説明

車両用充電システム

【課題】 家庭用電源を用いた場合でも、バッテリの充電量を正確に把握することができ、充電の終了制御を適正に行うことのできる車両用充電システムを提供する。
【解決手段】 制御部7と、車室に駐車した車両の電源プラグ8が接続され外部からの電源幹線から電力が供給されるコンセント9と、コンセント9に流れる電流値を測定する電流センサとを備えた充電ユニット6と、電気車両に搭載されたバッテリ21の充電電流を制御する車両充電制御部22と、を備え、車両充電制御部22は、充電電流を制御して充電量情報を充電ユニット6に送るように制御し、充電ユニット6は、電流センサにより充電電流を測定することにより、充電量情報を取得して充電量を把握し、制御部7は、充電量情報に基づいて充電を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用充電システムに係り、特に、家庭用電源を用いた場合でも、バッテリの充電量を正確に把握することができ、充電の終了制御を適正に行うことを可能とした車両用充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及しつつあり、電気自動車に対する充電システムが開発されてきている。このような充電システムにおいては、電気自動車を駐車場に駐車させた際に、車両に対して充電することが行われている。
【0003】
そして、車両のバッテリに対して充電を行う場合に、充電の終了制御を行うようになっている。このような充電の終了制御を行う技術として、従来から、例えば、複数台の車両にそれぞれ搭載された駆動用バッテリを充電する充電手段と、各バッテリのバッテリ状態に応じて充電手段を制御する制御手段とを備え、この制御手段は、各バッテリ状態に応じてそれぞれの充電時間を算出する第1の演算手段と、各バッテリの所定充電完了時刻および第1の演算手段により算出されたそれぞれの充電時間とに基づいて各バッテリの充電開始時刻を算出する第2の演算手段と、第2の演算手段により算出された充電開始時刻に充電手段による充電をそれぞれ開始する開始手段とを備えるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−116626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、充電時間により制御するものであるが、充電量による制御を行うものではないため、正確に充電終了の制御を行うことができないという問題を有している。一般に、車両に対して充電する手段として、一般家庭用の電源を用いた家庭用充電があるが、家庭用電源を用いた場合、充電量を正確に把握することができず、利便性に欠けるという問題を有している。そのため、例えば、電源配線とは別に、充電量の監視をするために別途通信線を設置したり、電力線通信を利用するようにすれば充電量の監視を行うことが可能であるが、設備コストが高くなってしまうという問題を有している。
【0006】
さらに、充電電流を監視することにより、充電終了の制御を行う場合に、例えば、車両に搭載されたバッテリが発熱したりした場合に、充電が休止することがあり、充電電流の監視だけでは、十分な充電終了の制御を行うことができないという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、家庭用電源を用いた場合でも、バッテリの充電量を正確に把握することができ、充電の終了制御を適正に行うことのできる車両用充電システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る車両用充電システムは、電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
制御部と、前記車室に駐車した車両の受電側接続器が接続され外部からの電源幹線から電力が供給される給電側接続器と、前記給電側接続器に流れる電流値を測定する電流センサとを備えた充電ユニットと、
前記電気車両に搭載されたバッテリの充電電流を制御する車両充電制御部と、を備え、
前記車両充電制御部は、充電電流を制御して充電量情報を前記充電ユニットに送るように制御し、
前記充電ユニットは、前記電流センサにより充電電流を測定することにより、前記充電量情報を取得して充電量を把握し、前記制御部は、前記充電量情報に基づいて充電を制御することを特徴とする
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記車両充電制御部による充電量情報は、前記バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流によるパルスの回数で表すことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記車両充電制御部による充電量情報は、前記バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流値に対する電流値で表すことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3において、前記車両充電制御部は、前記パルスまたは前記電流値による前記充電量情報を送る前に、少なくとも充電時における待機電流値より低い電流値に下げた後、パルスまたは電流値による充電量情報を送るものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、電流センサにより充電電流を測定することにより、車両充電制御部から送られる充電量情報を取得し、制御部により、充電量情報に基づいて充電を制御するようにしているので、家庭用電源を用いて充電を行う場合であっても、充電量を確実に把握することができ、適正に充電の終了制御を行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、車両充電制御部による充電量情報を、バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流によるパルスの回数で表すようにしているので、充電電流のパルスの回数により、充電量を確実に把握することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、車両充電制御部による充電量情報を、バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流値に対する電流値で表すようにしているので、充電電流の電流値により、充電量を確実に把握することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、車両充電制御部により、パルスまたは電流値による充電量情報を送る前に、少なくとも充電時における待機電流値より低い電流値に下げた後、パルスまたは電流値による充電量情報を送るようにしているので、通常の充電電流と、充電量情報とを確実に区別することができ、充電量情報をより確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両用充電システムの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る車両用充電システムの実施形態における充電電流の変化を示す説明図である。
【図3】本発明に係る車両用充電システムの実施形態における充電量情報の例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る車両用充電システムの実施形態における充電量情報の他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る車両用充電システムの実施形態における充電動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る車両用充電システムの実施形態における給電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用充電システムの実施形態を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の車両用充電システムは、例えば、電気自動車などのバッテリの電力で走行する車両1を駐車させるため、駐車場2に設置されるものであり、この駐車場2は、複数の車室3を備えている。
【0019】
また、車両用充電システムは、図示しない外部電源からの電力が供給される分電盤4を備えており、分電盤4には、漏電遮断器5が設置されている。また、車両用充電システムは、駐車場2の各車室3に設置された充電ユニット6を備えており、充電ユニット6には、各種制御を行う制御部7が設けられている。各充電ユニット6には、車室に駐車した車両1の受電側接続器としての電源プラグ8が差し込まれる給電側接続器としてのコンセント9が設けられている。本実施形態においては、コンセント9部分には、コンセント9部分を被覆するカバー部材10が設けられており、さらに、コンセント9部分には、制御部7の制御信号により、カバー部材10を閉状態に保持するロック機構11が設けられている。このロック機構11は、コンセント9に電源プラグ8が差し込まれた状態で、カバー部材10を閉状態に保持するものである。なお、カバー部材10を設けない場合には、ロック機構11として、コンセント9に差し込まれた電源プラグ8が抜けないように保持する機構で構成するようにしてもよい。
【0020】
また、充電ユニット6には、コンセント9に電気的に接続された電力開閉器12が設けられており、電力開閉器12は、電源幹線13との接続を開閉するスイッチであり、分電盤4からの電源幹線13が漏電遮断器14を介して接続されている。また、充電ユニット6には、コンセント9に送られる電流値を検出して制御部7に送る電流センサ15が設けられており、充電ユニット6には、コンセント9に供給される電圧値を検出する電圧検知部16が設けられている。
【0021】
さらに、充電ユニット6には、充電スイッチ17が配設されており、充電スイッチ17をON動作することにより、制御部7により電力開閉器12をON動作させるように構成されている。そして、電力開閉器12がON動作されると、電源幹線13とコンセント9とを接続してコンセント9に電源が供給されるように構成されている。さらに、充電ユニット6には、例えば、充電受付などの所定の案内表示を行う表示部18が設けられており、この表示部18は、例えば、案内表示の確認操作やキャンセル操作などの案内にしたがった操作を行うことができるように構成されている。さらに、充電ユニット6には、メモリ19およびタイマ20が配設されている。
【0022】
また、本実施形態においては、車両は、車両に搭載されたバッテリ21の充電制御を行うための車両充電制御部22を備えており、この車両充電制御部22は、図2に示すように、バッテリ21に対して電源が供給された際に、電源の供給直後の一定時間は、充電中に対して比較的少ない待機電流を流し、その後、比較的多い充電電流を流すように制御して充電を行うように構成されている。
【0023】
そして、本実施形態においては、車両充電制御部22は、バッテリ21の最大充電量に対してどの程度充電されているかを示す充電量情報を充電ユニット6に送るように構成されている。具体的には、例えば、図3に示すように、充電中に充電電流値から待機電流値を下回る電流値まで充電電流を下げた後、バッテリ21の最大充電量に対する現在の充電量の割合を、充電電流によるパルスを出力するものである。このパルスの回数は、バッテリ21の最大充電量の何%充電されたかを示すように構成されており、図3に示す例では、6つのパルスを出力しているので、最大充電量の60%まで充電されたことを示している。
【0024】
また、その他の手段としては、例えば、図4に示すように、一度充電電流を0に下げた後、バッテリ21の最大充電量に対する現在の充電量の割合を、充電電流値に対する電流値に制御するものである。すなわち、図4に示す例では、充電電流値を「10」とした場合に、電流値を「6」に制御するものであり、最大充電量の60%まで充電されたことを示している。
【0025】
次に、本実施形態の動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0026】
本実施形態においては、まず、電圧検知部16により、給電電圧を検知し(ST1)、電圧を検知しない場合は、充電が不可である旨を表示部18に表示させる(ST2)。電圧を検知している状態で、充電スイッチ17がONにされた場合には(ST3)、充電ユニット6のカバー部材10を開いて、コンセント9に、車両1の充電プラグを差し込んだ後(ST4)、表示部18の案内表示にしたがって充電の確認を選択する(ST5)。その後、制御部7によりロック機構11を動作させてカバー部材10をロックさせ(ST6)、ロックが完了したら(ST7:YES)、給電が開始される(ST8)。一方、ロックが完了しない場合は(ST7:NO)、ロックできない旨の異常を報知する(ST9)。
【0027】
次に、給電動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0028】
まず、電力供給をONにして(ST20)、電流センサ15により、給電電流値を測定し、待機電流値を超えた場合には(ST21)、充電が開始されたものと判断する。
【0029】
そして、充電中に、電流センサ15により給電電流値を測定し、車両充電制御部22から充電量情報が送られたと判断した場合は(ST22:YES)、充電制御ユニットの制御部7は、充電量情報に基づいて、充電量が設定量に達したか否か判断する(ST23)。そして、充電量が設定量に達した場合には、電力供給をOFFに制御する(ST24)。
【0030】
そして、図5に示すように、充電が終了したら(ST10)、給電電流値を測定し(ST11)、電流値が0となったら、その後、カバー部材10のロック機構11を解除し(ST12)、利用者が電源プラグ8を外すことにより(ST13)、全ての充電動作が完了する。また、給電電流が0以上の場合は、OFFすることができない旨の異常を報知する(ST14)。なお、コンセント9を接続した後、キャンセルを選択した場合は(ST15)、電源プラグ8をコンセント9から外して充電を終了する(ST13)。
【0031】
以上述べたように、本実施形態においては、車両充電制御部22から充電量情報を充電制御ユニットに送り、この充電量情報に基づいて充電量を判断するようにしているので、例えば、家庭用電源を用いて充電を行う場合であっても、充電量を確実に把握することができ、適正に充電の終了制御を行うことができる。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 車両
2 駐車場
3 車室
4 分電盤
6 充電ユニット
7 制御部
8 電源プラグ
9 コンセント
10 カバー部材
11 ロック機構
12 電力開閉器
13 電源幹線
14 漏電遮断機
15 電流センサ
16 電圧検知部
17 充電スイッチ
18 表示部
19 メモリ
20 タイマ
21 バッテリ
22 車両充電制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
制御部と、前記車室に駐車した車両の受電側接続器が接続され外部からの電源幹線から電力が供給される給電側接続器と、前記給電側接続器に流れる電流値を測定する電流センサとを備えた充電ユニットと、
前記電気車両に搭載されたバッテリの充電電流を制御する車両充電制御部と、を備え、
前記車両充電制御部は、充電電流を制御して充電量情報を前記充電ユニットに送るように制御し、
前記充電ユニットは、前記電流センサにより充電電流を測定することにより、前記充電量情報を取得して充電量を把握し、前記制御部は、前記充電量情報に基づいて充電を制御することを特徴とする車両用充電システム。
【請求項2】
前記車両充電制御部による充電量情報は、前記バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流によるパルスの回数で表すことを特徴とする請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記車両充電制御部による充電量情報は、前記バッテリの最大充電量に対する現在の充電量の割合を充電電流値に対する電流値で表すことを特徴とする請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項4】
前記車両充電制御部は、前記パルスまたは前記電流値による前記充電量情報を送る前に、少なくとも充電時における待機電流値より低い電流値に下げた後、パルスまたは電流値による充電量情報を送るものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−186925(P2012−186925A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48601(P2011−48601)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】