説明

車両用充電リッド部構造

【課題】充電リッドの剛性及び強度を確保すると共に、充電時の使用性を向上させる。
【解決手段】車両用充電リッド部構造10では、充電リッドによって開閉される充電インレット14がフロントバンパカバーに形成されている。充電インレット14には、急速充電用と普通充電用の2つの差込口44,46を有している。従って、車両の先端により近い位置に充電インレット14が形成されているので、充電時の使用性を向上させることができる。また、充電リッドは、ラジエータサポートアッパ28とラジエータサポートロア30とを連結するインレットブラケット12を有する支持部材82に回動支持機構を介して回動可能に支持されている。従って、充電リッドが剛性の高い部位に取り付けられているので、充電リッドの剛性及び強度を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電リッド部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車のラジエータグリルに、外部充電プラグを挿入可能な充電口が形成されると共に、この充電口に蓋体が開閉自在に取り付けられた電気自動車の充電部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−332003号公報
【特許文献2】特開2010−288363号公報
【特許文献3】特開平9−109691号公報
【非特許文献1】発明協会公開技法公技番号2011−500148号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造では、蓋体がラジエータグリルに支持されているため、蓋体の剛性及び強度が低くなる虞がある。また、この種の構造においては、充電時の使用性が向上されることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、充電リッドの剛性及び強度を確保することができると共に、充電時の使用性を向上させることができる車両用充電リッド部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用充電リッド部構造は、車体前部に車両上下方向に離間して設けられたラジエータサポートアッパとラジエータサポートロアとを連結する連結部を有する支持部材と、前記支持部材の前方に配置され、充電口が形成されたフロントバンパカバーと、前記充電口を開閉する充電リッドと、前記充電口を閉止する閉位置と、前記閉位置よりも車両上側に回動されて前記充電口を開放する開位置とに変位可能に、前記充電リッドを前記支持部材に対して車両上下方向に回動可能に支持する回動支持機構と、を備えている。
【0007】
この車両用充電リッド部構造によれば、充電リッドによって開閉される充電口は、フロントバンパカバーに形成されている。従って、車両の先端により近い位置に充電口が形成されているので、充電時の使用性を向上させることができる。
【0008】
また、充電リッドは、ラジエータサポートアッパとラジエータサポートロアとを連結する連結部を有する支持部材に、回動支持機構を介して回動可能に支持されている。従って、充電リッドが剛性の高い部位に取り付けられているので、充電リッドの剛性及び強度を確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の車両用充電リッド部構造は、請求項1に記載の車両用充電リッド部構造において、前記支持部材が、前記連結部としての連結ブラケットと、前記連結ブラケットに対する車両上下方向への取付位置を調整可能とされ、前記連結ブラケットに取り付けられた上下方向調整用ブラケットと、前記上下方向調整用ブラケットに対する車両水平方向への取付位置を調整可能とされ、前記上下方向調整用ブラケットに取り付けられた水平方向調整用ブラケットと、を有し、前記回動支持機構が、前記水平方向調整用ブラケットに対して前記充電リッドを支持する構成とされている。
【0010】
この車両用充電リッド部構造によれば、連結ブラケットに対する上下方向調整用ブラケットの車両上下方向への取付位置、及び、上下方向調整用ブラケットに対する水平方向調整用ブラケットの車両水平方向への取付位置が調整可能とされている。従って、フロントバンパカバーとラジエータサポートアッパ及びラジエータサポートロアとの相対位置がばらついた場合でも、上下方向調整用ブラケット及び水平方向調整用ブラケットの取付位置を調整することで、このばらつきを吸収することができる。
【0011】
請求項3に記載の車両用充電リッド部構造は、請求項2に記載の車両用充電リッド部構造において、前記連結ブラケットが、車両上下方向に延びる被接合部を有し、前記上下方向調整用ブラケットが、車両上下方向に延び、前記被接合部に接合された接合部と、前記接合部の上端部から車両前側に延びる延出部とを有し、前記水平方向調整用ブラケットが、前記延出部に結合された構成とされている。
【0012】
この車両用充電リッド部構造によれば、水平方向調整用ブラケットは、上下方向調整用ブラケットの延出部に結合されている。従って、充電リッドが開位置に位置された場合の充電リッドの剛性を向上させることができる。
【0013】
請求項4に記載の車両用充電リッド部構造は、請求項3に記載の車両用充電リッド部構造において、前記接合部と前記被接合部とが、溶接により接合され、前記延出部と前記水平方向調整用ブラケットとの結合部が、前記延出部及び前記水平方向調整用ブラケットの一方に車両上下方向に貫通して形成された貫通孔と、前記延出部及び前記水平方向調整用ブラケットの他方に車両上下方向に貫通して形成され前記貫通孔よりも大径とされた調整孔と、前記貫通孔及び前記調整孔に挿通されたボルトと、前記ボルトの先端部に螺合されたナットとを有する構成とされている。
【0014】
この車両用充電リッド部構造によれば、接合部と被接合部とは、溶接により結合されているので、連結ブラケットに対する上下方向調整用ブラケットの車両上下方向への取付位置を簡単な構成で容易に調整することができる。
【0015】
また、水平方向調整用ブラケットと延出部との結合部は、延出部及び水平方向調整用ブラケットの一方に車両上下方向に貫通して形成された貫通孔と、延出部及び水平方向調整用ブラケットの他方に車両上下方向に貫通して形成された調整孔と、貫通孔及び調整孔に挿通されたボルトと、ボルトの先端部に螺合されたナットとを有する構成とされている。従って、延出部に対する水平方向調整用ブラケットの車両水平方向への取付位置についても、簡単な構成で容易に調整することができる。
【0016】
請求項5に記載の車両用充電リッド部構造は、請求項4に記載の車両用充電リッド部構造において、前記フロントバンパカバーが、前記支持部材の前方に配置され、前記充電口が形成されたバンパカバー本体と、前記バンパカバー本体と別体に構成され、前記支持部材の上方に配置されたアッパ部とを有する構成とされている。
【0017】
この車両用充電リッド部構造によれば、フロントバンパカバーは、充電口が形成されたバンパカバー本体と別体に構成されたアッパ部を有しており、このアッパ部は、支持部材の上方に配置されている。従って、例えば、このアッパ部の取付前の状態では、このアッパ部の取付位置に形成された隙間を通じて上述のボルト及びナットの締結作業を容易に行うことができる。
【0018】
請求項6に記載の車両用充電リッド部構造は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用充電リッド部構造において、前記フロントバンパカバーの車両後側から前記充電口に臨んで配置されると共に、前記連結部に支持された充電インレットを備えている。
【0019】
この車両用充電リッド部構造によれば、充電インレットは、ラジエータサポートアッパとラジエータサポートロアとを連結する連結部に支持されている。従って、充電インレットが剛性の高い部位に取り付けられているので、充電インレットの剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように、本発明によれば、充電リッドの剛性及び強度を確保することができると共に、充電時の使用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造を構成する連結ブラケット、充電インレット、上下方向調整用ブラケット、及び、カバー部材と、ラジエータサポートの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造を構成する水平方向調整用ブラケット、取付フレーム、シール部材、充電リッド、及び、回動支持機構の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造を構成するフロントバンパカバーの分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造を車両右側のL字ブラケットの位置で切断した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(左側)をそれぞれ示している。
【0024】
図1〜図3に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造10は、連結部及び連結ブラケットとしてのインレットブラケット12と、充電インレット14と、上下方向調整用ブラケットとしてのL字ブラケット16と、カバー部材18(以上、図1参照)と、充電リッドアッセンブリ20(図2参照)と、フロントバンパカバー22(図3参照)とを備えている。
【0025】
インレットブラケット12は、後述するように、図1に示されるラジエータサポート26に取り付けられる。ラジエータサポート26は、車体前部に設けられており、図示しないラジエータを支持している。このラジエータサポート26は、ラジエータサポートアッパ28及びラジエータサポートロア30を有している。ラジエータサポートアッパ28及びラジエータサポートロア30は、それぞれ車両幅方向に延びており、互いに車両上下方向に離間されている。
【0026】
このラジエータサポートアッパ28及びラジエータサポートロア30の車両幅方向外側の端部は、車両上下方向に延びるサイド部材32によって連結されている。ラジエータサポート26の車両前側には、車両幅方向に延びるバンパリインフォースメント34が設けられており、このバンパリインフォースメント34における車両幅方向外側の端部は、取付部材36を介してサイド部材32に固定されている。
【0027】
インレットブラケット12は、車両上下方向に延びており、その上端部及び下端部には、結合部38,40がそれぞれ形成されている。車両上側の結合部38は、図示しないボルト及びナット等によりラジエータサポートアッパ28に結合され、車両下側の結合部40は、図示しないボルト及びナット等によりラジエータサポートロア30に結合される。
【0028】
また、インレットブラケット12の上部には、車両正面視にて四角形状を成すインレット取付部42が形成されている。このインレット取付部42には、図示しない給電プラグと接続される充電インレット14が取り付けられる。この充電インレット14は、急速充電用と普通充電用の二つの差込口44,46を有している。
【0029】
また、インレット取付部42の車両下側には、正面視にてV字状を成す一対の脚部48が形成されている。さらに、インレット取付部42の車両幅方向両側の端部には、車両幅方向外側に突出する被接合部50が形成されている。この被接合部50は、図4に示されるように、車両上下方向に延びている。
【0030】
L字ブラケット16は、車両上下方向に延びる接合部52と、接合部52の上端部から車両前側に延びる延出部54とを有する車両側面視にてL字状に形成されている。接合部52と被接合部50とは、例えば、車両上下方向に並ぶ複数のスポット溶接による溶接部56により接合されている。
【0031】
そして、このように接合部52と被接合部50との接合に溶接が用いられることにより、被接合部50に対する接合部52の接合位置を車両上下方向に自在に変更できるようになっている。また、被接合部50に対する接合部52の接合位置が車両上下方向に変更されることで、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置が調整可能となっている。
【0032】
図1に示されるカバー部材18は、上述のインレット取付部42と後述する充電リッド66(図2参照)との間の隙間を塞ぐためのものであり、車両正面視にて四角形状の枠体により構成されている。このカバー部材18は、インレット取付部42に取り付けられる。
【0033】
図2に示されるように、充電リッドアッセンブリ20は、水平方向調整用ブラケットとしてのヒンジベース60と、取付フレーム62と、シール部材64と、充電リッド66と、回動支持機構68とを有している。
【0034】
ヒンジベース60は、車両幅方向に延びる板状に形成されている。このヒンジベース60は、上述の延出部54に結合されることで、L字ブラケット16(いずれも図1参照)に取り付けられる。このヒンジベース60と延出部54との結合部は、次の構成とされている。
【0035】
すなわち、図4に示されるように、上述の延出部54には、車両上下方向に貫通する複数の貫通孔72が形成されている。一方、ヒンジベース60には、複数の貫通孔72と整合する位置に車両上下方向に貫通する複数の調整孔74が形成されている。各調整孔74は、上述の貫通孔72よりも大径とされている。
【0036】
そして、ボルト76にワッシャ78が装着された状態で、このボルト76が調整孔74及び貫通孔72に挿通されると共に、このボルト76の先端部にナット80が螺合されることで、ヒンジベース60と延出部54とが結合されている。なお、ワッシャ78の外径は、調整孔74の内径よりも大とされている。
【0037】
また、ボルト76とナット80が本締めされる前の状態では、ボルト76に対して調整孔74が移動できる範囲で、L字ブラケット16に対するヒンジベース60の車両水平方向(車両前後方向及び車両幅方向の少なくとも一方の方向)への取付位置が調整可能とされている。
【0038】
このヒンジベース60は、上述のL字ブラケット16及びインレットブラケット12と共に、後述する充電リッド66(図2参照)を支持する支持部材82を構成している。
【0039】
図2に示される取付フレーム62は、後述する充電口112(図3参照)の周縁部に取り付けられる車両正面視にて四角状の第一枠部86と、エンブレム116(図4参照)が取り付けられる車両正面視にて楕円状の第二枠部88とを有している。この取付フレーム62は、ヒンジベース60に例えば固定具等により取り付けられると共に、例えば爪部等により後述するバンパカバー本体108(図3参照)に取り付けられる。また、第一枠部86の周囲には、充電リッド66とのシール性を保つためのシール部材64が取り付けられる。
【0040】
充電リッド66は、後述する充電口112(図3参照)を開閉するものであり、リッドアウタ92及びリッドインナ94を有している。リッドアウタ92は、例えば振動溶着等によりリッドインナ94と溶着されて一体化される。
【0041】
回動支持機構68は、ヒンジベース60に対して充電リッド66を車両上下方向に回動可能に支持するものであり、ベース部材98、ヒンジアーム100、及び、ターンスプリング102をそれぞれ一対ずつ有している。ベース部材98は、図示しないボルト及びナット等によりヒンジベース60に固定される。ヒンジアーム100の一端は、図示しないボルト及びナット等によりリッドインナ94に固定され、ヒンジアーム100の他端は、ピン104を介してベース部材98に回動可能に固定される。
【0042】
そして、充電リッド66は、ピン104を中心にして、後述する充電口112(図3参照)を閉止する閉位置と、閉位置よりも車両上側に回動されて充電口112を開放する開位置とに変位可能とされている。
【0043】
ターンスプリング102は、ベース部材98とヒンジアーム100との間に設けられている。このターンスプリング102は、充電リッド66が中間位置よりも閉位置側の位置にあるときには、充電リッド66が閉位置側に回動される方向にヒンジアーム100を付勢し、充電リッド66が中間位置よりも開位置側の位置にあるときには、充電リッド66が開位置側に回動される方向にヒンジアーム100を付勢する。
【0044】
図3に示されるように、フロントバンパカバー22は、バンパカバー本体108と、このバンパカバー本体108と別体に構成されたアッパガーニッシュ110とを有して構成されている。バンパカバー本体108は、上述の支持部材82の前方に配置され、バンパリインフォースメント34(いずれも図1参照)等に固定される。
【0045】
このバンパカバー本体108には、上述の充電リッド66(図2参照)と相似形状で且つこの充電リッド66よりも僅かに大きい充電口112が形成されている。また、上述の充電インレット14(図1参照)は、バンパカバー本体108の車両後側から、この充電口112に臨んで配置される。また、このバンパカバー本体108には、充電口112と隣接してエンブレム取付口114が形成されている。このエンブレム取付口114には、エンブレム116(図4参照)が収容される。
【0046】
アッパガーニッシュ110は、本発明におけるフロントバンパカバーのアッパ部に相当し、図4に示されるように、支持部材82の上方に配置されている。このアッパガーニッシュ110は、例えば、爪部やボルト及びナット等による結合部によってバンパカバー本体108等に固定されている。
【0047】
そして、以上の構成とされた車両用充電リッド部構造10は、例えば、次の要領で組み立てられる。
【0048】
すなわち、先ず、図1に示される被接合部50に接合部52がスポット溶接により接合され、これにより、L字ブラケット16がインレットブラケット12に取り付けられる。このとき、ラジエータサポート26とフロントバンパカバー22とのばらつきに関して予測値が予め得られ、この予測値に基づいて、被接合部50に対する接合部52の接合位置が車両上下方向に変更される。そして、これにより、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置が調整される。
【0049】
また、図1に示されるインレット取付部42に充電インレット14が取り付けられる。そして、車両上側の結合部38が図示しないボルト及びナット等によりラジエータサポートアッパ28に結合されると共に、車両下側の結合部40が図示しないボルト及びナット等によりラジエータサポートロア30に結合される。これにより、インレットブラケット12がラジエータサポートアッパ28及びラジエータサポートロア30に取り付けられる。また、上記のいずれかのタイミングで、インレット取付部42にカバー部材18が取り付けられる。
【0050】
続いて、図2に示される充電リッドアッセンブリ20が組み立てられた状態で、この充電リッドアッセンブリ20の取付フレーム62に形成された爪部等がバンパカバー本体108(図3参照)に係合される。そして、これにより、充電リッドアッセンブリ20がバンパカバー本体108に取り付けられる。
【0051】
次いで、図3に示されるバンパカバー本体108がバンパリインフォースメント34(図1参照)等に固定される。そして、図4に示されるアッパガーニッシュ110の取付前の状態で、このアッパガーニッシュ110の取付位置に形成された隙間120を通じて上述のボルト76及びナット80の締結作業を行い、ヒンジベース60がボルト76及びナット80によりL字ブラケット16の延出部54に取り付けられる。
【0052】
ここで、バンパカバー本体108とラジエータサポート26との相対位置が車両水平方向(車両前後方向及び車両幅方向の少なくとも一方の方向)にばらついている場合には、ボルト76に対して調整孔74が移動できる範囲で、L字ブラケット16に対するヒンジベース60の車両水平方向への取付位置が調整される。そして、これにより、この車両水平方向へのばらつきが吸収される。
【0053】
続いて、最後に、アッパガーニッシュ110がバンパカバー本体108に取り付けられる。以上の要領で、車両用充電リッド部構造10は組み立てられる。
【0054】
なお、以上の組立順序は、一例であり、適宜、変更可能である。また、上記以外の要領で車両用充電リッド部構造10を組み立てることも可能である。
【0055】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0056】
本発明の一実施形態に係る車両用充電リッド部構造10によれば、充電リッド66によって開閉される充電口112は、フロントバンパカバー22(バンパカバー本体108)に形成されている。従って、車両の先端により近い位置に充電口112が形成されているので、充電時の使用性を向上させることができる。
【0057】
また、充電リッド66は、ラジエータサポートアッパ28とラジエータサポートロア30とを連結するインレットブラケット12を有する支持部材82に、回動支持機構68を介して回動可能に支持されている。従って、充電リッド66が剛性の高い部位に取り付けられているので、充電リッド66の剛性及び強度を確保することができる。これにより、充電リッド66が繰り返し開閉された場合の耐久性、充電リッド66が長時間全開状態に保持された場合の耐久性、及び、充電リッド66が開状態で走行されるなどの過負荷がかかる使用状態での耐久性を確保することができる。
【0058】
特に、ヒンジベース60は、L字ブラケット16の延出部54に結合されている。従って、充電リッド66が開位置に位置された場合の充電リッド66の剛性をより向上させることができる。
【0059】
また、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置、及び、L字ブラケット16に対するヒンジベース60の車両水平方向(車両前後方向及び車両幅方向の少なくとも一方の方向)への取付位置が調整可能とされている。従って、フロントバンパカバー22とラジエータサポート26との相対位置がばらついた場合でも、L字ブラケット16及びヒンジベース60の取付位置を調整することで、このばらつきを吸収することができる。
【0060】
しかも、接合部52と被接合部50とは、溶接により結合されているので、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置を簡単な構成で容易に調整することができる。
【0061】
また、ヒンジベース60と延出部54との結合部は、延出部54に車両上下方向に貫通して形成された貫通孔72と、ヒンジベース60に車両上下方向に貫通して形成された調整孔74と、貫通孔72及び調整孔74に挿通されたボルト76と、ボルト76の先端部に螺合されたナット80とを有する構成とされている。従って、延出部54に対するヒンジベース60の車両水平方向への取付位置についても、簡単な構成で容易に調整することができる。
【0062】
また、フロントバンパカバー22は、充電口112が形成されたバンパカバー本体108と別体に構成されたアッパガーニッシュ110を有しており、このアッパガーニッシュ110は、支持部材82の上方に配置されている。従って、例えば、アッパガーニッシュ110の取付前の状態では、このアッパガーニッシュ110の取付位置に形成された隙間120を通じて上述のボルト76及びナット80の締結作業を容易に行うことができる。
【0063】
また、アッパガーニッシュ110がバンパカバー本体108と別体に構成されることにより、アッパガーニッシュ110をバンパカバー本体108とは異なる塗装とすることができる。これにより、フロントバンパカバー22の意匠性を向上させることができる。
【0064】
また、充電インレット14は、ラジエータサポートアッパ28とラジエータサポートロア30とを連結するインレットブラケット12に支持されている。従って、充電インレット14が剛性の高い部位に取り付けられているので、充電インレット14の剛性についても向上させることができる。
【0065】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0066】
上述の本発明の一実施形態において、接合部52と被接合部50とは、スポット溶接による溶接部56によって接合されていたが、その他の溶接(例えば、レーザ溶接やアーク溶接など)によって接合されていても良い。このように構成されていても、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置を調整することができる。
【0067】
また、ヒンジベース60と延出部54との結合部において、貫通孔72が延出部54に形成され、調整孔74がヒンジベース60に形成されていたが、貫通孔72がヒンジベース60に形成され、調整孔74が延出部54に形成されていても良い。このように構成されていても、L字ブラケット16に対するヒンジベース60の車両水平方向への取付位置を調整することができる。
【0068】
また、ヒンジベース60と延出部54との結合部と同様の結合部(貫通孔72、調整孔74、ボルト76、及び、ナット80)により、接合部52と被接合部50とが接合されて、インレットブラケット12に対するL字ブラケット16の車両上下方向への取付位置が調整可能とされていても良い。
【0069】
また、接合部52と被接合部50とが溶接されることによって接合されたのと同様に、ヒンジベース60と延出部54とが溶接されることによって接合され、これにより、L字ブラケット16に対するヒンジベース60の車両水平方向への取付位置が調整可能とされていても良い。
【0070】
また、フロントバンパカバー22は、バンパカバー本体108と別体に構成されたアッパガーニッシュ110を有していたが、支持部材82の上方に配置されるものであれば、アッパガーニッシュ110以外の部材を本発明におけるアッパ部として有していても良い。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10 車両用充電リッド部構造
12 インレットブラケット(連結部、連結ブラケット)
14 充電インレット
16 L字ブラケット(上下方向調整用ブラケット)
22 フロントバンパカバー
28 ラジエータサポートアッパ
30 ラジエータサポートロア
50 被接合部
52 接合部
54 延出部
60 ヒンジベース(水平方向調整用ブラケット)
66 充電リッド
68 回動支持機構
72 貫通孔
74 調整孔
76 ボルト
78 ワッシャ
80 ナット
82 支持部材
108 バンパカバー本体
110 アッパガーニッシュ(アッパ部)
112 充電口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に車両上下方向に離間して設けられたラジエータサポートアッパとラジエータサポートロアとを連結する連結部を有する支持部材と、
前記支持部材の前方に配置され、充電口が形成されたフロントバンパカバーと、
前記充電口を開閉する充電リッドと、
前記充電口を閉止する閉位置と、前記閉位置よりも車両上側に回動されて前記充電口を開放する開位置とに変位可能に、前記充電リッドを前記支持部材に対して車両上下方向に回動可能に支持する回動支持機構と、
を備えた車両用充電リッド部構造。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記連結部としての連結ブラケットと、
前記連結ブラケットに対する車両上下方向への取付位置を調整可能とされ、前記連結ブラケットに取り付けられた上下方向調整用ブラケットと、
前記上下方向調整用ブラケットに対する車両水平方向への取付位置を調整可能とされ、前記上下方向調整用ブラケットに取り付けられた水平方向調整用ブラケットと、
を有し、
前記回動支持機構は、前記水平方向調整用ブラケットに対して前記充電リッドを支持している、
請求項1に記載の車両用充電リッド部構造。
【請求項3】
前記連結ブラケットは、車両上下方向に延びる被接合部を有し、
前記上下方向調整用ブラケットは、車両上下方向に延び、前記被接合部に接合された接合部と、前記接合部の上端部から車両前側に延びる延出部とを有し、
前記水平方向調整用ブラケットは、前記延出部に結合されている、
請求項2に記載の車両用充電リッド部構造。
【請求項4】
前記接合部と前記被接合部とは、溶接により接合され、
前記延出部と前記水平方向調整用ブラケットとの結合部は、前記延出部及び前記水平方向調整用ブラケットの一方に車両上下方向に貫通して形成された貫通孔と、前記延出部及び前記水平方向調整用ブラケットの他方に車両上下方向に貫通して形成され前記貫通孔よりも大径とされた調整孔と、前記貫通孔及び前記調整孔に挿通されたボルトと、前記ボルトの先端部に螺合されたナットとを有している、
請求項3に記載の車両用充電リッド部構造。
【請求項5】
前記フロントバンパカバーは、
前記支持部材の前方に配置され、前記充電口が形成されたバンパカバー本体と、
前記バンパカバー本体と別体に構成され、前記支持部材の上方に配置されたアッパ部とを有している、
請求項4に記載の車両用充電リッド部構造。
【請求項6】
前記フロントバンパカバーの車両後側から前記充電口に臨んで配置されると共に、前記連結部に支持された充電インレットを備えた、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用充電リッド部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−245842(P2012−245842A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117841(P2011−117841)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】