその同心円状に、円弧リブ30が複数設けられているが、本実施形態では、図9及び図10に示されるように(なお、図10は図9の10−10線断面図である)、ルーフパネル12の電装品22の直上を除く電装品22の直上周辺に、車両前後方向及び車幅方向に沿って、それぞれ複数の直線リブ32、34が設けられ、格子状に配置されている。
【0064】
このように、電装品22の直上を除く電装品22の直上周辺に、格子状に配置された複数の直線リブ32、34を設けることで、水滴26の凝集を抑制することができると共に、直線リブ32で構成される空間36内に水滴26を収容することができる。水滴26が空間36内に収容されることで、水滴26の大きさを規制することができる。そして、仮に水滴26が大きくなった場合は、直線リブ32、34の先端部から落下するため、水滴26が電装品22の直上へ到達することはなく、電装品22の直上からの水滴26の落下を防止することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 車両用ルーフ構造
12 ルーフパネル
14 内装天井
18 ルームランプ(電装品)
20 マップランプ(電装品)
22 電装品
24 凹部(水滴凝集抑制部)
26 水滴
28 波形部(水滴凝集抑制部)
30 円弧リブ(凸部、水滴凝集抑制部)
32 直線リブ(凸部、水滴凝集抑制部)
34 直線リブ(凸部、水滴凝集抑制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部を構成するルーフパネルと、
前記ルーフパネルの車両下方側に配置された内装天井と、
前記内装天井に配設された電装品と、
前記ルーフパネルの前記内装天井側に設けられ、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成された凹部又は凸部と、
を有する車両用ルーフ構造。
【請求項2】
車体上部を構成するルーフパネルと、
前記ルーフパネルの車両下方側に配置された内装天井と、
前記内装天井に配設された電装品と、
前記ルーフパネルの前記内装天井側に設けられ、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成されて前記ルーフパネルの表面に発生する水滴の凝集を抑制する水滴凝集抑制部と、
を有する車両用ルーフ構造。
【請求項3】
前記水滴凝集抑制部が、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成された、凹部又は凸部である請求項2に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項4】
前記水滴凝集抑制部が、少なくとも前記電装品の直上周辺に形成され、車両前後方向に沿って凹凸を繰り返す波形部である請求項2に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項5】
前記凹部が前記ルーフパネルの表面に発生する水滴よりも大径の半球状を成し、当該凹部が複数形成されると共に、不規則に配列された請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項6】
前記凸部が円弧リブであり、前記円弧リブが前記電装品の直上を中心として車両後方側へ向かって同心円状に複数配置された請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項7】
前記凸部が直線リブであり、前記直線リブが前記電装品の直上を除いて格子状に複数配置された請求項1又は3に記載の車両用ルーフ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−111082(P2011−111082A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270806(P2009−270806)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】