車両用傘ホルダ
【課題】 傘を楽に出し入れすることができる車両用傘ホルダを提供する。
【解決手段】
傘ホルダ10は、リアシート2の足元に設置される。傘ホルダ10は、車両の左右方向に延びる垂直のベース11と、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体12とを備えている。ホルダ本体12の下縁部はヒンジにより、車両の左右方向に延びる水平軸線のまわりを回動可能である。ホルダ本体12が閉じ位置にある時、収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより収容凹部が閉じられ、ホルダ本体12が開き位置にある時、収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより収容凹部が上方に開放される。
【解決手段】
傘ホルダ10は、リアシート2の足元に設置される。傘ホルダ10は、車両の左右方向に延びる垂直のベース11と、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体12とを備えている。ホルダ本体12の下縁部はヒンジにより、車両の左右方向に延びる水平軸線のまわりを回動可能である。ホルダ本体12が閉じ位置にある時、収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより収容凹部が閉じられ、ホルダ本体12が開き位置にある時、収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより収容凹部が上方に開放される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設置される車両用傘ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
傘を車室内に保持する傘ホルダについて種々の提案がなされている。特許文献1に開示された傘ホルダは、運転席の足元に設置され、筒形状ないしは断面U字形をなして車両の左右方向に延びている。この傘ホルダは、そのドア側の一端部を中心に水平回動可能となっている。
【0003】
乗員が車両に乗り込む際には、傘ホルダを車両の軸線に対して傾斜させた状態でドア側から傘を傘ホルダに挿し込む。運転中は傘ホルダを車両の軸線と直交させた状態にして運転席の足元に置く。そして、乗員が車両から降りた後に、傘ホルダを再び車両の軸線に対して傾斜させた状態にして傘を傘ホルダから抜く。このように、傘ホルダが水平回動することにより、ドアに邪魔されずに傘を傘ホルダに対して出し入れできる。
【特許文献1】特開平7−300048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の傘ホルダでは、ドア側から傘を出し入れするため、その出し入れ作業が煩雑であった。また、車外で傘の出し入れ作業を行うため、乗員が雨に濡れる不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、車両用傘ホルダにおいて、シートの足元に配置されるとともに車両の左右方向に延びる垂直のベースと、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体と、このホルダ本体を閉じ位置と開き位置との間で移動可能にして上記ベースに連結する連結手段と、上記ホルダ本体を閉じ位置において上記ベースに着脱可能に保持する保持手段とを備え、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより上記収容凹部が閉じられ、上記ホルダ本体が開き位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより上記収容凹部が上方に開放されることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、上記ホルダ本体は開き位置においてベースの前方にあり、ホルダ本体の収容凹部が上方に開放しているので、傘を収容凹部の上方から出し入れでき、出し入れ作業が楽である。また、乗車した状態でも傘の出し入れができるので、乗員が雨に濡れるのを回避することができる。しかも、ホルダ本体が閉じ位置にある時には、収容された傘がホルダ本体により覆われているため、濡れた傘が乗員に接するのを防止できる。
【0007】
好ましくは、上記ベースがリアシートの足元においてリアシートのクッション部の前端より後方に配置され、これにより上方から見た時、上記ベースが上記クッション部によって隠される。
これによれば、ホルダ本体が閉じた状態において乗員の邪魔にならない。
【0008】
好ましくは、上記連結手段がヒンジからなり、上記ホルダ本体の下縁部が車両の左右方向に延びる水平軸線を中心にして回動する。
これによれば、簡単な構造でありながら、上記利点を得ることができる。
【0009】
好ましくは、上記連結手段が複数のリンクを連接してなるリンク機構からなり、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時にリンク機構が折り畳まれ、上記ホルダ本体が開き位置にある時にリンク機構が伸ばされる。
これによれば、開き位置のホルダ本体をベースに対して前方に大きく離なすことができ、傘の出し入れがより一層楽になる。
【0010】
好ましくは、上記閉じ位置のホルダ本体の下方には、ホルダ本体からの水を受ける樋が配置されており、この樋には、樋で受けた水を車外へ導くホースが接続されている。
これにより、傘から滴り落ちた水で車室内が濡れるのを防止できる。
排水構造の他の態様では、上記ホルダ本体において閉じ位置にある時に底部を構成する壁部分に、傘からの水を車外へ導くホースが接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗員が車室内で傘の出し入れを楽に行うことができる。しかも濡れた傘が乗員に接するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図7を参照しながら説明する。図1、図2に示すように本実施形態では、乗用車(車両)の車体フロア1の後部1aが前部1bより高くなっており、この後部1aの下に燃料タンクを収容するようになっている。
【0013】
上記フロア1の後部1aと前部1bとの間の段差は、垂直壁1cにより構成されている。また、前部1bの幅方向の中央には隆起部1dが前後方向に延びて形成されている。この隆起部1dの内側は、プロペラシャフトを収容するためのセンタートンネルを構成する。なお、隆起部1dは垂直壁1cより低い。
【0014】
上記フロア1の後部1aには、複数のリアシート2が設置されている。このリアシート2のクッション部2aの前端部は上記垂直壁1cより前方に突出している。
【0015】
上記複数のリアシート2の足元には、左右方向に延びる傘ホルダ10が設置されている。この傘ホルダ10は、左右方向に延びて上記垂直壁1cに固定された平板形状のベース11と、このベース11に回動可能に連結されたホルダ本体12とを備えている。
上記ベース1は上記リアシート2のクッション部2aの前端より後方に位置しており、上方から見た時クッション部2aに隠れて見えない。
【0016】
図3、図4に示すように、上記ホルダ本体12は、断面略U字形をなして左右方向に延びる細長い周壁12aと、この周壁12aの両端の設けられた端壁12bとを有しており、これら壁12a,12bにより収容凹部12cを形成している。
一方の端壁12bまたは両方の端壁12bには、傘20の柄21(図5にのみ示す)を挿入するためのスリット12eが形成されている。
【0017】
図6に示すように、上記周壁12aは平坦な壁部分12xと、湾曲した壁部分12yを連ねることにより形成されている。この壁部分12xは、後述するホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12の底部となる。
【0018】
上記ホルダ本体12は、上記壁部分12x(下縁部)の両端部に配置されたヒンジ13(連結手段)を介してベース11に連結されており、車両の左右方向に延びる水平軸線を中心として、閉じ位置と開き位置との間で前後方向に回動するようになっている。
【0019】
上記ホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12は起立し、収容凹部12cの縁部がベース11に当たるか近接しており、これにより収容凹部12cがベース11によって閉じられている。
本実施形態では、閉じ位置にあるホルダ本体12は、真上から見た時、上記リアシート2のクッション部2aに隠れて見えない。
【0020】
図6に最も良く示されているように、上記閉じ位置のホルダ本体12は、保持手段14により維持される。本実施形態では、この保持手段14は、ベース11の上縁部に埋め込まれた複数例えば3つの磁石14aと、ホルダ本体12の周縁部に取り付けられた3つの磁石14bとで構成されている。
【0021】
なお、磁石14a,14bの一方は鉄等の磁性部材に置き換えることができる。また、ベース11、ホルダ本体12を磁性材料で形成する場合には一方の磁石を省略できる。
【0022】
上記ホルダ本体12が開き位置にある時、収容凹部12cの縁部はベース11から離れてその前方に位置し、収容凹部12cは上方に開放されている。なお、ホルダ本体12はフロア1の隆起部1dに乗ることにより、開き位置を維持される。
【0023】
上記ホルダ本体12の周壁12aには取手15が取り付けられており、この取手15を掴んでホルダ本体12の開閉を行うことができる。
【0024】
図6に最も良く示されるように、上記ベース11には、閉じ位置のホルダ本体12の下方において樋16が取り付けられている。この樋16は車両の左右方向に延び、水を溜める浅い凹部16aを有している。
【0025】
図7に示すように、上記樋16(より具体的には凹部16aの底面)は、左右方向に勾配を有しており、左右端部の一方の高さHaに対して他方の高さHbが低くなっている。この低い方の端部にはホース17が接続されている。このホース17はベース11およびフロア1の垂直壁1cを貫通して、その端部が車外空間に露出している。
【0026】
本実施形態では、樋16をヒンジ13の下方に配置し、ホルダ本体12と略等しいかこれより長くするが、ホルダ本体12より若干短くして1対のヒンジ13間に配置してもよい。
【0027】
上記構成をなす傘ホルダ10の作用を説明する。図1〜図3および図6の実線で示すように、ホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12は、リアシート2の前端部の真下に位置し、殆ど隠れているので、乗員の邪魔にはならない。
【0028】
傘20(図5にのみ示す)を収容する場合には、ホルダ本体12を図4および図6の想像線で示すように前方へ引いて倒す。これによりホルダ本体12の収容凹部12cを上方に開放した状態にし、図5に示すように傘20を収容凹部12cに収容する。
【0029】
上記のように、ホルダ本体12が前方に倒れて上方が開放した状態であるので、傘20の収容作業を楽に行うことができる。なお、傘20の柄21は、スリット12eに挿入する。
【0030】
傘20を収容した後、再びホルダ本体12を後方に回動させて閉じ位置にする。この状態で傘20はホルダ本体12に覆われているので、乗員の服を濡らすことが無く、邪魔にもならない。
【0031】
傘20を取り出す時には、再びホルダ本体12を前に倒すことにより、楽に取り出すことができる。
上記傘20の出し入れは、乗員が車室内で行うことができ、雨天時に車室外に出て作業をしなくてもよいので、濡れずに済む。
【0032】
傘20が濡れている場合には、傘20に付着した水は時間の経過とともにホルダ本体12の底部すなわち壁部分12xに滴り落ちてくる。この水は、壁部分12xの後縁とベース11との間の隙間から落ち、その下方にある樋16に至る。
なお、本実施形態では、図6に示すように壁部分12xが若干後方に向かって低くなるように勾配を有しているため、上記壁部分12xで受けた水を円滑に樋16へと流すことができる。
【0033】
上記樋16に落ちた水は、樋16の勾配に沿って流れ、さらにホース17から車外へと排出される。そのため、車室に水が溜まるのを防止できる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について図8、図9を参照しながら説明する。本実施形態では樋16を設けず、水滴排出用のホース17をホルダ本体12の壁部分12x’に接続している。本実施形態の壁部分12x’には、水滴を集め易いように、左右方向に延びる溝12zを有するとともに、この溝12zに向かって低くなるような前後方向の勾配を有している。さらにこの溝12zの底面は、左右方向に勾配を有し、左右端部の一方の高さHcに対して他方の高さHdが低くなっている。この低い方の溝12zの端部にホース17が接続されている。なお、本実施形態ではホース17はフレキシブルである。
他の構成は第1実施形態と同様であるから、図中同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0035】
図10、図11に示す第3実施形態では、ホルダ本体12は第1、第2実施形態のヒンジ13の代わりに、左右一対のリンク機構19(連結手段)を介してベース11に連結されている。リンク機構19は、複数例えば2本のリンク19a,19bを連接してなる。これらリンク19a,19bは、それぞれ一端部がベース11、ホルダ本体12に回動可能に連結され、他端部同士が互いに回動可能に連結されている。
【0036】
図10に示すようにホルダ本体12が閉じ位置にある時には、リンク機構19は折り畳まれている。図11に示すようにホルダ本体12が開き位置にある時には、リンク機構19は伸びており、ホルダ12は前方に大きく移動することができる。これにより傘の収容がより一層容易となる。
【0037】
上記第3実施形態における他の構成は第1、第2実施形態のいずれか一方と同様であるから、図中同番号を付すか図示を省略する。
【0038】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様を採用可能である。例えば、第1実施形態の樋16の勾配、第2実施形態の溝12zの勾配をなくしてもよい。また水抜き構造を省略してもよい。
保持手段は磁石の代わりに、爪付きのクランプ機構を用いてもよい。このクランプ機構のロック解除は、ホルダ本体に設けた取手の操作により行う。
車体フロアの垂直壁をベースとして兼用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態をなす傘ホルダを乗用車のリアシートの足元に設置した状態を示す斜視図である。
【図2】同傘ホルダとリアシートの側面図である。
【図3】同傘ホルダを閉じ位置で示す斜視図である。
【図4】同傘ホルダを開き位置で示す斜視図である。
【図5】同傘ホルダを、傘を収容した開き位置で示す斜視図である。
【図6】同傘ホルダの拡大縦断面図である。
【図7】同傘ホルダの正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態をなす傘ホルダの図6相当図である。
【図9】同第2実施形態をなす傘ホルダの図7相当図である。
【図10】本発明の第3実施形態をなす傘ホルダを閉じ位置で示す概略側面図である。
【図11】同第3実施形態の傘ホルダを開き位置で示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 フロア
1c 垂直壁
2 リアシート
10 傘ホルダ
11 ベース
12 ホルダ本体
12c 収容凹部
13 ヒンジ(連結手段)
14 保持手段
16 樋
17 ホース
19 リンク機構(連結手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設置される車両用傘ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
傘を車室内に保持する傘ホルダについて種々の提案がなされている。特許文献1に開示された傘ホルダは、運転席の足元に設置され、筒形状ないしは断面U字形をなして車両の左右方向に延びている。この傘ホルダは、そのドア側の一端部を中心に水平回動可能となっている。
【0003】
乗員が車両に乗り込む際には、傘ホルダを車両の軸線に対して傾斜させた状態でドア側から傘を傘ホルダに挿し込む。運転中は傘ホルダを車両の軸線と直交させた状態にして運転席の足元に置く。そして、乗員が車両から降りた後に、傘ホルダを再び車両の軸線に対して傾斜させた状態にして傘を傘ホルダから抜く。このように、傘ホルダが水平回動することにより、ドアに邪魔されずに傘を傘ホルダに対して出し入れできる。
【特許文献1】特開平7−300048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の傘ホルダでは、ドア側から傘を出し入れするため、その出し入れ作業が煩雑であった。また、車外で傘の出し入れ作業を行うため、乗員が雨に濡れる不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、車両用傘ホルダにおいて、シートの足元に配置されるとともに車両の左右方向に延びる垂直のベースと、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体と、このホルダ本体を閉じ位置と開き位置との間で移動可能にして上記ベースに連結する連結手段と、上記ホルダ本体を閉じ位置において上記ベースに着脱可能に保持する保持手段とを備え、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより上記収容凹部が閉じられ、上記ホルダ本体が開き位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより上記収容凹部が上方に開放されることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、上記ホルダ本体は開き位置においてベースの前方にあり、ホルダ本体の収容凹部が上方に開放しているので、傘を収容凹部の上方から出し入れでき、出し入れ作業が楽である。また、乗車した状態でも傘の出し入れができるので、乗員が雨に濡れるのを回避することができる。しかも、ホルダ本体が閉じ位置にある時には、収容された傘がホルダ本体により覆われているため、濡れた傘が乗員に接するのを防止できる。
【0007】
好ましくは、上記ベースがリアシートの足元においてリアシートのクッション部の前端より後方に配置され、これにより上方から見た時、上記ベースが上記クッション部によって隠される。
これによれば、ホルダ本体が閉じた状態において乗員の邪魔にならない。
【0008】
好ましくは、上記連結手段がヒンジからなり、上記ホルダ本体の下縁部が車両の左右方向に延びる水平軸線を中心にして回動する。
これによれば、簡単な構造でありながら、上記利点を得ることができる。
【0009】
好ましくは、上記連結手段が複数のリンクを連接してなるリンク機構からなり、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時にリンク機構が折り畳まれ、上記ホルダ本体が開き位置にある時にリンク機構が伸ばされる。
これによれば、開き位置のホルダ本体をベースに対して前方に大きく離なすことができ、傘の出し入れがより一層楽になる。
【0010】
好ましくは、上記閉じ位置のホルダ本体の下方には、ホルダ本体からの水を受ける樋が配置されており、この樋には、樋で受けた水を車外へ導くホースが接続されている。
これにより、傘から滴り落ちた水で車室内が濡れるのを防止できる。
排水構造の他の態様では、上記ホルダ本体において閉じ位置にある時に底部を構成する壁部分に、傘からの水を車外へ導くホースが接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗員が車室内で傘の出し入れを楽に行うことができる。しかも濡れた傘が乗員に接するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図7を参照しながら説明する。図1、図2に示すように本実施形態では、乗用車(車両)の車体フロア1の後部1aが前部1bより高くなっており、この後部1aの下に燃料タンクを収容するようになっている。
【0013】
上記フロア1の後部1aと前部1bとの間の段差は、垂直壁1cにより構成されている。また、前部1bの幅方向の中央には隆起部1dが前後方向に延びて形成されている。この隆起部1dの内側は、プロペラシャフトを収容するためのセンタートンネルを構成する。なお、隆起部1dは垂直壁1cより低い。
【0014】
上記フロア1の後部1aには、複数のリアシート2が設置されている。このリアシート2のクッション部2aの前端部は上記垂直壁1cより前方に突出している。
【0015】
上記複数のリアシート2の足元には、左右方向に延びる傘ホルダ10が設置されている。この傘ホルダ10は、左右方向に延びて上記垂直壁1cに固定された平板形状のベース11と、このベース11に回動可能に連結されたホルダ本体12とを備えている。
上記ベース1は上記リアシート2のクッション部2aの前端より後方に位置しており、上方から見た時クッション部2aに隠れて見えない。
【0016】
図3、図4に示すように、上記ホルダ本体12は、断面略U字形をなして左右方向に延びる細長い周壁12aと、この周壁12aの両端の設けられた端壁12bとを有しており、これら壁12a,12bにより収容凹部12cを形成している。
一方の端壁12bまたは両方の端壁12bには、傘20の柄21(図5にのみ示す)を挿入するためのスリット12eが形成されている。
【0017】
図6に示すように、上記周壁12aは平坦な壁部分12xと、湾曲した壁部分12yを連ねることにより形成されている。この壁部分12xは、後述するホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12の底部となる。
【0018】
上記ホルダ本体12は、上記壁部分12x(下縁部)の両端部に配置されたヒンジ13(連結手段)を介してベース11に連結されており、車両の左右方向に延びる水平軸線を中心として、閉じ位置と開き位置との間で前後方向に回動するようになっている。
【0019】
上記ホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12は起立し、収容凹部12cの縁部がベース11に当たるか近接しており、これにより収容凹部12cがベース11によって閉じられている。
本実施形態では、閉じ位置にあるホルダ本体12は、真上から見た時、上記リアシート2のクッション部2aに隠れて見えない。
【0020】
図6に最も良く示されているように、上記閉じ位置のホルダ本体12は、保持手段14により維持される。本実施形態では、この保持手段14は、ベース11の上縁部に埋め込まれた複数例えば3つの磁石14aと、ホルダ本体12の周縁部に取り付けられた3つの磁石14bとで構成されている。
【0021】
なお、磁石14a,14bの一方は鉄等の磁性部材に置き換えることができる。また、ベース11、ホルダ本体12を磁性材料で形成する場合には一方の磁石を省略できる。
【0022】
上記ホルダ本体12が開き位置にある時、収容凹部12cの縁部はベース11から離れてその前方に位置し、収容凹部12cは上方に開放されている。なお、ホルダ本体12はフロア1の隆起部1dに乗ることにより、開き位置を維持される。
【0023】
上記ホルダ本体12の周壁12aには取手15が取り付けられており、この取手15を掴んでホルダ本体12の開閉を行うことができる。
【0024】
図6に最も良く示されるように、上記ベース11には、閉じ位置のホルダ本体12の下方において樋16が取り付けられている。この樋16は車両の左右方向に延び、水を溜める浅い凹部16aを有している。
【0025】
図7に示すように、上記樋16(より具体的には凹部16aの底面)は、左右方向に勾配を有しており、左右端部の一方の高さHaに対して他方の高さHbが低くなっている。この低い方の端部にはホース17が接続されている。このホース17はベース11およびフロア1の垂直壁1cを貫通して、その端部が車外空間に露出している。
【0026】
本実施形態では、樋16をヒンジ13の下方に配置し、ホルダ本体12と略等しいかこれより長くするが、ホルダ本体12より若干短くして1対のヒンジ13間に配置してもよい。
【0027】
上記構成をなす傘ホルダ10の作用を説明する。図1〜図3および図6の実線で示すように、ホルダ本体12が閉じ位置にある時、ホルダ本体12は、リアシート2の前端部の真下に位置し、殆ど隠れているので、乗員の邪魔にはならない。
【0028】
傘20(図5にのみ示す)を収容する場合には、ホルダ本体12を図4および図6の想像線で示すように前方へ引いて倒す。これによりホルダ本体12の収容凹部12cを上方に開放した状態にし、図5に示すように傘20を収容凹部12cに収容する。
【0029】
上記のように、ホルダ本体12が前方に倒れて上方が開放した状態であるので、傘20の収容作業を楽に行うことができる。なお、傘20の柄21は、スリット12eに挿入する。
【0030】
傘20を収容した後、再びホルダ本体12を後方に回動させて閉じ位置にする。この状態で傘20はホルダ本体12に覆われているので、乗員の服を濡らすことが無く、邪魔にもならない。
【0031】
傘20を取り出す時には、再びホルダ本体12を前に倒すことにより、楽に取り出すことができる。
上記傘20の出し入れは、乗員が車室内で行うことができ、雨天時に車室外に出て作業をしなくてもよいので、濡れずに済む。
【0032】
傘20が濡れている場合には、傘20に付着した水は時間の経過とともにホルダ本体12の底部すなわち壁部分12xに滴り落ちてくる。この水は、壁部分12xの後縁とベース11との間の隙間から落ち、その下方にある樋16に至る。
なお、本実施形態では、図6に示すように壁部分12xが若干後方に向かって低くなるように勾配を有しているため、上記壁部分12xで受けた水を円滑に樋16へと流すことができる。
【0033】
上記樋16に落ちた水は、樋16の勾配に沿って流れ、さらにホース17から車外へと排出される。そのため、車室に水が溜まるのを防止できる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について図8、図9を参照しながら説明する。本実施形態では樋16を設けず、水滴排出用のホース17をホルダ本体12の壁部分12x’に接続している。本実施形態の壁部分12x’には、水滴を集め易いように、左右方向に延びる溝12zを有するとともに、この溝12zに向かって低くなるような前後方向の勾配を有している。さらにこの溝12zの底面は、左右方向に勾配を有し、左右端部の一方の高さHcに対して他方の高さHdが低くなっている。この低い方の溝12zの端部にホース17が接続されている。なお、本実施形態ではホース17はフレキシブルである。
他の構成は第1実施形態と同様であるから、図中同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0035】
図10、図11に示す第3実施形態では、ホルダ本体12は第1、第2実施形態のヒンジ13の代わりに、左右一対のリンク機構19(連結手段)を介してベース11に連結されている。リンク機構19は、複数例えば2本のリンク19a,19bを連接してなる。これらリンク19a,19bは、それぞれ一端部がベース11、ホルダ本体12に回動可能に連結され、他端部同士が互いに回動可能に連結されている。
【0036】
図10に示すようにホルダ本体12が閉じ位置にある時には、リンク機構19は折り畳まれている。図11に示すようにホルダ本体12が開き位置にある時には、リンク機構19は伸びており、ホルダ12は前方に大きく移動することができる。これにより傘の収容がより一層容易となる。
【0037】
上記第3実施形態における他の構成は第1、第2実施形態のいずれか一方と同様であるから、図中同番号を付すか図示を省略する。
【0038】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様を採用可能である。例えば、第1実施形態の樋16の勾配、第2実施形態の溝12zの勾配をなくしてもよい。また水抜き構造を省略してもよい。
保持手段は磁石の代わりに、爪付きのクランプ機構を用いてもよい。このクランプ機構のロック解除は、ホルダ本体に設けた取手の操作により行う。
車体フロアの垂直壁をベースとして兼用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態をなす傘ホルダを乗用車のリアシートの足元に設置した状態を示す斜視図である。
【図2】同傘ホルダとリアシートの側面図である。
【図3】同傘ホルダを閉じ位置で示す斜視図である。
【図4】同傘ホルダを開き位置で示す斜視図である。
【図5】同傘ホルダを、傘を収容した開き位置で示す斜視図である。
【図6】同傘ホルダの拡大縦断面図である。
【図7】同傘ホルダの正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態をなす傘ホルダの図6相当図である。
【図9】同第2実施形態をなす傘ホルダの図7相当図である。
【図10】本発明の第3実施形態をなす傘ホルダを閉じ位置で示す概略側面図である。
【図11】同第3実施形態の傘ホルダを開き位置で示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 フロア
1c 垂直壁
2 リアシート
10 傘ホルダ
11 ベース
12 ホルダ本体
12c 収容凹部
13 ヒンジ(連結手段)
14 保持手段
16 樋
17 ホース
19 リンク機構(連結手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの足元に配置されるとともに車両の左右方向に延びる垂直のベースと、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体と、このホルダ本体を閉じ位置と開き位置との間で移動可能にして上記ベースに連結する連結手段と、上記ホルダ本体を閉じ位置において上記ベースに着脱可能に保持する保持手段とを備え、
上記ホルダ本体が閉じ位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより上記収容凹部が閉じられ、
上記ホルダ本体が開き位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより上記収容凹部が上方に開放されることを特徴とする車両用傘ホルダ。
【請求項2】
上記ベースがリアシートの足元においてリアシートのクッション部の前端より後方に配置され、これにより上方から見た時、上記ベースが上記クッション部によって隠されることを特徴とする請求項1に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項3】
上記連結手段がヒンジからなり、上記ホルダ本体の下縁部が車両の左右方向に延びる水平軸線を中心にして回動することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項4】
上記連結手段が複数のリンクを連接してなるリンク機構からなり、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時にリンク機構が折り畳まれ、上記ホルダ本体が開き位置にある時にリンク機構が伸ばされることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項5】
上記閉じ位置のホルダ本体の下方には、ホルダ本体からの水を受ける樋が配置されており、この樋には、樋で受けた水を車外へ導くホースが接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用傘ホルダ。
【請求項6】
上記ホルダ本体において閉じ位置にある時に底部を構成する壁部分に、傘からの水を車外へ導くホースが接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用傘ホルダ。
【請求項1】
シートの足元に配置されるとともに車両の左右方向に延びる垂直のベースと、車両の左右方向に延びるとともに傘を収容する収容凹部を有するホルダ本体と、このホルダ本体を閉じ位置と開き位置との間で移動可能にして上記ベースに連結する連結手段と、上記ホルダ本体を閉じ位置において上記ベースに着脱可能に保持する保持手段とを備え、
上記ホルダ本体が閉じ位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースの前面に当たるか近接し、これにより上記収容凹部が閉じられ、
上記ホルダ本体が開き位置にある時、上記収容凹部の縁部が上記ベースから離れてその前方に位置し、これにより上記収容凹部が上方に開放されることを特徴とする車両用傘ホルダ。
【請求項2】
上記ベースがリアシートの足元においてリアシートのクッション部の前端より後方に配置され、これにより上方から見た時、上記ベースが上記クッション部によって隠されることを特徴とする請求項1に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項3】
上記連結手段がヒンジからなり、上記ホルダ本体の下縁部が車両の左右方向に延びる水平軸線を中心にして回動することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項4】
上記連結手段が複数のリンクを連接してなるリンク機構からなり、上記ホルダ本体が閉じ位置にある時にリンク機構が折り畳まれ、上記ホルダ本体が開き位置にある時にリンク機構が伸ばされることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用傘ホルダ。
【請求項5】
上記閉じ位置のホルダ本体の下方には、ホルダ本体からの水を受ける樋が配置されており、この樋には、樋で受けた水を車外へ導くホースが接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用傘ホルダ。
【請求項6】
上記ホルダ本体において閉じ位置にある時に底部を構成する壁部分に、傘からの水を車外へ導くホースが接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用傘ホルダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−154639(P2009−154639A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333558(P2007−333558)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
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